JP4934327B2 - 汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置 - Google Patents
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Description
オイル貯留方式のエンジンにおいては、各摺動部分を円滑に潤滑するために、オイルの貯留量、つまりオイルのレベルが適切であることが求められる。オイルのレベルを検出するオイルレベル検出装置としては、各種のものが知られている(例えば、特許文献1−2参照。)。
すなわち、特許文献2に示されるオイルレベル検出装置は、(1)路面の状態が良い場合には、レベル低下を検出したときに警報を発し、(2)路面の状態が悪い場合には、一時的にオイルのレベル検出を中断し、この結果、警報を発しないようにしたものである。このため、路面の状態が悪い場合に、誤ってレベル低下であると検出されることを抑制できる。
これに対して、エンジンの耐久性を高めるには、レベル低下の場合にもっと積極的に対応して、エンジンを停止させることが考えられる。つまり、(1)エンジンの始動時にオイルが不足している場合には、始動を阻止し、(2)エンジンの作動中にオイルが不足した場合には、停止させるようにすればよい。
エンジンの動力によって発電する発電機と、
発電機が発生する電力によって点火プラグを点火させる点火回路と、
エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサと、
エンジンのクランクケースに取り付けられ、このクランクケース内に溜められているオイルのレベルが、予め設定された下限レベルまで低下したときに、レベル低下の検出信号を発するフロート式オイルレベル検出センサと、
エンジンを始動させるためのスタータと、
エンジン回転センサ並びにフロート式オイルレベル検出センサの各検出信号に応じて、点火回路から点火プラグへの電力供給を制御する制御部とを備え、
この制御部は、
フロート式オイルレベル検出センサからレベル低下の検出信号を受けていないという条件と、
スタータによって始動されているエンジンの回転数が、点火プラグによる点火作用を開始してエンジンを始動させるための、予め設定されている一定の第1基準回転数に達したという条件との、
両方を満たしていると判断した後に、点火プラグへの電力供給を開始させるように、点火回路を制御する構成であることを特徴とする。
さらに、請求項1に係る発明では、制御部は、点火プラグへ電力供給を開始した後であって、エンジンの回転数が第2基準回転数に達していないという条件と、レベル低下の検出信号を受けたという条件とを満たしたときに、点火プラグへの電力供給を停止させるように、点火回路を制御する構成であることを特徴とする。
エンジンの始動時に、フロート式オイルレベル検出センサがオイルのレベル低下を検出した場合には、エンジンの始動を阻止すればよい。オイルが足りているときだけ始動するので、エンジンの各摺動部分を円滑に潤滑することができ、この結果、エンジンの耐久性を確保することができる。
このように、エンジンの回転数とオイルのレベル低下との、2つの検出信号に基づいて、確実に且つ容易にエンジンの始動、停止を行うことができる。
さらに、請求項1に係る発明では、点火プラグへ電力供給を開始した後であって、エンジンの回転数が一定の第2基準回転数に達する前の時点に、オイルのレベルが下限レベルまで低下しているときには、点火プラグへの電力供給を停止させるようにしたものである。
スタータの始動操作をし、点火プラグへ電力供給を開始した後で、エンジンの実際の回転数がアイドリング回転数に達する前は、エンジンが始動途中にある。この始動途中に、オイルのレベルが下限レベルまで低下している場合には、点火回路は点火プラグへの電力供給を停止する。この結果、点火プラグが点火作動をしないので、エンジンは始動しない。従って、作業者は、エンジンの始動途中で、オイルのレベルが規定値を下回っていることを、明確に知ることができる。
つまり、オイルのレベルが下限レベルまで低下している場合であっても、スタータの操作は何回でも可能である。しかし、オイルのレベルが低下すると、点火プラグは点火作動をしない。この結果、エンジンは始動しない。
従って、作業者は、スタータの始動操作を繰り返してもエンジンが始動しないので、オイルレベルが規定値を下回っていると、判断することができる。すなわち、作業者は、スタータの始動操作を開始した時点で、オイルのレベルが規定値を下回っていることを、明確に知ることができる。しかも、レベル低下であることを報知するための報知装置を、オイルレベル低下判断装置に設ける必要はない。部品数の増加を抑制することができるとともに、小型のエンジンを提供することができる。
図1は本発明に係る汎用エンジン並びに汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置の模式図である。
エンジン10は、略水平なクランク軸11を備え、クランクケース12の中に溜められているオイルLuで各摺動部分を潤滑する潤滑方式の、単気筒内燃機関である。このエンジン10は各種作業機に搭載する汎用エンジンであって、リコイルスタータ21等のスタータを備えている。
エンジン回転センサ22は、エンジン10の回転数(回転速度)を検出して、検出信号を発するものである。
図2(a)に示すように、オイルLuが下限レベルLmを超えて十分に溜まっている状態においては、フロート43が油面上に浮いている。この状態では、リードスイッチ42の常開接点42aは永久磁石44の磁力の影響を受けないで開状態(スイッチオフ状態)にある。この結果、フロート式オイルレベル検出センサ25はオフ状態にある。
ST01;作業者がメインスイッチ26をオン操作する。
ST02;メインスイッチ26のオン状態において、作業者がリコイルスタータ21のノブを引張ることで、リコイルスタータ21を始動操作する。
ST03;リコイルスタータ21の始動操作をすることにより、クランク軸11が回る。この結果、発電機23はクランク軸11で駆動されて発電を開始する。
ST04;発電機23から供給される電力によって制御部27及び点火回路31が自動的に起動する。
ST05;制御部27は所定のエンジン始動・運転処理を自動的に実行する。このエンジン始動・運転処理を具体的に実行するための具体的な制御フローについては、次の図4で説明する。
ST12;クランクケース12内に溜められているオイルLuの実際のレベルLr、つまり、オイルレベルが適正であるか否かを調べ、NOならST13に進み、YESならST14に進む。オイルレベル信号が「レベル低下」であるときには、実際のレベルLrが下限レベルLmまで低下したと判断して、NOとなる。
ST14;オイルレベルが適正なので、エンジン回転センサ22でエンジン10の実際の回転数Nr(以下、「実回転数Nr」と言う。)を検出する。
ここで、「第1基準回転数Ns1」とは、点火プラグ33による点火作用を開始してエンジン10を始動させるのに好適な、エンジン10の回転数のことであり、例えば400〜600rpm程度に設定されている。
ST17;再び、エンジン回転センサ22でエンジン10の実回転数Nrを検出する。
「第2基準回転数Ns2」は、例えば、無負荷状態において安定して運転可能なエンジン10の最低回転速度、つまり、アイドリング状態のエンジン10の回転数(無負荷最低回転速度又はローアイドル回転数とも言う。以下、「アイドリング回転数」と言う。)に設定される。この第2基準回転数Ns2は、第1基準回転数Ns1よりも大きい値である。
ST20;オイルレベルが適正であるか否かを調べ、NOならST21に進み、YESならST17に戻る。
ST24;メインスイッチ26がオン状態のままであるか否かを調べ、NOならST25に進み、YESならST22に戻る。作業者がメインスイッチ26をオフ操作した場合に、NOの判断になる。
ST32;オイルレベルが適正であるか否かを調べ、NOならST33に進み、YESならST34に進む。
ST34;点火回路31に対する点火指令を継続した後に、図4のST22に戻る。すなわち、点火プラグ33への電力供給を継続させるように、点火回路31を制御する。点火コイル32から点火プラグ33へ高圧電気が印加され続けるので、エンジン10は運転状態を継続する。
図6は本発明に係るオイルレベル低下判断装置の作用説明図であり、横軸を時間としたタイムチャートで各部の作用を示す。
その後、時点t4でメインスイッチ26をオンにした後に、時点t5でリコイルスタータ21を始動操作する。この始動操作に応じてクランク軸11は回り始める。この結果、発電機23は発電を開始する。発電機23から供給される電力によって制御部27及び点火回路31が自動的に起動する。
その後、エンジン10の実回転数Nrが第2基準回転数Ns2まで上昇する前の時点t7で、オイルLuの実際のレベルLrが再び低下すると、その時点t7で点火プラグ33は点火作用を停止する。リコイルスタータ21による始動操作を止めると、クランク軸11は停止し、この結果、エンジン10は停止する。
その後、時点t9でメインスイッチ26をオンにした後に、時点t10でリコイルスタータ21を始動操作する。この始動操作に応じてクランク軸11は回り始める。この結果、発電機23は発電を開始する。発電機23から供給される電力によって制御部27及び点火回路31が自動的に起動する。
本発明では、エンジン10の停止中と作動中とでは、オイルLuの油面の状況が異なるので、これに応じて、フロート43の挙動も異なることに着目したものである。つまり、エンジン10の停止中においては油面が変動せず、エンジン10の作動中においては油面の変動が大きい。
つまり、オイルLuのレベルが下限レベルLmまで低下している場合であっても、リコイルスタータ21の操作は何回でも可能である。しかし、オイルLuのレベルが低下すると、点火プラグ33は点火作動をしない。この結果、エンジン10は始動しない。
しかも、レベル低下であることを報知するための報知装置を、オイルレベル低下判断装置20に設ける必要はない。部品数の増加を抑制することができるとともに、小型のエンジン10を提供することができる。
すなわち、実回転数Nrに応じて、ピックアップコイルが発生する単位時間当たりのパルス数や、パルスの電圧が変化する。例えば、実回転数Nrが増加すれば、単位時間当たりのパルス数や、パルスの電圧は増大する。
また、制御部27は、マイクロコンピュータを主とした構成に限定されるものではない。
また、スタータは、リコイルスタータ21に限定されるものではなく、セルスタータであってもよい。
従って、作業中にオイルLuの油面が激しく且つ大きく変動したり一時的に傾く作業機、例えばランマー(rammer)等の土木作業機や刈払機等の各種農・作業機に搭載される、エンジン10を制御するのに好適である。
Claims (2)
- 作業機等に搭載されるエンジンを制御する汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置であって、前記汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置は、
前記エンジンの動力によって発電する発電機と、
前記発電機が発生する電力によって点火プラグを点火させる点火回路と、
前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサと、
前記エンジンのクランクケースに取り付けられ、このクランクケース内に溜められているオイルのレベルが、予め設定された下限レベルまで低下したときに、レベル低下の検出信号を発するフロート式オイルレベル検出センサと、
前記エンジンを始動させるためのスタータと、
前記エンジン回転センサ並びに前記フロート式オイルレベル検出センサの各検出信号に応じて、前記点火回路から前記点火プラグへの電力供給を制御する制御部とを備え、
この制御部は、
前記フロート式オイルレベル検出センサから前記レベル低下の検出信号を受けていないという条件と、
前記スタータによって始動されている前記エンジンの回転数が、前記点火プラグによる点火作用を開始して前記エンジンを始動させるための、予め設定されている一定の第1基準回転数に達したという条件との、
両方を満たしていると判断した後に、前記点火プラグへの電力供給を開始させるように、前記点火回路を制御する構成であり、
さらに、前記制御部は、前記点火プラグへ電力供給を開始した後であって、前記エンジン回転センサにて検出された前記エンジンの回転数が、前記エンジンのアイドリング回転数として予め設定され且つ前記第1基準回転数よりも大きい値の一定の第2基準回転数に達したという条件を満たしているときには、前記フロート式オイルレベル検出センサの検出信号にかかわらず、前記点火プラグへの電力供給を継続させるように、前記点火回路を制御する構成であり、
さらに、前記制御部は、前記点火プラグへ電力供給を開始した後であって、前記エンジンの回転数が前記第2基準回転数に達していないという条件と、前記レベル低下の検出信号を受けたという条件とを満たしたときに、前記点火プラグへの電力供給を停止させるように、前記点火回路を制御する構成であることを特徴とした汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置。 - 前記制御部は、前記スタータの始動操作を開始した時点に、前記レベル低下の検出信号を受けたという条件を満たしたときには、前記点火プラグへの電力供給を阻止させるように、前記点火回路を制御する構成であることを特徴とした請求項1記載の汎用エンジンのオイルレベル低下判断装置。
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