JP4947431B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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関連出願との関係
この出願は、米国法典第35巻第111条(b)項の規定に従い、2005年11月17日に提出した米国仮出願第60/737422号、2005年11月17日に提出した米国仮出願第60/737381号、及び2005年12月28日に提出した米国仮出願第60/754211号の出願日の利益を同第119条(e)項(1)により主張する同第111条(a)項の規定に基づく出願である。
本発明は、低ESR高容量固体電解コンデンサに関する。更に詳しくは、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量を大きくした固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、小型で大容量のコンデンサ、高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されている。最近では、電子伝導性を有する導電性重合体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサが提案されている。
固体電解コンデンサ(9)の製造方法では、一般に、図1に示すようにエッチング処理された比表面積の大きな金属箔や薄板からなる陽極基体(1)に誘電体の酸化皮膜層(2)を形成し、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)(3)を形成し、さらに導電ペーストなどの導電体層(4)を形成して固体電解コンデンサ素子が作製される。通常はさらにマスキング層(5)が設けられ、適宜、電極リード部(6,7)が付加され、全体が樹脂(8)で封止されてコンデンサとされる。
前記導電体層(4)には主として銀ペーストを使用するが、高温下で銀はマイグレーションを起こしやすいので、一般には、カーボン粒子を含むカーボンペースト層(4a)を設けてから、銀粒子を含む銀ペースト層(4b)を形成している(図2参照)。これらの層は、各層の成分を含む液体に順次浸漬することで形成され得るが、一般にコンデンサ素子の基体は薄い箔片状であるため、図2に示すように、面部と辺(縁)部とでは、形成される銀ペースト層(4b)の厚みが異なる。具体的には辺(縁)部での層厚みが小さくなりやすく、この結果、特にコンデンサ素子を積層して積層コンデンサとしたときのESR(等価直列抵抗)が大きくなりやすく好ましくない。全体に厚く塗ることで辺(縁)部での層厚みを増すこともできるが、この場合には面上での層厚みも増すため、1素子当たりの高さが大きくなり、これを積層した積層コンデンサでは単位体積当たりの容量が低下する。このため、辺(縁)部での層厚みを十分に確保しつつ面上での層厚みを抑えた銀ペーストを積層した固体電解コンデンサが求められている。
また、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペーストを塗布するに当たり、前記各層が順次積層された陽極基体を銀ペーストに浸漬した後引き上げるディップ法で銀ペーストを塗布した場合、塗布した面部に形成される銀ペーストに比較して辺(縁)部に付着する銀ペーストは薄い。この結果、その陽極基体の面内を横方向に流れる電流に比較して、裏面から表面に流れる電流に対する電気抵抗は高い。従って、ディップ法で銀ペーストを塗布した固体電解コンデンサは、刷毛で銀ペーストを塗布した固体電解コンデンサに比較してESRが高い傾向がある。
一方、銀ペーストを刷毛で塗布した場合、刷毛むらにより塗布面に形成される銀ペースト層の厚さがばらつく。特にフッ素樹脂を含む銀ペーストを使用すると、厚みが不均一になりやすい。薄い部位が生じないように塗布量を増加した場合、必要以上に銀ペースト層が厚い部位が生じ、ある高さのチップの中に封入できる固体電解コンデンサ素子の枚数が減少し、単位体積当たりの容量が減少する。
そこで、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサにおいて、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成した、十分に低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサが求められている。
従って、本発明の課題は、前記陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成した、十分に低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサを提供することにある。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に積層構造を形成する銀ペーストの組成または層厚を制御することにより、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量が大きい固体電解コンデンサ素子が得られることを見出した。本発明では、前記陽極基体上に積層構造を形成する銀ペーストの辺(縁)部の層厚みと面部の層厚みを制御することができる。カーボンペースト層に対して濡れ性が異なる組成とした2種の銀ペーストを用いて辺(縁)部には濡れ性がより低い組成としたものを塗布し、面部には濡れ性がより高い組成としたものを塗布すれば全体として所望の層厚みが得られることを見出した。また、この現象は、第1の被覆層と第2の被覆層を順次形成する積層構造の形成にも広く応用できることを見出した。また、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が、その陽極基体の面部を覆う銀ペースト層より厚い固体電解コンデンサ素子では、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量が大きい固体電解コンデンサ素子が得られることを見出した。さらに、銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが積層された固体電解コンデンサ素子では、加えてESR(等価直列抵抗)がさらに低い固体電解コンデンサが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基き完成されたものである。
銀ペーストを刷毛で塗布した場合、刷毛むらにより塗布面に形成される銀ペースト層の厚さがばらつく。薄い部位が生じないように塗布量を増加した場合、必要以上に銀ペースト層が厚い部位が生じ、ある高さのチップの中に封入できるコンデンサ素子の枚数が減少し、単位体積当たりの容量が減少する間題があった。
一方、ディップ法で銀ペーストを塗布した場合、塗布面に形成される銀ペーストに比較して辺(縁)に付着する銀ペーストは薄い。この結果、その陽極基体の面内を横方向に流れる電流に比較して、裏面から表面に流れる電流に対する電気抵抗は高い。従って、銀ペーストを刷毛で塗布したコンデンサに比較して、ディップ法で塗布したコンデンサは、ESRが高いことが間題であった。特にフッ素樹脂を含むペーストを使用すると、厚みが不均一になりやすい。
本発明者らは、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサにおいて、その陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が、面部を覆う銀ペースト層より厚いか、またはその陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層の厚さが10μm以上である固体電解コンデンサが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、また、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層を順次積層する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺(縁)部に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する製造方法により、銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低いコンデンサを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
固体電解コンデンサの積層構造を形成させる銀ペーストに添加する有機系溶剤は、銀ペーストを調製するときや塗布等により積層構造を形成させるとき空気中の水分を吸収し、銀ペーストを組成する水分含有量が上昇することがあった。そして水分含有量が上昇した銀ペーストを積層させた固体電解コンデンサのESRは十分低減しない。本発明者らは、これらの知見に基づき鋭意研究の結果、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサにおいて、その積層構造を形成させる銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下、特に0.3質量%以下であるとESRが十分に低い固体電解コンデンサを与えること、および湿度が低い環境では前記銀ペーストを組成する水分含有量を0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下とすることができることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す低ESR高容量固体電解コンデンサ素子、前記固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ、前記固体電解コンデンサ素子を積層してなる積層型固体電解コンデンサ、積層構造の形成方法、固体電解コンデンサ素子の製造方法、その方法で製造される固体電解コンデンサ素子、および固体電解コンデンサの積層構造を形成させる銀ペーストに関する。
1.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層の組成または層厚を制御した固体電解コンデンサ素子。
2.前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が層厚み6μm以上であって面部を覆う銀ペースト層の層厚みが20μm以下である、前記1に記載の固体電解コンデンサ素子。
3.表面にカーボンペースト層を有する前記陽極基体上に銀ペースト層を形成するための材料を含む組成としたA液を陽極基体の辺(縁)部に塗布し、前記銀ペースト層を形成するための材料を含みカーボンペースト層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として組成したB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成した前記1に記載の固体電解コンデンサ素子。
4.前記A液を陽極基体の辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、陽極基体を前記B液に浸漬することによりB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成した前記3に記載の固体電解コンデンサ素子。
5.陽極基体の下辺(縁)部のみを前記A液に浸漬することにより下辺(縁)部にA液を塗布して乾燥させた後、陽極基体の面部を含めて前記B液に浸漬することによりB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成した前記4に記載の固体電解コンデンサ素子。
6.前記B液を陽極基体の面部に塗布して乾燥させた後、陽極基体を前記A液に浸漬することにより陽極基体の辺(縁)部をA液で被覆して積層構造を形成した前記3に記載の固体電解コンデンサ素子。
7.カーボンペースト層および銀ペースト層の少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む被覆層である、積層構造を形成した前記3〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。
8.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
9.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
10.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
11.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
12.前記1〜11のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ。
13.前記1〜11のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子を複数個積層してなる積層体を含むことを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
14.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が、その陽極基体の面部を覆う銀ペースト層より厚いことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
15.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記14に記載の固体電解コンデンサ素子。
16.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記14に記載の固体電解コンデンサ素子。
17.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記14に記載の固体電解コンデンサ素子。
18.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である前記14に記載の固体電解コンデンサ素子。
19.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層の厚さが10μm以上であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
20.陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層の厚さが10〜200μmである前記19に記載の固体電解コンデンサ素子。
21.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記19に記載の固体電解コンデンサ素子。
22.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記19に記載の固体電解コンデンサ素子。
23.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記19に記載の固体電解コンデンサ素子。
24.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である前記19に記載の固体電解コンデンサ素子。
25.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが積層されたことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
26.水分含有量が0.3質量%以下である前記25に記載の固体電解コンデンサ素子。
27.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記25または前記26に記載の固体電解コンデンサ素子。
28.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記25〜27のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
29.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記25〜28のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
30.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である前記25〜29のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
31.表面に第1の被覆層を有する箔片上に第2の被覆層を形成する積層構造の形成方法であって、第2の被覆層を形成するための材料を含むA液を箔片の辺(縁)部に塗布する工程と第2の被覆層を形成するための材料を含み第1の被覆層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として形成したB液を箔片の面部に塗布する工程を含むことを特徴とする積層構造の形成方法。
32.前記A液を箔片の辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、箔片をB液に浸漬してB液を箔片の面部に塗布する前記31に記載の積層構造の形成方法。
33.箔片の下辺(縁)部のみを前記A液に浸漬して下辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、箔片の面部を含めてB液に浸漬してB液を箔片の面部に塗布する前記32に記載の積層構造の形成方法。
34.前記B液を箔片の面部に塗布して乾燥させた後、箔片をA液に浸漬して箔片の辺(縁)部をA液で被覆する前記31に記載の積層構造の形成方法。
35.第1の被覆層および第2の被覆層の少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む被覆層である前記31〜34のいずれか1項に記載の積層構造の形成方法。
36.第1の被覆層がカーボンペースト層であり、第2の被覆層がカーボンペースト以外の導電ペースト層である前記31〜35のいずれか1項に記載の積層構造の形成方法。
37.表面の一部に固体電解質層を有する固体電解コンデンサ素子の固体電解質層上にカーボンペースト層および導電ペースト層を順次形成して陰極部とする固体電解コンデンサ素子の製造方法において、カーボンペースト層および導電性ペースト層の積層工程に前記36に記載の積層構造の形成方法を用いることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
38.導電ペーストが銀ペーストである前記37に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
39.前記38に記載の方法で製造される固体電解コンデンサ素子。
40.前記39に記載の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ。
41.前記39に記載の固体電解コンデンサ素子を複数個積層してなる積層体を含むことを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
42.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層を順次積層する固体電解コンデンサ素子の製造方法において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺(縁)部に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する固体電解コンデンサ素子の製造方法。
43.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記42に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
44.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記42に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
45.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記42に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
46.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である前記42に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
47.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層を順次積層させる固体電解コンデンサ素子の製造方法において、水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストを積層させることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
48.水分含有量が0.3質量%以下である前記47に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
49.陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である前記47または前記48に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
50.陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である前記47〜49のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
51.弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である前記47〜50のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
52.表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である請求項47〜51のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
53.弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子の積層構造を形成させる銀ペーストであって、水分含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする銀ペースト。
54.水分含有量が0.3質量%以下である前記53に記載の銀ペースト。
本発明によれば、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成した、十分に低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサを得ることができる。本発明では、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に積層構造を形成する銀ペーストの組成または層厚を制御することにより、低ESR高容量の固体電解コンデンサ素子が得られる。カーボンペースト層に対して濡れ性の異なる2種の組成の銀ペーストを用いて、それぞれを辺(縁)部および面部に塗布すれば、全体として所望の層厚みが得られる。前記2種の組成の銀ペーストを用いて、辺(縁)部には濡れ性のより低い組成のものを塗布し、面部には濡れ性のより高い組成のものを塗布すれば、全体として所望の層厚みが得られ、この現象は、第1の被覆層と第2の被覆層を順次形成する積層構造の形成にも広く応用できる。表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に積層構造を形成する銀ペーストの層厚を制御することにより、前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層の層厚みの制御された積層構造が得られ、特に辺(縁)部で十分な層厚みを有する(層厚み6μm以上が好ましい。)とともに面部での層厚みが抑えられた(面部での層厚み20μm以下が好ましい。)低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を得ることができる。前記層厚の制御方法は、前記陽極基体上に前記銀ペーストの積層構造を形成する際、前記陽極基体が箔片であれば、箔片縁部の層厚みと面部の層厚みを制御する方法として特に有効である。前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が、面部を覆う銀ペースト層より厚い固体電解コンデンサ素子が好ましく、前記銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが好ましく使用される。また、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺(縁)部に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有することにより、銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低いコンデンサを得ることができる。さらに、前記銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが好ましく使用される。積層構造を形成させる銀ペーストを組成する水分含有量を0.5質量%以下、特に0.3質量%以下とすることによりESRが十分低い固体電解コンデンサおよびその製造方法が得られる。水分含有量が0.5質量%以下の組成、特に0.3質量%以下の組成とした銀ペーストが積層された固体電解コンデンサのESRが低減する理由は明らかではないが、水分含有量を0.5質量%より高い組成とした銀ペーストが積層された場合は、積層された銀ペーストの溶剤を乾燥するとき水が銀ペースト層を変質させESRが上昇することが考えられる。従って、本発明によれば、加えてさらにESRが十分低い固体電解コンデンサおよびその製造方法が得られる。
固体電解コンデンサ素子の一般的構造を示す断面図。 固体電解コンデンサ素子における従来のペースト被覆構造を説明する模式図。 本発明固体電解コンデンサ素子における銀ペースト被覆構造を説明する模式図。
符号の説明
1 陽極基体
2 酸化皮膜層
3 固体電解質層
4 導電体層
4a カーボンペースト層
4b 導電ペースト層
5 マスキング層
6 陽極リード部
7 陰極リード部
8 封止樹脂
9 固体電解コンデンサ
本発明は、表面に第1の被覆層(典型的にはカーボンペースト層)を有する陽極基体(箔片が好ましい。以下、同じ。)上に第2の被覆層(典型的には銀ペースト層)を形成するための材料を含む液体(以下、第2層形成液という。)を塗布して第2の被覆層を形成する積層方法において、第2の被覆層の辺(縁)部における層厚みが面部における層厚みと比べて極端に小さくなる現象を解消するものである。
陽極基体は、第1被覆層上に第2層形成液を塗布した場合、面部と辺(縁)部とで層厚みに違いが生じ得る寸法条件を有するものをすべて含む。このような寸法条件は、一般には前記第1被覆層と第2被覆層形成液それぞれを組成する成分によるが、通常は厚みが1mm以下で面の幅および長さがその2倍以上のものを含み、特に厚みが10〜500μm、面の幅および長さが1mm以上のもの(特に箔片が好ましい。)を含む。
第1の被覆層および第2の被覆層を組成する成分は、上記の現象が発生する限りにおいて特に限定されないが、少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む場合に、辺(縁)部での層厚みが面部での層厚みに比べて小さくなる現象が発生しやすい。
例えば、第2の被覆層が導電ペースト層(典型的には銀ペースト層)で、第1の被覆層がカーボンペースト層である場合がこれに該当する。
なお、以下の説明では、陽極基体として好ましく使用される箔片が独立して存在する場合について説明するが、実施可能である限りにおいて、箔片は別の基板等に固定されていてもよい。
本発明では、上記積層構造の形成のために、
(1)第2の被覆層を形成するための材料を含む組成としたA液を箔片の辺(縁)部に塗布する工程と
(2)第2の被覆層を形成するための材料を含み第1の被覆層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として組成したB液を箔片の面部に塗布する工程を含むことを特徴とする。
(1)と(2)はいずれを先に行なってもよいが、例えば、先に(1)を行い次いで(2)を行なう場合は、先ず、表面に第1の被覆層を有する箔片の辺(縁)部に第2の被覆層を形成するための材料を含む組成としたA液を塗布し、次いで、前記箔片の両面に第2の被覆層を形成するための材料を含み第1の被覆層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として組成したB液を塗布する。
A液の塗布は、第1の被覆層を有するすべての辺(縁)部について行なってもよいし、そのいずれかの辺(縁)部またはさらにその一部のみについて行なってもよい。例えば、矩形の箔片の場合、下辺(縁)部のみについて工程(1)を行なってもよい。なお、本願において辺(縁)部とは、陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状等の立体的形状であって、その立体的形状が、陽極基体の厚みに相当する部分の面を形成する辺(縁)部と、前記辺(縁)部に対して面としての関係を有する面部とからなる場合の辺(縁)部を言い、箔片について言えば、その辺(縁)部とは、箔片の稜辺(エッジ)およびこれら稜辺間にあって厚みに相当する部分の面を指す。但し、塗布方法の精度上、また、液体を塗布することから原理的に、これらの近傍の領域をも含み得る。
塗布方法は特に限定されない。例えば、刷毛やブレード等による塗布、浸漬、印刷、液の噴霧、投射等が挙げられる。これらを組み合わせてもよい。従って、例えば、刷毛塗りで下縁部および側縁部にA液を塗布した後、面を含む部分をB液中に浸漬してもよいし、あるいは、下縁部のみにA液が付着するように浸漬するように行ない、次いで、面を含む部分をB液に浸漬してもよい。
A液とB液は第2の被覆層を形成するための材料を含む組成である点で共通するが、第1の被覆層に対する濡れ性がB液においてA液より高い組成である点で異なる。ここで、濡れ性が高いとは、等量の第2層形成液を第1層上に同一条件で付着させたときに、より広がりやすいことを指す。濡れ性の調整は、第1層および第2層を組成する成分に応じて種々の手法で行なうことができる。
このような濡れ性増大の手法としては、第1層に対してより親和性の高い溶剤や成分を用いて第2層を組成したり、より多く含有させて第2層を組成する等が挙げられる。例えば、第1層がカーボンペースト層で第2層が導電ペースト層の場合、B液ではA液よりもカーボンペースト層に対して親油性の高い溶剤を用いて導電ペースト層を組成したり、同じ溶剤であってもB液ではA液よりも溶剤含有量を増大させて導電ペースト層を組成したり、あるいは、導電ペーストに含まれることの多いフッ素樹脂成分をA液中よりもB液中で少ない組成とする等が可能である。もっとも、その調整手法は限定されず、例えば、A液に粘性成分を添加してB液よりもA液の流動性が低い組成とすること等も場合によっては有効である。
上述のように、本発明では、縁部と面部における第2層の組成または層厚みを独立して制御可能である。その結果、典型的には、縁部で所望量の層厚みを確保するとともに面部での層厚みの増大を抑えることが可能となる。そこで、カーボンペースト層を表面に有する陽極基体上に導電ペースト層を縁部において比較的厚く、面部において比較的薄くすることが望ましい固体電解コンデンサ素子(図3)、およびその製造方法に好適に適用できる。すなわち、本発明によれば、弁作用金属からなる陽極基体(1)の表面に酸化被膜層(2)、導電性高分子層(3)、カーボンペースト層(4a)、および銀ペースト層(4b)が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体(1)の表面に酸化被膜層(2)、導電性高分子層(3)、およびカーボンペースト層(4a)が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層(4b)、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層(4b)の組成または層厚を制御することにより、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量を大きくした固体電解コンデンサ素子を得ることができる。本発明によれば、前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層(4b)が十分な層厚みを有するとともに面部を覆う銀ペースト層(4b)の層厚みが抑えられた、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を得ることができる。表面にカーボンペースト層(4a)を有する前記陽極基体上に銀ペースト層(4b)を形成するための材料を含む組成としたA液を陽極基体の辺(縁)部に塗布し、銀ペースト層(4b)を形成するための材料を含みカーボンペースト層(4a)に対してA液よりも濡れ性の高い液体として組成したB液を陽極基体の面部に塗布して所望の積層構造を形成した固体電解コンデンサ素子が好ましい。前記A液を陽極基体の辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、陽極基体をB液に浸漬してB液を陽極基体の面部に塗布して所望の積層構造を形成した固体電解コンデンサ素子とすることができる。陽極基体の下辺(縁)部のみを前記A液に浸漬して下辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、陽極基体の面部を含めてB液に浸漬してB液を陽極基体の面部に塗布して所望の積層構造を形成した固体電解コンデンサ素子としてもよいし、前記B液を陽極基体の面部に塗布して乾燥させた後、陽極基体をA液に浸漬して陽極基体の辺(縁)部をA液で被覆して所望の積層構造を形成した固体電解コンデンサ素子としてもよい。カーボンペースト層(4a)および銀ペースト層(4b)の少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む被覆層である場合であっても、前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層(4b)が十分な層厚みを有するとともに面部を覆う銀ペースト層(4b)の層厚みが抑えられた、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を得ることができる。本発明は、これらの低ESR高容量固体電解コンデンサ素子、前記固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ、および前記固体電解コンデンサ素子を複数個積層してなる積層型固体電解コンデンサを与えるものである。
このような固体電解コンデンサ素子は、図3に示すように、陽極基体(1)に誘電体の酸化皮膜層(2)を形成し、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)(3)を形成し、さらに導電ペーストなどの導電体層(4)を形成してなる固体電解コンデンサ素子であり、導電体層(4)が2層構造、典型的にはカーボンペースト層(4a)と、辺(縁)部で所望の層厚みを確保し面部での層厚みの増大を抑えた導電ペースト層(4b)を含む。
本発明の固体電解コンデンサおよびその製造方法では、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層される。
表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体は、これに積層した導電性高分子層に積層したカーボンペースト層上に銀ペーストを塗布した場合、面部と辺(縁)部とで層厚みに違いが生じ得る寸法条件を有するものをすべて含むが、この「辺(縁)」とは、陽極と対向する端辺(縁)とこれと直交する側辺(縁)を合わせた3つの辺(縁)を言う。カーボンペースト層および銀ペースト層を組成する成分は特に限定されない。
本発明は、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子およびその製造方法において、上記積層構造形成のための銀ペースト層に特徴がある。すなわち、本発明では、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層の組成または層厚を制御することにより、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量を大きくした固体電解コンデンサ素子が得られ、本発明の特定の態様では、前記陽極基体の辺を覆う銀ペースト層が、その陽極基体の面を覆う銀ペースト層より厚いか、またはその陽極基体の辺を覆う銀ペースト層の厚さが10μm以上厚い。好ましくは10〜200μm程度厚い。また、本発明の特定の態様では、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有するコンデンサの製造方法に特徴がある。
陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の面を覆う銀ペースト層の形成方法としては、通常採用される自体公知のペースト層の形成方法、例えば貯槽中の銀ペーストに、その面を浸漬した後引き上げるディップ法、ペーストを含んだ刷毛をその面に接触させ塗布する方法、スプレーによりペーストをその面に吹き付け塗布する方法、ペーストを付着させたローラをその面に押しつけ回転させて塗布する方法、メッシュからペーストをその面上に落とすスクリーン印刷法等が挙げられる。
陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺を覆う銀ペースト層の形成方法としては、通常採用される自体公知のペースト層の形成方法から辺を覆うに適した形成方法を適宜選択すればよく、このような辺を覆うに適したペースト層の形成方法としては、例えば貯槽中のペーストに、その辺を浸漬した後引き上げるディップ法、ペーストを含んだ刷毛をその辺に接触させ塗布する方法、スプレーによりペーストをその辺に吹き付け塗布する方法等が挙げられる。
このように、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の面部または辺(縁)部を覆い銀ペースト層を形成する方法は、本発明の目的を達成する限り特に限定されない。すなわち、前記銀ペースト層形成方法としては、例えば、刷毛やブレード等による塗布、浸漬、印刷、液の噴霧、投射等が挙げられる。これらを組み合わせてもよい。従って、例えば、刷毛塗りで下縁部および側縁部に塗布した後、面を含む部分を浸漬してもよいし、あるいは、下縁部のみ浸漬するように行ない、次いで、面を含む部分を浸漬してもよく、このようにして辺を覆う銀ペースト層が面を覆う銀ペースト層より厚いか、または辺を覆う銀ペースト層の厚さが10μm以上厚い本発明の固体電解コンデンサを製造することができる。
陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程とその陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有するコンデンサの製造方法においては、その面を含む部分や全体にディップ法で銀ペーストを塗布する工程とその辺に刷毛で銀ペーストを塗布する工程を合わせて実施することができるので、銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低いコンデンサを製造することができる。
本発明では、弁作用金属からなる陽極基体の表面の酸化被膜層に導電性高分子層を積層した後、カーボンペースト層、および銀ペースト層を順次積層させる。導電性高分子層を形成した後、所望により再化成した陽極基体を、カーボンペーストに浸漬することにより、その表面にカーボンペーストを塗布し、乾燥してカーボンペースト層を積層させることができる。使用するカーボンペーストは、一般に、カーボン粒子、フッソ樹脂、および酢酸イソアミル等の溶剤から構成された組成とする。
カーボンペースト層を順次積層した陽極基体を、銀ペーストに浸漬することにより、その表面に銀ペーストを塗布する。使用する銀ペーストは、一般に、銀粒子、フッソ樹脂、および酢酸イソアミル等の溶剤から構成された組成とする。塗布する銀粒子の形状に特に制限はないが、フレークが好ましい。
本発明の工程は、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程(ディップ工程)とその陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する工程(刷毛塗工程)を有し、これらディップ工程と刷毛塗工程はどちらを先に実施してもよい。例えば、上記のようにしてその陽極基体を銀ペーストに浸漬するディップ工程後、その陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する刷毛塗工程を実施する。使用する刷毛は特に限定されないが、筆が好ましく、例えば、市販されている絵筆を使用することができる。乾燥して得られる、その陽極基体の辺内(縁内)における銀ペースト層の厚さは、10μm以上、特に10〜200μmが好ましい。
このようにして、酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された陽極基体を、例えば、リードフレームの上に2枚積層した後、酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が形成されていない部位をリードフレームに溶接し、積層した陽極基体をエポキシ樹脂で封止することにより、固体電解コンデンサのチップを製造する。
以下、本発明に係る固体電解コンデンサについて詳細に説明する。
(弁作用金属)
本発明の固体電解コンデンサおよびその製造方法では、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層される。本発明において固体電解コンデンサの陽極基体として用いられる弁作用金属としては、例えばアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金等がいずれも使用できる。陽極基体の形状としては、平板状の箔や板や棒状等が挙げられる。表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体は、これに積層した導電性高分子層に積層したカーボンペースト層上に銀ペーストを塗布した場合、面部と辺(縁)部とで層厚みに違いが生じ得る寸法条件を有するものを含み、アルミニウム化成箔が経済性に優れているので実用上多く用いられている。このアルミニウム化成箔は、40〜200μm厚、平板形素子単位として縦横1〜30mm程度の矩形のものが使用される。好ましくは幅2〜20mm、長さ2〜20mm、より好ましくは幅2〜5mm、長さ2〜6mmである。
陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層は、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層であってもよく、あるいは、弁作用金属または弁作用金属箔の表面上に設けられた他の誘電体層であってもよいが、特に弁作用金属自体の酸化物からなる層であることが望ましい。
表面に誘電体皮膜層が形成された平板状の陽極基体の端部の一区画を陽極部とし、残部を陰極部とすることができる。陽極部と陰極部の区分には絶縁樹脂帯(マスキング)を用いても良い。
(固体電解質)
次に、陰極部の誘電体皮膜層上に固体電解質を形成させるが、固体電解質層の種類には特に制限は無く、従来公知の固体電解質が使用できるが、とりわけ高導電率の導電性高分子を固体電解質として作製する固体電解コンデンサは、従来の電解液を用いた湿式電解コンデンサや二酸化マンガンを用いた固体電解コンデンサに比べて、等価直列抵抗成分が低く、大容量でかつ小形となり、高周波性能が良好なために好ましい。
本発明の固体電解コンデンサに用いられる固体電解質を形成する導電性重合体は限定されないが、好ましくはπ電子共役系構造を有する導電性重合体、例えばチオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
導電性重合体の原料として用いられるモノマーのうち、チオフェン骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えば、Synthetic Metals誌,1986年,15巻,169頁)で準備できる。
また、例えば、多環状スルフィド骨格を有する化合物としては、例えば、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができ、公知の方法、例えば特開平8-3156号広報記載の方法により準備することができる。
また、例えば、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体等も使用できる。
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物もあり、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、ピロール骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げられるが、これらに限られない。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
また、フラン骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
重合の手法は、電解重合でも、化学酸化重合でも、その組合せでもよい。また、誘電体皮膜上に導電性重合体でない固体電解質をまず形成し、次いで上記の重合方法で導電性重合体を形成する方法でもよい。
導電性重合体を形成する例として、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーおよび酸化剤を好ましくは溶液の形態において、別々に前後してまたは一緒に誘電体皮膜上に塗布して形成する方法(特開平2-15611号公報や特開平10-32145号公報)等が利用できる。
一般に導電性重合体には、ドーピング能のある化合物(ドーパント)が使用されるが、ドーパントはモノマー溶液と酸化剤溶液のいずれに添加しても良く、ドーパントと酸化剤が同一の化合物になっている有機スルホン酸金属塩の様なものでもよい。ドーパントとしては、好ましくはアリールスルホン酸塩系のドーパントが使用される。例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などの塩を用いることができる。
このようにして製造された固体電解質の電気伝導度は、約0.1〜約200S/cmの範囲であるが、好ましくは約1〜約150S/cm、さらに好ましくは約10〜約100S/cmの範囲である。
(カーボンペースト層)
本発明では、弁作用金属からなる陽極基体の表面の酸化被膜層に導電性高分子層を積層した後、カーボンペースト層を積層させる。使用するカーボンペーストは、一般に、カーボン粒子、フッ素樹脂、及び酢酸イソアミル等の溶剤から構成された組成とする。カーボンペースト層を組成する成分は特に限定されない。導電性高分子層を形成した後、所望により再化成した陽極基体を、例えば、前記組成のカーボンペーストに浸漬することによりその表面にカーボンペーストを塗布し乾燥してカーボンペースト層を積層させる。
陽極基体の表面に酸化被膜層、及び導電性高分子層が順次積層され、次いで積層されるカーボンペースト層の形成方法としては、通常採用される自体公知のペースト層の形成方法、例えば、ディップ法、刷毛塗法、スプレー法、ローラ法、スクリーン印刷法等が挙げられる。すなわち、酸化皮膜層を形成した陽極基体に導電性高分子層を積層し、カーボンペースト層を形成する方法としては、酸化皮膜層を形成しこれに導電性高分子層を積層した陽極基体をカーボンペーストに浸漬した後引き上げるディップ法、カーボンペーストを含んだ刷毛を前記陽極基体に接触させ塗布する方法、カーボンペーストをスプレーにより前記陽極基体に吹き付け塗布する方法、カーボンペーストを付着させたローラを前記陽極基体に押しつけ回転させて塗布する方法、メッシュからカーボンペーストを前記陽極基体上に落とすスクリーン印刷法等が実施されている。
(銀ペースト層)
カーボンペースト層の積層に次いで、銀ペースト層を積層させる。本発明の好ましい実施態様において積層構造を形成させる銀ペーストは、銀粒子、フッ素樹脂、及び酢酸イソアミル等の溶剤、及び0.5質量%以下好ましくは0.3質量%以下の水から構成された組成とする。塗布する銀粒子の形状に特に制限はないが、フレーク形状が好ましい。本発明は、積層構造を形成させる銀ペーストに特徴がある。すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を覆って積層される銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下、特に0.3質量%以下であることを特徴とする。これら銀ペーストを組成する水分含有量は、0.5質量%以下であればよいが0.3質量%以下が好ましく、0.05質量%以下であってもよく、特に好ましくは0.02質量%〜0.3質量%である。
本発明の銀ペーストは、通常、銀粒子、フッ素樹脂、及び酢酸イソアミル等の溶剤から組成され、これらの構成成分を混合することによって調製することができる。銀ペーストの調製に使用するこれら構成成分の混合比率は、これらが組成する銀ペースト全体に対し、通常、銀粒子45〜65質量%、フッ素樹脂1〜10質量%、及び酢酸イソアミル等の溶剤30〜50質量%である。銀ペーストに添加する溶剤としては一般に有機系溶剤が使用されるが、有機系溶剤は、銀ペーストを調製するときや塗布等により積層構造を形成させるとき空気中の水分を吸収し、銀ペーストを組成する水分含有量が上昇することがあった。そして水分含有量が上昇した組成の銀ペーストを積層させた固体電解コンデンサのESRは十分低減しない。従って、使用する有機溶剤は最初から水分含有量を0.5質量%以下の組成としたものを使用するのが好ましい。有機溶剤を脱水する必要がある場合は、例えば、ゼオライト等の脱水剤を用いる方法や水を通しやすく有機溶剤を通しにくい高分子膜を利用する方法等で脱水すればよい。これらの方法により有機溶剤中の水分含有量を下げ、水分含有量を0.5質量%以下好ましくは0.3質量%以下の組成とした銀ペーストを調製することができる。
水分含有量が0.5質量%以下好ましくは0.3質量%以下の組成に調製した銀ペーストは、好ましくは湿度30〜60%、より好ましくは湿度30〜50%、さらに好ましくは湿度30〜40%、またはそれ以下の湿度に調整した密閉容器、例えばデシケータ中に保存するのが好ましく、シリカゲル等の乾燥剤を共存させてもよい。このときの温度は、15〜30℃が好ましく、21〜27℃がより好ましく、23〜25℃がさらに好ましく、それ以下の温度が選ばれてもよい。前記組成の銀ペーストを調製するときやその塗布等により積層構造を形成させるときは、湿度30〜60%が好ましく、湿度30〜50%がより好ましく、湿度30〜40%がさらに好ましく、またはそれ以下の湿度が選ばれてもよい。このときの温度は、15〜30℃が好ましく、21〜27℃がより好ましく、23〜25℃がさらに好ましく、それ以下の温度が選ばれてもよい。湿度が70%以上では、温度が15〜30℃の環境でも、前記組成の銀ペーストを48時間以上使用すると、銀ペーストを組成する水分含有量が0.5%を超えて増大する場合が生じ、本発明のESR低減効果は得られない場合がある。
本発明の前記組成の銀ペーストは塗布等により積層され積層構造を形成するが、前記陽極基体の辺を覆う前記銀ペースト層が、その陽極基体の面を覆う前記銀ペースト層より厚いか、またはその陽極基体の辺を覆う前記銀ペースト層の厚さが10μm以上、特に10〜200μm程度厚いのが好ましい。また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法としては、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を前記組成の銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺に前記銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する方法が好ましい。
弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び前記組成の銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサにおいて、その陽極基体の辺を覆う前記銀ペースト層が面を覆う前記銀ペースト層より厚いかまたはその陽極基体の辺を覆う前記銀ペースト層の厚さが10μm以上厚いと、辺(縁)部で十分な層厚みを有するとともに面部での層厚みが抑えられた低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を得ることができるので好ましい。
弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び前記組成の銀ペースト層を順次積層する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を前記銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺に前記銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する製造方法は、その面を含む部分や全体にディップ法で前記銀ペーストを塗布する工程とその辺に刷毛で前記銀ペーストを塗布する工程を合わせて実施することができるので、前記銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低い固体電解コンデンサを製造することができるので好ましい。
弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体を前記組成の銀ペーストに浸漬する工程(ディップ工程)とその陽極基体の辺に前記銀ペーストを刷毛で塗布する工程(刷毛塗工程)は、これらディップ工程と刷毛塗工程のどちらを先に実施してもよい。例えば、前記陽極基体を前記銀ペーストに浸漬するディップ工程後、その陽極基体の辺に前記銀ペーストを刷毛で塗布する刷毛塗工程を実施する。使用する刷毛は特に限定されないが、筆が好ましく、例えば、市販されている絵筆を使用することができる。乾燥して得られる、その陽極基体の辺内(縁内)における前記銀ペースト層の厚さは、10μm以上、特に10〜200μmが好ましい。
陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の面を覆う前記組成の銀ペースト層の形成方法としては、例えば、貯槽中の前記銀ペーストに浸漬した後引き上げるディップ法、前記銀ペーストを含んだ刷毛をその面に接触させ塗布する刷毛塗法、スプレーにより前記銀ペーストをその面に吹き付け塗布するスプレー法、前記銀ペーストを付着させたローラをその面に押しつけ回転させて塗布するローラ法、メッシュから前記銀ペーストをその面上に落とすスクリーン印刷法等が挙げられる。
陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺を覆う前記組成の銀ペースト層の形成方法としては、前記銀ペースト層の形成方法から辺を覆うに適した形成方法を適宜選択すればよく、このような辺を覆うに適した前記銀ペースト層の形成方法としては、例えば貯槽中の前記銀ペーストに浸漬した後引き上げるディップ法、前記銀ペーストを含んだ刷毛をその辺に接触させ塗布する刷毛塗法、スプレーにより前記銀ペーストをその辺に吹き付け塗布するスプレー法等が挙げられる。
このように、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の面部および/または辺(縁)部を覆い前記組成の銀ペースト層を形成する方法は、本発明の目的を達成する限り特に限定されず、前記銀ペースト形成方法としては、例えば、刷毛やブレード等による塗布、浸漬、印刷、液の噴霧、投射等が挙げられ、またはこれらを組み合わせてもよく、これらのうち、それぞれに適した形成方法を適宜選択すればよい。従って、例えば、刷毛塗りで下縁部及び側縁部に塗布した後、面を含む部分を浸漬してもよいし、あるいは、下縁部のみ浸漬するように行ない、次いで、面を含む部分を浸漬してもよい。このようにして辺を覆う前記銀ペースト層が面を覆う前記銀ペースト層より厚いかまたは辺を覆う前記銀ペースト層の厚さが10μm以上厚い固体電解コンデンサを製造することができる。
(固体電解コンデンサ)
かくして得られる固体電解コンデンサ素子は、通常、リード端子を接続して、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途のコンデンサ製品とする。また、積層して封止することも可能である。すなわち、例えば、弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が順次積層された陽極基体を、例えば、リードフレームの上に2〜4枚積層した後、酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が形成されていない部位をリードフレームに溶接し、リード端子を接続して、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、エポキシ樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途の積層固体電解コンデンサ製品とすることができる。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものでない。
なお、以下の例において等価直列抵抗(ESR)は、ヒューレットパッカード社製LCRメータ4284Aを使用し100kHzにて測定した。
(実施例1)
短軸方向3mm×長軸方向10mm、厚さ約100μmのアルミニウム化成箔(以下、化成箔と称する。)上にマスキング材(耐熱性樹脂)による幅1mmのマスキングを周状に形成し、陰極部と陽極部に分け、この化成箔の先端側区画部分である陰極部を電解液中通電して化成し水洗した。次いで、陰極部を、3,4−エチレンジオキシチオフェンのイソプロピルアルコール溶液1mol/Lに浸漬し、次いで、酸化剤(過硫酸アンモニウム)とドーパント(ナフタレン−2−スルホン酸ナトリウム)の混合水溶液に浸漬して酸化重合を行った。この含浸工程および重合工程を繰り返し、ドーパントを含む固体電解質層を化成箔の微細孔内に形成した。このドーパントを含む固体電解質層を形成した化成箔を水洗し固体電解質層を形成し熱風乾燥を行った。その上にカーボンペーストを被覆して素子材料を形成した。
一方、銀粉85質量%とバイトンゴム(フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体からなるフッ素系ゴム)粉末15質量%を混合し導電ペーストを組成する固形分とした。これに溶剤として酢酸イソアミルを加え、混練して固形分70質量%の組成とした粘稠な銀ペースト(A液:以下、「第1組成」という。)を調製した。また、固形分を60質量%の組成に代えた他はA液と同様にして別の組成とした銀ペースト(B液:以下、「第2組成」という。)を調製した。なお、素子材料のカーボンペースト層上に第1組成と第2組成の銀ペーストをそれぞれ滴下し、濡れ性を確認したところ、第1組成の濡れ性が第2組成の濡れ性よりも低いことが確認された。
陰極側が下になるように支持部材に取り付けた前記の素子材料を用意し、上記の第1組成とした銀ペースト(A液)を含む銀ペースト槽に向けて支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端0.5mm(下縁のみ)を前記銀ペースト中に浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、温風乾燥した。引き続いて、支持部材を下降させて素子材料の陰極側3.3mmを、上記の第2組成とした銀ペースト(B液)中に浸漬させた。しかる後、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ乾燥した。
(実施例2)
実施例1と同様にして陰極側が下になるように支持部材に取り付けた前記素子材料を用意し、上記の銀ペースト(A液:第1組成)をその陰極縁部(全縁)に塗布し、乾燥後、銀ペースト(B液:第2組成)を含むペースト槽に向けて支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端3.3mmを銀ペースト中に浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ乾燥させた。
(実施例3)
実施例1と同様にして陰極側が下になるように支持部材に取り付けた前記素子材料を用意し、上記の銀ペースト(B液:第2組成)をその陰極面に塗布し、乾燥後、銀ペースト(A液:第1組成)を含むペースト槽に向けて支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端0.5mm(下縁のみ)を銀ペースト中に浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ乾燥させた。
(比較例1)
実施例1において第2組成の代わりに第1組成の銀ペーストを用いたほかは同様の処理を行ない、銀ペースト層を形成した。
(比較例2)
実施例1において第1組成の代わりに第2組成の銀ペーストを用いたほかは同様の処理を行ない、銀ペースト層を形成した。
上記各実施例および各比較例で製造したコンデンサ素子を支持部材から切り離し、顕微鏡で銀ペースト層の厚さを観察した。結果を表1に示す。
また、実施例1のコンデンサ素子4枚をリードフレーム上に積層して定格容量220μF、定格電圧2Vの固体電解コンデンサ各50個を得た。比較例で得られたコンデンサ素子についても同様に4枚をリードフレーム上に積層して定格容量220μF、定格電圧2Vの固体電解コンデンサ各50個を得た。こうして得られた各50個の固体電解コンデンサを250℃のリフロー炉を用いて基板上にハンダ付けを行い、等価直列抵抗(ESR)を測定した。結果を表1に示す。なお、表中、ESRは9mΩ以下を合格値として○(8mΩより大きく、9mΩ以下のもの)で表記し、特に良好な値を◎(8mΩ以下のもの)で示した。また、合格値を超えるESRを示すものを不合格値として×(9mΩより大きいもの)で表記した。また、積層厚みはリードフレームにコンデンサ素子を4枚積層した後の素子積層体の厚みである。
Figure 0004947431
比較例1に示すように、低ぬれ性の銀ペーストを面部と下縁部に塗布した場合、積層厚みが大きい。従って、単位体積当りの容量が大きいコンデンサを製造できない。一方、比較例2に示すように、高濡れ性の銀ペーストを面部と下縁部に塗布した場合、コンデンサのESRが高い。そこで、実施例1に示すように、下縁部に低濡れ性の銀ペーストを、面部に高濡れ性の銀ペーストをそれぞれ塗布することにより、積層厚みが小さく、従って、単位体積当りの容量が大きく、かつESRが低いコンデンサを製造できる。
以上の例に示されるように、本発明の製造方法によれば、電気的特性、特にESRが改善され、積層厚みも顕著に改善されている。すなわち、本発明によれば、以上の例に示されるように、陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成する際、縁部の層厚みと面部の層厚みを制御することにより、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量を大きくした固体電解コンデンサ素子が得られる。特にESR(等価直列抵抗)が安定して低減され素子厚みの小さいコンデンサ素子を製造することができる。カーボンペースト層に対して濡れ性が異なる組成とした2種の銀ペーストを用いて辺(縁)部には濡れ性のより低い組成のものを塗布し、面部には濡れ性のより高い組成のものを塗布すれば全体として所望の層厚みが得られる。
実施例4:
まず、エッチングにより表面積が増大したアルミニウム箔を3mm × l0mmの短冊形に切断し、短冊形のアルミニウム箔の下半分と電極を温度が80℃、濃度が10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、両者の間に3Vの電圧を10分間印可し電流を流すことによりアルミニウム箔を化成し、箔の下半分の表面に酸化アルミニウムの誘電体皮膜を形成した。
次に化成したアルミニウム箔を3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させたイソプロピルアルコールに浸漬した後乾燥する工程と、アントラキノンスルホン酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムを溶解させた水溶液に浸漬した後乾燥する工程を繰り返すことにより、誘電体皮膜の上にポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンの導電性高分子層を付着させた。
さらに導電性高分子層を形成した箔と電極を温度が80℃、濃度が10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し3Vの電圧を1分間印可し誘電体皮膜を再化成した。再化成したアルミニウム箔を、重量比率が7%のカーボン粒子、重量比率が3%のフッソ素樹脂、及び重量比率が90%の酢酸イソアミルから構成される組成のカーボンペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面にカーボンペーストを塗布した。カーボンペーストの粘度は60cpoiseであった。塗布したカーボン粒子は、粒径が10〜100nmの粒子と、粒径が0.8〜8μmの粒子から構成され、この重量比率は30:70であった。130℃の温度で10分間乾燥した後、カーボンペースト層の厚さは5μmであり、カーボンペースト層に含まれるカーボン粒子の重量比率は70%であった。
次にカーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、重量比率が54%の銀粒子、重量比率が6%のフッ素樹脂、及び重量比率が40%の酢酸イソアミルから構成される組成とした銀ペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面に銀ペーストを塗布した。銀ペーストの粘度は400cpoiseであった。塗布した銀粒子の形状はフレークであり、長軸方向の長さは1〜5μmであった。130℃の温度で10分間乾燥した後、銀ペースト層の厚さは15μmであり、銀ペースト層に含まれる銀粒子の重量比率は90%であった。
ディップ法で銀ペーストを塗布したアルミニウム箔の辺に、ディップ法で塗布した銀ペーストを刷毛により塗布した後、130℃の温度で10分間乾燥した。
刷毛による塗布は、刷毛として水性絵の具を塗る市販の絵筆(毛の長さ:約2cm)を用い、絵筆を銀ペーストに浸漬した後、容器の壁で絵筆に含まれる銀ペーストを十分切り、絵筆の先を箔の辺に斜め上から軽く接触させ、絵筆を辺と平行に移動させ、辺近傍(辺から1mm以内)に微量の銀ペーストを塗布した。
銀ペーストを塗布したアルミニウム箔を二液混合硬化型の樹脂に埋め込み、硬化後樹脂を1mm間隔で切断し、アルミニウム箔の断面を光学顕微鏡で観察することにより、アルミニウム箔の面内における銀ペースト層の厚さの分布を測定した。その結果、銀ペースト層の厚さは大部分15μmであった。また、アルミニウム箔の辺内における銀ペースト層の厚さを測定したところ、23〜38μmであった。
酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が順次積層されたアルミニウム箔をリードフレームの上に2枚積層した後、酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が形成されていない部位をリードフレームに溶接し、積層したアルミニウム箔をエポキシ樹脂で封止することにより、コンデンサのチップを製造した。
コンデンサをLCRメータで評価した結果、容量は120Hzのとき102.6μF、ESRは100kHzのとき7.4mΩであった。また100個のコンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下のコンデンサは100個であった。
実施例5:
実施例4と同様にして、ディップ法で銀ペーストを塗布したアルミニウム箔の辺に、ディップ法で塗布した銀ペーストをディスペンサーで塗布した後、130℃の温度で10分間乾燥した。ディスペンサーでの塗布は、ディスペンサーの先端を箔の辺に接触させ、辺と平行に等速度で移動させながら銀ペーストを一定の速度で吐出させることにより、ほぼ一定の厚さの銀ペーストを辺に塗布した。アルミニウム箔の面内及び辺内における銀ペースト層の厚さを測定したところ、それぞれ14〜18μm及び25〜34μmであった。
酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が順次積層されたアルミニウム箔をリードフレームの上に2枚積層した後、酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が形成されていない部位をリードフレームに溶接し、積層したアルミニウム箔をエポキシ樹脂で封止することにより、コンデンサのチップを製造した。
コンデンサをLCRメータで評価した結果、容量は120Hzのとき101.5μF、ESRは100kHzのとき7.4mΩであった。また100個のコンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下のコンデンサは100個であった。
比較例3:
まず、実施例4と同様な方法により導電性高分子層とカーボンペースト層を形成したアルミニウム箔に、実施例4と同じ銀ペーストを、刷毛として絵筆を用い、絵筆を銀ペーストに浸漬した後、銀ペーストを十分切ることなく、絵筆の腹を箔に押しつけるように塗布し、乾燥した。アルミニウム箔の面内における銀ペースト層の厚さの分布を測定した結果、銀ペースト層の厚さは8〜55μmであった。
次に実施例4と同様な方法によりコンデンサのチップを製造し、コンデンサをLCRメータで評価した結果、容量は120Hzのとき103.3μF、ESRは100kHzのとき7.7mΩであった。また100個のコンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下のコンデンサは100個であった。
比較例4:
まず、実施例4と同様な方法により導電性高分子層とカーボンペースト層を形成したアルミニウム箔に、実施例4と同じ銀ペーストをディップ法により塗布し、乾燥した。アルミニウム箔の面内における銀ペースト層の厚さの分布を測定した結果、銀ペースト層の厚さは25〜37μmであった。また、アルミニウム箔の辺内における銀ペースト層の厚さを測定した結果、銀ペースト層の厚さは12〜40μmであった。
次に実施例4と同様な方法によりコンデンサのチップを製造し、コンデンサをLCRメータで評価した結果、容量は120Hzのとき103.3μF、ESRは100kHzのとき25.7mΩであった。また100個のコンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下のコンデンサは100個であった。
実施例4、5及び比較例3、4で得られたコンデンサの評価結果を表2に示す。
Figure 0004947431
以上の例に示されるように、本発明によれば、電気的特性、特にESRが改善され、かつ銀ペースト層の厚さ分布も顕著に改善されている。すなわち、本発明によれば、以上の例に示されるように、辺(縁)部で十分な層厚みを有するとともに面部での層厚みが抑えられた、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子が得られる。本発明によれば、以上の例に示されるように、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する製造方法により、銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低いコンデンサを提供することができる。
実施例6:
まず、エッチングにより表面積が増大したアルミニウム箔を3mm × l0mmの短冊形に切断し、短冊形のアルミニウム箔の下半分と電極を温度が80℃、濃度が10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、両者の間に3Vの電圧を10分間印可し電流を流すことによりアルミニウム箔を化成し、箔の下半分の表面に酸化アルミニウムの誘電体皮膜を形成した。
次に化成したアルミニウム箔を3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させたイソプロピルアルコールに浸漬した後乾燥する工程と、アントラキノンスルホン酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムを溶解させた水溶液に浸漬した後乾燥する工程を繰り返すことにより、誘電体皮膜の上にポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンの導電性高分子層を付着させた。
さらに導電性高分子層を形成した箔と電極を温度が80℃、濃度が10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し3Vの電圧を1分間印可し誘電体皮膜を再化成した。再化成したアルミニウム箔を、7質量%のカーボン粒子、3質量%のフッ素樹脂、及び90質量%の酢酸イソアミルの比率で構成される組成のカーボンペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面にカーボンペーストを塗布した。カーボンペーストの粘度は60cpoiseであった。塗布したカーボン粒子は、粒径が10〜100nmの粒子と、粒径が0.8〜8μmの粒子から構成され、この質量比は30:70であった。130℃の温度で10分間乾燥した後、カーボンペースト層の厚さは9μmであり、カーボンペースト層に含まれるカーボン粒子の比率は74質量%であった。
次に、カーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、55.7質量%の銀粒子、5.9質量%のフツ素樹脂、38.1質量%の酢酸イソアミル、及び0.3質量%の水の比率で構成される組成とした銀ペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面に銀ペーストを塗布した。質量の比率は、熱重量測定機(リガク社TG8129)とカールフィッシャー水分計(KEM社MKS−500)により測定した重量に基づいている。銀ペーストの粘度は400cpoiseであった。塗布した銀粒子の形状はフレークであり、長軸方向の長さは1〜5μmであった。130℃の温度で10分間乾燥した後、銀ペースト層の厚さは13μmであり、銀ペースト層に含まれる銀粒子は90質量%であった。
ディップ法で銀ペーストを塗布したアルミニウム箔の辺に、ディップ法で塗布した銀ペーストを刷毛により塗布した後、130℃の温度で10分間乾燥した。
刷毛による塗布は、刷毛として水性絵の具を塗る市販の絵筆(毛の長さ:約2cm)を用い、絵筆を銀ペーストに浸漬した後、容器の壁で絵筆に含まれる銀ペーストを十分切り、絵筆の先を箔の辺に斜め上から軽く接触させ、絵筆を辺と平行に移動させ、辺近傍(辺から1mm以内)に微量の銀ペーストを塗布した。
なお、銀ペーストは使用するまで湿度を30%以下に調整したデシケータ中に保管した。保管温度は24℃であった。また、銀ペーストを塗布したとき周囲の湿度を40%、温度を24℃に設定した。
銀ペーストを塗布したアルミニウム箔を二液混合硬化型の樹脂に埋め込み、硬化後樹脂を1mm間隔で切断し、アルミニウム箔の断面を光学顕微鏡で観察することにより、アルミニウム箔の面内における銀ペースト層の厚さの分布を測定した。その結果、銀ペースト層の厚さは大部分16μmであった。また、アルミニウム箔の辺内における銀ペースト層の厚さを測定したところ、24〜30μmであった。
酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が順次積層されたアルミニウム箔をリードフレームの上に2枚積層した後、酸化アルミニウム層、導電性高分子層、カーボンペースト層、及び銀ペースト層が形成されていない部位をリードフレームに溶接し、積層したアルミニウム箔をエポキシ樹脂で封止することにより、固体電解コンデンサを製造した。
固体電解コンデンサ100個をLCRメータで評価した結果、120Hzにおける容量の平均値は102.6μF、100kHzにおけるESRの平均値は6.3mΩであった。また100個の固体電解コンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下の固体電解コンデンサは100個であった。
実施例7:
実施例6と同様にして、アルミニウム箔に形成した誘電体皮膜上に導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次形成した。
次に、カーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、55.9質量%の銀粒子、5.9質量%のフツ素樹脂、38.1質量%の酢酸イソアミル、及び0.1質量%の水の比率で構成される組成とした銀ペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面に銀ペーストを塗布した。質量の比率は、熱重量測定機(リガク社TG8129)とカールフィッシャー水分計(KEM社MKS−500)により測定した重量に基づいている。
さらに、実施例6と同様にして、アルミニウム箔の辺に銀ペーストを刷毛により塗布した後、固体電解コンデンサを製造した。
固体電解コンデンサ100個をLCRメータで評価した結果、120Hzにおける容量の平均値は103.5μF、100kHzにおけるESRの平均値は6.4mΩであった。また100個の固体電解コンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下の固体電解コンデンサは100個であった。
比較例5:
実施例6と同様にして、アルミニウム箔に形成した誘電体皮膜上に導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次形成した。
次に、カーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、55.7質量%の銀粒子、5.9質量%のフツ素樹脂、37.6質量%の酢酸イソアミル、及び0.8質量%の水の比率で構成される組成とした銀ペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面に銀ペーストを塗布した。質量の比率は、熱重量測定機(リガク社TG8129)とカールフィッシャー水分計(KEM社MKS−500)により測定した重量に基づいている。
さらに、実施例6と同様にして、アルミニウム箔の辺に銀ペーストを刷毛により塗布した後、固体電解コンデンサを製造した。
固体電解コンデンサ100個をLCRメータで評価した結果、120Hzにおける容量の平均値は101.8μF、100kHzにおけるESRの平均値は8.4mΩであった。また100個の固体電解コンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下の固体電解コンデンサは100個であった。
比較例6:
実施例6と同様にして、アルミニウム箔に形成した誘電体皮膜上に導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次形成した。
次に、カーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、55.9質量%の銀粒子、5.9質量%のフツ素樹脂、35.1質量%の酢酸イソアミル、及び3.1質量%の水の比率で構成される組成とした銀ペーストに浸漬することにより、アルミニウム箔の表面に銀ペーストを塗布した。質量の比率は、熱重量測定機(リガク社TG8129)とカールフィッシャー水分計(KEM社MKS−500)により測定した重量に基づいている。
さらに、実施例6と同様にして、アルミニウム箔の辺に銀ペーストを刷毛により塗布した後、固体電解コンデンサを製造した。
固体電解コンデンサ100個をLCRメータで評価した結果、120Hzにおける容量の平均値は101.8μF、100kHzにおけるESRの平均値は9.0mΩであった。また100個の固体電解コンデンサに2Vを印可し漏れ電流を測定した結果、漏れ電流が5μA以下の固体電解コンデンサは100個であった。
実施例6、7及び比較例5、6で得られた固体電解コンデンサの評価結果を表3に示す。
Figure 0004947431
以上の例に示されるように、水分含有量が0.5質量%以下、特に0.3質量%以下の組成とした銀ペーストを積層させることにより、加えてさらにESRが十分に低い固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明は、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成した、十分に低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサを提供するものである。本発明では、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に積層構造を形成する銀ペーストの組成または層厚を制御することにより、低ESR高容量の固体電解コンデンサ素子が得られる。カーボンペースト層に対して濡れ性の異なる2種の組成の銀ペーストを用いて、それぞれを辺(縁)部および面部に塗布すれば、全体として所望の層厚みが得られる。前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が、面部を覆う銀ペースト層より厚い固体電解コンデンサ素子が好ましく、前記銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが好ましく使用される。本発明は、表面にカーボンペースト層を有する陽極基体上に銀ペーストの積層構造を形成する際、縁部の層厚みと面部の層厚みを制御することにより、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量を大きくした固体電解コンデンサ素子を与えるものであり、前記陽極基体箔片上に前記銀ペーストの積層構造を形成する際、縁部の層厚みと面部の層厚みを制御する方法として特に有効である。特にESR(等価直列抵抗)が安定して低減され素子厚みの小さいコンデンサ素子を製造することができるため、低ESRかつ低背化の求められている積層コンデンサの製造分野において特に有用である。本発明では、カーボンペースト層に対して濡れ性の異なる2種の銀ペーストを用いて、辺(縁)部には濡れ性のより低い組成のものを塗布し、面部には濡れ性のより高い組成のものを塗布すれば、全体として所望の層厚みが得られ、この現象は、第1の被覆層と第2の被覆層を順次形成する積層構造の形成にも広く応用できる。本発明の固体電解コンデンサ及びその製造方法は、辺(縁)部で十分な層厚みを有するとともに面部での層厚みが抑えられた、低ESR(等価直列抵抗)でかつ単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を提供するものである。また、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、及びカーボンペースト層を順次積層した陽極基体を銀ペーストに浸漬する工程と、その陽極基体の辺に銀ペーストを刷毛で塗布する工程を有する製造方法により、銀ペースト層の厚さのバラツキが小さく、従って単位体積当たりの容量が高くかつESRが低いコンデンサを提供することができる。本発明の固体電解コンデンサ及びその製造方法は、ESRが十分低く単位体積当たりの容量の大きい固体電解コンデンサ素子を提供することができる。

Claims (43)

  1. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層の組成または層厚を制御した固体電解コンデンサ素子であって、前記陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層が層厚み6μm以上であって面部を覆う銀ペースト層の層厚みが20μm以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ素子。
  2. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層、およびその陽極基体の面部を覆う銀ペースト層の組成または層厚を制御した固体電解コンデンサ素子であって、表面にカーボンペースト層を有する前記陽極基体上に銀ペースト層を形成するための材料を含む組成としたA液を陽極基体の辺(縁)部に塗布し、前記銀ペースト層を形成するための材料を含みカーボンペースト層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として組成したB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成したことを特徴とする固体電解コンデンサ素子。
  3. 前記A液を陽極基体の辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、陽極基体を前記B液に浸漬することによりB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成した請求項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  4. 陽極基体の下辺(縁)部のみを前記A液に浸漬することにより下辺(縁)部にA液を塗布して乾燥させた後、陽極基体の面部を含めて前記B液に浸漬することによりB液を陽極基体の面部に塗布して積層構造を形成した請求項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  5. 前記B液を陽極基体の面部に塗布して乾燥させた後、陽極基体を前記A液に浸漬することにより陽極基体の辺(縁)部をA液で被覆して積層構造を形成した請求項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  6. カーボンペースト層および銀ペースト層の少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む被覆層である、積層構造を形成した請求項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  7. 陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  8. 陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  9. 弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  10. 表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子を複数個積層してなる積層体を含むことを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
  13. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  14. 陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、およびカーボンペースト層が順次積層された陽極基体の辺(縁)部を覆う銀ペースト層の厚さが10〜200μmである請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。
  15. 陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。
  16. 陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。
  17. 弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。
  18. 表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。
  19. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子において、銀ペーストを組成する水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストが積層されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  20. 水分含有量が0.3質量%以下である請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子。
  21. 陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子。
  22. 陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子。
  23. 弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子。
  24. 表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子。
  25. 表面に第1の被覆層を有する箔片上に第2の被覆層を形成する積層構造の形成方法であって、第2の被覆層を形成するための材料を含むA液を箔片の辺(縁)部に塗布する工程と第2の被覆層を形成するための材料を含み第1の被覆層に対してA液よりも濡れ性の高い液体として形成したB液を箔片の面部に塗布する工程を含むことを特徴とする積層構造の形成方法。
  26. 前記A液を箔片の辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、箔片をB液に浸漬してB液を箔片の面部に塗布する請求項25に記載の積層構造の形成方法。
  27. 箔片の下辺(縁)部のみを前記A液に浸漬して下辺(縁)部に塗布して乾燥させた後、箔片の面部を含めてB液に浸漬してB液を箔片の面部に塗布する請求項26に記載の積層構造の形成方法。
  28. 前記B液を箔片の面部に塗布して乾燥させた後、箔片をA液に浸漬して箔片の辺(縁)部をA液で被覆する請求項25に記載の積層構造の形成方法。
  29. 第1の被覆層および第2の被覆層の少なくともいずれかがフッ素樹脂を含む被覆層である請求項25〜28のいずれか1項に記載の積層構造の形成方法。
  30. 第1の被覆層がカーボンペースト層であり、第2の被覆層がカーボンペースト以外の導電ペースト層である請求項25〜28のいずれか1項に記載の積層構造の形成方法。
  31. 表面の一部に固体電解質層を有する固体電解コンデンサ素子の固体電解質層上にカーボンペースト層および導電ペースト層を順次形成して陰極部とする固体電解コンデンサ素子の製造方法において、カーボンペースト層および導電性ペースト層の積層工程に請求項30に記載の積層構造の形成方法を用いることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  32. 導電ペーストが銀ペーストである請求項31に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  33. 請求項32に記載の方法で製造される固体電解コンデンサ素子。
  34. 請求項33に記載の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサ。
  35. 請求項33に記載の固体電解コンデンサ素子を複数個積層してなる積層体を含むことを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
  36. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層を順次積層させる固体電解コンデンサ素子の製造方法において、水分含有量が0.5質量%以下の銀ペーストを積層させることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  37. 水分含有量が0.3質量%以下である請求項36に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  38. 陽極基体の形状が、平板状の箔、板、または棒状である請求項36に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  39. 陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層が、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層である請求項36に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  40. 弁作用金属がアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金からなる群から選ばれた1種である請求項36に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  41. 表面に酸化被膜層が積層された弁作用金属からなる陽極基体がアルミニウム化成箔である請求項36に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  42. 弁作用金属からなる陽極基体の表面に酸化被膜層、導電性高分子層、カーボンペースト層、および銀ペースト層が順次積層された固体電解コンデンサ素子の積層構造を形成させる銀ペーストであって、水分含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする銀ペースト。
  43. 水分含有量が0.3質量%以下である請求項42に記載の銀ペースト。
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