JP4451235B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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本発明は、耐熱性が良好な固体電解コンデンサの製造方法に関する。
携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型で大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタル固体電解コンデンサは大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため、好んで使用されている。最近では、タンタル固体電解コンデンサ以外に安価な材料であるニオブを陽極としたニオブ固体電解コンデンサが考えられている。このような固体電解コンデンサは、陽極の表面に化成によって形成された誘電体層とその上に順次積層された半導体層、さらにその上に導電体層を有するコンデンサ素子を外部端子に接続した後に外装されて完成される。作製された固体電解コンデンサは、他の電子部品と共に、回路基板等に搭載されて実用に供されるが、実装時の半田熱によってコンデンサの漏れ電流(以下、LCと略記する。)値が上昇する場合があった。
このような問題を解決する方法として、例えば、特開平6−310382号公報(特許文献1)には、半導体層を外装樹脂の硬化温度より高温に放置することによりLC上昇を防止する方法が提案されている。
特開平6−310382号公報
近年、環境保護の立場から鉛が主成分である半田を他の金属に変更しようとする動きがある。この場合、前述した実装温度は、従来の半田を使用する場合よりも高くなるため、載置される固体電解コンデンサもより高い耐熱性が求められている。このような場合、前述した耐熱性改良方法では不十分の時があり、さらなる改良が求められていた。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意実験した結果、実装時のLCの上昇は、誘電体層の熱的な不安定性にあることを突き止め、対策として作製した固体電解コンデンサに熱的なLCの劣化を修復する操作を2回以上加えておくことにより、解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の固体電解コンデンサの製造方法、その方法により得られる固体電解コンデンサ、その固体電解コンデンサを使用した電子回路及び電子機器に関する。
1.土酸金属、土酸金属を主成分とする合金、土酸金属の導電性酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも1種を含む材料からなる陽極体、前記陽極体の電解酸化(化成)により形成される酸化物を主成分とする誘電体層、前記誘電体層上に形成した半導体層、及び前記半導体層上に積層した導電体層を有する固体電解コンデンサ素子を樹脂封口硬化処理した後、電圧印加(エージング)処理する固体電解コンデンサの製造方法において、前記樹脂封口硬化後、樹脂封口体を225〜305℃の温度に放置する工程及びエージング処理する工程を順に2回以上繰り返すことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
2.225〜305℃の温度に放置する工程が、225〜305℃の温度に放置することを複数回行う工程である前記1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
3.エージング処理する工程が、225〜305℃の温度に放置した後、一旦200℃以下からコンデンサの耐寒温度までの温度に下げて電圧を印加して行われる前記1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
4.土酸金属がタンタルである前記1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
5.土酸金属がニオブである前記1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
6.土酸金属の導電性酸化物が酸化ニオブである前記1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
7.前記1乃至6のいずれかに記載された製造方法によって作製された固体電解コンデンサ。
8.前記7に記載された固体電解コンデンサを使用した電子回路。
9.前記7に記載された固体電解コンデンサを使用した電子機器。
陽極体、陽極体上の誘電体層、その上の半導体層及び前記半導体層上に積層した導電体層を有するコンデンサ素子を樹脂封口硬化後、樹脂封口体を225〜305℃の温度に放置する工程、及びエージング処理する工程を順に2回以上繰り返すことを含む本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、実装後の漏れ電流(LC)値が良好な固体電解コンデンサを得ることができる。
発明の実施の形態
本発明のコンデンサの製造方法の一形態を説明する。
本発明のコンデンサ用電極の陽極体は、土酸金属、土酸金属を主成分とする合金、土酸金属の酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも一種を含む材料からなる。
主成分とは、50質量%以上含まれる成分をいう。コンデンサ用電極の形状は、板状、箔状、棒状、焼結体状のいずれの形状でも使用可能である。該電極は、表面をエッチングして表面積を拡大しておいてもよい。焼結体状の場合、通常これら金属、合金、酸化物または混合物の粉体(原料粉体)をバインダーと共に適当な形状に成形し、バインダーを除去した後にあるいはバインダーを除去しつつ焼結することにより製造することができる。焼結体状の電極(以下、焼結体と略す。)の製造方法は特に限定されるものでは無いが、一例について説明する。
先ず、原料粉体を所定の形状に加圧成形して成形体を得る。この成形体を10-4〜10-1Paで、数分〜数時間、500〜2000℃で加熱して焼結体を得る。成形時に、タンタル、ニオブ、アルミニウム等の弁作用金属を主成分とする金属線の一部を成形体に埋設しておき、成形体と同時に焼結することにより、焼結体から突出した部分の金属線を焼結体の陽極引出し線として設計することができる。また、焼結後に前記金属線を溶接等により接続させて陽極引き出し線とすることも可能である。このような金属線の線径は、通常1mm以下である。
また、金属線の代わりに、タンタル、ニオブなどの弁作用金属箔に前記粉体を付着させておき、焼結することにより、該弁作用金属箔の一部を陽極引出し部とした焼結体としてもよい。
本発明において、土酸金属とは周期律表第5族の元素、具体的にはバナジウム、タンタル及びニオブを意味する。土酸金属としては、タンタル及びニオブが好ましい。土酸金属を主成分とする合金は、タンタル及び/またはニオブを主成分とし周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を合金成分として含有するものを挙げることができる。土酸金属の導電性酸化物としては、酸化タンタル、酸化ニオブが挙げられる。代表的なものとして一酸化ニオブがある。また土酸金属、合金、土酸金属の導電性酸化物の一部を、炭化、燐化、ホウ素化、窒化、硫化から選ばれる少なくとも1種の処理を行った後に使用してもよい。前述したバインダーとしては、例えば各種アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等の各種ビニル樹脂、各種ブチラール樹脂、各種ビニルアセタール樹脂、樟脳、沃化物などが使用できる。バインダーは、固体として使用してもよいし、適当な溶媒に溶解または半溶解させて使用してもよい。バインダーの使用量は、土酸金属、合金及び/または導電性酸化物100質量部に対して、通常0.1〜20質量部である。
本発明においては、前述したコンデンサ用電極に引き出し線を接続しておき陽極引出し部としておいてもよいし、コンデンサ用電極の一部を後述する半導体層、導電体層を形成しないで(誘電体層は、あっても無くてもよい)残しておき将来の陽極引き出し部として使用してもよい。
前記コンデンサ用電極(陽極)の表面に形成される誘電体層としては、五酸化二タンタル及び五酸化二ニオブを主成分とする誘電体層が挙げられる。例えば、五酸化二タンタルを主成分とする誘電体層は、コンデンサ用電極であるタンタル電極を電解液中で化成することによって得られる。タンタル電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸水溶液、例えば、0.1質量%酢酸水溶液、0.1質量%燐酸水溶液、0.01質量%硫酸水溶液を用いて行う。
一方、本発明の誘電体層上に形成される半導体層の代表例として、有機半導体および無機半導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)で示される繰り返し単位を含む高分子にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。
Figure 0004451235
式(1)および(2)において、R1〜R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2およびR3とR4は、互いに結合して環状になっていてもよい。
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で示される繰り返し単位を含む導電性高分子は、好ましくは下記一般式(3)で示される構造単位を繰り返し単位として含む導電性高分子が挙げられる。
Figure 0004451235
式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、またはそのアルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素原子を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。
このような化学構造を含む導電性高分子は、荷電されており、ドーパントがドープされる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
式(1)乃至(3)で示される繰り返し単位を含む高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、およびこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でも、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等)が好ましい。
無機半導体の具体例としては、二酸化モリブデン、二酸化タングステン、二酸化鉛、二酸化マンガン等から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
上記有機半導体および無機半導体として、電導度10-2〜103S/cmの範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのESR値が小さくなり好ましい。
一般に有機半導体は、実装時の高温で劣化する可能性が高いので、本発明の製造方法は、有機半導体を使用した固体電解コンデンサに使用するととりわけ効果がある。
本発明では、前述した方法等で形成された半導体層の上に導電体層が設けられる。導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムの付着等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミニウムペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミニウムメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
具体的には、例えば半導体層が形成されたコンデンサ用電極の上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し導電体層が形成される。
このようにしてコンデンサ用電極に誘電体層、半導体層および導電体層を順次積層した固体電解コンデンサ素子が作製される。
以上のような構成の本発明の固体電解コンデンサ素子は、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。本発明では、とりわけ樹脂モールド外装を行ったチップ状固体電解コンデンサが、前述した実装が簡単に行えるので好ましい。
樹脂モールド外装の場合について具体的に説明すると、本発明の固体電解コンデンサは、前記固体電解コンデンサ素子の導電体層の一部を、別途用意した一対の対向して配置された先端部を有するリードフレームの一方の先端部に載置し、さらにコンデンサ用電極の陽極引出し部(寸法を合わすために陽極引出し部の先端を切断して使用してもよい。)を前記リードフレームの他方の先端部に載置し、例えば前者は導電ペーストの固化で、後者はスポット溶接で各々電気的・機械的に接合した後、前記リードフレームの先端部の一部を残して樹脂封口し、樹脂封口外の所定部でリードフレームを切断折り曲げ加工して作製される。前記リードフレームは、前述したように切断加工されて最終的には固体電解コンデンサの外部端子となるが、形状は、箔または平板状であり、材質は鉄、銅、アルミニウムまたはこれら金属を主成分とする合金が専ら使用される。該リードフレームの一部または全部に半田、錫、チタン等のメッキが施されていてもよい。リードフレームとメッキとの間に、ニッケルまたは銅等の下地メッキがあってもよい。該リードフレームには、一対の対向して配置された先端部が存在し、その先端部間に隙間を設けることで、各固体電解コンデンサ素子の陽極部と陰極部とが絶縁される。
本発明の固体電解コンデンサの封口に使用される樹脂の種類として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等固体電解コンデンサの封止に使用される公知の樹脂が採用できる。また、樹脂封口するための製造機としてトランスファーマシンが好んで使用される。
樹脂封口された固体電解コンデンサは、使用された樹脂の所定硬化温度もしくは前後の温度、通常150〜250℃の温度で硬化される(場合によっては、トランスファーマシンの封止温度(通常150〜200℃)のみで樹脂硬化を終えることも可能である)。
本発明においては、前記樹脂封口硬化後、樹脂封口体を225〜305℃、好ましくは230〜270℃の温度に放置する工程及びエージング処理する工程を順に2回以上繰り返すことによって前記誘電体層の安定化を図るが、本2工程を繰り返す前にエージング処理する工程を加えることも本発明の範囲内である。
この高温に放置する時間は、数秒から数10時間である。高温に放置後は一旦200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは室温以下まで温度を下げる必要がある。温度は製造されるコンデンサの耐寒温度(一般に−55℃)まで下げることができる。高温に放置する雰囲気は、空気中でもよいし、Ar、N2、He等のガス中でもよい。また、減圧、常圧、加圧下のいずれの条件で行ってもよいが、水蒸気を供給しながら前記高温放置を行うと誘電体層の安定化がより進むためか、作製したコンデンサの実装後のLC値が一層良好となる場合もある。水蒸気の供給方法の1例として、高温放置の炉中に置いた水溜めから熱により水蒸気を供給する方法が挙げられる。
上記では、高温雰囲気に固体電解コンデンサを放置する最高温度を記載したが、この温度に達する前に、コンデンサを低温から徐々に昇温させて最高温度に到達させてもよい。昇温方法は任意に選択することができる。なお前記最高温度は、装置の特性による変動、例えば、±30℃程度の変動をおこしていても問題は無い。また、最高温度で人為的な熱変動を与える温度設定を行っても、基本的に問題は無い。また最高温度に放置した後、一旦任意の低温に下げ、さらに225〜305℃の任意の温度に放置するというような高温部に複数回放置する温度パターンを行ってもよい。換言すると、少なくとも1回は225〜305℃の温度に放置することが肝要である。なお本発明では、高温放置温度を305℃以下にするが、305℃を超えると、誘電体層の安定化が図れずかえって不良になるため好ましくない。
エージング方法は、固体電解コンデンサに所定の電圧を印加することによって行われる。エージング時間や温度は、コンデンサの種類、容量、電圧によって最適値が変るので、例えばエージング温度で0.1CV以下にLC値が下がる条件を予め実験によって決定されるが、通常、時間は、数分から数日、温度は電圧印加冶具の熱劣化を考慮して300℃以下で行われる。エージングの雰囲気は、空気中でもよいし、Ar、N2、He等のガス中でもよい。また、減圧、常圧、加圧下のいずれの条件で行ってもよいが、水蒸気を供給しながら、または供給した後に前記エージングを行うと誘電体層の安定化が進む場合がある。水蒸気の供給方法の1例として、エージングの炉中に置いた水溜めから熱により水蒸気を供給する方法が挙げられる。
電圧印加方法として、直流、任意の波形を有する交流、直流に重畳した交流等の任意の電流を流すように設計することができる。エージングの途中に一旦電圧印加を止め、再度電圧印加を行うことも可能である。
本発明において、高温放置工程とエージング工程を順に2回以上繰り返すことにより耐熱性が良好となる理由は定かではないが、実装時の熱自身(および封止樹脂の熱応力)による誘電体層の劣化は、通常のエージング処理だけでは追いつかないほどの予想以上に激しいもので、前述した2工程を2回以上行って高温放置で誘電体層を一度劣化させ、エージングで回復させる操作を行うことにより、実装時の熱劣化を緩和することができるようになるものと思われる。劣化・回復の回数は多いほど、誘電体層が熱的な経験を受け、将来の実装時の熱ストレスにも耐えることができるようになり、誘電体層の安定化が行われるので好ましい。
本発明で製造されるコンデンサは、例えば電源回路等の高容量のコンデンサを用いる回路に好ましく用いることができる。これらの回路は、パソコン、サーバー、カメラ、ゲーム機、DVD、AV機器、携帯電話等の各種デジタル機器や、各種電源等の電子機器に利用可能である。本発明で製造されるコンデンサは、実装後の漏れ電流の上昇が無いことから、これを用いることにより初期不良の少ない電子回路及び電子機器を得ることができる。
以下、本発明の具体例についてさらに詳細に説明するが、以下の例により本発明は限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜2:
CV8万μF・V/gのタンタル粉を0.12g使用して、大きさ4×3.2×1.7mmの焼結体を作製した(焼結条件:温度1340℃、30分、焼結体密度:5.5g/cm3、Taリード線0.29mmφ)。この焼結体を0.1質量%燐酸水溶液中にリード線の一部を除いて浸漬し、負極のTa板電極との間に18Vを印加し、80℃で3時間化成し、Ta25からなる誘電体層を形成した。続いて、焼結体を酸化剤に浸漬して酸化剤処理した後電解重合を行う特許第2054506号公報に記載の方法に準じて誘電体層表面に半導体層を形成した。すなわち、酸化剤として13質量%アントラキノンスルホン酸水溶液、モノマーとしてエチレンジオキシチオフェン(モノマーが飽和濃度以下となる水溶液として使用)、ドーパントとしてアントラキノンスルホン酸、溶媒として水を使用し、電解重合時の負極(Ta板電極)との間に14Vを印加し、室温で5時間重合した後、0.1質量%酢酸水溶液で13V後化成を行う、重合及び後化成工程を順に6回繰り返して半導体層を形成した。
さらにその上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層しコンデンサ素子を作製した。
次に、別途用意した、表面に錫メッキしたリードフレームに設けた両凸部の陽極側に焼結体のリード線を載置し、陰極側に焼結体の銀ペースト側を載置し、前者はスポット溶接で、後者は銀ペーストで接続した。その後、エポキシ樹脂でリードフレームの一部を除いてトランスファー成形して封口し、リードフレームは封口した樹脂外の所定場所で切断後折り曲げ加工して、大きさ7.3×4.3×2.8mmのチップ状固体電解コンデンサを作製した。
このように作製したコンデンサを複数個(各例で各々30個、計210個)用意し、表1に記載した条件で熱処理する工程(加熱後は室温まで温度を下げる)とエージングする工程を行った。
作製したコンデンサの実装テストは、最高温度280℃で途中の260℃の時間が15秒ある温度パターンに設定したリフロー炉に、基板上に鉛レスクリーム半田で固定載置されているコンデンサを3回通した後のLC値(4V、室温30秒での値)を測定する方法で行った。各例30個(n=30)ずつ実施した測定結果について、0.1CVμA(Cはコンデンサ容量、Vは定格4V)以下の個数(良品率)を表2に示した。
実施例6〜7及び比較例3〜5:
ニオブインゴットの水素脆性を利用して粉砕したニオブ一次粉(平均粒径0.5μm)を造粒し、酸素85000ppmを含有する平均粒径100μmのニオブ粉を得た(このニオブ粉は微粉であるために自然酸化されている。)。次に450℃の窒素雰囲気中に放置し、さらに700℃のAr中に放置することにより、一部窒化された窒化量11000ppmのニオブ粉(CV150000μF・V/g)とした。このニオブ粉を0.29mmφのニオブ線と共に成形した後1300℃で焼結することにより、大きさ4.0×3.5×1.7mm(質量0.08g)の焼結体(陽極)を複数個(各例で各々30個、計150個)作製した。続いて、0.1質量%燐酸水溶液中で80℃、20V、10時間化成することにより、陽極表面に酸化ニオブを主成分とする誘電体層を形成した。続いてPCT/JP2004/001235号明細書に記載した、誘電体層に微小欠陥部分を作製した後、通電する方法により誘電体層表面に半導体層を形成した。すなわち、アントラキノンスルホン酸と過硫酸アンモニウムが溶解した水溶液とエチレンジオキシチオフェンを誘電体層上に導入して微小なポリマー粒子を付着させることにより微小欠陥部分を作成し、ついでモノマーとしてエチレンジオキシチオフェン(モノマーが飽和濃度以下となる水溶液として使用)、ドーパントとしてアントラキノンスルホン酸、溶媒として水を使用し、電解重合時の負極(Ta板電極)との間に13Vを印加し、室温で7時間重合した後、0.1質量%酢酸水溶液で14V後化成を行う、重合と後化成を順に8回繰り返して半導体層を形成した。その後実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを得た。
実施例8:
実施例6で熱放置中の炉に水を入れた容器を置いて水蒸気が存在する状態で各熱放置を行った以外は実施例6と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。
実施例9:
実施例6で各エージングの前にコンデンサを60℃、90%RHの恒湿層中に24時間放置した以外は実施例6と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。
このようにして作製されたコンデンサを複数個(各例で各々30個、計150個)用意し、表1に記載した条件で熱処理する工程とエージングする工程を行った。
作製したコンデンサの実装テストは、最高温度260℃で途中の230℃の時間が30秒ある温度パターンに設定したリフロー炉に、基板上に鉛レスクリーム半田で固定載置されているコンデンサを3回通した後のLC値(4V、室温30秒値)を測定する方法で行った。各例30個(n=30)ずつ実施した測定結果について0.1CVμA(Cはコンデンサ容量、Vは定格4V)以下の個数(良品率)を表2に示した。
Figure 0004451235
Figure 0004451235
実施例1〜5と比較例1〜2、実施例6〜9と比較例3〜5を各々比べると、225〜305℃の温度に放置する工程、及びエージング処理する工程を順に2回以上繰り返すことにより実装後のLCが安定することが分かる。

Claims (6)

  1. 土酸金属、土酸金属を主成分とする合金、土酸金属の導電性酸化物及びこれら2種以上の混合物から選ばれる少なくとも1種を含む材料からなる陽極体、前記陽極体の電解酸化(化成)により形成される酸化物を主成分とする誘電体層、前記誘電体層上に形成した半導体層、及び前記半導体層上に積層した導電体層を有する固体電解コンデンサ素子を樹脂封口硬化処理した後、電圧印加(エージング)処理する固体電解コンデンサの製造方法において、前記樹脂封口硬化後、樹脂封口体を225〜305℃の温度に放置する工程及びエージング処理する工程を順に2回以上繰り返すことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 225〜305℃の温度に放置する工程が、225〜305℃の温度に放置することを複数回行う工程である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. エージング処理する工程が、225〜305℃の温度に放置した後、一旦200℃以下からコンデンサの耐寒温度までの温度に下げて電圧を印加して行われる請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 土酸金属がタンタルである請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 土酸金属がニオブである請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 土酸金属の導電性酸化物が酸化ニオブである請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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