JP3969179B2 - 水素分離装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を含有する水素含有気体から水素を抽出する水素分離装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素と空気の電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。燃料電池は、水素と酸素との電気化学反応によって起電力を得る。燃料電池に供給される水素は、例えば、炭化水素系の原料を改質して得られる改質ガスから、水素分離装置によって水素を抽出することによって得られる。
【0003】
水素分離装置としては、例えば、バナジウム(V)あるいはバナジウム合金など水素を選択的に透過させる性質を有する水素分離膜を利用する装置が知られている。かかる装置では、水素分離膜の一方の面に改質ガスを供給すると、他方の面から水素が抽出される。
【0004】
水素分離膜を備える水素分離装置としては、改質ガスが通過する流路を形成する部材と、水素分離膜と、抽出された水素が通過する流路を形成する部材とを、複数積層したものが提案されている(例えば、特開平6−345408号公報など)。かかる積層構造では、水素分離膜の表面積を広く確保することができ、単位体積当たりの水素抽出効率を向上させることができる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来、各部材の材質および接合方法については、充分な検討がなされていなかった。従って、これらの改善により水素分離装置の更なる小型化を図るとともに、製造の容易化に対する改善の余地が残されていた。
【0006】
特に、水素分離装置を燃料電池と共に車載し、車両の駆動用電源として用いる場合のように、装置を設置可能となるスペースに制限がある用途に用いる場合には、さらなる小型化が望まれていた。
【0007】
また、上記したバナジウムあるいはバナジウム合金等による水素分離膜は、単独で用いられる他、その表面に薄膜を形成したいわゆるサンドイッチ構造とすることも提案されている(例えば、特開平11−276866号公報)。この薄膜はパラジウム(Pd)あるいはパラジウム合金の薄膜であり、この薄膜により、分離膜表面での水素の解離吸着特性を高められている。ところが、こうしたサンドイッチ構造の水素分離膜を有する水素分離装置を製造するに当たっても、装置構成部材の接合の際に、薄膜の上記特性を維持した上での製造方法については、未だ十分な検討がなされていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、積層型の水素分離装置において、水素分離性能を維持した上で製造の簡略化と更なる小型化を可能とする技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の水素分離装置の製造方法は、
水素を含有する水素含有気体から水素の抽出を行う水素分離装置の製造方法であって、
水素を選択的に透過させる特性を有する水素分離膜を備えた薄様の金属製の水素分離部材を用意する工程(a)と、
該水素分離部材の第1の面に隣接して配設されると、前記第1の面に沿った流路を、前記水素含有気体が通過する水素含有気体流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第1流路部材を用意する工程(b)と、
前記水素分離部材の第2の面に隣接して配設されると、前記第2の面に沿った流路を、前記水素分離膜を透過して前記水素含有気体から抽出された水素が通過する水素流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第2流路部材を用意する工程(c)と、
前記水素分離部材と前記第1、第2の流路部材とを含む複数の部材を所定の順序で積層して前記水素分離装置の半製品を形成する工程(d)と、
前記水素分離膜を取り囲む前記複数の部材同士の接合箇所を、加熱処理を伴う接合手法で接合する工程(e)と、
前記水素含有気体流路と前記水素流路の少なくとも一方に、前記水素分離膜の前記面に金属の薄膜層をするための該金属を含有する無電解メッキ液を流し込み、前記面に前記薄膜層を無電解メッキ手法にて形成する工程(f)とを備え、
前記工程(e)の加熱処理は、前記半製品を構成する部材の融点をT1とし、前記水素分離装置の使用環境下温度を前記融点T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行される
ことを特徴とする。
【0010】
上記構成を有する本発明の水素分離装置の製造方法では、用意した薄様の金属製の水素分離部材と第1、第2の流路部材とを含む複数の部材を所定の順序で積層して水素分離装置の半製品を形成し、その後の工程を経て完成品の水素分離装置とする。この水素分離装置における水素含有気体・抽出水素の流路はこれら薄様の部材で形成されるのであるが、金属製であるが故に、その強度を薄様であっても確保できる。更には、積層構造とすることでも、装置全体としても強度を確保できる。つまり、流路形成に当たっての薄様部材の採用並びにその積層構造により、装置全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0011】
しかも、水素分離膜を取り囲む複数の部材同士の接合箇所を加熱処理を伴う接合手法で接合するに当たり、その加熱処理温度Tkを、半製品を構成する部材の融点をT1とし、水素分離装置の使用環境下温度を前記融点T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度とした。従って、この加熱処理下では、T1>Tkであることから、部材同士の接合箇所には部材の溶融を引き起こさないので、溶融を見越した部材厚みの設定が不要となり、その分、薄型化に寄与できる。
【0012】
また、水素分離装置は、その使用環境下温度T2で使用されるので、使用中に、加熱処理温度Tkを上回ることがない。よって、温度Tkでの加熱処理を経た部材同士の接合箇所の接合状況に熱による変化を来さないので、接合強度の低下を起こさないようにできる。この結果、接合強度低下に伴う水素分離性能低下、例えば、気体漏れによる水素透過性能の低下を来さない。
【0013】
こうした水素分離性能の低下を来さず当該性能を維持確保した水素分離装置を提供するに当たり、本発明の製造方法では、加熱処理温度Tkの管理を行えば足りる。よって、積層型の水素分離装置における水素分離性能を維持した上で製造の簡略化を図ることができると共に、更なる小型化を達成できる。
【0014】
こうした加熱処理を伴う接合手法として、拡散接合手法やろう付け手法を採用することができ、前者の手法は、耐熱性および耐腐食性の確保という観点からより好適である。
【0016】
また、工程(e)に続いては、前記水素含有気体流路と前記水素流路の少なくとも一方に、前記水素分離膜の前記面に金属の薄膜層をするための該金属を含有する無電解メッキ液を流し込み、前記面に前記薄膜層を無電解メッキ手法にて形成するという工程(f)を行うので、既に積層・接合がなされた水素分離装置を構成済みの水素分離部材において、その有する水素分離膜の面に金属の薄膜層を容易に形成できる。つまり、水素分離膜とその面に形成した金属の薄膜層とについては、その後に受ける熱環境を水素分離装置の使用環境下温度T2によるものだけとし、上記の加熱処理での処理温度下におかないようにできる。よって、次のような利点がある。
【0017】
水素分離膜に金属の薄膜層を形成した場合、これらが高温環境下に置かれると、分離膜・薄膜層の構成金属の拡散が起き得る。例えば、水素分離膜を水素透過特性に優れたバナジウム(V)あるいはバナジウム合金の分離膜とし、その面に形成する薄膜層を、水素の解離吸着特性に優れるパラジウム(Pd)あるいはパラジウム合金の薄膜層とする。こうした膜構成、即ちサンドイッチ構造とすると、既述したように薄膜層の呈する水素解離吸着特性により、水素の分離効率が高まるものの、高温環境下では、形成した薄膜層のPd内に水素分離膜のVが拡散してしまい、最終的には拡散したVがPdの表面に析出する。こうなると、水素透過特性が低下してしまう。
【0018】
ところが、上記のように工程(f)を、加熱処理を伴う工程(e)に続いて行えば、サンドイッチ構造の水素分離膜を、高温となりがちな加熱処理温度Tkに晒すことがない。よって、上記したような拡散・析出が起きにくくなるので、水素透過特性を確実に維持でき、好ましい。
【0019】
ところで、水素分離膜に金属の薄膜層を形成した膜構造にあっては、上記した金属の拡散・析出は全く起きない性質のものではなく、この拡散・析出に基づく性能ダウン(上記のVとPdであれば、水素透過特性の低下)をもたらす。今、こうした膜構造において、ある温度T0の環境下でt時間の経過後にy%の性能ダウンを起こすとすると、この性能ダウンは、Fickの第二法則から求められる拡散濃度cに依存し、拡散距離xに置き換えることができる。図1は、Fickの第二法則の数式を示す説明図である。
【0020】
この第二法則に従えば、拡散対象となる二種類の金属原子間の拡散距離xと時間tとを定めれば、y%の性能ダウン(拡散濃度c)を起こす温度T0(拡散温度T)が求まる。こうして求めた温度T0は、種々の値となり、例えば、上記の時間tを、水素分離装置を燃料電池と共に搭載した車両で想定される耐用時間(約5000時間)とすれば、この時間に応じた温度として求まる。そして、こうして求めた温度(拡散温度)T0は、上記した融点T1、使用環境下温度T2との関係では、T1>T0>T2であることが好ましい。つまり、こうした関係にあれば、使用環境下温度T2の温度に水素分離膜は晒されるものの、この温度は、上記求めた温度T0より低いので、耐用時間が不用意に短くなることはない。また、部材の融点T1より低ければ、何らかの原因で装置温度が上記の温度T0となっても、装置構成部材自体の溶融を引き起こすことがない。なお、この温度T0と加熱処理における処理温度Tkとの関係は、加熱処理実行過程では水素分離膜に薄膜がないので、その大小関係は問わない。
【0021】
また、上記課題の少なくとも一部を解決するための本発明の別の水素分離装置の製造方法は、
水素を含有する水素含有気体から水素の抽出を行う水素分離装置の製造方法であって、
金属箔であって水素を選択的に透過させる特性を有する水素分離膜と、該水素分離膜の第1、第2の面に薄膜形成され金属の薄膜層とを備えた薄様の金属製の水素分離部材を用意する工程(a)と、
該水素分離部材の第1の面に隣接して配設されると、前記第1の面に沿った流路を、前記水素含有気体が通過する水素含有気体流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第1流路部材を用意する工程(b)と、
前記水素分離部材の第2の面に隣接して配設されると、前記第2の面に沿った流路を、前記水素分離膜を透過して前記水素含有気体から抽出された水素が通過する水素流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第2流路部材を用意する工程(c)と、
前記水素分離部材と前記第1、第2の流路部材とを含む複数の部材を所定の順序で積層して前記水素分離装置の半製品を形成する工程(d)と、
前記水素分離膜を取り囲む前記複数の部材同士の接合箇所を、加熱処理を伴う接合手法で接合する工程(e)とを備え、
前記工程(e)の加熱処理は、前記半製品を構成する部材の融点をT1とし、前記水素分離装置の使用環境下温度を前記融点T1より低いT2とし、前記水素分離膜の機能を実質上低下させる温度を前記融点T1より低いT3としたとき、T1>T3>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行される
ことを特徴とする。
【0022】
上記構成を有する本発明の別の水素分離装置の製造方法では、既述した半製品を得るに当たり、用意する水素分離部材が、金属製の薄膜層形成済みの水素分離膜を有する点で相違するものの、水素含有気体・抽出水素の流路形成の点で上記の製造方法と変わるものではない。よって、既述したように、装置全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0023】
そして、この製造方法では、水素分離膜を取り囲む複数の部材同士の接合箇所を加熱処理を伴う接合手法で接合するに当たり、その加熱処理温度Tkを、半製品を構成する部材の融点をT1とし、水素分離装置の使用環境下温度を前記融点T1より低いT2とし、前記水素分離膜の機能を実質上低下させる温度を前記融点T1より低いT3としたとき、T1>T3>Tk>T2を満たす処理温度とした。従って、この加熱処理下では、T1>Tkであることから、部材同士の接合箇所には部材の溶融を引き起こさないので、溶融を見越した部材厚みの設定が不要となり、その分、薄型化に寄与できる。
【0024】
また、水素分離装置は、その使用環境下温度T2で使用されるので、使用中に、加熱処理温度Tkを上回ることがない。よって、温度Tkでの加熱処理を経た部材同士の接合箇所の接合状況に熱による変化を来さないので、接合強度の低下を起こさないようにできる。この結果、接合強度低下に伴う水素分離性能低下、例えば、気体漏れによる水素透過性能の低下を来さない。
【0025】
更に、金属の薄膜層形成済みの水素分離膜は、接合手法の加熱処理の際にその処理温度Tkの環境に晒されるが、この処理温度Tkは、水素分離膜の機能を実質上低下させる温度T3より低い。よって、次のような利点がある。
【0026】
金属の薄膜層形成済みの水素分離膜が処理温度Tkの環境に晒されている間にあっては、既述したように、金属の拡散・析出は起き、その程度は、Fickの第二法則から処理温度Tk(拡散温度T)とその処理時間で定まる。この処理時間と処理温度Tkは当然に既知であることから、部材接合の工程の過程で進む性能ダウン程度、即ち、水素分離膜の機能低下の程度も予測できる。従って、水素分離膜の機能を実質上低下させる温度T3を接合工程時の処理温度Tkより高く設定しておけば、部材接合の工程の過程で進む水素分離膜の機能低下を確実に抑制して、装置製造過程における水素分離膜の機能を維持できる。
【0027】
こうした水素分離性能の低下を来さず当該性能を維持確保した水素分離装置を提供するに当たり、本発明のこの別の製造方法によっても、加熱処理温度Tkの管理と、上記した温度T3等の設定を行えば足りる。よって、積層型の水素分離装置における水素分離性能を維持した上で製造の簡略化を図ることができると共に、更なる小型化を達成できる。
【0028】
なお、加熱処理を伴う接合手法としては、既述した通り、拡散接合手法やろう付け手法を採用することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.水素分離装置の構成:
C.水素分離プレートの詳細構造:
D.流路プレートの詳細構造:
E.エンドプレートの詳細構造:
F.水素分離装置の製造方法:
G.第2実施例の製造方法
H.第3実施例の製造方法
I.変形例:
【0030】
A.システム構成:
図2は実施例としての水素分離装置を用いた燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。燃料電池システム80は、燃料電池90に供給される水素と酸素の電気化学反応によって発電する。酸素には、ブロワ92によって供給される圧縮空気が利用される。水素は、以下に示す機構により、原料の改質によって生成される。原料としては、ガソリンなどの液体炭化水素、メタノールなどのアルコール、アルデヒド類、または天然ガスなど、改質反応によって水素を生成可能な種々の炭化水素系燃料を選択することができる。
【0031】
原料タンク82に貯蔵された原料、および水タンク84に貯蔵された水は、それぞれ蒸発・混合部86で気化・昇温されて、改質器88に供給される。原料と水との混合ガスは、改質器88において改質され、水素リッチな改質ガスを生成する。改質器88で進行する改質反応は、水蒸気改質反応や部分酸化反応、あるいは両者を組み合わせたものなど種々の態様を選択することができる。改質器88は、原料および反応に適した改質触媒が備えられている。
【0032】
改質ガスは水素分離装置10に供給され、水素が分離される。水素分離装置10には、水素の分離を促進するためのパージガスも供給されている。本実施例では、水蒸気をパージガスとして用いるものとした。パージガスは、不活性ガス、燃料電池90のオフガスなど、種々のガスを利用することができる。パージガスを用いない構成を採ることもできる。こうして分離された水素は、燃料電池90に供給される。
【0033】
図2に示した構成は、例示に過ぎず、改質器88に加えてシフト反応を行うためのシフト部、改質ガス中の一酸化炭素を優先的に酸化する反応を行うためのCO選択酸化部などを設けてもよい。
【0034】
B.水素分離装置の構成:
図3は水素分離装置10の斜視図である。水素分離装置10は、正方形の薄板状部材を複数積層した構造を有している。積層構造の両端には、改質ガスおよびパージガスの流入口および排出口が設けられている。
【0035】
図4は水素分離装置10の一部の分解斜視図である。図3中の領域Aに相当する部分を示した。積層構造の両端には、エンドプレート20が設けられている。エンドプレート20には、改質ガスの流入口22およびパージガスの流入口24が設けられている。エンドプレート20の下層には、流路プレート30a,50,30bおよび水素分離プレート40a,40bが交互に配列されている。
【0036】
流路プレート30a,50,30bは、面内を流れるガスの種類によって2通りに分類される。第1の流路プレートは、面内を改質ガスが流れる改質ガス流路プレートである。流路プレート30a,30bがこれに相当する。第2の流路プレートは、面内をパージガスが流れるパージガス流路プレートである。流路プレート50がこれに相当する。水素分離プレート40a,40bは、それぞれ改質ガス流路プレートとパージガス流路プレートに挟まれるように、配置されている。改質ガス流路プレートとパージガス流路プレートは同一形状のプレートであり、積層方向が表裏で相違している。
【0037】
また、流路プレート30aには、水素分離プレート40a,40bとともに面内の流路を形成する流路孔34、および改質ガスおよびパージガスをそれぞれ積層方向に流通させるための縦通孔32が設けられている。他の流路プレートについても同様である。そして、これら流路プレートおよび上下のエンドプレートは、共にステンレス製の薄様の部材である。
【0038】
水素分離プレート40a,40bは、改質ガスから水素を分離する機能を奏する。水素分離プレート40aは、図中にハッチングを付して示した領域を、水素分離膜44として機能させる。図中で水素分離プレート40aの上面を流れる改質ガス中の水素は、水素分離膜44で分離されて、下面を流れるパージガス内に抽出される。水素分離プレート40aには、改質ガスおよびパージガスをそれぞれ積層方向に流通させるための縦通孔42が設けられている。水素分離プレート40bを含め、他の水素分離プレートも同様の構成である。
【0039】
流路プレートおよび水素分離プレートの縦通孔32,42は、積層時にほぼ一致する位置および形状で設けられている。積層時には、これらの縦通孔32,42によって、改質ガスおよびパージガスを積層方向に流通されるための流路が形成される。図中に矢印で示す通り、改質ガスおよびパージガスは、積層方向に流れつつ、各流路プレートで枝分かれして、面内方向にも流れる。これらのガスは、最終的には、エンドプレート20に対向するエンドプレートにおいて排出口から排出される。
【0040】
本実施例において、エンドプレート、流路プレート、水素分離プレートは、それぞれ拡散接合によって接合される。拡散接合を用いることにより、各プレートの接合加工を比較的簡素化することができるとともに、各プレート間の耐熱性および耐腐食性を容易かつ安定して保つことができる。
【0041】
流路プレートは、図4に示したほぼ全面において、他のプレートと接合される。水素分離プレートは、図中の水素分離膜44を除く領域において他のプレートと接合される。このように他のプレートと接合される部分を、プレートの種類を問わず、以下、接合部と呼ぶものとする。
【0042】
C.水素分離プレートの詳細構造:
水素分離プレートは、バナジウムを基材として構成されている。バナジウムに代えて、ニオブ、タンタルなどの5族金属または5族金属合金を用いるものとしてもよい。水素分離プレートの厚さは、適宜設定可能であるが、単体である程度形状を維持することができる単体の自立膜として構成するためには、10μm以上とすることが好ましい。一方、十分な水素透過性を確保可能な程度に薄くすることを併せて考慮すれば、水素分離プレートは、20〜40μmとすることがより好ましい。なお、水素分離プレートの接合部には、補強のために100μm程度の補強部材を貼付するものとしてもよい。
【0043】
水素分離プレートの接合部は、基材のままとしてもよいが、その表面を金属で被覆するものとしてもよい。かかる金属としては、例えば、チタン、銅およびアルミニウムなどを用いることができる。特に、熱膨張係数が5族金属または5族金属合金に近く、熱応力を抑制することができるという点でチタンを用いることが好ましい。このように接合部に被膜を設けることにより、この部分の酸化および水素脆化を防ぐことができる利点がある。
【0044】
D.流路プレートの詳細構造:
流路プレートは、先に説明した通り、面内のガス流路を形成する部材である。この流路の断面積は、流路プレートの厚さに依存する。流路プレートを薄くすれば、流路の断面積が小さくなり、ガスが流れる際の圧損が増大する。一方、流路プレートを薄くすれば、水素分離装置の小型化を図ることができる。流路プレートの厚さは、これらの両面を考慮して、適宜設定することができ、例えば100μm〜1mm、好ましくは200μm〜500μmの範囲に設定することができる。
【0045】
流路プレートの接合部は、基材のままとしてもよいが、水素分離プレートと同様、チタン、銅、アルミニウムなどの被膜を設けても良い。この場合でも、水素分離プレートに形成された被膜と同じ材料を用いることが好ましい。
【0046】
E.エンドプレートの詳細構造:
エンドプレートは、水素分離装置10の上下端に位置することから、強度を確保するため、1mm程度の厚さとすることが好ましい。なお、このエンドプレートを始め、上記の流路プレートを、水素分離プレートと同じ材質(例えば、バナジウム)で形成するようにすることもできる。こうすれば、それぞれの接合部の拡散接合の容易化、安定化を図ることができる。
【0047】
流路プレートと接合する側の面は、基材のままとしてもよいが、流路プレート等と同様、チタン、銅、アルミニウムなどの被膜を設けても良い。この場合でも、流路プレートに形成された被膜と同じ材料を用いることが好ましい。
【0048】
エンドプレートには、改質ガスおよびパージガスの流入口および排出口用の配管が接合される。これらの配管はステンレス等で形成することができ、エンドプレートとの接合は、ロウ付け、溶接など種々の接合方法によって行うことができる。
【0049】
本実施例では、エンドプレートをステンレス鋼としたので、ステンレス製とされている配管との接合が容易となる。このように、エンドプレートや流路プレートをステンレスとしたので、これらプレートにパラジウム、チタンなど、ステンレスと5族金属または5族金属合金との中間の熱膨張係数を有する金属の被膜を施すことが好ましい。こうすることにより、エンドプレートと流路プレートの間の熱応力を緩和することができる。
【0050】
F.水素分離装置の製造方法:
水素分離装置10は、次の製造工程によって製造することができる。図5は製造方法の各工程を説明するための説明図である。
まず、エンドプレート、流路プレート、水素分離プレートの各板状部材を用意する(ステップS100)。この際には、既述した程度の厚みのステンレス薄板、バナジウム等の薄板から、プレス打ち抜き等の適宜な手法で、それぞれ正方形状とされる。また、各板状部材には、図4に示した孔を形成する。この孔は、例えば、エッチング、放電加工(例えばワイヤカット)、レーザ加工、プレス加工などによって形成することができる。水素分離プレートは、バナジウム等の自立膜として用意される。
【0051】
水素分離プレートにあっては、バナジウム等の酸化しやすい素材を用いるため、上記加工は、不活性ガスなど、酸化を生じない環境下で行うことが望ましい。または、先に説明した通り、接合部にチタン等の被膜を形成しておくことが望ましい。
【0052】
こうして形成されたそれぞれの板状部材を、図4に示した順序、向きとなるよう所定の順序で積層する(ステップS110)。その後、加熱および加圧を行って、各プレートの接合部を拡散接合する(ステップS120)。更に、エンドプレートには、流入口および排出口の配管をロウ付けする(ステップS130)。
【0053】
このステップS120で採用した拡散接合は、接合したい金属部材同士を、融点よりも低い処理温度Tkで加熱・加圧し、原子の拡散を利用して接合する方法である。本実施例では、ステンレス製のプレートとバナジウム製のプレートという異種金属としたので、この処理温度Tkは、異種金属間のうちの低い方の融点より低い温度に設定されている。さらにこの処理温度Tkは、水素分離装置10の使用環境下温度より高い温度に設定されている。
【0054】
こうした拡散接合では、各プレートの接合部の接触面は、接合しようとする双方の金属が相互に拡散し合い、両者が一体化する。
【0055】
以上のように構成された本実施例の水素分離装置10によれば、ステンレス・バナジウムといった金属製の薄板状の上記各プレートを積層することによって構成されているため、装置全体を薄型化、小型化することができる。すなわち、ガス流路を形成するための流路プレートとして、強度に優れた金属板を用いることで、流路を形成するための部材をより薄くすることが可能となる。したがって、積層型の水素分離装置において、これが備える水素分離膜の総面積(水素分離プレートの枚数)を一定としたときに、装置全体をより薄型化することができる。
【0056】
しかも、水素分離膜44を取り囲む上記各プレート同士の接合部を加熱処理を伴う拡散接合で接合するに当たり、その処理温度Tkを、採用した金属(ステンレス・バナジウム)のうちで低い方の融点より低く、水素分離装置10の使用温度より高い温度となるよう設定した。従って、この拡散接合時の加熱処理下では、各プレート同士の接合部の溶融を引き起こさないので、溶融を見越した部材厚みの設定が不要となり、その分、薄型化に寄与できる。
【0057】
また、水素分離装置10の使用中にあっても、装置温度は処理温度Tkを上回ることがない。よって、この処理温度Tkでの加熱処理を経た拡散接合による接合状況に、熱による変化を来さないので、接合強度の低下を起こさないようにできる。この結果、接合強度低下に伴う水素分離性能低下、例えば、水素漏れによる水素透過性能の低下を来さない。
【0058】
さらに、拡散接合は、接合のために、母材間に母材以外の部材を介在させることがないため、接合によって装置全体の厚さが増すこともない。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、水素分離性能の低下を来さず当該性能を維持確保した水素分離装置10を提供するに当たり、部材の融点や装置使用温度に対する拡散接合時の処理温度Tkの管理を行えば足りる。よって、上記したような薄型化・小型化のみならず、積層型の水素分離装置における水素分離性能を維持した上で製造工程の簡略化を図ることもできる。
【0060】
また、こうした水素分離装置10を含む燃料電池システム80としては、次の利点がある。
【0061】
この燃料電池システム80では、水素分離装置10において、改質器88で生成した改質ガスから水素を抽出して、これを燃料電池90に対して燃料ガスとして供給する。よって、一酸化炭素などの不純物の含有量が極めて低い燃料ガス(水素ガス)を燃料電池90に供給することができ、燃料電池90における発電性能を安定して維持することができる。また、水素分離装置10は、既述したように、改質ガスからの水素の抽出に関わる水素分離膜の面積を充分に確保しつつ、全体をコンパクトに構成することが可能であるため、燃料電池システム80全体をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0062】
なお、既述した実施例では、水素を抽出する際にパージガスを用いて水素抽出の効率の向上を図ったが、燃料電池システム80が備える水素分離装置10においては、燃料電池90に供給したときに電気化学反応に不都合を生じないガスをパージガスとして選択すればよい。例えば、所定の蒸発器を用いて水を気化して水蒸気を生成し、これをパージガスとしてパージガス流路に供給することとしてもよい。あるいは、燃料電池システム80を構成する種々の部材から排出されるガスをパージガスとして用いる構成も可能である。例えば、電気化学反応に供された後に燃料電池90のアノード側から排出されるアノードオフガスをパージガスとして用いることが可能である。あるいは、水素分離装置10において水素の抽出が行なわれた後に水素分離装置10から排出される残余の改質ガスについてさらに一酸化炭素濃度の低減を行なったガスを、パージガスとして用いることとしても良い。
【0063】
また、図2では、燃料電池システムとしての主要な構成要素を示したが、改質燃料としては種々のものが選択可能であり、用いる改質燃料に応じて燃料電池システム80の構成は適宜変更すればよい。例えば、用いる改質燃料が硫黄分を含有する場合には、蒸発・混合部86に先立って脱硫器を設けて改質燃料の脱硫を行なうこととすればよい。また、改質器88と水素分離装置10との間にさらに、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減する装置を設けることとしても良い。改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減する装置としては、例えば、一酸化炭素と水蒸気とから二酸化炭素と水素を生じるシフト反応を促進するシフト触媒を備えるシフト部や、改質ガス中の一酸化炭素を優先的に酸化する一酸化炭素選択酸化反応を促進するCO選択酸化触媒を備えるCO選択酸化部などを挙げることができる。
【0064】
G.第2実施例の製造方法
図6は第2実施例の製造方法の各工程を説明するための説明図である。この第2実施例では、ステップS120に続いて、半製品における水素分離膜44の上下面に金属薄膜を形成する点に特徴がある。
【0065】
即ち、ステップS120を経て得られた半製品を、無電解メッキ液の液槽に浸漬し、或いは、無電解メッキ液を流入口22,24から流し込み、無電解メッキにより金属薄膜層を形成する(ステップS125)。この無電解メッキ液は、本実施例にあっては、パラジウム(Pd)、詳しくはその塩や錯体(例えば、PdCl2、(NH4)2PdCl2、Pd(CH2COO)2、Pd(NO3)2、PdSO4等)を熔解している。この場合、メッキ安定化等のため、上記塩・錯体の濃度調整や、アンモニア等の塩基添加によるpH調整等の他、キレート剤添加によるイオンの安定化や、還元剤添加等の既存の処理が併用される。
【0066】
浸漬或いはメッキ液流し込みにより、上記した流路プレートで形成された流路に無電解メッキ液が行き渡り、水素分離膜44の範囲にこの無電解メッキ液が付着する。よって、この水素分離膜44は、拡散接合を経た部材接合の後に、その上下面にPdの薄膜層を有したサンドイッチ構造の分離膜とされる。なお、このPd薄膜層は数μmでよく、この程度の薄膜層形成の後には、余剰のメッキ液が排出される。また、装置外面にはマスキングにより薄膜を形成しないようにでき、こうすればメッキ金属を無駄にしないようにできる。
【0067】
以上説明した第2実施例の製造方法によれば、既に積層・接合(拡散接合)がなされた水素分離装置の半製品の状態で、水素分離プレートの水素分離膜44にPd薄膜層を容易に形成できる。つまり、水素分離膜44とPd薄膜層とについては、その後に受ける熱環境を水素分離装置10の使用環境下温度によるものだけとし、拡散接合時の加熱処理での比較的高温の処理温度下におかないようにできる。
【0068】
このため、既述したように、水素分離膜44を構成するバナジウム(V)が薄膜層のPd内に拡散・析出する事態を効果的に抑制できる。よって、バナジウムが有する水素透過特性を水素分離膜44において低下しないようにできることから、Pd薄膜層の呈する水素解離吸着特性とこの水素透過特性により、高い水素分離効率を維持確保できる。
【0069】
また、本実施例では、図1に示すFickの第二法則に従う拡散対象のVとPd原子間の拡散距離xを上記の分離膜厚み・薄膜層厚みから定め、当該法則の時間tを水素分離装置10を燃料電池と共に搭載した車両で想定される耐用時間(約5000時間)とした場合、PdへのVの拡散・析出を起こして分離膜機能を実質上果たさなくなる拡散温度は、プレートと金属の融点より低く、水素分離装置の使用温度より高くした。このため、この使用温度にサンドイッチ構造の水素分離膜44を晒すものの、この温度は、上記の拡散温度より低いので、耐用時間の不用意な短時間化を招くことがない。しかも、何らかの原因で装置温度が上記の拡散温度となっても、装置構成部材自体の溶融を引き起こすことがない。
【0070】
また、水素分離膜44へのパラジウム薄膜層形成を、流路を介した無電解メッキ手法により行ったので、むらなく当該薄膜層を水素分離膜44に形成できる。また、薄膜層形成を所望する範囲、即ち流路を通過した水素含有ガス(改質ガス)が水素分離膜44に接触する範囲に限ってパラジウム薄膜層を確実に形成できる。このため、パラジウムの使用量の無駄を抑制することができる利点もある。
【0071】
H.第3実施例の製造方法
この第3実施例では、第1実施例におけるステップS100において用意する水素分離プレートと、ステップS120における処理温度の設定の様子に特徴がある。
【0072】
つまり、ステップS100でのプレート用意に当たり、水素分離膜44の上下面にPd薄膜層を形成済みの水素分離プレートを用意する。用意する水素分離プレートは、バナジウム(V)を用いた上記の単体の自立膜に、水素分離膜44の領域に亘ってPd薄膜層を有するサンドイッチ構造のものである。このPd薄膜層は、例えば、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)等により予め形成されている。
【0073】
次に、こうして用意した各プレートをステップS110の処理に従って積層して半製品とし、ステップS120の拡散接合に処する。このときの処理温度Tkを、第3実施例では次のようにした。
【0074】
本実施例にあっても、先の実施例同様、ステンレス製のプレートとバナジウム製のプレートという異種金属が接合対象であることから、拡散接合の際の処理温度Tkは、低い方の融点より低い温度に設定した。また、この処理温度Tkは、水素分離装置10の使用環境下温度より高い温度に設定した。更に、サンドイッチ構造の水素分離膜44におけるバナジウム(V)とパラジウム(Pd)との拡散・析出に伴う水素分離膜の機能(水素透過機能)を予め考慮し、上記の処理温度Tkを、この薄膜層機能を実質上低下させる温度Tuより低い温度に設定した。本実施例では、この温度Tuを、Fickの第二法則から処理温度Tk(拡散温度T)とその処理時間で定めた。なお、温度Tuの決定に際しては、水素分離装置10に求められるスタック性能やそのシステム設計を考慮することが好ましい。
【0075】
こうした温度設定を行った拡散接合を経て製造された本実施例の水素分離装置10では、金属製の薄板状の上記各プレートの積層・拡散接合を経ていることから、先の実施例同様、装置全体を薄型化、小型化することができる。しかも、上記のような温度設定を行ったことから、次の利点がある。
【0076】
まず、本実施例にあっても、拡散接合時の処理温度Tkを部材融点より低くしたので、既述したように、部材同士の接合箇所には部材の溶融を引き起こさない。よって、溶融を見越した部材厚みの設定が不要となり、その分、薄型化に寄与できる。
【0077】
また、水素分離装置10の使用中にあっても、装置温度は処理温度Tkを上回ることがないので、既述したように、接合強度の低下とこれに伴う水素分離性能低下を有効に回避できる。
【0078】
加えて、本実施例では、拡散接合時の処理温度Tkを、水素分離膜44の水素透過性能を実質上低下させてしまう温度Tuより低い温度に設定した。よって、拡散接合時の加熱処理下では、この拡散接合の工程の過程で進むバナジウム(V)とパラジウム(Pd)との拡散・析出を抑制できる。このため、拡散接合の工程の間において、水素分離膜44の水素透過性能の低下を抑制し、当該機能を確実に維持できる。
【0079】
以上説明したように、本実施例にあっても、水素分離性能の低下を来さず当該性能を維持確保した水素分離装置10を提供するに当たり、部材の融点や装置使用温度並びに水素分離膜の実質的な機能低下をもたらす温度Tuに対する拡散接合時の処理温度Tkの管理を行えば足りる。よって、積層型の水素分離装置における水素分離性能を維持した上で製造の簡略化を図ることができる。
【0080】
I.変形例:
上記した各実施例では、図4に示すように改質ガスおよびパージガスが交差して流れる構成とした。流路孔および縦通孔の形状および位置を調整し、両者は対向流となるよう形成してもよい。こうすることにより、水素の分離効率を更に向上することができる。
【0081】
本実施例では、改質ガスおよびパージガスの面内流路は、並列流れとなる場合を例示した。流路は、種々の構成を適用可能であり、両者が直列流れとなる流路構成としてもよい。かかる構成は、例えば、図4において、縦通孔42cなどを塞ぐことにより、容易に実現することができる。
【0082】
また、各プレート同士をその接合部で拡散接合によって互いに接合することとしたが、ろう付けによって接合することとしても良い。ろう付けも、拡散接合と同様に、各プレートの溶融を見越す必要がない。したがって、上記各プレートを、接合のためにより厚く形成する必要が無く、接合部間にはろうを充分に薄く配設することによって、水素分離装置全体をより小型化することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
【0084】
例えば、上記の実施例では、水素分離装置10は、改質ガスから水素を抽出することとしたが、改質ガス以外の水素含有ガスから水素を抽出するよう構成こととしても良い。また、水素分離膜44を用いて水素含有ガスから抽出した水素を、燃料電池以外の水素を消費する装置に対して供給することとしてもよい。あるいは、このような水素を消費する装置に直接供給するのではなく、一旦貯蔵することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fickの第二法則の数式を示す説明図である。
【図2】実施例としての水素分離装置を用いた燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図3】水素分離装置10の斜視図である。
【図4】水素分離装置10の一部の分解斜視図である。
【図5】製造方法の各工程を説明するための説明図である。
【図6】第2実施例の製造方法の各工程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10…水素分離装置
20…エンドプレート
22,24…流入口
30a,50,30b…流路プレート
32,42…縦通孔
40a,40b…水素分離プレート
44…水素分離膜
80…燃料電池システム
82…原料タンク
84…水タンク
86…蒸発・混合部
88…改質器
90…燃料電池
92…ブロワ
Claims (1)
- 水素を含有する水素含有気体から水素の抽出を行う水素分離装置の製造方法であって、
水素を選択的に透過させる特性を有する水素分離膜を備えた薄様の金属製の水素分離部材を用意する工程(a)と、
該水素分離部材の第1の面に隣接して配設されると、前記第1の面に沿った流路を、前記水素含有気体が通過する水素含有気体流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第1流路部材を用意する工程(b)と、
前記水素分離部材の第2の面に隣接して配設されると、前記第2の面に沿った流路を、前記水素分離膜を透過して前記水素含有気体から抽出された水素が通過する水素流路として前記水素分離部材と共に形成する薄様の金属製の第2流路部材を用意する工程(c)と、
前記水素分離部材と前記第1、第2の流路部材とを含む複数の部材を所定の順序で積層して前記水素分離装置の半製品を形成する工程(d)と、
前記水素分離膜を取り囲む前記複数の部材同士の接合箇所を、加熱処理を伴う接合手法で接合する工程(e)と、
前記水素含有気体流路と前記水素流路の少なくとも一方に、前記水素分離膜の前記面に金属の薄膜層をするための該金属を含有する無電解メッキ液を流し込み、前記面に前記薄膜層を無電解メッキ手法にて形成する工程(f)とを備え、
前記工程(e)の加熱処理は、前記半製品を構成する部材の融点をT1とし、前記水素分離装置の使用環境下温度を前記融点T1より低いT2としたとき、T1>Tk>T2を満たす処理温度Tkで実行される
ことを特徴とする水素分離装置の製造方法。
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