JPH1068906A - ホログラフィック表示装置 - Google Patents

ホログラフィック表示装置

Info

Publication number
JPH1068906A
JPH1068906A JP9142643A JP14264397A JPH1068906A JP H1068906 A JPH1068906 A JP H1068906A JP 9142643 A JP9142643 A JP 9142643A JP 14264397 A JP14264397 A JP 14264397A JP H1068906 A JPH1068906 A JP H1068906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
display
hologram
information
light
displayed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9142643A
Other languages
English (en)
Inventor
Osahito Nakazawa
伯人 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP9142643A priority Critical patent/JPH1068906A/ja
Publication of JPH1068906A publication Critical patent/JPH1068906A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)
  • Instrument Panels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】3次元的に奥行きのある表示が可能な表示装置
を得る。 【解決手段】異なる入射角毎に異なる虚像結像距離を有
するホログラム6に向けて、表示すべき情報を奥行き方
向に複数の層に分類し、発する光の入射角を変える情報
表示源から発せられる光5の入射角を複数の層に対応さ
せて照射し、各入射角に対応した虚像結像位置に虚像を
結像させて情報を3次元表示するホログラフィック表示
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホログラムを用いた
表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータグラフィックス技術
の発展や仮想現実空間の研究の進展により、3次元画像
に対する関心が高まってきている。そして、表示装置と
して完全な3次元像を表示しうるものが望まれている。
【0003】従来の3次元表示装置は、いわゆる2眼式
の表示装置であり、両眼視差や輻輳を利用したものが主
である。すなわち、左右別々の角度から見た異なる映像
を左右両眼が同時に見ることによって認識される現象を
利用している。左右の目に別々の映像を与える手段とし
て、右目用映像、左目用映像を細かい縞状に交互に配置
し、レンティキュラーレンズ板やパララクスバリヤによ
り、それぞれの目にだけ見えるようにしたものが、従来
から一般的に用いられている。ほかに、右目用映像、左
目用映像の偏光または色を変えておき、偏光眼鏡または
色眼鏡により、それぞれの目にだけ見えるようにしたも
のもよく知られている。
【0004】また、ホログラムを利用した方法もある。
ホログラムは3次元像の光と参照光の干渉縞を記録した
ものである。その干渉縞を液晶表示素子などに表示し
て、3次元画像を再生する3次元表示装置も研究されて
いる。ほかに、ホールバーニング効果を用い、3次元像
のホログラムを多重記録した動画ホログラムの基礎的研
究も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のレンティキュラ
ーレンズ板やパララクスバリヤを用いる方式では、3次
元像を視認しうる領域が限られている。その範囲をはず
れると左右の目で見るべき映像が反転し、立体感が狂っ
てしまう現象がある。また、偏光眼鏡または色眼鏡等を
用いる方式では、特別な眼鏡を使用しなければ3次元画
像を見ることができない。
【0006】さらに、上記の両眼視差や輻輳を利用した
方法には別の問題がある。人間が3次元画像を認識する
生理的な要因に、両眼視差や輻輳以外にもう一つ重要な
ものとして調節がある。これは、眼の水晶体レンズの焦
点距離を変えるための筋肉緊張の情報である。2眼式の
表示装置では、両眼視差や輻輳は3次元的な像の距離感
を感ずる。一方、調節機能はレンティキュラーレンズ板
やスクリーンなどの実体への距離感を感じる。そのた
め、両者に距離感のズレが生ずる。これにより、長時間
2眼式の映像を見続けると、疲労を感じたりめまいに似
た感覚を覚える。
【0007】ホログラムを用いる場合は、調節機能と両
眼視差・輻輳とのズレがない3次元画像が得られる利点
がある。ところが、3次元的なイメージを記録したホロ
グラムは静止画像であり、また記録された像しか表示で
きず、任意の像を表示することができない。実験的には
動画ホログラムが実現されているが、その記録時間は短
い。当然ながら、任意の像を表示することができない。
液晶表示装置等で干渉縞を表示する方法も、充分な速度
で干渉縞分布を計算したり、大量の画像データを処理す
ることは困難である。
【0008】ところで、ホログラムを用いた表示装置に
は、種々のものが提案されている。例えば、自動車等の
車両で速度表示などを行うヘッドアップディスプレイ装
置(以下HUDという)があげられる。ホログラムは再
生光が照射されたときに、その表示像が視認できるの
で、透明性を有するホログラムを用いることによって前
方の視界を妨げることなく必要なときに観察者に表示像
を視認させることができる。そのため、ホログラムを用
いた表示装置をHUDに利用することは有効である。
【0009】特開平2−186319号公報には、複数
の異なる表示を同一方向でかつ異なる焦点距離を持つ虚
像として表示する表示システムが示されている。この表
示システムは、所定の入射角で投射される特定波長の画
像信号のみを回折反射光として一定の出射角方向に出射
する反射型ホログラムを、複数種類積層したホログラム
コンバイナを用いている。
【0010】以下に、上記公報に開示された表示システ
ムを詳細に説明する。この表示システムは、複数個の異
なる内容の表示を同一方向に表示するという課題に対
し、複数種類のホログラムを積層したコンバイナを用い
ている。すなわち、上記課題に対し、単に表示面を分割
して複数の表示を配置したものである。
【0011】この場合、相互に関係のない情報を同一方
向に重ねて表示すると、複数の情報が混ざることによっ
て煩わしさが生じる。しかも、個々の情報が区別がしづ
らくなり情報の視認性が著しく劣化する。例えば、上記
公報の実施例にある表示される情報(速度計、油圧計、
液温計)を同一方向に重ねてしまうと、それぞれを独立
に読み取ることは困難である。そのため、この表示シス
テムでは複数個の異なる内容の表示を同一方向に重ねて
表示することはなく、観察者は複数の2次元的な情報を
視認する。
【0012】また、この表示システムでは、入射角θ
1 、波長λ1 の光を出射角Θで回折するホログラムと、
入射角θ2 、波長λ2 の光を出射角Θで回折するホログ
ラムと、入射角θ3 、波長λ3 の光を出射角Θで回折す
るホログラムとを積層したものを用いている。すなわ
ち、入射角θおよび回折波長λがそれぞれ異なるホログ
ラムを用いている。
【0013】そのため、入射角θ1 、θ2 、θ3 に対応
する位置に配置する表示器は、それぞれ異なる波長λ
1 、λ2 、λ3 (実施例ではそれぞれ赤、青、緑の色に
対応する波長を使用)の光を発する異なる種類の表示器
を使用しなければならない。また、同種の表示器を用い
る場合には、異なる波長を得るための手段(実施例では
3種類の透過型ホログラムを使用)を個々の表示器の表
面側に配置しなければならない。そのため、システムが
複雑になり実用的な表示システムを構成することは困難
である。
【0014】さらに、この表示システムでは、ホログラ
ムから虚像までの距離をL1 =2〜3m、L2 =0.5
〜1m、L3 =0〜0.1mとしている。すなわち、各
虚像間の間隔は0.5〜1mである。このように各虚像
間の間隔が大きいと、運転者はすべての表示像を一度に
認識することができず個々の表示に対して眼の焦点調整
をしなければならない。ところが、結像距離が大きく異
なる虚像が同一視線上にあると、観察者は眼の焦点が定
まらず瞬時に情報を読み取ることが困難であるうえ、疲
労やめまいに似た感覚を覚える。特に車両等を運転しな
がら使用する表示システムでは、運行の安全性を損なう
恐れがある。
【0015】この表示システムの表示の機能について考
えると、個々の表示に対して眼の焦点調整をしなければ
ならない。そのため、個々の表示はおのずから独立した
表示にならざるをえず、複数の表示面から構成され全体
として一つの3次元的な像となるような表示を行うこと
はできない。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、光源と表示すべき情
報を表示する表示体とを有し、表示すべき情報を光とし
て発する情報表示源と、前記光を観察者に向けて回折す
るホログラムとを少なくとも備えたホログラフィック表
示装置において、前記ホログラムは、異なる入射角毎に
異なる虚像結像距離を有するホログラムであり、前記表
示すべき情報は、奥行き方向に複数の層に分割された複
数の部分情報からなる3次元的な情報であり、前記複数
の部分情報に対応するように複数の入射角でそれぞれの
部分情報を含む光を前記情報表示源からホログラムに向
けて照射して、前記各入射角に対応した虚像結像位置に
虚像を結像させて情報を3次元的に表示することを特徴
とするホログラフィック表示装置を提供する。
【0017】また、本発明は、光源と表示すべき情報を
表示する表示体とを有し、表示すべき情報を光として発
する情報表示源と、前記光を観察者に向けて回折するホ
ログラムとを少なくとも備えたホログラフィック表示装
置において、前記ホログラムは、異なる波長の入射光毎
に異なる虚像結像距離を有するホログラムであり、前記
表示すべき情報は、奥行き方向に複数の層に分割された
複数の部分情報からなる3次元的な情報であり、前記複
数の部分情報に対応するように複数の波長の光を前記情
報表示源からホログラムに向けて照射して、前記各波長
に対応した虚像結像位置に虚像を結像させて情報を3次
元的に表示することを特徴とするホログラフィック表示
装置を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明をさ
らに詳細に説明する。図1は、本発明のホログラフィッ
ク表示装置の第1の基本構成例を示す概念図(a)およ
びそれに用いる表示体の正面図(b)である。本例は本
発明の原理的な実証を行った例であり、3つの表示面を
持つ3次元表示装置の例である。これは、TFTカラー
液晶表示装置1から発した表示すべき情報を含んだ光5
が、ホログラム6により回折され観察者7に3つの虚像
表示層を持つ虚像8として視認されるシステムである。
図示の8a、8b、8cは、それぞれ表示される3次元
情報の奥行き方向に分けられた層に対応する。なお、奥
行き方向とは、ホログラム6と観察者7とを結ぶ方向で
ある。
【0019】TFTカラー液晶表示装置1の表示面上の
3カ所の表示領域2、2’、2”から発した光は、ホロ
グラム6に対しそれぞれθ1 、θ1 ’、θ1 ”の角度で
入射する。異なる角度で入射した光は、ホログラム6に
よりほぼ同一の方向θ2 に回折され、3つの異なる結像
距離を持つ3次元像となって観察者に視認される。
【0020】観察者が視認する情報は、3つの分割され
たものが合成された情報である。すなわち、表示すべき
3次元情報は、3つの部分情報に分割され、各々表示領
域2、2’、2”から発せられる。各表示領域から発せ
られた光は、それぞれ奥行き方向に分けられた8a、8
b、8cの位置に結像する。
【0021】本例におけるホログラム6の露光方法を図
3に示す。波長可変の色素レーザ10からのレーザ光束
が、ハーフミラー11により2つの光束に分けらる。そ
の後、ミラー12により適宜折り返された後、スペーシ
ャルフィルタ13、14により発散光となる。ガラス基
板15にホログラム感光材料16を貼り付けておき、ホ
ログラム感光材料16に上記2つの光束が照射される。
こうして、2つの光束の干渉縞がホログラム感光材料1
6に記録されホログラム体となる。このように露光され
たホログラム体は、双曲面鏡に相当する機能を有し倍率
を持った反射鏡となる。
【0022】表示像側に対応する光は、光軸に沿って移
動するスペーシャルフィルタ13、13’、13”によ
り発散される。一方、表示装置側に対応する光は、1
4、14’、14”のように位置を変えて設置したスペ
ーシャルフィルタにより、それぞれ入射角を変えて発散
される。入射角によって虚像結像距離の異なるホログラ
ムを作製するには、表示像側スペーシャルフィルタの位
置13、13’、13”に応じて、表示装置側スペーシ
ャルフィルタの位置を14、14’、14”と適宜変え
ればよい。
【0023】実際の露光は以下のとおり実施した。ホロ
グラム感光材料16として、本例では横150mm×縦
100mmの大きさで、厚さが20μmのアクリル系フ
ォトポリマを用い、体積位相型の反射型ホログラム体を
露光した。再生光の入射角(θ1 、θ1 ’、θ1 ”)は
(5°、25°、45°)の3通りであり、回折角θ2
は65°に固定した。
【0024】露光距離は、表示装置側スペーシャルフィ
ルタ(14、14’、14”)からホログラム中心まで
の距離と表示像側スペーシャルフィルタ(13、1
3’、13”)からホログラム感光材料中心までの距離
との組み合わせを、露光用の光の入射角φ1 =5°のと
き(167mm、1000mm)、φ1 ’=25°のと
き(143mm、1000mm)、φ1 ”=45°のと
き(155mm、1000mm)とした。なお、もう一
方の露光用の光の入射角は、φ2 =65°とした。そし
て、それぞれの条件となるようにスペーシャルフィルタ
を都度所定位置に配し、3枚のホログラム体を作製し
た。これらを積層することにより、異なる入射角に対し
異なる虚像結像距離を有するホログラム6を作製した。
【0025】こうして露光したホログラム6に対し、液
晶表示装置1を図1のように配置した。ホログラム6中
心から液晶表示装置1までの距離は、表示領域2、
2’、2”に対応しそれぞれ114mm、100mm、
100mmである。そのときの入射角(θ1 、θ1 ’、
θ1 ”)はそれぞれ(45°、25°、5°)である。
このとき、虚像8はホログラム6から約200mm〜約
300mmの距離に、各々の間隔が約50mmの3つの
虚像表示層を持つ3次元像として表示できた。
【0026】なお、図2はホログラム6を構成する3枚
のホログラム体のうちの1つのホログラム体の回折特性
グラフである。図2のとおり、回折効率には角度依存性
がある。再生光の入射角が5°の場合、ピーク波長は5
61nmでピーク回折効率は95%である。再生光の入
射角が25°の場合の561nmでの効率は6.9%で
ある。両者の効率比は約14倍である。一方、再生光の
入射角が25°の場合、ピーク波長は545nmでピー
ク回折効率は95%である。再生光の入射角が5°の場
合の545nmでの効率は1.2%である。両者の効率
比は約79倍である。このように、効率比が10以上で
あるため、1つの入射角の光に対しては1つのホログラ
ム体だけが選択的に回折するようにできた。その結果、
表示像の奥行き分解能が高く、ボケのない表示像が得ら
れた。
【0027】上述の例では3つの入射角に対応する3つ
の表示面に、緑色単色の像を表示する例を示した。以下
に、3つの入射角に対応する3つの表示面に、カラーの
像を表示する例を示す。本例で用いるホログラムは緑色
(543nm)、赤色(611nm)の光を回折する特
性を有し、緑色、赤色のほかそれらの混色により黄色や
橙色などを表示できる。再生光の入射角θ1 は5°、2
5°、45°の3通りであり、回折角θ2 は65°と共
通にした。表示距離はそれぞれ200mm、250m
m、300mmであり、3つの虚像表示層を持つカラー
の3次元像として表示できるものである。
【0028】ホログラムの作製は以下のように行った。
図3におけるホログラム感光材料16として、本例では
有効領域が横110mm×縦100mmの大きさで、厚
さが20μmのアクリル系フォトポリマを用い、体積位
相型の反射型ホログラムを作製した。露光に用いたレー
ザ光は、色素レーザの575nmとKrレーザの64
7.1nmの光を同軸に重ねたものを用いた。
【0029】露光角度の組み合わせおよび露光距離すな
わち表示装置側スペーシャルフィルタ(14、14’、
14”)からホログラム感光材料中心までの距離と表示
像側スペーシャルフィルタ(13、13’、13”)か
らホログラム感光材料中心までの距離の組み合わせは次
のとおりである。
【0030】再生光の入射角5°用のホログラム体の場
合は、露光用の光の入射角φ1 =−15.8°、φ2
36. 5°、露光距離は表示装置側が160mm、表示
像側が1050mmである。再生光の入射角25°用の
ホログラム体の場合は、露光用の光の入射角φ1 =1
2.9°、φ2 =47.4°、露光距離は表示装置側が
130mm、表示像側はシリンドリカルレンズを用いて
縦方向の距離750mm、横方向の距離225mmとし
た。再生光の入射角45°用のホログラム体の場合は露
光用の光の入射角φ1 =34.8°、φ2 =51.5
°、露光距離は表示装置側が136mm、表示像側はシ
リンドリカルレンズを用いて縦方向の距離650mm、
横方向の距離260mmとした。
【0031】それぞれの条件で露光した3枚のホログラ
ム体を積層することにより、異なる入射角に対し異なる
虚像結像距離を持つホログラム6を作製した。回折効率
は543nmで約70%、611nmで約50%であっ
た。このようにして露光したホログラム6に対しTFT
カラー液晶表示装置1を図1のように配置した。ホログ
ラム6中心から液晶表示装置1までの距離は、表示領域
2、2’、2”に対応しそれぞれ114mm、100m
m、100mmである。そのときの入射角はそれぞれ4
5°、25°、5°である。このとき、虚像8はホログ
ラム6からそれぞれ約300mm、250mm、200
mmの距離に間隔約50mmの3つの虚像表示層を持つ
3次元像として表示できた。
【0032】それぞれのホログラムは所定の入射角にお
いて、液晶表示装置のバックライトである冷陰極管の発
光波長543nmと611nmの光を回折するため、
緑、赤および混色により黄色や橙色のカラー表示ができ
た。こうして、3つの入射角に対応する3つの表示面
に、カラーの像を表示するホログラフィック表示装置を
作製できた。
【0033】本例では緑および赤の光を回折するホログ
ラムを用いた例を示したが、波長457.9nmのAr
レーザ光をさらに上述の2つのレーザ光に同軸に重ねて
同一の光学配置で露光すれば、所定の角度において約4
33nmの光を回折することが可能となり、青色も含め
たフルカラーの表示像を3つの入射角に対応する3つの
表示面に表示するホログラフィック表示装置を作製でき
る。
【0034】上記2例のホログラフィック表示装置は、
複数の入射角からの光を回折し観察者に虚像として視認
させるものである。そして、その虚像結像距離は異なる
入射角に対し、それぞれ異なる。そのため、入射角を変
えてホログラムに光を照射することによって、3次元的
に奥行きのある虚像が表示可能となる。
【0035】言い換えれば、表示したい3次元的な領域
を、断層写真のように奥行き方向に複数の層を重ねたも
のと考え、異なる入射角の情報を含む光をそのホログラ
ムへの入射角毎に各層に対応させる。そして、異なる入
射角で光をホログラムに照射することによって、それぞ
れの入射角に対応する虚像結像距離を持ったホログラム
で入射光が回折され、3次元的な像として表示できる。
【0036】図4は、本発明のホログラフィック表示装
置の第2の基本構成例を示す概念図である。本例は本発
明の原理的な実証を行った例であり、5つの虚像表示層
を持つ3次元表示装置の例である。具体的には、白色光
を発するハロゲンランプ41から発した光がコリメータ
レンズ42で平行化され、透過型カラー液晶表示素子か
らなる表示体43および干渉フィルタ44を通過し、表
示すべき情報を含んだ光45となる。この光45がホロ
グラム46により回折され、観察者7に5つの虚像表示
層を持つ虚像48として視認される。なお、図示の48
a、48b、48c、・・・は、それぞれ表示される3
次元情報の奥行き方向に分けられた層に対応する。
【0037】表示体43には5つの虚像表示層のそれぞ
れに対応する各断面の表示像が、制御装置によって順次
伝達される。一方、干渉フィルタ44は、光軸に対する
角度が周期的に変わるように回動する機構が制御装置に
連動して設けてある。図5に光軸の垂直面に対する干渉
フィルタ面の角度と透過中心波長のスペクトルとの関係
を示す。角度によって透過波長を制御でき、波長選択可
能なことがわかる。光軸に対して垂直の場合の透過波長
は約564nmであり、波長半値幅は約3nmである。
本例ではスペースの関係で干渉フィルタ44を表示体4
3の後に配置したが、この順番は逆でもよい。
【0038】こうして発せられた情報を含む光45は、
ホログラム46で回折される。ホログラム46の回折ス
ペクトルは、図6に示すとおり5本の回折ピークを有す
る。各回折ピークは、異なる表示距離を持つホログラム
に対応している。波長選択可能な干渉フィルタ44によ
り特定の波長となった光45は、ホログラムの5つのピ
ークのうち対応する波長のホログラムにより回折され、
対応する結像距離を持つ虚像として結像し、観察者7に
3次元像として視認される。情報を含む光45のホログ
ラムに対する入射角θ1 と回折角θ2 とは、表示装置の
構成や表面反射像を回避する条件などから決定される。
【0039】本例におけるホログラム46の露光方法を
図7に示す。波長可変の色素レーザ10からのレーザ光
束が、ハーフミラー11により2つの光束に分けらる。
その後、ミラー12により適宜折り返された後、スペー
シャルフィルタ13、14により発散光となる。ガラス
基板15にホログラム感光材料16を貼り付けておき、
ホログラム感光材料16に上記2つの光束が照射され
る。こうして、2つの光束の干渉縞が感光材料16に記
録されホログラム体となる。このように露光されたホロ
グラム体は、双曲面鏡に相当する機能を有し倍率を持っ
た反射鏡となる。
【0040】光源側に対応する光は、位置固定のスペー
シャルフィルタ14により発散される。一方、虚像側に
対応する光は、光軸に沿って13、13’、13”のよ
うに移動可能なスペーシャルフィルタ13により発散さ
れる。それぞれの距離の比R1 /R2 が倍率に相当す
る。回折波長によって虚像結像距離の異なるホログラム
を作製するには、可動スペーシャルフィルタの位置1
3、13’、13”に応じて、色素レーザの波長をλ、
λ’、λ”と変えればよい。本例では5つの波長および
スペーシャルフィルタの位置で露光を行った。図の簡略
化のため、図7では3点のみを図示している。
【0041】実際の露光は以下のとおり実施した。ホロ
グラム感光材料16として、本例では横150mm×縦
150mmの大きさで、厚さが20μmのアクリル系フ
ォトポリマを用い、体積位相型の反射型ホログラムを露
光した。再生光の入射角θ1は40°、回折角θ2 は6
0°である。露光距離R2 は360mmに固定し、R1
とλとの組み合わせを、それぞれ(1575mm、54
8.0nm)、(1685mm、553.5nm)、
(1800mm、559.0nm)、(1924mm、
564.5nm)、(2057mm、570.0nm)
とした。
【0042】表示体43をこうして露光したホログラム
46から300mmの位置に配置すると、虚像48はホ
ログラム46から約840mm〜約960mmの距離に
間隔約30mmの5つの虚像表示層として表示できた。
【0043】具体的には、以下のように表示を行う。干
渉フィルタ44を回動すると、その傾き角に応じて透過
光の波長が変わる。ホログラム46は、入射光の波長に
応じて異なる虚像結像距離を有する。そのため、フィル
タの回動のタイミングに同期して表示体43の表示内容
を制御手段によって変えれば、奥行き方向の距離の異な
る位置に所望の表示像を結像できる。例えば、フィルタ
の傾きが0°のときは約563nmの光が透過し、虚像
は約960mmの位置に結像する。そこで、表示体43
に一番奥の面に対応する表示をさせればよい。フィルタ
の傾きが16°のときは約552nmの光が透過し、虚
像は約900mmの位置に結像する。そこで、液晶表示
素子に中間の面に対応する表示をさせればよい。フィル
タの傾きが23.5°のときは約539nmの光が透過
し、虚像は約840mmの位置に結像する。そこで、液
晶表示素子に一番手前の面に対応する表示をさせればよ
い。
【0044】なお、フィルタの動きを人間の目の残像が
生ずるほどの周期になるような高速で行えば、すべての
距離の表示が同時に見えるようになるため、3次元的な
物体などの表示に適する。また、フィルタをゆっくり回
動すれば、間欠的な動きを表現できる。これは、警告表
示を奥から手前に順次近づけるような表示、直進矢印を
手前から奥に順次遠ざけるような表示に適した方法であ
る。
【0045】図5からわかるとおり干渉フィルタを傾け
再生光を短波長にすると、その透過率は次第に減少す
る。したがって、短波長ほど表示像が暗くなる傾向があ
る。そこで本例では、視認性のよい手前側の表示像を暗
めに、視認性の劣る奥側の像を明るめにするよう、短波
長から長波長になるに従い表示像の結像距離が長くなる
ように配置した。また、必要に応じてフィルタの透過率
の増減を補正するように光源の輝度を同期して変化させ
てもよい。
【0046】本例のホログラフィック表示装置は、複数
の波長の光を回折し観察者に虚像として視認させるもの
である。そして、その虚像結像距離が異なる波長に対し
てはそれぞれ異なる。そのため、波長を変えてホログラ
ムに照射することによって、3次元的に奥行きのある虚
像が表示可能となる。
【0047】言い換えれば、表示したい3次元的な領域
を、断層写真のように奥行き方向に複数の層を重ねたも
のと考え、情報を含む光の波長を異なる波長毎にこの層
に対応させる。そして、異なる波長の光をホログラムに
照射することによって、それぞれの波長に対応する虚像
結像距離を持った入射光がホログラムで回折され、3次
元的な像として表示できる。
【0048】本発明において、ホログラム感光材料に
は、ポリビニルカルバゾールやアクリル系などのフォト
ポリマ、重クロム酸ゼラチン、光レジスト、銀塩など種
々の感光材料を使用できる。このようなホログラムは通
常数10mmから数100mm角程度の面積で、数μm
から数10μm程度の厚みである。このようなホログラ
ムは、リップマンタイプ等の体積・位相型のホログラム
が高い回折効率を得られるという点で望ましいが、エン
ボスタイプ、レインボータイプ等のホログラムと呼ばれ
るものも広く使用できる。
【0049】第1の基本構成例に用いるホログラムとし
ては、1つの感光材料に異なる虚像結像距離を持つ複数
のホログラム体を、それぞれ露光角度を変えて多重露光
したものでもよく、異なる露光角度で露光した異なる虚
像結像距離を持つホログラム体を複数積層してもよい。
また、多重露光したホログラム体をさらに積層してもよ
い。
【0050】また、ポリマ中に有機色素分子をドープし
たり、結晶中に希土類イオンをドープしたいわゆるホー
ルバーニング媒体に、異なる虚像結像距離を有するホロ
グラムが作製されるように、露光角度を変えて多重露光
してもよい。ホールバーニング媒体に多重露光する場合
の多重度は、材料の持つ不均一波長幅と均一波長幅との
比で与えられる。材料によって異なるが、100〜10
000000程度のきわめて大きな多重度が実現できる
ため、奥行き方向の分解能の高い3次元表示が期待でき
る。
【0051】この際、露光角度の順番と虚像結像距離の
順番とは、3次元像表示を効率よく行うために露光角度
の順番に虚像結像距離を順に変えていくことが望まし
い。
【0052】個々のホログラム体の回折効率には、入射
角依存性があることが好ましい。また、個々のホログラ
ム体においては、所定の角度で入射した場合の回折効率
が、他のホログラム体に対応する別の入射角で入射した
場合の回折効率の10倍以上であることが望ましい。こ
れは、表示像の奥行き分解能を上げて像がボケないよう
にするためには、1つの入射角の光に対しては1つのホ
ログラム体だけが選択的に回折することが望ましいから
である。
【0053】第2の基本構成例に用いるホログラムとし
ては、1つの感光材料に異なる虚像結像距離を持つ複数
のホログラム体をそれぞれ露光波長を変えて多重露光し
たものでもよく、異なる波長で露光した異なる虚像結像
距離を持つホログラム体を複数積層してもよい。また、
多重露光したホログラム体をさらに積層してもよい。ま
た、前述のホールバーニング媒体に、異なる虚像結像距
離を持つホログラムが作製されるように、露光波長を変
えて多重露光してもよい。この際、露光波長の順番と虚
像結像距離の順番とは、3次元像表示を効率よく行うた
めに露光波長の順番に虚像結像距離を順に変えていくこ
とが望ましい。
【0054】本発明における情報表示源は、光源と表示
すべき情報を表示する表示体とを少なくとも備えてい
る。光源としては、あらゆる光源が利用できる。熱陰極
管、冷陰極管、蛍光表示管、ハロゲンランプ、発光ダイ
オード、半導体レーザ、メタルハライドランプなどから
なる光源が利用できる。
【0055】なお、第2の基本構成例における光源に
は、波長可変の光源が用いられる。波長可変の光源には
様々なものが考えられる。例えば、広い波長帯域を持つ
光源と異なる中心波長を持つ複数の干渉フィルタとの組
み合わせが考えられる。複数の干渉フィルタをその中心
波長の順に適宜配置し、周期的に広帯域光源の前に位置
するように動かせばよい。その配置は直線状でもよい
が、駆動機構の簡易化、スペースの低減等の観点から、
回転する円盤の周にそって波長の順に配列することが好
ましい。
【0056】また、広い波長帯域を持つ光源と干渉フィ
ルタとからなり、光に対する干渉フィルタの傾きを周期
的に変化させることにより、干渉フィルタの中心波長を
変化させるものであってもよい。干渉フィルタの中心波
長は、一般に光がフィルタに対し垂直に入射する場合が
一番長く、斜めにすると短波長化する。したがって、干
渉フィルタの傾きを周期的に変化させると、透過する波
長は長波長→短波長→長波長のように変化する。
【0057】波長可変の光源には、以下のような連続的
に波長を変化させられる波長可変のレーザが好ましく利
用できる。発振波長帯域が広く波長選択機能を持つレー
ザ光源としては、蛍光色素を有機溶剤に溶かした溶液を
レーザ媒体として用いる色素レーザや、Tiドープのサ
ファイヤやCrドープのガーネット、アレキサンドライ
ト、エメラルドなどをレーザ媒体とする波長可変固体レ
ーザがある。これらのレーザは、発振波長を広い範囲で
連続的に変化させることができる。波長選択素子には、
回折格子や複屈折フィルタ等を用いる。光出力も大きく
実用的な光源といえる。その他の波長可変レーザ光源と
しては、アルカリハライド結晶を用いたカラーセンター
レーザや自由電子レーザなどがある。一方、半導体レー
ザでも、動作電流の制御により波長を変化させることが
できる。その変化幅は狭いが、レーザのサイズが非常に
小型であるという利点がある。
【0058】上記のような連続波長可変レーザだけでな
く、飛び飛びに波長を変えられる光源も使用できる。例
えば、Arイオンレーザ、Krイオンレーザなどの希ガ
スイオンレーザは可視、紫外領域に多数本の発振線を持
つ。Arイオンレーザでは青緑領域に458、466、
476、488、497、515、523nmなどの発
振線がある。これらの発振波長をレーザ共振器内の波長
選択プリズムにより適宜選択すれば、波長可変光源とし
て使用できる。
【0059】その他に、若干性質は異なるが、非線形光
学結晶を用いて波長を変換したレーザ光源も利用でき
る。KDP、ADP、BBO結晶などを用いた高次高調
波や、LiNbO3 結晶などを用いたパラメトリック発
振などを用いてもよい。
【0060】複数のホログラム体の各回折ピークの波長
半値幅は、各ホログラム体の回折波長間隔より狭いこと
が望ましい。また、波長可変光源が発する光は前記複数
のホログラム体の各回折波長に対応しており、その発す
る光の波長半値幅は各ホログラム体の回折波長間隔より
狭いことが望ましい。これは、表示像の奥行き分解能を
上げて像がボケないようにするためには、1つの波長帯
域の光に対しては1つのホログラム体だけが選択的に回
折することが望ましいからである。
【0061】本発明において、表示すべき情報を表示す
る表示体としては、液晶表示素子等のいわゆる受光型表
示素子が好ましく使用できる。例えば、透過型のツイス
トネマチック型液晶表示素子や、スーパーツイストネマ
チック型液晶表示素子などが好ましい。また、カラーフ
ィルタと組み合わせたカラー液晶表示素子等が好ましく
使用できる。
【0062】それとは別に、受光型表示素子を用いず、
上記の光源自体をドットマトリックス状に配列し、情報
を光として発するものであってもよい。例えば、プラズ
マディスプレイ、蛍光表示管、有機EL素子、フィール
ドエミッション素子などが考えられる。
【0063】光源と表示体との間、また情報表示源とホ
ログラムとの間には、必要に応じてレンズ系や曲面反射
鏡等の適当な光平行化手段、導光板等の適当な導光手
段、光偏光手段、または、KNO3 等の非線形光学素子
を配置してもよい。
【0064】第1の基本構成例に用いる情報表示源の構
成には、ホログラムの複数の入射角に対応する位置に合
わせて配置された、複数個の光源と表示体との組み合わ
せを使用できる。例えば、蛍光表示管などの小型の自発
発光型の表示体を複数配置することが考えられる。この
方法は、表示体の数は増えるがそれぞれの表示体の配置
をそれぞれ最適化できる利点がある。
【0065】また、別の方法としては、充分な面積を持
った表示体の表示面をホログラムの複数の入射角に対応
する位置に合わせて領域分割して、各領域毎に情報表示
することもできる。例えば、液晶表示装置の表示面内を
領域分割し、それぞれ別個に表示することが考えられ
る。この方法は少ない表示体で等価的に複数の表示体を
実現できる利点がある。また、両者の方式を組み合わせ
てもよい。
【0066】一般的に、入射角を変えて使用するホログ
ラムは、表示像の拡大倍率が入射角毎に異なることが多
い。そこで、前記複数の表示体または複数の表示領域に
分割された表示体において、各表示体または各表示領域
の表示情報のサイズは、対応するホログラムの表示像拡
大倍率の差を補正するように、独立に制御することが好
ましい。
【0067】本発明において情報表示源に供給される情
報は、表示すべき3次元像の3次元的位置情報および明
るさ、色の情報を有する。特にその情報は表示すべき3
次元映像を断層写真のように奥行き方向に層状に分け、
各層面内での2次元的な位置情報および明るさ、色とい
う形態であることが望ましい。さらに奥行き方向に分け
られた層は、前記ホログラムが有する複数の虚像結像距
離のそれぞれと奥行きの位置関係が対応するように分割
されたものであることが望ましい。なお、このような情
報を表示するためには、第1の基本構成例のように入射
角に応じてホログラムによる虚像結像距離が異なるもの
が好ましい。
【0068】本発明のホログラフィック表示装置による
1つの3次元像の表示は、第1、2の基本構成例につい
て、それぞれ次のように行われる。第1の基本構成例で
は、奥行き方向に層状に分割した各層の情報をそれぞれ
に対応する表示体で同時に表示して、1つの像を合成表
示する方法が望ましい。また、3次元像ではなく、異な
る虚像結像距離を持つ独立した情報を表示してもよい。
そのための方法としては、複数の虚像結像距離に対応す
る複数の表示体または複数の表示領域に、独立した情報
を個別に表示する方法が望ましい。
【0069】第2の基本構成例では、奥行き方向に層状
に分割した各層を時分割的に順次表示し、かつそれを周
期的に繰り返していくことがある。その場合、奥行き方
向のホログラムに近い順または遠い順に順序だって表示
し、すべての層を表示し終えるまでを1周期とする。そ
の際、波長可変光源が発する光の波長も周期的に掃引す
ることが求められる。その周期は奥行き方向に各層をす
べて表示し終えるまでの周期と等しいことが望ましい。
また、表示体が1つの層に対応する情報を表示している
ときには、波長可変光源は一定の波長領域にあり、かつ
その波長は表示すべき層の奥行き方向の位置に対応した
虚像結像距離を持つホログラムの回折波長に対応する。
【0070】この場合、異なる波長の光で回折された虚
像として奥行き方向に分割して表示するため、各虚像の
色調はその波長に対応して異なる。3次元像全体として
の色調が大きく変わらないようにするためには、各虚像
に対応する波長の間隔はできるだけ狭いことが望まし
い。そのためには、ホログラムの波長半値幅および波長
可変光源の波長半値幅はできるだけ狭いことが望まし
い。そこで、波長可変光源として干渉フィルタを用いる
場合は、その透過スペクトルの波長半値幅はできるだけ
狭いことが望ましい。また、レーザのように非常に狭い
波長半値幅を持つものが好ましく利用できる。ホログラ
ムに1つの感光材料に多重露光したものを用いること
は、波長半値幅が狭くなるので望ましい。また、ホール
バーニング媒体では、ホログラムの波長半値幅はその材
料の持つ均一波長幅により決まりきわめて狭いものが実
現できる。
【0071】以上の説明は1つの色調を持つ3次元像の
表示に関するものである。第2の基本構成例のホログラ
フィック表示装置をカラー表示とする場合には、3原色
に対応する赤緑青の各色において、対応する波長領域に
おいて上述のようにできるだけ狭い波長間隔で表示して
いけばよい。
【0072】本発明のホログラフィック表示装置の表示
する内容には、立体テレビジョンのような3次元画像表
示一般が好適である。特に、本発明の原理の観点から、
3次元像を奥行き方向の断層に各々単独では所望の意味
をなさないように分割し、異なる結像距離の虚像に1対
1に表示し、各虚像が合成されることによって所望の意
味をなすような応用が最も好ましい。
【0073】例えば、医療用や科学分析用の各種断層写
真の立体表示装置、航空機用、船舶用、気象用などの各
種レーダ映像の3次元表示装置、3次元位置ポインタ、
3次元地図表示装置、3次元コンピュータグラフィック
ス映像や仮想現実空間表示用のモニタ装置、各種3次元
CAD、シミュレータなどのモニタ装置、3次元ゲーム
装置、3次元的な装飾表示装置など、種々の応用が考え
られる。
【0074】上述のとおり、表示すべき3次元像は複数
に分割され、それぞれが奥行き方向に形成される複数の
層上に虚像として結像される。この場合、各層間の間隔
は、2〜300mmであることが好ましい。これは、そ
れぞれの間隔が大きい(例えば500mm程度)と、同
時にこれらの層に結像された虚像に、同時に焦点を合わ
せることが困難だからである。そのために、重ね合わさ
れてはじめて所望の意味をなす3次元情報を表示する場
合には、表示像の意味を理解できるほどには充分に表示
像を視認できない。さらに、焦点を動かして前方を視認
しようとしても、ホログラムから遠い位置にある層上の
表示像が前方の視認性を妨げるおそれもある。
【0075】一方、各層間の間隔が2〜300mmであ
ると、それぞれの層上の表示像の強調の度合に違いがあ
っても、各層上の表示像を、重ねあわせて理解できるだ
け充分に視認できる。しかも、視認性に富んでいること
により、目の疲労やめまいに似た感覚を覚えるおそれも
低減できる。
【0076】さらに視認性のよい3次元表示像を得るた
めには、最も観察者側に位置する層から最も観察者から
遠い層までの距離が、20〜500mmの範囲にあるこ
とが好ましい。これを実現するためには、3次元像が3
層に分割される場合には、各層間の距離が10〜250
mm、5層に分割される場合には、各層間の距離が5〜
125mmにあることが好ましい。
【0077】次に、本発明の表示装置によって表示され
る表示像について具体例をあげる。表示すべき具体的な
対象には、空間的な大きさを有する3次元物体が例示で
きる。すなわち、3次元物体を奥行き方向の断層に分割
し、各断面内の2次元的構造を異なる結像距離に対応す
る虚像表示層に表示するものである。その場合、表示の
方法は2通りに大別できる。
【0078】一つは、各断面において物体の輪郭に相当
する部分のみを表示し、全体として3次元物体の外側表
面を観察できるようにする方法(方法A)である。他方
は、各断面における内部構造まで含めて表示し、全体と
して内部が透視できる3次元物体として表示する方法
(方法B)である。方法Aと方法Bを併用することもで
きる。
【0079】例えば、方法Aによって図8(a)のよう
なビンを3次元表示する場合、ビンを奥行き方向に図8
(b)、図8(c)、図8(d)のように層状に分割
し、各断面内においてビンの輪郭部分を表示する。具体
的には、奥行き方向に分割する位置と虚像の結像距離の
関係を対応させることが重要である。すなわち、一番手
前の断面である図8(b)の情報は、図1の表示領域
2”に表示することにより、一番手前の虚像表示層8c
に表示される。中間断面の図8(c)は表示領域2’に
表示し、中間の虚像表示層8bに表示される。一番奥の
断面の図8(d)は表示領域2に表示し、一番奥の虚像
表示層8aに表示される。
【0080】このように、奥行き方向に分割した表示を
対応する虚像表示層に表示することにより、全体として
図9((a)は概略斜視図、(b)は概略正面図)のよ
うな3次元像が得られる。この場合、虚像表示層8cと
虚像表示層8bとの間の距離および虚像表示層8bと虚
像表示層8aとの間の距離はともに20mmであった。
【0081】この方法は3次元物体一般に適用できる。
表示虚像表示層の数を多数用いないと充分な3次元像の
表示が困難な物体については、平面ではなく有限の厚み
を持ったブロックに分割し、奥行方向に帯状となる輪郭
を表示してもよい。
【0082】方法Bによる表示には、次のような応用例
があげられる。例えば、人体のように複雑な内部構造を
持つ対象を、2次元的な面内で表示することは一般に困
難である。すべてを一つの面内に表示すれば図10
(a)のように複雑で判別しにくいものになる。そこ
で、断層写真のように奥行き方向に並ぶ各断面毎に分割
して表示することが考えられる。また、単純な断面では
なく構成要素に分割し個々の要素ごとに表示する方法も
考えられる。
【0083】例えば、身体輪郭部(図10(b))、骨
格(図10(c))、内臓器(図10(d))のように
構成要素に分割する。そして、各構成要素毎に表示領域
2、2’、2”に表示すれば、おのおの虚像表示層8
a、8b、8cに各構成要素が表示される。すべてを同
時に表示すれば、図11((a)は概略斜視図、(b)
は概略正面図)のような3次元像が得られる。この場
合、虚像表示層8cと虚像表示層8bとの間の距離およ
び虚像表示層8bと虚像表示層8aとの間の距離はとも
に20mmであった。図11のようにすべての要素が重
なって表示され、それぞれの要素間の位置関係がわか
る。また、身体輪郭部(図10(b))、骨格(図10
(c))のみを表示領域2、2’に表示すれば図12
((a)は概略斜視図、(b)は概略正面図)のように
表示され、骨格の配置がわかる。この場合、内臓器(図
10(d))の面と骨格(図10(c))の面との間の
距離および骨格(図10(c))の面と身体輪郭部(図
10(b))の面との間の距離はともに100mmであ
った。
【0084】このように表示内容を適宜切り替えること
により、複雑な内部構造を持つ対象もわかりやすく表示
できる。この方法も適用範囲が広いが、特に、内部構造
を持つ物体や複数の階層構造を持つ対象の表示に適す
る。例えば、CADなどは好適な応用分野であり、建築
物の内部構造の表示や半導体デバイスのマスク図面や電
気回路基板などを基板、配線部、部品などのように階層
的に分類し表示できる。
【0085】このように、単に異なる表示を複数重ねる
だけではなく、それぞれが関連性を有し全体として一つ
の物体などを構成するものを表示する場合、本発明の表
示装置はその機能を効果的に発揮できる。
【0086】実体を持つ物体だけではなく、3次元的な
空間そのものまたは仮想的な空間や、さらには階層的カ
テゴリーから構成される体系などの抽象的事象の表示に
も、本発明の表示装置を適用できる。
【0087】3次元的な空間または仮想的な空間の例と
しては、立体的地図があげられる。特に俯瞰図のような
奥行き感の表現や地形図のように立体的起伏の表現に適
する。また、海底、地表、大気圏構造のような3次元的
空間の表現にも適する。気象の分野では、平面地図、緯
度経度座標線、雲の分布図、気圧配置図、風速図、地
表、海面温度分布図、海流分布図などを個々の虚像表示
層に示し、各々を重ねたり適宜選択表示することによ
り、相互の関連を含めた高度の情報表示が可能となる。
【0088】抽象的事象の例には種々あるが、例えば奥
行き方向を空間ではなく時間軸に対応させることがあげ
られる。すなわち、より遠方に結像する虚像表示層をよ
り遠い過去に対応づけ、時間の経過を空間的な配置に置
き換えて表示するのである。物理的または経済的現象の
経時的な変化や測定対象物の特性値の変化、または政治
的、経済的事柄の歴史的変化などの表現が可能である。
【0089】階層的カテゴリーから構成される体系の表
現対象は、あらゆる分野に及ぶ。例えば、言語学の分野
では諸言語の関連性や、個別の単語の語源学的な変遷を
表示の奥行き方向への空間的な配置に置き換えて表示す
る応用があげられる。論理学または情報処理分野でも、
アルゴリズムの構成、階層的データベースの構成の表現
が可能である。生物学の分野でも、動植物種の分類学ま
たは進化論的変遷への応用があげられる。
【0090】上記の気象への応用例も、広い意味で階層
的カテゴリーから構成される事象の例である。また、ア
ミューズメントやゲームへの応用も広い可能性を有す
る。例えば、3次元的な五目並べ、ブロック崩しなどの
パズルゲームから、立体的なシューティングゲームなど
への適用が可能である。
【0091】人間への情報伝達手段またはヒューマンイ
ンターフェースとして、本発明の表示装置をとらえる。
奥行き方向を人間の感覚へ対応づけることにより、情報
のより的確でストレスのない伝達が可能な手段であるこ
とがわかる。例えば、事柄の重要度や危険度を奥行き方
向に置き換えて表現することが例示できる。すなわち、
重要度や危険度の低い事柄はより遠方に、高い事柄は手
前に表示することにより、重要度の序列に対する感覚と
遠近の順序に対する感覚が調和するため、違和感がなく
自然で認識しやすい情報伝達が可能になる。
【0092】以上のように、本発明の表示装置を用いれ
ば実体のある3次元物体の表示にとどまらず、抽象的な
事象までも人間の感覚に調和する形態で表示することが
可能である。
【0093】自動車用の表示装置への応用例についてさ
らに詳しく述べる。HUDの経路誘導表示の方法として
は、次のような方法が好適な例としてあげられる。すな
わち、車両の進行と前方の目標地点における方向転換の
様子を、奥行き方向の虚像表示層に対応づけることで、
車両が進行している感覚に適合した経路誘導表示が可能
となる。
【0094】図13のような旗印で指示される車両進行
方向前方の交差点で左折することを示し、運転者を誘導
する場合の表示例を説明する。図1の表示領域2、
2’、2”に、図14(a)〜(d)の表示a〜dを、
図15のチャートで示すようなタイミングで制御装置に
よって制御して表示する。
【0095】すなわち、時間領域1の期間は、表示領域
2に表示aを表示し、表示領域2’には何も表示せず、
表示領域2”にも何も表示しない。次に時間領域2の期
間は、表示領域2に表示aを表示し、表示領域2’には
何も表示せず、表示領域2”には表示cを表示する。ま
た時間領域3の期間は、表示領域2に表示aを表示し、
表示領域2’に表示bを表示し、表示領域2”には表示
cを表示する。さらに時間領域4の期間は、表示領域2
に表示dを表示し、表示領域2’に表示bを表示し、表
示領域2”には表示cを表示する。この時間領域1から
4までの期間を一つの表示周期として繰り返し表示を行
う。
【0096】なお、表示領域2、2’、2”に表示する
パターン図14(a)〜(d)は、最終的に必要な表示
像(図13)に対し左右逆転させている。これはホログ
ラムコンバイナで1度反射するため、表示体上のパター
ンが左右反転して見えるためである。
【0097】これらの表示において、道路および前方矢
印は緑色、旗印および進路変更矢印は赤色で表示し視認
性を高めている。このように得られる表示像は、時間領
域1の期間は図16((a)は概略斜視図、(b)は概
略正面図)のようになる。時間領域2の期間は図17
((a)は概略斜視図、(b)は概略正面図)のように
なる。時間領域3の期間は図18((a)は概略斜視
図、(b)は概略正面図)のようになる。時間領域4の
期間は図19((a)は概略斜視図、(b)は概略正面
図)のようになる。そして、それらが周期的に繰り替え
される。
【0098】運転者にとっては、自車の進行に合わせ矢
印表示が目標の交差点に順次近づき、その交差点におい
て左折する様子を視認できる。こうして、本発明の表示
装置によれば、3次元的な走行空間内における自車の進
行の様子、目標交差点の位置、目標交差点における進路
変更方向を、空間的・ 時間的に順序付けた表示で示すこ
とができる。この場合、表示bの表示虚像表示層と表示
cの表示虚像表示層との間の距離および表示cの表示虚
像表示層と表示a、dの表示虚像表示層との間の距離は
ともに75mmであった。
【0099】また、近年インストゥルメントパネルの計
器板に、虚像式遠視点メータが用いられ始めている。こ
れは、HUDと同様に計器板の読み取り時にも、眼の焦
点位置が運転中の前方視の状態から大きく変わらないよ
うにしたもので、視認性の向上、読み取り時間の短縮を
狙ったものである。本発明の表示装置は、この虚像式遠
視点メータにも好ましく適用できる。
【0100】図20は、本発明のホログラフィック表示
装置を車両のインストゥルメントパネル内に設置した遠
視点メータの例である。図20では、図1と同様の構成
要素について同じ符号を付与してある。
【0101】表示の例として燃料計(図21)をあげ
る。燃料計を文字盤に相当する表示(図22(a))と
指針に相当する表示(図22(b))との2層で表現し
たものである。それぞれを表示体面上の表示領域2、
2’に表示すれば、立体的な燃料計の表示像(図23
((a)は概略斜視図、(b)は概略正面図))が得ら
れる。燃料の残量に応じて図22(b)の指針の角度を
変更すれば、燃料計として機能する。残量が指定値より
少なくなった場合に、表示領域2”に警告表示を示せ
ば、立体的な燃料計の前に警告が現れ、運転者に対しよ
り的確な警告を行えるようになる。この場合、警告表示
の虚像表示層と指針に相当する表示の虚像表示層との間
の距離および指針に相当する表示の虚像表示層と文字盤
に相当する表示の虚像表示層との間の距離はともに50
mmであった。
【0102】ここで、先の例に示した表示システムを、
自動車用HUDに応用した例を示す(図24)。情報表
示源20からの情報を含む光21は、車両の風防ガラス
24に備えられたホログラム22により回折されて、運
転者23により虚像25のような表示像として視認され
る。
【0103】表示像は風防ガラスから約200mm〜約
300mmの距離に、間隔約50mmの3つの虚像表示
層として表示できた。表示内容としては、速度表示、警
告表示、経路誘導表示などを表示した。速度表示は、車
速に応じて虚像結像距離が変わるようにした。また、警
告表示は、運転者から見て周期的に奥から手前に近づい
てくるように移動させて表示した。経路誘導表示は、直
進の矢印と方向転換用の矢印(図24では右折)を表示
し、直進矢印を手前に方向転換矢印を奥に表示した。こ
のように本発明を用いて3次元的な表示を行うことによ
り、より運転感覚にマッチした表示、より視認性のよい
表示を実現でき、車両の運転補助、安全確保に貢献する
HUDを構成できた。
【0104】なお、ホログラム22は風防ガラス24に
備えられるものであり、例えば風防ガラスの表面(車両
外表面)や車両内側表面に備えられてもよいが、特にホ
ログラムの保護の点に鑑みて、本例のように合わせガラ
スである風防ガラスの内部に封入して用いることが好ま
しい。また、ホログラムを風防ガラス外周部の黒セラミ
ック隠蔽部に封入することもでき、輝度の暗い光源を用
いた場合でも背景が暗いためコントラストのよい表示が
実現できる。
【0105】また本例では、複数の入射角に対応する表
示装置または領域をホログラムに対する光の入射回折平
面内に含まれるように配置した。本発明はそのような構
成のみに限定されない。例えば、表示装置を観察者から
見て左右に配置してもよい(図1で見ると紙面に垂直の
方向)。またそれらを組み合わせて表示装置を縦横碁盤
目状に配置したものを用いてもよい。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、複数の入射角または複
数の波長の光をホログラムにより回折し観察者に虚像と
して視認させることができ、その虚像結像距離は異なる
入射角または異なる波長に対してそれぞれ異なる。その
ため、3次元像の奥行きの差を入射角の差にまたは波長
の差に置き換えてホログラムに照射することによって、
3次元的に奥行きのある虚像が表示可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラフィック表示装置の一例を示
す概念図(a)、これに用いる表示体の正面図(b)。
【図2】ホログラムの回折スペクトル図。
【図3】本発明におけるホログラムの露光方法を示す概
念図。
【図4】本発明のホログラフィック表示装置の一例を示
す概念図。
【図5】本発明における干渉フィルタの透過光のスペク
トル図。
【図6】ホログラムの回折スペクトル図。
【図7】本発明におけるホログラムの露光方法を示す概
念図。
【図8】本発明における表示内容の一例を示す分解正面
図。
【図9】図8の表示内容の表示状態の一例を示す概略斜
視図(a)、概略正面図(b)。
【図10】本発明における表示内容の一例を示す分解正
面図。
【図11】図10の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図12】図10の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図13】本発明における表示内容の一例を示す全体正
面図。
【図14】本発明における表示内容の一例を示す分解正
面図。
【図15】図14の表示内容の制御について説明するチ
ャート。
【図16】図14の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図17】図14の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図18】図14の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図19】図14の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図20】本発明のホログラフィック表示装置をメータ
に応用した例を示す概念図。
【図21】本発明における表示内容の一例を示す全体正
面図。
【図22】本発明における表示内容の一例を示す分解正
面図。
【図23】図22の表示内容の表示状態の一例を示す概
略斜視図(a)、概略正面図(b)。
【図24】本発明のホログラフィック表示装置を自動車
用HUDに応用した例を示す概念図。
【符号の説明】
1:液晶表示装置 2〜2”:表示面上の表示領域 5:情報を含む光 6:ホログラム 7:観察者 8:複数の結像距離を持つ虚像から構成される3次元像 10:波長可変色素レーザ 11:ハーフミラー 12:ミラー 13:表示像側スペーシャルフィルタ 14:表示装置側スペーシャルフィルタ 15:ガラス基板 16:ホログラム感光材料 20:情報表示源 21:情報を含む光 22:ホログラム 23:運転者 24:風防ガラス 25:複数の結像距離を持つ虚像から構成される3次元

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と表示すべき情報を表示する表示体と
    を有し、表示すべき情報を光として発する情報表示源
    と、前記光を観察者に向けて回折するホログラムとを少
    なくとも備えたホログラフィック表示装置において、 前記ホログラムは、異なる入射角毎に異なる虚像結像距
    離を有するホログラムであり、 前記表示すべき情報は、奥行き方向に複数の層に分割さ
    れた複数の部分情報からなる3次元的な情報であり、 前記複数の部分情報に対応するように複数の入射角でそ
    れぞれの部分情報を含む光を前記情報表示源からホログ
    ラムに向けて照射して、前記各入射角に対応した虚像結
    像位置に虚像を結像させて情報を3次元的に表示するこ
    とを特徴とするホログラフィック表示装置。
  2. 【請求項2】前記ホログラムは、複数のホログラム体が
    積層されたものであり、 複数のホログラム体は、それぞれその回折効率に入射角
    依存性を有し、 該入射角依存性は、それぞれのホログラム体のピーク回
    折効率を発現させる入射角がほぼそれぞれ前記複数の入
    射角のそれぞれに対応するものであり、 それぞれのホログラム体は、ホログラム体に前記複数の
    入射角のうちの1つの入射各で入射した光の回折効率
    が、前記複数の入射角のうちの残りの入射角で入射した
    光の回折効率の10倍以上となるホログラム体であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のホログラフィック表示装
    置。
  3. 【請求項3】前記情報表示源は、前記複数の入射角に合
    わせて配置された光源と表示体との複数の組み合わせよ
    りなる請求項1または2記載のホログラフィック表示装
    置。
  4. 【請求項4】前記情報表示源は、表示体の表示面を前記
    複数の入射角に対応するように領域分割されてなる請求
    項1または2記載のホログラフィック表示装置。
  5. 【請求項5】光源と表示すべき情報を表示する表示体と
    を有し、表示すべき情報を光として発する情報表示源
    と、前記光を観察者に向けて回折するホログラムとを少
    なくとも備えたホログラフィック表示装置において、 前記ホログラムは、異なる波長の入射光毎に異なる虚像
    結像距離を有するホログラムであり、 前記表示すべき情報は、奥行き方向に複数の層に分割さ
    れた複数の部分情報からなる3次元的な情報であり、 前記複数の部分情報に対応するように複数の波長の光を
    前記情報表示源からホログラムに向けて照射して、前記
    各波長に対応した虚像結像位置に虚像を結像させて情報
    を3次元的に表示することを特徴とするホログラフィッ
    ク表示装置。
  6. 【請求項6】前記各々の虚像結像位置間の間隔は、2〜
    300mmである請求項1〜5のいずれか記載のホログ
    ラフィック表示装置。
  7. 【請求項7】前記情報表示源は、表示すべき3次元情報
    の内容を可変とする制御装置を備えている請求項1〜6
    のいずれか記載のホログラフィック表示装置。
  8. 【請求項8】前記部分情報は、単独では所望の意味をな
    さず、奥行き方向にこれらの複数の部分情報が重ねられ
    て所望の意味をなす情報である請求項1〜7のいずれか
    記載のホログラフィック表示装置。
JP9142643A 1996-05-30 1997-05-30 ホログラフィック表示装置 Pending JPH1068906A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9142643A JPH1068906A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 ホログラフィック表示装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13718796 1996-05-30
JP8-137187 1996-05-31
JP8-139047 1996-05-31
JP13904796 1996-05-31
JP9142643A JPH1068906A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 ホログラフィック表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1068906A true JPH1068906A (ja) 1998-03-10

Family

ID=27317420

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9142643A Pending JPH1068906A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 ホログラフィック表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1068906A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11296056A (ja) * 1998-04-10 1999-10-29 Dainippon Printing Co Ltd 体積ホログラム積層体、および体積ホログラム積層体作製用ラベル
JP2005196530A (ja) * 2004-01-08 2005-07-21 Alpine Electronics Inc 空間入力装置及び空間入力方法
WO2005114337A1 (ja) * 2004-05-21 2005-12-01 Alps Electric Co., Ltd ホログラム装置
WO2006003738A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 立体画像表示システム
WO2006003737A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 立体画像表示システム
JP2008009230A (ja) * 2006-06-30 2008-01-17 Dainippon Printing Co Ltd 被観察体への補助情報付加装置
JP2010026273A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Dainippon Printing Co Ltd ヘッドマウントディスプレイ
JP2011070182A (ja) * 2009-08-31 2011-04-07 Chiba Univ 表示装置及び表示装置用ホログラムプレート
WO2013045094A1 (de) * 2011-10-01 2013-04-04 Johnson Controls Automotive Electronics Sas Head-up-display mit mehreren projektionsebenen
JP2014010800A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Alpine Electronics Inc 車載システム
JP2015166229A (ja) * 2014-03-04 2015-09-24 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 ヘッドアップディスプレイ装置
WO2016051586A1 (ja) * 2014-10-03 2016-04-07 三菱電機株式会社 表示制御装置
JP2017035972A (ja) * 2015-08-10 2017-02-16 三菱電機株式会社 表示制御装置、表示装置および表示制御方法
WO2020003750A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 株式会社デンソー 車両用表示制御装置、車両用表示制御方法、及び制御プログラム
JP2020063930A (ja) * 2018-10-15 2020-04-23 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 基準ビーム出射装置
KR20210109008A (ko) * 2018-12-29 2021-09-03 후아웨이 테크놀러지 컴퍼니 리미티드 다초점 평면 디스플레이 시스템 및 장치

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11296056A (ja) * 1998-04-10 1999-10-29 Dainippon Printing Co Ltd 体積ホログラム積層体、および体積ホログラム積層体作製用ラベル
JP2005196530A (ja) * 2004-01-08 2005-07-21 Alpine Electronics Inc 空間入力装置及び空間入力方法
WO2005114337A1 (ja) * 2004-05-21 2005-12-01 Alps Electric Co., Ltd ホログラム装置
WO2006003738A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 立体画像表示システム
WO2006003737A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 立体画像表示システム
JP2008009230A (ja) * 2006-06-30 2008-01-17 Dainippon Printing Co Ltd 被観察体への補助情報付加装置
JP2010026273A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Dainippon Printing Co Ltd ヘッドマウントディスプレイ
JP2011070182A (ja) * 2009-08-31 2011-04-07 Chiba Univ 表示装置及び表示装置用ホログラムプレート
WO2013045094A1 (de) * 2011-10-01 2013-04-04 Johnson Controls Automotive Electronics Sas Head-up-display mit mehreren projektionsebenen
JP2014010800A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Alpine Electronics Inc 車載システム
JP2015166229A (ja) * 2014-03-04 2015-09-24 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 ヘッドアップディスプレイ装置
WO2016051586A1 (ja) * 2014-10-03 2016-04-07 三菱電機株式会社 表示制御装置
JP2017035972A (ja) * 2015-08-10 2017-02-16 三菱電機株式会社 表示制御装置、表示装置および表示制御方法
WO2020003750A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 株式会社デンソー 車両用表示制御装置、車両用表示制御方法、及び制御プログラム
JP2020001589A (ja) * 2018-06-29 2020-01-09 株式会社デンソー 車両用表示制御装置、車両用表示制御方法、及び制御プログラム
JP2022020688A (ja) * 2018-06-29 2022-02-01 株式会社デンソー 車両用表示制御装置、車両用表示制御方法、及び制御プログラム
JP2020063930A (ja) * 2018-10-15 2020-04-23 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 基準ビーム出射装置
KR20210109008A (ko) * 2018-12-29 2021-09-03 후아웨이 테크놀러지 컴퍼니 리미티드 다초점 평면 디스플레이 시스템 및 장치
JP2022515547A (ja) * 2018-12-29 2022-02-18 華為技術有限公司 多焦点平面ディスプレイシステム及び装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI839351B (zh) 顯示裝置
JP6895451B2 (ja) 偏光選択ホログラフィー導波管デバイスを提供するための方法および装置
JPH1068906A (ja) ホログラフィック表示装置
CN101432789B (zh) 显示器、仪表盘、光学系统和光学仪器
JP4717778B2 (ja) 多重奥行き表示装置および多重奥行き表示方法
US10469837B2 (en) Volumetric display
Skirnewskaja et al. Automotive holographic head‐up displays
JP2000506998A (ja) 画像を見るための方法及び装置
CN103108207B (zh) 双全息三维显示装置
CN103765329A (zh) 用于薄体光栅堆栈的层状生成的方法和装置以及用于全息显示器的光束组合器
JPH09113845A (ja) 3次元画像表示装置
WO2005099386A2 (en) Holographic projector
CN112639580A (zh) 抬头显示装置、抬头显示方法及车辆
EP0588509B1 (en) Stereoscopic display apparatus
CN103105634B (zh) 薄的平坦式会聚透镜
EP4016166A2 (en) Augmented reality device for providing 3d augmented reality and operating method of the same
JPH0850255A (ja) ホログラフィ立体画像を用いたヘッド・アップ表示装置およびヘッド・ダウン表示装置
US10955685B2 (en) Volumetric display arrangement and a method for representing content of an image
Lv et al. A multi-plane augmented reality head-up display system based on volume holographic optical elements with large area
CA2195985C (en) Three-dimensional display method(s) and apparatus
Zhang et al. See-through 2D/3D compatible integral imaging display system using lens-array holographic optical element and polymer dispersed liquid crystal
JP3338479B2 (ja) ホログラムの作成および立体表示方法並びに立体表示装置
CN111580276A (zh) 基于多层定向散射波导的近眼光场显示装置和方法
JPH10333093A (ja) 両眼立体視表示装置
Nordin et al. Three-dimensional display utilizing a diffractive optical element and an active matrix liquid crystal display