JP2005308563A - 検知装置および検知装置を備える車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 潤滑油の状況を安定して好適に把握することが可能な検知装置およびその検知装置を備える車両を提供する。
【解決手段】 油表面の波の影響を円筒ガイド101で減らしつつ超音波の反射時間を測定することによりオイルレベルを安定的に検出し、また超音波の減衰率の測定により気泡層の厚さを計測できる。さらにフロート104の密度を調整することで、潤滑油中に大量に気泡が混入したときにフロート104を沈ませてこの状況を検知することができる。この場合には減衰率も増加するので単に潤滑油量が減っただけではなく、大量の気泡が混入したということが検出できる。さらには、燃料混入による潤滑油の比重の変化を検出し潤滑油の希釈が発生したことを検出することも可能である。
【選択図】 図2
【解決手段】 油表面の波の影響を円筒ガイド101で減らしつつ超音波の反射時間を測定することによりオイルレベルを安定的に検出し、また超音波の減衰率の測定により気泡層の厚さを計測できる。さらにフロート104の密度を調整することで、潤滑油中に大量に気泡が混入したときにフロート104を沈ませてこの状況を検知することができる。この場合には減衰率も増加するので単に潤滑油量が減っただけではなく、大量の気泡が混入したということが検出できる。さらには、燃料混入による潤滑油の比重の変化を検出し潤滑油の希釈が発生したことを検出することも可能である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、内燃機関の潤滑油の状況を把握する検知装置、およびその検知装置を備える車両に関する。
従来、エンジンオイルの液面レベルの検出は、潤滑油が所定量レベルに減ったことを検出し潤滑油不足によるエンジントラブルを防止するために行なわれていた。しかし、オイルの変質や劣化についてはほとんど検出することは考えられていなかった。
エンジンオイルの液面レベルとエンジンオイルの劣化の両方が検知できる複合センサが実開昭63−122239号公報(特許文献1)に開示されている。この複合センサは、潤滑油中に設置された超音波反射板とこれに連結されたフロートおよび超音波を送受信する送受信面で構成されている。
実開昭63−122239号公報
しかしながら、実開昭63−122239号公報(特許文献1)に開示されたセンサでは、超音波を送受信する送受信面が潤滑油中に固定されているため、この送受信面に汚れが付着すると、潤滑油の劣化による超音波の減衰が正確に検出されない可能性がある。
また、このセンサは、超音波を反射する反射板がロッドでフロートに接続されている。潤滑油のレベルが下がると、フロートが下がり、超音波送受信面から発信される超音波を反射しない位置に反射板が移動するので超音波の受信レベルが0になる。つまり、潤滑油のレベルに関しては所定レベル以上あるか否かの検出しかできず、潤滑油のレベルを細かく観測することはできない。
さらに、車両の振動、潤滑油の飛散、およびクランクシャフトの回転などにより、潤滑油の表面は波が発生しておりフロートが波に影響されやすい。
オイルパン中の潤滑油の表面には、車両の振動や可動部からの潤滑油の飛散などに伴い気泡層が形成される場合がある。潤滑油には消泡剤が添加されているが消泡剤の効果が薄れてくると、油表面の波によって潤滑油の表面の気泡層が厚くなってしまうことがある。気泡の量が多くなってしまうと潤滑油の粘度が下がってしまい、またオイルポンプによる送出量が少なくなってしまい、潤滑性能が低下してしまう。
また、油面が上昇しすぎると、運動部品に干渉し潤滑油にさらに気泡が混ざる原因となる。潤滑油が気泡を含むと見かけ上の粘度がさがり潤滑性能が低下する。また、気泡を含むと潤滑油は非圧縮流体として扱えなくなり、油圧作動のものについては音の発生や動きがスムーズでなくなる等の現象が発生する。
また近年、潤滑油に未燃焼の燃料が混入してしまうことが問題となっている。この問題は、特に、筒内噴射式ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのように燃料噴射弁の噴射口と気筒内周面との間の距離が短い場合に噴射燃料が気筒内周面に直接衝突し、これがピストンリングによってクランクケース内に掻き落とされることによって生ずる。
ディーゼルエンジンの場合は、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)の装着が近年叫ばれているが、この種の装置でもフィルタで捕捉した微粒子を燃焼させるために後噴射を行なわせることが考えられている。この場合においても、後噴射した燃料の一部が気筒の内壁に付着し潤滑油が燃料によって希釈されてしまう。
潤滑油が燃料によって希釈されてしまうと、潤滑油の潤滑性能が低下してしまう。したがって希釈がある程度進むとこれを検知して警告することが望ましい。
この発明の目的は、潤滑油の状況を安定して好適に把握することが可能な検知装置およびその検知装置を備える車両を提供することである。
この発明は、要約すると、潤滑油の状況を検知する検知装置であって、潤滑油の比重以下の所定の比重を有する浮動体と、浮動体の周囲を取り囲み、浮動体の水平方向の位置を拘束する拘束手段と、浮動体の上下方向の位置を検出する位置検出手段とを備える。
好ましくは、拘束手段は、浮動体を内部に収容し、少なくとも1箇所の空気孔が設けられた筒部と、潤滑油が浸入可能なように孔が設けられ、筒部の底面を浮動体が脱落しないように塞ぐ底面とを含む。
好ましくは、浮動体は、潤滑油の把握すべき状況に応じて比重が定められる。
より好ましくは、把握すべき状況は、潤滑油に気泡が混入した状況であり、浮動体の比重は所定量の気泡が混入した状態の潤滑油の比重に基づいて定められる。
より好ましくは、把握すべき状況は、潤滑油に燃料が混入した状況であり、浮動体の比重は所定量の燃料が混入した状態の潤滑油の比重に基づいて定められる。
好ましくは、空気孔は、潤滑油のレベル検出予定範囲より上部に設けられる。
好ましくは、位置検出手段は、筒部の上端に付設される信号送受信手段と、浮動体の上面に設けられる反射面とを含む。
より好ましくは、信号送受信手段によって送受信される信号は、超音波である。
この発明の他の局面に従うと、車両であって、潤滑油の状況を検知する検知装置を備える。検知装置は、潤滑油の比重以下の所定の比重を有する浮動体と、浮動体の周囲を取り囲み、浮動体の水平方向の位置を拘束する拘束手段と、浮動体の上下方向の位置を検出する位置検出手段とを含む。車両は、検知装置によって状況が把握される潤滑油により潤滑が行なわれる駆動機関と、検知装置の出力に応じて駆動機関の運転を制御する制御手段とをさらに備える。
好ましくは、制御手段は、駆動機関の始動が予告されると、駆動機関を始動する前に位置検出手段の出力に応じて浮動体の上下方向の位置を検知し潤滑油の量が適正量であるか否かを判断する。
好ましくは、制御手段は、駆動機関の始動後において位置検出手段の出力に応じて浮動体の上下方向の位置を検知し浮動体の上下方向の位置が第1のレベルを下回ったときは、駆動機関の運転状態を通常運転状態とは異なる第1の警告状態とする。
より好ましくは、制御手段は、駆動機関の始動後において浮動体の上下方向の位置が第1のレベルより下の第2のレベルを下回ったときは、第1の警告状態よりもさらに警告度の高い第2の警告状態とする。
好ましくは、位置検出手段は、筒部の上端に付設される超音波を送受信する信号送受信手段と、浮動体の上面に設けられる反射面とを含み、制御手段は、超音波の受信強度が低下すると潤滑油の劣化を報知する。
好ましくは、車両は潤滑油の温度を上昇させるヒータをさらに備え、制御手段は、駆動機関の始動後において位置検出手段の出力に応じて浮動体の上下方向の位置を検知し浮動体の上下方向の位置が所定の第3のレベルを上回ったときは、ヒータを動作させる。
本発明によれば、浮動体が拘束手段によって取囲まれており、潤滑油表面の波に浮動体が影響されることを防ぐことができ、安定して潤滑油のレベルを検出することができる。
また、信号送受信部が筒部の上部に設けられているので、汚れの付着に対しても有利である。
さらに、浮動体の比重を調整することにより、潤滑油の燃料等による希釈を検出することができる。
さらに、潤滑油の状況を把握し、車両を駆動する駆動機関の運転を適切に制御することができる。
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の検知装置を搭載する車両の駆動を行なう内燃機関を示した図である。
図1を参照して、この内燃機関は、ヘッドカバー16と、シリンダブロック17と、オイルパン74とを含む。
この内燃機関は、さらに、ヘッドカバー16に吸気を導入するための吸気通路11と、ヘッドカバー16から排気を行なうための排気通路13と、内燃機関の回転速度を検知する回転速度センサ43と、シリンダブロックを冷却する水温を検知する水温センサ45と、オイルパン74の中に保持される潤滑油の状況を把握する検知装置47と、吸気通路11に設けられ吸入空気量を検出する吸入空気量センサ42と、アクセルペダル60の近傍に設けられ踏込量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ44と、排気通路13に設けられ排気の酸素濃度に基づいて空燃費を検出するための酸素センサ46と、潤滑油の温度を上昇させるためのヒータ48とを含む。
この内燃機関は、さらに、各種センサの出力を受け、点火プラグ22の点火時期や燃料噴射弁20から噴射される燃料の量および噴射タイミングを制御するエンジン制御ユニット(ECU)50を含む。ECU50はまた、各種センサの出力を観測し、これらに異常が観測されると表示部30に警告表示を点灯させるように指示する。ECU50は、検知装置47および水温センサ45の出力に応じて、潤滑油の温度を上昇させるヒータ48を制御する。
シリンダブロック17は、シリンダ17Aとクランクケース17Bとを含む。シリンダ17Aの内部には、ピストン14が往復動可能に設けられている。ピストン14の上部と気筒内周面18とにより燃焼室12が区画形成されている。燃焼室12には吸気通路11および排気通路13がそれぞれ接続される。吸気通路11の途中にはスロットルバルブ26が設けられており、このスロットルバルブ26により燃焼室12に導入される吸入空気の量が調整される。
吸気弁12が開いているときに燃焼室12に導入された吸入空気は、燃料噴射弁20から噴射される燃料と混合されて混合気となる。そしてこの混合気は点火プラグ22の点火によって爆発燃焼した後に、排気弁23の開弁時に燃焼室12から排気通路13に排出される。排気通路13には排気浄化機能を有した触媒装置27が設けられている。
クランクケース17Bの下部には、オイルパン74が取付けられており、オイルパン74には潤滑油が所定量保持されている。保持されている潤滑油は、潤滑油供給装置72によって内燃機関の各部に供給される。潤滑油供給装置72は、図示しないオイルポンプ、フィルタおよびオイルジェット機構などを含む。
オイルパン74内の潤滑油は、フィルタを介してオイルポンプにより吸引されオイルジェット機構に供給される。そして、ピストン14と気筒内周面18との間を循環するために、オイルジェット機構によって気筒内周面18に潤滑油が供給される。その後、潤滑油はピストン14が往復動するのに伴い、図1中に破線矢印で示すように気筒内周面18からクランクケース17Bを伝ってオイルパン74に戻される。
図2は、図1における検知装置47の構成を示した図である。
図2を参照して、検知装置47は、潤滑油の比重以下の所定の比重を有するフロート104と、フロート104の周囲を取囲み、フロート104の水平方向の位置を拘束する円筒ガイド101と、フロート104の上下方向の位置を検出する位置検出手段である超音波発信機102および超音波受信機103とを含む。
円筒ガイド101には、周囲の潤滑油のレベルが変動したことに応じてフロート104が上下方向に可動なように複数の空気孔111が設けられている。この空気孔の位置は、潤滑油の液面の変動が及ばない位置に設けられており、潤滑油表面の波は円筒ガイド101によって遮られフロート104は潤滑油の表面の平均的な位置に保持される。
円筒ガイド101にはフロート104が脱落しないように塞ぐ底面113が設けられており、この底面113には潤滑油の浸入が可能なように孔が設けられている。なお、この底面は潤滑油が通過でき、またフロート104が脱落しない機能を果たすものであればよく、金属製の網のようなものでもよい。網のようなものでも潤滑油が浸入可能なような多数の孔が設けられていることになる。
検知装置47の構成によれば、超音波の伝達時間で潤滑油表面までの距離を計測することができる。フロート104の表面にはこの超音波を反射しやすいような反射面112が設けられており、この反射面はたとえば金属板やセラミックス板などで構成される。フロート104の平均密度は、オイル密度の0.5〜1倍程度とするのがよい。フロート104は円筒ガイド101の内部で上下方向に自由に動くことができるため、潤滑油の量が変動するとこれに伴いフロート104の上下方向の位置も変動する。
図3は、フロート104の比重の設定について説明するための図である。
図3を参照して、気泡なし、すなわち気泡が0%の潤滑油の比重をdとする。これに対し潤滑油に気泡がA%混入した状態を検出する場合に設定するフロートの比重aは次のように定まる。水平軸において気泡なしの比重dを基準としてこの点からマイナス方向にA%のところに縦に破線を引く。この破線が1対1のラインと交差した点に白丸がプロットされている。この白丸の垂直方向の位置がフロートの比重aを示す。すなわち比重aは次式(1)で示される。
a=d*(100−A)/100…(1)
図4は、検知装置47が観測する潤滑油のレベルについて説明するための図である。
図4は、検知装置47が観測する潤滑油のレベルについて説明するための図である。
図4を参照して、超音波発信機102から発射される超音波が反射面112によって反射され、そして超音波受信機103で受信される。この発射から受信までに要した時間、すなわち反射時間を測定することにより潤滑油の表面位置を検出することができる。
また潤滑油の表面に存在する気泡と潤滑油が混じった気泡層の存在についていは、反射された超音波がG%以上強度低下することによって表面泡の異常を検出することができる。
エンジン始動前は潤滑油はオイルパンに集結しているので運転時の場合とレベルが異なる。すなわち静的なオイルレベルに対し運転時のオイルレベルは若干下がる。図4では、この運転時オイルレベルと静的オイルレベルとを横に並べてその関係を示している。
運転時オイルレベルとして、上から順に異常上昇と判定するレベル、設計上限レベル、設計中央レベル、設計下限レベル、異常低下と判定するレベルが示されている。運転時オイルレベルの異常上昇と判定するレベルはKに設定されている。また運転時オイルレベルの異常低下と判定するレベルはHと設定されている。
また運転時オイルレベルは、これに加えて計測最下限レベルが設定される。運転時オイルレベルの計測最下限と判定するレベルはEと設定されている。なおこの計測最下限が検出される場合は潤滑油中の泡が異常に発生した場合である。これはたとえば、潤滑油を多く入れすぎてしまい、内燃機関の可動部分と潤滑油とが干渉しているような場合が考えられる。このような場合にはフロート104は最下限値まで沈んでしまう。
運転時オイルレベルの右側に、各レベルに対応する静的オイルレベルが示されている。静的オイルレベルにおいて異常上昇と判定されるレベルはCと設定されている。また異常低下と判定されるレベルはDと設定されている。
検知装置47を用いることにより、反射時間の測定によりオイルレベルを検出しまた減衰率の測定により気泡層の厚さを計測できる。さらにフロートの密度を調整することで、潤滑油中に大量に気泡が混入したときにフロートを沈ませてこの状況を検知することができる。この場合には減衰率も増加するので単に潤滑油量が減っただけではなく、大量の気泡が混入したということが検出できる。
図5は、図1におけるECU50の制御を説明するための図である。
図においてA,C,D,E,F,G,H,J,K,L,aは設計値であり、適切な値が選択される。
まずステップS1において、イグニッションスイッチがユーザにより操作される。イグニッションスイッチは、オフ、アクセサリオン、オン、エンジンスタートの4つの位置のいずれかに設定される。ステップS1でイグニッションスイッチがアクセサリオンの位置に設定されると、ステップS2において検知装置47によって超音波信号が発射され、これによるフロート104の位置が計測される。これは先に説明したように超音波の反射時間によって換算して求められる。
図6は、図1のメモリ52に保持されるデータを説明するための図である。
図6に示すように、時刻t1〜tnに対応するフロート位置X1〜Xn、反射強度Y1〜Ynが取得され、メモリ52に保持される。ステップS2の測定結果はこの第1回目の測定時間t1の測定結果に対応する。
再び図5を参照して、ステップS2の測定が終了し、続いてステップS3に進む。ステップS3では、フロートの位置が図4で説明した静的オイルレベルの異常上昇と判定する設定値Cと異常低下と判定する設定値Dの間の範囲にあるか否かが判定される。
ステップS3において測定されたフロートの位置が設定値Cと設定値Dのレベルの間の範囲になければステップS4に進みオイルレベル異常と判定され、そしてステップS5においてECU50は表示部30にオイル点検の警告灯を点灯させるように指示する。またECU50は、点火プラグ22および燃料噴射弁20に対してエンジンの始動を停止する制御を行なう。その場合はオイルレベルの異常が解消するように修理工場に車両が運搬され修理が行なわれる。
一方、ステップS3において静的オイルレベルが設定値C〜Dの範囲内にあると判定されるとステップS6に進み、イグニッションスイッチの設定に応じてエンジンの運転が開始される。
そして、以降ステップS7、S8、S9、S10の処理が順次行なわれる。
まずステップS7では潤滑油中の泡が異常に発生していないかどうかが判断される。まずステップS71において、検知装置47において超音波信号によるフロートの位置計測が行なわれる。これは超音波の反射時間を換算することにより求められる。この計測がF秒以上続けられその結果がメモリ52に保持される。なお、必要に応じて検出されたフロート位置に対して平均化処理を行なってもよい。
続いてステップS72においてフロート104の位置が図4で説明したレベルEにF秒以上あるか否かが判断される。ステップS72においてフロート位置がレベルEにF秒以上あると判断された場合にはステップS73に進み、潤滑油中の泡が異常発生していることが検出される。このケースはたとえば潤滑油を入れすぎたため内燃機関の可動部分と干渉して潤滑油が泡立てられてしまいフロートが最下限値まで沈み込んでしまったようなケースが考えられる。
この場合にはステップS74において、ECUは、内燃機関の運転状態を通常状態とは異なる警告状態に設定する。具体的には、ECU50が表示部30にオイル交換警告灯を点灯するように指示し、また燃料噴射弁20および点火プラグ22に対して回転数やトルクをあまり大きくしないように制限する制御を行なう。これによりユーザはエンジンに悪影響がでない程度の回転数でエンジンを動かして修理工場に車両を自力で運ぶことが可能である。そして、ステップS74が終了すると制御はステップS11に進む。
一方、ステップS72においてフロート位置がレベルEにF秒以上ないと判断された場合には、油中泡の異常は発生していないと考えられるため、ステップS8に進む。
ステップS8では潤滑油の表面の泡の異常が検出される。まずステップS81において、検知装置47によって超音波信号による反射強度の検出が行なわれ、この結果が図1のメモリ52に保持される。
そしてステップS82に進み、反射強度がG%以上強度低下しているかいないかが判断される。反射強度がG%以上低下している場合にはステップS83に進み、表面泡が異常に発生していることが検出される。この場合は、たとえば潤滑油中の消泡剤の効果が薄れてしまったことなどが原因として考えられる。この場合にはステップS84においてECU50は潤滑油の劣化をユーザに報知する。具体的には、表示部30にオイル交換警告灯を点灯するように指示する。そして、ステップS84が終了するとステップS11に進む。
一方、ステップS82において、反射強度がG%以上低下していない場合は、ステップS9に進む。ステップS9ではオイルレベルの低下が異常に起っていないかどうかが判断される。まず、ステップS91において検知装置47によって超音波信号によるフロート104の位置が計測される。これは超音波の反射時間を換算することにより求められる。この計測がJ秒以上続けられその結果が図1のメモリ52に保持される。なお、必要に応じて検出されたフロート位置に対して平均化処理を行なってもよい。
そしてステップS92に進み、フロート104の位置が図4で説明したレベルHにJ秒以上存在しているか否かが判断される。
ステップS92においてフロート位置がレベルHにJ秒以上存在していると判断された場合にはステップS93に進む。ステップS93ではオイルレベルが異常に低下したと判断され、ステップS94においてECUは、内燃機関の運転状態を通常状態とは異なる警告状態に設定する。ただし、この場合にはオイルを補充すれば解消すると考えられるので警告度合いはステップS74の警告状態よりも低い。
具体的には、ECU50は表示部30に対してオイルの補充警告灯を点灯するように指示する。また潤滑油の量が少ないためエンジンに無理な運転をさせないように燃料噴射弁20および点火プラグ22を制御して回転/トルクを制限する制御を行なう。そして、ステップS94が終了するとステップS11に進む。
一方、ステップS92においてフロート位置がレベルHにJ秒以上無かったと判断されれば、ステップS10に進む。
ステップS10においては、オイルレベルの異常上昇が発生していないかどうかが判断される。まずステップS101において、検知装置47によって超音波信号によるフロートの位置計測がなされる。反射時間が計測されてこれがフロートの位置に換算される。この処理をL秒以上行ない、そして、その結果が図1のメモリ52に保持されフロートの位置の変動が観測される。なお、必要に応じて検出されたフロート位置に対して平均化処理を行なってもよい。
そしてステップS102において。フロート104の位置が図4で説明したレベルKにL秒以上あるかどうかが判断される
ステップS102においてフロート104の位置がレベルKにL秒以上あったと判断されれば、ステップS103に進みオイルレベルの上昇異常と判断され、ステップS104においてECU50は表示部30に対してオイル交換警告灯を点灯させるように指示する。このようなオイルレベルの異常な上昇は、たとえばピストンリングの隙間から燃焼室の未燃焼の燃料がオイルパン74の潤滑油中に繰返し混入し蓄積された場合等が考えられる。なお、このような状況は内燃機関の冷間時に発生しやすいので、図1のヒータ48をオンさせて潤滑油中に混入した未燃焼の燃料の揮発を促してもよい。
ステップS102においてフロート104の位置がレベルKにL秒以上あったと判断されれば、ステップS103に進みオイルレベルの上昇異常と判断され、ステップS104においてECU50は表示部30に対してオイル交換警告灯を点灯させるように指示する。このようなオイルレベルの異常な上昇は、たとえばピストンリングの隙間から燃焼室の未燃焼の燃料がオイルパン74の潤滑油中に繰返し混入し蓄積された場合等が考えられる。なお、このような状況は内燃機関の冷間時に発生しやすいので、図1のヒータ48をオンさせて潤滑油中に混入した未燃焼の燃料の揮発を促してもよい。
そして、ステップS104が終了するとステップS11に進む。
一方、ステップS102においてフロート104の位置がレベルKにL秒以上無かったと判断されればステップS11に進む。
ステップS11では、イグニッションスイッチがオフされることにより、エンジン停止が発生したか否かが判断される。エンジン停止していない場合には、再びステップS7〜S10の処理が繰返し行なわれる。
一方、ステップS11においてエンジンが停止したと判断されれば、ステップS1に進み、再びイグニッションスイッチがアクセサリオンの位置に設定されるのを待つことになる。
[実施の形態の変形例]
近年、燃料噴射弁から燃料を気筒内に直接噴射するようにした筒内噴射式内燃機関を搭載する車両が見られる。この筒内噴射式内燃機関は、直噴ガソリンエンジンとも呼ばれ、点火プラグの周辺に燃えやすい濃い目の混合気を集中させ、トータルとして薄い空燃比(Air/Fuel)の混合気を燃焼させて燃費の改善を図るものである。
近年、燃料噴射弁から燃料を気筒内に直接噴射するようにした筒内噴射式内燃機関を搭載する車両が見られる。この筒内噴射式内燃機関は、直噴ガソリンエンジンとも呼ばれ、点火プラグの周辺に燃えやすい濃い目の混合気を集中させ、トータルとして薄い空燃比(Air/Fuel)の混合気を燃焼させて燃費の改善を図るものである。
筒内噴射式内燃機関は、吸気ポート噴射式内燃機関とは異なり、燃料噴射弁の噴射口と気筒内周面との間の距離が極めて短いため、噴射燃料が気筒内周面に直接衝突し得る。
特に、機関冷間時にあっては、気筒内における燃料の霧化が促進されにくく、噴射燃料の一部が燃焼せずに気筒内周面に付着したままの状態となりやすい。気筒内周面には、予めピストンの潤滑のために潤滑油が付着しており、この潤滑油に燃料が混合した状態となる。
そして、燃料が混合した気筒内周面の潤滑油はピストンが上下動するのに伴ってピストンリングによって掻き落とされ、クランクケースを伝って所定量の潤滑油が保持されているオイルパンに戻される。これが繰返されるとオイルパンの潤滑油が燃料によって希釈されてしまう。
ディーゼルエンジンの場合は、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)の装着が近年叫ばれているが、この種の装置でもフィルタで捕捉した微粒子を燃焼させるために後噴射を行なわせることが考えられている。この場合においても、後噴射した燃料の一部が気筒の内壁に付着し潤滑油が燃料によって希釈されてしまう。
特に機関冷間時にあっては潤滑油の燃料希釈が頻発し、クランクケース内の潤滑油全体に混入する燃料の割合が徐々に増大するようになる。燃料によって潤滑油の希釈が起こると、潤滑油の潤滑性能が低下してしまうのでこれを観測することが望ましい。
本発明によれば、フロートの比重を調整することにより、潤滑油の燃料による希釈を検出することも可能となる。
図7は、燃料による潤滑油の希釈を検出する場合のフロートの比重の設定を説明するための図である。
図7を参照して、潤滑油の比重はおよそ0.87であり、これに対し燃料の比重はおよそ0.73である。したがって燃料の比重は潤滑油のおよそ8割から9割程度である。図3で示した気泡の場合と同様に図7においてもA%の燃料による希釈が起った場合の潤滑油の比重を水平軸にプロットし、これに垂直な破線を引く。この破線が1対1のラインと交差した点がフロートの比重aである。
図8は、燃料の希釈に対するECU50の処理を説明するためのフローチャートである。
図8を参照して、まずステップS201においてイグニッションキーがアクセサリオンの位置に設定されると、続いてステップS202において検知装置47を用いて超音波信号によるフロートの位置の計測が行なわれる。そしてステップS203に進み、イグニッションスイッチがオンの位置に設定されることによりエンジンの運転が開始される。
続いてステップS204において、検知装置47を用いて超音波信号によるフロートの位置の計測が行なわれる。この計測はF秒以上行なわれ、フロートの位置の変化が観測される。このとき図6に示したようにフロートの位置が図1のメモリ52に保持される。そしてステップS205に進み、フロート104の位置が図4で説明したレベルEにF秒以上あるか否かが判断される。
ステップS205においてフロート104の位置がレベルEにF秒以上あると判断された場合にはステップS206に進み、希釈の異常検出と判定されステップS207に進む。ステップS207では、ECU50は表示部30に対してオイル交換警告灯を点灯させ、そして点火プラグ22および燃料噴射弁20を制御して、エンジンに無理な運転をさせないように内燃機関の回転およびトルクの制限を行なう。
このとき、ECU50は、触媒装置27に未燃焼の燃料を供給する後噴射を行なわないようにする。場合によっては図1のヒータ48を動作させ、潤滑油の温度を上昇させ燃料成分を揮発させてもよい。ステップS207が終了すると、制御はステップS208に進む。
一方、ステップS205においてフロート104の位置がレベルEにF秒以上無かったと判断された場合には直接ステップS208に進む。
ステップS208では、イグニッションスイッチがオフされることによりエンジン停止されたか否かが判断される。エンジン停止がされていない場合にはステップS204に進み、再び超音波信号を用いて検知装置47におけるフロートの位置の計測がなされる。
一方、ステップS208においてエンジン停止されたと判断された場合にはステップS201におけるイグニッションスイッチがアクセサリオンの位置に設定されることを待つことになる。
以上説明したように、本発明によれば、油表面の波の影響を減らしつつ超音波の反射時間を測定することによりオイルレベルを安定的に検出し、また超音波の減衰率の測定により気泡層の厚さを計測できる。さらにフロートの密度を調整することで、潤滑油中に大量に気泡が混入したときにフロートを沈ませてこの状況を検知することができる。この場合には減衰率も増加するので単に潤滑油量が減っただけではなく、大量の気泡が混入したということが検出できる。さらには、燃料混入による潤滑油の比重の変化を検出し潤滑油の希釈が発生したことを検出することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 吸気通路、12 吸気弁、12 燃焼室、13 排気通路、14 ピストン、16 ヘッドカバー、17 シリンダブロック、17A シリンダ、17B クランクケース、18 気筒内周面、20 燃料噴射弁、22 点火プラグ、23 排気弁、26 スロットルバルブ、27 触媒装置、30 表示部、42 吸入空気量センサ、43 回転速度センサ、44 アクセルセンサ、45 水温センサ、46 酸素センサ、47 検知装置、48 ヒータ、52 メモリ、60 アクセルペダル、72 潤滑油供給装置、74 オイルパン、101 円筒ガイド、102 超音波発信機、103 超音波受信機、104 フロート、111 空気孔、112 反射面、113 底面。
Claims (14)
- 潤滑油の状況を検知する検知装置であって、
前記潤滑油の比重以下の所定の比重を有する浮動体と、
前記浮動体の周囲を取り囲み、前記浮動体の水平方向の位置を拘束する拘束手段と、
前記浮動体の上下方向の位置を検出する位置検出手段とを備える、検知装置。 - 前記拘束手段は、
前記浮動体を内部に収容し、少なくとも1箇所の空気孔が設けられた筒部と、
前記潤滑油が浸入可能なように孔が設けられ、前記筒部の底面を前記浮動体が脱落しないように塞ぐ底面とを含む、請求項1に記載の検知装置。 - 前記浮動体は、前記潤滑油の把握すべき状況に応じて比重が定められる、請求項1または2に記載の検知装置。
- 前記把握すべき状況は、前記潤滑油に気泡が混入した状況であり、
前記浮動体の比重は所定量の気泡が混入した状態の前記潤滑油の比重に基づいて定められる、請求項3に記載の検知装置。 - 前記把握すべき状況は、前記潤滑油に燃料が混入した状況であり、
前記浮動体の比重は所定量の燃料が混入した状態の前記潤滑油の比重に基づいて定められる、請求項3に記載の検知装置。 - 前記空気孔は、前記潤滑油のレベル検出予定範囲より上部に設けられる、請求項2に記載の検知装置。
- 前記位置検出手段は、
前記筒部の上端に付設される信号送受信手段と、
前記浮動体の上面に設けられる反射面とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検知装置。 - 前記信号送受信手段によって送受信される信号は、超音波である、請求項7に記載の検知装置。
- 潤滑油の状況を検知する検知装置を備え、
前記検知装置は、
前記潤滑油の比重以下の所定の比重を有する浮動体と、
前記浮動体の周囲を取り囲み、前記浮動体の水平方向の位置を拘束する拘束手段と、
前記浮動体の上下方向の位置を検出する位置検出手段とを含み、
前記検知装置によって状況が把握される潤滑油により潤滑が行なわれる駆動機関と、
前記検知装置の出力に応じて前記駆動機関の運転を制御する制御手段とをさらに備える、車両。 - 前記制御手段は、前記駆動機関の始動が予告されると、前記駆動機関を始動する前に前記位置検出手段の出力に応じて前記浮動体の上下方向の位置を検知し前記潤滑油の量が適正量であるか否かを判断する、請求項9に記載の車両。
- 前記制御手段は、前記駆動機関の始動後において前記位置検出手段の出力に応じて前記浮動体の上下方向の位置を検知し前記浮動体の上下方向の位置が第1のレベルを下回ったときは、前記駆動機関の運転状態を通常運転状態とは異なる第1の警告状態とする、請求項9に記載の車両。
- 前記制御手段は、前記駆動機関の始動後において前記浮動体の上下方向の位置が第1のレベルより下の第2のレベルを下回ったときは、前記第1の警告状態よりもさらに警告度の高い第2の警告状態とする、請求項11に記載の車両。
- 前記位置検出手段は、
前記筒部の上端に付設される超音波を送受信する信号送受信手段と、
前記浮動体の上面に設けられる反射面とを含み、
前記制御手段は、前記超音波の受信強度が低下すると前記潤滑油の劣化を報知する、請求項9に記載の車両。 - 前記潤滑油の温度を上昇させるヒータをさらに備え、
前記制御手段は、前記駆動機関の始動後において前記位置検出手段の出力に応じて前記浮動体の上下方向の位置を検知し前記浮動体の上下方向の位置が所定の第3のレベルを上回ったときは、前記ヒータを動作させる、請求項9に記載の車両。
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