JP2017096388A - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルパン内に油没するように設けられても、オイルの撹拌抵抗を低減できると共にオイル交換時にハウジング内のオイルを確実に抜き取ることができる内燃機関のバランサ装置を提供する。【解決手段】バランサハウジング14が、エンジン1運転時のオイルパン6の油面6oよりも高い位置に形成され、バランサシャフト12の回転によってギヤが掻き上げるオイルを外部に排出するためのオイル排出孔49と、エンジン1運転時のオイルパン6の油面6oよりも低い位置に形成されたドレーン孔36と、ドレーン孔36における外圧が内圧よりも高い時にドレーン孔36を閉塞し、少なくとも36ドレーン孔における内圧が外圧よりも高い時にドレーン孔36を開放する一方向弁60とを有する構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の2次振動を打ち消すバランサ装置に関する。
自動車等に搭載されるレシプロエンジン(以下、単にエンジンと記す)では、ピストンが発生する2次振動を打ち消すために、それぞれアンバランスウェイト(バランサウェイト)を有する2本のバランサシャフトを互いにギヤ結合されるように配置し、動力伝達機構を介してクランクシャフトによって一方の駆動バランサシャフトを回転駆動し、ギヤを介して駆動バランサシャフトによって他方の従動バランサシャフトを反対方向に等速度で回転駆動するようにしたバランサ装置がオイルパンの内部に設けられることがある。
このようなバランサ装置として、バランサシャフトによるオイルの撹拌抵抗を低減させるために、オイルパンに貯留されたオイルが流入しないようにハウジングを構成し、バランサシャフトの潤滑に供された後にハウジング内に溜まるオイルを、ハウジング(ギヤのカバー部材)の上部に形成したオイル排出通路からバランサシャフトのギヤの回転によって外部に排出するようにしたバランサ装置が公知である(特許文献1参照)。
ところで、ハウジングがこのように構成されると、エンジン停止中にバランサシャフトのギヤがオイルに浸かったままになり、エンジン始動時にオイルの撹拌抵抗がスタータモータの負荷になる。これを解決するため、エンジン停止中のハウジング内の油量を低減させるように、ハウジング内のオイルを排出する油量調整装置を備えたバランサ装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2には、油量調整装置として、ハウジングの底部にオイル戻し孔が形成され、開閉部材を利用してオイル戻し孔を開閉する開閉機構が開示されている。この開閉機構によれば、オイルパン内のオイルの油面が上昇すると、浮力により開閉部材が上方に押し上げられることによってオイル戻し孔が開かれ、油面が下降すると、開閉部材の自重によってオイル戻し孔が閉じられる。
特開2000−104790号公報 特開2008−32157号公報
しかしながら、特許文献2の油量調整装置は、バランサ装置がオイルパンの油面よりも高い位置に設けられることを前提にしている。従って、バランサ装置が油没するようにオイルパン内に設けられる場合には、エンジン運転時(運転中)にオイル戻し孔が開いた状態になり、ハウジング内に浸入するオイルによって撹拌抵抗が増大する。その上、エンジン停止中にもオイル戻し孔が開いているため、ハウジング内にオイルパンと同じ油面のオイルが残った状態になり、エンジン始動時のオイルの撹拌抵抗を低減することもできない。
更に、オイル交換時にオイルパン内のオイルを抜き取る際には、油面の低下が早いと、ハウジング内にオイルが残った状態でオイル戻し孔が閉じられ、ハウジング内のオイルを抜き取ることができない。オイル交換時に抜き取れないオイルの量が多いと、古いオイルに含まれる煤が摺動部の磨耗の原因になるため好ましくない。
本発明は、このような背景に鑑み、オイルパン内に油没するように設けられても、オイルの撹拌抵抗を低減できると共にオイル交換時にハウジング内のオイルを確実に抜き取ることができる内燃機関のバランサ装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明に係る内燃機関(1)のバランサ装置(10)は、互いに平行且つ水平に配置され、互いに噛み合うギヤ(12Ld、12Ud)及びアンバランスウェイト(12Lc、12Uc)を有する一対のバランサシャフト(12L、12U)と、少なくとも前記ギヤ及び前記アンバランスウェイトを収容する室(32、33)を内部に画成し、当該室の下部が機関運転時のオイルパン(6)の油面(6o)よりも低くなるように前記オイルパンの内部に配置されたバランサハウジング(14)とを備え、前記バランサハウジングが、機関運転時の前記オイルパンの油面よりも高い位置に形成され、前記バランサシャフトの回転によって前記ギヤが掻き上げるオイルを外部に排出するためのオイル排出孔(49)と、機関運転時の前記オイルパンの油面よりも低い位置に形成されたドレーン孔(36)と、前記ドレーン孔における外圧が内圧よりも高い時に前記ドレーン孔を閉塞し、少なくとも前記ドレーン孔における内圧が外圧よりも高い時に前記ドレーン孔を開放する一方向弁(60)とを有する構成とする。
この構成によれば、機関運転時にはバランサハウジング内のオイルがギヤにより掻き上げられてオイル排出孔から排出され、バランサハウジングの油面がオイルパンの油面よりも低くなることにより、ドレーン孔における内圧が外圧よりも低くなって一方向弁がドレーン孔を閉塞する。そのため、ドレーン孔からバランサハウジング内にオイルが浸入することがなく、機関運転時のオイルの撹拌抵抗を低減できる。また、オイル交換時には、バランサハウジングの油面の低下に伴って一方向弁がドレーン孔を開放するため、ドレーン孔から排出されるバランサハウジング内のオイルを抜き取ることができる。
また、上記の発明において、前記ドレーン孔(36)が、概ね水平に延在するように前記バランサハウジング(14)に形成され、外方側ほど断面積が大きな円錐台形状のテーパ孔(36a)を含み、前記一方向弁が、前記テーパ孔の内部に軸線方向に移動可能かつ脱落不能に設けられた球状の弁体(61)を含む構成とするとよい。
この構成によれば、ドレーン孔における内外圧差に応じてドレーン孔を開閉する一方向弁を簡易かつ耐久性の高い構成により実現できる。また、ドレーン孔がテーパ孔を含むことから、リード弁等に比べて耐久性の高い球状の弁体を含む一方向弁を、高いシール性をもって実現できる。
また、上記の発明において、前記バランサハウジング(14)が、一対の前記バランサシャフトを軸支すると共に前記室を区分する軸受壁(28)と、前記軸受壁の下部を貫通するように形成され、区分された複数の前記室(32、33)を連通させる連通路(35)とを更に備え、前記ドレーン孔(36)が、前記バランサハウジングにおける前記連通路の延長線上に形成された構成とするとよい。
この構成によれば、バランサハウジングにより画成される室が軸受壁によって区分されていても、連通路を介してオイルが室間を移動できるため、オイル排出孔やドレーン孔、一方向弁を室ごとに設ける必要がなく、より簡易な構成にすることができる。また、ドレーン孔が連通路の延長線上に形成されるため、加工を共通化できる上、オイル交換時には連通路に集まったオイルがドレーン孔から外部に排出され、バランサハウジング内からより多くのオイルを抜き取ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る内燃機関(1)のバランサ装置(10)は、互いに平行且つ水平に配置され、互いに噛み合うギヤ(12Ld、12Ud)及びアンバランスウェイト(12Lc、12Uc)を有する一対のバランサシャフト(12L、12U)と、少なくとも前記ギヤ及び前記アンバランスウェイトを収容する室(32、33)を内部に画成し、当該室の下部が機関運転時のオイルパン(6)の油面(6o)よりも低くなるように前記オイルパンの内部に配置されたバランサハウジング(14)とを備え、前記バランサハウジングが、機関運転時の前記オイルパンの油面よりも高い位置に形成され、前記バランサシャフトの回転によって前記ギヤが掻き上げるオイルを外部に排出するためのオイル排出孔(49)と、機関運転時の前記オイルパンの油面よりも低い位置に形成されたドレーン孔(36)と、前記オイルパンの油面が比較的高い時に前記ドレーン孔を閉塞し、前記オイルパンの油面が比較的低い時に前記ドレーン孔を開放するフロート弁(70)とを有する構成とするとよい。
この構成によれば、機関運転時にはバランサハウジング内のオイルがギヤにより掻き上げられてオイル排出孔から排出され、一方向弁がドレーン孔を閉塞した状態が維持される。そのため、ドレーン孔からバランサハウジング内にオイルが浸入することがなく、機関運転時のオイルの撹拌抵抗を低減できる。また、オイル交換時には、バランサハウジングの油面の低下に伴って一方向弁がドレーン孔を開放するため、ドレーン孔から排出されるバランサハウジング内のオイルを抜き取ることができる。
また、上記の発明において、前記バランサハウジング(14)が、一対の前記バランサシャフトを軸支すると共に前記室を区分する軸受壁(28)と、前記軸受壁の下部を貫通するように形成され、区分された複数の前記室(32、33)を連通させる連通路(35)とを更に備え、前記ドレーン孔(36)が、前記バランサシャフトの軸方向視において前記連通路の下方に形成された構成とするとよい。
この構成によれば、バランサハウジングにより画成される室が軸受壁によって区分されていても、連通路を介してオイルが室間を移動できるため、オイル排出孔やドレーン孔、フロート弁を室ごとに設ける必要がなく、より簡易な構成にすることができる。また、ドレーン孔が連通路の下方に形成されるため、オイル交換時には連通路に集まったオイルがドレーン孔から外部に排出され、バランサハウジング内からより多くのオイルを抜き取ることができる。
このように本発明によれば、オイルパン内に油没するように設けられても、オイルの撹拌抵抗を低減できると共にオイル交換時にハウジング内のオイルを確実に抜き取ることができる内燃機関のバランサ装置を提供することができる。
実施形態に係るエンジン下部をロアバランサシャフトに沿って示す断面図 図1に示すバランサ装置の拡大図 図2中のIII−III線に沿う断面図 図2に示すバランサ装置を上方から見た斜視図 図2中のV部の拡大図 図5中のVI−VI断面図 バランサ装置の動力伝達経路を示す図3に対応する説明図 図2中のVIII−VIII線に沿う断面図 図2中のIX−IX線に沿う断面図 図3中のX部の拡大図 (A)エンジン運転時、(B)オイル交換時における油面の課題の説明図 図2中のXII部の拡大図 (A)エンジン運転時、(B)エンジン停止中、(C)オイル抜取時における油面の説明図 他の実施形態に係るバランサ装置における図2に対応する断面図 図14中のXV部の拡大図 図14に示すバランサ装置による図13に対応する油面の説明図
以下、図面を参照して、本発明に係るバランサ装置10を、直列4気筒自動車用エンジン(以下、単にエンジン1と記す。)に適用した実施形態について詳細に説明する。
図1に示されるように、エンジン1は、クランクシャフト2を水平方向横向きに延在させた直列4気筒エンジンであり、シリンダ軸線X(図8、9参照)を後方に傾斜させた姿勢で自動車に搭載される。上下の方向はエンジン1が自動車に搭載された状態で定まるが、シリンダ軸線Xの傾斜角度は45度以下に設定されており、シリンダ軸線Xが水平方向よりも鉛直方向に近いため、以下では、便宜上シリンダ軸線X方向を上下として説明することがある。また、図1中にもシリンダ軸線X方向を上下と記している。クランク軸線はシリンダ軸線Xに直交して水平に延在しており、この方向が左右となる。左右の方向は図1の紙面を基準とし、自動車の進行方向を基準とした場合の逆になることに注意されたい。
エンジン1は、シリンダを形成すると共に下部にスカート部を有するアッパブロック3や、アッパブロック3の下部に結合され、アッパブロック3のスカート部と協働してクランク室4を画成するロアブロック5、ロアブロック5の下部に結合され、クランク室4の下方にオイル溜まりを画成するオイルパン6、ロアブロック5の下部に結合され、オイルパン6の内部に配置されるバランサ装置10等を備えている。以下、アッパブロック3とロアブロック5とを併せてシリンダブロック7と称する。
クランクシャフト2は、シリンダ内に摺動自在に設けられた図示しないピストンのピストンピンとコンロッド8を介して連結される4つのクランクピン2a(以下、左側から順に第1〜第4クランクピン2aと称する)や、クランクピン2aを挟む位置に設けられた5つのジャーナル2b(以下、左側から順に第1〜第5ジャーナル2bと称する)、ジャーナル2bとクランクピン2aとを連結するクランクアーム2c、クランクアーム2cにクランクピン2aと相反する側に一体形成されたカウンタウェイト2d等を備えている。第1及び第4クランクピン2aは同位相の位置に配置され、第2及び第3クランクピン2aは、第1及び第4クランクピン2aと位相が180度異なる同位相の位置に配置されている。
クランクシャフト2の第1及び第5ジャーナル2bを軸支する支持壁はシリンダブロック7の左壁及び右壁により構成され、第2〜第4ジャーナル2bを軸支する支持壁はクランク室4内に設けられた隔壁により構成されている。
クランクシャフト2の左端は、第1ジャーナル2bから更に左方に延出し、シリンダブロック7の左壁から突出している。この突出した部分には、図示しないカムシャフトを駆動するための比較的小径の小スプロケット2e及びバランサ装置10を駆動するための比較的大径の大スプロケット2f(ドライブスプロケット)が第1ジャーナル2b側からこの順に固定されている。大スプロケット2fの外側にはクランクシャフト2を貫通させるようにチェーンケース9が設けられている。チェーンケース9の外側に位置するクランクシャフト2の左端には、エンジン1の補機を駆動するためのクランクプーリ2gが固定されている。
バランサ装置10は、ピストンの往復運動に起因して発生するエンジン1の2次振動を低減すべく、4本のシリンダ軸線Xを通る平面上に中心を合わせてシリンダブロック7に固定され、オイルパン6の内部で油没している。
図2及び図3に示されるように、バランサ装置10は、それぞれクランクシャフト2よりも低い位置でクランクシャフト2と平行に配置された前後一対のバランサシャフト12(12L、12U)を備えている。一対のバランサシャフト12は、シリンダ軸線X方向を基準として同じ高さに配置されている。シリンダ軸線Xが後方に傾斜していることから、後側のバランサシャフト12は前側のバランサシャフト12よりも低い位置に配置される(図9参照)。以下、低い位置に配置された後側のバランサシャフト12をロアバランサシャフト12Lと称し、高い位置に配置された前側のバランサシャフト12をアッパバランサシャフト12Uと称する。
ロアバランサシャフト12Lの左方には、後述するドリブンスプロケット13aが固定された一端を有し、クランクシャフト2の駆動力が入力するインプットシャフト13が配置されている。インプットシャフト13とロアバランサシャフト12Lとは、互いに相対回転可能に同軸に配置されている。これら2本のバランサシャフト12L、12U及びインプットシャフト13は、バランサハウジング14によって軸支されると共に、ドリブンスプロケット13aを外部に配置する態様でバランサハウジング14内に収容されている。
バランサハウジング14は、両バランサシャフト12L、12Uの軸心(回転中心)を通る平面に沿って上下に2分割された概ね箱状のアッパハウジング14U及びロアハウジング14Lを備えている。アッパハウジング14U及びロアハウジング14Lは、互いに組み付けられた状態で右側壁に開口を形成する形状とされている。この開口は、後述するジャーナル軸受21〜25の加工時に必要なものであり、組み付け時には周縁にシール部材を設けたハウジングプレート14Pによって閉塞される。
図3及び図4に示されるように、バランサハウジング14は、適所に設けられたボルト挿通孔14a(本実施形態では、図3に示される6箇所)に下方から挿通される通しボルトB1によってロアブロック5の下面に締結される。
図2及び図3に戻り、バランサハウジング14には、アッパハウジング14U及びロアハウジング14Lにそれぞれ形成された半割りの軸受によって構成される5つのジャーナル軸受21〜25が形成されている。第1〜第3ジャーナル軸受21〜23はロアバランサシャフト12Lの軸線(軸心及びその延長線)上に左から順に配置され、第4及び第5ジャーナル軸受24、25は、アッパバランサシャフト12Uの軸心上に左から順に配置されている。なお、本明細書において、軸受について「軸線(又は軸心)上に配置されている」とは、軸線(又は軸心)と同軸に軸線(又は軸心)周りに配置されているという意味である。
第1ジャーナル軸受21は、バランサハウジング14の左端に形成されている。第1ジャーナル軸受21は、アッパハウジング14Uにおいては連続した1つの軸受の如く形成される一方、ロアハウジング14Lにおいては軸線方向の中間部に設けられた軸受周方向溝21aによって左右に分断されている。以下、ロアハウジング14Lにおける第1ジャーナル軸受21の左側部分を左半第1ジャーナル軸受21Lと称し、右側部分を右半第1ジャーナル軸受21Rと称する。第1ジャーナル軸受21は、インプットシャフト13を取り囲む筒状(図4参照)の第1軸受壁26として構成されている。
第4ジャーナル軸受24及び第5ジャーナル軸受25は、それぞれ第2ジャーナル軸受22及び第3ジャーナル軸受23と左右方向について同一の位置においてこれらの前方に配置されている。第2ジャーナル軸受22と第4ジャーナル軸受24とは、前後方向に連続する一体の第2軸受壁27として構成され、第3ジャーナル軸受23と第5ジャーナル軸受25とは、前後方向に連続する一体の第3軸受壁28として構成される。第1軸受壁26の幅(軸方向寸法。以下同じ。)は、第2軸受壁27及び第3軸受壁28の幅よりも大きく、第3軸受壁28の幅は、第2軸受壁27の幅よりも大きくされている。
図3及び図4に示されるように、アッパハウジング14U及びロアハウジング14Lは、適所に配置された複数のボルト孔14bに挿入される複数のボルトB2によって互いに締結される。なお、ボルト孔14bは、アッパハウジング14Uにおいてはアッパハウジング14Uを貫通する挿通孔として構成され、ロアハウジング14LにおいてはボルトB2を螺着させる雌ねじ孔として構成され、ボルトB2は上からボルト孔14bに挿入される。後述する油路が接続する雌ねじ孔は有底とされている。
図2及び図3に示されるように、インプットシャフト13は、バランサハウジング14から左方に突出するように設けられ、クランク軸線方向において大スプロケット2fと対応する位置に配置された突出端に上記のドリブンスプロケット13aが固定される。また、インプットシャフト13には、ドリブンスプロケット13aの右方近傍に第1ジャーナル13b(13bL、13bR)が形成され、右端に第2ジャーナル13cが形成されている。インプットシャフト13の第1ジャーナル13bは、第1ジャーナル軸受21によって軸支され、第2ジャーナル13cは、第2ジャーナル軸受22によって軸支される。
第1ジャーナル13bは、軸方向の中央に形成されたジャーナル周方向溝13fによって左右に分割されている。ジャーナル周方向溝13fは、第1ジャーナル軸受21の下半(ロアハウジング14L)に形成された軸受周方向溝21aに軸方向に対応する位置に、軸受周方向溝21aと概ね同じ幅をもって形成されている。以下、第1ジャーナル13bにおけるジャーナル周方向溝13fの左側部分を左半第1ジャーナル13bLと称し、右側部分を右半第1ジャーナル13bRと称する。ロアハウジング14Lにおいて、インプットシャフト13の左半第1ジャーナル13bLは左半第1ジャーナル軸受21Lによって軸支され、右半第1ジャーナル13bRは右半第1ジャーナル軸受21Rによって軸支される。
クランクシャフト2の大スプロケット2f及びインプットシャフト13のドリブンスプロケット13aにはローラチェーン15が巻き掛けられる。即ち、大スプロケット2f、ローラチェーン15及びドリブンスプロケット13aにより、クランクシャフト2の回転力をインプットシャフト13に伝達する巻き掛け式の第1伝動機構16が構成される。ドリブンスプロケット13aは大スプロケット2fに比べて小径に形成されている。インプットシャフト13は第1伝動機構16によってクランクシャフト2よりも高速にクランクシャフト2と同方向に回転する。
インプットシャフト13の第1ジャーナル13bの右方には拡径する鍔状のスラストプレート13d(カラー)が一体形成され、スラストプレート13dの右方(スラストプレート13dと第2ジャーナル13cとの間)には比較的大径の第1ヘリカルギヤ13eが固定されている。スラストプレート13dの両面(インプットシャフト13の軸方向の両端面)は、後述するようにインプットシャフト13のスラスト荷重をバランサハウジング14に伝達するスラスト面になる。
バランサハウジング14のスラストプレート13dに対応する位置には、スラストプレート13dの少なくとも周縁部を受容すると共に、少なくとも一部においてスラストプレート13dの両面から伝達されるスラスト荷重を支持するスラスト軸受を形成するための溝14c(14Uc、14Lc)が環状に形成されている。
図1のV部の拡大図である図5に示されるように、この溝14cは、アッパハウジング14Uにおいて、スラストプレート13dよりも広い幅を有し、スラストプレート13dを非接触状態で受容する受容溝14Ucとして半円弧状に形成される。一方、ロアハウジング14Lにおいては、溝14cは、スラストプレート13dと略同一の幅を有し、スラストプレート13dの両面と面接触状態で薄い流体膜を介してインプットシャフト13のスラスト荷重を支持する一対のスラスト軸受面14d、14dを形成するスラスト軸受溝14Lcとして半円弧状に形成される。即ち、ロアハウジング14Lのスラスト軸受溝14Lcが形成された壁部がインプットシャフト13のスラスト軸受を構成する。
上記のようにローラチェーン15により回転駆動されるインプットシャフト13には、被駆動部であるドリブンスプロケット13aに上向きの力Fが加わる。そのため、インプットシャフト13の第1ジャーナル13b(13bL、13bR)がアッパハウジング14Uの第1ジャーナル軸受21に軸方向に重なる部分の幅(a+b)は、第1ジャーナル13bがロアハウジング14Lの第1ジャーナル軸受21に軸方向に重なる部分の幅(c+d)よりも大きくなっている。つまり、第1ジャーナル軸受21の下部が、軸受面に形成された軸受周方向溝21aによって軸方向に2分割されることにより、力Fが加わらない第1ジャーナル軸受21の下部において、第1ジャーナル13bの第1ジャーナル軸受21に対する摺動抵抗が低減している。
また、ロアハウジング14Lの左半第1ジャーナル軸受21L及び右半第1ジャーナル軸受21Rのそれぞれに軸受面には、軸方向の中間部に半円形状の給油溝21bが形成されている。そのため、第1ジャーナル13bがロアハウジング14Lに摺接する部分の幅は、上記重なる部分の幅(c+d)よりも小さくなっている。これにより、力Fが加わらない第1ジャーナル軸受21の下部において、第1ジャーナル13bの第1ジャーナル軸受21に対する摺動抵抗が更に低減する。また、力Fが加わる第1ジャーナル軸受21の上部では、軸方向寸法が小さく維持されたまま大きな軸受面積が確保されている。これにより、第1ジャーナル軸受21は、上部において力Fに応じた必要な軸受幅を確保しつつ軸方向に小型化される。
図5及び図6に示されるように、ロアハウジング14Lにおける左半第1ジャーナル軸受21Lと右半第1ジャーナル軸受21Rとの間には、バランサ装置10の組み付け時に各シャフト12、13が回転しないように、図示しないピンを挿入してインプットシャフト13を固定するためのピン挿入孔14eが形成されている。ピン挿入孔14eは、第1ジャーナル軸受21を径方向に貫通し、軸受周方向溝21aの底部において第1ジャーナル軸受21の軸受孔に開口している。第1ジャーナル軸受21の下面には、ピン挿入孔14eの開口を囲繞するように下方に突出する環状突出部14fが形成されており、ピン挿入孔14eが下方に延長されている。
インプットシャフト13におけるピン挿入孔14eに軸方向に対応する位置には、径方向に延在するピン差込孔13gが形成されている。ピン差込孔13gは、ジャーナル周方向溝13fの底部に開口するように第1ジャーナル13bに形成されており、本実施形態では有底孔とされている。他の実施形態では、ピン差込孔13gが第1ジャーナル13bを径方向に貫通していてもよい。
ピン差込孔13gを加工する際にはピン差込孔13gの周囲にバリが生じ得る。ピン差込孔13gの周囲に生じたバリが第1ジャーナル軸受21に接触すると、インプットシャフト13の第1ジャーナル13b部分の摺動摩擦が増大するが、ピン差込孔13gがジャーナル周方向溝13fの底部に開口しているため、バリが第1ジャーナル軸受21に接触することはない。これにより、インプットシャフト13の摺動摩擦の増大が抑制されている。
バランサ装置10の組み付け時には、ピン差込孔13gをピン挿入孔14eに合わせた状態で図示しないピンが下方から挿入されることによって各シャフト12、13の回転が規制される。つまり、ピン挿入孔14eは、バランサハウジング14に対するシャフト12、13の位置決め及び固定用の孔である。ピン挿入孔14eにピンが挿入された状態で、図1に示される回転角度に調整されたクランクシャフト2の大スプロケット2fとバランサ装置10のドリブンスプロケット13aとにローラチェーン15が巻き掛けられる。これにより、バランサ装置10はエンジン1の2次振動を打ち消すタイミングで慣性力を発生するようになる。
このように、インプットシャフト13の第1ジャーナル13bにピン差込孔13gが形成され、バランサハウジング14の第1ジャーナル軸受21におけるピン差込孔13gに軸方向に対応する位置にピン挿入孔14eが形成されたことにより、ピン挿入孔14eから内部に進入するオイルは左半第1ジャーナル13bL及び右半第1ジャーナル13bRによって堰き止められる。これにより、オイルがピン挿入孔14eを通ってバランサハウジング14内のヘリカルギヤ12Ld、12Ud、12Ue、13e(図3)を収容する部分に浸入することが防止され、オイルの撹拌抵抗の増大が抑制される。
また、第1ジャーナル軸受21の下部においては、軸受周方向溝21aの底部に開口するようにピン挿入孔14eが形成されることにより、上記のように第1ジャーナル13bの第1ジャーナル軸受21に対する摺動抵抗が低減するだけでなく、第1ジャーナル13bの軸受隙間から流出するオイルのピン挿入孔14eからの排出が促進され、第1ジャーナル13bのオイルに対する摺動抵抗も低減する。つまり、ピン挿入孔14eは下方に向けて開口しているため、オイルパン6にオイルが充填された後にも軸受周方向溝21a内の空気は逃げられず、軸受周方向溝21a内に留まって空気溜まりを形成する。その結果、第1ジャーナル13bの軸受隙間から流出するオイルは重力によって空気中を流れ落ちてピン挿入孔14eから排出されることになる。そのため、軸受周方向溝21a内では第1ジャーナル13bが空気中で回転している状態となり、オイル中で回転する場合に比べて摺動抵抗が小さくなる。
そして、ピン挿入孔14eを延長させる環状突出部14fが形成され、空気溜まりの層が厚くなることから、車両旋回時等の油面変化時にも空気の流出、即ちオイルの浸入が抑制される。また、環状突出部14fは、ピン挿入孔14eの形成によって剛性が低下したピン挿入孔14e周辺の補強リブとしても機能する。
図2及び図3に戻って説明を続ける。両バランサシャフト12L、12Uは、それぞれ第2及び第4ジャーナル軸受22、24に対応する位置に形成された第1ジャーナル12La、12Uaと、第3及び第5ジャーナル軸受23、25に対応する位置に形成された第2ジャーナル12Lb、12Ubとを備えている。また、両バランサシャフト12L、12Uは、それぞれ第2ジャーナル12Lb、12Ubの左右両側に設けられ、回転中心から径方向外側に重心位置を偏倚させた実質的に同一形状の左右一対のバランサウェイト12Lc・12Lc、12Uc・12Ucと、左側のバランサウェイト12Lc、12Ucと第1ジャーナル12La、12Uaとの間に固定された第1ヘリカルギヤ12Ld、12Udとを備えている。
第2ジャーナル軸受22は、インプットシャフト13の第2ジャーナル13c及びロアバランサシャフト12Lの第1ジャーナル12Laの両方を軸支している。インプットシャフト13の第2ジャーナル13c及びロアバランサシャフト12Lの第1ジャーナル12Laは、同程度の長さとされ、第2ジャーナル軸受22の長さ方向の中間位置において若干の隙間を空けて対峙するように配置されている。従って、ロアバランサシャフト12Lの第1ジャーナル12Laは、アッパバランサシャフト12Uの第1ジャーナル12Uaの長さの半分程度の長さとなっている。
左右のバランサウェイト12Lc、12Uc間の第2ジャーナル12Lb、12Ubを軸支する第3ジャーナル軸受23及び第5ジャーナル軸受25には、軸受メタル29が配置されている。
両バランサシャフト12L、12Uにおいては、左右一対のバランサウェイト12Lc、12Ucの互いに対向する部分が第2ジャーナル12Lb、12Ubに対して拡径された鍔状とされており、この鍔状部分の対向する内面が第3軸受壁28にスラスト力を伝達するスラスト面になっている。つまり、第3及び第5ジャーナル軸受23、25を形成する第3軸受壁28が両バランサシャフト12L、12Uの軸方向荷重を支持するスラスト軸受を兼ねている。
ロアバランサシャフト12Lは、上記のように第1ジャーナル12Laが左端を構成している。一方、アッパバランサシャフト12Uは、第1ジャーナル12Uaから更に左方に延出しており、この延出した部分にはインプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eと互いに噛み合う第2ヘリカルギヤ12Ueが固定されている。即ち、これらの第1ヘリカルギヤ13e及び第2ヘリカルギヤ12Ueにより、インプットシャフト13の回転力をアッパバランサシャフト12Uに伝達する第2伝動機構17が構成される。これにより、アッパバランサシャフト12Uはインプットシャフト13と逆方向に回転する。なお、アッパバランサシャフト12Uの第2ヘリカルギヤ12Ue及び第1ヘリカルギヤ12Udのねじれの向きは同一とされており、これによってアッパバランサシャフト12Uの軸方向荷重が小さくなっている。
そして、アッパバランサシャフト12Uの第1ヘリカルギヤ12Ud及びロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldは互いに噛み合っており、これらの第1ヘリカルギヤ12Ud、12Ldにより、アッパバランサシャフト12Uの回転力をロアバランサシャフト12Lに伝達する第3伝動機構18が構成される。第3伝動機構18をなすこれらの第1ヘリカルギヤ12Ud、12Ldは、同一径及び同一歯数とされており(増速ギヤ比=1)、両バランサシャフト12L、12Uは、互いに相反する方向に同一回転速度(角速度)で回転する。
このように、バランサハウジング14は、オイルの撹拌によるフリクションの増大を抑制するために、ドリブンスプロケット13aが設けられるインプットシャフト13の端部を除き、各シャフト12L、12R、13の少なくともヘリカルギヤ12Ld、12Ud、12Ue、13e及びバランサウェイト12Lc、12Ucを覆うように各シャフト12L、12R、13を収容しており、ピン挿入孔14e及び後述するオイル排出孔43、49以外からはオイルが浸入できない液密構造となっている。
第1伝動機構16及び第2伝動機構17の増速比は、両バランサシャフト12L、12Uがクランクシャフト2の2倍の回転速度となるように設定されている。具体的には、本実施形態では、第1伝動機構16のチェーン増速比は4/3に設定され、第2伝動機構17の増速ギヤ比は3/2に設定され、第1伝動機構16と第2伝動機構17とを合わせた機構の増速比が2となっている。
従って、クランクシャフト2の回転速度を1とした場合、インプットシャフト13の回転速度は4/3(クランクシャフト2と同方向)、ロアバランサシャフト12Lの回転速度は2(クランクシャフト2と同方向)となり、ロアバランサシャフト12Lのインプットシャフト13に対する相対回転速度(即ち、軸受であるインプットシャフト13の第2ジャーナル13cに対するロアバランサシャフト12Lの第1ジャーナル12Laの回転速度)は2/3(=2−4/3)となる。なお、回転速度比は3/2(=2/(4/3)である。
また、ドリブンスプロケット13aの直径及び丁数(歯数)は大スプロケット2f(図1)の直径及び丁数の3/4倍となり、インプットシャフト13の回転速度がクランクシャフト2の2倍になる時の比(1/2倍)よりも大きくなる。これにより、第1伝動機構16における騒音が小さくなる。
一方、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eの直径及び歯数は、アッパバランサシャフト12Uの第2ヘリカルギヤ12Ueの直径及び歯数の3/2倍となり、インプットシャフト13の回転速度がクランクシャフト2の2倍になる時の比(1倍)よりも大きくなる。これにより、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eの径が大きくなり、後述するようにオイルが効率的に掻き出される。
このように構成されたバランサ装置10では、図7中に黒塗り矢印に示されるように動力伝達が行われる。即ち、クランクシャフト2の回転力は、第1伝動機構16の大スプロケット2f(図1)、ローラチェーン15(図1)及びドリブンスプロケット13aを介してインプットシャフト13に伝達され、白抜き矢印に示されるようにクランクシャフト2と同じ回転方向にインプットシャフト13を回転駆動する。
インプットシャフト13の回転力は、第2伝動機構17を構成する第1ヘリカルギヤ13e及び第2ヘリカルギヤ12Ueを介してアッパバランサシャフト12Uに伝達され、白抜き矢印に示されるようにインプットシャフト13と逆方向にアッパバランサシャフト12Uを回転駆動する。上記のように、アッパバランサシャフト12Uはクランクシャフト2の2倍の回転速度でクランクシャフト2と逆方向に回転する。
アッパバランサシャフト12Uの回転力は、第3伝動機構18を構成する2つの第1ヘリカルギヤ12Ud、12Ldを介してロアバランサシャフト12Lに伝達され、白抜き矢印に示されるようにアッパバランサシャフト12Uと逆方向にアッパバランサシャフト12Uと同じ回転速度でロアバランサシャフト12Lを回転駆動する。これにより、前後一対のバランサシャフト12L、12Uは、エンジン1の2次振動を打ち消すシリンダ軸線X方向の慣性力を発生させる。
本実施形態では、クランクシャフト2の回転を段階的に増速してバランサシャフト12に伝達するために、ロアバランサシャフト12Lとインプットシャフト13とは互い分離しているが、両シャフト12L、13は同軸に配置され、共にエンジン1の2次振動を低減する慣性力を発生させるためにクランクシャフト2により回転駆動される。従って、インプットシャフト13はバランサシャフト12Lの分割された一部であると見做すことができる。
バランサ装置10の各摺動部には、図示しないオイルポンプによってオイルパン6内のオイルストレーナの吸入口から吸い込まれてエンジン1の各部に向けて圧送されるエンジンオイルが油路を介して供給され、潤滑油として利用される。具体的には、バランサ装置10においては、第1〜第5ジャーナル軸受21〜25にエンジンオイルが供給される。
以下、バランサ装置10における油路の構成を説明する。図1に示されるように、クランクシャフト2の第1ジャーナル2bを軸支する支持壁にはメインギャラリからバランサ装置10にオイルを供給するブロック内油路7aが設けられている。このブロック内油路7aから供給されるオイルは、図4に示されるように、アッパハウジング14Uの上面からバランサ装置10に導入され、上下に延在する図示しない油路を通ってロアハウジング14Lとの接合面に供給される。
図3に示されるように、ロアハウジング14Lの上面には油路溝30(30A、30B、30C)が形成されている。なお、詳細な図示は省略するが、アッパハウジング14Uの下面にも同様に油路溝30が形成される。この油路溝30においては、ロアハウジング14Lの後端の左端部がオイル入口30aとなる。油路溝30は、このオイル入口30aから前方へ延びる第1分岐溝30Aと、右方へ延びる第2分岐溝30Bとに分岐する。
第1分岐溝30Aは、オイル入口30aから前方へ延びた前に湾曲し、左方へ延びて第1軸受壁26にて分岐し、図5に併せて示されるように、左半第1ジャーナル軸受21L及び右半第1ジャーナル軸受21Rの軸受面の下半分に円弧状に形成された給油溝21gから、第1ジャーナル軸受21とインプットシャフト13の第1ジャーナル13bと間の軸受隙間にオイルを供給する。なお、第1分岐溝30Aは、ボルト孔14bではその周縁に沿って(ボルトB2の周囲に)環状に形成されている。
第2分岐溝30Bは、オイル入口30aから右方へ延び、第2軸受壁27の後端部において湾曲して前方へ延び、ボルト孔14bの周縁に沿って延びた後に第2ジャーナル軸受22の後端に至る。第2分岐溝30Bは、第2ジャーナル軸受22において軸受面に沿って円環状に形成されており、インプットシャフト13の第2ジャーナル13c及びロアバランサシャフト12Lの第1ジャーナル12Laと第2ジャーナル軸受22との間の軸受隙間にオイルを供給する。第2分岐溝30Bは、第2ジャーナル軸受22の前端から再び前方へ延びてボルト孔14bの周縁に沿って延びた後、第4ジャーナル軸受24の後端に至る。第4ジャーナル軸受24においても、第2分岐溝30Bは第4ジャーナル軸受24の幅方向の中央において軸受面に沿って円環状に形成されており、第4ジャーナル軸受24とアッパバランサシャフト12Uの第1ジャーナル12Uaとの間の軸受隙間にオイルを供給する。
また、ロアハウジング14Lの後壁の上面には、第2分岐溝30Bから分岐した第3分岐溝30Cが形成されている。第3分岐溝30Cは、第2分岐溝30Bから右方へ延び、第3軸受壁28の後端部において湾曲して前方へ延び、ボルト孔14bの周縁に沿って延びた後に第3ジャーナル軸受23の後端に至る。第3分岐溝30Cは、第3ジャーナル軸受23において軸受メタル29の外周面に沿って円環状に形成されており、軸受メタル29に形成された貫通孔を通って第3ジャーナル軸受23とロアバランサシャフト12Lの第2ジャーナル12Lbとの間の軸受隙間にオイルを供給する。第2分岐溝30Bは、第3ジャーナル軸受23の前端から再び前方へ延びてボルト孔14bの周縁に沿って延びた後、第5ジャーナル軸受25の後端に至る。第5ジャーナル軸受25においても、第2分岐溝30Bは軸受メタル29の外周面に沿って円環状に形成されており、軸受メタル29に形成された貫通孔を通って第5ジャーナル軸受25とアッパバランサシャフト12Uの第2ジャーナル12Ubとの間の軸受隙間にオイルを供給する。
以上がジャーナル軸受21〜25に対するオイルの供給路の構成である。このようにしてバランサ装置10にはエンジン1の運転時(運転中)にオイルが供給され、ジャーナル軸受21〜25がオイルにより潤滑される。潤滑に供されたオイルは、軸受隙間から流出するため、バランサハウジング14内に溜まる。また、エンジン1の停止時には、オイルポンプによるオイルの圧送は停止されるが、シリンダブロック7内に形成されたメインギャラリ内のオイルが重力によってジャーナル軸受21〜25の軸受隙間から漏れ出てくるため、やはりオイルはバランサハウジング14内に溜まる。上記のように、バランサハウジング14は液密な構造とされている。そのため、バランサ装置10はバランサハウジング14内のオイルを外部に排出し得る機構を有している。以下、このオイル排出機構について説明する。
図2及び図3に示されるように、バランサハウジング14は、第1軸受壁26〜第3軸受壁28によって区画された複数の室(左から順に、第1室31〜第3室33とする。)を内部に画成している。第1室31は、第1軸受壁26と第2軸受壁27との間に画成され、インプットシャフト13のスラストプレート13d及び第1ヘリカルギヤ13e、並びにアッパバランサシャフト12Uの第2ヘリカルギヤ12Ueを収容している。第2室32は、第2軸受壁27と第3軸受壁28との間に画成され、両バランサシャフト12L、12Uの第1ヘリカルギヤ12Ld、12Ud及び左側のバランサウェイト12Lc・12Ucを収容している。第3室33は、第3軸受壁28とハウジングプレート14Pとの間に画成され、右側のバランサウェイト12Lc・12Ucを収容している。
第1室31には、第1ジャーナル軸受21に供給されたオイルの一部と、第2及び第4ジャーナル軸受22、24に供給されたオイルの一部とが流入する。第2室32には、第2及び第4ジャーナル軸受22、24に供給されたオイルの一部と、第3及び第5ジャーナル軸受23、25に供給されたオイルの一部とが流入する。第3室33には、第3及び第5ジャーナル軸受23、25に供給されたオイルの一部が流入する。
第1室31〜第3室33に流入したオイルは、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13e及びロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldによって掻き上げられてバランサハウジング14の外部に排出される。以下、第1室31〜第3室33のオイル排出構造について説明する。
図2、図8及び図9に示されるように、ロアハウジング14Lにおけるインプットシャフト13及びロアバランサシャフト12Lの下方の位置には、両シャフト13、12Lと平行に左右方向に延在し、第2軸受壁27を貫通して第1室31と第2室32とを連通すると共に、第3軸受壁28を貫通して第2室32と第3室33とを連通する連通路35が形成されている。連通路35は、ドリルを用いてロアハウジング14Lの右側から右壁を貫通して第1室31に至る直線状の孔を穿設することによって形成される。ロアハウジング14Lの右壁に形成された孔は、バランサハウジング14の内部と外部とを連通するドレーン孔36となる。ドレーン孔36には後述する一方向弁60が設けられ、エンジン1運転時には一方向弁60によってドレーン孔36は塞がれる。
連通路35は、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eの下方に形成されている。ロアハウジング14Lには、連通路35を形成し得るように下面から突出するリブ状部37が形成されており、第1室31〜第3室33は最も低い位置から下方へ延出してリブ状部37に至るように延出した延出部31a、32a、33aをそれぞれ有している。従って、第1室31〜第3室33の最も低い延出部31a、32a、33a同士が連通路35によって互いに連通している。また、連通路35及びドレーン孔36は、オイルパン6の油面6oよりも低い位置に設けられている。つまり、第1室31〜第3室33の下部がオイルパン6の油面6oよりも低くなる位置にバランサハウジング14が配置されている。なお、オイルパン6の油面6oとは、特に断らない限り、エンジン1運転時(運転中)のものを意味する。
図7を参照して説明した方向にシャフト12L、12U、13が回転駆動されることにより、図8に示されるインプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13e及びアッパバランサシャフト12Uの第2ヘリカルギヤ12Ueは、外周部に形成された歯が互いの噛み合い部から下方へ進む方向に回転する。また、図9に示されるロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ld及びアッパバランサシャフト12Uの第1ヘリカルギヤ12Udも、外周部に形成された歯が互いの噛み合い部から下方へ進む方向に回転する。
図8に示されるように、第1室31のオイルはインプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eによって掻き上げられて外部に排出される。つまり、ロアバランサシャフト12Lの軸方向視において、第1室31の延出部31aから第1ヘリカルギヤ13eの回転方向の下流側に向けて第1ヘリカルギヤ13eの外周面に沿って円弧状に形成されたバランサハウジング14の円弧状部分が、第1ヘリカルギヤ13eとの間に第1オイル排出路41を画成する第1排出路周底壁42となっている。第1ヘリカルギヤ13eの外周部とバランサハウジング14の内面との隙間は、第1オイル排出路41に対応する第1排出路周底壁42において、アッパバランサシャフト12Uの第2ヘリカルギヤ12Ueの周囲よりも小さくなっている。
第1室31の後部において、第1排出路周底壁42の上部には、シリンダ軸線X方向に沿って上方へ延びる第1オイル排出孔43が設けられている。第1オイル排出孔43は、オイルパン6の油面6oよりも高い位置でアッパハウジング14Uの上面に開口している。
アッパハウジング14Uにおける第1オイル排出孔43に対して第1ヘリカルギヤ13eの回転方向の下流側に隣接する位置には、第1ヘリカルギヤ13eの外周部との隙間を小さくするようにアッパハウジング14Uの内面から突出する第1リブ45が形成されている。更に、ロアハウジング14Lにおける第1室31の延出部31aに対して第1ヘリカルギヤ13eの回転方向の上流側に隣接する位置には、第1ヘリカルギヤ13eの外周部との隙間を小さくするようにロアハウジング14Lの内面から突出する第2リブ46が形成されている。第1リブ45及び第2リブ46は、第1オイル排出孔43及び第1室31の延出部31aを越えて第1オイル排出路41を延長させる第1排出路周底壁42の一部とも言える。
図9に示されるように、第2室32のオイルはロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldによって掻き上げられて外部に排出される。つまり、ロアバランサシャフト12Lの軸方向視において、第2室32の延出部32aから第1ヘリカルギヤ12Ldの回転方向の下流側に向けて第1ヘリカルギヤ12Ldの外周面に沿って円弧状に形成されたバランサハウジング14の円弧状部分が、第1ヘリカルギヤ12Ldとの間に第2オイル排出路47を画成する第2排出路周底壁48となっている。第1ヘリカルギヤ12Ldの外周部とバランサハウジング14の内面との隙間は、第2オイル排出路47に対応する第2排出路周底壁48においてアッパバランサシャフト12Uの第1ヘリカルギヤ12Udの周囲よりも小さくなっている。
第2室32の後部において、第2排出路周底壁48の上部には、シリンダ軸線X方向に沿って上方へ延びる第2オイル排出孔49が設けられている。第2オイル排出孔49は、オイルパン6内の油面6oよりも高い位置でアッパハウジング14Uの上面に開口している。
また、アッパハウジング14Uにおける第2オイル排出孔49に対して第1ヘリカルギヤ12Ldの回転方向の下流側に隣接する位置にも、第1ヘリカルギヤ12Ldの外周部との隙間を小さくするようにアッパハウジング14Uの内面から突出する第1リブ45が形成されている。更に、ロアハウジング14Lにおける第2室32の延出部32aに対して第1ヘリカルギヤ12Ldの回転方向の上流側に隣接する位置にも、第1ヘリカルギヤ12Ldの外周部との隙間を小さくするようにロアハウジング14Lの内面から突出する第2リブ46が形成されている。第1リブ45及び第2リブ46は、第2オイル排出孔49及び第2室32の延出部32aを越えて第2オイル排出路47を延長させる第2排出路周底壁48の一部とも言える。
図4、図8及び図9に示されるように、アッパハウジング14Uの後部上面、即ち傾斜する上面の低い側には、第1及び第2オイル排出孔43、49を延長させるように、第1及び第2排出路周底壁42、48の外面から突出する第1周壁50及び第2周壁51が形成されている。第1及び第2オイル排出孔43、49は、対応するオイル排出路41、47側の下端に比べ、対応する第1及び第2周壁50、51の突出端側の上端において断面積が大きくなる段付き孔とされ、対応する第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの接線方向に延在している。
第1室31〜第3室33の上端近傍には、第2軸受壁27及び第3軸受壁28を貫通する換気通路52が形成されている。換気通路52は、アッパバランサシャフト12Uの上方においてアッパハウジング14Uの上面に突出するように形成された突条14gに沿って直線状に形成されている。換気通路52は、第1室31を挟んで第2軸受壁27と対向する左側壁を貫通して左外側面14h(図4)に開口することにより、バランサハウジング14の内部と外部とを連通させている。換気通路52は、連通路35よりも小径とされており、ドリルを用いてアッパハウジング14Uの左側から左壁を貫通して第3室33に至る孔を穿設することによって形成される。これにより、バランサハウジング14内の気圧が外部よりも低くなってオイルの排出が阻害されることがない。左外側面14hに開口する換気通路52(図8、図9)は、アッパハウジング14Uに一体に設けられた庇14iにより上方を覆われており、オイルの飛沫が換気通路52からバランサハウジング14の内部に浸入することが防止されている。
図3及び図3中のX部の拡大図である図10に示されるように、第1室31の左右方向の幅は、第1オイル排出路41が形成された後部分において他の部分に比べて狭くなっており、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eの歯が掻き上げるオイルが第1オイル排出路41から逃げ難いようになっている。つまり、この第1ヘリカルギヤ13eを左右から挟む壁が第1排出路周底壁42と協働して第1オイル排出路41を溝断面形状に画成する一対の第1排出路側壁53(53L、53R)となっている。
図8に示されるように、ロアバランサシャフト12Lの軸方向視において、第1排出路側壁53は、第1オイル排出路41を含む第2リブ46から第1リブ45に亘る範囲において、第1排出路周底壁42から径方向内側に向けて、少なくとも第1ヘリカルギヤ13eの歯先部分をスラスト方向の両側から挟む高さをもって形成されている。
図3に戻り、第2室32は、上記の通り両バランサシャフト12L、12Uの第1ヘリカルギヤ12Ld、12Ud及び左側のバランサウェイト12Lc・12Ucを一括して収容している。従って、アッパバランサシャフト12Uの第1ヘリカルギヤ12Udとその右方のバランサウェイト12Ucとの間に軸支持壁は存在しない。
一方、ロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldとその右方のバランサウェイト12Lcとの間には、バランサハウジング14の内面から突出する壁が形成されている。この壁と第2軸受壁27との存在により、第1ヘリカルギヤ12Ldの歯が掻き上げるオイルが第2オイル排出路47から逃げ難くなっている。つまり、図10に示されるように、この第1ヘリカルギヤ12Ldを左右から挟む壁が第2排出路周底壁48と協働して第2オイル排出路47を溝断面形状に画成する一対の第2排出路側壁54(54L、54R)となっている。左側の第2排出路側壁54Lは第2軸受壁27にその厚さ方向に一体に形成され、右側の第2排出路側壁54Rは、第2室32の内周面をなすバランサハウジング14の内面から、両主面が自由面となるように独立して突出形成されている。
図9に示されるように、第2排出路側壁54は、第2オイル排出路47を含む第2リブ46から第1リブ45に亘る範囲において、第2排出路周底壁48から径方向内側に向けて、少なくとも第1ヘリカルギヤ12Ldの歯先部分をスラスト方向の両側から挟む高さをもって形成されている。
図2に示されるように、連通路35は、ロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldの右方に独立して形成された右側の第2排出路側壁54Rをも貫通するように形成されている。従って、オイルは第1室31から第3室33の間を自由に移動できる。
図10に示されるように、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13e及びロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldは、白抜き矢印方向に回転し、歯によって掻き揚げたオイルを歯溝に保持した状態で回転することによってオイルをオイル排出路41、47において上方へ搬送する。そして、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldは、それぞれをスラスト方向から挟む一対の排出路側壁53L・53R、54L、54Rのうち、歯溝が回転方向の後側になる右側の排出路側壁53R、54Rとの間隙g2、g4が、左側の排出路側壁53L、54Lとの間隙g1、g3よりも小さくなる位置に配置されている。
第1室31〜第3室33のオイル排出構造がこのように構成されていることにより、以下のようにしてオイルが外部に排出される。
まず、図2に示されるように、第1室31〜第3室33を連通する連通路35が形成されていることから、第1室31〜第3室33に流入したオイルは、連通路35を介してインプットシャフト13及びロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの下方に集まる。集まったオイルは、第1室31の延出部31a又は第2室32の延出部32aにおいてインプットシャフト13又はロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯よって掻き上げられ、噛み合い部を経由しないオイル排出路41、47を搬送されてオイル排出孔43、49から効率的に外部に排出されることになる。
具体的には、図2及び図9に示されるように、バランサハウジング14が、少なくとも第3軸受壁28を貫通するように形成された連通路35と、第2室32の延出部32aから第1ヘリカルギヤ12Ldの回転方向の下流側に向けて形成され、第1ヘリカルギヤ12Ldとの間に第2オイル排出路47を画成する第2排出路周底壁48と、第2排出路周底壁48の上部に形成された第2オイル排出孔49とを有している。これにより、連通路35を介して第1ヘリカルギヤ12Ldの下方にオイルが集まったオイルを、第1ヘリカルギヤ12Ldが噛み合い部を経由しない第2オイル排出路47を搬送して第2オイル排出孔49へ掻き出すため、バランサハウジング14内のオイルが効率的に外部に排出される。
また、図2及び図8に示されるように、連通路35は第2軸受壁27をも貫通するように形成され、第1室31の延出部31aから第1ヘリカルギヤ13eの回転方向の下流側に向けて形成され、第1ヘリカルギヤ13eとの間に第1オイル排出路41を画成する第1排出路周底壁42と、第1排出路周底壁42の上部に形成された第1オイル排出孔43とを有している。これにより、連通路35を介して第1ヘリカルギヤ13eの下方に集まったオイルを、第1ヘリカルギヤ13eが噛み合い部を経由しない第1オイル排出路41を搬送して第1オイル排出孔43へ掻き出すため、バランサハウジング14内のオイルが効率的に外部に排出される。なお、インプットシャフト13の第1ヘリカルギヤ13eは、ロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ12Ldよりも大径であるため、より効率的にオイルを排出できる。
各第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの下方に集まったオイルが各第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯よって掻き上げられる際には、図8及び図9に示されるように第1室31や第2室32の延出部31a、32aに対して第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの回転方向の上流側に第2リブ46が設けられているため、オイルがアッパバランサシャフト12U側へ逆流することが抑制され、オイルの撹拌抵抗が低減される。具体的には、第2リブ46が設けられていないと、ロアバランサシャフト12Lの第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯が下方に溜まったオイルに突入する際に歯がオイルを掻き乱し、オイルがアッパバランサシャフト12U側へ飛散(逆流)して、戻ってきたオイルを第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯が掻き乱す状態が継続することから、オイルの撹拌抵抗が増大する。これに対し、第2リブ46が設けられていることにより、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの下方に溜まったオイルの飛散が第2リブ46によって抑制されるため、オイルの撹拌抵抗が低減する。
また、第2リブ46が設けられていることにより、エアレーションの発生によってオイルの排出効率が低下することが抑制される。具体的には、第2リブ46が設けられていないと、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯がオイルを掻き乱すことによってエアレーションが発生し、オイル排出路41、47を搬送するオイル中にエアが含まれるため、オイルの排出効率が低下する。これに対し、第2リブ46が設けられていることにより、オイルの掻き乱しが抑制されてエアレーションの発生が抑制されるため、オイルの排出効率が上がる。
オイルは、オイル排出路41、47において歯溝に保持され、歯により押し上げられることで上方へ搬送される。オイル排出路41、47は歯の噛み合い部を経由しないため、オイルは歯により効率的に搬送される。
そして、図8及び図9に示されるように、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの外周部とバランサハウジング14の内面との隙間が、オイル排出路41、47に対応する部分においてアッパバランサシャフト12Uの第1ヘリカルギヤ12Udや第2ヘリカルギヤ12Ueの周囲のような他の部分に比べて小さくなっている。そのため、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯によってオイル排出路41、47を掻き上げられるオイルが第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの外周部と各排出路周底壁42、48との隙間から逃げることが抑制される。一方、各第1ヘリカルギヤ13e、12Ldと各排出路周底壁42、48との隙間が小さいと、オイルのせん断抵抗が大きくなることから、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの壁に対する摺動抵抗が大きくなる。これに対して本実施形態では、オイル排出路41、47に対応しない他の部分においては隙間が大きくなっているため、オイルの排出に寄与しない部分の第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの摺動抵抗が低減している。
更に、図2、図8及び図9に示されるように、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの少なくとも歯先部分をスラスト方向の両側から挟むように設けられ一対の排出路側壁53、54と各排出路周底壁42、48とによってオイル排出路41、47は溝断面形状に画成されている。そのため、オイル排出路41、47の搬送時にオイルが逃げることが抑制される。加えて、排出路側壁53、54の高さが第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯丈よりも高い構成とされているため、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯によってオイル排出路41、47を搬送されているオイルが排出路側壁53、54を越えて外部に逃げることが抑制される。
また、図10に示されるように、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldをスラスト方向から挟む一対の排出路側壁53、54のうち、歯溝が回転方向の後側になる右側の排出路側壁53R、54Rと第1ヘリカルギヤ13e、12Ldとの間隙g2、g4が、左側の排出路側壁53L、54Lと第1ヘリカルギヤ13e、12Ldとの間隙g1、g3よりも小さく設定されている。そのため、歯に押し上げられて右方へ流れようとするオイルが、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldと排出路側壁53、54との隙間から逃げることが抑制される。
図8及び図9に示されるように、オイル排出路41、47にて歯により押し上げられたオイルは、オイル排出孔43、49から外部に排出される。この際、第1室31や第2室32のオイル排出孔43、49に対して第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの回転方向の下流側に隣接する位置に第1リブ45が形成されているため、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの歯によってオイル排出通路を搬送されたオイルがオイル排出孔43、49を通過したとしても、オイルが第1リブ45によって堰き止められるため、アッパバランサシャフト12U側に戻ることが抑制される。
上記のようにオイル排出孔43、49は、オイルパン6内の油面6oよりも高い位置に形成される。一方、第1ヘリカルギヤ13e、12Ldの摺動抵抗を小さくするためには、オイル排出路41、47の長さが短くなる位置にオイル排出孔43、49が設けられるとよい。ところが、このような位置にオイル排出孔43、49が設けられると、バランサハウジング14の上面に落下してきたオイルがアッパハウジング14Uの上面の傾斜によって後方へ流れ、オイル排出孔43、49からバランサハウジング14内に流入し得る。本実施形態では、各排出路周底壁42、48の外面にオイル排出孔43、49を延長させるように周壁50、51が突出形成されているため、アッパハウジング14Uの上面を流れるオイルがオイル排出孔43、49からバランサハウジング14内に流入することが防止される。
一方、周壁50、51の高さが大きいと、オイル排出孔43、49の長さが長くなってオイル排出孔43、49から排出されるオイルの圧力損失が大きくなる。本実施形態では、第1及び第2オイル排出孔43、49の断面積は、対応するオイル排出路41、47側の下端に比べて対応する第1及び第2周壁50、51の突出端側の上端において大きく設定されている。そのため、オイル排出孔43、49から排出されるオイルの圧力損失が低減され、効率的にオイルが外部に排出される。
図11(A)に示されるように、エンジン1の停止後にバランサハウジング14内のオイルの排出が行われなくなると、メインギャラリ等から重力で流れ落ちてくるオイルが各シャフト12L、12U、13の軸受隙間から漏れ出てきてバランサハウジング14の内部に溜まる。オイルの撹拌抵抗を低減させるためにバランサハウジング14がオイルを流入させない構造になっていると、バランサ装置10内の油面10oがオイルパン6の油面6oよりも高くなり得る。そしてオイル交換時には、図11(B)に示されるように、オイルパン6内のオイルのみが抜き取られ、バランサ装置10内のオイルを抜き取ることができない。そこで本実施形態では、図2に示される上記のドレーン孔36及び一方向弁60が設けられている。
図12に示されるように、ロアハウジング14Lの右壁に形成されたドレーン孔36は、連通路35を形成する際に穿設した孔を利用して、この孔を外方側ほど断面積が大きくなる円錐台形状に加工したテーパ孔部36aを有している。テーパ孔部36aの内部には、球状の弁体61が配置される。弁体61は、テーパ孔部36aの小径部よりも大きく且つテーパ孔部36aの大径部よりも小さな直径を有している。テーパ孔部36aの外方側の端部である大径部には、弁体61がテーパ孔部36aの内部に配置された後に圧入され、弁体61の脱落を防止する脱落防止部材62が嵌合している。脱落防止部材62は、弁体61よりも小さな開口62aを有するリング状に形成され、弁体61がテーパ孔部36aの内面に全周にわたって当接する位置から右方に移動できるように取り付けられている。これにより、脱落防止部材62は弁体61の脱落を阻止すると共にオイルの流通を許容する。つまり、テーパ孔部36aが一方向弁60の弁座となり、弁体61がテーパ孔部36aの内面に全周にわたって当接した状態においてドレーン孔36が閉塞され、弁体61がテーパ孔部36a内を大径部側に移動した状態においてドレーン孔36が開放される。
このように構成されたバランサ装置10では、油面変化に応じた一方向弁60の作動によって次のような作用効果を得ることができる。
即ち、図13(A)に示されるように、エンジン1運転時には、上記のようにバランサハウジング14内のオイルがギヤにより掻き上げられてオイル排出孔43、49から外部に排出される。これにより、バランサ装置10内の油面10oは低下する。一方、オイルパン6の油面6oは、エンジン1の各部にオイルが供給されることから、エンジン1停止中に比べると低くなるが、ドレーン孔36における外圧(オイルパン6内のオイルの圧力)が内圧(バランサハウジング14内の圧力)よりも高くなり、圧力差が弁体61に作用する。従って、弁体61がテーパ孔部36aの内面に全周にわたって当接した状態(ドレーン孔36を閉塞した状態)になり、オイルパン6内のオイルはバランサハウジング14内に流入しない。そのため、エンジン1運転時のオイルの撹拌抵抗が低減される。
図11を参照して説明したように、エンジン1停止時にはオイルパン6内だけでなくバランサハウジング14内にもオイルが流入してくるため、バランサハウジング14の内部と外部(オイルパン6の内部)とで油面差が小さくなる。そのため、図13(B)に示されるように、エンジン1の停止中には、弁体61はテーパ孔部36aを転がって脱落防止部材62側に位置し、ドレーン孔36が開放された状態になる。これにより、バランサハウジング14の内部と外部とが連通し、バランサ装置10内の油面10oはオイルパン6の油面6oと同一になる。
なお、エンジン1停止時にバランサハウジング14内に流入するオイルが少ない場合には、エンジン1停止中にもオイルパン6内のオイルが弁体61に圧力を作用させ続けるため、弁体61がテーパ孔部36aの内面に全周にわたって当接した状態になり、オイルパン6内のオイルがバランサハウジング14内に流入しない状態が維持される。この場合には、次回のエンジン1始動時におけるバランサシャフト12によるオイルの撹拌抵抗も低減される。
図13(C)に示されるように、オイル交換のためのオイル抜取時には、オイルパン6内のオイルが図示しないドレーンから排出されてオイルパン6の油面6oが低下すると共に、ドレーン孔36が開放された状態になることからバランサハウジング14内のオイルが外部に排出される。これにより、バランサ装置10内の油面10oは低下し、抜き取れずにバランサハウジング14内に残るオイルの量が少なくなる。
本実施形態では、図2及び図12に示されるように、ドレーン孔36が、概ね水平に延在するようにバランサハウジング14に形成され、外方側ほど断面積が大きな円錐台形状のテーパ孔部36aを含み、一方向弁60が、テーパ孔部36aの内部に軸線方向に移動可能かつ脱落不能に設けられた球状の弁体61を含んでいる。そのため、ドレーン孔36における圧力差に応じてドレーン孔36を開閉する一方向弁60が、簡易かつ耐久性の高い構成により実現される。また、ドレーン孔36がテーパ孔部36aを含むことから、リード弁等に比べて耐久性の高い球状の弁体61を用いて、高いシール性を有する一方向弁60が実現される。
また本実施形態では、バランサハウジング14が、一対のバランサシャフト12L、12Uを軸支すると共に内部空間を第2室32と第3室33とに区分する第3軸受壁28と、第3軸受壁28の下部を貫通するように形成され、第2室32と第3室33とを連通させる連通路35とを備え、ドレーン孔36が、バランサハウジング14における連通路35の延長線上に形成されている。そのため、バランサハウジング14の内部空間が第3軸受壁28によって第2室32と第3室33とに区分されていても、連通路35を介してオイルが第2室32及び第3室33間を移動できるため、オイル排出孔43、49やドレーン孔36、一方向弁60を室ごとに設ける必要がなく、バランサ装置10がより簡易な構成になる。また、ドレーン孔36が連通路35の延長線上に形成されるため、加工の共通化が可能になる上、オイル交換時には連通路35に集まったオイルがドレーン孔36から外部に排出され、バランサハウジング14内からより多くのオイルを抜き取ることが可能である。
次に、他の実施形態に係るバランサ装置10について、図13〜図16を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の部材や部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図14は、図2と同様にバランサ装置10を拡大して示す断面図である。本実施形態では、連通路35は、ドリルを用いてロアハウジング14Lの右側から右壁を貫通して第1室31に至る直線状の孔を穿設し、この孔をロアハウジング14Lの右壁に圧入した球状の栓69により塞ぐことによって形成されている。一方、ドレーン孔36は、概ね鉛直方向に延在するようにバランサハウジング14の底壁を貫通し、連通路35とオイルパン6(図1)の内部空間とを連通させている。ロアハウジング14Lのドレーン孔36が形成された部分にはフロート弁70が設けられている。なお、ドレーン孔36が設けられる位置は、直線状の連通路35における、第2軸受壁27や第3軸受壁28に貫通形成された部分に限られず、第1室31〜第3室33の延出部31a〜33aにより形成された部分であってもよい。つまり、ドレーン孔36は、バランサシャフト12の軸方向視において連通路35の下方に形成されればよい。本実施形態ではドレーン孔36は、直線状の連通路35における第3室33の延出部33aにより形成される部分に開口する位置に形成されている。
図15に示されるように、フロート弁70は、ドレーン孔36を囲繞するようにバランサハウジング14の下面から下方に突出するように底壁に一体に設けられた筒部71を有している。筒部71は、ロアハウジング14Lと一体に形成されてもよく、別体として形成された後にロアハウジング14Lに取り付けられてもよい。また、筒部71は、円形断面であっても、楕円形や多角形断面であってもよいが、一定断面形状を有する構成とされている。本実施形態では、筒部71は円形断面形状とされている。筒部71の上部には、オイルを排出するための排出孔72が形成されている。排出孔72は、筒部71の壁を貫通するように形成されていればよく、その数はいくつであってもよい。図示例では、2つの排出孔72が互いに対向する位置に形成されている。
筒部71の内部には弁体73が配置されている。弁体73は、筒部71の内側輪郭に対応する形状とされ、筒部71の内部をその軸線方向に沿って移動可能なように、筒部71の内側輪郭よりも若干小さな外側輪郭を有する大きさとされている。弁体73はオイルの比重よりも小さな比重となる構成とされており、弁体73自体がフロートとなる。本実施形態では、弁体73は、板金を加工して有底筒状に形成し、筒孔の上端が底壁によって塞がれ、下端が開口となる向きに配置された部材であり、内部に空気を保持した状態でオイルよりも比重が小さくなっている。
筒部71の下端には、弁体73が筒部71の内部に配置された後に圧入され、弁体73の脱落を防止する脱落防止部材74が嵌合している。脱落防止部材74は、弁体73よりも小さな開口74aを有するリング状に形成され、弁体73がバランサハウジング14の下面に当接する位置から、下方の排出孔72に重ならない位置まで移動できるように取り付けられている。これにより、脱落防止部材74が弁体73の脱落を阻止すると共にオイルの流通を許容し、弁体73に浮力が発生するようになっている。
オイルパン6への給油時には、弁体73は、内部に空気を保持してオイルに浮かんで上方に移動する。これにより、弁体73の底壁がバランサハウジング14の下面に当接し、ドレーン孔36が塞がれる。この状態では、筒部71の排出孔72に重なる位置に弁体73の筒壁が位置する。オイルパン6の油面6oが低下すると、弁体73が油面6oと共に下方に移動し、ドレーン孔36が開放されると共に筒部71の排出孔72も開放される。
このようにドレーン孔36にフロート弁70が設けられた本実施形態のバランサ装置10では、油面変化に応じたフロート弁70の作動によって次のような作用効果を得ることができる。
即ち、図16(A)に示されるように、エンジン1運転時には、上記のようにバランサハウジング14内のオイルがギヤにより掻き上げられてオイル排出孔43、49から外部に排出される。これにより、バランサ装置10の油面10oが低下する。また、オイルパン6の油面6oが連通路35よりも高いことから、ドレーン孔36はフロート弁70によって閉塞されており、オイルパン6内のオイルはバランサハウジング14内に流入しない。そのため、エンジン1運転時のオイルの撹拌抵抗が低減される。
上記のように、エンジン1停止時にはバランサハウジング14の内部と外部(オイルパン6の内部)とで油面差が小さくなるが、オイルパン6の油面6oはエンジン運転時より高くなっており、ドレーン孔36がフロート弁70によって閉塞された状態が維持される。なお、エンジン1停止時にバランサハウジング14内に流入するオイルが少なく、バランサ装置10内の油面10oがオイルパン6の油面6oよりも低い場合には、ドレーン孔36が開放されることはないが、図11(B)に示されるようにバランサハウジング14内に流入するオイルが多いためにバランサ装置10内の油面10oがオイルパン6の油面6oよりも高くなる場合には、弁体73がバランサハウジング14内のオイルの圧力を受けて排出孔72を露出させる位置まで下降し、バランサ装置10内の油面10oを低下させる。
図16(C)に示されるように、オイル交換のためのオイル抜取時には、オイルパン6内のオイルが図示しないドレーンから排出されてオイルパン6の油面6oが低下すると共に、ドレーン孔36が開放された状態になることからバランサハウジング14内のオイルが外部に排出される。これにより、バランサ装置10の油面10oは低下し、抜き取れずにバランサハウジング14内に残るオイルの量が少なくなる。
本実施形態では、図14及び図15に示されるように、バランサハウジング14が、一対のバランサシャフト12L、12Uを軸支すると共に内部空間を第2室32と第3室33とに区分する第3軸受壁28と、第3軸受壁28の下部を貫通するように形成され、第2室32と第3室33とを連通させる連通路35とを備え、ドレーン孔36が、バランサシャフト12の軸方向視において連通路35の下方に形成されている。そのため、連通路35を介してオイルが第2室32及び第3室33間を移動でき、オイル排出孔43、49やドレーン孔36、フロート弁70を室ごとに設ける必要がないため、バランサ装置10がより簡易な構成になる。また、ドレーン孔36が連通路35の下方に形成されるため、オイル交換時には連通路35に集まったオイルがドレーン孔36から外部に排出され、バランサハウジング14内からより多くのオイルを抜き取ることが可能である。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、一例として車載用内燃機関のバランサ装置10として説明を行ったが、鉄道車両や船舶、航空機等にも広く適用することができ、バランサ装置10以外の機械装置に適用することもできる。
また、上記実施形態では、クランクシャフト2の回転を段階的に増速してバランサシャフト12に伝達するために、ロアバランサシャフト12Lと同軸にインプットシャフト13が設けられているが、他の実施形態では、ドリブンスプロケット13aが、インプットシャフト13の長さ分だけ長く形成されたロアバランサシャフト12L又はアッパバランサシャフト12Uに一体に形成され、クランクシャフト2の駆動力がロアバランサシャフト12L又はアッパバランサシャフト12Uに直接入力してもよい。この場合、第2伝動機構17や第2軸受壁27は設けられなくてよい。
上記実施形態では、第2伝動機構17や第3伝動機構18の歯車にはすば歯車を用いているが、平歯車ややまば歯車等を用いてもよい。上記実施形態では、巻き掛け式の第1伝動機構16にローラチェーン15を用いているが、サイレントチェーン等の他の構造のチェーンを用いてもよい。
この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示したバランサ装置10の各要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 エンジン(内燃機関)
6 オイルパン
6o 油面
10 バランサ装置
10o 油面
12 バランサシャフト
12L ロアバランサシャフト
12Lc バランサウェイト
12Ld 第1ヘリカルギヤ
12U アッパバランサシャフト
12Uc バランサウェイト
12Ud 第1ヘリカルギヤ
13 インプットシャフト(ロアバランサシャフト12Lの一部)
14 バランサハウジング
28 第3軸受壁
32 第2室
33 第3室
35 連通路
36 ドレーン孔
36a テーパ孔部(テーパ孔)
49 第2オイル排出孔
60 一方向弁
61 弁体(球状の弁体)
70 フロート弁

Claims (5)

  1. 互いに平行且つ水平に配置され、互いに噛み合うギヤ及びアンバランスウェイトを有する一対のバランサシャフトと、
    少なくとも前記ギヤ及び前記アンバランスウェイトを収容する室を内部に画成し、当該室の下部が機関運転時のオイルパンの油面よりも低くなるように前記オイルパンの内部に配置されたバランサハウジングとを備え、
    前記バランサハウジングが、
    機関運転時の前記オイルパンの油面よりも高い位置に形成され、前記バランサシャフトの回転によって前記ギヤが掻き上げるオイルを外部に排出するためのオイル排出孔と、
    機関運転時の前記オイルパンの油面よりも低い位置に形成されたドレーン孔と、
    前記ドレーン孔における外圧が内圧よりも高い時に前記ドレーン孔を閉塞し、少なくとも前記ドレーン孔における内圧が外圧よりも高い時に前記ドレーン孔を開放する一方向弁と
    を有することを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  2. 前記ドレーン孔が、概ね水平に延在するように前記バランサハウジングに形成され、外方側ほど断面積が大きな円錐台形状のテーパ孔を含み、
    前記一方向弁が、前記テーパ孔の内部に軸線方向に移動可能かつ脱落不能に設けられた球状の弁体を含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。
  3. 前記バランサハウジングが、
    一対の前記バランサシャフトを軸支すると共に前記室を区分する軸受壁と、
    前記軸受壁の下部を貫通するように形成され、区分された複数の前記室を連通させる連通路とを更に備え、
    前記ドレーン孔が、前記バランサハウジングにおける前記連通路の延長線上に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関のバランサ装置。
  4. 互いに平行且つ水平に配置され、互いに噛み合うギヤ及びアンバランスウェイトを有する一対のバランサシャフトと、
    少なくとも前記ギヤ及び前記アンバランスウェイトを収容する室を内部に画成し、当該室の下部が機関運転時のオイルパンの油面よりも低くなるように前記オイルパンの内部に配置されたバランサハウジングとを備え、
    前記バランサハウジングが、
    機関運転時の前記オイルパンの油面よりも高い位置に形成され、前記バランサシャフトの回転によって前記ギヤが掻き上げるオイルを外部に排出するためのオイル排出孔と、
    機関運転時の前記オイルパンの油面よりも低い位置に形成されたドレーン孔と、
    前記オイルパンの油面が比較的高い時に前記ドレーン孔を閉塞し、前記オイルパンの油面が比較的低い時に前記ドレーン孔を開放するフロート弁と
    を有することを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  5. 前記バランサハウジングが、
    一対の前記バランサシャフトを軸支すると共に前記室を区分する軸受壁と、
    前記軸受壁の下部を貫通するように形成され、区分された複数の前記室を連通させる連通路とを更に備え、
    前記ドレーン孔が、前記バランサシャフトの軸方向視において前記連通路の下方に形成されたことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のバランサ装置。
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