JP2008032157A - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の停止中にバランスシャフトギアがオイルに浸かったままとなる状態を回避できる内燃機関のバランサ装置を提供する。
【解決手段】バランサ装置10Aは、バランスシャフト11を駆動するバランスシャフトギア12を囲い、かつ内燃機関のオイルパン3内に配置されたバランスシャフトハウジング13を備えている。バランスシャフトハウジング13には、内部に溜ったオイルをオイルパン3へ排出するためのオイル戻し穴13aが形成されており、オイルパン3内のオイルの油面の変動に応じて動作する開閉部材21を利用して、内燃機関の停止時にオイル戻し穴13aを開いてオイルを排出する。
【選択図】図2
【解決手段】バランサ装置10Aは、バランスシャフト11を駆動するバランスシャフトギア12を囲い、かつ内燃機関のオイルパン3内に配置されたバランスシャフトハウジング13を備えている。バランスシャフトハウジング13には、内部に溜ったオイルをオイルパン3へ排出するためのオイル戻し穴13aが形成されており、オイルパン3内のオイルの油面の変動に応じて動作する開閉部材21を利用して、内燃機関の停止時にオイル戻し穴13aを開いてオイルを排出する。
【選択図】図2
Description
本発明は、クランクシャフトの回転に起因した慣性力及び慣性偶力を低減する内燃機関のバランサ装置に関する。
バランスシャフトハウジング内の潤滑油をオイルパン外部に汲み出す電動オイルポンプを備え、内燃機関の冷間始動時、高速回転時及び高負荷時に電動オイルポンプを駆動して潤滑油を汲み出すバランサ装置がある(特許文献1)。この装置によれば、バランスシャフトハウジング内の潤滑油(オイル)を汲み出して油面を下げることにより、内燃機関の始動時等にバランスシャフトの回転抵抗を低減することができる。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2〜6が存在する。
特許文献1の装置は、機関運転中のバランスシャフトの回転抵抗の低減のみを目的とし、機関停止時におけるバランスシャフトハウジング内のオイルを低減するものではない。そのため、内燃機関の停止中、つまり内燃機関の停止から次に始動までの間にハウジング内にオイルが溜った状態に保持されることがある。これにより、内燃機関の停止中にバランスシャフトを駆動するバランスシャフトギアがオイルに浸かったままになるおそれがある。その結果、内燃機関が停止してから次の始動時にバランスシャフトハウジング内に溜ったオイルがバランスシャフト等によって撹拌されるのでスタータモータの負荷が増大する。また、バランスシャフトギアを樹脂製にした場合、そのギアがオイルに浸かった状態が長引くと膨潤して、運転時の異音発生原因になるおそれがある。
そこで、本発明は、内燃機関の停止中にバランスシャフトギアがオイルに浸かったままとなる状態を回避できる内燃機関のバランサ装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関のバランサ装置は、バランスシャフトを駆動するバランスシャフトギアを囲い、かつ内燃機関のオイルパン内に配置されたバランスシャフトハウジングを備えた内燃機関のバランサ装置において、前記内燃機関の停止時における前記バランスシャフトハウジング内のオイル量が低減するように、前記バランスシャフトハウジング内のオイルを排出する油量調整装置を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
このバランサ装置によれば、内燃機関の停止時におけるバランスシャフトハウジング内のオイル量が低減するように油量調整装置にてバランスシャフトハウジング内のオイルが排出される。そのため、内燃機関の停止中、即ち停止時から次の始動時までの間にバランスシャフトギアがオイルに浸かったままになる状態を回避することができる。
油量調整装置の構成には特段の制限がなく、例えば、前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、前記油量調整装置として、前記オイル戻し穴を開閉可能で、かつ前記内燃機関の停止時に前記オイル戻し穴を開く開閉機構が設けられていてもよい(請求項2)。この態様の場合、内燃機関が停止すると開閉機構にてオイル戻し穴が開かれて、バランスシャフトハウジング内のオイルが排出されるようになる。
この開閉機構は、前記オイルパン内のオイル量の変動に応じて前記オイル戻し穴を開閉できるように構成されており、前記オイルパン内のオイル量の増加に応じて前記オイル戻し穴を開いてもよい(請求項3)。内燃機関の運転時には、オイルパン内のオイルは内燃機関の各部に圧送されるので、停止時と比べてオイルパン内のオイル量が減少し、内燃機関の停止時には、内燃機関の各部からオイルパンにオイルが戻されるのでオイルパン内のオイル量は運転時と比べて増加する。この態様によれば、内燃機関の停止によりオイルパン内のオイル量が増加すると、オイル戻し穴が開かれてバランスシャフトハウジングからオイルが排出される。
この態様においては、前記開閉機構は、前記オイル戻し穴を閉じることが可能な蓋部材と、前記蓋部材に連結されるとともに、前記バランスシャフトハウジングの外部に引き出されて前記オイルパン内に配置され、かつ前記オイルパン内のオイルの比重よりも比重が小さくなるように構成された操作部材と、を有した開閉部材を備えていてもよい(請求項4)。上述のように、内燃機関の運転時と停止時とでは、オイルパン内のオイル量が変化するので、オイルの油面の高さも変化する。即ち、内燃機関の運転時には停止時と比べて油面が低下し、停止時には運転時と比べて油面が上昇する。この態様の開閉機構は、蓋部材に連結された操作部材がオイルの比重よりも比重が小さくなるように構成されているので、操作部材に生じた浮力によりオイルパン内の油面変動に追従して操作部材が上下動する。この上下動により操作部材と連結された蓋部材が駆動されてオイル戻し穴が開かれるようになる。このように、開閉部材は内燃機関の運転時と停止時とでオイルパン内の油面が変化することを利用してオイル戻し穴を開閉できるので、オイル戻し穴を開閉させる特別な駆動源を設ける必要がなく、簡素な構成で開閉機構を構成できる。
また、本発明のバランサ装置においては、前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、前記油量調整装置は、前記オイル戻し穴を開閉可能な弁手段と、前記内燃機関の停止を判定する停止判定手段と、前記停止判定手段が前記内燃機関の停止を判定した場合に前記オイル戻し穴が開かれるように前記弁手段を制御する弁制御手段と、を備えてもよい(請求項5)。この態様によれば、内燃機関の停止を判定する停止判定手段の判定結果に基づいてオイル戻し穴が開かれるので、内燃機関の停止時においてバランスシャフトハウジング内からオイルを確実に排出することができるようになる。
本発明の以上の各態様は、内燃機関の停止時にバランスシャフトハウジング内のオイル量を油量調整装置にて排出するものであるが、内燃機関の停止時におけるオイル量が低減するように内燃機関の運転時に油量調整装置にてオイルを排出するものであってもよい。
例えば、前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、前記油量調整装置として、前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置に満たない場合に前記オイル戻し穴が開かれ、かつ前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置を超えている場合に前記オイル戻し穴が閉じられるように構成された開閉機構が設けられていてもよい(請求項6)。この態様によれば、オイルパン内の液位がバランスシャフトギアと干渉する位置に満たない場合にはオイル戻し穴が開かれてバランスシャフトハウジング内のオイルが排出される。そして、オイルパン内の液位がバランスシャフトギアと干渉する位置を超えている場合にはオイル戻し穴が閉じられるので、オイルパン内のオイルがオイル戻し穴を通じてバランスシャフトハウジング内に流入して、オイルとバランスシャフトギアとが干渉することを防止できる。従って、バランスシャフトハウジング内のオイル量がオイルとバランスシャフトギアとが干渉しない程度に制限される。このため、内燃機関の運転が停止された停止時において、バランスシャフトハウジング内のオイルを可能な限り低減することができる。
また、前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、前記油量調整装置として、前記オイル戻し穴を開閉可能な弁手段と、前記内燃機関の回転速度を考慮して前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置を超えるか否かを予測する液位予測手段と、オイルの液位が前記位置を超えると前記液位予測手段が予測した場合に前記オイル戻し穴が閉じられ、かつオイルの液位が前記位置を超えないと前記液位予測手段が予測した場合に前記オイル戻し穴が開かれるように前記弁手段を制御する弁制御手段と、を備える開閉機構が設けられていてもよい(請求項7)。この態様によれば、オイルパン内のオイルの液位がバランスシャフトギアと干渉する位置を超えると予測された場合にオイル戻し穴が閉じられる一方で、その液位がバランスシャフトギアと干渉する位置を超えないと予測された場合にオイル戻し穴が開かれるから、バランスシャフトハウジング内のオイル量がオイルとバランスシャフトギアとが干渉しない程度に制限される。このため、内燃機関の運転が停止された停止時において、バランスシャフトハウジング内のオイルを可能な限り低減することができる。
この態様においては、前記液位予測手段は、前記内燃機関の所定回転速度範囲内での積算運転時間を考慮して前記オイルパン内のオイルの液位が前記位置を超えるか否かを予測してもよい(請求項8)。一般に、内燃機関の回転速度が大きくなるほど各部へのオイル供給量が増加するので、オイルパンの液位は低下する傾向にある。但し、内燃機関の回転速度に応じた液位に変化するにはある程度の時間が必要である。つまり、一時的に回転速度が大きくなったり小さくなったりしても、その回転速度の変動は液位の変動に殆ど寄与しない。この態様によれば、所定回転速度範囲内での積算運転時間が考慮されて液位が予測されるので、液位の変動に寄与しないような一時的な回転速度の変動を除外できる。従って、液位の予測精度が向上し制御が安定化する。
前記液位予測手段は、前記積算運転時間が所定時間以上となり、かつ、その後前記内燃機関の回転速度が前記所定回転速度範囲の下限値よりも小さい所定値以下となったことを条件として、前記オイルパン内のオイルの液位が前記位置を超えると予測してもよい(請求項9)。内燃機関がある回転速度で定常運転されていた状態から回転速度が所定回転速度範囲内まで上昇し、その範囲内における運転が所定時間以上続き、その後内燃機関がもとの定常運転に戻された場合、所定回転速度範囲内における運転でオイル中に混入する気泡量が増加することを原因として、オイルパン内の液位が回転速度上昇前よりも一時的に高くなる。従って、仮に、回転速度上昇前の定常運転時のオイルの液位がバランスシャフトギアと干渉する位置を超えていない場合でも、このような過程を経て回転速度が変化すると回転速度上昇前の状態に戻したときにオイルの液位がその位置を超えてしまう場合がある。この態様によれば、以上のような過程を経て回転速度が変化した場合に、オイルの液位がバランスシャフトギアと干渉する位置を超えることを液位予測手段が予測できるので、バランスシャフトギアと干渉する位置を超えてしまうほどオイルが流入することを確実に防止できるようになる。
以上説明したように、本発明のバランサ装置は、内燃機関の停止時又は運転中に油量調整装置にてバランスシャフトハウジング内のオイルが排出されるので、内燃機関の停止時におけるハウジング内のオイル量を低減できる。そのため、内燃機関の停止中にバランスシャフトギアが潤滑油に浸かったままになる状態を回避することができるようになる。
(第1の形態)
図1は、本発明のバランサ装置が組み込まれた内燃機関の要部を示している。図2は図1のA−A線に沿った断面を拡大して示した断面模式図である。これらの図に示すように、内燃機関1は、シリンダブロック2の下部とオイルパン3とで構成されたクランクケース4を有し、そのクランクケース4内にクランクシャフト5が収容されている。
図1は、本発明のバランサ装置が組み込まれた内燃機関の要部を示している。図2は図1のA−A線に沿った断面を拡大して示した断面模式図である。これらの図に示すように、内燃機関1は、シリンダブロック2の下部とオイルパン3とで構成されたクランクケース4を有し、そのクランクケース4内にクランクシャフト5が収容されている。
バランサ装置10Aはオイルパン3内に、換言すればクランクケース4内のクランクシャフト5の下方に配置されている。バランサ装置10Aはクランクシャフト5の回転に伴う振動を低減できる機能を有しており、クランクシャフト5と略平行に延びる一対のバランスシャフト11、11と、各バランスシャフト11に一体回転可能に設けられて各バランスシャフト11を駆動するためのバランスシャフトギア12、12と、これらを囲むバランスシャフトハウジング(以下、ハウジングと表示する場合がある。)13とを備えている。各バランスシャフト11には、クランクシャフト11の回転による慣性力等を打ち消すための複数のマス11aが設けられている。二つのバランスシャフトギア12、12の少なくとも一方は、歯部が樹脂で構成されている。二つのバランスシャフトギア12、12は互いに噛み合い、かつ一方のギア12には、クランクシャフト5に一体回転可能に設けられた駆動ギア50が噛み合わされてクランクシャフト5の回転が伝達される。これにより、クランクシャフト5の回転と同期して各バランスシャフト11も回転することができる。各ギア50、12の回転方向は図2の矢印に示した通りである。
図1に示すように、ハウジング13の両側部には、ハウジング内部のオイルを外部に排出するためのオイル排出窓14が設けられている。そのため、内燃機関1の運転中にはバランスシャフト11及びバランスシャフトギア12の回転に伴ってオイル排出窓14からオイルが外部へ掻き出される。なお図示を省略したが、ハウジング13には各バランスシャフト11を回転可能に支持する軸受け部が設けられている。
ハウジング13の底部には、内部のオイルをオイルパン3へ排出するためのオイル戻し穴13aが形成されている。バランサ装置10Aは、開閉部材21を利用してオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Aを備えている。図3に詳しく示すように、開閉部材21は、ハウジング13内に配置されてオイル戻し穴13aを閉じることができる蓋部材22と、この蓋部材22に連結されるとともに、ハウジング13の外部に引き出されてオイルパン3内に配置された操作部材23とを有している。操作部材23は、オイル戻し穴13aに挿入された連結軸24を介在させて蓋部材22に連結されている。
操作部材23は、内部に空洞23aが形成された中空部材であり、オイルの比重よりも比重が小さくなるように構成されている。なお、操作部材23を構成する材料として、オイルの比重よりも小さい比重の材料を適宜に選択することにより、操作部材23を中空部材ではなく中実部材とすることも可能である。操作部材23の比重は、開閉部材21が自重によってオイルに沈まない浮力が生じるように調整されている。蓋部材22は、連結軸24がオイル戻し穴13a内をその半径方向に移動した場合でもオイル戻し穴13aを閉じることができる大きさに設定されている。また、オイル戻し穴13aの周囲には、開閉部材21の自重によって蓋部材22がオイル戻し穴13aを閉じた場合の密封性を高めるため、ゴム等の弾性体で構成されたOリング25がハウジング13に形成されたリング溝13bに嵌め込まれており、このOリング25はシール部材として機能する。
開閉機構20Aによれば、オイルパン3内のオイルの油面が上昇すると、浮力により開閉部材21の蓋部材22が上方に押し上げられることによりオイル戻し穴13aが開かれる。逆に、油面が操作部材23よりも低い位置まで下降すると、開閉部材21の自重によってオイル戻し穴13aが閉じられる。図4は、内燃機関1の停止時及び運転時における開閉部材21の状態を示し、(a)は内燃機関1の停止時を、(b)は内燃機関1の運転時をそれぞれ示している。これらの図に示すように、オイルパン3内のオイルの油面Sの高さは、運転中に各部に圧送されていたオイルがオイルパン3に戻されるので、内燃機関1の停止時の方が運転時よりも高い。そこで、開閉機構20Aは内燃機関1の停止時の油面の高さ及び運転時の油面の高さをそれぞれ考慮して、内燃機関1の停止時にオイル戻し穴13aが開かれ、かつ内燃機関1の運転時にオイル戻し穴13aが閉じられるように、開閉部材21の蓋部材22から操作部材23までの寸法が設定されている。これにより、図4(a)に示すように、内燃機関1の停止時にオイル戻し穴13aが開かれて、ハウジング13の内部に溜ったオイルOILがオイル戻し穴13aを介してオイルパン3に排出される。そのため、内燃機関1が停止している間にバランスシャフトギア12がオイルに浸かったままとなる状態を回避できる。一方、図4(b)に示すように、内燃機関1の運転中には、オイルパン3の油面Sが下がりオイル戻し穴13が閉じられるので、オイルパン3からハウジング13内へのオイルの流入が防止される。これにより、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12によるハウジング13内のオイルの撹拌を低減することができる。こうして、開閉機構20Aはオイルパン3内のオイル量の変動に応じてオイル戻し穴13aを開閉できるように構成される。
(第2の形態)
次に、第2の形態を図5及び図6を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Bは開閉機構20Bの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通の構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。図5は、第2の形態のバランサ装置10Bの要部を模式的に示している。バランサ装置10Bはオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Bを備えている。開閉機構20Bは電磁駆動式の弁手段としての開閉弁26と、開閉弁26の動作を制御する弁制御手段としての制御装置27とを有する。この開閉弁26はオイル戻し穴13aを閉じることができる弁体28と、その弁体28を駆動するアクチュエータ29とを備えている。アクチュエータ29は制御装置27と電気的に接続されていて、制御装置27により内蔵の電磁コイルに通電されると弁体28がオイル戻し穴13aを閉じ、その通電が停止されると弁体28がオイル戻し穴13aを開くように、弁体28を動作させる。制御装置27には、開閉弁26の制御に必要な情報、例えば機関回転数Neや水温Tw等が入力される。なお、制御装置27は内燃機関1の運転状態を適正に制御するために設けられたエンジンコントロールユニット(ECU)と兼用させてもよいし、ECUと分離して独自に設けてもよい。
次に、第2の形態を図5及び図6を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Bは開閉機構20Bの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通の構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。図5は、第2の形態のバランサ装置10Bの要部を模式的に示している。バランサ装置10Bはオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Bを備えている。開閉機構20Bは電磁駆動式の弁手段としての開閉弁26と、開閉弁26の動作を制御する弁制御手段としての制御装置27とを有する。この開閉弁26はオイル戻し穴13aを閉じることができる弁体28と、その弁体28を駆動するアクチュエータ29とを備えている。アクチュエータ29は制御装置27と電気的に接続されていて、制御装置27により内蔵の電磁コイルに通電されると弁体28がオイル戻し穴13aを閉じ、その通電が停止されると弁体28がオイル戻し穴13aを開くように、弁体28を動作させる。制御装置27には、開閉弁26の制御に必要な情報、例えば機関回転数Neや水温Tw等が入力される。なお、制御装置27は内燃機関1の運転状態を適正に制御するために設けられたエンジンコントロールユニット(ECU)と兼用させてもよいし、ECUと分離して独自に設けてもよい。
図6は、制御装置27が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。この制御ルーチンのプログラムは、制御装置27が内蔵するROM等の記憶手段に予め保持されており、記憶手段から適宜に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。制御装置27は、まずステップS1において、内燃機関1の停止を判定する。この判定は適宜の手法で判定される。例えば、制御装置27に入力された機関回転数Neが0(ゼロ)となった場合に内燃機関1の停止を判定してもよいし、機関回転数Neがゼロとなってから所定時間経過後に内燃機関1の停止を判定してもよい。また、イグニッションスイッチ(不図示)がオンからオフに切替えられた場合に内燃機関1の停止を判定してもよい。
ステップS1で内燃機関1の停止を判定した場合には、ステップS2に進みオイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁26を制御して今回のルーチンを終了する。即ち、制御装置27はアクチュエータ29への通電を停止する。一方、ステップS1で内燃機関1の停止が判定されない場合、内燃機関1の状態は、始動完了後の運転中又は始動完了前の始動中のいずれかである。そこで、ステップS1で否定判定した場合には、ステップS3に進み内燃機関1の始動完了後か否かを判定する。なお、ここで云う始動完了後とは、完爆が判定された後の状態を意味し、始動中とはスタータモータ(不図示)が作動してから完爆が判定される前までの状態を意味する。完爆の判定は適宜の手法で実施してよく、例えば機関回転数Neに所定の閾値を設定し、機関回転数Neがその閾値を超えた場合に完爆を判定してもよい。この完爆判定の閾値は一定値でもよいし、冷却水温Twの大きさに応じて変化させてもよい。
ステップS3で始動完了後であると判定した場合には、ステップS4に進み、オイル戻し穴13aが閉じられるように、アクチュエータ29へ通電することにより開閉弁26を制御して今回のルーチンを終了する。ステップS3において、始動完了後でないと判定した場合には、ステップS2に進みオイル戻し穴13aが開かれるようにする。
以上のルーチンが制御装置27によって繰り返し実行されることにより、内燃機関1の停止時にオイル戻し穴13aが開かれて、ハウジング13内のオイルがオイルパン3に排出される。そのため、内燃機関1が停止している間にバランスシャフトギア12がオイルに浸かったままとなる状態を回避できる。一方、内燃機関1の運転中には、オイル戻し穴13が閉じられるので、オイルパン3からハウジング13内へのオイルの流入が防止される。そのため、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12によるハウジング13内のオイルの撹拌を低減することができる。図6のステップS1が制御装置27により実行されることにより、制御装置27は本発明の停止判定手段として機能する。
(第3の形態)
次に、第3の形態を図7及び図8を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Cは後述する開閉機構20Cの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。第1の形態と共通の構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態に係る内燃機関1は、運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
次に、第3の形態を図7及び図8を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Cは後述する開閉機構20Cの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。第1の形態と共通の構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態に係る内燃機関1は、運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
図7はバランサ装置10Cの要部を模式的に示している。バランサ装置10Cはフロート弁31を利用してオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Cを備えている。フロート弁31は、ハウジング13の外部に設けられてオイル戻し穴13aを開閉できる弁体32と、その弁体32に連結されてハウジング13の内部に設けられて弁体32の脱落を防止できる抜け止め部材33とを有している。抜け止め部材33はオイル戻し穴13aに挿入された連結軸34を介在させて弁体32に連結されている。弁体32は浮力を発生させるための空洞32aを有するとともに、ハウジング13の底部と対向する側に形成されたリング溝32bに嵌め込まれたOリング32cを有している。Oリング32cはゴム等の弾性体で構成されており、弁体32とハウジング13とをシールするシール部材として機能する。弁体32がオイル量の増加に応じてハウジング13に押し付けられるとその底部に形成されたオイル戻し穴13aを閉じることができる。抜け止め部材33には、ハウジング13の底部に接している場合でもハウジング13の内部のオイルをオイル戻し穴13aを介して排出できるように、複数の排出孔33aが形成されている。
図8はフロート弁31の動作を示す説明図であり、(a)は内燃機関1の運転時を、(b)は内燃機関1が停止してから油面Sの上昇が収まった状態をそれぞれ示している。内燃機関1の運転時には、液位がバランスシャフトギア12の下端に満たない。更に図示の例では、その液位がオイル戻し穴13aよりも下側に位置するので、図8(a)に示すように、オイル戻し穴13が開かれてハウジング13内のオイルが矢印方向に排出されて、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12によるハウジング13内のオイルの撹拌を低減することができる。一方、内燃機関1が停止した後はオイルパン3内のオイル量が増加するので液位が高くなる。そして、この形態の場合、液位がバランスシャフトギア12の下端に達する前にオイル戻し穴13aが弁体32にて閉じられるので、図8(b)に示すように、液位がバランスシャフトギア12の下端を超えて高くなった場合でも、バランスシャフトギア12の下端を超えるほどハウジング13内にオイルが溜ることが防止される。これにより、内燃機関1が停止している間にバランスシャフトギア12がオイルに浸かったままとなる事態を回避できる。
(第4の形態)
次に、本発明の第4の形態を図9及び図10を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Dは開閉機構20Dの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通する構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態の内燃機関1は第3の形態と同様の液位の変動が生じる。即ち、内燃機関1は運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
次に、本発明の第4の形態を図9及び図10を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Dは開閉機構20Dの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通する構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態の内燃機関1は第3の形態と同様の液位の変動が生じる。即ち、内燃機関1は運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
図9は、第4の形態のバランサ装置10Dの要部を模式的に示している。バランサ装置10Dはオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Dを備えている。開閉機構20Dは電磁駆動式の弁手段としての開閉弁41と、開閉弁41の動作を制御する弁制御手段としての制御装置42と、その制御装置42に電気的に接続されるとともにオイルパン3内に設けられてオイルの液位を検出する液位センサ43とを有する。開閉弁41はオイル戻し穴13aを閉じることができる弁体44と、その弁体44を駆動するアクチュエータ45とを備えている。アクチュエータ45は制御装置42と電気的に接続されていて、制御装置42により内蔵の電磁コイルに通電されると弁体44がオイル戻し穴13aを開き、その通電が停止されると弁体44がオイル戻し穴13aを閉じるように、弁体44を動作させる。制御装置42には、開閉弁41の制御に必要な情報として、液位センサ43の出力信号が入力される。なお、制御装置42は内燃機関1の運転状態を適正に制御するために設けられたエンジンコントロールユニット(ECU)と兼用させてもよいし、ECUと分離して独自に設けてもよい。
図10は、制御装置42が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。この制御ルーチンのプログラムは、制御装置42が内蔵するROM等の記憶手段に予め保持されており、記憶手段から適宜に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。制御装置42は、まずステップS41において、液位センサ43の出力を参照してオイルパン3内の液位がバランスシャフトギア12の下端に達したか否かを判定する。その結果、液位が下端に達したと判定したときは、ステップS42に進み、オイル戻し穴13aが閉じられるように開閉弁41を制御する。一方、オイル戻し穴13aの位置に満たないないと判定したときは、ステップS43に進み、オイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁41を制御する。
図10の制御を実行することにより、開閉機構20Dは内燃機関1の運転状態(停止時を含む)に拘わらず、オイルパン3内のオイル量の増加に応じてオイル戻し穴13aを閉じることができるので、バランスシャフトギア12の下端を超えるほどのハウジング13内へのオイル流入を防止できる。アクチュエータ45は通電が停止されると弁体44がオイル戻し穴13aを閉じるように弁体44を動作させるので、内燃機関1が停止した場合にはオイル戻し穴13aが閉じられた状態に保持される。これにより、内燃機関1の停止時におけるハウジング13内のオイル量を低減でき、内燃機関1が停止している間にバランスシャフトギア12がオイルに浸かったままとなる事態を回避できる。
また、第1の形態や第3の形態のようにオイル戻し穴13aの開閉を液位の変動に委ねる形態と比べて、確実な動作が実現できるとともにオイル戻し穴13aを閉じた際のシール性が向上する。また、制御装置42は、開閉弁41の動作の正常又は不良について容易に把握することができるので、例えば動作不良時にウォーニングを表示させることもできる。そのため開閉弁41の不具合を早期に摘出することができる。また、液位センサ43によって液位を直接検出するので、例えばオイル交換やオイル消費によってオイル量が変化することにより液位の変化態様が変わった場合でも、開閉弁41の動作特性を維持できる。つまりオイル量の変化に対するロバスト性が向上する。
(第5の形態)
次に本発明の第5の形態を図11〜図13を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Eは開閉機構20Eの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通する構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態の内燃機関1は第3の形態と同様の液位の変動が生じる。即ち、内燃機関1は運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
次に本発明の第5の形態を図11〜図13を参照して説明する。この形態のバランサ装置10Eは開閉機構20Eの構成を除き第1の形態と同様の構成を有している。そのため、第1の形態と共通する構成についての説明は省略し、特に断らない限り図1及び図2が適宜に参照される。但し、この形態の内燃機関1は第3の形態と同様の液位の変動が生じる。即ち、内燃機関1は運転停止時から油面の上昇が収まった状態においてその液位がバランスシャフトギア12の下端(バランスシャフトギアと干渉する位置)を超える一方で、運転時において液位がバランスシャフトギア12の下端よりも低い位置となるようにオイル量及びバランサ装置10Cの配置位置がそれぞれ設定されている。従って、内燃機関1の運転停止後にオイル戻し穴13aが開いたままであると、オイルパン3内のオイルがオイル戻し穴13aからハウジング13内に流入し、バランスシャフト11やバランスシャフトギア12がオイルに浸る。
図11は、第5の形態のバランサ装置10Eの要部を模式的に示している。バランサ装置10Eはオイル戻し穴13aを開閉できる油量調整装置としての開閉機構20Eを備えている。なお、開閉機構20Eが備える構成のうち、図9と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。開閉弁41のアクチュエータ45は弁制御手段としての制御装置52と電気的に接続されいる。制御装置52には、開閉弁41の制御に必要な情報として、例えば機関回転数(回転速度)Neが入力される。なお、制御装置52は内燃機関1の運転状態を適正に制御するために設けられたエンジンコントロールユニット(ECU)と兼用させてもよいし、ECUと分離して独自に設けてもよい。
図12は、制御装置52が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。この制御ルーチンのプログラムは、制御装置52が内蔵するROM等の記憶手段に予め保持されており、記憶手段から適宜に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。制御装置52は、まずステップS51において、内燃機関1の回転速度Neが所定値Ne1以上か否かを判定する。この所定値Ne1は、バランスシャフトギア12の下端よりも液位が低くなる回転速度の下限値に設定される。例えば、内燃機関1が3000rpm以上になるとオイルパン3の液位がその下端よりも低くなる場合、所定値は3000rpmに設定される。従って、ステップS51を実行することにより、制御装置52は液位がバランスシャフトギア12と干渉する位置を超えるか否かを予測する予測手段として機能する。
ステップS51で所定値Ne1以上と判定した場合には、液位がバランスシャフトギア12の下端を超えないことが予測されるので、ステップS52に進みオイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁41を制御する。一方、ステップS51で所定値Ne1未満と判定した場合には、液位がその下端を超えることが予測されるので、ステップS53に進みオイル戻し穴13aが閉じられるように開閉弁41を制御する。
図12の制御を実行することにより、開閉機構20Eはオイルパン3内のオイル量の増加に応じてオイル戻し穴13aを閉じることができるので、バランスシャフトギア12の下端を超えるほどのハウジング13内へのオイルの流入を防止できる。また、アクチュエータ45は通電が停止されると弁体44がオイル戻し穴13aを閉じるように弁体44を動作させるので、内燃機関1の停止中にはオイル戻し穴13aが閉じられた状態に保持される。これにより、内燃機関1の停止時におけるハウジング13内のオイル量を低減でき、内燃機関1が停止している間にバランスシャフトギア12がオイルに浸かったままとなる事態を回避できる。
ところで、内燃機関1がある回転速度で定常運転されていた状態から回転速度がある範囲内まで上昇し、その範囲内における運転が所定時間以上続き、その後内燃機関がもとの定常運転に戻された場合、ある範囲内での運転が続いたことによりオイル中に混入する気泡量が増加することを原因として、オイルパン内の液位が回転速度上昇前よりも一時的に高くなる場合がある。そのような場合には、仮に、回転速度上昇前の定常運転時のオイルの液位が所定位置を超えないときでも、このような過程を経て回転速度が変化すると回転速度上昇前の状態に戻したときにオイルの液位がその所定位置を超えることがある。従って、内燃機関1の運転履歴によっては、回転速度だけで正確な液位を予測するのに不十分な場合もあり得る。そこで、制御装置52は次に説明する制御を実行することもできる。
図13は、制御装置52が実行する制御ルーチンの他の例を示したフローチャートである。この制御ルーチンのプログラムも図12の例と同様に、制御装置52が内蔵するROM等の記憶手段に予め保持されており、記憶手段から適宜に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。まず、制御装置52はステップS61において、内燃機関1の回転速度Neが所定範囲AR1内であるか否かを判定する。この所定範囲は本発明に係る所定回転速度範囲に相当する。具体的な範囲は内燃機関1に搭載されるオイル量等に応じて適宜に設定されるが、この例では所定範囲として5000rpm以上の回転速度範囲に設定されている。回転速度が所定範囲AR1内であると判定した場合にはステップS62に進み、所定範囲AR1内での積算運転時間ΣTが所定時間T1以上か否かを判定する。所定時間T1は上記所定範囲の設定内容を考慮して設定される。この例では所定時間T1は10秒に設定されている。
積算運転時間ΣTが所定時間T1以上であると判定した場合にはステップS63に進み、現在の回転速度Neが所定範囲AR1の下限値(5000rpm)よりも小さい所定値Ne2以下か否かを判定する。この所定値Ne2も上記の事情を考慮して適宜に設定すればよいが、この例では3500rpmに設定されている。所定値Ne2以下である場合にはステップS64に進み、オイル戻し穴13aが所定時間T2閉じられるように開閉弁41を制御し、続くステップS65でオイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁41を制御してルーチンを終了する。ステップS64の所定時間T2は、一時的に上昇した液位が回復する時間に設定される。この例では20秒が設定されている。
ステップS61〜ステップS63の全てで肯定判定されることにより、上述した一時的な液位上昇が予測される。即ち、液位がバランスシャフトギア12の下端を超えることが予測される。従って、これらの処理を制御装置52が実行することにより制御装置52が本発明に係る液位予測手段として機能する。
ステップS61又はステップS62で否定判定された場合には、ステップS66に進み、回転速度が所定値Ne3以下か否かを判定する。この所定値Ne3は、回転速度がそれ以上になるとバランスシャフトギア12の下端を下回るような値に設定される。この例では所定値Ne3が2000rpmに設定される。ステップS66で所定値Ne3以下であると判定したときは、液位がバランスシャフトギア12の下端を超えることが予測されるのでステップS67に進んで、オイル戻し穴13aが閉じられるように開閉弁41を制御して今回のルーチンを終える。一方、ステップS66で所定値Ne3を超える場合には液位がバランスシャフトギア12の下端を超えないことが予測されるので、ステップS65に進み、オイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁41を制御して今回のルーチンを終了する。ステップS61又はステップS62を実行した後にステップS66を実行することにより、制御装置52は本発明に係る液位予測手段として機能する。また、ステップS63で否定判定された場合にも、ステップS64をスキップしてステップS65に進み、オイル戻し穴13aが開かれるように開閉弁41を制御して今回のルーチンを終える。
図13の制御を実行することにより、開閉機構20Eは上記と同様の効果を発揮できるとともに、以上のような過程を経て回転速度が変化した場合にオイルの液位がバランスシャフトギア12の下端を超えると予測するので、回転速度のみに基づいて液位を予測する形態と比べてハウジング13内へのオイルの流入を確実に防止できるようになる。
本発明は以上の形態に限定されず、種々の形態にて実施してよい。第2の形態の開閉機構は、内燃機関1の停止を機関回転数Neに基づいて判定しているが、例えば、図9に示した第4の形態と同様に、オイルパン3内に液位センサを設け、その液位センサからの情報に基づいてオイル戻し穴13aが開閉されるように、開閉弁26を制御することもできる。こうすることで、開閉機構がオイルパン内のオイル量の変動に応じてオイル戻し穴を開閉できるように構成されるので、オイルパン内のオイル量の増加に応じてオイル戻し穴を開くことができ、第1の形態の開閉機構と同様のオイル戻し穴の開閉動作を実現することができる。
1 内燃機関
3 オイルパン
10A〜10E バランサ装置
11 バランスシャフト
12 バランスシャフトギア
13 バランスシャフトハウジング
13a オイル戻し穴
20A〜20E 開閉機構
21 開閉部材
22 蓋部材
23 操作部材
26、41 開閉弁(弁手段)
27、42、52 制御装置(弁制御手段、停止判定手段、液位予測手段)
3 オイルパン
10A〜10E バランサ装置
11 バランスシャフト
12 バランスシャフトギア
13 バランスシャフトハウジング
13a オイル戻し穴
20A〜20E 開閉機構
21 開閉部材
22 蓋部材
23 操作部材
26、41 開閉弁(弁手段)
27、42、52 制御装置(弁制御手段、停止判定手段、液位予測手段)
Claims (9)
- バランスシャフトを駆動するバランスシャフトギアを囲い、かつ内燃機関のオイルパン内に配置されたバランスシャフトハウジングを備えた内燃機関のバランサ装置において、
前記内燃機関の停止時における前記バランスシャフトハウジング内のオイル量が低減するように、前記バランスシャフトハウジング内のオイルを排出する油量調整装置を備えることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。 - 前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、
前記油量調整装置として、前記オイル戻し穴を開閉可能で、かつ前記内燃機関の停止時に前記オイル戻し穴を開く開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。 - 前記開閉機構は、前記オイルパン内のオイル量の変動に応じて前記オイル戻し穴を開閉できるように構成されており、前記オイルパン内のオイル量の増加に応じて前記オイル戻し穴を開くことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバランサ装置。
- 前記開閉機構は、前記オイル戻し穴を閉じることが可能な蓋部材と、前記蓋部材に連結されるとともに、前記バランスシャフトハウジングの外部に引き出されて前記オイルパン内に配置され、かつ前記オイルパン内のオイルの比重よりも比重が小さくなるように構成された操作部材と、を有した開閉部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のバランサ装置。
- 前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、
前記油量調整装置として、前記オイル戻し穴を開閉可能な弁手段と、前記内燃機関の停止を判定する停止判定手段と、前記停止判定手段が前記内燃機関の停止を判定した場合に前記オイル戻し穴が開かれるように前記弁手段を制御する弁制御手段と、を備える開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。 - 前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、
前記油量調整装置として、前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置に満たない場合に前記オイル戻し穴が開かれ、かつ前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置を超えている場合に前記オイル戻し穴が閉じられるように構成された開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。 - 前記バランスシャフトハウジングには、内部に溜ったオイルを前記オイルパンへ排出するためのオイル戻し穴が形成されており、
前記油量調整装置として、前記オイル戻し穴を開閉可能な弁手段と、前記内燃機関の回転速度を考慮して前記オイルパン内のオイルの液位が前記バランスシャフトギアと干渉する位置を超えるか否かを予測する液位予測手段と、オイルの液位が前記位置を超えると前記液位予測手段が予測した場合に前記オイル戻し穴が閉じられ、かつオイルの液位が前記位置を超えないと前記液位予測手段が予測した場合に前記オイル戻し穴が開かれるように前記弁手段を制御する弁制御手段と、を備える開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。 - 前記液位予測手段は、前記内燃機関の所定回転速度での積算運転時間を考慮して前記オイルパン内のオイルの液位が前記位置を超えるか否かを予測することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関のバランサ装置。
- 前記液位予測手段は、前記積算運転時間が所定時間以上となり、その後前記内燃機関の回転速度が前記所定回転速度範囲の下限値よりも小さい所定値以下となったことを条件として、前記オイルパン内のオイルの液位が前記位置を超えると予測することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関のバランサ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006207884A JP2008032157A (ja) | 2006-07-31 | 2006-07-31 | 内燃機関のバランサ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006207884A JP2008032157A (ja) | 2006-07-31 | 2006-07-31 | 内燃機関のバランサ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008032157A true JP2008032157A (ja) | 2008-02-14 |
Family
ID=39121803
Family Applications (1)
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JP2006207884A Pending JP2008032157A (ja) | 2006-07-31 | 2006-07-31 | 内燃機関のバランサ装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008032157A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102699128A (zh) * | 2012-06-07 | 2012-10-03 | 中国重型机械研究院有限公司 | 一种回油装置 |
JP2017096388A (ja) * | 2015-11-24 | 2017-06-01 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関のバランサ装置 |
-
2006
- 2006-07-31 JP JP2006207884A patent/JP2008032157A/ja active Pending
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CN102699128A (zh) * | 2012-06-07 | 2012-10-03 | 中国重型机械研究院有限公司 | 一种回油装置 |
JP2017096388A (ja) * | 2015-11-24 | 2017-06-01 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関のバランサ装置 |
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