JP4934788B2 - コンデンサ、コンデンサ素子及びその製造方法 - Google Patents
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この場合、ペーストの組成、浸漬及び乾燥時の温度や時間、浸漬及び引き上げ速度等を一定にすれば、ある程度均一な素子を得ることができるが、最近ではこれらのコンデンサ素子を積層した積層型固体電解コンデンサの需要が増えているため、個々のコンデンサ素子について更なる性能の向上が求められている。
すなわち、電気特性の均一性、及びコンデンサに交流信号を流した時の各種の損失抵抗とリアクタンスの等価直列抵抗値であるESR値(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)の分散(バラツキ)が少なく安定で、かつその平均値が小さいコンデンサ素子が求められている。
1.コンデンサ素子の導電ペーストによる被覆処理が、素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する工程と被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する工程を含むことを特徴とするコンデンサ素子の製造方法。
2.素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬し、次いで、被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する前記1に記載のコンデンサ素子の製造方法。
3.被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬し、次いで、素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する前記1に記載のコンデンサ素子の製造方法。
4.各浸漬工程間に乾燥工程を有する前記1〜3のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
5.素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬し、導電ペースト槽から引き上げてそのまま乾燥させ、次いで、被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する前記2に記載のコンデンサ素子の製造方法。
6.導電ペーストが銀ペーストである前記1〜5のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
7.コンデンサが固体電解コンデンサ素子である前記1〜6のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の方法で製造されるコンデンサ素子。
9.前記8に記載のコンデンサ素子を用いたコンデンサ。
本発明は、導電ペーストによるコンデンサ素子への被覆を、素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する工程(本明細書において「先端浸漬」工程ともいう。)と被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する工程(本明細書において「本浸漬」工程ともいう。)を含む多段階で行なうことを特徴とするコンデンサの製造方法及び関連発明を提供する。
また、本発明の方法は、これらの浸漬、引き上げ工程のほかに任意の工程を含んでもよく、例えば、図3〜4または上記の変形例として、第1の浸漬〜第2の浸漬の間及び/または第2の浸漬の後に乾燥工程を設けてもよい。また、必要であれば、これら以外の工程を含んでもよい。
先端浸漬の具体的条件は、素子材料の種類や形状、寸法、表面状態、ペーストの組成や温度等にもよるが、一般的に、素子の先端が液面に触れるかわずかに漬かる程度でよい。例えば、先端が直線状である矩形の素子(例えば、後述するような厚みが数十〜数百μmの短冊状素子)を用いる場合は、好ましくは液面から0.05mm〜1.5mmの深さ、より好ましくは0.5mm〜1.0mmの深さに浸漬すればよい。
すなわち、導電性ペーストによる先端被覆は、素子の一方の先端から好ましくは0.05mm〜1.5mmの長さ、より好ましくは0.5mm〜1.0mmの長さの部分に対して行われる。
本浸漬の具体的条件は、素子材料の種類や形状、寸法、表面状態、ペーストの組成や温度等にもよるが、浸漬深さは被覆しようとする領域全体が液面に漬かる程度でよい。
被覆しようとする領域が、半導体層やカーボンペーストなどの導電体層である場合は、それら下地となる層を越えない程度にできるだけ下地となる層の全体が被覆されるように浸漬するのが好ましい。
第1の浸漬と第2の浸漬との間に乾燥工程を設ける場合の乾燥条件は、第1の浸漬として本浸漬と先端浸漬のいずれの浸漬を行なうかに依存する。
一方、先端浸漬を先行して行なった場合は、濡れたペーストによる被覆面積がわずかであるため乾燥工程は比較的短時間で済み、また、本浸漬後の乾燥工程は最終乾燥工程と一体化させ得るため、本浸漬を先行して行なう場合と比較して導電ペースト被覆作業全体に要する時間(タクトタイム)が大幅に短縮される。
このため、先端浸漬を先行して行なうこと、特に、先端浸漬後、導電ペースト槽から引き上げたままその場で乾燥を行ない、再び浸漬させて本浸漬を行なうことが好ましい。
本発明において、固体電解コンデンサの陽極基体として用いられる弁作用金属としては、例えばアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらを基質とする合金等を挙げることができ、陽極基体の形状としては、平板状の箔や板や棒状等が好ましい。
これらの中でもアルミニウム化成箔が経済性に優れているため実用上多く用いられており、特に矩形のアルミニウム化成箔が好ましく用いられる。
陽極基体の表面に設ける誘電体皮膜層は、弁作用金属の表面部分に設けられた弁作用金属自体の酸化物層であってもよく、弁作用金属箔の表面上に設けられた他の誘電体層であってもよいが、弁作用金属自体の酸化物からなる層であることが特に望ましい。
次に、陰極部の誘電体皮膜層上に固体電解質を形成させるが、固体電解質層の種類に特に制限は無く、従来公知の固体電解質が使用できる。中でも、固体電解質として高導電率の導電性高分子を用いて作製する固体電解コンデンサは、従来の電解液を用いた湿式電解コンデンサや二酸化マンガンを用いた固体電解コンデンサに比べて、等価直列抵抗成分が低く、大容量で、かつ小形化が可能で、高周波性能が良好なために好ましい。
なお、以下の例において等価直列抵抗(ESR)は、ヒューレットパッカード社製LCRメータ4284Aを使用し100kHzにて測定した。
短軸方向3mm×長軸方向10mm、厚さ約100μmのアルミニウム化成箔(日本蓄電器工業株式会社製、箔種110LJB22B,以下、化成箔と称する。)上にマスキング材(耐熱性樹脂)により幅1mmのマスキングを周状に形成し、陰極部と陽極部を分け、この化成箔の先端側区画部分である陰極部を、電解液としてアジピン酸アンモニウム水溶液を使用して化成し、水洗した。
次いで、陰極部を、3,4−エチレンジオキシチオフェンのイソプロピルアルコール溶液1mol/lに浸漬後、2分間放置し、次いで、酸化剤(過硫酸アンモニウム:1.5mol/l)とドーパント(ナフタレン−2−スルホン酸ナトリウム:0.15mol/l)の混合水溶液に浸漬し、45℃、5分間放置することにより酸化重合を行った。この含浸工程及び重合工程を全体で12回繰り返し、ドーパントを含む固体電解質層を化成箔の微細孔内に形成した。このドーパントを含む固体電解質層を形成した化成箔を50℃温水中で水洗し、固体電解質層を形成した。固体電解質層の形成後、水洗し、100℃で30分乾燥を行った。その上にカーボンペーストを被覆して素子材料を形成した。
陰極側が下になるように前記の素子材料を支持部材に取り付け、、上記の銀ペーストを含む銀ペースト槽に向けて支持部材を下降させ、素子材料の陰極側先端0.5mmを銀ペースト中に10秒間浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、40℃の雰囲気中に約90秒間維持して乾燥させた。引き続いて、支持部材を下降させて素子材料の陰極側3.3mmを銀ペースト中に30秒間浸漬させた。その後、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、40℃の雰囲気中で乾燥させた後、85℃で熱風乾燥した。これらの全工程の所要時間は42分であった。
実施例1と同様にして陰極側が下になるように前記素子材料を支持部材に取り付け、上記の銀ペーストを含む銀ペースト槽に向けて支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端3.3mmを銀ペースト中に30秒間浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、40℃の雰囲気中に約120秒間維持して乾燥させた。引き続き、支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端0.5mmを銀ペースト中に10秒間浸漬させた。その後、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、40℃の雰囲気中で乾燥させた後、85℃で熱風乾燥した。これらの全工程の所要時間は45分であった。
実施例1と同様に陰極側が下になるように前記の素子材料を支持部材に取り付け、上記の銀ペーストを含む銀ペースト槽に向けて支持部材を下降させて素子材料の陰極側先端3.3mmを銀ペースト中に50秒間浸漬させた。次いで、支持部材を上昇させて素子材料を液から引き上げ、40℃の雰囲気中で乾燥させた後、85℃で熱風乾燥した。これらの全工程の所要時間は42分であった。
このようにして製造したコンデンサ素子を支持部材から切り離し、顕微鏡で観察したところ、実施例1及び2の素子では、端面を含め均一に約80μmの銀ペースト層が形成されていたのに対し、比較例の素子では、素子全体の銀ペースト層の厚さは同等であったが、素子先端部の被覆は極めて薄い状態であった。
また、コンデンサ素子6枚をリードフレーム上に積層して定格容量330μF、定格電圧2Vとしたほかは上記と同様にして固体電解コンデンサ各50個を得た。これらについても同様に250℃のリフロー炉を用いて基板上にハンダ付けを行い、等価直列抵抗を測定した。結果を表2に示す。
2 酸化皮膜層
3 固体電解質層
4 導電体層
5 マスキング層
6 陰極リード部
7 陽極リード部
8 封止樹脂
9 固体電解コンデンサ
11 導電ペースト
12 コンデンサ素子材料
13 導電ペースト層
Claims (9)
- コンデンサ素子の導電ペーストによる被覆処理が、素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する工程と、被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する工程を含み、それらの浸漬工程で用いる導電ペースト槽が同一であることを特徴とするコンデンサ素子の製造方法。
- 素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する工程が、導電ペースト槽の液面から0.05mm〜1.5mmの深さに素子を浸漬する工程である請求項1に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬し、次いで、被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する請求項1または2に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬し、次いで、素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬する請求項1または2に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 各浸漬工程間に乾燥工程を有する請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 素子先端のみを導電ペースト槽に浸漬し、導電ペースト槽から引き上げてそのまま乾燥させ、次いで、被覆しようとする領域全体を導電ペースト槽に浸漬する請求項3に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 導電ペーストが銀ペーストである請求項1〜6のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
- コンデンサが固体電解コンデンサ素子である請求項1〜7のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 被覆前のコンデンサ素子の平面部に対してほぼ平行となるように導電ペーストの被覆面が形成される請求項1〜8のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
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