JP4934949B2 - 燃料電池および水素分離膜モジュールならびにこれらの製造方法 - Google Patents

燃料電池および水素分離膜モジュールならびにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は燃料電池および水素分離膜モジュールならびにこれらの製造方法に関し、より詳細には、酸化物固体電解質と水素分離膜とが一体化された水素分離膜型燃料電池および水素分離膜モジュールならびにこれらの製造方法に関する。
近年、水素と酸素との電気化学反応を利用して起電力を得る燃料電池が注目されている。かかる燃料電池に供給する水素を他のガスと分離するためには水素分離膜が用いられるが、この水素分離膜を複数層で構成した例として、VB族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTa)のベース金属両面に水素透過性中間層を介してパラジウムPdを被覆した5層構造の水素分離膜が特許文献1に開示されている。
また、このような水素分離膜を利用した装置の例としては、液体炭化水素や天然ガスなどの種々の炭化水素系燃料を燃料電池に供給するための水素に改質させる改質器の下流に設けられる水素分離膜モジュール(特許文献2参照)や、プロトン伝導性を有するセラミックスの固体電解質にパラジウムPdなどの水素透過性金属の水素分離膜を積層させることでプロトン伝導性セラミックス固体電解質の薄膜化を図った燃料電池(特許文献3参照)などがある。さらに、特許文献2には、水素分離膜を構成要素とする装置の各構成部材を相互に接合させる方法として、これら各構成部材の融点よりも低く、且つ水素分離膜モジュールの作動温度よりも高い温度領域内でロウ付けする方法が開示されている。なお、以降の説明では、特許文献3に記載されている構成の燃料電池を「水素分離膜型燃料電池」と呼ぶこととする。
特開平7−185277号公報 特開2003−334418号公報 特開2004−146337号公報
しかしながら、特許文献2に開示されているロウ付け方法では、ロウ付け温度の下限値が水素分離膜モジュールの作動温度範囲の近傍にも設定され得るため、例えば、水素分離膜モジュールに生じた何らかの異常によって当該水素分離膜モジュールの温度が接合に用いたロウ材の融点以上となった場合には、各構成部材同士の接合強度が低下して装置そのものの損傷原因となるなどの問題が生じ得る。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、水素分離膜を使用した積層型の燃料電池および水素分離膜モジュールにおいて、水素分離膜の水素透過性能を低下させることなく部材間の接合強度の低下を抑制することを可能とする技術を提供することにある。
本発明は、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池であって、前記水素透過性金属層は、前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材とロウ付け層を介して接合されており、前記ロウ付け層は、700℃以上850℃未満のロウ付け温度を有するロウ材であり、前記金属部材は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有し、前記ロウ付け温度は、前記燃料電池の使用環境温度の上限を上回り、前記水素透過性金属層は、前記ロウ付け温度を上回る再結晶化温度を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池であって、前記水素透過性金属層と前記電解質層との積層体を支持する支持部材は、接合部に絶縁層を有し前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材とロウ付け層を介して接合されており、前記ロウ付け層は、700℃以上850℃未満のロウ付け温度を有するロウ材であり、前記金属部材、前記支持部材および前記絶縁層は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有し、前記ロウ付け温度は、前記燃料電池の使用環境温度の上限を上回ることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の燃料電池において、前記水素透過性金属層はバナジウムを含有する金属層を備え、前記ロウ材は、金ロウ系またはホワイトロウもしくは銀ロウ系またはAg−Cu−Ti合金であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池において、前記電解質層は、膜厚1μm以下の酸化物固体電解質の層であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の燃料電池において、前記酸化物固体電解質は、ペロブスカイト型複合酸化物、パイロクロア型複合酸化物、スピネル型複合酸化物、もしくはこれらの複合酸化物に不純物をドーピングした複合酸化物固体電解質であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池の製造方法であって、前記水素透過性金属層を、前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材にロウ付け接合する第1のステップを備え、前記ロウ付け処理は、前記水素透過性金属層の再結晶化温度をT1とし、前記燃料電池の使用環境の上限温度を前記再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行され、前記金属部材は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池の製造方法であって、前記水素透過性金属層と前記電解質層の積層体の支持部材を、接合部に絶縁層を有し前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材にロウ付け接合する第1のステップを備え、前記ロウ付け処理は、前記水素透過性金属層の再結晶化温度をT1とし、前記燃料電池の使用環境の上限温度を前記再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行され、前記金属部材、前記支持部材および前記絶縁層は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の燃料電池の製造方法において、前記処理温度の下限Tkminと前記上限温度T2との差ΔTは、100℃以上に設定されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の燃料電池の製造方法において、前記水素透過性金属層はバナジウムを含有する金属層を備え、前記上限温度T2は600℃以下であり、前記処理温度Tkは700℃以上850℃未満であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9の何れかに記載の燃料電池の製造方法において、前記ロウ付け接合後にロウ付け接合箇所に歪取り焼鈍する第2のステップを備え、前記歪取り焼鈍処理の温度は、前記処理温度Tkと同一の温度範囲に設定されていることを特徴とする。
本発明においては、燃料電池を製造するに際して、水素透過性を有する水素透過性金属層などの構成部材のロウ付け接合処理温度を、水素透過性金属層の再結晶化温度をT1とし、燃料電池の使用環境の上限温度を再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行することとしたので、ロウ付け工程における水素透過性金属層の水素透過性能の低下が抑制され当該機能を確実に維持できるとともに、使用環境下温度がロウ材の融点を上回ることがなく接合強度の低下を回避できる。
また、本発明においては、水素分離膜モジュールを製造するに際して、水素分離部材などの構成部材のロウ付け接合処理温度を、水素分離膜を備える水素分離部材の再結晶化温度をT1とし、モジュールの使用環境の上限温度を再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行することとしたので、ロウ付け工程における水素分離膜の水素透過性能の低下が抑制され当該機能を確実に維持できるとともに、使用環境下温度がロウ材の融点を上回ることがなく接合強度の低下を回避できる。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
(水素分離膜型燃料電池セル)
A.ガスケットタイプの水素分離膜型燃料電池セル
図1は、本発明のガスケットタイプの水素分離膜型燃料電池の単位セル(以下、単にセルとよぶ)の構成例を模式的に説明するための断面図で、このセルは、電解質膜30が2枚の金属セパレータ10、20で挟まれた構造を有している。金属セパレータ10、20は、高い熱伝導性と電気伝導性を有する銅やアルミニウムなどの金属材料で形成されることが好ましい。
電解質膜30は、バナジウム(V)からなる緻密な基材31の一方の面に順次積層された緻密体の金属拡散抑制層32とパラジウム(Pd)の被膜34とを備え、他方の面には緻密体の金属拡散抑制層33とPdの被膜35と電解質層36とを備えた6層構造となっている。すなわち、電解質膜30は、基材31と金属拡散抑制層32、33およびPdの被膜34、35からなる水素透過性を有する水素透過性金属層と、一方の水素透過性金属層上に上記のプロトン伝導性を有する電解質層36が積層されて構成されている。
基材31として緻密なものを選択するのは、電解質層36を充分に薄膜化するためである。ここで、電解質層36はプロトン伝導性を有する固体電解質からなり、例えばペロブスカイト型複合酸化物などの酸化物固体電解質である。具体的には、例えばBaCeO系やSrCeO系のペロブスカイト型複合酸化物(ABO)を用いることができる。また、低温でも優れたイオン伝導性をもつことが近年発見されたLaGaO系材料としてもよい。なお、電解質層36の詳細は後述する。
基材31と金属セパレータ10とは、ロウ付け層37を介してロウ付け接合されている。また、電解質膜30を構成する6層のそれぞれの厚みは任意に設定が可能であるが、ここでは、基材31の厚みを100μm、金属拡散抑制層32、33の厚みを1μm、被膜34、35の厚みを0.75μm、電解質層36の厚みを0.1μmとしている。
電解質膜30の電解質層36の外面上には、多孔質の発泡金属や金属メッシュの板材で形成された数十〜数百μmの厚みの電極38が設けられている。この電極38にはパラジウムや白金(Pt)などの触媒が担持されており、燃料電池が発電する過程での化学反応を促進するための触媒機能を有している。
基材31の材料はバナジウムに限定されるものではなく、緻密な水素透過性材料で形成されていればよい。例えば、バナジウムと銅(Cu)の合金や、バナジウムとニッケル(Ni)の合金のほか、パラジウムやパラジウム合金などの貴金属、ニオブ(Nb)やタンタル(Ta)などのVA族元素などであってもよい。また、被膜34、35は、パラジウムに換えて、触媒作用のあるパラジウムと銀(Ag)の合金などとすることができる。なお、被膜34は金属拡散抑制層32上に島状に分離されて設けられており、燃料極としての金属セパレータ10が水素リッチな燃料ガスを供給するために有している流路12の内部に納められる。
金属拡散抑制層32、33は、基材31と被膜34、35との間で相互に金属拡散が生じることを抑制するために設けられる層で、この材料には、例えばタングステンの酸化物(WO)を用いることができる。また、酸化タングステンに換えて、例えば、酸化ジルコニウムや酸化モリブデンあるいはYSiOなどのセラミックスとしてもよい。
一方の金属セパレータ10は燃料極に相当し、紙面に垂直な方向に延在するストレートタイプの複数の溝によって構成された流路12を有しており、この流路12により水素リッチな燃料ガスが供給される。他方の金属セパレータ20は酸素極に相当し、金属セパレータ20と電解質膜30との間の空間をガスケット40で囲み込んで形成された流路22が設けられている。この流路22は、金属セパレータ20と電極38との間に設けられた金属板24によって複数の流路に区分され、これらの流路により酸化ガスとしての空気が供給される。
金属板24は、酸素極側における集電の役割をも兼ね備えるもので、その形状は波形で、例えば板厚が0.5mmの細板である。この金属板24は、例えば、電子導電性を有するワイヤメッシュや焼結体あるいは不織布などにより形成され、その表面にはメッキなどによって抗酸化処理が施され、流路22を流れる空気によって酸化されることを防止している。この金属板24の一方端面は金属セパレータ20の電解質膜30側の面にロウ付けにより接着され、他方端面は電極38の外面に当接されている。なお、金属板24の他方端面を電極38の外面とロウ付けなどによって接着するようにしてもよい。また、金属板24の形状は波形である必要はなく、後述するスタック化の際のセルの積層方向からの圧力に対して弾性変形し易い形状であればよい。
図1のように構成された水素分離膜型燃料電池セルでは、その発電過程において、金属セパレータ10の流路12に供給された燃料ガス中の水素はプロトンと電子とに解離し、当該プロトンは電解質層36内を拡散して電極38に到達し、電極38において酸素と結合して水を生成し電気が発生する。
B.ガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池セル
本発明の水素分離膜型燃料電池セルはガスケットレスのタイプとすることもできる。
図2は、本発明のガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池セルの構成例を模式的に説明するための断面図である。なお、この図において、図1に示したものと同様の部材には同じ符号を用いて図示している。この燃料電池セルにおいては、後述する構成の電解質膜30が支持プレート42の外周部を除く領域に一様に設けられた通気孔を有するメッシュ部42aの上に格納され、支持プレート42外周部のアノード側およびカソード側の両面にそれぞれ設けられたAg−Cu−Tiなどの組成のロウ付け層37により、Alなどの絶縁層41を介して、2枚の金属セパレータ(アノードセパレータ10およびカソードセパレータ20)に挟まれた構造を有している。なお、上述したガスケットタイプの燃料電池セルと同様に、燃料極としての金属セパレータ10、20の金属材料としては、高い熱伝導性と電気伝導性を有する銅やアルミニウムなどが好ましい。
電解質膜30は、バナジウム(V)からなる緻密な基材31のアノードセパレータ10側の面に順次積層された緻密体の金属拡散抑制層32とパラジウム(Pd)の被膜34とを備え、カソードセパレータ側の面には緻密体の金属拡散抑制層33とPdの被膜35と電解質層36とを備えた6層構造となっている。電解質膜30の電解質層36の外面上には、多孔質の発泡金属や金属メッシュの板材で形成された数十〜数百μmの厚みの電極38が設けられている。この電極38にはパラジウムや白金(Pt)などの触媒が担持されており、燃料電池が発電する過程での化学反応を促進するための触媒機能を有している。なお、電解質層36を充分に薄膜化するための基材31の選択や金属拡散抑制層32、33および被膜34、35の材料選択、ならびにプロトン伝導性を有する固体電解質からなる電解質層36の具体的な構造については既に説明したガスケットタイプの燃料電池セルと同様であるので説明は省略する。ここで、電解質膜30を構成する6層のそれぞれの厚みは任意に設定が可能であるが、図2に示した例では、基材31の厚みを100μm、金属拡散抑制層32、33の厚みを1μm、被膜34、35の厚みを0.75μm、電解質層36の厚みを0.1μmとしている。
アノード側の金属セパレータ10は、紙面に垂直な方向に延在するストレートタイプの複数の溝によって構成された流路12を有し、当該溝の凸部が支持プレート42のメッシュ部42aに当接して水素リッチな燃料ガスの流路12を形成している。また、カソード側の金属セパレータ20も紙面に垂直な方向に延在するストレートタイプの複数の溝を有しており、この溝の凸部が電解質層36の表面に当接して流路22を形成しており、この流路22により酸化ガスとしての空気が供給される。
図2のように構成された水素分離膜型燃料電池セルの発電過程においては、アノードセパレータ10に設けられた流路12に供給された燃料ガス中の水素がプロトンと電子とに解離し、当該プロトンが電解質層36内を拡散してカソードセパレータ20に到達し、流路22から供給される酸素と結合して水を生成し電気が発生する。
C.酸化物固体電解質
本発明の燃料電池に備えられる酸化物固体電解質膜は、物理蒸着、化学蒸着、スパッタリングなどの種々の手法により、充分に薄膜化された膜として成膜される。その厚みは所望する動作温度に応じて決定されるが、通常は概ね1μm以下、例えば0.1〜0.2μm程度とされ、600℃以下の比較的低温の温度領域においても低い抵抗値を示す膜を得ている。
酸化物固体電解質としては、図3に示した単位格子を有するペロブスカイト型複合酸化物(ABO)や、パイロクロア型複合酸化物(A)、あるいはスピネル型複合酸化物(ABO)などのほか、ペロブスカイト型複合酸化物に不純物をドーピングさせた((A0.80.2)BO)やABCOなどの複合酸化物などであってもよい。ここでは、A(およびa)がアルカリ金属元素であるものとし、BおよびCは希土類などの金属元素、Oは酸素を表記する記号である。なお、燃料電池用電解質としてペロブスカイト型複合酸化物を用いる場合の電解質の生成は、特許文献3において開示されているものと同様のプロセスによることができるので詳細な説明は省略する。
(ガスケットタイプの水素分離膜型燃料電池スタック)
図4は、図1を用いて説明したガスケットタイプの水素分離膜型燃料電池セルを積層させて構成された水素分離膜型燃料電池スタックを模式的に示す断面図である。
この燃料電池スタック1は、セルを、金属セパレータ10、電解質膜30(ガスケット40を含む)、金属セパレータ20の順に複数組を積層させた構造である。なお、図中には積層させるセルの組数を3として示したが、積層数は所望の出力密度(発電効率)に応じて任意に設定され、例えば100〜400組などとされる。この燃料電池スタック1の各セルの間に位置する金属セパレータは、水素極としての金属セパレータ10と酸素極としての金属セパレータ20とが一体化されて構成されており、図中にはこの様子が符号(20+10)で示されている。
金属セパレータ10、20には、その外周側にボルト孔が設けられており、電解質膜30とガスケット40とからなる構造体を金属セパレータ10、20の間に挟み、ボルト孔にボルト50を通して各金属セパレータ10、20を締め付けてスタック化している。このような燃料電池スタック1は、ステンレス(SUS)などの材料によって形成された不図示のケーシング内に格納される。このケーシングには、燃料ガス、空気、および冷却ガス用のそれぞれの入口部と出口部とが設けられており、全体として流路マニホールドを形成する。なお、金属セパレータ10、20相互間の絶縁性を確保するために、ボルト50とボルト孔との間には不図示の絶縁用カラーが設けられており、さらにボルト50の頭部部分およびナット51部分には絶縁ワッシャ52が設けられている。なお、この燃料電池スタック1を使用するに際しては、最下段に位置する金属セパレータ10と最上段に位置する金属セパレータ20との間に電気的な負荷70が接続されることとなる。
図5は、図4に示した水素分離膜型燃料電池スタックの製造工程を説明するためのフローチャートである。先ず、水素極としての金属セパレータ10に基材31をロウ付けする(ステップS100)。この工程でのロウ付けは、図1に示したロウ付け層37のように、基材31の片面側の外周近傍の一部領域になされる。このロウ付けにより、ロウ付け層37の内側の基材31と金属セパレータ10との間(図1中の金属拡散抑制層32に相当する部分)に僅かな間隙ができることとなる。このようなロウ付けに用いられるロウ材やロウ付け温度などの具体的な条件は後述する。
次に、基材31の両面に金属拡散抑制層32、33を形成する(ステップS110)。これらの金属拡散抑制層32、33は、例えば、予め基材31にイオンプレーティングや蒸着などの手法で成膜されたり、あるいはメッキによりコーティングすることで形成される。金属拡散抑制層32、33のうち、金属セパレータ10側に形成される金属拡散抑制層32は、ロウ付け層37によってできた上述の空隙部分に形成される。
これに続いて、金属拡散抑制層32、33の両外側に、メッキにより被膜34、35を形成する(ステップS120)。ここで、金属セパレータ10側の被膜34は、金属セパレータ10に設けられた流路12内に形成される。
さらに、金属セパレータ20側に形成された被膜35の外側の面に、上述した電解質層36を充分に薄膜化して成膜する(ステップS130)。この電解質層36の外側面上に、物理蒸着、化学蒸着、スパッタリングなどの手法により電極38を成膜し(ステップS140)、さらに、酸素極としての金属セパレータ20に金属板24をロウ付けして接着する(ステップS150)。以上のステップS100〜ステップS150により、図1に示した本発明の水素分離膜型燃料電池セルが得られる。
このようにして得られた水素分離膜型燃料電池セルを順次積層して水素分離膜型燃料電池スタックとする。この積層は、セルのガスケット40を基材31に当接させて介在させることで行われる(ステップS160)。スタック化されたセルは、図示しないケーシングで覆われ(ステップS170)、さらに、ボルト50、ナット51、絶縁ワッシャ52、および不図示の絶縁用カラーを用いて、ケーシングで覆われた燃料電池スタック1を締結する(ステップS180)。このような一連の工程を経て、燃料電池スタック1が完成する。
なお、上述したロウ付け接合の後に、所望により、歪取り焼鈍する工程を実行するようにしてもよい。その場合の歪取り焼鈍処理の温度範囲は、ロウ付け接合の処理温度と同一の温度範囲に設定することが好ましい。
上記工程により得られる燃料電池スタック1は、緻密な基材31上に電解質層36を設けることとしたので充分な薄膜化が可能で、これにより、電解質層の膜抵抗の低減化を図ることができる。この電解質層36の動作温度はその組成と膜厚に依存するが、その膜厚が1μmのときの動作温度は例えば600℃程度となり、0.1μmのときの動作温度は400℃程度となる。すなわち、電解質層36の薄膜化により、酸化物固体電解質を用いた本発明の水素分離膜型燃料電池の動作温度を400〜600℃とすることが可能となり、従来の動作温度(700℃以上)を大幅に低温化することができる。また、複数のセルが直列に積層されているため、電池出力の増大を図ることができる。
(ガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタック)
本実施例では、ガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタックについて説明する。本実施例の水素分離膜型燃料電池スタック100においては、薄板状部材(後述する、エンドプレート、電極(カソード)、支持プレート、およびセパレータ)のそれぞれは、互いにロウ付け接合されて積層構造を構成する。
図6は、略長方形の薄板状部材を複数積層して構成されたガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタック100の斜視図であり、この水素分離膜型燃料電池スタック100の上下のエンドプレートには、アノードガス循環用の流入口および排出口、カソードエア循環用の流入口および排出口、ならびに冷却エアの流入口および排出口が設けられている。このようなモジュールのサイズは、その用途や設計に応じて適宜変更可能であるが、その高さは薄板状部材の積層数に応じて決定される。
図7は、この水素分離膜型燃料電池スタックの分解斜視図である。上側エンドプレート101にはカソードエアの流入口111aと排出口111bおよび冷却エアの流入口111cが、下側エンドプレート102にはアノードガスの流入口112aと排出口112bおよび冷却エアの排出口112cが、設けられている。上側エンドプレート101の下層には、電極(カソード)103、水素透過膜と電解質層とを備える支持プレート(補強プレート)104、カソード側の第1の流路プレート105、およびアノード側の第2の流路プレート106が順次積層されて構成されるユニットが下側エンドプレート102に至るまで多数積層されている。なお、本実施例では、420個のユニットが積層されてモジュール化されている。
電極103は、多孔質の発泡金属や金属メッシュの板材で形成された数十〜数百μmの厚みのもので、この電極103にはパラジウムや白金(Pt)などの触媒が担持されており、燃料電池が発電する過程での化学反応を促進するための触媒機能を有している。支持プレート104、第1および第2の流路プレート105、106からなるセパレータ107、ならびに上下のエンドプレート101、102は、ステンレス製の薄板状部材を用いて成形されている。また、支持プレート104、および第1および第2の流路プレート105、106には、エアやガスを板状部材の積層方向に流通させるための縦通孔が設けられている。カソード側の第1の流路プレート105とアノード側の第2の流路プレート106のそれぞれの表裏面には、後述するように、エッチングなどの手法により形成された流路が設けられており、図中の矢印で示すように、アノードガスおよび冷却エアは積層方向に流れつつ各流路プレートで枝分かれして、第1の流路プレート105の流路にはアノードガスが導かれ、第2の流路プレート106の流路には冷却エアが導かれることとなる。
詳細な構成は後述するが、支持プレート104の表面側には、水素透過膜と電解質層とが積層されて構成された水素分離膜108が設けられている。そして、支持プレート104の上面が電極103側に、裏面が第1のセパレータ105側に対向するように配置されている。上側エンドプレート101のカソードエア流入口111aから入ってきたカソードエアは水素分離膜108の表面に形成された電解質層表面で化学反応を起こして水素分離がなされた後、電解質層の下層の水素透過膜を通って上側エンドプレート105のカソードエア排出口へと導かれる。図中で支持プレート104の上面(表面)を流れるカソードエア中の水素は、水素分離膜108で分離され、支持プレート104の内側領域に透過孔を多数有するメッシュ形成領域から下面(裏面)を流れるアノードガス内へと抽出される。そして、抽出された水素は第1の流路プレート105の流路中を流れているアノードガスと共に下側エンドプレート102の排出口112bから外部へと排出される。
図8は、図7に示した支持プレートの構造の詳細を説明するための図で、図8(a)は支持プレートの断面概略図、図8(b)は支持プレート上のメッシュ形成領域に設けられる水素分離膜の断面概略図である。支持プレート104は、ステンレス材のプレートの内側領域に形成された多数の透過孔を有するメッシュ状の領域に水素分離膜108が設けられたものである。
水素分離膜108は6層構造であり、バナジウム(V)の板状基材131の両面に順次、金属拡散抑制層132、133とパラジウム層134、135とが積層された5層構造の水素透過膜が支持プレート104のメッシュ状領域に接合される面とは反対側の面に電解質層136が形成されている。金属拡散抑制層132、133は、例えば、予め基材131にイオンプレーティングや蒸着などの手法で成膜されたり、あるいはメッキによりコーティングすることで形成される。また、パラジウム層134、135はメッキなどの手法により形成される。
ここで、金属拡散抑制層132、133は、基材131とパラジウム層134、135との間で相互に金属拡散が生じることを抑制するために設けられる層で、この材料には、例えばタングステンの酸化物(WO)を用いることができる。また、酸化タングステンに換えて、例えば、酸化ジルコニウムや酸化モリブデンあるいはYSiOなどのセラミックスとしてもよい。なお、板状基材131の材質は、バナジウムに限定されるものではなく、緻密な水素透過性材料で形成されていればよい。したがって、バナジウムに代えて、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などの5族金属または5族金属合金を用いるものとしてもよい。また、パラジウム層134、135の換わりに、触媒作用のあるパラジウムと銀(Ag)の合金からなる合金層などとすることができる。このような水素分離膜108の全体の厚みは適宜設定可能であるが、単体である程度の形状維持が可能な単体の自立膜として構成するために10μm以上とすることが好ましく、本実施例では40〜50μmとされている。
支持プレート104の外周部は、その上下に配置されるエンドプレート101、102およびセパレータ107とロウ付け接合される領域であり、当該領域のプレート表面に金属被膜を形成するようにしてもよい。かかる場合の金属としては、例えば、チタン、銅およびアルミニウムなどを用いることができる。特に、熱膨張係数が5族金属または5族金属合金に近く、熱応力を抑制することができるという点でチタンを用いることが好ましい。このように接合部に被膜を設けることにより、この部分の酸化および水素脆化を防ぐことができる利点がある。
図9は、支持プレート104の作製プロセスの一例を説明するための図で、先ず、図9(a)に示すようにステンレス板の所定位置にエッチングなど手法により透過孔を形成してメッシュ状領域104aを設け、打ち抜きなどの手法により外周部にエアやガスを流通させるための縦通孔を有する所定の大きさの補強プレートとして成形し、メッシュ状領域104aに電解質層136を形成する前の状態のパラジウム層/金属拡散抑制層/基材/金属拡散抑制層/パラジウム層の積層体からなる水素透過膜108aをクラッド接合する(図9(b))。そして、支持プレート104に接合された上記積層体の一方のパラジウム層135の表面に電解質層136を形成して水素分離膜108とする。なお、この電解質層136は、物理蒸着、化学蒸着、スパッタリングなどの種々の手法により、充分に薄膜化された膜として成膜され、その厚みは所望する動作温度に応じて決定されるが、通常は概ね1μm以下、例えば0.1〜0.2μm程度とされ、600℃以下の比較的低温の温度領域においても低い抵抗値を示す膜を得ている。
このような電解質層を酸化物固体電解質で形成する場合には、実施例1において説明したのと同様に、ペロブスカイト型複合酸化物(ABO)や、パイロクロア型複合酸化物(A)、あるいはスピネル型複合酸化物(ABO)などのほか、ペロブスカイト型複合酸化物に不純物をドーピングさせた((A0.80.2)BO)やABCOなどの複合酸化物などとすることができる。
図10はセパレータの詳細構造を説明するための図で、カソード側の第1の流路プレートおよびアノード側の第2の流路プレートはともに、例えば、ステンレス板と銅板とを圧接接合されたクラッド材を用いて作製される(図10(a))。これらの板材のそれぞれにはエッチング処理が施されてガスやエアの流路が形成される(図10(b))。このような流路の断面積はクラッド材の厚さに依存し、適宜設定することができる。流路の断面積が小さいと当該流路を流れるガスやエアの圧損が増大するが、クラッド材を薄くすることができるためにスタック(燃料電池モジュール)の小型化を図ることができる。ステンレス材側の流路形成領域のステンレスは全て除去されて流路形成される一方、銅材側には所定の深さの流路が形成され、流路部の銅は一部が残存するように除去されている。なお、これらの銅材の外周部には挿入図のように細かな冷却流路がエッチングにより形成されている。
流路形成されたカソード側流路プレート105とアノード側流路プレート106は銅材側で拡散接合されて一体化されることで一対のセパレータ107とされる。この拡散接合は、接合したい金属部材である銅材同士を、銅の融点(1083.4℃)よりも低い処理温度Tk´で加熱・加圧し、銅原子の拡散を利用して接合する方法であり、銅材の接合部の接触面は、接合しようとする双方の銅材から銅原子が相互に拡散し合い、両者が一体化される。ここで、ステンレス材の融点はその組成にもよるが一般に1400℃以上であるので、当該拡散接合温度を決定するに際しては銅の融点のみを考慮すれば足りる。なお、この処理温度Tk´は、燃料電池モジュールの使用環境下温度よりも高い温度に設定されている。
それぞれのステンレス材の流路形成されていない外周領域には、絶縁コート141が施される。この絶縁コート141は例えば、Alなどの絶縁層をスパッタ成膜などしたものである。図7に示したように、この一体化されたセパレータ107の上下には支持プレート104が配置され、セパレータ107に形成された上記絶縁コート141と支持プレート104の外周部とがロウ付け接合される(図10(c))。この図に示した例では、ロウ付けに用いられるロウ材は750〜850℃の温度範囲でロウ付けが可能なAg−Cu−Tiの組成のものとされ、ロウ付け層137の厚みは概ね5μmとされている。
エンドプレート101、102は、モジュールの上下端に配置されることから、強度を確保するため、1mm程度の厚さとすることが好ましい。なお、エンドプレート101、102には、ガスやエアの流入口用および排出口用の配管が接合されることとなるが、これらの配管はステンレスなどの材質とすることができ、これらの配管とエンドプレート101、102との接合は、ロウ付けや溶接など種々の接合方法によって行うことができる。
図11は、本発明のガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタックの製造プロセスを説明するためのフローチャートである。まず、エンドプレート、電極、支持プレート、第1および第2の流路プレートを拡散接合させたセパレータ、の各板状部材を必要枚数だけ用意する(ステップS200)。エンドプレートは1mm程度の厚みの板状のステンレス材を打ち抜きなどにより成形して準備する(ステップS201)。また、電極は、多孔質の発泡金属や金属メッシュの板材で形成された数十〜数百μmの厚みとし、この電極にパラジウムや白金(Pt)などの触媒を担持させ、燃料電池が発電する過程での化学反応を促進するための触媒機能をもたせる(ステップS202)。支持プレートは、ステンレス板の所定位置に透過孔を形成してメッシュ状領域を設け、このメッシュ状領域に電解質層/パラジウム層/禁則拡散抑制層/基材/金属拡散抑制層/パラジウム層の6層構造の電解質膜を形成する(ステップS203)。さらに、セパレータは、ステンレス板と銅板とを圧接して張り合わせ接合されたクラッド材にエッチング処理を施して流路形成された2枚の流路プレートの銅板同士を拡散接合して形成する(ステップS204)。なお、各板状部材の所定の箇所には、エアやガスを板状部材の積層方向に流通させるための縦通孔が形成されるが、これらの縦通孔は、例えば、エッチング、放電加工(例えばワイヤカット)、レーザ加工、プレス加工などによって形成することができる。
それぞれの板状部材は、図7に示した積層順序と向きで、上側エンドプレートの下層に、電極、水素分離プレート、およびセパレータを、所定の数のユニット分だけ積層させ、その最下層に下側エンドプレートを配置する(ステップS210)。なお、これらの各板状部材間には所定の接合温度でロウ付けが可能なロウ材の層が形成されている。そして、このロウ材のロウ付け温度に応じた条件で相互接合がなされる(ステップS220)。なお、かかるロウ付けの温度条件などについては後述する。また、このロウ付け接合の後に、所望により、歪取り焼鈍する工程を実行するようにしてもよい。その場合の歪取り焼鈍処理の温度範囲は、ロウ付け接合の処理温度と同一の温度範囲に設定することが好ましい。最後に、エンドプレートに流入口および排出口の配管をロウ付けなどにより接続して(ステップS230)、モジュールとして完成する。
(水素分離膜モジュール)
図12は本発明の水素分離膜モジュール200の斜視図で、この水素分離膜モジュール200により、改質ガスから燃料電池に供給する水素を抽出することができる。この水素分離膜モジュール200は、正方形の薄板状部材を複数積層した構造を有し、その積層構造の両端には、改質ガスおよびパージガスの流入口(210、212)および排出口(211、213)が設けられている。
図13は、図12に図示した水素分離膜モジュール200の一部の分解斜視図で、図12中の領域Aに相当する部分を示している。積層構造の両端には、エンドプレート220が設けられている。エンドプレート220には、改質ガスの流入口222およびパージガスの流入口224が設けられている。エンドプレート220の下層には、流路プレート230a,250,230bおよび水素分離プレート240a,240bが交互に配列されている。
流路プレート230a,250,230bは、面内を流れるガスの種類によって2通りに分類される。第1の流路プレートは面内を改質ガスが流れる改質ガス流路プレートで、流路プレート230a,230bがこれに相当する。第2の流路プレートは面内をパージガスが流れるパージガス流路プレートで、流路プレート250がこれに相当する。水素分離プレート240a,240bは、それぞれ改質ガス流路プレートとパージガス流路プレートに挟まれるように配置されている。改質ガス流路プレートとパージガス流路プレートは同一形状のプレートであり、積層方向が表裏で相違している。
また、流路プレート230aには、水素分離プレート240a,240bとともに面内の流路を形成する流路孔234、および改質ガスおよびパージガスをそれぞれ積層方向に流通させるための縦通孔232が設けられている。他の流路プレートについても同様である。そして、これら流路プレートおよび上下のエンドプレートは、共にステンレス製の薄様の部材である。
水素分離プレート240a,240bは、改質ガスから水素を分離する機能を奏する。水素分離プレート240aは、図中にハッチングを付して示した領域を、水素分離膜244として機能させる。図中で水素分離プレート240aの上面を流れる改質ガス中の水素は、水素分離膜244で分離されて、下面を流れるパージガス内に抽出される。水素分離プレート240aには、改質ガスおよびパージガスをそれぞれ積層方向に流通させるための縦通孔242が設けられている。水素分離プレート240bを含め、他の水素分離プレートも同様の構成である。
流路プレートおよび水素分離プレートの縦通孔232,242は、積層時にほぼ一致する位置および形状で設けられている。積層時には、これらの縦通孔232,242によって、改質ガスおよびパージガスを積層方向に流通されるための流路が形成される。図中に矢印で示す通り、改質ガスおよびパージガスは、積層方向に流れつつ、各流路プレートで枝分かれして、面内方向にも流れる。これらのガスは、最終的には、エンドプレート220に対向するエンドプレートにおいて排出口から排出される。
本実施例において、エンドプレート、流路プレート、水素分離プレートは、それぞれ後述するロウ材のロウ付け層によって接合される。
流路プレートは、図13に示したほぼ全面において、他のプレートと接合される。水素分離プレートは、図中の水素分離膜244を除く領域において他のプレートと接合される。このように他のプレートと接合される部分を、プレートの種類を問わず、以下、接合部と呼ぶものとする。
水素分離プレートは、バナジウムを基材として構成されている。バナジウムに代えて、ニオブ、タンタルなどの5族金属または5族金属合金を用いるものとしてもよい。水素分離プレートの厚さは、適宜設定可能であるが、単体である程度形状を維持することができる単体の自立膜として構成するためには、10μm以上とすることが好ましい。一方、十分な水素透過性を確保可能な程度に薄くすることを併せて考慮すれば、水素分離プレートは、20〜40μmとすることがより好ましい。なお、水素分離プレートの接合部には、補強のために100μm程度の補強部材を貼付するものとしてもよい。
水素分離プレートの接合部は、基材のままとしてもよいが、その表面を金属で被覆するものとしてもよい。かかる金属としては、例えば、チタン、銅およびアルミニウムなどを用いることができる。特に、熱膨張係数が5族金属または5族金属合金に近く、熱応力を抑制することができるという点でチタンを用いることが好ましい。このように接合部に被膜を設けることにより、この部分の酸化および水素脆化を防ぐことができる利点がある。
流路プレートは、先に説明した通り、面内のガス流路を形成する部材である。この流路の断面積は、流路プレートの厚さに依存する。流路プレートを薄くすれば、流路の断面積が小さくなり、ガスが流れる際の圧損が増大する。一方、流路プレートを薄くすれば、水素分離装置の小型化を図ることができる。流路プレートの厚さは、これらの両面を考慮して、適宜設定することができ、例えば100μm〜1mm、好ましくは200μm〜500μmの範囲に設定することができる。
流路プレートの接合部は、基材のままとしてもよいが、水素分離プレートと同様、チタン、銅、アルミニウムなどの被膜を設けても良い。この場合でも、水素分離プレートに形成された被膜と同じ材料を用いることが好ましい。
エンドプレートは、水素分離膜モジュール200の上下端に位置することから、強度を確保するため、1mm程度の厚さとすることが好ましい。なお、このエンドプレートを始め、上記の流路プレートを、水素分離プレートと同じ材質(例えば、バナジウム)で形成するようにすることもできる。こうすれば、それぞれの接合部の拡散接合の容易化、安定化を図ることができる。
流路プレートと接合する側の面は、基材のままとしてもよいが、流路プレート等と同様、チタン、銅、アルミニウムなどの被膜を設けても良い。この場合でも、流路プレートに形成された被膜と同じ材料を用いることが好ましい。
エンドプレートには、改質ガスおよびパージガスの流入口および排出口用の配管が接合される。これらの配管はステンレス等で形成することができ、エンドプレートとの接合は、ロウ付け、溶接など種々の接合方法によって行うことができる。
本実施例では、エンドプレートをステンレス鋼としたので、ステンレス製とされている配管との接合が容易となる。このように、エンドプレートや流路プレートをステンレスとしたので、これらプレートにパラジウム、チタンなど、ステンレスと5族金属または5族金属合金との中間の熱膨張係数を有する金属の被膜を施すことが好ましい。こうすることにより、エンドプレートと流路プレートの間の熱応力を緩和することができる。
水素分離膜モジュール200は、次の製造工程によって製造することができる。
図14は製造方法の各工程を説明するための説明図である。まず、エンドプレート(ステップS301)、流路プレート(ステップS302)、水素分離プレート(ステップS303)の各板状部材を用意する(ステップS300)。この際には、既述した程度の厚みのステンレス薄板、バナジウム等の薄板から、プレス打ち抜き等の適宜な手法で、それぞれ正方形状とされる。また、各板状部材には、図13に示した孔を形成する。この孔は、例えば、エッチング、放電加工(例えばワイヤカット)、レーザ加工、プレス加工などによって形成することができる。水素分離プレートは、バナジウム等の自立膜として用意される。
水素分離プレートにあっては、バナジウム等の酸化しやすい素材を用いるため、上記加工は、不活性ガスなど、酸化を生じない環境下で行うことが望ましい。または、先に説明した通り、接合部にチタン等の被膜を形成しておくことが望ましい。
こうして形成されたそれぞれの板状部材を、図13に示した順序、向きとなるよう所定の順序で、ロウ付け層を介して積層する(ステップS310)。その後、加熱および加圧を行って、各プレートの接合部をロウ付けする(ステップS320)。更に、エンドプレートには、流入口および排出口の配管をロウ付けする(ステップS330)。このステップS320で採用するロウ付けの温度条件は後述するが、処理温度Tkは、水素分離膜モジュール200の使用環境下温度よりも所定の温度だけ高く、かつ水素分離プレートの再結晶化温度未満の、所定の温度範囲内に設定される。
以上のように構成された本実施例の水素分離膜モジュール200によれば、ステンレス、バナジウムといった金属製の薄板状の上記各プレートを積層することによって構成されているため、装置全体を薄型化、小型化することができる。すなわち、ガス流路を形成するための流路プレートとして、強度に優れた金属板を用いることで、流路を形成するための部材をより薄くすることが可能となる。したがって、積層型の水素分離膜モジュールにおいて、これが備える水素分離膜の総面積(水素分離プレートの枚数)を一定としたときに、装置全体をより薄型化することができるとともに、使用環境下温度がロウ材の融点を上回ることがなく接合強度の低下を回避できる。
(ロウ付け)
以下に、上述した水素分離膜型燃料電池および水素分離膜モジュールの製造工程におけるロウ付けについて説明する。なお、以降の説明では便宜上、実施例1および実施例2で説明したガスケットタイプの燃料電池セル(およびスタック)を例に具体的なロウ付け温度条件などの説明を行うが、実施例1および実施例3で説明したガスケットレスタイプの燃料電池セル(およびスタック)ならびに実施例4で説明した水素分離膜モジュールのロウ付けについても同様の温度条件設定がなされる。なお、水素分離膜モジュールの場合のロウ付け温度は、水素分離膜を備える水素分離部材(水素分離プレート)の再結晶化温度が考慮され、この部材の水素透過性能を確実に維持可能な温度範囲が選択されることとなる。
ロウ付けの温度は、基材31として用いられる金属材料の再結晶化温度やその他の構成部材の材質、および燃料電池セル(スタック)の使用環境下温度などを総合的に考慮して決定される。また、ロウ付けに用いるロウ材は、当該ロウ付け温度に応じて選択されることとなる。
先ず、ロウ付け温度(Tk)は、ロウ付け対象となる構成部材の融点(Tm)よりも低い温度に設定される。例えば、基材31を金属セパレータ10にロウ付けする場合には、基材31と金属セパレータ10の融点のうち低いほうの融点未満に設定される。また、ロウ付け工程中に加わる熱によって基材31中で再結晶化が生じ基材31の水素透過性能が低下するのを回避するため、ロウ付け温度を基材31の再結晶化温度(Tr)よりも低い温度とする。これは、基材31の再結晶化が生じると結晶粒の成長によって水素の通り道(パス)として作用する結晶粒界の実効的な面積が減少し、水素透過性が低下してしまうためである。
基材31のロウ付け相手となる金属部材の融点Tmは基材31の再結晶化温度Trよりも高いのが通常であるから、ロウ付け温度Tkは基材31の再結晶化温度Tr(=T1)未満とされることになる。さらに、水素分離膜型燃料電池の使用中にロウ材が溶融することを回避するために、ロウ付け温度Tkを、水素分離膜型燃料電池の通常使用環境温度の上限値(T2)よりも高い温度に設定する。すなわち、ロウ付け温度Tkは、(水素分離膜型燃料電池の使用環境温度T2)<Tk<(基材31の再結晶化温度T1)の温度範囲で設定されることになる。
図15は、このようなロウ付け温度の設定を説明するための図で、ロウ付け温度Tkは、基材31の再結晶化温度T1未満で、かつ水素分離膜型燃料電池の使用環境下温度の上限値T2よりも高い温度領域に設定される。さらに、ロウ付け温度Tk設定温度範囲の上限温度は、基材31の再結晶化温度T1よりもΔTkだけ低い温度に設定されるとともに、ロウ付け温度Tk設定温度範囲の下限温度が、水素分離膜型燃料電池の使用環境下温度の上限値T2よりもΔTだけ高い温度に設定されている。ここで、ロウ付け温度Tk設定温度範囲の下限温度とは、ロウ付けに用いるロウ材の融点をも考慮した温度である。
このようにロウ付け温度Tk設定温度範囲の上限温度を設定するのは、基材31とその表面上に設けられている金属拡散抑制層32、33と基材31との熱膨張係数の差により生じる歪を低く押え、接合強度の低下を抑制するためである。なお、上述したように、基材31をロウ付けした後にこれらの金属拡散抑制層32、33を形成する場合には、ロウ付けに伴う上記の歪は発生しないのでΔTk=0としても差し支えない。また、ロウ付け温度Tkの設定温度範囲の下限温度を上記のように設定するのは、水素分離膜型燃料電池の使用時に何らかの異常が生じて本来の使用環境温度以上の高温に曝された場合であっても、構成部材の接合に用いたロウ材が溶融などして接合強度が低下することを回避するためである。
例えば、基材31の材料がバナジウムである場合には、その再結晶化温度は850℃以上であり、ロウ付け温度Tkの上限は850℃未満とされる。また、水素分離膜型燃料電池の標準使用環境下での温度の上限値が例えば600℃であれば、ロウ付け温度Tkの下限は600℃よりもΔTだけ高い温度に設定される。ここで、ΔTの値は、水素分離膜型燃料電池が使用される環境やシステム全体をどのように構成するかに応じて適宜設定されるが、好ましくは100℃程度の値とされ、さらに好ましくは150℃程度とされる。なお、上述したように、電解質層36の薄膜化に応じて動作温度が低温化されるから、例えば動作温度が400℃の電解質層36を備えた水素分離膜型燃料電池の標準使用環境温度の上限値も下げることができ、この場合のΔTは上記の値よりもさらに大きく設定することが可能となる。なお、ロウ付け工程が複数ある場合には、個々の工程でロウ付けの対象とされる金属部材に応じた条件設定がなされる。
ΔTを設定するにあたっては、何らかの異常に起因して水素分離膜型燃料電池が本来の使用環境温度以上の高温に曝される場合を想定することのほか、基材31を水素が透過する際の水素膨張に起因して生じる基材31でのクラックの発生や水素溜りの発生による水素脆化の抑制をも考慮する必要がある。
図16は、基材31の水素透過性能(左縦軸)と強度(右縦軸)のロウ付け温度依存性を説明するための図である。この図に示すように、ロウ付け温度が低いと基材31の強度は高い状態で維持されることとなるが、基材31中を水素が透過する際の水素膨張に起因して表面に生じる凸部は基材31の強度が高いほど鋭利となる。このような鋭利な凸部は基材31にクラックを発生させたり水素溜り(水素閉塞)を発生させて水素脆化の原因となる。したがって、ロウ付け温度Tkを低く設定しすぎると基材31の強度が高い状態でセル化されてしまい、このようなクラックや水素脆化が生じやすくなる。例えば、バナジウムを含有する金属が基材31の構成材料となっている場合には、バナジウムの再結晶化温度は850℃以上であり、ロウ付け温度を700以上850℃未満の範囲で設定することが好ましい。
このようなロウ付けに用いるロウ材は、例えば、金と銀にニッケルや銅などを添加して融点を調節したロウ材である金ロウ系やホワイトロウ、あるいは銀と銅の合金に亜鉛や錫などを添加して融点を調節したロウ材である銀ロウ系やAg−Cu−Ti合金などから、そのロウ付け温度Tkに応じて適宜選択される。例えば、銀ロウの融点および流動点は、その成分に応じて表1のようになる。
Figure 0004934949
こうしたロウ付け温度Tkの設定とロウ材の選定を行ってロウ付け接合して製造された本発明の水素分離膜型燃料電池では、以下のような利点がある。まず、ロウ付け温度Tkを部材の融点Tmより低くしたので、部材同士の接合箇所に部材の溶融を引き起こすことがない。よって、溶融を見越した部材厚みの設定が不要となり、その分、薄型化に寄与できる。また、ロウ付け温度Tkを、基材31の水素透過性能を低下させてしまう再結晶化温度Tr(=T1)より低い温度に設定した。よって、ロウ付け工程における基材31の水素透過性能の低下が抑制され、当該機能を確実に維持できる。これらに加えて、ロウ付け温度Tkの下限を水素分離膜型燃料電池の正常な使用環境下温度の上限値よりもΔTだけ高い温度に設定することとしたので、水素分離膜燃料電池の使用環境下温度はロウ材の融点を上回ることがなくなり、接合強度の低下を有効に回避できる。
なお、2つの金属部材をロウ付け接合することには、これらの部材を拡散接合する場合に比較して、例えば以下のような利点がある。先ず、接合温度の低温化が可能な点である。拡散接合では、接合される金属部材相互間での金属原子の拡散が必要とされるため、かかる金属原子がホストの金属結晶中を拡散するために比較的高い温度を必要とする。このような高温で金属部材が一定時間保持されると、上述した再結晶化などが生じて構成部材の特性を劣化させる結果となる。これに対して、ロウ付けによる接合は比較的低温で行うことができ、かかる構成部材の特性を劣化させることがない。
次の利点は、接合時間の短縮化が可能となる点である。拡散接合では、高温での金属原子の拡散を必要とするとともに、かかる金属原子が一方金属の接合表面近傍領域から他方金属の接合表面近傍領域の一定程度の深さまで充分に拡散して固溶する必要がある。このため、充分な強度の接合を得るためには比較的長い時間を必要とする。金属部材をこのような長時間高い温度に保持すると、上述した再結晶化などが生じて構成部材の特性を劣化させる結果となる。これに対して、ロウ付けによる接合は短時間で行うことができ、かかる構成部材の特性を劣化させることがない。
さらに、接合のためのロウ付け温度Tkと接合部材の組成に応じて適当な組成のロウ材を選択することが可能である。加えて、拡散接合の場合には金属原子の拡散現象を利用しているために接合面同士が原子レベルで密着していることが要求され、接合面がミクロなレベルで離間している領域での接合が生じないために接合ムラが生じ易いのに対して、ロウ付けによる接合の場合にはかかる構成部材の接合面の状態によらず均一な接合がなされ、接合ムラがなくなり高い接合強度を得ることができる。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。また、上述した温度範囲におけるロウ付けおよび当該温度範囲に応じたロウ材の選択は、金属セパレータ10への基材31のロウ付けや金属セパレータ20への金属板24の接着のみならず、水素分離膜型燃料電池やモジュールを構成する他の部材の接着においても有効であり適宜採用され得るものである。さらに、このようなロウ付けは、上述した水素分離膜型燃料電池やモジュールのみならず、構成部材の再結晶化による特性劣化を回避する必要がある燃料電池システムの他の構成装置の製造にも有効であることは明らかであろう。
本発明は、バナジウムなどの水素分離膜基材の再結晶化などに伴う水素透過性能を劣化させることなく、かつ各部材同士を確実に接合可能な水素分離膜型燃料電池や水素分離膜モジュールの製造方法を提供する。
本発明のガスケットタイプの水素分離膜型燃料電池の単位セルの構成を模式的に説明するための断面図である。 本発明のガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池の単位セルの構成を模式的に説明するための断面図である。 ペロブスカイト型複合酸化物(ABO)の単位格子を説明するための図である。 本発明の水素分離膜型燃料電池セルを積層させて構成された水素分離膜型燃料電池スタックを模式的に示す断面図である。 図4に示した水素分離膜型燃料電池スタックの製造工程を説明するためのフローチャートである。 ガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタックの斜視図である。 図6に示したガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池スタックの分解斜視図である。 図7に示した支持プレートの構造の詳細を説明するための図で、(a)は支持プレートの断面概略図、(b)は支持プレート上のメッシュ形成領域に設けられる水素分離膜の断面概略図である。 支持プレートの作製プロセスの一例を説明するための図である。 セパレータの詳細構造を説明するための図である。 本発明のガスケットレスタイプの水素分離膜型燃料電池の製造プロセスを説明するためのフローチャートである。 本発明の水素分離膜モジュールの斜視図である。 図12に図示した水素分離膜モジュールの一部の分解斜視図である。 本発明の水素分離膜モジュールの製造方法の各工程を説明するための説明図である。 ロウ付け温度の設定を説明するための図である。 基材の水素透過性能(左縦軸)と強度(右縦軸)のロウ付け温度依存性を説明するための図である。
符号の説明
10、20 金属セパレータ
12、22 流路
24 金属板
30 電解質膜
31 基材
32、33 金属拡散抑制層
34、35 被膜
36 電解質層
37 ロウ付け層
38 電極
40 ガスケット
100 水素分離膜モジュール
101 上側エンドプレート
102 下側エンドプレート
103 電極
104 透過膜と電解質層とを備える補強プレート
105 カソード側の第1の流路プレート
106 アノード側の第2の流路プレート
107 セパレータ
108 水素分離膜
111a カソードエアの流入口
111b カソードエアの排出口
111c 冷却エアの流入口
112a アノードガスの流入口
112b アノードガスの排出口
112c 冷却エアの排出口
200 水素分離膜モジュール
210、212 ガスの流入口
211、213 ガスの排出口
220 エンドプレート
222 改質ガスの流入口
224 パージガスの流入口
230a,250,230b 流路プレート
232、242 縦通孔
234 流路孔
240a,240b 水素分離プレート
244 水素分離膜

Claims (10)

  1. 水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池であって、
    前記水素透過性金属層は、前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材とロウ付け層を介して接合されており、
    前記ロウ付け層は、700℃以上850℃未満のロウ付け温度を有するロウ材であり、
    前記金属部材は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有し、
    前記ロウ付け温度は、前記燃料電池の使用環境温度の上限を上回り
    前記水素透過性金属層は、前記ロウ付け温度を上回る再結晶化温度を有することを特徴とする燃料電池。
  2. 水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池であって、
    前記水素透過性金属層と前記電解質層との積層体を支持する支持部材は、接合部に絶縁層を有し前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材とロウ付け層を介して接合されており、
    前記ロウ付け層は、700℃以上850℃未満のロウ付け温度を有するロウ材であり、
    前記金属部材、前記支持部材および前記絶縁層は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有し、
    前記ロウ付け温度は、前記燃料電池の使用環境温度の上限を上回ることを特徴とする燃料電池。
  3. 前記水素透過性金属層はバナジウムを含有する金属層を備え、
    前記ロウ材は、金ロウ系またはホワイトロウもしくは銀ロウ系またはAg−Cu−Ti合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記電解質層は、膜厚1μm以下の酸化物固体電解質の層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池。
  5. 前記酸化物固体電解質は、ペロブスカイト型複合酸化物、パイロクロア型複合酸化物、スピネル型複合酸化物、もしくはこれらの複合酸化物に不純物をドーピングした複合酸化物固体電解質であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
  6. 水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池の製造方法であって、
    前記水素透過性金属層を、前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材にロウ付け接合する第1のステップを備え、
    前記ロウ付け処理は、前記水素透過性金属層の再結晶化温度をT1とし、前記燃料電池の使用環境の上限温度を前記再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行され、
    前記金属部材は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  7. 水素透過性を有する水素透過性金属層にプロトン伝導性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する燃料電池の製造方法であって、
    前記水素透過性金属層と前記電解質層の積層体の支持部材を、接合部に絶縁層を有し前記燃料電池のセパレータを構成する金属部材にロウ付け接合する第1のステップを備え、
    前記ロウ付け処理は、前記水素透過性金属層の再結晶化温度をT1とし、前記燃料電池の使用環境の上限温度を前記再結晶化温度T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行され、
    前記金属部材、前記支持部材および前記絶縁層は、前記ロウ付け温度を上回る融点を有することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  8. 前記処理温度の下限Tkminと前記上限温度T2との差ΔTは、100℃以上に設定されていることを特徴とする請求項6または7に記載の燃料電池の製造方法。
  9. 前記水素透過性金属層はバナジウムを含有する金属層を備え、
    前記上限温度T2は600℃以下であり、前記処理温度Tkは700℃以上850℃未満であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池の製造方法。
  10. 前記ロウ付け接合後にロウ付け接合箇所に歪取り焼鈍する第2のステップを備え、
    前記歪取り焼鈍処理の温度は、前記処理温度Tkと同一の温度範囲に設定されていることを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の燃料電池の製造方法。
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