JP4946211B2 - 被観察体への補助情報付加装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被観察体への補助情報付加装置に関し、特に、透明もしくは半透明な板状構造体の内部を通して被観察体を観察した場合に、被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像が付加された合成画像が観察できるようにする装置に関する。
被観察体を観察する観察者に対して、この被観察体からなる主画像に何らかの補助情報からなる副画像を付加して提示する技術は、様々な分野で利用されている。これらの技術では、通常、ハーフミラーやホログラムスクリーンなどを利用して、主画像に対して副画像の付加が行われる。
たとえば、下記の特許文献1には、透明なホログラムスクリーンを通して観察者自身の顔を撮影し、この撮影画像に別な画像を合成して得られる合成画像を、当該ホログラムスクリーン上に投影して表示する技術が開示されている。観察者は、自分の視線と一致した位置に自分自身の顔と別な画像との合成画像を視認することができる。
また、下記の特許文献2には、自動車のフロントガラスにホログラムスクリーンを張りつけ、運転者に対して、車両前方の視野内の物体からなる主画像に、種々の補助情報からなる副画像を重ねて提示する技術が開示されている。運転者は、運転中、前方視野から目をそらすことなしに、補助情報を確認することが可能になる。
更に、下記の特許文献3には、透明なホログラムスクリーンを覗いた観察者に対して、このホログラムスクリーンを透して見える景色(主画像)に、投影装置から投影した画像(副画像)を重ねて提示する技術が開示されている。観察者が、ホログラムスクリーン内から前方の景色を覗くと、景色に重ねて、文字などの補助情報が付加されて提示されることになる。
特開平10−339814号公報 特開2001−255488号公報 特開2002−236217号公報
上述した種々の技術を利用して、被観察体からなる主画像に何らかの補助情報からなる副画像を付加して提示した場合、当然、観察者の目には、主画像と副画像との合成画像が提示されることになる。しかしながら、特定の観察位置に対しては、主画像と副画像との双方が提示されては好ましくない状況もある。たとえば、第1の観察位置にいる第1の観察者に対しては副画像による補助情報の提示を行う必要があるが、第2の観察位置にいる第2の観察者に対しては補助情報を提示したくない場合や、第2の観察位置には防犯カメラが設置されており、この防犯カメラには、補助情報を録画させたくないような場合である。上述した従来の技術をそのまま利用した場合、観察位置に応じて、選択的に副画像の提示を行ったり、行わなかったりすることはできない。
そこで本発明は、被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像を付加して提示する機能を有し、しかも、観察位置に応じて、主画像に副画像が付加された合成画像が観察されたり、主画像のみが観察されたりするように、観察態様を選択することが可能な被観察体への補助情報付加装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1の観察位置および第2の観察位置の少なくとも2つの観察位置から観察可能な位置に置かれた被観察体について、観察者が第1の観察位置から観察した場合には、被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像が重畳された合成画像が観察され、観察者が第2の観察位置から観察した場合には、被観察体からなる主画像のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加する機能をもった被観察体への補助情報付加装置に係るものであり、その具体的態様は、以下のとおりである。
(1) 本発明の第1の態様は、後述する§3において「第1の実施形態」として述べる形態に対応するものであり、被観察体への補助情報付加装置において、
被観察体から供給された第1の光の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された板状構造体と、
副画像の源となる光であって、第1の光とは偏光特性が相違する第2の光を、板状構造体に対して供給する副画像源と、
板状構造体から第2の観察位置に至る光路上に配置された画像分離手段と、
を設け、
板状構造体は、その内部を通して、第1の観察位置および第2の観察位置から被観察体を観察できるように、各観察位置と被観察体との間に配置され、かつ、副画像源から供給された第2の光を各観察位置に向かうように射出する光学的性質を有し、
画像分離手段は、偏光特性の相違を利用して第1の光と第2の光とを分離し、第1の光のみを第2の観察位置へ導く機能を有するようにし、
副画像源は、副画像として提示すべき外観を有する物体と、この物体から放出される光に固有の偏光特性を与える偏光板と、を有するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
板状構造体として、入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーを用いるようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
板状構造体として、第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を回折させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体を用い、
被観察体から各観察位置へ向かう第1の光が、板状構造体に対して第1の角度範囲で入射し、副画像源からの第2の光が、板状構造体に対して第2の角度範囲で入射するように、板状構造体および副画像源を配置したものである。
(4) 本発明の第4の態様は、後述する§5において「第3の実施形態」として述べる形態に対応するものであり、被観察体への補助情報付加装置において、
被観察体から供給された第1の光の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成され、副画像を形成するための特定の領域から、第1の光とは偏光特性が相違し、かつ、各観察位置へ向かう第2の光を発生させる機能をもった板状構造体と、
板状構造体から第2の観察位置に至る光路上に配置された画像分離手段と、
を設け、
板状構造体は、その内部を通して、第1の観察位置および第2の観察位置から被観察体を観察できるように、各観察位置と被観察体との間に配置され、
画像分離手段は、偏光特性の相違を利用して第1の光と第2の光とを分離し、第1の光のみを第2の観察位置へ導く機能を有するようにし、
板状構造体は、
側面から導入した光を、主面の所望の位置から直線偏光のかかった回折光として放出する機能をもった板状回折素子と、
この板状回折素子の側面に光を導入させる光導入手段と、
を有し、
板状回折素子は、
板状領域に充填された液晶からなる液晶本体層と、
液晶本体層の一方の面側に配置され、表面に第1の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第1の透明板と、
液晶本体層の他方の面側に配置され、表面に第2の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第2の透明板と、
を有し、第1の透明電極および第2の透明電極の間に、所定の駆動電圧を印加することにより、第1の透明電極と第2の透明電極とによって挟まれた領域から、液晶本体層内に導入された光を放出する機能を有するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
第1の透明板および第2の透明板がXY平面に平行となるように配置され、
第1の透明電極が、X軸方向に平行な多数の透明線状電極から形成され、
第2の透明電極が、Y軸方向に平行な多数の透明線状電極から形成され、
第1の透明電極を構成する特定の透明線状電極と、第2の透明電極を構成する特定の透明線状電極と、を選択し、これら選択された一対の透明線状電極に対して、所定の駆動電圧を印加することにより、この一対の透明線状電極の交点位置において、液晶本体層内に導入された光が放出されるようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第4の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
第1の透明板および第2の透明板がXY平面に平行となるように配置され、
第1の透明電極が、XY平面上に二次元マトリックス状に配列された多数の個別電極から形成され、これら個々の個別電極には、それぞれ電圧を制御するための個別の能動素子が接続されており、
第2の透明電極が、多数の個別電極のすべてに対向する共通電極から構成され、
多数の個別電極の中から特定の個別電極を選択し、この選択された特定の個別電極と共通電極との間に、能動素子を用いて所定の駆動電圧を印加することにより、選択された特定の個別電極の位置において、液晶本体層内に導入された光が放出されるようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
画像分離手段として、コレステリック液晶を用いた偏光分離素子を用いるようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
画像分離手段として、コレステリック液晶を用いた板状偏光分離素子と1/4波長板との積層構造体を用いるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係る被観察体への補助情報付加装置において、
第2の光を特定波長域に属する波長特性をもった光によって構成し、
コレステリック液晶を用いた板状偏光分離素子として、特定波長域の円偏光がかかった光を選択的に反射する性質をもった素子を用いるようにしたものである。
本発明に係る被観察体への補助情報付加装置によれば、板状構造体において、被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像が付加されることになるが、主画像を提示する第1の光と副画像を提示する第2の光とは偏光特性が異なっているため、特定の観察位置に到達する前に、この偏光特性の相違を利用して画像分離手段によって第2の光を除外することができるようになる。したがって、観察位置に応じて、主画像に副画像が付加された合成画像を提示したり、主画像のみを提示したり、観察態様を選択することが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.従来の補助情報付加装置の基本構成 >>>
たとえば前掲の特許文献1〜3にも開示されているとおり、被観察体を観察する観察者に対して、この被観察体からなる主画像に何らかの補助情報からなる副画像を付加して提示する機能をもった装置は、様々な仕組みのものが提案されている。これらの装置の多くは、透明もしくは半透明な板状構造体を用いて、主画像に副画像を合成する方法を採っており、本発明に係る装置も、基本的には同様の方法で副画像の合成を行うものである。
いま、図1に示すように、透明もしくは半透明な板状構造体100を通して、3つの観察位置E1〜E3から被観察体10を観察する場合を考えよう。ここでは、被観察体10から放出される光を第1の光L1と呼ぶことにする。本願では、この第1の光L1は、自ら発光する光でもよいし、外部から照射された光を反射や散乱させて得られる光でもよい。板状構造体100は、透明もしくは半透明な材質から構成されているので、第1の光L1の全部もしくは一部は、図示のとおり、この板状構造体100を透過して、各観察位置E1〜E3へ向かうことになる。その結果、各観察位置E1〜E3にいる観察者は、いずれも被観察体10を観察することができる。
図2(a) は、たとえば、第1の観察位置E1から観察される被観察体の画像を示す平面図である。ここでは、この被観察体の画像を、主画像11と呼ぶことにする。主画像11を囲っている矩形は、板状構造体100のフレームに対応する。第2の観察位置E2や第3の観察位置E3においても、板状構造体100のフレームに対する相対位置が若干異なるものの、ほぼ同様の主画像11が観察できる。
補助情報付加装置の目的は、図2(b) に示すように、各観察位置E1〜E3で観察される主画像11に、副画像12を付加することにある。図示の例では、副画像12は、「ABC」という文字からなる補助情報であるが、もちろん副画像として付加する補助情報は、文字に限らず、図形、イラスト、画像などどのようなものであってもかまわない。また、静止画に限らず、動画からなる補助情報を副画像として付加してもよい。
このように主画像11に副画像12を付加するためには、図3の斜視図に示すように、画像合成手段200を用いて、板状構造体100上で主画像(被観察体10の画像)に副画像(文字「ABC」)を合成すればよい。そうすれば、板状構造体100から各観察位置E1〜E3に対して、副画像12を提示するための第2の光L2(図では、一点鎖線で示す)が放出され、観察者には、第1の光L1と第2の光L2との双方が観察されることになる。図2(b) に示す主画像11は、第1の光L1によって観察される画像であり、副画像12は、第2の光L2によって観察される画像である。
前掲の特許文献1〜3には、板状構造体100として、透明なホログラムスクリーンを用い、画像合成手段200として投影装置を用いる例が開示されている。たとえば、特許文献2に開示されている投写型車載映像表示装置の場合、板状構造体100として機能する透明なホログラムスクリーンを自動車のフロントガラスに張り付け、ダッシュボード内の投影装置から種々の補助情報を投影する。この場合、図3に示す被観察体10は、フロントガラスを通して見える車両前方の物体ということになり、運転者には、この被観察体10(主画像)に、ダッシュボード内の投影装置から投影された投影像(副画像)を合成した合成画像が提示されることになる。
<<< §2.本発明の目的および基本原理 >>>
さて、図3に示す構成により、被観察体10からなる主画像11に何らかの補助情報からなる副画像12を付加して提示した場合、各観察位置E1〜E3の観察者の目には、
図2(b) に示すように、主画像11と副画像12との合成画像が提示されることになる。しかしながら、特定の観察位置に対しては、主画像と副画像との双方が提示されては好ましくない状況もある。
たとえば、図3に示すシステムを、スーパーマーケット、ホテル、レストランなどの集客施設に設置した場合を考えてみよう。このような店舗内の空間に、板状構造体100を設置し、この板状構造体100の内部を覗き込むことにより、特定の売り場、外部の景色、調理場などを被観察体10として、顧客に提示するものとする。このようなシステムを設置しておけば、画像合成手段200によって、顧客に対して、様々なサービスメッセージを補助情報として流すことができる。顧客は、特定の売り場、外部の景色、調理場などを、板状構造体100の内部から観察できる主画像として認識するとともに、画像合成手段200によって付加された補助情報を副画像として認識することができる。実際、前掲の特許文献3に記載された装置は、このような用途で実用されている。
ここで、第2の観察位置E2に、防犯カメラを設置し、被観察体10として観察される特定の売り場、外部の景色、調理場などの様子を撮影することを考える。この場合、防犯カメラの撮影対象としては、主画像のみで十分であり、副画像まで撮影する必要はない。顧客提示用の様々なサービスメッセージまでもが副画像として一緒に撮影されてしまうことは、防犯カメラの用途を考慮すれば、むしろ弊害になる。したがって、この場合、第1の観察位置E1および第3の観察位置E3においては、図2(b) に示すように主画像11と副画像12との合成画像が観察されるが、第2の観察位置E2においては、図2(a) に示すように主画像11のみが観察されるようにするのが好ましい。
本発明の目的は、このような事態にも対応できるように、観察位置に応じて、主画像に副画像が付加された合成画像が観察されたり、主画像のみが観察されたりするように、選択性をもった観察態様を提供することにある。
図4は、このような目的を達成することが可能な本発明の基本原理を示す斜視図である。この図4に示す構成要素は、図3に示す構成要素とほぼ同じである。すなわち、各観察位置E1〜E3からは、透明もしくは半透明な板状構造体100を通して、被観察体10の画像(主画像11)を観察することができる。これは、被観察体10から放出された第1の光L1が、板状構造体100を透過して、各観察位置E1〜E3へと到達するからである。一方、画像合成手段200によって、補助情報の付加が行われるので、図3の場合と同様に、各観察位置E1〜E3に対しては、副画像12を形成するための第2の光L2が放出されることになる。
この図4に示す例では、第2の観察位置E2には、カメラCが設置されており、この位置からは、カメラCによる撮影のみが行われる。そのため、上述したとおり、第1の観察位置E1および第3の観察位置E3においては、図2(b) に示すように主画像11と副画像12との合成画像が観察されるが、第2の観察位置E2においては、図2(a) に示すように主画像のみが観察されるようにしたい、という要望があったものとしよう。
このような要望に応えるために、本発明では、図3に示す従来の構成に、次の2つの工夫を加えている。第1の工夫は、図4に明示されているとおり、第2の観察位置E2と板状構造体100との間に、画像分離手段300を設けている点である。この画像分離手段300は、画像合成手段200と逆の機能を果たす構成要素である。すなわち、画像合成手段200が、主画像11に副画像12を合成する機能を果たす構成要素であるのに対して、画像分離手段300は、主画像11と副画像12とを分離する機能を果たす構成要素である。
このような分離を可能にするために、本発明では第2の工夫が必要になる。この第2の工夫は、画像合成手段200によって、主画像11に副画像12を合成する際に、主画像11を形成するための第1の光L1(図4では実線(一部破線)で示す)と、副画像12を形成するための第2の光L2(図4では一点鎖線で示す)との偏光特性が相違するようにしておく、という点である。このように、両者の偏光特性が相違するようにしておけば、画像分離手段300は、この偏光特性の相違を利用して、両者を分離することができる。こうして、この画像分離手段300で、第1の光L1と第2の光L2とを分離した後、第1の光L1のみを第2の観察位置E2へと導くようにすれば、第2の観察位置E2では、第1の光L1による主画像11のみが観察されることになる。
結局、図4に示す構成によれば、画像合成手段200を用いて、板状構造体100上で主画像(被観察体10の画像)に副画像(文字「ABC」)を合成しつつ、視点E2には副画像が提示されないようにすることが可能になり、カメラCでは主画像11のみが撮影され、副画像12は撮影されないことになる。
このように、本発明に係る補助情報付加装置は、第1の観察位置E1および第2の観察位置E2の少なくとも2つの観察位置から観察可能な位置に置かれた被観察体10について、第1の観察位置E1から観察した場合には、この被観察体10からなる主画像11に補助情報からなる副画像12が重畳された合成画像が観察され、第2の観察位置E2から観察した場合には、被観察体10からなる主画像11のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加する機能をもった装置ということになる。そして、本発明に係る補助情報付加装置の必須構成要素は、図4に示すとおり、板状構造体100,画像合成手段200,画像分離手段300である。
本発明に用いる板状構造体100は、その内部を通して、第1の観察位置E1および第2の観察位置E2から被観察体10を観察できるように、各観察位置E1,E2と被観察体10との間に配置され、被観察体10から供給された第1の光L1の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された構成要素である。この板状構造体は、図には、平板状の構成要素として描かれているが、必ずしも平面的な構成要素である必要はなく、曲面状の板からなる構成要素でもかまわない。また、必ずしも剛性を有する構成要素である必要はなく、いわゆるシート状やスクリーン状と呼ばれる可撓性をもった構成要素であってもかまわない。
本発明に用いる画像合成手段200は、この板状構造体100の主面(前面もしくは背面)から、第1の光L1とは偏光特性が相違し、副画像12を提示するための第2の光L2を放出させる機能を果たす。この画像合成手段200を具現化するための具体的な手段については、§3〜§5において詳述するが、要するに、板状構造体100の主面から各観察位置E1,E2に向けて、副画像12を提示するための第2の光L2を放出させることができ、しかも、この放出した第2の光L2の偏光特性が、板状構造体100を通り抜けてきた第1の光L1の偏光特性と異なるようになれば、どのような手段で画像合成手段200を構成してもかまわない。
一般的な利用形態では、被観察体10から放出される第1の光L1は、偏光のかかっていない光(別言すれば、様々な偏光成分が無秩序に混入した光:以下、単に「通常光」と呼ぶ)であるので、第2の光L2としては、たとえば、特定の方向への直線偏光がかかった光を用いるか、あるいは、円偏光や楕円偏光がかかった光を用いるようにすればよい。また、特殊な利用形態において、被観察体10から放出される第1の光L1が、特殊な偏光がかかった光になる場合であれば、この第1の光L1の特殊な偏光特性とは異なる偏光特性をもつ第2の光L2が放出されるように考慮すればよい。
なお、本願において「光の放出」という文言は、自らの発光によって光を放つ場合と、外部から入射した光の反射、屈折、回折、散乱などによって光を放つ場合との双方を意味するものである。本発明に係る画像合成手段200は、上述したとおり、板状構造体100の主面から、第2の光L2を放出させる機能をもった構成要素であるが、第2の光L2は、板状構造体100自身に発光機能をもたせることにより放出させてもよいし、外部から板状構造体100に対して光を照射し、光の反射、屈折、回折、散乱などによって第2の光L2が出てくるようにしてもよい。
また、この画像合成手段200によって板状構造体100の主面から第2の光L2を放出させる機能は、板状構造体100の光学的性質と密接に結びついて実現される機能であり、板状構造体100との協働作用によりなされる機能である。したがって、画像合成手段200として、具体的な手段を用いる場合には、これに適した光学的性質を有する板状構造体100を用いる必要がある。その具体的な組み合わせについては、§3〜§5で詳述する。
一方、本発明に用いる画像分離手段300は、板状構造体100から第2の観察位置E2(主画像11のみが観察されるべき位置)に至る光路上に配置され、上記偏光特性の相違を利用して第1の光L1(主画像11を提示するための光)と第2の光L2(副画像12を提示するための光)とを分離し、第1の光L1のみを第2の観察位置E2へ導く機能を有する構成要素である。この画像分離手段300の機能により、第2の観察位置E2では、主画像11のみが観察され、副画像12は観察されなくなる。
なお、本願において、「主画像のみが観察される」とか、「副画像は観察されない」という表現は、必ずしも100%そうなることを意味しているわけではない。実際、画像分離手段300によっては、第2の光L2を100%除去することができない場合もあるが、個々の用途に応じて、実用上支障が生じない程度で第2の光L2を除去することができれば、本発明は効果を奏するものである。
なお、この画像分離手段300として、具体的にどのような手段を用いるべきかは、分離対象となる第1の光L1と第2の光L2との偏光特性がどのように相違するかによって左右される事項である。その具体的構成例については、§6で述べることにする。
<<< §3.本発明の第1の実施形態 >>>
図5は、本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。この実施形態の特徴は、画像合成手段200として、副画像源210を用いて副画像の合成を行う点である。図示のとおり、この第1の実施形態に係る補助情報付加装置は、板状構造体110,副画像源210,画像分離手段300という3つの構成要素からなり、観察位置E1〜E3から観察可能な位置に置かれた被観察体10について、観察位置E1,E3から観察した場合には、この被観察体10からなる主画像11に補助情報からなる副画像12が重畳された合成画像が観察され、観察位置E2(カメラCが配置されている)から観察した場合には、被観察体10からなる主画像11のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加する機能を有している。
ここで、板状構造体110は、被観察体10から供給された第1の光L1の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された構成要素であり、その内部を通して、各観察位置E1〜E3から被観察体10を観察できるように、各観察位置E1〜E3と被観察体10との間に配置されている。
一方、副画像源210は、副画像の源となる光であって、第1の光L1とは偏光特性が相違する第2の光L2を、板状構造体110に対して供給する機能をもった構成要素である。また、画像分離手段300は、板状構造体110から観察位置E2に至る光路上に配置された構成要素であり、上記偏光特性の相違を利用して第1の光L1と第2の光L2とを分離し、第1の光L1のみを観察位置E2へ導く機能を有する。
この第1の実施形態の場合、板状構造体110の主面には、副画像は形成されない。図5に示す板状構造体110に、「ABC」という副画像が示されていないのは、このためである。すなわち、この実施形態の場合、「ABC」という副画像は、副画像源210側に形成されていることになり、板状構造体110は、この副画像源210から照射された第2の光L2を各観察位置E1〜E3に向かうように射出する光学的性質を有している。
このように、入射した光を所定方向に射出する光学的性質を有する板状構造体110の典型例は、ハーフミラーである。板状構造体110は、被観察体10からの第1の光L1を透過させる性質を有する必要があるので、板状構造体110として、完全な鏡を用いることはできない。ハーフミラーであれば、入射した光の一部を透過し、一部を反射する光学的性質を有しているので、この第1の実施形態における板状構造体110として利用することができる。
一方、副画像源210として利用できる最も単純な構成要素は、副画像として提示すべき外観を有する物体である。たとえば、文字「ABC」が描かれたパネルを副画像源210として用いるのであれば、図5の副画像源210の位置に、このパネルを、文字が描かれた側を板状構造体110側に向けて配置すればよい。各観察位置E1〜E3には、この文字「ABC」なる副画像が、ハーフミラーからなる板状構造体110によって反射して観察されることになる。同様に、図5の副画像源210の位置に、リンゴを置いたとすれば、このリンゴがそのまま副画像として観察されることになる。
ただ、本発明では、この副画像を提示するための第2の光L2は、主画像を提示するための第1の光L1と偏光特性が異なる光であるという条件が必要になる。そこで、この条件を満足するために、副画像として提示すべき外観を有する物体と、この物体から放出される光に固有の偏光特性を与える偏光板と、によって副画像源210を構成するようにすればよい。文字を描いたパネルやリンゴといった通常の物体の場合、そこから出てくる光自身は、特別な偏光特性をもたない通常光であるので、たとえば、このような通常光に対して直線偏光をかける偏光板を、当該物体と板状構造体110との間に配置しておけば、板状構造体110に入射する第2の光L2は、直線偏光がかかった光ということになり、板状構造体110で反射して、各観察位置E1〜E3へと向かう第2の光L2も、直線偏光特性をもった光ということになる。
そこで、画像分離手段300として、通常光である第1の光L1はそのまま透過させ、直線偏光特性をもった第2の光L2を反射させるような光学素子を用いるようにすれば、観察位置E2には、第1の光L1のみを導くことができる。
より多様性もった副画像の提示を行いたい場合には、たとえば、副画像として提示すべき画像を表示するCRTディスプレイと、このCRTディスプレイから放出される光に固有の偏光特性を与える偏光板と、によって、副画像源210を構成すればよい。CRTディスプレイの画面上には、任意の画像を副画像として提示することができ、動画の提示も可能なので、多様性をもった副画像の提示が可能になる。もちろん、CRTディスプレイの代わりに、蛍光表示管、LED、FED、有機EL、無機EL、などの自発光型のディスプレイ装置を用いてもよいし、DMDなどの別に光源を用いるライトバルブ型のディスプレイ装置を用いることも可能である。
また、ディスプレイによっては、画面から放出される光が、既に固有の偏光特性を有している場合があり、このようなディスプレイを用いる場合には、偏光板を設けるには及ばない。たとえば、一般的な液晶ディスプレイでは、画面から放出される光は、液晶の性質上、直線偏光がかかった光になる。したがって、副画像として提示すべき画像を表示するディスプレイとして、液晶ディスプレイを用いるようにすれば、当該液晶ディスプレイ単独で副画像源210としての機能を果たすことができる。液晶ディスプレイの代わりに、光源として固有の偏光特性をもった光源を利用したDMDなどのライトバルブ型のディスプレイ装置を用いた場合も同様である。
以上、板状構造体110として、副画像源210からの光を反射させることにより、第2の光L2を各観察位置E1〜E3へと放出する機能をもつハーフミラーを用いた例を述べたが、第2の光L2は、必ずしも反射により放出させる必要はない。
たとえば、副画像源210からの光を回折させることにより、第2の光L2を各観察位置E1〜E3へと放出させることも可能である。この場合は、第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を回折させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体を、板状構造体110として用いればよい。このようなホログラム記録媒体は、一般に、ホログラフィックコンバイナと呼ばれており、透明あるいは半透明なホログラフィックコンバイナであれば、第1の角度範囲で入射した第1の光L1をそのまま透過させることができるので、板状構造体110として利用することが可能である。
ここで、どの角度範囲で入射した光がそのまま透過し、どの角度範囲で入射した光がどの方向に回折するか、という事項は、当該ホログラム記録媒体に記録されている干渉縞パターンに依存して定まる事項である。逆に言えば、所望の光学的特性をもったホログラム記録媒体が必要であれば、そのような光学的特性に応じた干渉縞パターンを媒体に記録すればよいことになる。もっとも、上述した第1の角度範囲や第2の角度範囲には、絶対的な境界が存在するわけではなく、実際には、透過する成分と回折する成分との割合が入射角に応じて変化することになる。別言すれば、第1の角度範囲で入射した光の多くの成分はそのまま透過し、第2の角度範囲で入射した光の多くの成分は回折する、という性質を有していることになる。
そこでたとえば、入射角0°〜45°の角度範囲(第1の角度範囲)で入射した光については、多くの成分が透過し、入射角60°〜80°の角度範囲(第2の角度範囲)で入射した光については、多くの成分が回折する、というような光学的特性をもったホログラム記録媒体を作成すれば、板状構造体110として利用することが可能である。この場合、図5において、被観察体10からの第1の光L1の入射角は、ほぼ第1の角度範囲(0°〜45°)となるのでそのまま透過することになる。一方、副画像源210の配置を工夫して、この副画像源210から照射される光の入射角が第2の角度範囲(60°〜80°)となるように設定しておけば、これらの光は回折して、各観察位置E1〜E3へと向かうようになる。
結局、このような光学的性質をもったホログラム記録媒体(第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を回折させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体)を板状構造体110として用いる場合は、被観察体10から各観察位置E1〜E3へ向かう第1の光L1が、板状構造体110に対して第1の角度範囲で入射し、副画像源210からの第2の光が、板状構造体110に対して第2の角度範囲で入射するように、板状構造体110および副画像源210を配置すればよい。
なお、板状構造体110として、副画像源210からの光を反射によって放出させるハーフミラーを用いる場合には、図5に示す例のように、副画像源210を板状構造体110の手前側(観察位置側)に配置する必要があるが、上述のように、副画像源210からの光を回折によって放出させるホログラム記録媒体を板状構造体110として用いる場合には、副画像源210は、板状構造体110のどちら側に配置するようにしてもかまわない(もちろん、どちらに配置するかによって、ホログラム記録媒体に必要とされる光学的性質は異なるので、記録すべき干渉縞パターンも異なることになる)。
<<< §4.本発明の第2の実施形態 >>>
図6は、本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。この実施形態の特徴は、画像合成手段200として、副画像投影機220を用いて副画像の合成を行う点である。図示のとおり、この第2の実施形態に係る補助情報付加装置は、板状構造体120,副画像投影機220,画像分離手段300という3つの構成要素からなる。この装置の機能は、上述した第1の実施形態の装置と全く同様であり、観察位置E1〜E3から観察可能な位置に置かれた被観察体10について、観察位置E1,E3から観察した場合には、この被観察体10からなる主画像11に補助情報からなる副画像12が重畳された合成画像が観察され、観察位置E2(カメラCが配置されている)から観察した場合には、被観察体10からなる主画像11のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加することにある。
この実施形態でも、板状構造体120は、被観察体10から供給された第1の光L1の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された構成要素であり、その内部を通して、各観察位置E1〜E3から被観察体10を観察できるように、各観察位置E1〜E3と被観察体10との間に配置されている。
一方、副画像投影機220は、第1の光L1とは偏光特性が相違する第2の光L2を、板状構造体120に対して供給することにより、板状構造体120上に副画像を投影する機能をもった構成要素である。また、画像分離手段300は、第1の実施形態と同様に、板状構造体120から観察位置E2に至る光路上に配置された構成要素であり、上記偏光特性の相違を利用して第1の光L1と第2の光L2とを分離し、第1の光L1のみを観察位置E2へ導く機能を有する。
この第2の実施形態の場合は、板状構造体120の主面に、副画像が投影像として形成されることになる。すなわち、板状構造体120は、副画像の投影像を投影するためのスクリーンとして機能する。図6に示す板状構造体120に示された「ABC」という文字は、このようにして形成された投影像を示している。したがって、この第2の実施形態に用いられる板状構造体120は、副画像投影機220から供給された第2の光L2に基づいて、その主面上に投影像からなる副画像を形成する光学的性質を有している必要がある。図示のとおり、この投影像から発せられた第2の光L2が、各観察位置E1〜E3に向かうことになる。
このように、副画像投影機220から供給された第2の光L2に基づいて、その主面上に投影像からなる副画像を形成する光学的性質を有する板状構造体120の典型例は、半透明スクリーンである。板状構造体120は、被観察体10からの第1の光L1を透過させる性質を有する必要があるので、板状構造体120として、通常の投影用スクリーンを用いることはできない。半透明スクリーンであれば、入射した光の一部を透過し、一部を散乱する光学的性質を有しているので、この第2の実施形態における板状構造体120として利用することができる。すなわち、被観察体10から放出された第1の光L1の一部は、この半透明スクリーンを透過して各観察位置E1〜E3へと向かい、副画像投影機220から放出された第2の光L2の一部は、この半透明スクリーンで散乱して投影像を形成し、やはり各観察位置E1〜E3へと向かうことになる。
この第2の実施形態における板状構造体120として、実用上、より好ましい構成要素は、第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を多方向へ散乱させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体である。上述した半透明スクリーンの場合、透過率を高めれば、主画像11の光量は十分になるが、副画像12の光量は不足することになり、逆に、透過率を低くすると、副画像12の光量は十分になるが、主画像11の光量は不足することになり、二律背反という問題が生じる。これに対して、干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体を用いると、記録する干渉縞に応じて、入射角に依存した選択性を与えることが可能になるので、主画像11および副画像12の双方ともに十分な光量を確保することが可能になる。
このような光学的性質をもったホログラム記録媒体は、一般に、ホログラムスクリーンとして知られており、前掲の各特許文献1〜3に開示されている技術も、このホログラムスクリーンを用いたものである。§3の第1の実施形態で述べたホログラフィックコンバイナも、この第2の実施形態で述べるホログラムスクリーンも、いずれも「第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を回折させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体」というべき光学素子であり、入射角度に応じて、異なるふるまいをする光学素子という点でも共通する。
しかしながら、前者の場合は、第2の角度範囲で入射した光を規則正しく回折させるため、規則正しい干渉縞パターンが記録されたホログラム記録媒体であり、図5に示すように、副画像源210の位置に存在する副画像からの光を所定の規則に従って各観察位置E1〜E3へ回折させる機能を有しており、板状構造体110上に像が形成されるわけではない。これに対して、後者の場合は、第2の角度範囲で入射した光を所望の角度範囲に散乱させるための干渉縞パターンが記録されたホログラム記録媒体であり、図6に示すように、副画像投影機220からの投影光に基づいて、板状構造体120上に投影像が形成されることになる。このホログラムスクリーンは、たとえば、表面にランダムな微小凹凸が形成された拡散板のホログラム像を媒体上に記録することによって作成することができ、副画像投影機220からの投影光を各部で散乱させる機能を果たす。
このホログラムスクリーンの場合も、ホログラム媒体で起こる光学現象が入射角に依存することになる。ここで、どの角度範囲で入射した光がそのまま透過し、どの角度範囲で入射した光が多方向回折(散乱)するか、という事項は、当該ホログラム記録媒体に記録されている干渉縞パターンに依存して定まる事項ということになる。具体的には、当該記録媒体に干渉縞パターンを記録する際の物体光や参照光の角度によって決定される事項ということになる。また、§3で述べたとおり、第1の角度範囲や第2の角度範囲には、絶対的な境界が存在するわけではなく、実際には、透過する成分と回折する成分との割合が入射角に応じて変化することになる。
そこでたとえば、入射角0°〜45°の角度範囲(第1の角度範囲)で入射した光については、多くの成分が透過し、入射角60°〜80°の角度範囲(第2の角度範囲)で入射した光については、多くの成分が多方向回折(散乱)する、というような光学的特性をもったホログラム記録媒体を作成すれば、板状構造体220として利用することが可能である。この場合、図6において、被観察体10からの第1の光L1の入射角は、ほぼ第1の角度範囲(0°〜45°)となるのでそのまま透過することになる。一方、副画像投影機220の配置を工夫して、この副画像投影機220からの投影光の入射角が第2の角度範囲(60°〜80°)となるように設定しておけば、これらの光は多方向回折(散乱)して、各観察位置E1〜E3へと向かうようになる。
結局、このような光学的性質をもったホログラム記録媒体(第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を多方向回折(散乱)させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体:いわゆるホログラムスクリーン)を板状構造体120として用いる場合は、被観察体10から各観察位置E1〜E3へ向かう第1の光L1が、板状構造体120に対して第1の角度範囲で入射し、副画像投影機220からの第2の光が、板状構造体120に対して第2の角度範囲で入射するように、板状構造体110および副画像投影機220を配置すればよい。
このように、ホログラムスクリーンを板状構造体120として用いた場合、被観察体10からの第1の光L1に関しては、板状構造体120は透明な板として機能するが、副画像投影機220からの第2の光L2に関しては、板状構造体120は散乱板として機能することになり、主面に投影像が得られることになる。このような投影像は、副画像投影機220を、板状構造体120のどちら側に配置しても得ることが可能であるので、図6に示すように、板状構造体120の手前側(視点位置側)に副画像投影機220を配置する構成にしてもよいし、逆側に配置する構成にしてもよい。
なお、副画像投影機220としては、スクリーンとして機能する板状構造体120上に副画像の投影像を投影することのできる投影機であれば、どのような投影機を用いてもかまわない。
ただ、本発明では、この副画像を提示するための第2の光L2は、主画像を提示するための第1の光L1と偏光特性が異なる光であるという条件が必要になる。そこで、被観察体10からの第1の光L1が通常光である場合には、副画像投影機220からの投影光L2に固有の偏光特性を与えておく必要がある。したがって固有の偏光特性をもたない通常光からなる投影光を発生する投影機を用いた場合には、投影光を偏光板に通して、固有の偏光特性をもった光にする必要がある。
もっとも、現在、投影機としては液晶プロジェクタが主として利用されており、実用上は、この液晶プロジェクタが副画像投影機220として最も適した投影機である。この液晶プロジェクタから放出される投影光は、液晶の性質上、直線偏光がかかった光になる。したがって、液晶プロジェクタは単独で副画像投影機220としての機能を果たすことができ、液晶プロジェクタを副画像投影機220として利用する場合は、偏光板などを設ける必要はない。
<<< §5.本発明の第3の実施形態 >>>
図7は、本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。この実施形態の特徴は、発光機能を有する板状構造体130を用いて副画像の合成を行う点である。図示のとおり、この第3の実施形態に係る補助情報付加装置は、板状構造体130と画像分離手段300とによって構成されている。ここで、板状構造体130は、これまでの実施形態とは異なり、自分自身で発光する機能を有しており、図3に示すシステムにおける板状構造体100と画像合成手段200との双方の機能を兼ね備えた構成要素に相当する。
この装置の機能は、これまでに述べた各実施形態の装置と全く同様であり、観察位置E1〜E3から観察可能な位置に置かれた被観察体10について、観察位置E1,E3から観察した場合には、この被観察体10からなる主画像11に補助情報からなる副画像12が重畳された合成画像が観察され、観察位置E2(カメラCが配置されている)から観察した場合には、被観察体10からなる主画像11のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加することにある。
この実施形態の場合も、板状構造体130は、被観察体10から供給された第1の光L1の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された構成要素であり、その内部を通して、各観察位置E1〜E3から被観察体10を観察できるように、各観察位置E1〜E3と被観察体10との間に配置されている。この板状構造体130は、更に、その主面のうち、提示すべき副画像を形成するための特定の領域から、第1の光L1とは偏光特性が相違し、かつ、各観察位置E1〜E3へ向かう第2の光L2を発生させる機能を有している。したがって、§3で述べた第1の実施形態で用いた副画像源210や、§4で述べた第2の実施形態で用いた副画像投影機220を別個に設ける必要はない。
一方、画像分離手段300は、これまでの各実施形態と同様に、板状構造体130から観察位置E2に至る光路上に配置された構成要素であり、上記偏光特性の相違を利用して第1の光L1と第2の光L2とを分離し、第1の光L1のみを観察位置E2へ導く機能を有する。
図7に示す例では、板状構造体130は、その右下の一部の領域、すなわち「ABC」
なる文字に相当する領域が光っており、この領域から第2の光L2が放出されていることになる。この例では、第2の光L2は、少なくとも各観察位置E1〜E3へ向かう方向に放出されており、しかも第1の光L1とは、偏光特性が異なる光となっている。
このような光学的特性をもった板状構造体130は、たとえば、側面から導入した光を、主面の所望の位置から直線偏光のかかった回折光として放出する機能をもった板状回折素子と、この板状回折素子の側面に光を導入させる光導入手段と、によって構成することができる。
図8は、上述した板状構造体130の具体的な構成例を示す分解斜視図である。図示の板状構造体130は、液晶本体層131,光導入手段132,第1の透明板133,第2の透明板134によって構成されている。ここでは、説明の便宜上、図示のようにXY座標系を定義すると、第1の透明板133および第2の透明板134は、いずれもXY平面に平行となるように所定間隔を置いて配置されている。そして、液晶本体層131は、これら両透明板133,134の間の板状領域に充填された液晶(板状構造体130に後述する機能を果たさせるのに適した液晶)からなる層である。図では、便宜上、第1の透明板133,液晶本体層131,第2の透明板134を分離して示してあるが、実際にはこれら3層は相互に接合され、1枚の板状回折素子を構成することになる(実際には、液晶本体層131の4つの側面に接する構造壁も必要になるが、図示は省略する)。
第1の透明板133の表面には、図示のとおり、X軸方向に平行な多数の透明線状電極Exが形成されており、第2の透明板134の表面には、図示のとおり、Y軸方向に平行な多数の透明線状電極Eyが形成されている。たとえば、第1の透明板133および第2の透明板134をガラス板によって構成し、透明線状電極ExおよびEyを、このガラス板上に形成した線状のITO層によって構成すれば、第1の透明板133,液晶本体層131,第2の透明板134の3層からなる板状回折素子は、全体としてほぼ透明な板状構造体になる。
一方、光導入手段132は、この板状回折素子の側面、より具体的には、液晶本体層131の側面に光を導入させる機能を有している。光導入手段132は、図8では、単なるブロック図として示されているが、具体的には、たとえば、LEDなどの光源と、この光源によって発生した光を液晶本体層131の側面まで導く導光路とによって構成することができる。要するに、液晶本体層131の側面に光を導入させることができれば、光導入手段132はどのような構造のものであってもかまわない。
図示のような板状回折素子に、その側面から光を導入したとしても、通常の状態では、導入された光が主面(XY平面に平行な面)から放出されることはない。しかしながら、
第1の透明板133側に形成されている多数の電極Exのうちの特定の透明線状電極と、第2の透明板134側に形成されている多数の電極Eyのうちの特定の透明線状電極と、
を選択し、これら選択された一対の透明線状電極に対して、所定の駆動電圧を印加すると、当該一対の透明線状電極の交点位置において、液晶本体層131内に導入された光が、主面から放出される現象が知られている。これは、所定の駆動電圧の印加により、一対の透明線状電極の交点位置の液晶の状態が変化し、その位置において、光の回折現象が生じるからである。
結局、所望の電極Exと所望の電極Eyとを選択することにより、XY座標系における任意の(x,y)座標位置から、光を放出させることが可能になる。しかも、このようにしてこの板状回折素子の主面の任意の位置(x,y)から放出される光は、直線偏光のかかった光になる。これは、図7に示す第3の実施形態において、板状構造体130として用いるのに好都合である。図7に示す板状構造体130は、その主面のうち、提示すべき副画像を形成するための特定の領域から、各観察位置E1〜E3へ向かう第2の光L2を発生させる機能を有し、しかも、この第2の光L2は、第1の光L1とは偏光特性が相違する光である必要がある。図8に示す板状回折素子は、このような条件をすべて満足することになる。すなわち、被観察体10からの第1の光L1が通常光であることを前提とすれば、図8に示す板状回折素子の主面から放出される直線偏光のかかった光は、第1の光L1とは偏光特性が相違する光となるので、そのまま第2の光L2として利用することが可能になる。
このように、図8に示す板状回折素子の場合は、X軸方向に平行な多数の透明線状電極Exと、Y軸方向に平行な多数の透明線状電極Eyとを設け、特定の透明線状電極対を選択することによって、特定の交点位置に駆動電圧を印加できるようにし、当該交点位置から第2の光L2を発生させることができる。結局、個々の交点位置によりドットマトリックスが形成されることになるので、これらドットの集合により所望の副画像を表現することが可能になる。
この図8に示すようなドットマトリックスタイプの板状回折素子では、ドットの解像度で表現できる画像である限り、任意の画像を副画像として表現することが可能になる。ただ、副画像の表現は、必ずしもドットマトリックスタイプの板状回折素子で行う必要はない。たとえば、副画像として提示すべき補助情報が、0〜9までの数字のみを用いて表現できる情報であれば、電卓の液晶パネルなどで利用されているように、数字を構成する個々のセグメントに対応する形状をもった透明電極を形成しておけばよい。
また、図8に示す第1の透明板133および第2の透明板134は、いわゆるパッシブマトリックス基板と呼ぶべき基板であり、図8に示す板状回折素子は、受動素子として機能する素子ということになるが、本発明では、アクティブマトリックス基板を用いることにより、能動素子として機能する板状回折素子を用いることも可能である。
たとえば、第1の透明板側には、XY平面上に二次元マトリックス状に配列された多数の透明な個別電極を形成しておき、しかも、これら個々の個別電極には、それぞれ電圧を制御するための個別の能動素子(たとえば、TFT)を接続しておくようにする。一方、第2の透明板側には、第1の透明板側に形成された個別電極のすべてに対向する透明な共通電極を形成しておくようにする。そして、第1の透明板側に形成された多数の個別電極の中から特定の個別電極を選択し、この選択された特定の個別電極に接続された能動素子を制御すれば、選択された特定の個別電極に対してのみ所定の駆動電圧を印加することが可能になる。したがって、特定の個別電極と共通電極との間に、選択的に所定の駆動電圧を印加することが可能になり、当該選択された特定の個別電極の位置において、液晶本体層内に導入された光を主面から放出させることができる。
以上、電極間に電圧を印加した部分から直線偏光のかかった光が放出される平板状回析素子の例を述べたが、たとえば、HPDLC(ホログラフィック高分子分散型液晶)を用いた平板状回析素子などは、全く逆の駆動方法をとる素子である。すなわち、電圧を印加した部分からの発光はなく、電圧を印加しなかった部分から直線偏光のかかった光が放出されることになる。もちろん、本発明では、このように電圧非印加部から発光するタイプの平板状回析素子を用いてもかまわない。
なお、このような光学的な性質をもった平板状回折素子は、一般に、「液晶ホログラムスイッチング素子」と呼ばれている公知の光学素子であり、たとえば、米国SBG社から「Switchable Bragg Grating」なる商品名で販売されている。
結局、図7に示す板状構造体130は、板状領域に充填された液晶からなる液晶本体層と、この液晶本体層の一方の面側に配置され、表面に第1の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第1の透明板と、この液晶本体層の他方の面側に配置され、表面に第2の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第2の透明板と、を有する板状回折素子と、その側面に光を導入するための光導入手段とによって構成することが可能である。このような板状回折素子では、第1の透明電極および第2の透明電極の間に、所定の駆動電圧を印加することにより、第1の透明電極と第2の透明電極とによって挟まれた領域から、液晶本体層内に導入された光を放出させることができ、しかも、放出された光は、直線偏光がかかった光になる。
<<< §6.画像分離手段の構成例 >>>
最後に、図4〜図7に示す画像分離手段300の具体的な構成例およびその動作を図9の側面図を参照しながら説明する。
既に述べたとおり、画像分離手段300は、主画像を提示するための第1の光L1と副画像を提示するための第2の光L2との偏光特性の相違を利用して両者を分離し、第1の光L1のみを観察位置E2へ導く機能を果たす手段であり、このような機能を果たすことができれば、どのような光学素子を用いてもかまわない。もちろん、実際には、第1の光L1と第2の光L2とを100%完全に分離することは困難であるから、実用上、支障のない精度で、両者を分離することが可能な素子であればよい。
画像分離手段300としての最も単純な光学素子は偏光板である。すなわち、第2の光L2のもつ特定の直線偏光成分の光を遮蔽あるいは反射する性質をもった偏光板を画像分離手段300として用いれば、第1の光L1と第2の光L2との分離が可能である。ただ、本願発明者が行った実験によると、図9に側面図を示すようなコレステリック液晶を用いた偏光分離素子を画像分離手段300の一部として用いた場合に、最も効果的な結果が得られた。図9に示す画像分離手段300は、1/4波長板310と、コレステリック液晶を用いた平板状偏光分離素子320との積層構造体である。
この平板状偏光分離素子320は、コレステリック液晶分子を層状に並べてなる素子であり、しかも各層内での分子の方向が揃い、更に、その方向がある層から次の層に移るたびに少しずつずれてゆくような状態が得られるようにした素子である。このようなコレステリック液晶を用いた偏光分離素子の構造や性質は、たとえば、特開2003−139931号公報に開示されている。この素子の最も顕著な偏光特性は、一方の主面に到達した入射光のうち、左円偏光成分もしくは右円偏光成分の特定の波長成分の光を反射し、残りの光を透過する性質である。どの波長成分の光を反射するかは、液晶の種類や層構造によって定まる。ここでは、630nm近傍の波長成分の光を反射する性質をもった平板状偏光分離素子320を用いたものとして以下の説明を行う。
一方、1/4波長板310は、入射する光が直線偏光であった場合には、これを円偏光に変えて透過させ、入射する光が円偏光であった場合には、これを直線偏光に変えて透過させる性質を有する光学素子として広く知られている。図9に示す画像分離手段300は、この1/4波長板310を、コレステリック液晶を用いた平板状偏光分離素子320に積層させたものである。
いま、この画像分離手段300を図示のとおり斜め45°の位置に配置し、図の下方から白色の通常光からなる入射光Linを入射させたものとする。図9の下方に示すグラフは、この白色入射光Linのスペクトルであり、横軸が波長λ、縦軸が光強度Iを示している。1/4波長板310を透過することにより、この入射光Linに含まれていた光のうちの直線偏光成分は、円偏光成分に変化し、そのうちの630nm近傍の波長成分の光が、平板状偏光分離素子320によって反射し、反射光Lrとして図の左方向へ向かうことになる。この反射光Lrのスペクトルは、図示のとおり、波長630nm近傍の円偏光成分のみとなる。一方、残りの成分は、透過光Ltとして平板状偏光分離素子320を透過する。この透過光Ltのスペクトルは、図示のとおり、波長630nm近傍の円偏光成分が欠けたものになる。
そこで、これまで述べてきた各実施形態において、副画像を提示するための第2の光L2として、波長630nm近傍の直線偏光がかかった光を用いることにして、画像分離手段300として、図9に示す積層構造体を用い、板状構造体100,110,120,130から放出された第2の光L2を、図9に示す白色入射光Linの向きから、この画像分離手段300へと入射させたとしよう。すると、直線偏光がかかった第2の光L2は、1/4波長板310を透過することにより円偏光に変わり、しかも波長630nm近傍の光であるため、平板状偏光分離素子320によって反射し、図示の反射光Lrの方向へと除外されることになる。その結果、図示の透過光Ltの方向へと進む光は、残りの第1の光L1ということになる。
以上、説明の便宜上、第2の光L2として、波長630nm近傍の直線偏光がかかった光を用い、630nm近傍の波長成分の光を反射する性質をもった平板状偏光分離素子320を用いた例を述べたが、これらの波長は用途に応じて任意に選択してかまわない。要するに、第2の光L2として、主として特定波長域に属する波長特性をもった光を用いるようにし、コレステリック液晶を用いた平板状偏光分離素子320として、この特定波長域の円偏光がかかった光を選択的に反射する性質をもった素子を用いるようにし、この平板状偏光分離素子320を透過した光が第2の観察位置E2に導かれるような構成にしておけばよい。もちろん、それぞれ異なる波長成分の光を反射する性質をもった平板状偏光分離素子を複数種類用意し、これらを光路上に順に複数段並べて配置しておくようにすれば、かなり広い波長範囲にわたって、直線偏光がかかった光を除外することも可能になる。
透明もしくは半透明な板状構造体100を通して、3つの観察位置E1〜E3から被観察体10を観察する状態を示す斜視図である。 被観察体10からなる主画像11のみが観察されている状態(図(a) )と、主画像11に副画像12が重ねて観察されている状態(図(b) )とを比較して示す平面図である。 画像合成手段200を用いて、板状構造体100上で主画像(被観察体10の画像)に副画像(文字「ABC」)を合成した状態を示す斜視図である。 画像合成手段200を用いて、板状構造体100上で主画像(被観察体10の画像)に副画像(文字「ABC」)を合成しつつ、視点E2には副画像が提示されないようにする本発明の基本原理を示す斜視図である。 副画像源210を用いて副画像の合成を行う本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。 副画像投影機220を用いて副画像の合成を行う本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。 発光機能を有する板状構造体130を用いて副画像の合成を行う本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。 図7に示す板状構造体130の具体的な構成例を示す分解斜視図である。 図4〜図7に示す画像分離手段300の具体的な構成例およびその動作を示す側面図である。
符号の説明
10:被観察体
11:主画像(被観察体10の画像)
12:副画像(「ABC」なる補助情報の画像)
100:板状構造体(基本原理説明用)
110:板状構造体(第1の実施形態用)
120:板状構造体(第2の実施形態用)
130:板状構造体(第3の実施形態用)
131:液晶本体層
132:光導入手段
133:第1の透明板
134:第2の透明板
200:画像合成手段
210:副画像源
220:副画像投影機
300:画像分離手段
310:1/4波長板
320:コレステリック液晶を用いた平板状偏光分離素子
C:カメラ
E1〜E3:観察位置
Ex:第1の透明線状電極
Ey:第2の透明線状電極
I:光強度
L1:第1の光(主画像を形成するための光)
L2:第2の光(副画像を形成するための光)
Lin:白色入射光
Lr:反射光
Lt:透過光
λ:光の波長

Claims (9)

  1. 第1の観察位置および第2の観察位置の少なくとも2つの観察位置から観察可能な位置に置かれた被観察体について、観察者が前記第1の観察位置から観察した場合には、前記被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像が重畳された合成画像が観察され、観察者が前記第2の観察位置から観察した場合には、前記被観察体からなる主画像のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加する機能をもった装置であって、
    前記被観察体から供給された第1の光の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成された板状構造体と、
    副画像の源となる光であって、前記第1の光とは偏光特性が相違する第2の光を、前記板状構造体に対して供給する副画像源と、
    前記板状構造体から前記第2の観察位置に至る光路上に配置された画像分離手段と、
    を備え、
    前記板状構造体は、その内部を通して、前記第1の観察位置および前記第2の観察位置から前記被観察体を観察できるように、前記各観察位置と前記被観察体との間に配置され、かつ、前記副画像源から供給された前記第2の光を前記各観察位置に向かうように射出する光学的性質を有し、
    前記画像分離手段は、前記偏光特性の相違を利用して前記第1の光と前記第2の光とを分離し、前記第1の光のみを前記第2の観察位置へ導く機能を有し、
    前記副画像源は、副画像として提示すべき外観を有する物体と、この物体から放出される光に固有の偏光特性を与える偏光板と、を有することを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、
    板状構造体として、入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーを用いることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  3. 請求項1に記載の装置において、
    板状構造体として、第1の角度範囲で入射した光をそのまま透過させ、第2の角度範囲で入射した光を回折させる干渉縞パターンを有するホログラム記録媒体を用い、
    被観察体から各観察位置へ向かう第1の光が、前記板状構造体に対して前記第1の角度範囲で入射し、副画像源からの第2の光が、前記板状構造体に対して前記第2の角度範囲で入射するように、前記板状構造体および前記副画像源を配置したことを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  4. 第1の観察位置および第2の観察位置の少なくとも2つの観察位置から観察可能な位置に置かれた被観察体について、観察者が前記第1の観察位置から観察した場合には、前記被観察体からなる主画像に補助情報からなる副画像が重畳された合成画像が観察され、観察者が前記第2の観察位置から観察した場合には、前記被観察体からなる主画像のみが観察されるように、被観察体へ補助情報を付加する機能をもった装置であって、
    前記被観察体から供給された第1の光の全部もしくは一部が透過するように、透明もしくは半透明な材料から構成され、副画像を形成するための特定の領域から、前記第1の光とは偏光特性が相違し、かつ、前記各観察位置へ向かう第2の光を発生させる機能をもった板状構造体と、
    前記板状構造体から前記第2の観察位置に至る光路上に配置された画像分離手段と、
    を備え、
    前記板状構造体は、その内部を通して、前記第1の観察位置および前記第2の観察位置から前記被観察体を観察できるように、前記各観察位置と前記被観察体との間に配置され、
    前記画像分離手段は、前記偏光特性の相違を利用して前記第1の光と前記第2の光とを分離し、前記第1の光のみを前記第2の観察位置へ導く機能を有し、
    前記板状構造体は、
    側面から導入した光を、主面の所望の位置から直線偏光のかかった回折光として放出する機能をもった板状回折素子と、
    この板状回折素子の側面に光を導入させる光導入手段と、
    を有し、
    前記板状回折素子は、
    板状領域に充填された液晶からなる液晶本体層と、
    前記液晶本体層の一方の面側に配置され、表面に第1の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第1の透明板と、
    前記液晶本体層の他方の面側に配置され、表面に第2の透明電極が形成され、全体が透明な板からなる第2の透明板と、
    を有し、前記第1の透明電極および前記第2の透明電極の間に、所定の駆動電圧を印加することにより、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極とによって挟まれた領域から、前記液晶本体層内に導入された光を放出する機能を有することを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、
    第1の透明板および第2の透明板がXY平面に平行となるように配置され、
    第1の透明電極が、X軸方向に平行な多数の透明線状電極から形成され、
    第2の透明電極が、Y軸方向に平行な多数の透明線状電極から形成され、
    第1の透明電極を構成する特定の透明線状電極と、第2の透明電極を構成する特定の透明線状電極と、を選択し、これら選択された一対の透明線状電極に対して、所定の駆動電圧を印加することにより、前記一対の透明線状電極の交点位置において、液晶本体層内に導入された光が放出されるようにすることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  6. 請求項4に記載の装置において、
    第1の透明板および第2の透明板がXY平面に平行となるように配置され、
    第1の透明電極が、XY平面上に二次元マトリックス状に配列された多数の個別電極から形成され、これら個々の個別電極には、それぞれ電圧を制御するための個別の能動素子が接続されており、
    第2の透明電極が、前記多数の個別電極のすべてに対向する共通電極から構成され、
    前記多数の個別電極の中から特定の個別電極を選択し、この選択された特定の個別電極と前記共通電極との間に、前記能動素子を用いて所定の駆動電圧を印加することにより、前記選択された特定の個別電極の位置において、液晶本体層内に導入された光が放出されるようにすることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の装置において、
    画像分離手段として、コレステリック液晶を用いた偏光分離素子を用いることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の装置において、
    画像分離手段として、コレステリック液晶を用いた板状偏光分離素子と1/4波長板との積層構造体を用いることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
  9. 請求項8に記載の装置において、
    第2の光を特定波長域に属する波長特性をもった光によって構成し、
    コレステリック液晶を用いた板状偏光分離素子として、前記特定波長域の円偏光がかかった光を選択的に反射する性質をもった素子を用いることを特徴とする被観察体への補助情報付加装置。
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