JP3087654B2 - 導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質に導電
性高分子を用いた固体電解コンデンサの製造方法に関
し、特に、導電性高分子層を化学酸化重合法によって形
成する固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、高機能化、高
周波化の要求に伴い、固体電解コンデンサの小型化、高
周波性能の向上が著しい。ところで、固体電解コンデン
サは、例えば次のような製造工程により製造されるもの
である。先ず、一例としてタンタルのような酸化皮膜形
成性金属の微粉末を円柱や角柱のような柱体に成形し、
焼結して、柱体内部に無数の微細空孔(細孔)をもつ、
拡面化されたシンタードペレットを得る。次に、その焼
結体の内表面つまり細孔表面および外表面上に、誘電体
層としての酸化金属(この場合は、酸化タンタルTa2
5 )の皮膜を形成する。皮膜の形成には、陽極酸化な
どが用いられる。次いで、その誘電体酸化皮膜上に固体
電解質層を形成し、更にその固体電解質層上に陰極導体
層を形成する。陰極導体層は、このあと取り付けられる
外部接続用の陰極端子と前述の固体電解質層とを低抵抗
で連結するものであって、例えば銀ペースト層,はんだ
層を積層することによって形成される。このあと、外部
接続用の陰極端子および陽極端子の取付け、モールド樹
脂層などによる封止外装、端子成形を経てコンデンサを
完成する。
【0003】ここで、固体電解コンデンサの固体電解質
には、従来、二酸化マンガンや二酸化鉛などのような無
機半導体が多用されてきたが、それらの物質は抵抗率が
かなり高いため、高周波数領域でのインピーダンスが大
きく、そのようなコンデンサを高周波対応の電子機器に
応用することは困難になりつつある。そこで、抵抗率の
低い導電性高分子を用いた固体電解コンデンサが開発さ
れ、高周波数領域でのインピーダンス特性が改善されて
きた。
【0004】上述の導電性高分子の層を得る方法には、
単量体を電解重合させる方法と化学酸化重合させる方法
とがあり、電解重合法では、例えば、重合性単量体と支
持電解質との混合溶液を電解液として用い、電界を掛け
る方法が知られている。又、化学酸化重合法では、重合
性単量体と酸化剤とを主に液相で混合する方法が知られ
ている。本発明は、上記二つの重合法のうち化学酸化重
合により導電性高分子層を形成する、固体電解コンデン
サの製造方法に関わるものである。
【0005】ところで、化学酸化重合を用いて固体電解
コンデンサを製造する場合、誘電体皮膜の形成までが済
んだコンデンサ素子を、槽内に貯留した酸化剤溶液中に
浸漬させ、酸化剤溶液を誘電体皮膜に付着させた後に単
量体溶液を塗布する方法が、一般的である。単量体溶液
の塗布のときも、槽内に貯留した単量体溶液にコンデン
サ素子を浸す浸漬法が用いられる。ところが、そのよう
な浸漬法を用いた製造方法は、コンデンサ素子を各溶
液中に確実に浸さなければならないことから、大量の溶
液が必要である、酸化剤が付着したコンデンサ素子を
単量体溶液中に浸漬するので、浸漬される側の単量体溶
液に酸化剤が混入して酸化反応が起り、その結果、経時
的な変質いわゆる「溶液汚れ」が生じる、酸化剤溶液
の酸化力が時間の経過に伴い低下する上に、浸漬の繰返
しによって濃度も変化するので、液を頻繁に交換する必
要がある、などの理由で、コストの大幅上昇の原因とな
っている。又、この方法ではコンデンサ素子に対する酸
化剤,単量体の付着量の制御性に乏しく、換言すれば酸
化剤と単量体とのモル比を化学量論的なモル比に厳密に
制御することが困難で、本来期待できる高導電率を再現
性良く得ることできず、コンデンサの電気的特性の安定
性に欠ける。
【0006】このような問題を改善するために、特開平
3ー198315号公報および特開平6ー45197号
公報に開示された技術が発明された。すなわち、単量体
溶液と酸化剤溶液とをそれぞれ別個に調整する、そし
て、化学酸化重合に供する化成箔部分に対し、一定量の
単量体溶液と一定量の酸化剤溶液とを交互に滴下して化
学酸化重合を行わしめ、導電性高分子層を形成するので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の公報記載の化学
酸化重合による導電性高分子層形成方法には、コンデン
サの被覆率(誘電体酸化皮膜の全体面積に占る、導電性
高分子層が形成されている誘電体酸化皮膜の面積の割
合)が小さいという問題がある。
【0008】これは、コンデンサ素子内の細孔が含む空
気や単量体溶液あるいは酸化剤溶液の表面張力が、コン
デンサ素子の外表面に滴下した単量体溶液もしくは酸化
剤溶液がコンデンサ素子内の細孔に浸透するのを阻害
し、誘電体酸化皮膜に導電性高分子層が形成されない部
分が生じるからである。被覆率が小さいと、後に述べる
ように、コンデンサの静電容量値が環境、特に周囲の湿
度によって変化し易く、安定性に欠けるようになる。
【0009】従って本発明は、固体電解質に導電性高分
子を用いる固体電解コンデンサであって、被覆率が高
く、静電容量値の湿度変化に対する安定性に富む固体電
解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0010】本発明の他の目的は、本来の高導電率を示
す導電性高分子を浸漬法によるよりも再現性良く形成
し、コンデンサの特性の製造時のばらつきを減少させる
ことを目的とするものである。
【0011】本発明は更に、導電性高分子層形成の際の
単量体溶液および酸化剤溶液の使用量を浸漬法によるよ
りも少くして、製造コスト削減を可能にすることを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明等は、上記の課題
を解決するため、導電性高分子を固体電解質に用いる固
体電解コンデンサの製造方法について鋭意研究した。そ
の結果、この出願の発明に至った。
【0013】すなわち、本発明の固体電解コンデンサの
製造方法は、酸化皮膜形成性の金属を用いて内部に多数
の微細空孔を含む多孔体を形成する工程と、前記多孔体
を酸化して表面に誘電体としての酸化金属皮膜を形成す
る工程と、前記酸化金属皮膜上に固体電解質層としての
導電性高分子層を化学酸化重合により形成する工程と、
前記導電性高分子層上に陰極導体層を形成する工程と、
外部端子を取り付け外装を施す工程とを含む固体電解コ
ンデンサの製造方法において、前記導電性高分子層の形
成工程が、前記多孔体内の微細空孔表面の酸化金属皮膜
に予め濡れ性の高い液体を付着させる第1の工程と、前
記第1の工程終了後の多孔体に、前記多孔体の空孔体積
以下の量の酸化剤溶液又は単量体溶液を滴下する第2の
工程と、前記第2の工程終了後の多孔体に、前記第2の
工程での酸化剤溶液又は単量体溶液の滴下に対応して、
前記多孔体の空孔体積以下の量の単量体溶液又は酸化剤
溶液を滴下する第3の工程とを含むことを特徴とする。
【0014】滴下する単量体溶液および酸化剤溶液の量
は多孔体の空孔体積以下であることが望ましく、又、重
合反応式により決まる酸化剤と単量体との化学量論的な
モル比に対し、単量体量が1倍から15倍以内であるこ
とが望ましい。
【0015】予め形成する濡れ性の高い物質は種類を選
ばないが、酸化剤、単量体の良溶媒であることが望まし
く、例えば水またはアルコール系溶剤のような有機溶剤
が挙げられる。
【0016】単量体は芳香族系単量体、複素五員環系単
量体であることが望ましく、ピロール、アニリン、チオ
フェン、フラン或いはそれらの誘導体などがある。
【0017】多孔体は焼結体が良いが、箔形状でも良
い。
【0018】本発明によれば、多孔体内の細孔表面の誘
電体酸化皮膜全体に予め付着させておいた濡れ性の高い
物質の溶媒に、後から滴下する反応液が拡散して行くの
で、多孔体内の細孔表面の誘電体酸化皮膜上全体に均一
に反応液が付着する。これにより、被覆率の高い固体電
解コンデンサを製造できる。
【0019】コンデンサ素子への反応液の供給は先端の
細いノズルなどを用いて、滴下により行われる。従っ
て、供給量の制御性に優れ、多孔体の空効体積に見合っ
た必要なだけの反応液を、厳密に化学量論的なモル比で
供給できる。従って、得られた導電性高分子層は化学反
応論によって期待できる高導電性を備え、しかも再現性
は良好である。又、反応液の使用量自体が少くて済む上
に、槽内での反応液の混合や浸漬の繰り返しによる反応
液自体の変質がなく、反溶液を頻繁に交換する必要がな
いので、製造コストを削減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。始めに、図1は、本発明
による固体電解コンデンサの製造方法の製造工程を順に
示す工程フロー図である。又、図2及び図3は、コンデ
ンサの断面を図1の工程順に従って示す図であり、図4
は、完成後のコンデンサの断面を示す図である。以下に
述べる実施の形態では、図1と図2又は図3に示す製造
工程によって、図4に断面図を示すタンタル固体電解コ
ンデンサを製造した。以下、本発明の実施の形態につい
て、幾つかの実施例および比較例に基づき、具体的に説
明する。
【0021】(実施例1)本実施例では、図1に示す工
程フローに基づいて、具体的には図2に示す方法によ
り、タンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0022】先ず、タンタル微粉末を用いて、タンタル
の焼結体2を作製した。この焼結体2は3.2mm×
1.8mm×3.4mmの角柱で、予め一方の端面にタ
ンタルワイヤ製の陽極リード線1が植立されている。空
孔率は70%、空孔体積は12μリットルである。次
に、この焼結体2の内表面、外表面に誘電体皮膜とし
て、酸化タンタル(Ta2 5 )皮膜3を形成した。皮
膜形成は陽極酸化により、リン酸水溶液中で電圧27V
を印加した。この状態のものを、以後、コンデンサ素子
4と呼ぶ。
【0023】次いで、得られたコンデンサ素子4をメタ
ノール中に浸漬し、微細空孔内にメタノールを充填した
(ステップS1A。図2(b))。
【0024】その後、コンデンサ素子をメタノールから
引き上げ、充填したメタノールの一部を乾燥した後、コ
ンデンサ素子に対し酸化剤であるpートルエンスルホン
酸第二鉄メタノール溶液を滴下した(ステップS2)。
pトルエンスルホン酸第二鉄メタノール溶液は濃度40
wt.%で、滴下量はコンデンサ素子1個当り5μリッ
トル(0.45mモル)である。
【0025】次に、溶剤を乾燥させ、引き続きコンデン
サ素子に対し単量体溶液であるピロールを滴下し、乾燥
・重合させたあと、素子をメタノールで洗浄した(ステ
ップS3)。ピロールの滴下量は、コンデンサ素子1個
当り1.5μリットル(0.23mモル)である。尚、
化学反応式で決まる酸化剤とピロールとの化学量論的な
モル比は2:1であり、本実施例におけるモル比は、そ
の値とほぼ一致している。
【0026】上記のステップS1A,S2,S3の操作
を5回繰り返して、酸化タンタル皮膜3上にポリピロー
ル膜5を形成した。
【0027】その後、ポリピロール膜5上に陰極導体層
6を形成し、陽極リード線1に外部陽極端子7を溶接
し、陰極側には導電性接着剤8を用いて外部陰極端子9
を固着したあと、モールド樹脂10で樹脂外装を行い本
実施例のタンタル固体電解コンデンサを得た。
【0028】得られたコンデンサを高温高湿試験に供
し、試験の前後で静電容量値を比較した。試験条件は、
温度65℃,湿度90〜95%RHの雰囲気中に無負荷
で100時間放置するものである。静電容量値は、1k
Hzでの値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前
後での容量値比(試験後の容量値/試験後の容量値)は
1.08で、被覆率が高いことが確認された。通常、コ
ンデンサに高温高湿試験を施すと、試験後の静電容量値
は試験前の容量値に比較し大きくなることが知られてい
る。これは、誘電体酸化皮膜のうち導電性高分子層に覆
われていない部分に水分が吸着して、その部分が容量発
現に寄与するようになることによるものである。このこ
とから、上記の容量値比が小さいほど被覆率が高いと判
断でき、商用コンデンサには製品規格として、容量値比
が1.2以下と規定されている。
【0029】(実施例2)本実施例では、図1に示す工
程フローに基づいて、具体的には図3に示す方法によ
り、タンタル固体電解コンデンサを作製した。すなわ
ち、実施例1におけると同一のコンデンサ素子を用いて
はいるが、そのコンデンサ素子内の細孔にメタノールを
充填する仕方が実施例1とは異っている。本実施例で
は、メタノールの充填(ステップS1B。図3(b))
に際して、メタノールをコンデンサ素子に十分な量だけ
滴下した。
【0030】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.05で、被覆率が高いことが確認され
た。
【0031】(実施例3)本実施例は実施例1に対し、
用いる溶剤をメタノールからイソプロピルアルコールに
変更した点が異っている。他の製造方法および条件は、
実施例1と同一である。
【0032】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.10で、被覆率が高いことが確認され
た。
【0033】(実施例4)本実施例は実施例1に対し、
ステップS3でのピロールの滴下量を4倍の6.0μリ
ットルにした点が異っている。すなわち、酸化剤とピロ
ールとのモル比を、実施例1における2:1から1:2
に変更している。他の製造方法および条件は、実施例1
と同一である。
【0034】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.04で、被覆率が高いことが確認され
た。
【0035】(比較例1)本比較例は実施例1に対し、
コンデンサ素子へのメタノール充填(ステップS1A)
を省いた点が異っている。すなわち、酸化タンタル皮膜
形成済みのコンデンサ素子に直接、酸化剤を滴下した
(ステップS2)。他の製造方法および条件は、実施例
1と同一である。
【0036】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.27で、これまでの実施例に対して被覆
率の悪化が認められた。
【0037】(比較例2)本比較例は実施例1に対し、
製造工程フローは同じとしながら、ステップS2での酸
化剤溶液の滴下量と、ステップS3でのピロールの滴下
量とを増量し、タンタル焼結体の空孔体積より多い量に
した点が異っている。本実施例では、ステップS2での
酸化剤溶液滴下量を15μリットルとし、ステップS3
でのピロール滴下量を4.5μリットルとした。他の製
造方法および条件は、実施例1と同一である。
【0038】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.25で、これまでの実施例に対して被覆
率の悪化が認められた。これは、酸化剤溶液,単量体溶
液の滴下量が空孔体積以上であると、滴下された溶液が
焼結体内の細孔を覆い、細孔内の空気の脱出路を塞ぐこ
とによるものと推測される。
【0039】(実施例5)本実施例は実施例1に対し、
製造工程フローは同じとしながら、ステップS3での単
量体をピロールをチオフェンに変え、そのチオフェンの
滴下量を分子量に従って2μリットルにした点が異って
いる。他の製造方法および条件は、実施例1と同一であ
る。
【0040】得られたコンデンサを実施例1におけると
同一条件での高温高湿試験に供し、試験の前後で静電容
量値を測定した。試験結果を表1に示す。試験前後での
容量値比は1.09で、被覆率の高いことが確認され
た。
【0041】
【表1】
【0042】尚、前述の実施例4において、単量体(ピ
ロール)の滴下量を化学量論的モル比で決まる量の4倍
に増量して被覆率上昇効果を得たが、少くとも15倍ま
で増量しても実施例4と同等の効果が得られることを確
認した。但し、単量体の量が1倍より小さい場合は、被
覆率の悪化が認められた。従って、単量体の滴下量は、
化学量論的モル比で決まる量に対して1倍以上、15倍
以下であることが好ましいと言える。
【0043】尚また、これまでの実施例では、ステップ
S2で酸化剤溶液を付着させた後、ステップS3で単量
体を付着させたが、この工程を入れ替えて、先に単量体
を付着させた後に酸化剤を付着させることによっても、
各実施例と同様の効果が得られることを確認した。
【0044】又、本実施の形態では、単量体にピロール
又はチオフェンを用いたが、単量体はそれらに限らず、
π共役系分子であれば良い。但し、ピロール,アニリ
ン,チオフェン,Nーメチルピロール,フランなどのよ
うな芳香族系、複素五員環系の単量体が、耐熱性に富み
適当であろう。濡れ性の高い物質としてメタノール又は
イソプロピルアルコールを用いたが、それらに限られる
ものではない。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、誘電
体酸化皮膜が形成された多孔体内の微細空孔表面に、反
応液の付着に先き立って予め、濡れ性の高い物質を付着
させている。従って、多孔体の外表面に滴下された反応
液はその濡れ性の高い物質の溶媒中を拡散し、多孔体内
部の微細空孔表面全体に付着する。これにより本発明に
よれば、被覆率を向上させて、周囲の湿度変化に対して
も容量値の変化のない、対環境性に優れた固体電解コン
デンサを提供できる。
【0046】又、本発明では、酸化剤溶液,単量体溶液
の供給を滴下により行う。従って、各溶液付着量制御が
容易で、酸化剤,単量体のモル比を化学量論的モル比に
厳密にしかも再現性良く制御できる。これにより本発明
によれば、化学量論から期待される本来の高導電率を持
つ導電性高分子を再現性良く形成できるので、コンデン
サの電気的特性の製造時のばらつきを減少できる。
【0047】しかも、反応液はこれを多孔体の空孔体積
に見合う量だけを滴下するので、槽内に貯留されている
反応液中にコンデンサ素子を浸す従来の製造方法に比
べ、反応液の使用量を削減し、製造コストを低減でき
る。
【0048】又、反応液槽中で酸化剤と単量体とが混合
することによる単量体の変質や浸漬の繰返しによる酸化
力の低下がないので、反応液交換の頻度が減り、この点
でも製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの製造方法の
製造工程フロー図である。
【図2】本発明の実施の形態によるコンデンサの断面
を、製造工程順に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態によるコンデンサの断面
を、製造工程順に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態によるタンタル固体電解コ
ンデンサの断面図である。
【符号の説明】
1 陽極リード線 2 タンタル焼結体 3 酸化タンタル皮膜 4 コンデンサ素子 5 ポリピロール膜 6 陰極導体層 7 外部陽極端子 8 導電性接着剤 9 外部陰極端子 10 モールド樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/028

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化皮膜形成性の金属を用いて内部に多
    数の微細空孔を含む多孔体を形成する工程と、前記多孔
    体を酸化して表面に誘電体としての酸化金属皮膜を形成
    する工程と、前記酸化金属皮膜上に固体電解質層として
    の導電性高分子層を化学酸化重合により形成する工程
    と、前記導電性高分子層上に陰極導体層を形成する工程
    と、外部端子を取り付け外装を施す工程とを含む固体電
    解コンデンサの製造方法において、前記導電性高分子層
    の形成工程が、 前記多孔体内の微細空孔表面の酸化金属皮膜に予め濡れ
    性の高い液体を付着させる第1の工程と、 前記第1の工程終了後の多孔体に、前記多孔体の空孔体
    積以下の量の酸化剤溶液又は単量体溶液を滴下する第2
    の工程と、 前記第2の工程終了後の多孔体に、前記第2の工程での
    酸化剤溶液又は単量体溶液の滴下に対応して、前記多孔
    体の空孔体積以下の量の単量体溶液又は酸化剤溶液を滴
    下する第3の工程とを含むことを特徴とする固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記導電性高分子層形成の第2の工程及び第3の工程で
    滴下する酸化剤溶液量及び単量体溶液量が、重合反応式
    で化学量論的に決るモル比に対して単量体溶液量が1倍
    以上、15倍以下の範囲となるような量であることを特
    徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記導電性高分子層形成の第1の工程で、前記濡れ性の
    高い液体を付着させるに際して、前記酸化金属皮膜形成
    後の多孔体を、槽内に貯留した前記濡れ性の高い液体中
    に浸漬させることを特徴とする固体電解コンデンサの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記導電性高分子層形成の第1の工程で、前記濡れ性の
    高い液体を付着させるに際して、前記酸化金属皮膜形成
    後の多孔体に、前記濡れ性の高い液体を滴下することを
    特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記導電性高分子層形成の第1の工程で、前記濡れ性の
    高い液体として水及び有機溶剤のいずれかを用いること
    を特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記導電性高分子層形成の第1の工程で、前記有機溶剤
    としてアルコール類を用いることを特徴とする固体電解
    コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 単量体として、芳香族系単量体及び複素五員環系単量体
    のいずれかを用いることを特徴とする固体電解コンデン
    サの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記単量体として、ピロール,アニリン,チオフェン,
    フラン及びそれらの誘導体のいずれかを用いることを特
    徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記多孔体として、前記酸化皮膜形成性金属の微粉末の
    焼結体を用いることを特徴とする固体電解コンデンサの
    製造方法。
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