JP4001114B2 - 水素分離装置および燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、水素分離装置や水素分離機能を備える燃料電池に関する。
近年、水素と酸素の供給を受けて発電を行う燃料電池がエネルギ源として注目されている。燃料電池に供給する水素は、例えば、炭化水素系の原料を改質して得られる改質ガスから水素分離装置によって水素を抽出することによって得ることができる。水素分離装置としては、例えば、下記特許文献1に記載の水素分離装置を用いることができる。
特許文献1に記載の水素分離装置は、改質ガスから選択的に水素を透過する性質を有する水素分離膜を利用して水素を抽出している。水素分離膜は、バナジウムを基材として、両面にパラジウム被膜を形成する構成となっている。バナジウムはパラジウムよりプロトンまたは水素原子の透過速度が速く、安いという利点があるが、水素分子をプロトン等に分離する能力が低いという欠点がある。しかし、水素分子をプロトンに分離する能力が高いパラジウムの薄膜をバナジウムの両面に形成することで、水素透過性能を向上させることができるからである。
従来の水素分離装置は、特許文献1に記載の製造方法のように、予め、バナジウム基材にパラジウム被膜を形成した水素分離膜を製造した上で、水素分離膜に流路プレートや天板などの部材を積層状に接合することで製造していた。
特開2003−95617号公報
しかし、従来の水素分離装置は、パラジウム被膜がバナジウム基材全体に形成されていたため、水素分離膜と他の部材との接合面にパラジウム被膜が介在してしまい、各部材の接合強度を向上させることが困難であった。このような課題は、水素分離装置に限らず、水素分離膜を備え、積層構造を採る燃料電池においても同様の課題であった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、水素分離装置や水素分離機能を備える燃料電池において、これらを構成する各部材の接合強度の向上を図ると共に、従来よりも簡易な方法でこれらを製造可能とする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の水素分離装置を次のような構成とした。すなわち、水素を含有する水素含有ガスから水素の抽出を行う水素分離装置であって、
第1の面から供給された水素含有ガスから水素を選択的に第2の面に透過する薄板状の水素透過性部材と、
前記水素透過性部材の第1の面に配設され、前記水素含有ガスが通過する水素含有ガス流路を、前記水素透過性部材と共に形成する薄板状の第1の流路部材と
前記水素透過性部材の第2の面に配設され、前記水素透過性部材を透過した水素が通過する水素流路を、前記水素透過性部材と共に形成する薄板状の第2の流路部材と、を備え、
前記水素透過性部材と各流路部材とを積層することにより形成される前記水素含有ガス流路と前記水素流路の少なくとも一方の露出された内面のみにパラジウム含有金属の被膜を有することを要旨とする。
流路の露出された内面のみにパラジウム含有金属の被膜を有するとは、水素透過性部材と各流路部材との接合部分にはパラジウム含有金属の被膜が存在せず、流路内の内面にのみパラジウム含有金属の被膜が存在することを意味する。
このような構成の水素分離装置によれば、水素透過性部材の表面全体にパラジウム含有金属の被膜を形成する必要がないため、各部材の接合強度を向上させることができる。また、水素含有ガス流路や水素流路の内面にはパラジウム含有金属の被膜が形成されているため、水素透過性部材の表面全体にパラジウム含有金属の被膜を形成しなくとも水素透過性能を確保することができる。
なお、水素透過性部材としては、例えば、VA族金属であるバナジウムや、タンタル、ニオブなどを薄板状に形成した部材を用いることができる。また、パラジウム含有金属としては、例えば、パラジウムやパラジウム合金などを用いることができる。
上記構成の水素分離装置において、
前記第1および第2の流路部材のうち、前記被膜を有する流路を形成する流路部材の前記水素透過性部材と接合する角は、該水素透過性部材と直交する断面内における内角が鋭角となるように形成されているものとしてもよい。
流路内にパラジウム含有金属の被膜を形成するにあたり、その前処理として脱脂処理や酸化膜除去処理などを行い、その後、このような処理に用いた各種液剤を洗浄する必要がある。そこで、流路部材の形状を上記構成とすることにより、流路部材と水素透過性部材の接合部、すなわち流路内の隅部に脱脂液や酸化膜除去液が残存することが抑制され、効果的に洗浄を行うことができる。従って、流路内のメッキのはがれが抑制され、パラジウム含有金属による良好な被膜を形成することが可能となる。
上記構成の水素分離装置において、
前記水素透過性部材は、前記被膜が形成される側の面に、異種金属の拡散を抑制するための拡散抑制層が形成されているものとしてもよい。
こうすることにより、水素透過性部材とパラジウム含有金属との相互拡散を抑制することができるため、水素透過性部材の水素透過性能の低下を抑制することができる。拡散抑制層には、例えば、酸化タングステンやセラミックスなどのプロトンを伝導可能な素材を用いることができる。
上記構成の水素分離装置において、
前記水素透過性部材と第1の流路部材と第2の流路部材とは、ろう付け接合によって接合されているものとしてもよい。
ろう付け接合は、拡散接合やレーザ溶接などに比べて比較的低温の環境で行うことができる。従って、水素透過性部材とパラジウム含有金属との相互拡散を抑制することができるため、水素透過性能の低下を抑制することが可能となる。
上記構成の水素分離装置において、
前記水素透過性部材は、前記第1の面および第2の面の少なくとも一方に、多数の貫通孔が形成された薄板状の補強部材を備えるものとしてもよい。
水素透過性部材は比較的薄い部材であるため、このような補強部材を用いることにより、水素透過性部材の変形を抑制して水素分離装置を強固に形成することが可能となる。補強部材に設ける貫通孔は、水素含有ガスや水素が通過するための孔である。
本発明の水素分離装置は次のような製造方法によって製造することができる。すなわち、
(a)第1の面から供給された水素含有ガスから水素を選択的に第2の面に透過させる薄板状の水素透過性部材を準備する工程と、
(b)前記水素含有ガスまたは前記水素が通過する溝孔を有する薄板状の流路部材を形成する工程と、
(c)前記水素透過性部材の両面に、前記流路部材を積層状に接合する工程と、
(d)前記流路部材の溝孔と前記水素透過性部材によって形成される流路内に、パラジウム含有金属をメッキする工程と、を備える製造方法である。
このような製造方法によれば、水素透過性部材と各流路部材とを積層状に接合した後にパラジウム含有金属を流路内にメッキするため、簡易な手法で水素分離装置を製造することが可能となる。また、従来のように、水素透過性部材1枚1枚に予めメッキ処理を施す必要がなく、一時にメッキ処理を施すことができるため、メッキ液の劣化等を考慮することなく、均一なパラジウム含有金属被膜を形成することができる。また、各部材を積層状に接合した後にパラジウム含有金属をメッキするため、水素透過性部材と流路部材との接合部分にパラジウム含有金属が介在することがない。従って、各部材の接合強度を向上させることが可能となる。
なお、前記工程(b)は、所定の金属薄板の両面に、前記溝孔の形状を表すためのレジストを施す工程と、レジストが施された領域よりも前記金属薄板内部の領域が狭くなるまでエッチングを行う工程と、を備えるものとしてもよい。
こうすることにより、水素透過性部材と接する角が鋭角となるように流路部材を形成することができるため、上述したように、良好にパラジウム含有金属をメッキすることが可能となる。
本発明は、次のような水素分離機能を備える燃料電池としても構成することができる。すなわち、酸化ガスと水素を含有する水素含有ガスとの供給を受けて発電を行う燃料電池であって、
水素含有ガスから水素を選択的に透過する薄板状の水素透過性部材の一方の面にプロトン伝導性を有する電解質層を配設した中間層と、
前記中間層の電解質層側に配設され、該電解質層とともに第1の流路を形成するための溝が設けられた第1の電極と、
前記中間層の水素透過性部材側に配設され、該水素透過性部材とともに第2の流路を形成するための溝が設けられた第2の電極と、を備え、
前記中間層と前記第2の電極とを積層することにより形成される前記第2の流路は、内面全体にパラジウム含有金属の被膜を有する、燃料電池である。
このような燃料電池によれば、水素透過性部材と第2の電極との接合部分にパラジウム含有金属が介在せず、第2の流路内の露出された内面にパラジウム含有金属の被膜が形成された構造とすることができるため、水素透過性部材と第2の電極との接合強度を向上させることができる。
この燃料電池は、
(a)水素含有ガスから水素を選択的に透過する水素透過性部材の一方の面にプロトン伝導性を有する電解質層を配設した中間層を生成する工程と、
(b)前記中間層の電解質層側に、流路の形成された第1の電極を接合するとともに、前記中間層の水素透過性部材側に、該水素透過性部材側に溝を設けた第2の電極を接合する工程と、
(c)前記中間層と前記第2の電極の溝とによって形成された流路内に、パラジウム含有金属をメッキする工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づき次の順序で説明する。
A.水素分離装置の構成:
B.水素分離装置の製造方法:
C.変形例:
A.水素分離装置の構成:
図1は、実施例としての水素分離装置100の外観斜視図である。図示するように、水素分離装置100は、板状の種々の部材を積層状に接合することにより構成された略直方体形状の装置であり、その内部を貫通するように、水素含有ガス流路110やパージガス流路120が形成されている。なお、パージガス流路120は、本発明の水素流路に相当する。
水素含有ガス流路110には、水素含有ガスが供給される。水素含有ガスは、例えば、ガソリンやメタノール、天然ガスなど、種々の炭化水素系燃料を改質することで生成される水素リッチな改質ガスである。
水素含有ガス流路110から水素含有ガスが供給されると、水素分離装置100の内部に配設された水素透過性部材の作用により水素が分離される。分離された水素は、パージガス流路120に供給されたパージガスと共に水素分離装置100から排出される。パージガスとしては、例えば窒素等の不活性ガスや、燃料電池から排出されるオフガスを用いることができる。
パージガス流路120は、図示しない燃料電池に所定のマニホルドを介して接続されるため、パージガス流路120から排出された水素は燃料電池の発電に供されることになる。水素が分離した水素含有ガスは排出ガスとして水素分離装置100の外部に排出される。
図2は、水素分離装置100を構成する各部材を示す説明図である。本図では、図1の「A」と示した部分を構成する各部材の平面図を示した。部分Aは、(1)天板130、(2)パージガス流路プレート140、(3)補強プレート170a、(4)水素透過性部材150、(5)水素含有ガス流路プレート160、(6)補強プレート170b、(7)水素透過性部材150、が積層状に接合することにより構成されている。その接合順は、上面から(1)〜(7)の順である。部分Aより下面の部分は、(2)〜(7)の部材が繰り返して接合され、最下面には天板130が接合される。
天板130は、水素分離装置100の最上面および最下面に配設されるステンレス板である。
パージガス流路プレート140は、複数の貫通溝141をステンレス板に形成した部材である。貫通溝141は、各部材が上記順で接合されることで、水素分離装置100内にパージガス流路120を形成する。パージガス流路120には、無電解メッキ処理によってパラジウムが被膜される。なお、図中には、貫通溝141とステンレス部分とを区別するため、ステンレス部分にはハッチングを付して示した。
水素含有ガス流路プレート160もパージガス流路プレート140と同様、複数の貫通溝161をステンレス板に形成した部材である。貫通溝161は、各部材が上記順で接合されることで、水素分離装置100内に水素含有ガス流路110を形成する。水素含有ガス流路110には、無電解メッキ処理によってパラジウムが被膜される。貫通溝161は、パージガス流路プレート140の貫通溝141と直交するように形成される。水素分離装置100に対して水素含有ガスとパージガスとを容易に供給するためである。
本実施例では、パージガス流路プレート140と水素含有ガス流路プレート160は、複数の短冊状のステンレス板によって構成されているが、これらは連結部材142,162によって連結されている。連結部材142,162は、パージガス流路プレート140や水素含有ガス流路プレート160の厚みよりも薄く、水素含有ガスやパージガスの流出入を妨げない程度の厚みの部材である。
補強プレート170a,170bは、他の部材よりも比較的厚みが薄い水素透過性部材150の変形を抑制するために水素透過性部材150の一方の面に隣接して配設されるステンレス板である。従って、これらは、水素透過性部材150の強度が十分であれば、省略しても構わない。また、補強プレート170aと補強プレート170bのどちらか一方だけを備えるものとしてもよい。
補強プレート170aには、パージガス流路プレート140に形成された貫通溝141に沿うように、多数の貫通孔171aが形成されている。また、補強プレート170bにも、水素含有ガス流路プレート160に形成された貫通溝161に沿うように、多数の貫通孔171bが形成されている。貫通孔171aおよび貫通孔171bの直径は、それぞれ貫通溝141,161の幅よりも小さくなっている。
本実施例では、補強プレート170aは、パージガス流路プレート140と水素透過性部材150との間に挟まれて配設するものとした。そのため、パージガス流路プレート140の貫通溝141を流れるパージガスは、補強プレート170aの貫通孔171aを通じて水素透過性部材150の表面に到達することとなる。また、補強プレート170bは、水素含有ガス流路プレート160と水素透過性部材150との間に挟まれて配設するものとしたため、水素含有ガス流路プレート160の貫通溝161を流れる水素含有ガスは、補強プレート170bの貫通孔171bを通じて水素透過性部材150の表面に到達することとなる。
天板130、パージガス流路プレート140、水素含有ガス流路プレート160、補強プレート170a,170bの厚さは0.5mmから1mm程度の厚さである。ただし、天板130は水素分離装置100の構造を強固にするため、他の部材よりも厚くするものとしてもよい。
水素透過性部材150は、バナジウム基材の両面に拡散抑制層として酸化タングステンを被膜した部材であり、一方の面に供給された水素含有ガスから他方の面に水素を選択的に透過する性質を有する。水素透過性部材150の厚さは、10μmから40μm程度の厚さである。拡散抑制層は、パージガス流路120や水素含有ガス流路110内にメッキ処理により形成されるパラジウム被膜とバナジウム基材との相互拡散を抑制する効果を奏する。
なお、水素透過性部材150には、バナジウムに替えて、例えば、バナジウムと銅との合金やバナジウムとニッケルの合金を用いることができる。その他、タンタルやニオブ等のVA族金属を用いることもできる。また、拡散抑制層には、酸化タングステンに替えて、例えば、プロトン伝導体、混合伝導体、セラミックス、およびこれらの複合材料や傾斜材料を用いても良い。
水素透過性部材150は、上記接合順序によれば、補強プレート170aや補強プレート170bが介在するが、基本的に、パージガス流路プレート140と水素含有ガス流路プレート160に挟まれるように配設されることとなる。従って、水素含有ガス流路プレート160の貫通溝161に水素含有ガスが供給されると、水素透過性部材150は、この水素含有ガスから水素を選択的にパージガス流路プレート140の貫通溝141に透過する。パージガス流路プレート140の貫通溝141にはパージガスが供給されるから、このパージガスとともに水素が水素分離装置100の外部へ排出されることとなる。
図3は、パージガス流路プレート140の構造を示す説明図である。なお、水素含有ガス流路プレート160の構造は、パージガス流路プレート140の構造とほぼ同様であるため説明は省略する。
図3(a)は、パージガス流路プレート140の平面図であり、図3(b)は、そのB−B断面図である。図示するように、パージガス流路プレート140は、水素透過性部材150や補強プレート170と接する角部の角度Cが鋭角になるよう形成する。本実施例では、パージガス流路120の側壁となる部分Dを湾曲状に窪ませることにより、角度Cが鋭角になるよう形成するものとした。こうすることにより、パージガス流路120内にパラジウムを好適にメッキすることが可能となる。メッキ処理を行うに当たり、その前処理としてメッキを行う部分の脱脂や酸化膜除去を行うことになるが、角度Cを鋭角にすることで、このような処理に用いる液体が流路内の隅部に残存することを抑制することができるためである。
B.水素分離装置の製造方法:
図4は、水素分離装置100の製造方法を示すフローチャートである。まず、天板130と水素透過性部材150を準備し(ステップS10)、パージガス流路プレート140と水素含有ガス流路プレート160を生成する(ステップS11)。これらの生成方法は後述する。次に、補強プレート170a,170bを生成する(ステップS12)。補強プレート170a,170bに形成する貫通孔171a,171bの断面は、図示するように皿状になるように形成する。かかる貫通孔171a,171bは、例えば、プレス加工やパンチングなどの各種手法によって形成することができる。
次に、天板130、水素透過性部材150、パージガス流路プレート140、水素含有ガス流路プレート160、補強プレート170a,170bを上述した順序で積層し、これらの外周部をろう付け接合する(ステップS13)。補強プレート170aは、貫通孔171aの開口部の大きい面がパージガス流路プレート140側に、開口部の小さい面が水素透過性部材150側になるように積層する。流路内の隅部をすべて鈍角とするためである。同様に、補強プレート170bも貫通孔171bの開口部の大きい面が水素含有ガス流路プレート160側に、開口部の小さい面が水素透過性部材150側になるように積層する。
これらの部材の接合方法としては、ろう付け接合以外にも、拡散接合やレーザ溶接などの手法を用いることもできる。しかし、拡散接合やレーザ溶接は1200℃以上という比較的高温下で行われるため、ステンレスから不活性ガスが発生し、この不活性ガスが水素透過性部材150に吸着されてしまい、水素透過性能が低下するおそれがある。また、バナジウムは850℃以上の高温下にさらされると、再結晶化が起こり、結晶構造が変化してしまうため、水素透過性能が低下するおそれがある。従って、850℃以下の比較的低温下で接合が可能なろう付けによって各部材を接合することが好ましい。
次に、各部材を接合することによって形成された水素含有ガス流路110とパージガス流路120内の脱脂処理や酸化膜除去処理、純水による洗浄処理を行う(ステップS14)。脱脂処理には、例えば、アルカリ性の脱脂液が用いられ、酸化膜除去には、例えば、硝酸やフッ酸などが用いられる。本実施例では、図3で示したように、流路の側壁を湾曲状としたため、これらの液体が流路内の隅部に残存することが抑制され、好適に洗浄を行うことができる。
最後に、無電解メッキ処理によってパージガス流路120と水素含有ガス流路110内の内面全体にパラジウム被膜を形成する(ステップS15)。水素透過性部材150の表面にパラジウム被膜を形成することによって、水素透過性能を向上させることができるからである。図中には、各部材の積層状態と流路内に形成されたパラジウム被膜(Pd)を示した。図には、便宜的にパージガス流路120と水素含有ガス流路110とが平行になるよう表したが、実際は上述したように直交している。以上の工程を経ることにより本実施例の水素分離装置100を製造することができる。
図5は、パージガス流路プレート140と水素含有ガス流路プレート160の製造方法を示すフローチャートである。まず、ステンレス板を準備して(ステップS20)、このステンレス板にレジストを塗布してエッチングパターンを形成する(ステップS21)。次に、図3で示したように断面が湾曲状になるまで、換言すれば、ステンレス表面のレジストが施された領域よりもステンレス板の内部の領域が狭くなるまで、所定時間、エッチング処理を行うことで貫通溝を形成する(ステップS22)。最後に、レジストを除去して流路プレートは完成する(ステップS23)。
以上で説明した水素分離装置100によれば、パージガス流路120や水素含有ガス流路110内の隅部が鈍角となるため、脱脂液や酸化膜除去液などの残存を抑制することができる。従って、メッキはがれを抑制し、良好なパラジウム被膜を形成することができる。また、従来のように水素透過性部材150を1枚1枚メッキ処理する必要がないため、製造効率を高めることができる。また、1枚1枚メッキ処理する必要がないため、メッキ液の劣化などに起因する個体毎の品質のばらつきが生じることがない。また、上述した製造方法によれば、各流路内の露出された内面のみにパラジウムがメッキされ、水素透過性部材150と流路プレート等の接合部にパラジウムが介在することがない。従って、各部材の接合を強固に行うことができる。以上のように、本実施例によれば簡易な手法で優れた特性の水素分離装置100を製造することが可能となる。
C.変形例
上記実施例では、水素分離装置100のパージガス流路120や水素含有ガス流路110内に、パラジウム被膜をメッキ処理によって形成するものとしたが、水素分離機能を備える燃料電池の製造過程においてもこのようなメッキ処理を適用することができる。
図6は、変形例としての燃料電池200の概略構成を示す説明図である。燃料電池200は、水素リッチな水素含有ガスと空気の供給を受けて発電を行う装置である。すなわち、燃料電池200は、予め水素を生成することなく、水素含有ガスを直接供給することで発電を行うことができるという優れた特徴を有する。
図示するように、燃料電池200は、中間層210と酸素極220と水素極230とによって構成される。
中間層210は、薄板状の水素透過性部材211とプロトン伝導性を有する電解質212とを備えている。水素透過性部材211の両面には、上記実施例と同様に拡散抑制層が形成されており、水素透過性部材211と電解質212との間にはパラジウム被膜層213が形成されている。電解質としては、例えば、ペロブスカイトを用いることができる。
酸素極220は、中間層210に隣接する多孔性の電極221と、正極金属セパレータ222によって構成されている。正極金属セパレータ222には電極221側に複数の溝223が形成されている。この溝223は、電極221とともに酸化ガス流路224を形成し、空気が供給される。
水素極230は、中間層210に接する側に複数の溝232の形成された負極金属セパレータ231によって構成されている。この溝232は、隣接する中間層210と共に水素含有ガスが通過する水素含有ガス流路234を形成する。水素含有ガス流路234には、メッキ処理によりパラジウム被膜233が形成される。なお、負極金属セパレータ231に形成された溝232は、その側壁が湾曲状に窪むように形成するものとした。溝232をこのような形状とすることにより、メッキ処理の前処理として行う脱脂処理や酸化膜除去処理に用いる液体が水素含有ガス流路234内の隅部に残留することを抑制することができるためである。
ここで、燃料電池200の発電原理を簡単に説明する。まず、水素含有ガスが水素含有ガス流路234に供給されると、パラジウム被膜233と水素透過性部材211の作用によって水素含有ガス中の水素がプロトンと電子とに分離される。分離されたプロトンは、水素透過性部材211とパラジウム被膜層213を通過し、更に、電解質212中を伝導することにより、酸素極220側に移動する。一方、分離された電子は、水素極230と酸素極220間に接続された所定の電気回路240に供給され、その後、酸素極220側に移動する。酸素極220内の酸化ガス流路224では、酸化ガス中の酸素と、電解質212を伝導して電極221に到達したプロトンと、電気回路240を通って正極金属セパレータ222に到達した電子とが反応し、水が生成される。燃料電池200は、このような原理によって発電を行う。
図7は、燃料電池200の製造方法を示すフローチャートである。まず、両面に拡散抑制層を設けた水素透過性部材211を準備し(ステップS30)、この水素透過性部材211の一方の面にパラジウム被膜層213を形成する(ステップS31)。
次に、水素透過性部材211のパラジウム被膜層213を形成した面に電解質212を配設することで中間層210を形成する(ステップS32)。そして、更に、中間層210の電解質212側に電極221と正極金属セパレータ222を取り付け、中間層210の水素透過性部材211側に負極金属セパレータ231を取り付ける(ステップS33)。
最後に、水素含有ガス流路234に対して、脱脂処理や酸化膜除去処理、洗浄処理を行った上で無電解メッキ処理を施すことにより、パラジウム被膜233を形成する(ステップS34)。以上の工程により、燃料電池200を製造することができる。
以上で説明した燃料電池200の製造方法によれば、水素透過性部材211と負極金属セパレータ231との接合面にパラジウムが介在しないため、負極金属セパレータ231を強固に接合することができる。また、水素含有ガス流路234内の側壁を湾曲状にしたため、良好にメッキ処理を施すことができる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、実施例では、水素含有ガス流路110とパージガス流路120の両者にメッキ処理を施すものとしたが、どちらか一方のみにメッキ処理を施す構成も可能である。また、パラジウムに替えて、パラジウム合金をメッキするものとしてもよい。
実施例としての水素分離装置の外観斜視図である。 水素分離装置を構成する各部材を示す説明図である。 パージガス流路プレートの構造を示す説明図である。 水素分離装置の製造方法を示すフローチャートである。 流路プレートの製造方法を示すフローチャートである。 変形例としての燃料電池の概略構成を示す説明図である。 燃料電池の製造方法を示すフローチャートである。
符号の説明
100...水素分離装置
110...水素含有ガス流路
120...パージガス流路
130...天板
140...パージガス流路プレート
141...貫通溝
142...連結部材
150...水素透過性部材
160...水素含有ガス流路プレート
161...貫通溝
162...連結部材
170a,170b...補強プレート
171a,171b...貫通孔
200...燃料電池
210...中間層
211...水素透過性部材
212...電解質
213...パラジウム被膜層
220...酸素極
221...電極
222...正極金属セパレータ
223...溝
224...酸化ガス流路
230...水素極
231...負極金属セパレータ
232...溝
233...パラジウム被膜
234...水素含有ガス流路
240...電気回路

Claims (9)

  1. 水素を含有する水素含有ガスから水素の抽出を行う水素分離装置であって、
    第1の面から供給された水素含有ガスから水素を選択的に第2の面に透過する薄板状の水素透過性部材と、
    前記水素透過性部材の第1の面に配設され、前記水素含有ガスが通過する水素含有ガス流路を、前記水素透過性部材と共に形成する薄板状の第1の流路部材と
    前記水素透過性部材の第2の面に配設され、前記水素透過性部材を透過した水素が通過する水素流路を、前記水素透過性部材と共に形成する薄板状の第2の流路部材と、を備え、
    前記水素透過性部材と各流路部材とを積層することにより形成される前記水素含有ガス流路と前記水素流路の少なくとも一方の露出された内面のみにパラジウム含有金属の被膜を有する、水素分離装置。
  2. 請求項1に記載の水素分離装置であって、
    前記第1および第2の流路部材のうち、前記被膜を有する流路を形成する流路部材の前記水素透過性部材と接合する角は、該水素透過性部材と直交する断面内における内角が鋭角となるように形成されている、水素分離装置。
  3. 請求項1に記載の水素分離装置であって、
    前記水素透過性部材は、前記被膜が形成される側の面に、異種金属の拡散を抑制するための拡散抑制層が形成されている、水素分離装置。
  4. 請求項1に記載の水素分離装置であって、
    前記水素透過性部材と第1の流路部材と第2の流路部材とは、ろう付け接合によって接合されている水素分離装置。
  5. 請求項1に記載の水素分離装置であって、
    前記水素透過性部材は、前記第1の面および第2の面の少なくとも一方に、多数の貫通孔が形成された薄板状の補強部材を備える、水素分離装置。
  6. 水素を含有する水素含有ガスから水素の抽出を行う水素分離装置の製造方法であって、
    (a)第1の面から供給された水素含有ガスから水素を選択的に第2の面に透過させる薄板状の水素透過性部材を準備する工程と、
    (b)前記水素含有ガスまたは前記水素が通過する溝孔を有する薄板状の流路部材を形成する工程と、
    (c)前記水素透過性部材の両面に、前記流路部材を積層状に接合する工程と、
    (d)前記流路部材の溝孔と前記水素透過性部材によって形成される流路内に、パラジウム含有金属をメッキする工程と、
    を備える水素分離装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の水素分離装置の製造方法であって、
    前記工程(b)は、所定の金属薄板の両面に、前記溝孔の形状を表すためのレジストを施す工程と、レジストが施された領域よりも前記金属薄板内部の領域が狭くなるまでエッチングを行う工程と、を備える水素分離装置の製造方法。
  8. 酸化ガスと水素を含有する水素含有ガスとの供給を受けて発電を行う燃料電池であって、
    水素含有ガスから水素を選択的に透過する薄板状の水素透過性部材の一方の面にプロトン伝導性を有する電解質層を配設した中間層と、
    前記中間層の電解質層側に配設され、該電解質層とともに第1の流路を形成するための溝が設けられた第1の電極と、
    前記中間層の水素透過性部材側に配設され、該水素透過性部材とともに第2の流路を形成するための溝が設けられた第2の電極と、を備え、
    前記中間層と前記第2の電極とを積層することにより形成される前記第2の流路は、内面全体にパラジウム含有金属の被膜を有する、燃料電池。
  9. 酸化ガスと水素を含有する水素含有ガスとの供給を受けて発電を行う燃料電池の製造方法であって、
    (a)水素含有ガスから水素を選択的に透過する水素透過性部材の一方の面にプロトン伝導性を有する電解質層を配設した中間層を生成する工程と、
    (b)前記中間層の電解質層側に、流路の形成された第1の電極を接合するとともに、前記中間層の水素透過性部材側に、該水素透過性部材側に溝を設けた第2の電極を接合する工程と、
    (c)前記中間層と前記第2の電極の溝とによって形成された流路内に、パラジウム含有金属をメッキする工程と、
    を備える燃料電池の製造方法。
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