JP4609828B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。さらに詳しく言えば、誘電体皮膜を有する弁作用金属基板の陽極部を抵抗発熱にて溶接する固体電解コンデンサにおいて、陽極部の溶接不良を改善した固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解コンデンサは、予めエッチング処理し粗面化したアルミニウム、タンタル、チタン等の弁作用金属表面に高密度の均一な誘電体酸化皮膜を形成し、その誘電体酸化皮膜上に、例えば導電性重合体を形成して固体電解質とし、弁作用金属の陽極端子(固体電解質のない金属表面部分)に陽極リード線を接続し、一方、固体電解質に導電性ペーストを介して陰極リード線を接続してなる基本構造を有し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で封止して作製される。
【0003】
上記弁作用金属の中でも、アルミニウムはエッチング処理により容易に表面積を拡大でき、またアルミニウムを陽極とする陽極酸化処理(化成処理)により表面に形成される酸化皮膜が誘電体として利用できるため、他のコンデンサに比べて小型で大容量でかつ安価に製造できる特長があり、アルミニウム固体電解コンデンサとして広く用いられている。
【0004】
アルミニウムのエッチング処理は、一般に塩素イオン等を含む電解液中での電解エッチングにより行なわる。このエッチング処理により表面に多数の細孔が形成され表面積が拡大する。形成される細孔の半径は、印加する電流、時間などによって異なるが、0.05〜1μm程度である。
【0005】
ついで、細孔を含む表面を陽極酸化処理(化成処理)を行い、この化成処理により厚さ0.005〜0.1μm程度の高密度で均一な陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)が形成される。
【0006】
ここで得られたアルミニウム化成基板は固体電解コンデンサの所定の大きさに裁断される。このとき切り口の縁に、はみ出し部分(ばり)が残存するが、通常は、この状態のまま露出したアルミニウム(地金)部分を再化成処理して切り口部に陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)を形成する。
【0007】
その誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成して固体電解質とし、弁作用金属の陽極端子(固体電解質のない金属表面部分)には陽極リード線を抵抗溶接やレーザー照射による接続、カシメ等の接触圧を利用した接続、あるいは導電性接着剤を用いた接合などによって接合される。
【0008】
しかしながら、このような導電性接着剤を用いた接合方法は粘性のある接着剤の塗布に手間がかかり、特に複数枚のコンデンサ素子を積層して接合する場合には施工が煩雑である。また、カシメて機械的に接合する方法は接合部分が小さいものには適さず接合も不安定である。レーザー溶接による接合方法は設備コストが嵩む問題がある。
【0009】
抵抗溶接は、誘電体皮膜の電気抵抗による発熱(抵抗発熱)を利用して溶接部分の金属を溶融して接合する方法であり、アルミニウムなどのように導電性の高い材料ではこの抵抗が小さいために発熱が少なく、しかも熱伝導性がよいので接合部分を十分に溶融することが難しい。さらに、20V未満の低圧用アルミニウム箔においては、アルミニウム高圧箔に比べて得られた誘電体皮膜が薄く、この抵抗値が低いために抵抗発熱し難いので、溶接のよい条件を見つけだすのが難しく、陽極リードとの接続不良の問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような導電性接着剤を用いた接合方法は粘性のある接着剤の塗布に手間がかかり、特に複数枚のコンデンサ素子を積層して接合する場合には施工が煩雑である。また、カシメて機械的に接合する方法は接合部分が小さいものには適さず接合も不安定である。レーザー溶接による接合方法は設備コストが嵩む問題がある。
【0011】
抵抗溶接は、誘電体皮膜の電気抵抗による発熱(抵抗発熱)を利用して溶接部分の金属を溶融して接合する方法であり、アルミニウムなどのように導電性の高い材料ではこの抵抗が小さいために発熱が少なく、しかも熱伝導性がよいので接合部分を十分に溶融することが難しい。さらに、20V未満のアルミニウム低圧箔においては、アルミニウム高圧箔に比べて得られた誘電体皮膜が薄く、この抵抗値が低いために抵抗発熱し難いので、溶接のよい条件を見つけだすのが難しく、陽極リードとの接続不良の問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成して固体電解質とし、同一面上の弁作用金属基板の陽極部と陽極リード線との接続を抵抗溶接によって実施するとき溶接不良が少なく、製造収率が向上する固体電解コンデンサの製造方法、及び製造方法による固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、化成箔の陽極部分の少なくとも一部の表面に、金属酸化物であって電気絶縁性のある無機物の粒子を塗布、噴霧等で付着させた後、電気的エネルギーを用いた抵抗溶接を行うことにより、驚くべきことに、化成箔の陽極部分と陽極リードとの溶着強度が向上してコンデンサの製造収率が向上し、また個々のコンデンサ特性のバラツキが低減することを見出した。
【0014】
すなわち、本発明は以下の固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサを提供するものである。
1.化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
2.化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、2つ以上のコンデンサ素子における陽極部同士の接合部を含む陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
3.化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極部とリードの接合部を含む陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
4.化成処理が、20V未満の電圧で行われる前項1乃至3のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
5.弁作用金属基板が、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ及びそれらの合金から選ばれる1種である前項1乃至4のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
6.弁作用金属基板が、アルミニウム化成箔または化成板である前項1乃至5のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
7.リードフレームが、該表面に弁作用金属よりも融点の低い金属メッキ(低融点金属メッキ)層を有し、このメッキ部分にコンデンサ素子の陽極部を載置する前項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
8.リードフレームが、銅または銅合金系の材料である前項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
9.低融点金属メッキが、ニッケルの下地メッキとスズの表面メッキからなるものである前項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
10.前記金属酸化物粒子が、弁作用金属基板を構成する弁作用金属の金属酸化物粒子であって、電気絶縁性である前項1乃至9のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
11.前記金属酸化物粒子が、弁作用金属基板を構成する弁作用金属の金属酸化物粒子以外であって、電気絶縁性である前項1乃至9のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
12.前記金属酸化物粒子が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ジルコン、マグネシア・スピネル、二酸化ケイ素、及びこれらの複合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である前項1乃至11のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
13.前記金属酸化物粒子が、陽極部の誘電体皮膜表面に厚さ0.1〜500μmの範囲の金属酸化物層として存在する前項1乃至12のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
14.化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を有する単板コンデンサ素子であって、単板コンデンサ素子の陽極部の誘電体皮膜表面とリードフレームとの接合部に金属酸化物を有してなり、該金属酸化物は前記接合部に電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持し、抵抗溶接することにより生成したものである単板コンデンサ素子。
15.前項14に記載の単板コンデンサ素子を2つ以上積層させてなる固体電解コンデンサ。
16.前項1乃至13のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法により得られる固体電解コンデンサ。
17.固体電解質が、π電子共役系重合体を含んだものである前項15または16に記載の固体電解コンデンサ。
18.π電子共役系重合体が、複素五員環化合物から得られた重合体である前項17に記載の固体電解コンデンサ。
19.複素五員環化合物が、ピロール、チオフェン、フラン、イソチアナフテン、1,3−ジヒドロイソチアナフテン及びそれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である前項18に記載の固体電解コンデンサ。
20.複素五員環化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン及び1,3−ジヒドロイソチアナフテンから選ばれた少なくとも1種である前項18に記載の固体電解コンデンサ。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を適宜参照しつつ本発明を詳しく説明する。
[弁作用金属]
本発明の固体電解コンデンサで使用する弁作用金属は、箔または板状であって、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムなどの金属上に誘電体の酸化物層(4)が形成されたものである。弁作用金属では、一方向にのみ電流を通し、逆方向にはほとんど電流を通さないために、いわゆる弁作用を持つ金属と言われる。弁作用金属は、通常陽極酸化皮膜を形成できる材料またそれらの合金材料からなる。このうちアルミニウム箔(板)が経済性に優れているので実用上多く用いられている。
【0016】
以下、弁作用金属としてアルミニウム化成箔を用いたものに基づいて説明する。このアルミニウム化成箔の形状は制限されないが、40〜150μm厚、平板形素子単位として縦横1〜30mm程度の矩形のものが用いられる。好ましくは幅2〜20mm、長さ2〜20mm、より好ましくは幅2〜5mm、長さ2〜6mmである。
【0017】
アルミニウム固体電解コンデンサにおいては、これまで酸化アルミニウムの誘電体皮膜を形成した市販のアルミニウム化成箔を、固体電解コンデンサに求められる所定の形状に切断した後、切断面のアルミニウム地金部分を切り口化成処理する。この切り口化成の条件としては、酸または/及びその塩の電解液、例えばリン酸、シュウ酸、硫酸等の少なくとも1種を含む電解液を用い、その電解液濃度が0.1質量%〜30質量%、温度が0℃〜80℃、電流密度が0.1mA/cm2〜1000mA/cm2、化成時間が100分以内の条件で化成基板の芯部を陽極として定電流化成を行う。さらに好ましくは、電解液濃度が1質量〜20質量%、温度が20℃〜50℃、電流密度が1mA/cm2〜400mA/cm2、化成時間が60分以内の範囲内で条件を選定する。
【0018】
前記の化成条件は電解液の種類、電解液濃度、温度、電流密度、化成時間等の諸条件は前記化成基板表面にすでに形成されている誘電体皮膜を破壊または劣化させない限り、任意に選定することができる。
【0019】
[固体電解質]
本発明ではアルミニウム化成基板上に、固体電解質層(5)として導電性重合体を形成する。
【0020】
本発明の固体電解コンデンサに用いられる固体電解質を形成する導電性重合体は限定されないが、好ましくはπ電子共役系構造を有する導電性重合体、例えばチオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
【0021】
導電性重合体の原料として用いられるモノマーのうち、チオフェン骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えば、Synthetic Metals 誌,1986年,15巻,169 頁)で準備できる。
【0022】
また、例えば、多環状スルフィド骨格を有する化合物としては、例えば、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができ、公知の方法、例えば特開平8-3156号公報(USP5530139号)記載の方法により準備することができる。
【0023】
また、例えば、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体等も使用できる。
【0024】
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物もあり、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
また、ピロール骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げられるが、これらに限られない。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
【0026】
また、フラン骨格を有する化合物としては、例えば、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
【0027】
重合の手法は、電解重合でも、化学酸化重合でも、その組合せでもよい。また、誘電体皮膜上に導電性重合体でない固体電解質をまず形成し、次いで上記の重合方法で導電性重合体を形成する方法でもよい。
【0028】
導電性重合体を形成する例として、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、別々に前後してまたは一緒に誘電体皮膜上に塗布して形成する方法(特開平2-15611 号公報(USP4910645号)や特開平10-32145号公報(USP6229689号))等が利用できる。
【0029】
一般に導電性重合体には、ドーピング能のある化合物(ドーパント)が使用されるが、ドーパントはモノマー溶液と酸化剤溶液のいずれに添加しても良く、ドーパントと酸化剤が同一の化合物になっている有機スルホン酸金属塩の様なものでもよい。ドーパントとしては、好ましくはアリールスルホン酸塩系のドーパントが使用される。例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などの塩を用いることができる。
【0030】
[固体電解コンデンサ]
固体電解質層(5)の上に、陰極リード端子(7)との電気的接触を良くするために好ましくはカーボンペーストや金属粉含有ペースト等の導電ペ一ストやメッキ等により導電体層を設ける(図1,図2)。次いで陰極部(6)に陰極リード端子(7)を接続し、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途の固体電解コンデンサとすることができる。
【0031】
本発明の積層型固体電解コンデンサは、少なくともコンデンサ素子を2枚積層した積層型のコンデンサとして通常用いられる。積層型固体電解コンデンサにおいては、リードフレーム(8)を面取り、つまり稜角の部分を少し平らに削ったり、丸味をつけたりするリードフレーム形状にしてもよい。
【0032】
また、リード端子(7)、(9)の役目をリードフレームの対向する陰極ボンディング部、陽極ボンディング部にもたせたものとして使用してもよい。
【0033】
リードフレームの材料は一般的に使用されるものであれば特に制限はないが、好ましくは銅系(例えばCu−Ni系、Cu−Ag系、Cu−Sn系、Cu−Fe系、Cu−Ni−Ag系、Cu−Ni−Sn系、Cu−Co−P系、Cu−Zn−Mg系、Cu−Sn−Ni−P系合金等)の材料もしくは表面に銅系の材料のメッキ処理を施した材料で構成すればリードフレームの形状の工夫により抵抗の減少、リードフレームの面取り作業性が良好になる等の効果が得られる。
【0034】
リードフレームとしては、陽極リードフレームの接合部分に低融点金属メッキを施したものが好ましいが、この低融点金属メッキは弁作用金属よりも融点の低い金属ないし合金が用いられる。一般にリードフレームへのメッキ材料は銀が中心であり、この他に金やニッケル、銅、スズ、ハンダ(Sn−Pb合金)などが用いられるが、弁作用金属としてアルミニウム化成箔を用いる場合には、アルミニウム(融解温度660℃)よりも融点の低いスズ(融解温度232℃)、亜鉛(融解温度420℃)、ハンダ(6Sn−4Pb)、あるいはその他の低融点合金(fusible alloy)が用いられる。このメッキ層の厚さは弁作用金属とリードフレームとの接合が十分な接合強度を有するように溶融させる厚さであればよく、概ね0.1〜100μm、好ましくは1〜60μmの厚さが適当である。また、下地メッキに表面メッキを被せたものでもよい。
【0035】
このメッキ金属は環境負荷を考えた場合、鉛や鉛化合物の含有量が少ないものが好ましく、その好適な例としてニッケルの下地メッキにスズの表面メッキを施したものが挙げられる。
【0036】
積層型固体電解コンデンサ(10)は、図2に断面図を示す通り、陽極部(2)に接合したリードフレーム(8)にリード端子(9)を接合し、固体電解質層(5)、カーボンペースト層および金属粉含有導電性層からなる陰極部(6)にリード線(7)を接合し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂(11)で封止して得られる。
【0037】
このとき陽極の接続は抵抗発熱にて溶接する。しかし、陽極溶接が前述のような方法による固体電解コンデンサでは収率が安定せずコンデンサ特性にバラツキを生じる。
【0038】
化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を設けてなるコンデンサ素子であって、陽極部(2)はリードフレームと接合する部分であり、この部分の表面には固体電解質は形成されていない。
【0039】
[金属酸化物]
本発明者らは、化成処理により形成された誘電体皮膜を有する弁作用金属に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成するコンデンサの製造方法において、複数のコンデンサ素子陽極基板を接合する際、予め化成箔の陽極部分に電気絶縁性の金属酸化物粒子を塗布または噴霧などの手段で陽極部分の誘電体表面に介在(担持)させて、抵抗溶接することにより、化成箔の陽極部分と陽極リード部分との接着強度が向上してコンデンサの製造収率(「歩留まり」または単に「収率」とも言う。)が向上し、また個々のコンデンサ特性のバラツキが低減することを見出した。
【0040】
固体電解コンデンサの収率が向上する理由は必ずしも明らかではないが、この発明の手法により得られた陽極溶接部分を解析してみると、その陽極溶接部分は電気絶縁性の無機物粒子を化成箔に形成させないで同じ溶接条件を実施したものと比べると、溶接した部分がリード線部と強く接着(溶着)し、また、本発明の陽極溶接方法は収率的に安定して実施することができることが判った。
【0041】
本発明において使用される無機物粒子は、化成箔に塗布、噴霧などの方法で実施できるものであればよく、また、室温で安定して箔表面に存在することができるものであればよく、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム及びそれらの合金などの弁作用金属の酸化物や酸化ケイ素等の材料であってもよい。
【0042】
また、本発明における前記金属酸化物としては、電気絶縁性を有するものであればよく、例えば、Al2O3(アルミナ)、ZrO2(ジルコニア)、TiO2(チタニア)、ZrSiO4(ジルコン)、MgAl2O4(マグネシア・スピネル)、SiO2(二酸化ケイ素)、SiO2−PbO、Al2O3−AlPO4、Na2O3−NaSiO3、SiO2−TiO2−Na2O−B2O3が挙げられる。抵抗発熱によって、溶融する金属酸化物が好ましく、アルミナ(融点1970〜2030℃)、ジルコニア(融点2700〜2850℃)、チタニア(融点1840℃)、ジルコン(融点2550℃)、マグネシア・スピネル(融点2135℃)などは融点があることが知られている。この中でも、特に好ましくはAl2O3(アルミナ)、ZrO2(ジルコニア)、TiO2(チタニア)、ZrSiO4(ジルコン)が用いられる。
【0043】
また、無機物粒子の形状は、必ずしも限定されないが粒子が大きいものは化成箔表層に存在し溶接が不安定になりやすい。そのため無機物粒子はエッチング箔の細孔径より小さい粒径のものを多く含んだものがよく、好ましくはエッチング箔の細孔径よりも小さい粒子径を有するものを60%以上、さらに好ましくは80%以上含まれているものがよい。
【0044】
無機物粒子の平均一次粒径は100μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは2μm以下の範囲の粒子が半分以上含まれているのがよい。
【0045】
化成箔の溶接部分への塗布、噴霧等は粒子の分散液を用いて達成される。化成箔表面は、通常は微細孔に起因して疎水性になっているので水をはじき易く粒子を含む水溶液では濡れにくい場合があり、好ましくは少量の水溶性有機溶剤を用いることができる。この場合、前記水溶性有機溶剤とは水に対して親和性を有する溶媒である。水溶性有機溶剤は特に限定はされないが、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等)、アミド類(N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等)、ピロリジノン類(1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ポリエチレングリコール等)等が挙げられる。これらの中でもメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が濡れ性を改善する上で好ましい。
【0046】
本発明においては、無機物粒子を含む溶剤として水またはこれらの化合物の単独あるいは2種以上を任意の割合で組み合わせた混合液、または水との混合液を使用することができる。
【0047】
分散液濃度は限定するものでないが、金属酸化物が0.05質量%〜60質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜1質量%含まれているとよい。0.05質量%未満では得られる効果の顕現がなく、逆に60質量%を超えると分散が壊れ沈殿物が増え液が不均一になると共に、溶接時に大きな火花が発生し安全上好ましくない。
【0048】
また、分散液には必要に応じて分散剤(例えば、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム、イオン性界面活性剤、水溶性樹脂、非イオン界面活性剤など)などを使用してもよい。あるいはゾル−ゲル法により金属酸化物粒子の表面を化学修飾して、液媒体との親和性、分散性を高めてもよい。
【0049】
この分散液には、必要に応じて、防腐・防かび剤(例えばデヒドロ酢酸ナトリウム等)、防錆剤(例えばチオグリコール酸アンモン等)、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤(例えば低級アルコール、カルビノール類、界面活性剤等)、ノズル乾燥防止剤(例えばグルコノラクトン、ソルビトール等)等を加えてもよい。
【0050】
金属酸化物層を形成するには、刷毛塗り、スクリーン印刷、スポンジ状のものでスタンプするなどの塗布方法、スプレー噴霧法、浸漬等で行うことができる。
これらの中でも好ましいのは、スクリーン印刷、スポンジ状塗布方法、浸漬である。
【0051】
陽極部表面に形成された金属酸化物層は、陽極部全体を被覆していてもよいし一部分でもよく、陽極部と陽極部、または/及び陽極部とリードフレームとの接合が十分な接合強度を有するような領域に金属酸化物層が形成されていればよい。概ね陽極部表面全体の70%以上、好ましくは80%以上が金属酸化物層で被覆されているのが適当である。
【0052】
また、この金属酸化物層の厚さは、陽極部と陽極部、及び/または陽極部とリードフレームとの接合が十分な接合強度を有するような厚さであればよく、概ね0.1〜500μm、好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmの厚さがよい。
【0053】
電気的なエネルギーを用いた抵抗溶接には、スポット溶接、シーム溶接、プロジェクション(突起)溶接、バット溶接、フラッシュバット溶接、高周波抵抗溶接の方法があり、本発明の抵抗溶接は通常の施工手順に従って行うことができる。溶接条件は弁作用金属の種類や箔の形状(厚さ、寸法等)、積層枚数、リードフレームの材質、金属酸化物の種類、金属酸化物の塗布量(噴霧量)などに応じて適宜定められる。一例として銅製のリードフレームを用い、これに約100μmの低圧用アルミニウム箔(定格皮膜耐電圧4Vf)からなるコンデンサ素子を4枚〜8枚積層して接合する場合、コンデンサ型のスポット溶接機では、約2〜8kgの加圧力で電極を接合部分に押し当て、ピーク電流2〜5kA、通電時間1〜10ms、ミドルパルスの印可パターンに従い、約6.5〜11W・sのエネルギーによって溶接することができる。
【0054】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0055】
実施例1
アルミニウム化成箔(日本蓄電器工業株式会社(JCC)製100LJ19B4Vf(商品名))(定格皮膜耐電圧:4Vf)を切断し、先端から二分するように箔の両面および両端にマスキング材(耐熱性樹脂)(3)を約1mm幅に周状に形成した。陰極部(3mm×4mm)(6)と陽極部(2)に分け、この箔の先端側区画部分である陰極部とする側を25℃の5質量%シュウ酸水溶液で120秒間化成し、水洗した。
【0056】
次いで350℃で3分間の熱処理を行った後、電解液としてアジピン酸アンモニウム10質量%水溶液を使用し、温度55℃、電圧4V、電流密度5mA/cm2、通電時間10分の条件で化成した。
【0057】
その後、陰極部を、3,4−エチレンジオキシチオフェンのイソプロピルアルコール溶液1mol/lに浸漬後、2分間放置し、次いで、酸化剤(過硫酸アンモニウム:1.8mol/l)とドーパント(アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム:0.06mol/l)の混合水溶液に浸漬し、45℃、5分間放置することにより酸化的重合を行った。
【0058】
さらにこの含浸工程及び重合工程を全体で25回繰り返し、ドーパントを含む導電性高分子層をアルミニウム箔の誘電体皮膜(4)の微細孔内に形成した。この導電性高分子層を形成したアルミニウム箔を50℃温水中で水洗し、その後100℃で30分乾燥をして固体電解質層(5)を形成した。その上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層して導電体層を形成しコンデンサ素子を得た。
【0059】
陽極部表面に0.1質量%アルミナ(一次粒子径10μm以下の粒子を80%以上含む)(12)分散液(水:メタノール=95:5)を刷毛で塗布し、60秒間乾燥し、アルミナ層(5μm)を形成させた。次に陰極側を銀ペーストで素子を2枚重ねて接合した。このように作製したものを50個用意して、この内25個について陽極部分を抵抗溶接(エネルギー5.5W・s)を施すことにより陽極部を接合した。これらの接合部分の接合状態を調べるため各素子を剥離して顕微鏡観察し、以下の4段階で評価した。
【0060】
◎:箔が破れる、
○:手で引っ張っても剥がれにくい、
△:溶接痕あるが簡単に手で引っ張って剥がれる、
×:溶接痕なし。
【0061】
結果については表1に示したように試験体全てが剥がれにくい状態で評価は○であった。
【0062】
さらに、残りの25個について、陽極側リードフレーム端部面にニッケルを下地メッキし、この上にスズを表面メッキした銅製のリードフレーム(13)にコンデンサ素子が2枚積層されているものの陽極部分(15)をリードフレームのメッキ部分に密着して重ね、この部分に抵抗溶接(エネルギー5.5W・s)を施すことにより陽極部、リードフレームを接合した。次いで、素子全体をモールド用樹脂(エポキシ樹脂)にて封止し、固体電解コンデンサを形成した。このコンデンサを2V,105℃下で1時間エージング処理をした後、静電容量、漏れ電流特性を測定した。
【0063】
25個の試験体について、静電容量の平均値およびそのバラツキ(偏差)を算出し、その結果を表2に示した。
【0064】
漏れ電流特性は、コンデンサに定格電圧(2V)を印加後、1分後の漏れ電流値を測定し、閾(しきい)値を0.03CVとして、この値以下の試験体を合格としLC歩留(%)として評価した。
【0065】
実施例2
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.5質量%アルミナ(アルミナ粒子の特徴は実施例1と同じ)分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0066】
実施例3
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて1質量%ジルコニア(一次粒子径2μm以下の粒子が70%以上含む)分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0067】
実施例4
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて3.0質量%ジルコニア(ジルコニアの特徴は実施例3で用いたものと同じ)分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0068】
実施例5
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.05質量%チタニア(一次粒子径0.5μm以下の粒子が80%以上含む)分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0069】
実施例6
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.2質量%チタニア(チタニアの特徴は実施例5で用いたものと同じ)分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0070】
実施例7
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.2質量%チタニア(チタニアの特徴は実施例5で用いたものと同じ)分散液とし、この時、チタニア分散液を刷毛で塗布する代わりにチタニア分散液中へ陽極部を含浸後、5秒間乾燥させた以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0071】
実施例8
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.2質量%チタニア(チタニアの特徴は実施例5で用いたものと同じ)分散液とし、この時、チタニア分散液を刷毛で塗布する代わりにチタニア分散液中へ陽極部を含浸後、60秒間乾燥させた以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0072】
実施例9
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて0.2質量%チタニア(チタニアの特徴は実施例5で用いたものと同じ)分散液とし、この時、チタニア分散液を刷毛で塗布する代わりにスポンジで印刷し、60秒間乾燥させた以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0073】
実施例10
実施例1において、過硫酸アンモニウムに代えて硫酸第2鉄を、また、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えて1,3−ジヒドロイソチアナフテンとした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0074】
実施例11
実施例1において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてピロールとし、この時、ピロール溶液は含浸後、3℃で5分間乾燥し、さらに酸化剤溶液含浸後、5℃にて10分間重合させた以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0075】
比較例1
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液による塗布を行わない以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0076】
比較例2
実施例1において、0.1質量%アルミナ分散液に代えて1質量%ポリビニルアルコール分散液とした以外は、実施例1と同様に50個のコンデンサ素子を作製させた。これら試験体の評価を実施例1と同様に行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1から、金属酸化物を塗布してから陽極溶接したものは、塗布液の濃度や塗布手段に関わらず接合状態が良く箔が剥れ難くなっていた。
また、表2から、静電容量とそのバラツキ、漏れ電流(LC)を調べた結果、比較例1(塗布なし)、比較例2(ポリビニルアルコール塗布品)の静電容量やLC歩留は金属酸化物を塗布したものと比較して悪くなっていた。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明において、金属酸化物をコンデンサ素子の陽極部に塗布して抵抗溶接したものは、溶接時に発熱溶解し密着性がよくなり、その結果剥れ難くなって樹脂封止等の圧力、熱に対しての抵抗力が高くなりコンデンサの製造収率(歩留まり)が向上し低コストで製造することができる。
【0081】
この方法で得られるコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサの特性は金属酸化物での塗布処理しないものに比べて静電容量が大きく、静電容量の個々のバラツキも少なくなった。
【0082】
また、特に低圧固体電解コンデンサ用アルミニウム化成箔を安定に接合することができるので実用性が高い。
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体電解コンデンサ素子(単板)断面図の一例である。
【図2】本発明の固体電解コンデンサ素子(単板)を積層した積層型固体電解コンデンサの断面図の一例である。
【図3】本発明の積層型固体電解コンデンサ素子(4枚積層)の断面図の一例である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
2 陽極部
3 マスキング
4 誘電体皮膜
5 固体電解質層
6 陰極部
7 陰極リード端子
8 リードフレーム
9 陽極リード端子
10 積層固体電解コンデンサ
11 絶縁性樹脂
12 金属酸化物
13 陽極リードフレーム
14 陰極リードフレーム
15 陽極側端部
16 導電性接着剤
20 積層コンデンサ素子
21 単板コンデンサ素子
Claims (20)
- 化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、2つ以上のコンデンサ素子における陽極部同士の接合部を含む陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を形成し、その上にさらに導電性ペーストを塗布して形成する固体電解コンデンサの製造方法において、陽極部とリードの接合部を含む陽極部の誘電体皮膜表面に、電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持させて抵抗溶接する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 化成処理が、20V未満の電圧で行われる請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 弁作用金属基板が、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ及びそれらの合金から選ばれる1種である請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 弁作用金属基板が、アルミニウム化成箔または化成板である請求項1乃至5のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- リードフレームが、該表面に弁作用金属よりも融点の低い金属メッキ(低融点金属メッキ)層を有し、このメッキ部分にコンデンサ素子の陽極部を載置する請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- リードフレームが、銅または銅合金系の材料である請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 低融点金属メッキが、ニッケルの下地メッキとスズの表面メッキからなるものである請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記金属酸化物粒子が、弁作用金属基板を構成する弁作用金属の金属酸化物粒子であって、電気絶縁性である請求項1乃至9のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記金属酸化物粒子が、弁作用金属基板を構成する弁作用金属の金属酸化物粒子以外であって、電気絶縁性である請求項1乃至9のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記金属酸化物粒子が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ジルコン、マグネシア・スピネル、二酸化ケイ素、及びこれらの複合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至11のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記金属酸化物粒子が、陽極部の誘電体皮膜表面に厚さ0.1〜500μmの範囲の金属酸化物層として存在する請求項1乃至12のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 化成処理して得られた誘電体皮膜を有する弁作用金属基板上に固体電解質を有する単板コンデンサ素子であって、単板コンデンサ素子の陽極部の誘電体皮膜表面とリードフレームとの接合部に金属酸化物を有してなり、該金属酸化物は前記接合部に電気絶縁性を有し平均一次粒径100μm以下である金属酸化物粒子を担持し、抵抗溶接することにより生成したものである単板コンデンサ素子。
- 請求項14に記載の単板コンデンサ素子を2つ以上積層させてなる固体電解コンデンサ。
- 請求項1乃至13のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法により得られる固体電解コンデンサ。
- 固体電解質が、π電子共役系重合体を含んだものである請求項15または16に記載の固体電解コンデンサ。
- π電子共役系重合体が、複素五員環化合物から得られた重合体である請求項17に記載の固体電解コンデンサ。
- 複素五員環化合物が、ピロール、チオフェン、フラン、イソチアナフテン、1,3−ジヒドロイソチアナフテン及びそれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項18に記載の固体電解コンデンサ。
- 複素五員環化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン及び1,3−ジヒドロイソチアナフテンから選ばれた少なくとも1種である請求項18に記載の固体電解コンデンサ。
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