<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、まず、図1により画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10内に、給紙ユニット30と、4つの露光ユニット40と、4つの画像形成ユニット50と、転写ユニット60と、定着ユニット70とを主に備えている。
本体筐体10の上部には、本体筐体10から排出された用紙Sが載置・積層される排紙トレイ12が設けられている。
給紙ユニット30は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
露光ユニット40は、感光体の一例としての感光体ドラム101に対向して配置され、先端に図示しない複数の発光部(LED)が感光体ドラム101の軸方向(左右方向)に配列されている。この露光ユニット40は、画像データに基づいて発光部を明滅させることで、感光体ドラム101の表面を露光する。
画像形成ユニット50は、給紙ユニット30の上方で前後に並んで配置され、感光体ユニット100と、現像ユニット200とを備えて構成されている。
感光体ユニット100は、後述する中間転写ベルト63と接する感光体ドラム101と、感光体ドラム101の表面を一様に帯電させる帯電器102とを主に備えている。
現像ユニット200は、感光体ドラム101に対して所定濃度の現像液DLを供給する装置である。ここで、現像液DLは、パラフィンオイルやシリコーンオイルなどの不揮発性のキャリア液に、エポキシやポリエステルなどの樹脂や顔料および荷電制御剤からなるトナー粒子(現像剤)を混合させることで生成されている。また、「濃度」とは、現像液DL中におけるトナー粒子の濃度、すなわち固形分濃度を意味する。
そして、各現像ユニット200は、その内部で収容する現像液DL中のトナー粒子の色が相違するのみであり、略同一の構造となっている。なお、この現像ユニット200は、後述する現像液リサイクル装置RMの一部を兼ねるため、詳細な構造は後で説明する。
転写ユニット60は、画像形成ユニット50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光体ドラム101と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを主に備えている。
このような画像形成ユニット50および転写ユニット60では、感光体ドラム101の表面が、帯電器102により一様に帯電された後、露光ユニット40によって露光されることで、感光体ドラム101上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ユニット200から感光体ドラム101の静電潜像に現像液DL中のトナー粒子が供給される。
これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム101上にトナー像が形成される。各感光体ドラム101上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
定着ユニット70は、転写ユニット60の後側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72と、定着後の用紙Sを本体筐体10の外部に排出する排出ローラ73とを備えている。定着ユニット70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着され、排出ローラ73によって本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ12上に載置・積層される。
<現像液リサイクル装置の構造>
次に、図2を参照して現像液リサイクル装置RMについて説明する。
図2に示すように、現像液リサイクル装置RMは、現像ユニット200、回収手段の一例としての回収装置300、濃度調整容器310、キャリア液タンク320、高濃度タンク330、一時貯留タンク340、退避部の一例としての退避タンク360および制御装置350を主に備えている。
現像ユニット200は、貯留容器201と、供給手段の一例としての供給ローラ202および中間ローラ203と、現像液担持体の一例としての現像ローラ204とを主に備えている。ここで、貯留容器201と一時貯留タンク340は、貯留部の一例である。
貯留容器201は、現像(現像ローラ204から感光体ドラム101へのトナー粒子の供給)に使用される所定濃度の現像液DLを貯留する容器であり、供給ローラ202による現像液DLの汲み上げを良好にするべく、浅めに形成されている。
すなわち、貯留容器201を深め(底面が供給ローラ202から大きく離れるように)に形成した場合には、供給ローラ202よりも下にある現像液DLの量が多くなってしまい、供給ローラ202に現像液DLを汲み上げて送る他のローラを追加する必要がある。これに対し、本実施形態のように供給ローラ202に近接した位置に底面が位置するように貯留容器201を浅めに形成することで、他のローラを追加することなく供給ローラ202で現像液DLの汲み上げを良好に行うことが可能となっている。
そして、この貯留容器201には、その内部の現像液DLの液量が常に所定範囲内に収まるように、2つの液量センサE1,E2が設けられている。具体的には、一方の液量センサE1では、前記所定範囲の下限値に相当する液量を検知し、他方の液量センサE2では、前記所定範囲の上限値に相当する液量を検知している。
なお、本実施形態では、液量センサE1,E2(後述する他の液量センサも同様)として、発光部E11,E21から出射した光を受光部E12,E22で受光するか否かで液面の位置が所定位置よりも下に位置するか否かを検出するセンサを用いることとする。すなわち、この液量センサでは、光を受光している間はON信号を制御装置350に出力し、光が現像液DLで遮断されているときにはOFF信号を制御装置350に出力する。そして、この制御装置350は、OFF信号を受信しているときには液面の位置が所定位置以上の位置に位置すると判断し、ON信号を受信しているときには液面の位置が所定位置よりも下に位置すると判断する。また、液量センサE1,E2は、発光部E11,E21から受光部E12,E22へ出射される光がローラや軸その他の部材で遮られないように、ローラや軸その他の部材を避けた位置に設けられている。
供給ローラ202は、貯留容器201内の現像液DLを表面で担持する金属製のローラである。この供給ローラ202は、その一部(下部)が貯留容器201内の現像液DL中に浸かった状態で回転することで、表面で担持した現像液DLを上方の中間ローラ203に汲み上げるように搬送する。
中間ローラ203は、供給ローラ202から送られてくる現像液DLを表面に形成された溝内で担持する金属製のローラであり、供給ローラ202との間に所定の小さな隙間を空けて配置されている。そして、前述した供給ローラ202から中間ローラ203上に供給された現像液DLは、中間ローラ203の回転により金属製の液量規制ブレード205に到達すると、この液量規制ブレード205で一部すりきられて一定の液量に規制され、その後現像ローラ204に供給される。なお、液量規制ブレード205ですりきられた現像液DLは、重力により貯留容器201に戻される。
現像ローラ204は、中間ローラ203から送られてくる現像液DLを表面で担持するローラであり、導電性を有するウレタンゴムで形成されている。この現像ローラ204は、中間ローラ203に圧接された状態で回転することで、中間ローラ203から供給された現像液DLを感光体ドラム101に搬送する。
なお、この現像ローラ204上の現像液DLは、中間ローラ203から感光体ドラム101に搬送されるまでの間に、コンパクション用帯電器206から電界が印加されることによって、そのトナー粒子が現像ローラ204上に押し付けられる(凝集される)。その後、現像ローラ204上の現像液DLが感光体ドラム101に到達すると、感光体ドラム101上に形成された静電潜像に現像液DL中のトナー粒子が移動するとともに、現像液DL中のキャリア液の一部も感光体ドラム101に付着する。なお、静電潜像の無い領域(非画像部)では、コンパクションの効果(コンパクション用帯電器206による効果)によりトナー粒子が現像ローラ204上に残り、主にキャリア液が現像ローラ204から感光体ドラム101に付着する。
そのため、感光体ドラム101上に形成される静電潜像の面積率が大きい場合には、多くのトナー粒子が移動することで、回収装置300で回収される現像液DLの濃度は薄く、かつ、その量も少なくなる。これに対し、静電潜像の面積率が小さい場合には、トナー粒子の移動量が少なくなることで、回収装置300で回収される現像液DLの濃度は濃く、かつ、その量も多くなる。
回収装置300は、回収ブレード301、受け皿部302、回収タンク303および2つのポンプP5,P6を備えて構成されている。
回収ブレード301は、現像ローラ204の表面に摺接しており、感光体ドラム101に供給されずに現像ローラ204上に残った現像液DLを受け皿部302に掻き落としている。
受け皿部302は、回収ブレード301で掻き取った現像液DLを一時的に貯留する液溜め部であり、配管T1を介して回収タンク303と連通している。そして、配管T1には、受け皿部302から回収タンク303への現像液DLの送液またはその送液の停止を行うポンプP5が設けられている。
なお、本実施形態では、現像液DLが溜まる各液溜め部に対して、便宜上、受け皿部、容器およびタンクの名称を付けているが、これらの各液溜め部は、1つの容器として形成されていてもよいし、本体筐体10等のフレームの一部として形成されていてもよい。
回収タンク303は、受け皿部302から送られてくる現像液DLを一時的に貯留しておくタンクであり、配管T2を介して濃度調整容器310と連通している。そして、配管T2には、回収タンク303から濃度調整容器310への現像液DLの送液またはその送液の停止を行うポンプP6が設けられている。
濃度調整容器310は、前述した回収装置300で回収した現像液DLの濃度調整を行うための容器である。この濃度調整容器310には、現像液DLを撹拌するための撹拌翼311と、撹拌翼311を回転させているときに撹拌翼311の回転軸に加わるトルクを検出するトルクセンサFEと、現像液DLの温度を検出する温度センサTEと、現像液DLの液量を検出する調整容器液量センサCEとが設けられている。
そして、この濃度調整容器310では、現像液DLが所定量であるときに、撹拌翼311を回転させ、そのときのトルクと温度を検出することで、現像液DLの濃度が検出されるようになっている。撹拌翼の回転軸にかかる負荷トルクは、現像液の粘度により変動する。現像液の濃度は粘度と相関があり、濃度が高くなるほど粘度は上がる。また、現像液濃度と負荷トルクの相関は、温度と液量で変動する。所定液量において、各温度における相関データから現像液濃度を算出する。すなわち、本実施形態では、前述した撹拌翼311、トルクセンサFE、温度センサTEおよび調整容器液量センサCE(発光部CE1および受光部CE2)によって、濃度センサが構成されている。
キャリア液タンク320は、キャリア液CLを収容するタンクであり、配管T3を介して濃度調整容器310と連通している。そして、配管T3には、キャリア液タンク320から濃度調整容器310へのキャリア液CLの送液またはその送液の停止を行う第2送液手段の一例としての第2ポンプP2が設けられている。
高濃度タンク330は、現像に使用される所定濃度の現像液DLよりも高濃度の現像液DL(以下、「原液NL」ともいう。)を収容するタンクであり、配管T4を介して濃度調整容器310と連通している。そして、配管T4には、高濃度タンク330から濃度調整容器310への原液NLの送液またはその送液の停止を行う第3送液手段の一例としての第3ポンプP3が設けられている。
一時貯留タンク340は、濃度調整容器310から送られてくる所定濃度の現像液DLを一時的に貯留するタンクであり、配管T5を介して濃度調整容器310に連通するとともに、配管T6を介して貯留容器201に連通している。そして、配管T5には、濃度調整容器310から一時貯留タンク340への現像液DLの送液またはその送液の停止を行う第1送液手段の一例としての第1ポンプP1が設けられている。
また、配管T6には、一時貯留タンク340から貯留容器201への現像液DLの送液またはその送液の停止を行う第4送液手段の一例としての第4ポンプP4が設けられている。さらに、一時貯留タンク340には、その内部の現像液DLの液量を検出する貯留部液量センサRE(発光部RE1および受光部RE2)が設けられている。
退避タンク360は、濃度調整容器310から送られてくる現像液DLを収容(貯留)するタンクであり、配管T7,T8を介して濃度調整容器310に連通している。そして、配管T7には、濃度調整容器310内の現像液DLを退避させるように送液を行う退避用送液手段の一例としての退避用ポンプP7が設けられ、配管T8には、退避タンク360内の現像液DLを濃度調整容器310に戻すための戻し用送液手段の一例としての戻し用ポンプP8が設けられている。
制御装置350は、CPU、ROM、RAM、通信機器などの公知のハードウェアを有しており、ROMに記憶しているプログラムや前述した各液量センサE1,E2,CE,REからの信号に基づいて各ポンプP1〜P8の制御を実行する。具体的に、この制御装置350は、主に、カラープリンタ1の電源ON中において図3に示すフローチャートを繰り返し実行し、電源OFFの状態から電源が入れられたときには図5に示すフローチャートを、図3に示すフローチャートよりも先に実行する。
図3に示すように、制御装置350は、まず、貯留部液量センサREからの信号に基づいて、一時貯留タンク340内の液量Lrが所定値L1以下になったか否かを判断する(S1)。具体的には、制御装置350は、貯留部液量センサREからON信号が出力されたか否かで、液量Lrが所定値L1以下になったか否かを判断する(S1)。
そして、図4(a)に示すように、一時貯留タンク340内の現像液DLの液面が所定位置よりも下に下がることで貯留部液量センサREからON信号が出力されると、制御装置350は、ステップS1において液量Lrが所定値L1以下になったと判断する(Yes)。その後、制御装置350は、ポンプP6を停止することで、濃度調整容器310内への現像液DLの回収を停止させる(S2)。
ステップS2の後、制御装置350は、図4(b)に示すように、第3ポンプP3の駆動を開始することで、高濃度タンク330から濃度調整容器310への原液NLの送液(注ぎ足し)を開始する(S3)。ステップS3の後、制御装置350は、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて、濃度調整容器310内の液量Lcが所定量L2になったか否かを判断する(S4)。具体的には、制御装置350は、調整容器液量センサCEからOFF信号が出力されたか否かで、液量Lcが所定量L2になったか否かを判断する(S4)。
ステップS4において液量Lcが所定量L2になった場合には(Yes)、制御装置350は、第3ポンプP3を停止することで、原液NLの注ぎ足しを停止させる(S5)。ステップS5の後、制御装置350は、撹拌翼311を回転させるとともに、トルクセンサFEおよび温度センサTEで、そのときのトルクと温度を検出することで、濃度調整容器310内の現像液DLの濃度を検出する(S6:濃度検出動作)。
ステップS6の後、制御装置350は、図4(c)に示すように、検出した濃度に基づいて第2ポンプP2および第3ポンプP3の少なくとも一方を制御することで濃度調整容器310内の現像液DLを所定濃度に調整する(S7:濃度調整動作)。すなわち、制御装置350は、検出した濃度が所定濃度よりも薄ければ、第3ポンプP3を駆動して原液NLを注ぎ足し、検出した濃度が所定濃度よりも濃ければ、第2ポンプP2を駆動してキャリア液CLを注ぎ足す。なお、原液NLおよびキャリア液CLのいずれか一方の供給によって現像液DLの濃度を所定濃度にすることはできるが、濃度調整容器310内の液量が所望する量に満たない場合には、第2ポンプP2および第3ポンプP3の両方を制御して原液NLとキャリア液CLとを所定の割合で供給すればよい。
ステップS7の後、制御装置350は、図4(d)に示すように、第1ポンプP1を制御することで、濃度調整容器310内にて所定濃度に調整された現像液DLをすべて一時貯留タンク340に送る(S8:補給動作)。
ステップS8の後(第1ポンプP1の駆動を停止した後)、制御装置350は、退避タンク360内に現像液が存在するか否かを判断する(S81)。ここで、退避タンク360内に現像液が存在するか否かの判断は、例えば、退避タンク360内の液量を検出する液量センサを設け、この液量センサからの信号に基づいて行ってもよい。また、退避用ポンプP7を駆動させた後の戻し用ポンプP8の駆動回数をカウントし、その駆動回数が所定回数未満の場合には現像液DLが存在すると判断し、所定回数以上の場合には退避タンク360内が空であると判断してもよい。
ステップS81において現像液DLが存在すると判断したときには(Yes)、制御装置350は、戻し用ポンプP8を制御することで、退避タンク360内の現像液DLを所定量L2よりも少ない量L3だけ濃度調整容器310に戻す(S82)。そして、ステップS82の後や、ステップS81でNoと判断したときには、制御装置350は、2つのポンプP5,P6の双方を駆動させることで、現像液DLの回収を再開(S9)して、本制御を終了する。
なお、制御装置350は、前述のフローチャートに従った制御とは別に、貯留容器201内の液量が少なくなったら、第4ポンプP4を駆動することで、一時貯留タンク340内の現像液DLを貯留容器201に注ぎ足す制御も行っている。すなわち、制御装置350は、液量センサE1からの信号に基づいて、貯留容器201内の液量が前述した下限値以下となったか否かを判断し、下限値以下となった場合に第4ポンプP4を駆動して一時貯留タンク340内の現像液DLを貯留容器201に送る。その後、液量センサE2からの信号に基づいて、貯留容器201内の液量が前述した上限値以上になったか否かを判断し、上限値以上となった場合に第4ポンプP4を停止して現像液DLの供給を停止させる。
そして、このように前述のフローチャートに従った制御とは別に一時貯留タンク340内の現像液DLを貯留容器201に注ぎ足す制御が行われることにより、図4(a)〜(c)の間、一時貯留タンク340内の現像液DLは、徐々に減っていく。そのため、濃度検出動作を開始する前に、一時貯留タンク340に残しておく現像液DLの量(ステップS1の所定値L1)は、貯留部液量センサREで現像液DLの量が所定値L1になったと検知してから(S1;Yes)、補給動作(S8)が開始されるまでの時間の間に現像ユニット200で消費される現像液DLの量よりも多い量に設定しておく。
図5に示すように、制御装置350は、電源OFFの状態から電源が入れられたときには(START)、まず、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて、濃度調整容器310内の液量Lcが所定量L2以上であるか否かを判断する(S11)。ステップS11において液量Lcが所定量L2に満たない場合には(No)、制御装置350は、そのまま本制御を終了する。なお、このように液量Lcが所定量L2に満たない場合には、前述した図3のフローチャートに従った制御により、所定量L2に満たない現像液DLに原液NLが注ぎ足されることで(S3〜S5)、濃度検出を行うことが可能となっている。
一方、ステップS11において液量Lcが所定量L2以上であると判断した場合には(Yes)、図6(a),(b)の順で示すように、制御装置350は、退避用ポンプP7を制御して濃度調整容器310内の現像液DLをすべて退避タンク360に退避させる(S12)。ステップS12の後、制御装置350は、図7(a)に示すように、第2ポンプP2および第3ポンプP3を制御することで濃度調整容器310内に所定濃度の現像液DLを生成する(S13)。
ステップS13の後、制御装置350は、図7(b)に示すように、第1ポンプP1を制御することで濃度調整容器310内の所定濃度の現像液DLをすべて一時貯留タンク340に送る(S14)。ステップS14の後、制御装置350は、戻し用ポンプP8を制御することで、退避タンク360内の現像液DLを所定量L2よりも少ない量L3だけ濃度調整容器310に戻して(S15)、本制御を終了する。
以上のように構成される現像液リサイクル装置RMでは、図4(c)に示すような濃度調整中に電源が切られることで、図6(a)に示すように、濃度不明な現像液DLが所定量L2以上残った場合であっても、再度電源を入れたときには、図6(b)に示すように、濃度調整容器310内の現像液DLがすべて退避タンク360に退避する。その後は、図7(a),(b)に示すように、濃度調整容器310内で所定濃度の現像液DLが新たに生成された後、一時貯留タンク340内に補給される。
そして、補給後は、退避タンク360から濃度調整容器310に濃度不明な現像液DLが所定量L2よりも少ない量L3だけ送られる。その後は、回収装置300によって濃度調整容器310に回収されてくる現像液DLが、濃度調整容器310内に溜まっている現像液DLに混ざることとなる。
そして、図4(a)に示すように、一時貯留タンク340内の液量Lrが所定値L1以下になった場合には、図4(b)〜(d)に示すように、前述した原液NLの注ぎ足し、現像液DLの濃度検出、濃度調整および補給が行われる。そして、この補給後において、図7(b)に示すように、退避タンク360に現像液DLが残っている場合には、退避タンク360から現像液DLが液量L3だけ濃度調整容器310に送られる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
濃度調整中に電源が切られて濃度調整容器310内に所定量L2以上の現像液DLが残った場合でも、再度電源が入ったときには濃度調整容器310内の現像液DLがすべて退避されて、濃度調整容器310内で新たに所定濃度の現像液DLを生成することが可能となるので、その後のリサイクルを良好に行うことができる。
濃度調整容器310内の現像液DLをすべて退避タンク360に退避させた後、第2ポンプP2および第3ポンプP3を制御することで濃度調整容器310内に所定濃度の現像液DLを生成したので、濃度検出を行わない分だけ、電源ONしてから補給までの時間を短くすることができる。
退避タンク360内の現像液DLを濃度調整容器310内に戻せるように構成したので、退避させた現像液DLを有効活用することができる。
一時貯留タンク340内の液量Lrが所定値L1以下になった場合には(S1;Yes)、濃度検出動作、濃度調整動作および補給動作(S6〜S8)が実行されるので、一時貯留タンク340内が空になる前に一時貯留タンク340内に所定濃度の現像液DLを補給することができる。また、このように、現像液DLを簡略な制御で補給することができる。また、一時貯留タンク340内の液量Lrを貯留部液量センサREで監視することで、一時貯留タンク340の容量を最小限に抑えることができるので、装置の小型化も図ることができる。
貯留部を2つの容器(貯留容器201と一時貯留タンク340)で構成したので、一方の貯留容器201を浅めに形成して供給ローラ202での現像液DLの汲み上げを良好に行うことができる。また、他方の一時貯留タンク340の容量を大きくして、濃度調整容器310からの現像液DLの補給動作の頻度を少なくすることができる。
なお、原液NLの送液開始(S3)時点で、回収された現像液DLの回収量が少なく、所定の量L2になるまでに多くの液を追加しなければならない場合は、印字面積率が大きい場合である。このとき、現像液DLの濃度は、所定濃度より薄くなっている。そのため、前記実施形態のように濃度調整容器310内に原液NLを供給することで、キャリア液CLを供給するのに比べて、所定濃度に近付けることができる。印字面積率が小さい場合は、回収された現像液DLの回収量が多い。このとき、現像液DLの濃度は、所定濃度より濃くなっているが、ステップS3で追加する原液NLの量は少ないので、濃度調整容器内の現像液の濃度変化に与える影響は少ない。この結果、濃度検出後の濃度調整に要する現像液(原液NL・キャリア液CL)の量が不要に多くなるのを防止できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、濃度調整容器310内の現像液DLをすべて退避タンク360に退避させたが、本発明はこれに限定されず、濃度調整容器310内の現像液DLの一部を退避タンク360に退避させてもよい。具体的には、例えば、図8(a),(b)に示すように、濃度調整容器310内の現像液DLが所定量L2より少なくなるまで現像液DLの一部を退避タンク360に退避させてもよい。
ここで、濃度調整中に電源が切られたときに濃度調整容器310内に残る現像液DLの量の範囲は、実験やシミュレーション等で求めることができる。そのため、実験等で求めた所定範囲で変動する現像液DLの最大量に基づいて、退避タンク360に退避させるべき現像液DLの量を決めれば、一定量の現像液DLを退避させることで濃度調整容器310内の液量が確実に所定量L2を下回ることになる。
なお、このような制御を行うには、前記実施形態で示した図5のフローチャートの代わりに、図9のフローチャートに従った制御を行えばよい。すなわち、図9に示すように、制御装置は、電源OFFの状態から電源が入れられたときには(START)、まず、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて、濃度調整容器310内の液量Lcが所定量L2以上であるか否かを判断する(S21)。ステップS21において液量Lcが所定量L2に満たない場合には(No)、制御装置は、そのまま本制御を終了する。
一方、ステップS21において液量Lcが所定量L2以上であると判断した場合には(Yes)、図8(a),(b)の順で示すように、制御装置は、退避用ポンプP7を所定時間だけ駆動して濃度調整容器310内の現像液DLの一部を退避タンク360に退避させる(S22)。これにより、濃度調整容器310内の現像液DLは、所定量L2より少なくなる。
ステップS22の後(濃度調整容器310内の現像液DLが所定量L2よりも少なくなった後)、制御装置は、前記実施形態と同様のステップS3〜S9の処理を行う。これにより、図4(a)〜(d)に示すように、原液NLの注ぎ足し、現像液DLの濃度検出、濃度調整および補給が行われるので、一時貯留タンク340内に所定濃度の現像液DLを確実に補給して、リサイクルを良好に行うことができる。
また、例えば、図10(a),(b)に示すように、濃度調整容器310内の現像液DLがちょうど所定量L2になるまで現像液DLの一部を退避タンク360に退避させてもよい。つまり、濃度調整容器310内の余剰分の現像液DL(所定量L2を超えている分の現像液DL)を退避させることで、濃度調整容器310内の現像液DLを所定量L2にしてもよい。
この場合は、図10(a),(b)に示すように、例えば、調整容器液量センサCEで検出する液面よりも僅か上方に位置する液面を検出する退避用センサBE(調整容器液量センサCEと同一構造の液量センサ)を設けることで、濃度調整容器310内で徐々に減っていく現像液DLを所定量L2で止めることができる。具体的には、電源が入ったときに退避用センサBEから出射する光の光路よりも上方に液面が位置する場合には、退避用ポンプP7を駆動させることで濃度調整容器310内の現像液DLを徐々に退避させていくと、調整容器液量センサCEがONになる前に、退避用センサBEがONになる。
そのため、退避用センサBEがONになったときに退避用ポンプP7を止めれば、濃度調整容器310内の現像液DLを所定量L2にすることが可能となる。すなわち、退避用センサBEのON時から実際に退避用ポンプP7が止まるまでには、多少のタイムラグがあるため、このタイムラグを考慮した位置に退避用センサBEを配置することで、濃度調整容器310内の現像液DLを所定量L2で止めることができる。
なお、退避用センサBEの位置は、実験やシミュレーション等により適宜決めることができる。また、電源が入ったときに退避用センサBEの光路と調整容器液量センサCEの光路の間に液面が位置する場合には、液量が略所定量L2であると考えることができるので、退避用ポンプP7を停止したままにするか、一瞬だけ駆動させることで、濃度調整容器310内の現像液DLを所定量L2とすることができる。
そして、このような制御を行うには、前述した図9のフローチャートの代わりに、図11のフローチャートに従った制御を行えばよい。すなわち、図11に示すように、制御装置は、電源OFFの状態から電源が入れられたときには(START)、まず、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて、濃度調整容器310内の液量Lcが所定量L2以上であるか否かを判断する(S21)。ステップS21において液量Lcが所定量L2に満たない場合には(No)、制御装置は、そのまま本制御を終了する。
一方、ステップS21において液量Lcが所定量L2以上であると判断した場合には(Yes)、図10(a),(b)の順で示すように、制御装置は、退避用センサBEからのON信号に基づいて退避用ポンプP7を制御して濃度調整容器310内の現像液DLの一部(余剰分)を退避タンク360に退避させる(S22’)。これにより、濃度調整容器310内の現像液DLは、所定量L2となる。
そして、このように濃度調整容器310内の現像液DLが所定量L2となることで、前述した原液NLを所定量L2まで注ぎ足す制御(S3〜S5)が不要となるので、それ以後は、ステップS6〜S9の処理を行えば、濃度検出、濃度調整および補給が行われる。すなわち、図11の形態では、現像液DLを退避させた直後に濃度検出を行うことができるので、図9の形態よりも一時貯留タンク340内に所定濃度の現像液DLを迅速に補給して、リサイクルをより良好に行うことができる。
なお、図11の形態では、現像液DLの余剰分を検出するための退避用センサBEが必要となるが、図9の形態では、そのようなセンサが不要となるので、コストの低減や制御の簡易化を図ることができる。
さらに、図11や図9の形態では、濃度調整容器310内の現像液DLの一部を退避タンク360に退避させるので、退避タンク360内が現像液DLで一杯になるのを抑えることができる。または、現像液DLの退避量に合わせて退避タンク360を小型化することができる。
前記実施形態では、退避部として退避タンク360を採用したが、本発明はこれに限定されず、配管を複数回屈曲させることで退避部を形成してもよい。
前記実施形態では、退避タンク360内の現像液DLを補給動作の後に濃度調整容器310に戻すようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3における濃度検出処理(S6)を行う前に、退避タンクに現像液が残っているか否かを判断し、残っている場合には、戻し用送液手段を制御することで高濃度タンク内の原液よりも退避タンク内の現像液を優先して濃度調整容器内に注ぎ足すようにしてもよい。これによれば、退避タンク内の現像液を早く無くすことができるので、次回の現像液の退避時に退避タンクから現像液が溢れるのを抑制することができる。
そして、このような制御を行うには、前述した図3のフローチャートの代わりに、図12のフローチャートに従った制御を行えばよい。すなわち、図12に示すように、制御装置は、貯留部液量センサREからの信号に基づいて、一時貯留タンク340内の液量Lrが所定値L1以下になったか否かを判断する(S1)。ステップS1において液量Lrが所定値L1以下になったと判断する(Yes)と、制御装置は、ポンプP6を停止することで濃度調整容器310内への現像液DLの回収を停止させる(S2)。
ステップS2の後、制御装置は、退避タンク360内に現像液DLが存在するか否かを判断する(S30)。ステップS30で現像液DLが存在すると判断したときには(Yes)、制御装置は、戻し用ポンプP8を制御することで、退避タンク360から濃度調整容器310へ送液(注ぎ足し)を開始する(S31’)。ステップS31’の後、制御装置は、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて、濃度調整容器310内の液量Lcが所定量L2になったか否かを判断する(S4’)。ステップS4’において液量Lcが所定量L2になった場合には(Yes)、制御装置は、第8ポンプP8を停止することで、退避タンク360からの現像液DLの注ぎ足しを停止させる(S5’)。
また、ステップS30で現像液DLが存在しないと判断したときには(No)、制御装置は、第3ポンプP3の駆動を開始することで、高濃度タンク330から濃度調整容器310への原液NLの送液(注ぎ足し)を開始する(S31)。ステップS31の後、制御装置は、調整容器液量センサCEからの信号に基づいて液量Lcが所定量L2になったか否かを判断する(S4)。ステップS4において液量Lcが所定量L2になった場合には(Yes)、制御装置は、第3ポンプP3を停止することで、原液NLの注ぎ足しを停止させる(S5)。
そして、ステップS5,S5’の後、制御装置は、前記実施形態と同様のステップS6〜S9の処理を行う。
前記実施形態では、貯留部を2つの容器(貯留容器201と一時貯留タンク340)で構成したが、本発明はこれに限定されず、貯留容器201のみで構成してもよいし、3つ以上の容器で構成してもよい。
前記実施形態では、液量センサとして発光部から出射した光を受光部で受光するか否かで液面の位置が所定位置よりも下に位置するか否かを検出するセンサ、すなわち液面の位置を1箇所だけしか検出できないセンサを採用したが、本発明はこれに限定されず、任意の液面の位置を検出できるセンサを採用してもよい。このセンサとしては、例えば現像液で遮断されることにより変化する光の面積を検出することで液面の位置を光のスポット径の範囲内で任意に検出することができるセンサや、液圧を検出することで液面位置を検出するセンサなどを採用することができる。
なお、このようなセンサを図10に示す調整容器液量センサCEの代わりに採用した場合には、退避用センサBEが不要となるので、その分構造を簡易化することができる。
前記実施形態では、現像液担持体や供給手段としてローラ状のものを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状のものを採用してもよい。
前記実施形態では、回収手段として、回収ブレード301、受け皿部302、回収タンク303および2つのポンプP5,P6を備えた回収装置300を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば前述した回収装置300から回収タンク303やポンプP6を取り除いた装置などを採用してもよい。
前記実施形態では、送液手段としてポンプを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、重力により送液するような方式であれば、送液手段としてバルブを採用してもよい。
前記実施形態では、キャリア液タンク320を各色ごとに設けたが、本発明はこれに限定されず、キャリア液タンクを各色共通で1つだけ設けてもいい。
前記実施形態では、液量Lrが所定値L1以下になったか否かを判断するステップS1を設けたが、本発明はこれに限定されず、ステップS1の処理はなくてもよい。すなわち、制御装置が貯留部液量センサにより貯留部内の液量が所定値以下になったことを検出した場合に、前述したステップS2〜S9の処理を開始するようにしてもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態(図3,5,9,11)では、それぞれ退避タンクから濃度調整容器に現像液を戻す処理を設けたが、本発明はこれに限定されず、戻す処理(S81,S82)はなくてもよい。