JP4367752B2 - 固体電解コンデンサ素子の製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4367752B2
JP4367752B2 JP2003279228A JP2003279228A JP4367752B2 JP 4367752 B2 JP4367752 B2 JP 4367752B2 JP 2003279228 A JP2003279228 A JP 2003279228A JP 2003279228 A JP2003279228 A JP 2003279228A JP 4367752 B2 JP4367752 B2 JP 4367752B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolytic
electrolytic capacitor
semiconductor layer
dielectric layer
capacitor element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003279228A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005045118A5 (ja
JP2005045118A (ja
Inventor
一美 内藤
克俊 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2003279228A priority Critical patent/JP4367752B2/ja
Publication of JP2005045118A publication Critical patent/JP2005045118A/ja
Publication of JP2005045118A5 publication Critical patent/JP2005045118A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4367752B2 publication Critical patent/JP4367752B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Description

本発明は、半導体層が簡易に形成できる固体電解コンデンサ素子の製造方法に関する。
アルミニウム、タンタル等の弁作用金属を陽極とした固体電解コンデンサは、容量が大きく性能が良好であり、パソコン、携帯電話等のデジタル機器に好んで使用されている。このような固体電解コンデンサは、表面をエッチングした弁作用金属または弁作用金属粉の焼結体を陽極体とし、陽極体表面に形成された誘電体層の上に半導体層、導電体層が順次積層された固体電解コンデンサ素子を外部端子に接続した後に外装して完成される。作製された固体電解コンデンサは、他の電子部品と共に、回路基板等に搭載されて実用に供される。
前記誘電体層の上に半導体層を形成する方法として多数の手法が提案されている。
その1つとして、弁作用金属を陽極として、半導体層形成用に設けた反応浴中の外部電極(陰極)との間に通電することにより形成する方法がある。例えば、特許第1868722号公報(特許文献1)、特許2054506号公報(特許文献2)には、通電手法によって有機半導体層を形成する方法が記載され、特許第1985056号公報(特許文献3)には、通電手法によって無機半導体層を形成する方法が記載されている。これらの方法は、誘電体層を形成した弁作用金属から通電するため通電時の電流が微小であり、その結果半導体層形成に時間がかかるという問題があった。
特許1868722号公報 特許2054506号公報 特許1985056号公報
近年、コンデンサの容量を上げるために、コンデンサ用電極を大きくしたり、コンデンサ用電極内の細孔をより小さくして表面積を増やしたりして対応しようとする動きがある。この場合、前述した通電手法によって半導体層を形成する方法では、通電のトータル時間が、従来のコンデンサ用電極で行っていた時よりもはるかに長くなるというコンデンサ製造上の問題があり、改良が求められていた。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化物からなる誘電体層を電解酸化により形成する際の電圧(化成電圧と略記する。形成される誘電体層の厚さは、使用する弁作用金属の種類とこの電圧によって決まる。)よりも、通電電圧を高くすることにより大電流を流すことが可能であることを突き止め、この方法を利用することにより半導体層を比較的短時間で形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の固体電解コンデンサ素子の製造方法、その方法により得られる固体電解コンデンサ素子、その固体電解コンデンサ素子を使用した電子回路及び電子機器に関する。
1.弁作用金属、弁作用金属を主成分とする合金、弁作用金属の導電性酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも1種を含む材料からなる陽極体、前記陽極体の電解酸化(化成)により形成される酸化物を主成分とする誘電体層、前記誘電体層上に形成される半導体層及び前記半導体層上に積層した導電体層を有する固体電解コンデンサ素子の製造方法において、前記半導体層を化成電圧より高い電圧による通電手法により形成することを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
2.通電手法による半導体層の形成が複数回行われる前項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
3.弁作用金属が、アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブから選択される前項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
4.前項1の方法で作製された固体電解コンデンサ素子。
5.前項4に記載された固体電解コンデンサ素子を使用した電子回路。
6.前項4に記載された固体電解コンデンサ素子を使用した電子機器。
本発明のコンデンサ素子の製造方法の一形態を説明する。
本発明のコンデンサ用電極の陽極体は、弁作用金属、弁作用金属を主成分とする合金、弁作用金属の導電性酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも1種を含む材料からなる。ここで、主成分とは50質量%以上含まれる成分をいう。
本発明において、弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブが挙げられ、アルミニウム、タンタル及びニオブ好ましい。弁作用金属を主成分とする合金としては、アルミニウム、タンタル及び/またはニオブを主成分とし周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を合金成分として含有するものを挙げることができる。弁作用金属の導電性酸化物としては、酸化タンタル、酸化ニオブが挙げられる。代表的なものとして一酸化ニオブがある。また、弁作用金属、合金、弁作用金属の導電性酸化物の一部を、炭化、燐化、ホウ化、窒化、硫化から選ばれた少なくとも1種の処理を行った後に使用してもよい。
コンデンサ用電極の形状は、板状、箔状、棒状、焼結体状のいずれの形状でも使用可能である。該電極は、表面をエッチングして表面積を拡大しておいてもよい。焼結体状の場合、通常これら金属、合金、酸化物または混合物の粉体(原料粉体)をバインダーと共に適当な形状に成形し、バインダーを除去した後にあるいはバインダーを除去しつつ焼結することにより製造することができる。焼結体状の電極(焼結体と略す。)の製造方法は特に限定されないが、一例について説明する。
先ず、原料粉体を所定の形状に加圧成形して成形体を得る。この成形体を10-4〜10-1Paで、数分〜数時間、500〜2000℃で加熱して焼結体を得る。成形時に、タンタル、ニオブ、アルミニウム等の弁作用金属を主成分とする金属線(または金属箔)の一部を成形体に埋設しておき、成形体と同時に焼結することにより、焼結体から突出した部分の金属線(または金属箔)を焼結体の陽極引き出し線(箔の場合も引き出し線と略す。以下同じ)として設計することができる。また、焼結後に前記金属線(または金属箔)を溶接等により接続して陽極引き出し線とすることも可能である。このような金属線の線径は、通常1mm以下であり、金属箔の場合の厚みは通常1mm以下である。
また、金属線の代わりに、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属箔に前記粉体を付着させておき、焼結することにより、該弁作用金属箔の一部を陽極引き出し部とした焼結体としてもよい。
前述したバインダーとしては、例えば各種アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等の各種ビニル樹脂、各種ブチラール樹脂、各種ビニルアセタール樹脂、樟脳、沃化物などが使用できる。バインダーは、固体として使用してもよいし、適当な溶媒に溶解または半溶解させて使用してもよい。バインダーの使用量は、弁作用金属、合金及び/または導電性酸化物100質量部に対して、通常0.1〜20質量部である。
本発明においては、前述したようにコンデンサ用電極に引き出し線を接続しておいて陽極引き出し部としておいてもよいし、コンデンサ用電極の一部を後述する半導体層、導電体層を形成しないで残しておき(誘電体層は有ってもよいし無くてもよい)将来の陽極引き出し部として使用してもよい。
前記コンデンサ用電極(陽極)の表面に形成される誘電体層としては、三酸化二アルミ、五酸化二タンタル及び五酸化二ニオブを主成分とする誘電体層が挙げられる。例えば、五酸化二タンタルを主成分とする誘電体層は、コンデンサ用電極であるタンタル電極を電解液中で化成することによって得られる。タンタル電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸もしくはプロトン酸塩水溶液、例えば、0.1%酢酸水溶液、0.1%燐酸水溶液、0.01%硫酸水溶液、0.1%珪酸ナトリウム水溶液を用いて行う。アルミ電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸塩水溶液、例えば、酢酸アンモン水溶液、燐酸アンモン水溶液、珪酸アンモン水溶液、アジピン酸アンモン水溶液、安息香酸アンモン水溶液を用いて行う。
一方、本発明の誘電体層上に形成される半導体層の代表例としては、有機半導体および無機半導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。有機半導体の具体例としては、下記一般式(1)または(2)で示される繰り返し単位を含む高分子にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とする有機半導体が挙げられる。
Figure 0004367752
式(1)および(2)において,R1〜R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2およびR3とR4は、互いに結合して環状になっていてもよい。
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む電導性高分子としては、好ましくは下記一般式(3)で示される構造単位を繰り返し単位として含む電導性高分子が挙げられる。
Figure 0004367752
式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または該アルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものも含まれる。
このような化学構造を含む電導性高分子は、荷電されており、ドーパントがドープされる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
式(1)乃至(3)で示される繰り返し単位を含む高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、およびこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でも、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等)が好ましい。
無機半導体の具体例としては、二酸化モリブデン、二酸化タングステン、二酸化鉛、二酸化マンガン等から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
上記有機半導体および無機半導体として、電導度10-2〜103S/cmの範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのESR値が小さくなり好ましい。
本発明においては、表面に誘電体層を形成した弁作用金属を陽極として、半導体層形成用に設けた反応浴(後述する弁作用金属が漬けられる電解液の浴)中の外部電極(陰極)との間で通電することにより前述した半導体層を形成する。電解液としては、前述した高分子作製用のモノマー、または無機半導体作製用の前駆体(酢酸マンガンや酢酸鉛等)が溶解または半溶解した各種アルコール、各種エステル、各種グライコール等の公知の有機溶媒や水の少なくとも1つを主成分とする溶媒が使用される。電解液中にドーパントが含有されていてもよい。外部電極として白金、タンタル、ニオブ、SUS(鉄合金)などの板材や箔が使用される。半導体層形成前に、前記誘電体層に電気的な微小欠陥部を作製した後に半導体層を形成してもよい。また半導体層形成前に特許2054506号公報に提案されている、誘電体層を有する陽極に酸化剤処理を行う方法をとった後に本発明の方法で半導体層を形成してもよい。
本発明においては、半導体層形成時の通電電圧は、誘電体層形成時の化成電圧より高くしておくことが重要である。化成電圧より高電圧にしておくことにより通電時の電流を大きくすることができ、半導体層形成時間を大きく短縮することが可能になる。化成電圧より大きい電圧で通電電圧を変えることにより、通電時の電流を数10μAから数mAまで任意に変えることができる。なお、通電電流は大きいほど半導体層の形成時間が短縮できるが、数mAを超えると、後記する再化成によっても誘電体層の修復が困難になる場合がある。
通電時間および通電時の系の温度は使用する陽極の種類、大きさ、質量、半導体層の種類等によって変化するために、予め実験によって決定されるが、通電時間についてはトータルで数十時間以内に入るように設定することが好ましい。
通電は、直流電圧を印加する方法が廉価で好ましいが、任意波形の交流またはパルス電流や直流に重畳した交流等の電圧を印加する方法で行うことも可能である。また通電時に定電流ダイオードを介して通電することにより、一定の電流を供給することも可能である。通電を途中で止め、再度(または複数回)通電を行ってもよい。通電によって半導体層を途中まで形成し、後記する再化成を行って半導体層が一部形成されることによる誘電体層の劣化を修復した後、再度本発明により通電、または従来の化成電圧以下の通電を行ってもよいが、好ましくは本発明の化成電圧よりも高い電圧で通電を行う方法で通電・再化成を複数回繰り返して半導体層を形成してもよい。1回の繰り返し時に、通電を複数回行うとか、再化成を複数回行うとかする繰り返し手法も本発明の範囲内である。また、半導体層の形成量を制御する等のために、複数回の通電時の電圧を、少なくとも1回は化成電圧より高くしておき、回数ごとに変化させる手法も本願の範囲内である。
コンデンサ用電極の陽極体に誘電体層を形成せずに、通電手法で大電流を流して直接半導体層を形成することも可能であるが、後に誘電体層を形成するときに、設けられた半導体層が脱離するために好ましくない。
誘電体層の厚さは、使用する陽極の種類が同一であれば、化成電圧によって決まる一定の厚さとなる。また、コンデンサの容量は、使用する陽極の種類と大きさと表面積が同一であると、誘電体層の厚さに反比例した一定値を示す。つまり、コンデンサの容量は、同一条件では、化成電圧に反比例した数値を示すことになるが、本発明の方法は、通電電圧を化成電圧より高くしても、容量の減少は無いことから、誘電体層に影響を及ぼさないかあっても極わずかであり、半導体層形成のみに影響を与え、大電流を流して半導体層を形成することができるという好都合な方法である。
本発明においては、半導体層形成後または形成途中に再化成を行って、半導体層が一部または全部形成されたことによる誘電体層の劣化を修復することが好ましい。再化成の方法は、前述した化成方法と同様の方法を利用することができるが、再化成電圧は、通常、化成電圧以下に設定される。再化成時間・温度・電圧等の各種条件は、使用する陽極の種類、大きさ、質量、形成した半導体層の種類等によって変化するので予め行う予備実験により決定される。
本発明では、前述した方法で形成された半導体層の上に導電体層を設ける。導電体層は、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フイルムの付着等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましい。これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
具体的には、例えば半導体層が形成されたコンデンサ用電極の上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し導電体層が形成される。
このようにしてコンデンサ用電極に誘電体層、半導体層および導電体層が順次積層された固体電解コンデンサ素子が作製される。
以上のような構成の本発明の固体電解コンデンサ素子は、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフイルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
これらの中でも、とりわけ樹脂モールド外装を行ったチップ状固体電解コンデンサが、小型化と低コスト化が簡単に行えるので好ましい。
樹脂モールド外装の場合について具体的に説明すると、本発明の固体電解コンデンサは、前記固体電解コンデンサ素子の導電体層の一部を、別途用意した一対の対向して配置された先端部を有するリードフレームの一方の先端部に載置し、さらにコンデンサ用電極の陽極引き出し部(寸法を合わすために陽極引き出し部の先端を切断して使用してもよい。)を前記リードフレームの他方の先端部に載置し、例えば、前者は導電ペーストの固化で、後者はスポット溶接で各々電気的・機械的に接合した後、前記リードフレームの先端部の一部を残して樹脂封口し、樹脂封口外の所定部でリードフレームを切断折り曲げ加工して作製される。前記リードフレームは、前述したように切断加工されて最終的には固体電解コンデンサの外部端子となるが、形状は、箔または平板状であり、材質は鉄、銅、アルミニウムまたはこれら金属を主成分とする合金がもっぱら使用される。リードフレームの一部または全部に半田、錫、チタン等のメッキが施されていてもよい。リードフレームとメッキとの間に、ニッケルまたは銅等の下地メッキがあってもよい。リードフレームに一対の対向して配置された先端部が存在し、先端部間に隙間があることにより、各固体電解コンデンサ素子の陽極部と陰極部とが絶縁される。
本発明の固体電解コンデンサの封口に使用される樹脂の種類としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等固体電解コンデンサの封止に使用される公知の樹脂が採用できるが、各樹脂とも低応力樹脂を使用すると、封止時におきるコンデンサ素子への封止応力の発生を緩和することができるために好ましい。また、樹脂封口するための製造機としてトランスファーマシンが好んで使用される。
このように作製された固体電解コンデンサは、導電体層形成時や外装時の熱的および/または物理的な誘電体層の劣化を修復するために、エージング処理を行ってもよい。エージング方法は、固体電解コンデンサに所定の電圧(通常、定格電圧の2倍以内)を印加することによって行われる。エージング時間や温度は、コンデンサの種類、容量、定格電圧によって最適値が変化するので予め実験によって決定されるが、通常、時間は数分から数日間、温度は電圧印加冶具の熱劣化を考慮して300℃以下で行われる。エージングの雰囲気は、空気中でもよいし、Ar、N、He等のガス中でもよい。また、減圧、常圧、加圧下のいずれの条件で行ってもよいが、水蒸気を供給しながら前記エージングを行うと誘電体層の安定化が進む場合がある。水蒸気の供給方法の1例として、エージングの炉中に置いた水溜めから熱により水蒸気を供給する方法が挙げられる。
電圧印加方法として、直流、任意の波形を有する交流、直流に重畳した交流やパルス電流等の任意の電流を流すように設計することができる。エージングの途中に一旦電圧印加を止め、再度電圧印加を行うことも可能である。
本発明で製造される固体電解コンデンサ素子は、例えば、電源回路等の高容量のコンデンサを用いる回路に好ましく用いることができ、これらの回路は、パソコン、サーバー、カメラ、ゲーム機、DVD、AV機器、携帯電話等の各種デジタル機器や、各種電源等の電子機器に利用可能である。本発明で製造された固体電解コンデンサ素子は、容量が期待どおり存在し、また性能がよいことから、これを用いることにより初期不良の少ない電子回路及び電子機器を得ることができる。
半導体層を形成するときに、通電電圧を化成電圧より高くすることを含む本発明の製造方法によれば、半導体層形成時間が短くでき性能が良好な固体電解コンデンサ素子を得ることができる。
以下、本発明を具体例を挙げてさらに詳細に説明するが、以下の例により本発明は限定されるものではない。
実施例1〜3:
CV9.2万/gのタンタル粉を0.095g使用して、大きさ3.8×3.0×1.5mmの焼結体を多数個作製した(焼結条件:1330℃,30分、焼結体密度5.6g/cm3、0.29mmφのTaリード線を使用)。焼結体を0.1%燐酸水溶液中にリード線の一部を除いて浸漬し、負極のTa板電極との間に10Vを印加し、80度で5時間化成し、Ta25からなる誘電体層を形成した。この焼結体に、30%硫酸を加熱して得た硫酸蒸気を5時間さらして、誘電体層に電気的な多数の微小欠陥を形成した。
表1に記載した実施例1〜3の3種の電解液を用意した。ついで焼結体とリード線の一部を、実施例1〜3の電解液に各々漬け、焼結体側を陽極として、別途用意した負極の白金電極との間に12Vの電圧を室温(実施例3のみ5℃)で15分間印加して半導体層を形成するための通電を行った。引き上げ洗浄乾燥した後、0.1%酢酸水溶液中で誘電体層の微小なLCの欠陥を修復するための再化成(80℃、15分、6V)を行った。前記通電と再化成を12回繰り返した後水洗浄乾燥し、陰極である半導体層を形成した。さらにカーボンペースト、銀ペーストを順次積層して固体電解コンデンサ素子を作製した。
別途用意した、表面に錫メッキしたリードフレームの両凸部の陽極側に焼結体のリード線を載置し、陰極側に焼結体の銀ペースト側を載置し、前者は、スポット溶接で、後者は、銀ペーストで接続した。その後、エポキシ樹脂でリードフレームの一部を除いて封口し、リードフレームは封口した樹脂外の所定場所で切断された後折り曲げ加工し、大きさ7.3×4.3×2.8mmの外装をし、さらに105℃、4V、3時間エージングして定格2.5Vのチップ状固体電解コンデンサを作製した。作製したコンデンサについて、容量、ESR(等価直列抵抗)及びLC(漏れ電流)の性能を以下の方法で測定した。
容量:ヒューレットパッカード社製LCR測定器を用い、室温、120Hzで容量を測定した。
ESR:コンデンサの交流に対する抵抗性を示すインピーダンスの指標となる100kHZで測定した。
LC:室温において、所定の直流電圧を作製したコンデンサの端子間に30秒間印加し続けた後に測定した。
結果を表2にまとめて示す。
比較例1:
実施例1で通電電圧を8Vにした以外は実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製し、同様に性能を測定した。結果を表2に示す。
比較例2:
実施例1で通電電圧を8Vにし、通電時間を20時間とした以外は実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製し、性能を測定した。結果を表2に示す。
実施例4〜5:
CV15万/gの一部窒化したニオブ粉(窒素量1万ppm、表面は自然酸化されている。全酸素量は9.6万ppm)を0.08g使用して、大きさ4.0×3.4×1.7mmの焼結体を多数個作製した(焼結条件:1300℃、30分、焼結体密度3.5g/cm3、0.29mmφのNbリード線を使用)。焼結体を0.1%燐酸水溶液中にリード線の一部を除いて浸漬し、負極のTa板電極との間に20Vを印加し、80度で5時間化成し、Nb25を主成分とする誘電体層を形成した。この焼結体を3%エチレンジオキシチオフェンアルコール溶液と1.5%過硫酸アンモンが溶解した13%アントラキノンスルホン酸水溶液とに交互に浸漬することを7回繰り返すことにより誘電体層上にエチレンジオキシポリマーを主成分とする複数の微小接触物を付着させ、誘電体層に電気的な微小欠陥部分を複数個作製した。走査型電子顕微鏡(SEM)観察によると微小接触物は誘電体層のおおよそ10%を点状に覆っていた。ついで焼結体を表1の実施例4に記載した電解液(5%酢酸鉛)(実施例5では実施例2と同様の電解液)に漬け、焼結体側を陽極として、電解液中に配置した負極の白金電極との間に室温で24Vの直流電圧を10分間印加し、半導体層を形成するための通電を行った。引き上げ洗浄乾燥した後、0.1%酢酸水溶液中で誘電体層の微小なLCの欠陥を修復するための再化成(80℃、30分、14V)を行った。前記通電と再化成を10回繰り返した後水洗浄乾燥し、陰極の半導体層を形成した。さらにカーボンペースト、銀ペーストを順次積層して固体電解コンデンサ素子を作製した。その後エージング温度のみ85℃にした以外は実施例1と同様にして定格4Vのチップ状固体電解コンデンサを作製した。作製したコンデンサの性能を表2に示す。
実施例6:
実施例5で誘電体層に電気的な微小欠陥部分を作製する代わりに、誘電体層を形成した焼結体を、10%過硫酸アンモン水溶液に浸漬して乾燥させたこと以外は、実施例5と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。作製したコンデンサの性能を表2に示す。
比較例3:
実施例5で通電電圧を6Vにした以外は、実施例5と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。測定したコンデンサの性能を表2に示す。
比較例4:
実施例5で通電電圧を6Vにし、通電時間を24時間にした以外は、実施例5と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。コンデンサの性能を表2に示す。
Figure 0004367752
Figure 0004367752
実施例1〜3と比較例1〜2、実施例4〜6と比較例3〜4を各々比べると、半導体層形成時の通電電圧を化成電圧より高くすることにより短時間で半導体層が形成され、性能が良好な固体電解コンデンサが作製されることがわかる。

Claims (6)

  1. 弁作用金属、弁作用金属を主成分とする合金、弁作用金属の導電性酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも1種を含む材料からなる陽極体、前記陽極体の電解酸化(化成)により形成される酸化物を主成分とする誘電体層、前記誘電体層上に形成される半導体層及び前記半導体層上に積層した導電体層を有する固体電解コンデンサ素子の製造方法において、前記誘電体層を形成後、前記誘電体層に電気的な複数の微小欠陥を形成し、前記半導体層を化成電圧より高い電圧による通電手法により形成することを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  2. 通電手法による半導体層の形成が複数回行われる請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  3. 弁作用金属が、アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブから選択される請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  4. 通電手法による半導体層の形成と再化成とを複数回行う請求項2に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  5. 微小欠陥の形成が、誘電体層を形成した陽極体を硫酸蒸気にさらすことにより行う請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  6. 微小欠陥の形成が、誘電体層に微小接触物を付着させことにより行う請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
JP2003279228A 2003-07-24 2003-07-24 固体電解コンデンサ素子の製造方法 Expired - Fee Related JP4367752B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003279228A JP4367752B2 (ja) 2003-07-24 2003-07-24 固体電解コンデンサ素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003279228A JP4367752B2 (ja) 2003-07-24 2003-07-24 固体電解コンデンサ素子の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005045118A JP2005045118A (ja) 2005-02-17
JP2005045118A5 JP2005045118A5 (ja) 2006-08-31
JP4367752B2 true JP4367752B2 (ja) 2009-11-18

Family

ID=34265402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003279228A Expired - Fee Related JP4367752B2 (ja) 2003-07-24 2003-07-24 固体電解コンデンサ素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4367752B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4785122B2 (ja) * 2005-11-17 2011-10-05 テイカ株式会社 導電性高分子用酸化剤兼ドーパント、導電性組成物、固体電解コンデンサおよびその製造方法。

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005045118A (ja) 2005-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3974645B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子、その製造方法、及び固体電解コンデンサ
JP4299297B2 (ja) コンデンサおよび該コンデンサの製造方法
JP4596543B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4701940B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4614269B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JPWO2007004554A1 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
KR101093502B1 (ko) 고체 전해콘덴서 및 그 용도
JP4827195B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子の製造方法
JP2005101562A (ja) チップ状固体電解コンデンサ及びその製造方法
US7355842B2 (en) Chip solid electrolyte capacitor and production method of the same
JP4404730B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP4689381B2 (ja) コンデンサ素子の製造方法
JP4367752B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子の製造方法
JP4699082B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4488303B2 (ja) コンデンサの製造方法
JP3992706B2 (ja) コンデンサの製造方法
WO2007004555A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子及びその製造方法
JP4451235B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP5099831B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
TWI469163B (zh) Solid electrolytic capacitor element, solid electrolytic capacitor and manufacturing method thereof
JP2005101592A (ja) 焼結体及びその焼結体を使用したチップ状固体電解コンデンサ
JP2005109466A (ja) コンデンサ及びその製造方法
WO2005008701A1 (en) Method for producing solid electrolytic capacitor

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060711

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060711

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090820

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090820

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4367752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130904

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees