JP5880057B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に透磁率センサーによる検出結果に基づいてトナーが補給される現像装置を備えた画像形成装置に関する。
一般に、電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。そして、このトナー像を直接又は間接的に用紙に転写させた後、加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像を形成する。
感光体にトナー像を形成する現像方式には、現像剤の主成分としてトナーのみを用いる一成分現像方式と、現像剤の主成分としてトナーとキャリアーを用いる二成分現像方式がある。通常、二成分現像方式の現像装置では、現像剤のトナー濃度が検出され、このトナー濃度が基準値(トナー補給の要否を判定するための基準となるトナー濃度、基準濃度)を下回ったときに、トナーボトル等のトナー補給部からトナーが補給される。これにより、現像剤のトナー濃度、すなわち現像装置内のトナー残量が所定の範囲で安定して保持される。
現像剤のトナー濃度を検出する手法としては、例えば透磁率センサーにより現像剤の透磁率を検出する手法が知られている。透磁率センサーでは、現像剤の透磁率に応じたセンサー出力(出力電圧)が得られる。現像剤のトナー濃度が低い(キャリアーの比率が高い)ほど、透磁率センサーのセンサー出力は高くなる。つまり、透磁率センサーのセンサー出力が基準値(基準電圧)を上回ったときに、現像剤のトナー濃度が基準値を下回ることなり、トナー補給部から所定量のトナーが補給される。
ところで、現像容器内において、トナーはキャリアーとともに攪拌されることにより、摩擦帯電する。そのため、画像形成が行われずに現像部が停止していると、トナーの帯電量は次第に低下し、これに伴い現像剤の嵩(体積)が減少して、嵩密度が高くなる。その結果、現像部を長時間停止させた状態では、トナー濃度が同じであっても、透磁率センサーのセンサー出力は高くなる。つまり、真のトナー濃度よりも低めにトナー濃度が検出される。
現像部を長時間の停止状態から復帰させた後は、トナーが帯電されて現像剤の嵩密度が徐々に元に戻るため、検出されるトナー濃度は真のトナー濃度に近づく。しかし、トナーが十分に帯電されて現像剤の嵩密度が元に戻るまでは、真のトナー濃度よりも低めにトナー濃度が検出されてしまうため、過剰なトナー補給が行われることとなる。
このような問題を解決すべく、現像部の復帰後のトナー補給を制御する技術が提案されている(例えば特許文献1、2)。特許文献1に記載の画像形成装置は、現像部を復帰させた後の所定期間において、透磁率センサーのセンサー出力と比較するための基準値を経時的に変化させることにより、透磁率センサーの誤検出に伴い過剰なトナー補給が行われるのを防止している。
また、特許文献2に記載の画像形成装置は、現像部を復帰させた後の所定期間において、透磁率センサーのセンサー出力ではなく、実際のトナー消費量に基づいてトナー補給を行うことにより、透磁率センサーの誤検出に伴い過剰なトナー補給が行われるのを防止している。
特開平1−222279号公報 特開平11−2953号公報
特許文献1に記載の画像形成装置においては、現像部を復帰させた後の所定期間は、補正後の基準値とセンサー出力を比較することによりトナー補給の要否が判定されるが、この期間も適宜にトナー補給は行われる。また、形成される画像の印字率が高いほどトナー消費量は多く、印字率が低いほどトナー消費量は少なくなるため、現像部を復帰させてからの駆動時間が同じであっても、画像の印字率によって補給されるトナー補給量は異なる。
そして、新たに補給されたトナーは劣化がなく帯電しやすいため、トナー補給量に応じて現像剤の嵩密度が安定する時間も異なってくる。具体的には、図1に示すように、形成される画像の印字率が高い(トナー補給量が多い)ほどトナー帯電量の立ち上がりは急峻になり、短時間で安定する。また、形成される画像の印字率が低い(トナー補給量が少ない)場合は、トナーの劣化(外添剤の剥離・埋没)が促進されるため、トナー帯電量の立ち上がりは緩やかで、安定するまでに長時間を要する。したがって、図2に示すように、形成される画像の印字率が高い(トナー補給量が多い)ほど、透磁率センサーで検出されたトナー濃度は真のトナー濃度に近くなるので、補正量及び補正時間(補正不要となるまでの時間)は少なくてよい。
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、トナー補給量は考慮されておらず、基準となる印字率(例えばカバレッジ5%)で画像形成されるものとして補正量及び補正時間が設定されている。
そのため、基準となる印字率よりも高い印字率(例えばカバレッジ20%以上)で画像形成が行われる場合は、トナー補給の要否を判定する際に過大な補正が行われる。また、現像剤の嵩密度が安定して透磁率センサーで真のトナー濃度を検出できるようになった後も補正が行われることとなる。その結果、真のトナー濃度が基準濃度を下回っていても適切なトナー補給が行われずに、トナー濃度が想定よりも低い値(基準濃度よりも低い値)で推移することとなり、画像濃度が確保できなくなる懸念がある(図3参照)。
また、基準となる印字率よりも低い印字率(例えばカバレッジ1%以下)で画像形成が行われる場合は、トナー補給の要否を判定する際に補正量が不足する。また、現像剤の嵩密度が安定しておらず透磁率センサーで真のトナー濃度が検出できていなくても、トナー補給の要否を判定する際に補正が行われなくなる。その結果、真のトナー濃度が基準濃度を上回っていても誤ってトナー補給が行われ、トナー濃度が想定よりも高い値(基準濃度よりも高い値)で推移することとなり、トナーこぼれや機内飛散といった不具合が懸念される(図3参照)。
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、形成される画像の印字率に基づいてトナー補給を行うため、トナー補給部からの落下量のばらつきの影響を大きく受ける。したがって、実際のトナー消費量と同量のトナーが補給されないこともあり、所望のトナー濃度を実現することが困難となる。その結果、トナー濃度が低くなりすぎて画像濃度が確保できなくなったり、トナー濃度が高くなりすぎてトナーこぼれや機内飛散が生じたりする虞がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、現像部を停止状態から復帰させる際に、現像部内のトナー残量(トナー濃度)が確実に所望の範囲となるようにトナー補給を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る画像形成装置は、トナーを含む現像剤を収容し、感光体にトナーを付着させてトナー像を形成する現像部と、
前記現像部にトナーを補給するトナー補給部と、
前記現像剤の透磁率に基づいてトナー残量を検出するトナー残量検出部と、
前記残量検出部による検出結果と予め設定された基準値を比較して、前記トナー補給部によるトナー補給の要否を判定する制御部と、を備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記現像部を停止状態から復帰させた後の所定期間において、前記現像部を復帰させた後の駆動時間と前記トナー補給部による前記駆動時間におけるトナー補給量に基づいて、前記残量検出部による検出結果又は前記基準値を所定の補正量で補正した上で両者を比較することを特徴とする。
本発明によれば、現像部を停止状態から復帰させる際に、復帰してからの駆動時間とトナー補給量に基づいて、トナー残量検出部の検出結果又は基準値の何れか一方を補正する補正量が決定され、補正されるので、真のトナー残量(トナー濃度)に基づいてトナー補給が行われることとなる。したがって、現像部内のトナー残量(トナー濃度)が確実に所望の範囲となるようにトナー補給を行うことができる画像形成装置が実現される。
現像部を復帰させてからの駆動時間とトナー帯電量の関係を示す図である。 現像部を復帰させてからの駆動時間とセンサー出力の関係を示す図である。 従来技術を適用した場合の現像装置を復帰させてからの駆動時間とトナー濃度の関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。 実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。 実施の形態に係る現像装置の要部構成を示す図である。 トナー補給制御処理の一例を示すフローチャートである。 補正テーブルの一例を示す図である。 本発明を適用した場合の現像部を復帰させてからの駆動時間とトナー濃度の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図5は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図4、5に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図4、5に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備える。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、及び中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図4では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80mmのアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネート樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412の詳細な構成については後述する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。
そして、中間転写ベルト421に二次転写ローラー423が圧接されることにより形成された転写ニップを用紙Sが通過する際、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーを除去する。
定着部60は、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60には、エアを吹き付けることにより、定着面側部材(例えば定着ベルト)又は裏面側支持部材(例えば加圧ローラー)から用紙Sを分離させるエア分離ユニットを配置してもよい。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送ローラー部53等を備える。
給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。
搬送ローラー部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送ローラー部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
図6は、現像装置412の構成を示す図である。図6に示すように、現像装置412は、感光体ドラム413にトナー像を形成する現像部81、及び現像部81にトナーを補給するトナー補給部82を備える。また、図示を省略するが、現像装置412は、現像部81にキャリアーを補給するキャリアー補給部を備える。
現像部81は、現像ローラー811(トナー担持体)、搬送ローラー812(現像剤担持体)、攪拌部材813、814、現像剤規制部材815、現像容器816、及びトナー濃度検出センサー83等を備える。すなわち、現像部81は、二成分現像方式と一成分現像方式を組み合わせた、いわゆるハイブリッド現像方式により感光体ドラム413にトナー像を形成する。
現像ローラー811、搬送ローラー812、攪拌部材813、814は、制御部100によって現像部駆動モーターM1(図5参照)が駆動されることにより、回転する。
現像容器816には、現像剤の搬送方向上流側から下流側(図6では右側から左側)に向かって、攪拌部材814、攪拌部材813、搬送ローラー812、現像ローラー811が順に配置される。
現像容器816は、トナー及びキャリアーを補給するための現像剤補給口816a(図6では攪拌部材814の略上方)を有する。トナー補給部82から送り出されたトナー及びキャリアー補給部(図示略)から送り出されたキャリアーは、現像剤補給口816aを介して現像容器816に補給される。
また、現像容器816は、現像剤を排出する現像剤排出口816b(図6では搬送ローラー812の略下方)を有する。現像容器816内の現像剤は、現像剤排出口816bを介して定期的に排出され、現像剤回収容器(図示略)に回収される。
攪拌部材813、814は、軸方向に延びる攪拌スクリューで構成され、攪拌室816c、816dの間で現像剤を循環搬送しながら攪拌する。これにより、現像剤に含まれるトナーとキャリアーが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電する。ここでは、キャリアーは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。
正極性に帯電したキャリアーの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力により付着する。そして、現像剤は、攪拌部材813によって搬送される過程で、搬送ローラー812に供給される。
搬送ローラー812は、回転不能に固定された磁石体812aと、磁石体812aの周囲に回転可能に配置された円筒状の搬送スリーブ812bを有する、いわゆるマグネットローラーである。
搬送スリーブ812bの略上方には、現像剤規制部材815が、搬送スリーブ812bから所定距離だけ離間して対向配置される。現像剤規制部材815は、ステンレス鋼材等の磁性体で形成された板状の部材であり、搬送ローラー812と平行に延在する。
磁石体812aは、搬送ローラー812の軸方向に延在する、複数の磁極(図示略)を有する。これらの複数の磁極によって、搬送スリーブ812bで現像剤を搬送するための磁界(磁力線)が形成される。
搬送スリーブ812bに供給された現像剤は、磁石体812aによって形成された磁力線に沿って穂立ちし、いわゆる磁気ブラシを形成する。そして、現像剤は、搬送スリーブ812bの回転に伴い反時計回りに搬送され、現像剤規制部材815とのギャップを通過することで一定厚に規制される。
現像ローラー811は、アルミニウム等の金属からなる導電性ローラーである。現像ローラー811は、導電性ローラーの外周面にポリエステル樹脂等のコーティングが形成されたものであってもよい。
現像ローラー811と搬送ローラー812との間に電界を形成することにより、搬送スリーブ812bで搬送されている現像剤からトナーだけが脱離して、現像ローラー811に供給される。そして、現像ローラー811は、感光体ドラム413にトナーを供給して、感光体ドラム413上の静電潜像を可視化する。
また、現像部81には、現像剤を徐々に入れ替えるトリクル現像方式が採用される。すなわち、現像部81は、現像剤補給口816aから現像剤(トナー及びキャリアー)を定期的に補給するとともに、余剰分の現像剤を現像剤排出口816bから排出するように構成される(トリクル機構)。トリクル機構としては、公知の循環オーバーフロー型や液面オーバーフロー型のものを適用できる。これにより、劣化したキャリアーが新しいキャリアーに入れ替われるので、現像容器816内のトナーは常に均一に帯電される。したがって、プリント枚数や環境変化に左右されず安定した画像品質が実現される。
トナー濃度検出センサー83は、現像容器816内の現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーで構成される。トナー濃度検出センサー83は、現像容器816の底部(図6では攪拌部材814の略下方)に設けられた開口に検出子が臨むように配置される。トナー濃度検出センサー83のセンサー出力(透磁率を示す出力電圧)に基づいて、現像剤のトナー濃度を検出することができる。トナー濃度検出センサー83からのセンサー出力は、制御部100がトナー補給の要否を判定する際に用いられる。
トナー補給部82は、トナーが収容されたトナーボックスとトナー補給ローラーを備える(いずれも図示略)。制御部100によってトナー補給用モーターM2(図5参照)が駆動されることにより、トナー補給ローラーが回転する。これに伴い、所定量のトナーが現像部81に補給される。トナー補給部82による一回のトナー補給量は、一定量としてもよいし、トナー消費量に応じて変更してもよい。
通常、制御部100は、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力に基づいてトナー補給の要否を判定する。そして、制御部100は、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力がトナー補給の要否を判定するために予め設定された基準値を上回ったとき(センサー出力に基づくトナー濃度がトナー補給の要否を判定するための基準濃度を下回ったとき)に、トナー補給用モーターM2を駆動させ、トナー補給部82から所定量のトナーを補給させる。
なお、トナー補給部82の供給口に開閉可能なシャッター部材(図示略)を設け、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力に基づいて、制御部100がシャッター部材の開閉制御を行うことにより、トナー補給部82からトナーが補給されるようにしてもよい。
このように、本実施の形態の画像形成装置1は、トナーを含む現像剤を収容し、感光体ドラム413(感光体)にトナーを付着させてトナー像を形成する現像部81と、現像部81にトナーを補給するトナー補給部82と、現像剤の透磁率に基づいてトナー濃度(トナー残量)を検出するトナー濃度検出センサー83(トナー残量検出部)と、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力(検出結果)と予め設定された基準値を比較して、トナー補給部82によるトナー補給の要否を判定する制御部100とを備える。
前述したように、現像部81を停止させてから長時間が経過すると、トナーの帯電量が次第に低下し、これに伴い現像剤の嵩密度が高くなる。そのため、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRは、真のトナー濃度に対応する値VTよりも高くなり、誤検出となる。
そこで、現像部81を停止状態から復帰させた後の所定時間において、制御部100は、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを所定の補正量VCで補正した上で、トナー補給の要否を判定するための基準値V0(基準電圧)と比較する。このとき、それまでのトナー補給量と現像部81を復帰させてからの駆動時間に基づいて選定された補正量VCが用いられる。具体的には、制御部100は、図7に示すフローチャートに従って、トナー補給部82によるトナー補給を制御するためのトナー補給制御処理を行う。
図7は、トナー補給制御処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すトナー補給制御処理は、例えば、画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
図7のステップS101において、制御部100は、現像部81の停止時間のカウントを開始する。前回の一連の画像形成処理が終了してからの時間が停止時間としてカウントされる。カウントされた停止時間は、例えばRAM103に記憶され、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを補正するための補正量VCを設定する際に用いられる。画像形成装置1の電源が投入された直後は、停止時間として最大値(トナーの帯電量が十分に低下してトナー濃度検出センサー83によるセンサー出力が安定する時間)が設定されるものとする。
ステップS102において、制御部100は、例えば利用者による画像形成を指示するキー操作信号、又は外部機器(例えばパーソナルコンピューター)からの印刷ジョブの入力信号の有無に基づいて、画像形成処理が開始されるか否かを判定する。そして、制御部100は、画像形成処理が開始されると判定した時点でステップS103の処理に移行する。
このとき、現像装置412では、現像部81の駆動が開始される。現像部81の駆動が開始されると、現像容器816内の現像剤が攪拌され、トナー帯電量は徐々に増大していき、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRは次第に真のトナー濃度に対応する値VTに近づく。
ステップS103において、制御部100は、現像部81の駆動時間のカウントを開始する。カウントされた駆動時間は、例えばRAM103に記憶され、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを補正するための補正量VCを設定する際に用いられる。
ステップS104において、制御部100は、現像部81の停止時間のカウントを終了して、停止時間を取得する。
ステップS105において、制御部100は、現像部81を復帰させてから現時点までの駆動時間と、形成される画像の印字率を取得する。
ステップS106において、制御部100は、ステップS104で取得した現像部81の停止時間、及びステップS105で取得した現像部81の駆動時間と画像の印字率に基づいて、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを補正するための補正量VCを設定する。
具体的には、制御部100は、補正量VCを設定するに際して、現像部81の駆動時間と画像の印字率に対して有効な補正量VCが予め設定された補正テーブル(補正情報)を参照する。この補正テーブルは、例えば現像部81の停止時間、駆動時間、及び画像の印字率のそれぞれについて様々な条件を設定し、センサー出力VRと真のトナー濃度に対応する値VTとの乖離量を測定するなどして実験的に求められ、記憶部72に格納される。
図8は、補正テーブルの一例を示す図である。図8は、例えばカバレッジ20%以上の高印字率の画像形成時に用いられる補正量、カバレッジ5%の基準印字率の画像形成時に用いられる補正量、カバレッジ1%以下の低印字率の画像形成時に用いられる補正量を、現像部81の停止時間が最大値である場合について示している。現像部81の停止時間が最大値より短い場合は、補正量VCの初期値(駆動時間が0のときの補正量VC)が小さく設定された補正テーブルが用いられる。
図8に示すように、画像の印字率が同じである場合は、現像部81の駆動時間に応じて、補正量VCは徐々に減少する。現像部81の駆動時間が長いほど、現像剤は攪拌されてトナー帯電量が増大し、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRが真のトナー濃度に対応する値VTに近づくためである。
また、駆動時間が同じである場合は、画像の印字率が高いほど補正量VCは小さくなる。画像の印字率が高いほど、トナー補給量は多くなり、その分トナー帯電量の回復も早くなる、すなわちトナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRは真のトナー濃度に対応する値VTに近くなるためである。
高印字率でトナー補給量が多い場合は補正量の戻し時間(補正量が0になるまでの時間)が短く、低印字率でトナー補給量が少ない場合は補正量の戻し時間が長くなるように補正量VCが設定されることになる。
このように、制御部100は、現像部81の駆動時間と形成される画像の印字率に対する有効な補正量VCが予め設定された補正テーブル(補正情報)を参照して、トナー補給部82による補正量VCを設定する。これにより、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを補正するための補正量VCを容易に決定することができる。
図8に従うと、例えば現像部81の駆動時間が20分である場合の補正量VCは、高印字率のときは0.15、基準印字率のときは0.20、低印字率のときは0.30に設定されることになる。
ここで、現像部81を復帰させてからの駆動時間からプリント枚数が求まるので、このプリント枚数と画像の印字率によりトナー消費量が求まる。そして、現像部81の停止時のトナー濃度(トナー残量)を記憶しておけば、復帰後の駆動時間とそれまでのトナー消費量からトナー補給部82によるトナー補給量も推測できる。つまり、本実施の形態では現像部81の駆動時間と形成される画像の印字率に基づいて補正量VCを設定しているが、現像部81の駆動時間とトナー補給部82によるトナー補給量に基づいて補正量VCを設定しているといえる。
図7のステップS107において、制御部100は、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを取得する。このセンサー出力VRは、トナー帯電量が不足し現像剤の嵩密度が高くなっている分だけ、真のトナー濃度に対応する値VTよりも大きくなる。
ステップS108において、制御部100は、ステップS107で取得したセンサー出力VRからステップS105で設定した補正量VCを減算して、センサー出力VRを補正する。これにより、補正後のセンサー出力Vは、真のトナー濃度に対応する値VTと同等の値となる。
ステップS109において、制御部100は、補正後のセンサー出力Vが基準値V0(基準電圧)以上であるか否か、すなわち真のトナー濃度が基準濃度以下であるか否かを判定する。そして、制御部100は、補正後のセンサー出力Vが基準値V0以上である(真のトナー濃度が基準濃度以下である)と判定した場合はステップS111の処理に移行する。一方、制御部100は、補正後のセンサー出力Vが基準値V0以上でない(真のトナー濃度が基準濃度を上回っている)と判定した場合は、トナー補給を行う必要はないので、ステップS110の処理に移行する。
ステップS111において、制御部100は、トナー補給用モーターM2を駆動させて、トナー補給部82のトナー補給ローラーを回転させることにより、所定量のトナーを補給させる。これにより、真のトナー濃度が基準濃度以下である場合には、適切にトナーが補給されるので、現像部81におけるトナー濃度は一定の範囲に保持される。
ステップS110において、制御部100は、一連の画像形成処理が終了したか否かを判定する。そして、制御部100は、一連の画像形成処理が終了したと判定した場合は、ステップS101の処理に移行し、現像部81の停止時間のカウントを開始する。一方、制御部100は、一連の画像形成処理が終了していないと判定した場合は、ステップS105の処理に移行し、引き続きトナー補給制御処理を行う。
ここで、一連の画像形成処理とは、ステップS102で受け付けた画像形成を指示する信号により設定された枚数だけ画像形成を行う処理である。つまり、設定された枚数の画像形成処理が終了するまで現像部81は連続して駆動され、引き続きトナー補給の制御が必要となるのでステップS104の処理に移行する。なお、補正量VCが0となった後のステップS105、S107の処理は、省略してもよい。
このように、画像形成装置1において、制御部100は、現像部81を停止状態から復帰させた後の所定期間(補正量VCが0となるまでの期間)において、現像部81を復帰させた後の駆動時間とトナー補給部82によるトナー補給量に基づいて、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VR(トナー残量検出部による検出結果)を所定の補正量VCで補正した上で、補正後のセンサー出力Vとトナー補給の要否を判定するための基準値V0を比較する。
具体的には、制御部100は、画像の印字率が高い(判定時におけるトナー補給量が大きい)ほど、補正量VCを小さく設定する。
画像形成装置1によれば、現像部81を停止状態から復帰させる際に、復帰してからの駆動時間とトナー補給量に基づいて補正量VCが設定され、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRが補正されるので、真のトナー濃度に基づいてトナー補給が行われることとなる。したがって、図9に示すように、現像部81内のトナー濃度が確実に所望の範囲となるようにトナー補給を行うことができる。
また、現像剤のトナー濃度が低くなりすぎて画像濃度が確保できなくなったり、トナー濃度が高くなりすぎてトナーこぼれや機内飛散が生じたりするのを確実に防止できるので、高品質の画像を形成することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、制御部100が、現像部81の駆動時間とトナー補給部82によるトナー補給量に対して有効な補正量が予め設定された補正テーブル(補正情報)を参照して、補正量VCを設定するようにしてもよい。この場合、制御部100は、トナー補給部82(トナー駆動ローラー)の駆動時間に基づいてトナー補給部82によるトナー補給量を算出する。これにより、トナー濃度検出センサー83のセンサー出力VRを補正するための補正量VCを容易に決定することができる。
また、トナー補給の要否の判定において、センサー出力VRではなく、基準値V0を補正して、センサー出力VRと補正後の基準値V0’を比較するようにしてもよい。
また、本発明は、非ハイブリッド現像方式である一成分現像方式又は二成分現像方式の現像装置を備えた画像形成装置や、非トリクル方式の現像装置を備えた画像形成装置に適用することもできる。一成分現像方式の場合、透磁率センサーにより磁性トナーの残量が検出されることとなる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
81 現像部
82 トナー補給部
83 トナー濃度検出センサー
100 制御部
412 現像装置

Claims (8)

  1. トナーを含む現像剤を収容し、感光体にトナーを付着させてトナー像を形成する現像部と、
    前記現像部にトナーを補給するトナー補給部と、
    前記現像剤の透磁率に基づいてトナー残量を検出するトナー残量検出部と、
    前記残量検出部による検出結果と予め設定された基準値を比較して、前記トナー補給部によるトナー補給の要否を判定する制御部と、を備えた画像形成装置であって、
    前記制御部は、前記現像部を停止状態から復帰させた後の所定期間において、前記現像部を復帰させた後の駆動時間と前記トナー補給部による前記駆動時間におけるトナー補給量に基づいて、前記残量検出部による検出結果又は前記基準値を所定の補正量で補正した上で両者を比較することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御部は、判定時における前記トナー補給量が大きいほど、前記補正量を小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、前記現像部の駆動時間と形成される画像の印字率に対して有効な補正量が予め設定された補正情報を参照して、前記トナー補給部による補正量を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、前記現像部の駆動時間と前記トナー補給部によるトナー補給量に対して有効な補正量が予め設定された補正情報を参照して、前記補正量を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、前記トナー補給部の駆動時間に基づいて前記トナー補給部によるトナー補給量を算出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記駆動時間が長くなるにつれて、前記補正量を徐々に減少させることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部は、前記現像部が停止していた停止時間に基づいて、前記補正量の初期値を設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記現像剤は、トナーとキャリアーを含む二成分現像剤であり、
    前記トナー残量検出部は、前記現像剤のトナー濃度を検出することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の画像形成装置。
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