JP2004150374A - 内燃機関のオイルレベル検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルレベルを適正に検出できるとともに、路面状態による誤検出を確実に防止できることにより、オイルレベル検出の信頼性を向上させることができる内燃機関のオイルレベル検出装置を提供する。
【解決手段】車両4に搭載された内燃機関3のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ7と、車両4が走行または停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような所定の路面状態にあるか否かを判別する路面状態判別手段2と、この路面状態判別手段により、車両4が所定の路面状態であると判別されたときに、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止する検出禁止手段2と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】車両4に搭載された内燃機関3のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ7と、車両4が走行または停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような所定の路面状態にあるか否かを判別する路面状態判別手段2と、この路面状態判別手段により、車両4が所定の路面状態であると判別されたときに、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止する検出禁止手段2と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された内燃機関のオイルパンに貯留されたエンジンオイルのオイルレベルを検出するための内燃機関のオイルレベル検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関には、その作動の際の潤滑作用や冷却作用などのために、エンジンオイルが用いられている。エンジンオイルは一般に、内燃機関の底部に設けられたオイルパンに貯留されており、内燃機関の始動と同時に、それによって駆動されるオイルポンプで吸い上げられ、内燃機関の各構成部分に送られる。その後、エンジンオイルは、内燃機関内のオイル循環流路を通って、再びオイルパンに戻される。このように、内燃機関の運転中、エンジンオイルは内燃機関内を循環する。
【0003】
このようなエンジンオイルは、上記作用が適切に行われるために、内燃機関の排気量などに応じた適正な所定範囲内の量(以下「適正量」という)に、常時保たれていることが必要である。一方、エンジンオイルは、内燃機関内を循環する際に、シリンダ内で混合気に混ざり、これとともに燃焼されることなどによって徐々に減少する。そのため、内燃機関内のエンジンオイルが適正量であるか否かを監視する必要があり、そのための機器として、オイルレベルセンサを有するオイルレベル検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このオイルレベル検出装置のオイルレベルセンサは、フロート式のものであり、オイルパン内のエンジンオイルのオイルレベル、すなわちエンジンオイルの液面の高さを検出し、その検出結果に基づいて、エンジンオイルが適正量であるか否かを判別する。そして、オイルパン内のエンジンオイルが減少し、そのオイルレベルが下限レベル以下に低下したときには、警告ランプを点灯することなどにより、エンジンオイルの不足が運転者に報知される。また、このオイルレベル検出装置では、オイルレベルの一時的な低下による警告発生を回避するために、内燃機関の回転数に応じて遅延時間を設定し、その遅延時間にわたってオイルレベルの低下状態が継続したときに、エンジンオイルが確かに不足しているとして、警告を発するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−280620号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のオイルレベル検出装置では、オイルパン内のエンジンオイルの液面が安定した水平状態であれば、その液面の昇降に伴ってフロートが昇降することにより、オイルレベルを適正に検出することが可能である。しかし、車両が走行する路面状態によっては、オイルパン内のエンジンオイルの液面が大きく揺れたり、傾斜したりすることがあるため、そのような場合には、オイルレベルセンサで検出されるオイルレベルが本来の検出値からずれることがある。このように、オイルレベルが誤検出されると、オイルパン内のエンジンオイルが適正量であるか否かを適正に判別することができない。また、上記のオイルレベル検出装置では、オイルレベルセンサの検出結果に基づき、警告の制御がなされるため、上記のようにオイルレベルが誤検出されると、警告を適切に行えなくなってしまう。以上のように、このオイルレベル検出装置では、オイルレベル検出の信頼性に乏しい。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、オイルレベルを適正に検出できるとともに、路面状態による誤検出を確実に防止できることにより、オイルレベル検出の信頼性を向上させることができる内燃機関のオイルレベル検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る内燃機関のオイルレベル検出装置は、車両4に搭載された内燃機関(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン3)のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ7と、車両4が走行または停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような所定の路面状態にあるか否かを判別する路面状態判別手段(ECU2、図6のステップ61、63、64)と、この路面状態判別手段により、路面が所定の路面状態であると判別されたときに、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止する検出禁止手段(ECU2、図6のステップ62)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、路面状態判別手段により、車両が走行または停止している路面が上記所定の路面状態、すなわち内燃機関のオイルパン内のオイルレベルに影響を及ぼすような路面状態であることが判別されたときに、検出禁止手段が、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。このように、路面が、オイルパン内のオイルレベルに影響を及ぼすような路面状態であるときには、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出が不適であるとして、そのオイルレベル検出を禁止、すなわちオイルレベル検出を実行しない一方、それ以外のときに、オイルレベルセンサでオイルレベルを検出することにより、オイルレベルを適正に検出できるとともに、オイルレベルの誤検出を確実に防止することができる。その結果、オイルレベル検出の信頼性を、従来に比べて大幅に向上させることができる。また、オイルレベルセンサでオイルレベルを適正に検出できることにより、その検出結果に基づく処理、例えば警告処理などを適切に行うことができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、悪路状態である(図6のステップ61:YES)ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、所定の路面状態が、悪路状態であるときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。一般に、車両が悪路を走行する場合には、オイルパン内のエンジンオイルの液面が大きく揺れる。したがって、悪路状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、路面が左右方向に所定角度以上傾斜している状態である(図6のステップ63:YES)ことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、所定の路面状態が、左右方向に所定角度以上傾斜している状態であるときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。通常、車両が上記のように左右方向に傾斜した路面を走行する場合には、これに伴い、オイルパン内のエンジンオイルの液面が、オイルパンに対し相対的に傾斜する。このため、エンジンオイル量が一定であっても、オイルパンへのオイルレベルセンサの取付位置などによっては、オイルレベルセンサによるオイルレベルの検出値が、本来の値から大きくずれるおそれがある。したがって、そのような左右傾斜の路面状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、路面が前後方向に所定角度以上傾斜している状態である(図6のステップ64:YES)ことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、所定の路面状態が、前後方向に所定角度以上傾斜している状態のときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。車両が上記のように前後方向に傾斜している路面を走行する場合も、上述した左右傾斜の路面状態の場合と同様の問題が生じる。したがって、そのような前後傾斜の路面状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項5に係る内燃機関のオイルレベル検出装置は、車両4に搭載された内燃機関3のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ20と、車両4の傾斜状態を検出する傾斜状態検出手段(ECU2、左右傾斜センサ11、前後傾斜センサ12)と、検出された車両4の傾斜状態に応じて、オイルレベルセンサ20で検出されたオイルレベルOLを補正するオイルレベル補正手段(ECU2、図10のステップ101、102)と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、車両の傾斜状態を検出し、その検出結果に応じて、オイルレベルセンサで検出されたオイルレベルを補正する。通常、車両が左右方向や前後方向に傾斜した走行路を走行する際に、その車両は、走行路に沿って傾斜し、これに伴い、エンジンオイルの液面は、車両の傾斜状態に応じて、オイルパンに対し相対的に傾斜する。したがって、検出された実際の車両の傾斜状態に応じて、オイルレベルセンサの検出値を補正することにより、車両が傾斜した状態であっても、オイルパン内の適正なオイルレベルを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明による内燃機関のオイルレベル検出装置(以下、単に「オイルレベル検出装置」という)、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示している。同図に示すように、このオイルレベル検出装置1は、ECU2を備えており、このECU2は、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、後述する処理を実行する。
【0019】
エンジン3は、例えば前輪駆動式の車両4に搭載された4サイクル・ガソリンエンジンである。エンジン3のエンジン本体5の下部は、オイルパン6になっており、オイルパン6には、エンジンオイルEOが貯留されている。エンジンオイルEOは、エンジン3の運転時、それにより駆動されるオイルポンプ(図示せず)によって、エンジン3の各構成部分に送られ、これらの潤滑作用や冷却作用などを行う。また、エンジンオイルEOは、エンジン3の各構成部分に送られた後、戻し流路(図示せず)を介して、オイルパン6に戻され、エンジン3内を循環する。
【0020】
オイルパン6には、エンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するためのオイルレベルセンサ7が取り付けられている。オイルレベルセンサ7は、上限スイッチ7aおよび下限スイッチ7bで構成されており、図2に示すように、これらはいずれも、フロート7cを有するフロート式のものである。上限スイッチ7aは、オイルレベルOLが所定の第1上限レベルOLH1を上回ったときにON信号を出力し、それよりも低い所定の第2上限レベルOLH2を下回ったときにOFF信号を出力するように構成されている。同様に、下限スイッチ7bは、オイルレベルOLが、上記第2上限レベルOLH2よりも低い所定の第1下限レベルOLL1を上回ったときにOFF信号を出力し、それよりも低い所定の第2下限レベルOLL2を下回ったときにON信号を出力する。これらの上・下限スイッチ7a、7bのON/OFF信号は、ECU2に送られる。
【0021】
オイルパン6にはさらに、エンジンオイルEOの温度(以下「オイル温度」という)TOILを検出するオイル温度センサ8が設けられており、その検出信号はECU2に出力される。
【0022】
また、エンジン3のクランクシャフト3aには、クランク角センサ9が設けられている。クランク角センサ9は、クランクシャフト3aの回転に伴い、所定のクランク角(例えば30度)ごとに、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。ECU2は、このCRK信号に基づいて、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
【0023】
さらに、車両4が走行あるいは停止している路面の状態を検出する路面状態検出手段として、従動輪である左右の後輪(図示せず)には、それらの車輪速度VL、VRを検出する左右の車輪速度センサ10L、10Rが、車両4の所定の部位には、車両4の左右方向および前後方向の傾斜角度(以下それぞれ「左右傾斜角度ALR」および「登降坂角度AFR」という)をそれぞれ検出する左右傾斜センサ11および前後傾斜センサ12が設けられており、それらの検出信号はECU2に出力される。
【0024】
また、ECU2には、エンジン水温センサ13から、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が出力される。また、ECU2には、図示しない警告ランプや表示器などを有する警告表示装置14が接続されており、ECU2から出力された信号に基づいて、エンジンオイルに関する警告を運転者に報知する。
【0025】
また、車両4のダッシュボード(図示せず)には、リセットスイッチ15が設けられている。リセットスイッチ15は、エンジンオイルを交換したときに運転者などによって操作されるものであり、その操作状態に応じたON/OFF信号がECU2に出力される。
【0026】
ECU2は、本実施形態において、路面状態判別手段、検出禁止手段、傾斜状態検出手段およびオイルレベル補正手段を構成するものである。ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種センサ7〜13からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0027】
CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運転状態や、車両4が走行あるいは停止している路面の状態を判別するとともに、その判別結果に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、以下のような制御処理を実行する。
【0028】
次に、図3〜図8を参照しながら、エンジンオイルのオイルレベル判定処理について説明する。図3は、オイルレベル判定処理のメインフローである。本処理は、所定時間(例えば1秒)ごとに実行される。なお、以下の説明では、ROMにあらかじめ記憶されている固定値については、その先頭に「#」を付し、更新される他の変数と区別するものとする。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、リセットスイッチ入力処理が実行される。
【0029】
このリセットスイッチ入力処理は、リセットスイッチ15が所定時間、ONされた状態が継続したときに、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「1」にセットする処理である。図4に示すように、本処理ではまず、ステップ11において、リセットスイッチ15がON状態であるか否かを判別する。また、エンジンオイルの交換時には一般に、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aがON状態になる程度に、すなわちオイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を若干上回る程度に、多量のエンジンオイルEOがオイルパン6に貯留される。なお、このような交換に加えて、エンジンオイルEOが不足した場合に補充する場合も、オイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を若干上回る程度に補充される。
【0030】
上記ステップ11の判別結果がNOで、リセットスイッチ15が押されていないときには、ダウンカウントタイマであるリセットタイマTOILRSTを、所定時間#TMOILRST(例えば10秒)にセットするとともに(ステップ12)、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にセットし、本処理を終了する。一方、ステップ11の判別結果がYESで、リセットスイッチ15が押されているときには、ステップ14で、リセットタイマTOILRSTが値0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちリセットスイッチ15が押された状態が、所定時間#TMOILRST継続したときには、オイル交換がなされたことを表すためにオイル交換判定フラグF_OILRSTを「1」にセットし(ステップ15)、本処理を終了する。なお、説明は省略するが、オイル交換判定フラグF_OILRSTが「1」にセットされたときには、エンジンオイルEOの劣化などを判定するために用いられる各種のパラメータなどがリセットされる。
【0031】
一方、ステップ14の判別結果がNOで、リセットスイッチ15のON状態が所定時間#TMOILRST継続していないときには、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にセットし(ステップ13)、本処理を終了する。
【0032】
次に、ステップ2に進み、オイルレベル判定処理を実行する。図5に示すように、本処理ではまず、ステップ21において、オイルレベルセンサの故障判定処理を実行する。この故障判定処理では、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aおよび下限スイッチ7bが、ON側あるいはOFF側に固着した状態で故障(以下、それぞれ「ON側固着故障」および「OFF側固着故障」という)しているか否かを判定する。そして、この故障判定処理において、上限スイッチ7aがON側固着故障していると判定されたときには、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」にセットされる。一方、下限スイッチ7bがON側固着故障、あるいはOFF側固着故障していると判定されたときには、それぞれ下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSW、および下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」にセットされる。
【0033】
次いで、ステップ22に進み、オイルレベル検出の実行判定処理を実行する。図6に示すように、本処理ではまず、ステップ61において、車両4が走行している路面が、悪路状態であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、路面が悪路状態であるときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止すべきであるとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。
【0034】
なお、車両4が走行している路面が悪路状態であるか否かの判別手法として、例えば本出願人が既に提案した特許2516780号の手法を採用することが可能である。この判別手法を簡単に説明すると、まず、車輪速度センサ10L、10Rで検出された、従動輪である左右後輪の車輪速度VL、VRの偏差を算出し、この偏差をフィルタリングするとともに、その時間平均値を求める。そして、この時間平均値が所定のしきい値を上回ったときには、路面が悪路状態であると判別する。
【0035】
上記ステップ61の判別結果がNOで、車両4が走行する路面が悪路状態でないときには、左右傾斜センサ11で検出された車両4の左右傾斜角度ALRが、所定角度#ALRREF(例えば15度)以上であるか否かを判別する(ステップ63)。この判別結果がYESのときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止すべきであるとして、前述した路面が悪路状態の場合と同様に、前記ステップ62を実行することにより、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし、本処理を終了する。
【0036】
一方、上記ステップ63の判別結果がNOのときには、前後傾斜センサ12で検出された車両4の登降坂角度AFRが所定角度#AFRREF(例えば15度)以上であるか否かを判別する(ステップ64)。この判別結果がYESのときには、前記左右傾斜の場合と同様に、オイルレベル検出を禁止すべきであるとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。一方、ステップ64の判別結果がNO、すなわち路面が悪路状態でなく、かつ、左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRが、それぞれ所定角度#ALRREFおよび#AFRREF未満であるときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を許可すべきとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「0」にセットし(ステップ65)、本処理を終了する。
【0037】
以上のように、車両4が走行あるいは停止している路面が、悪路状態である場合、ならびに左右方向および/または前後方向に所定角度#ALRREF、#AFRREF以上に傾斜した状態である場合において、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止することにより、オイルパン6内のエンジンオイルEOの液面が大きく揺れることによる誤検出を確実に防止することができる。その結果、誤検出に起因する無用な警告の発生などを確実に防止することができる。
【0038】
なお、車両4の前後方向の傾斜角度を、上記の前後傾斜センサ12を用いることなく、例えば本出願人が既に提案した特開平5−71623号公報に記載の算出手法によって得ることも可能である。この算出手法を簡単に説明すると、まず、車両4が平坦路を走行する際のスロットル弁開度および車速に応じて、予想される加速度(以下「予想加速度」という)をあらかじめ設定する。そして、車両4が実際に走行する際に、その加速度(以下「実加速度」という)を求め、予想加速度と実加速度の偏差に基づいて、車両4の前後方向の傾斜角度を算出する。
【0039】
図5に戻り、上述したステップ22のオイルレベル検出の実行判定処理の後には、ステップ23において、オイルレベル検出禁止フラグF_STPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、オイルレベル検出が禁止されているときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ23の判別結果がNOで、オイルレベル検出が許可されているときには、ステップ24に進み、断線フラグF_OLSWCDISが「1」であるか否かを判別する。
【0040】
この断線フラグF_OLSWCDISは、例えばオイルレベルセンサ7の図示しないカプラが外れたり、回路が断線したりすることなどで、オイルレベルセンサ7から適正な電圧が出力されていないときに、「1」にセットされるものである。したがって、ステップ24の判別結果がYESのときには、オイルレベル判定を適正に行えないとして、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ24の判別結果がNOであるときには、ステップ25に進む。
【0041】
このステップ25では、下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち下限スイッチ7bがON側固着故障していると判定されているときには、後述する下限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ25の判別結果がNOで、下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」でないときには、ステップ26に進み、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち下限スイッチ7bがOFF側固着故障していると判定されているときには、上記と同様に、下限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ26の判別結果がNOで、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」でないときには、ステップ27に進み、下限オイルレベル判定処理を実行する。
【0042】
図7は、下限オイルレベル判定処理を示している。本処理は、下限スイッチ7bのON/OFF状態に応じて、オイルレベルOLが、エンジンオイルの交換が必要な程度まで下降しているか否かを判定する処理である。同図に示すように、本処理ではまず、ステップ71において、図示しないイグニッションスイッチがONされてから、所定時間#TMOILL(例えば10分)が経過したか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ72に進み、エンジン3が所定の定常運転状態であるか否かを判別する。この定常運転状態とは、例えばスロットル弁開度、車速、エンジン回転数NEおよびエンジン水温TWなどが、それぞれの所定の範囲内にある運転状態である。
【0043】
ステップ72の判別結果がYESで、エンジン3が定常運転状態であるときには、ステップ73に進み、エンジンオイルEOのオイル温度TOILが、所定の下限温度#TOILL(例えば0℃)より高く、かつ、上限温度#TOILH(例えば130℃)より低いか否かを判別する。この判別は次の理由による。すなわち、通常、オイル温度TOILが下限温度#TOILLよりも低いときには、エンジンオイルEOの粘度が高く、オイルレベルセンサ7のフロート7cが固着しやすくなることで、オイルレベルOLを誤検出するおそれがある。一方、オイル温度TOILが上限温度#TOILHよりも高いときには、エンジンオイルEOが膨張することで、この場合も、オイルレベルOLを誤検出するおそれがあるからである。
【0044】
ステップ73の判別結果がYESで、#TOILL<TOIL<#TOILHであるときには、ステップ74に進み、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」であるか否かを判別する。このオイルレベル下限フラグF_LOWERは、オイルレベルセンサ7の下限スイッチ7bがON状態のときに、「1」にセットされるフラグである。より具体的には、図2に示すように、エンジンオイルEOのオイルレベルOLが第2下限レベルOLL2を下回っている状態、あるいは、オイルレベルOLが第2下限レベルOLL2を一旦下回った後、第1下限レベルOLL1以下に留まっているときに、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」に保持される。
【0045】
ステップ74の判別結果がYESで、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」であるときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値1だけインクリメントする(ステップ75)。次いで、ステップ76において、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、そのリミット値#CNTLOW(例えば50回)を上回っているか否かを判別する。この判別結果がYESで、COILLOW>#CNTLOWであるときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを、そのリミット値#CNTLOWにセットした(ステップ77)後、後述するステップ81に進む。また、ステップ76の判別結果がNOのときには、ステップ77をスキップしてステップ81に進む。
【0046】
一方、上記ステップ74の判別結果がNOで、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」でないときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値1だけディクリメントする(ステップ78)。次いで、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が0を下回ったか否かを判別し(ステップ79)、その判別結果がYESのときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値0にセットした(ステップ80)後、後述するステップ81に進む。また、ステップ79の判別結果がNOのときには、ステップ80をスキップしてステップ81に進む。
【0047】
このステップ81では、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、所定の警告実行判定値#CNTLON(例えば50)よりも小さいか否かを判別する。この判別結果がNOで、下限オイルレベルカウンタCOILLOWが警告実行判定値#CNTLON以上であるときには、オイルレベルOLが、エンジンオイルの交換や補充が必要な程度まで下降しているとして、その旨を報知するために、オイルレベル警告フラグF_OLWARを「1」にセットするとともに(ステップ82)、その警告を行ったことを表すオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBを「1」にセットし(ステップ83)、本処理を終了する。上記ステップ82で、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「1」にセットされることにより、後述するオイルレベル警告処理において、警告表示装置14の警告ランプが点灯される。なお、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBは、バックアップRAMに記憶されるようになっており、エンジン3の停止後も、そのフラグ値が保持される。
【0048】
一方、ステップ81の判別結果がYESで、COILLOW<#CNTLONのときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、所定の警告解除判定値#CNTLOFF(例えば20)よりも大きいか否かを判別する(ステップ84)。この判別結果がYESのときには、そのまま本処理を終了し、上記ステップ82で「1」にセットしたオイルレベル警告フラグF_OLWARを保持する。一方、ステップ84の判別結果がNOで、COILLOW≦#CNTLOFFであるときには、エンジンオイルEOの交換や補充により、オイルレベルOLが上昇しているとして、オイルレベル警告フラグF_OLWARを「0」にリセットし(ステップ85)、本処理を終了する。これに応じて、点灯中の警告ランプが消灯される。
【0049】
次いで、図5に戻り、前記ステップ27に続くステップ28において、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち上限スイッチ7aがON側固着故障していると判定されているときには、後述する上限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ28の判別結果がNOで、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」でないときには、ステップ29に進み、上限オイルレベル判定処理を実行する。
【0050】
図8は、この上限オイルレベル判定処理を示している。本処理は、上限スイッチ7aのON/OFF状態に応じて、オイルレベルOLが十分に高いレベルにあって、十分な量のエンジンオイルEOが補充されたか否かを判定する処理である。本処理は、所定時間(例えば100ミリ秒)ごとに実行される。同図に示すように、本処理ではまず、ステップ91において、イグニッションスイッチがONされてから、図7の前記ステップ71の所定時間#TMOILLよりも短い所定時間#TMOILU(例えば1秒)が経過したか否かを判別する。この判別結果がYESで、イグニッションスイッチのON時から、所定時間#TMOILUが経過したときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値0にセットし(ステップ92)、本処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ91の判別結果がNOであるとき、すなわちエンジン3がクランキング中であるときには、ステップ93に進み、シフトレバーの位置がPポジションであるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、エンジン水温TWが所定の温度範囲、具体的には下限温度#TWOILUPL(例えば−30℃)より高く、かつ、上限温度#TWOILUPH(例えば100℃)より低いか否かを判別する(ステップ94)。この判別結果がYESで、エンジン水温TWが、#TWOILUPL<TW<#TWOILUPHであるときには、エンジン水温TWが上限オイルレベル判定に適した温度範囲内にあるとして、ステップ95に進む。
【0052】
このステップ95では、エンジン回転数NEが、アイドル回転数#NEOILUPP(例えば800rpm)よりも低いか否かを判別する。この判別結果がYESで、NE<#NEOILUPPであるときには、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」であるか否かを判別する(ステップ96)。このオイルレベル上限フラグF_UPPERは、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aがON状態のときに、「1」にセットされるフラグである。より具体的には、図2に示すように、エンジンオイルEOのオイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を上回っている状態、あるいは、オイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を上回った後、第2上限レベルOLH2以上に留まっているときに、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」に保持される。
【0053】
ステップ96の判別結果がYESで、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」であるときには、ステップ97に進み、前述したオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち図7の下限オイルレベル判定処理でオイルレベルの低下に伴って警告がなされているときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値1だけインクリメントする(ステップ98)。次いで、ステップ99に進み、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERが、所定の判定値#CNTUPPER(例えば7回)以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、COLUPPER≧#CNTUPPERであるときには、オイルレベルOLが十分に高いレベルに確実に回復し、十分な量のエンジンオイルEOが補充されたとして、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBを「0」にリセットして(ステップ100)、本処理を終了する。一方、ステップ99の判別結果がNOで、COLUPPER<#CNTUPPERであるときには、そのまま本処理を終了する。
【0054】
一方、上記ステップ93〜97のいずれかの判別結果がNOであるときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値0にセットし(ステップ92)、本処理を終了する。
【0055】
図3に戻り、前記ステップ2のオイルレベル判定処理に続くステップ3では、オイルレベル警告処理を実行する。本処理では、ステップ2のオイルレベル判定処理において設定された各種フラグに基づき、警告表示装置14を介して、以下のような警告を行う。
【0056】
具体的には、図5のステップ21の故障判定処理において、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSW、あるいは下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」にセットされている場合には、オイルレベルセンサ7の下限スイッチ7bがOFF側固着故障あるいはON側固着故障している旨の警告表示が行われる。また、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」にセットされている場合には、上限スイッチ7aがON側固着故障している旨の警告表示が行われる。なお、図5のステップ24で判別される断線フラグF_OLSWCDISが「1」にセットされている場合には、オイルレベルセンサ7がカプラ外れや回路断線によって故障している旨の警告表示が行われる。
【0057】
また、前述したように、図7の下限オイルレベル判定処理において、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「1」にセットされている場合には(ステップ82)、警告ランプを点灯させる。その後、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「0」にリセットされたときには(ステップ85)、警告ランプを消灯させる。なお、警告ランプの点灯の際には、これとともに、エンジンオイルの交換や補充を促す旨の警告メッセージを表示するようにしてもよい。
【0058】
さらに、図7のステップ83でセットされるオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBは、エンジン3の停止後も保持されているため、エンジン始動時に、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBが「1」であるときには、イグニッションスイッチがONされてから所定時間(例えば10秒)、警告ランプが点灯され、その後、消灯される。
【0059】
以上のようなオイルレベル警告処理(ステップ3)の終了後、ステップ4において、図4のステップ13あるいは15でセットされるオイル交換判定フラグF_OILRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にリセットした(ステップ5)後、NOのときにはそのまま、本処理を終了する。このように、このオイル交換判定フラグF_OILRSTは、エンジンオイルが交換された直後にのみ「1」にセットされる。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態によれば、車両4が走行あるいは停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような路面状態であるとき、すなわち悪路状態や、前後左右に所定角度#ALRREF、#AFRREF以上に傾斜した状態であるときには、そのオイルレベル検出を禁止する一方、それ以外のときには、オイルレベルセンサ7でオイルレベルOLを検出することにより、オイルレベルOLを適正に検出できるとともに、オイルレベルOLの誤検出を確実に防止することができる。その結果、オイルレベル検出の信頼性を、従来に比べて大幅に向上させることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、オイルレベルセンサ7として、上・下限スイッチ7a、7bを有するものを用いたが、これに代えて、オイルパン6内のオイルレベルをリニアに検出可能なタイプのセンサを採用してもよい。図9は、そのようなタイプのオイルレベルセンサ20を備えたエンジン3の概略構成を示している。このオイルレベルセンサ20は、フロート20aと、これを上下方向に案内するとともに、フロート20aの高さに応じて、抵抗値がリニアに変化するフロートガイド20bとを有している。このオイルレベルセンサ20では、フロート20aが、オイルレベルOLに応じて、フロートガイド20bに沿って昇降し、その位置に対応するオイルレベルを表す検出信号がECU2に送られる。
【0062】
図10は、上記オイルレベルセンサ20を用いたときのオイルレベルの算出処理を示している。本処理ではまず、車両4の左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRに応じ、図示しないマップから、補正係数を検索する(ステップ101)。このマップは、左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRに対し、オイルレベルセンサ20の検出結果への影響を補償するための補正係数を、オイルパン6に対するオイルレベルセンサ20の配置などに基づいて設定したものである。次いで、オイルレベルセンサ20の検出値を、上記補正係数で補正することによって、最終的なオイルレベルOLを算出する(ステップ102)。具体的には、オイルレベルセンサ20の検出値に対し、補正係数を例えば乗算などすることで検出値を補正することにより、オイルレベルOLを算出する。
【0063】
これにより、車両4が、左右傾斜路や登降坂路を走行する場合にも、適正なオイルレベルOLを得ることができる。その結果、そのオイルレベルOLを用いて、その後のオイルレベル判定処理などを適正に行うことが可能となる。
【0064】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、本発明を自動車などの車両のエンジンに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の産業機器や船外機などのエンジンに適用することも可能である。また、実施形態で示した故障判定装置1やエンジン3の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関のオイルレベル検出装置は、オイルレベルを適正に検出できるとともに、路面状態による誤検出を確実に防止できることにより、オイルレベル検出の信頼性を向上させることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるオイルレベル検出装置およびこれを適用した内燃機関を示す概略構成図である。
【図2】オイルレベルセンサの上限スイッチおよび下限スイッチを模式的に示すとともに、これらのスイッチのON/OFF切替えを説明するための説明図である。
【図3】エンジンオイルのオイルレベル判定のメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】リセットスイッチ入力処理のフローチャートである。
【図5】オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図6】オイルレベル検出の実行判定処理のフローチャートである。
【図7】下限オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図8】上限オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図9】オイルパン内のオイルレベルをリニアに検出可能なタイプのオイルレベルセンサを備えた内燃機関を示す概略構成図である。
【図10】オイルレベル算出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 オイルレベル検出装置
2 ECU(路面状態判別手段、検出禁止手段、傾斜状態検出手段およびオイルレベル補正手段)
3 内燃機関
4 車両
5 エンジン本体
6 オイルパン
7、20 オイルレベルセンサ
10L 左側後輪の車両速度センサ(路面状態検出手段)
10R 右側後輪の車両速度センサ(路面状態検出手段)
11 左右傾斜センサ
12 前後傾斜センサ
EO エンジンオイル
OL オイルレベル
ALR 左右方向の傾斜角度
AFR 前後方向の傾斜角度
F_STP オイルレベル検出禁止フラグ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された内燃機関のオイルパンに貯留されたエンジンオイルのオイルレベルを検出するための内燃機関のオイルレベル検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関には、その作動の際の潤滑作用や冷却作用などのために、エンジンオイルが用いられている。エンジンオイルは一般に、内燃機関の底部に設けられたオイルパンに貯留されており、内燃機関の始動と同時に、それによって駆動されるオイルポンプで吸い上げられ、内燃機関の各構成部分に送られる。その後、エンジンオイルは、内燃機関内のオイル循環流路を通って、再びオイルパンに戻される。このように、内燃機関の運転中、エンジンオイルは内燃機関内を循環する。
【0003】
このようなエンジンオイルは、上記作用が適切に行われるために、内燃機関の排気量などに応じた適正な所定範囲内の量(以下「適正量」という)に、常時保たれていることが必要である。一方、エンジンオイルは、内燃機関内を循環する際に、シリンダ内で混合気に混ざり、これとともに燃焼されることなどによって徐々に減少する。そのため、内燃機関内のエンジンオイルが適正量であるか否かを監視する必要があり、そのための機器として、オイルレベルセンサを有するオイルレベル検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このオイルレベル検出装置のオイルレベルセンサは、フロート式のものであり、オイルパン内のエンジンオイルのオイルレベル、すなわちエンジンオイルの液面の高さを検出し、その検出結果に基づいて、エンジンオイルが適正量であるか否かを判別する。そして、オイルパン内のエンジンオイルが減少し、そのオイルレベルが下限レベル以下に低下したときには、警告ランプを点灯することなどにより、エンジンオイルの不足が運転者に報知される。また、このオイルレベル検出装置では、オイルレベルの一時的な低下による警告発生を回避するために、内燃機関の回転数に応じて遅延時間を設定し、その遅延時間にわたってオイルレベルの低下状態が継続したときに、エンジンオイルが確かに不足しているとして、警告を発するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−280620号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のオイルレベル検出装置では、オイルパン内のエンジンオイルの液面が安定した水平状態であれば、その液面の昇降に伴ってフロートが昇降することにより、オイルレベルを適正に検出することが可能である。しかし、車両が走行する路面状態によっては、オイルパン内のエンジンオイルの液面が大きく揺れたり、傾斜したりすることがあるため、そのような場合には、オイルレベルセンサで検出されるオイルレベルが本来の検出値からずれることがある。このように、オイルレベルが誤検出されると、オイルパン内のエンジンオイルが適正量であるか否かを適正に判別することができない。また、上記のオイルレベル検出装置では、オイルレベルセンサの検出結果に基づき、警告の制御がなされるため、上記のようにオイルレベルが誤検出されると、警告を適切に行えなくなってしまう。以上のように、このオイルレベル検出装置では、オイルレベル検出の信頼性に乏しい。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、オイルレベルを適正に検出できるとともに、路面状態による誤検出を確実に防止できることにより、オイルレベル検出の信頼性を向上させることができる内燃機関のオイルレベル検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る内燃機関のオイルレベル検出装置は、車両4に搭載された内燃機関(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン3)のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ7と、車両4が走行または停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような所定の路面状態にあるか否かを判別する路面状態判別手段(ECU2、図6のステップ61、63、64)と、この路面状態判別手段により、路面が所定の路面状態であると判別されたときに、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止する検出禁止手段(ECU2、図6のステップ62)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、路面状態判別手段により、車両が走行または停止している路面が上記所定の路面状態、すなわち内燃機関のオイルパン内のオイルレベルに影響を及ぼすような路面状態であることが判別されたときに、検出禁止手段が、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。このように、路面が、オイルパン内のオイルレベルに影響を及ぼすような路面状態であるときには、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出が不適であるとして、そのオイルレベル検出を禁止、すなわちオイルレベル検出を実行しない一方、それ以外のときに、オイルレベルセンサでオイルレベルを検出することにより、オイルレベルを適正に検出できるとともに、オイルレベルの誤検出を確実に防止することができる。その結果、オイルレベル検出の信頼性を、従来に比べて大幅に向上させることができる。また、オイルレベルセンサでオイルレベルを適正に検出できることにより、その検出結果に基づく処理、例えば警告処理などを適切に行うことができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、悪路状態である(図6のステップ61:YES)ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、所定の路面状態が、悪路状態であるときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。一般に、車両が悪路を走行する場合には、オイルパン内のエンジンオイルの液面が大きく揺れる。したがって、悪路状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、路面が左右方向に所定角度以上傾斜している状態である(図6のステップ63:YES)ことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、所定の路面状態が、左右方向に所定角度以上傾斜している状態であるときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。通常、車両が上記のように左右方向に傾斜した路面を走行する場合には、これに伴い、オイルパン内のエンジンオイルの液面が、オイルパンに対し相対的に傾斜する。このため、エンジンオイル量が一定であっても、オイルパンへのオイルレベルセンサの取付位置などによっては、オイルレベルセンサによるオイルレベルの検出値が、本来の値から大きくずれるおそれがある。したがって、そのような左右傾斜の路面状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の内燃機関のオイルレベル検出装置において、所定の路面状態は、路面が前後方向に所定角度以上傾斜している状態である(図6のステップ64:YES)ことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、所定の路面状態が、前後方向に所定角度以上傾斜している状態のときに、オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する。車両が上記のように前後方向に傾斜している路面を走行する場合も、上述した左右傾斜の路面状態の場合と同様の問題が生じる。したがって、そのような前後傾斜の路面状態が検出されたときに、オイルレベル検出を実行しないようにすることによって、誤検出を防止し、オイルレベル検出の信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項5に係る内燃機関のオイルレベル検出装置は、車両4に搭載された内燃機関3のオイルパン6に貯留されたエンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するための内燃機関3のオイルレベル検出装置1であって、オイルパン6に取り付けられ、オイルパン6内のオイルレベルOLを検出するオイルレベルセンサ20と、車両4の傾斜状態を検出する傾斜状態検出手段(ECU2、左右傾斜センサ11、前後傾斜センサ12)と、検出された車両4の傾斜状態に応じて、オイルレベルセンサ20で検出されたオイルレベルOLを補正するオイルレベル補正手段(ECU2、図10のステップ101、102)と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、車両の傾斜状態を検出し、その検出結果に応じて、オイルレベルセンサで検出されたオイルレベルを補正する。通常、車両が左右方向や前後方向に傾斜した走行路を走行する際に、その車両は、走行路に沿って傾斜し、これに伴い、エンジンオイルの液面は、車両の傾斜状態に応じて、オイルパンに対し相対的に傾斜する。したがって、検出された実際の車両の傾斜状態に応じて、オイルレベルセンサの検出値を補正することにより、車両が傾斜した状態であっても、オイルパン内の適正なオイルレベルを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明による内燃機関のオイルレベル検出装置(以下、単に「オイルレベル検出装置」という)、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示している。同図に示すように、このオイルレベル検出装置1は、ECU2を備えており、このECU2は、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、後述する処理を実行する。
【0019】
エンジン3は、例えば前輪駆動式の車両4に搭載された4サイクル・ガソリンエンジンである。エンジン3のエンジン本体5の下部は、オイルパン6になっており、オイルパン6には、エンジンオイルEOが貯留されている。エンジンオイルEOは、エンジン3の運転時、それにより駆動されるオイルポンプ(図示せず)によって、エンジン3の各構成部分に送られ、これらの潤滑作用や冷却作用などを行う。また、エンジンオイルEOは、エンジン3の各構成部分に送られた後、戻し流路(図示せず)を介して、オイルパン6に戻され、エンジン3内を循環する。
【0020】
オイルパン6には、エンジンオイルEOのオイルレベルOLを検出するためのオイルレベルセンサ7が取り付けられている。オイルレベルセンサ7は、上限スイッチ7aおよび下限スイッチ7bで構成されており、図2に示すように、これらはいずれも、フロート7cを有するフロート式のものである。上限スイッチ7aは、オイルレベルOLが所定の第1上限レベルOLH1を上回ったときにON信号を出力し、それよりも低い所定の第2上限レベルOLH2を下回ったときにOFF信号を出力するように構成されている。同様に、下限スイッチ7bは、オイルレベルOLが、上記第2上限レベルOLH2よりも低い所定の第1下限レベルOLL1を上回ったときにOFF信号を出力し、それよりも低い所定の第2下限レベルOLL2を下回ったときにON信号を出力する。これらの上・下限スイッチ7a、7bのON/OFF信号は、ECU2に送られる。
【0021】
オイルパン6にはさらに、エンジンオイルEOの温度(以下「オイル温度」という)TOILを検出するオイル温度センサ8が設けられており、その検出信号はECU2に出力される。
【0022】
また、エンジン3のクランクシャフト3aには、クランク角センサ9が設けられている。クランク角センサ9は、クランクシャフト3aの回転に伴い、所定のクランク角(例えば30度)ごとに、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。ECU2は、このCRK信号に基づいて、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
【0023】
さらに、車両4が走行あるいは停止している路面の状態を検出する路面状態検出手段として、従動輪である左右の後輪(図示せず)には、それらの車輪速度VL、VRを検出する左右の車輪速度センサ10L、10Rが、車両4の所定の部位には、車両4の左右方向および前後方向の傾斜角度(以下それぞれ「左右傾斜角度ALR」および「登降坂角度AFR」という)をそれぞれ検出する左右傾斜センサ11および前後傾斜センサ12が設けられており、それらの検出信号はECU2に出力される。
【0024】
また、ECU2には、エンジン水温センサ13から、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が出力される。また、ECU2には、図示しない警告ランプや表示器などを有する警告表示装置14が接続されており、ECU2から出力された信号に基づいて、エンジンオイルに関する警告を運転者に報知する。
【0025】
また、車両4のダッシュボード(図示せず)には、リセットスイッチ15が設けられている。リセットスイッチ15は、エンジンオイルを交換したときに運転者などによって操作されるものであり、その操作状態に応じたON/OFF信号がECU2に出力される。
【0026】
ECU2は、本実施形態において、路面状態判別手段、検出禁止手段、傾斜状態検出手段およびオイルレベル補正手段を構成するものである。ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種センサ7〜13からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0027】
CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運転状態や、車両4が走行あるいは停止している路面の状態を判別するとともに、その判別結果に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、以下のような制御処理を実行する。
【0028】
次に、図3〜図8を参照しながら、エンジンオイルのオイルレベル判定処理について説明する。図3は、オイルレベル判定処理のメインフローである。本処理は、所定時間(例えば1秒)ごとに実行される。なお、以下の説明では、ROMにあらかじめ記憶されている固定値については、その先頭に「#」を付し、更新される他の変数と区別するものとする。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、リセットスイッチ入力処理が実行される。
【0029】
このリセットスイッチ入力処理は、リセットスイッチ15が所定時間、ONされた状態が継続したときに、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「1」にセットする処理である。図4に示すように、本処理ではまず、ステップ11において、リセットスイッチ15がON状態であるか否かを判別する。また、エンジンオイルの交換時には一般に、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aがON状態になる程度に、すなわちオイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を若干上回る程度に、多量のエンジンオイルEOがオイルパン6に貯留される。なお、このような交換に加えて、エンジンオイルEOが不足した場合に補充する場合も、オイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を若干上回る程度に補充される。
【0030】
上記ステップ11の判別結果がNOで、リセットスイッチ15が押されていないときには、ダウンカウントタイマであるリセットタイマTOILRSTを、所定時間#TMOILRST(例えば10秒)にセットするとともに(ステップ12)、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にセットし、本処理を終了する。一方、ステップ11の判別結果がYESで、リセットスイッチ15が押されているときには、ステップ14で、リセットタイマTOILRSTが値0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちリセットスイッチ15が押された状態が、所定時間#TMOILRST継続したときには、オイル交換がなされたことを表すためにオイル交換判定フラグF_OILRSTを「1」にセットし(ステップ15)、本処理を終了する。なお、説明は省略するが、オイル交換判定フラグF_OILRSTが「1」にセットされたときには、エンジンオイルEOの劣化などを判定するために用いられる各種のパラメータなどがリセットされる。
【0031】
一方、ステップ14の判別結果がNOで、リセットスイッチ15のON状態が所定時間#TMOILRST継続していないときには、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にセットし(ステップ13)、本処理を終了する。
【0032】
次に、ステップ2に進み、オイルレベル判定処理を実行する。図5に示すように、本処理ではまず、ステップ21において、オイルレベルセンサの故障判定処理を実行する。この故障判定処理では、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aおよび下限スイッチ7bが、ON側あるいはOFF側に固着した状態で故障(以下、それぞれ「ON側固着故障」および「OFF側固着故障」という)しているか否かを判定する。そして、この故障判定処理において、上限スイッチ7aがON側固着故障していると判定されたときには、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」にセットされる。一方、下限スイッチ7bがON側固着故障、あるいはOFF側固着故障していると判定されたときには、それぞれ下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSW、および下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」にセットされる。
【0033】
次いで、ステップ22に進み、オイルレベル検出の実行判定処理を実行する。図6に示すように、本処理ではまず、ステップ61において、車両4が走行している路面が、悪路状態であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、路面が悪路状態であるときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止すべきであるとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。
【0034】
なお、車両4が走行している路面が悪路状態であるか否かの判別手法として、例えば本出願人が既に提案した特許2516780号の手法を採用することが可能である。この判別手法を簡単に説明すると、まず、車輪速度センサ10L、10Rで検出された、従動輪である左右後輪の車輪速度VL、VRの偏差を算出し、この偏差をフィルタリングするとともに、その時間平均値を求める。そして、この時間平均値が所定のしきい値を上回ったときには、路面が悪路状態であると判別する。
【0035】
上記ステップ61の判別結果がNOで、車両4が走行する路面が悪路状態でないときには、左右傾斜センサ11で検出された車両4の左右傾斜角度ALRが、所定角度#ALRREF(例えば15度)以上であるか否かを判別する(ステップ63)。この判別結果がYESのときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止すべきであるとして、前述した路面が悪路状態の場合と同様に、前記ステップ62を実行することにより、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし、本処理を終了する。
【0036】
一方、上記ステップ63の判別結果がNOのときには、前後傾斜センサ12で検出された車両4の登降坂角度AFRが所定角度#AFRREF(例えば15度)以上であるか否かを判別する(ステップ64)。この判別結果がYESのときには、前記左右傾斜の場合と同様に、オイルレベル検出を禁止すべきであるとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「1」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。一方、ステップ64の判別結果がNO、すなわち路面が悪路状態でなく、かつ、左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRが、それぞれ所定角度#ALRREFおよび#AFRREF未満であるときには、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を許可すべきとして、オイルレベル検出禁止フラグF_STPを「0」にセットし(ステップ65)、本処理を終了する。
【0037】
以上のように、車両4が走行あるいは停止している路面が、悪路状態である場合、ならびに左右方向および/または前後方向に所定角度#ALRREF、#AFRREF以上に傾斜した状態である場合において、オイルレベルセンサ7によるオイルレベル検出を禁止することにより、オイルパン6内のエンジンオイルEOの液面が大きく揺れることによる誤検出を確実に防止することができる。その結果、誤検出に起因する無用な警告の発生などを確実に防止することができる。
【0038】
なお、車両4の前後方向の傾斜角度を、上記の前後傾斜センサ12を用いることなく、例えば本出願人が既に提案した特開平5−71623号公報に記載の算出手法によって得ることも可能である。この算出手法を簡単に説明すると、まず、車両4が平坦路を走行する際のスロットル弁開度および車速に応じて、予想される加速度(以下「予想加速度」という)をあらかじめ設定する。そして、車両4が実際に走行する際に、その加速度(以下「実加速度」という)を求め、予想加速度と実加速度の偏差に基づいて、車両4の前後方向の傾斜角度を算出する。
【0039】
図5に戻り、上述したステップ22のオイルレベル検出の実行判定処理の後には、ステップ23において、オイルレベル検出禁止フラグF_STPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、オイルレベル検出が禁止されているときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ23の判別結果がNOで、オイルレベル検出が許可されているときには、ステップ24に進み、断線フラグF_OLSWCDISが「1」であるか否かを判別する。
【0040】
この断線フラグF_OLSWCDISは、例えばオイルレベルセンサ7の図示しないカプラが外れたり、回路が断線したりすることなどで、オイルレベルセンサ7から適正な電圧が出力されていないときに、「1」にセットされるものである。したがって、ステップ24の判別結果がYESのときには、オイルレベル判定を適正に行えないとして、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ24の判別結果がNOであるときには、ステップ25に進む。
【0041】
このステップ25では、下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち下限スイッチ7bがON側固着故障していると判定されているときには、後述する下限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ25の判別結果がNOで、下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」でないときには、ステップ26に進み、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち下限スイッチ7bがOFF側固着故障していると判定されているときには、上記と同様に、下限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ26の判別結果がNOで、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSWが「1」でないときには、ステップ27に進み、下限オイルレベル判定処理を実行する。
【0042】
図7は、下限オイルレベル判定処理を示している。本処理は、下限スイッチ7bのON/OFF状態に応じて、オイルレベルOLが、エンジンオイルの交換が必要な程度まで下降しているか否かを判定する処理である。同図に示すように、本処理ではまず、ステップ71において、図示しないイグニッションスイッチがONされてから、所定時間#TMOILL(例えば10分)が経過したか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ72に進み、エンジン3が所定の定常運転状態であるか否かを判別する。この定常運転状態とは、例えばスロットル弁開度、車速、エンジン回転数NEおよびエンジン水温TWなどが、それぞれの所定の範囲内にある運転状態である。
【0043】
ステップ72の判別結果がYESで、エンジン3が定常運転状態であるときには、ステップ73に進み、エンジンオイルEOのオイル温度TOILが、所定の下限温度#TOILL(例えば0℃)より高く、かつ、上限温度#TOILH(例えば130℃)より低いか否かを判別する。この判別は次の理由による。すなわち、通常、オイル温度TOILが下限温度#TOILLよりも低いときには、エンジンオイルEOの粘度が高く、オイルレベルセンサ7のフロート7cが固着しやすくなることで、オイルレベルOLを誤検出するおそれがある。一方、オイル温度TOILが上限温度#TOILHよりも高いときには、エンジンオイルEOが膨張することで、この場合も、オイルレベルOLを誤検出するおそれがあるからである。
【0044】
ステップ73の判別結果がYESで、#TOILL<TOIL<#TOILHであるときには、ステップ74に進み、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」であるか否かを判別する。このオイルレベル下限フラグF_LOWERは、オイルレベルセンサ7の下限スイッチ7bがON状態のときに、「1」にセットされるフラグである。より具体的には、図2に示すように、エンジンオイルEOのオイルレベルOLが第2下限レベルOLL2を下回っている状態、あるいは、オイルレベルOLが第2下限レベルOLL2を一旦下回った後、第1下限レベルOLL1以下に留まっているときに、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」に保持される。
【0045】
ステップ74の判別結果がYESで、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」であるときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値1だけインクリメントする(ステップ75)。次いで、ステップ76において、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、そのリミット値#CNTLOW(例えば50回)を上回っているか否かを判別する。この判別結果がYESで、COILLOW>#CNTLOWであるときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを、そのリミット値#CNTLOWにセットした(ステップ77)後、後述するステップ81に進む。また、ステップ76の判別結果がNOのときには、ステップ77をスキップしてステップ81に進む。
【0046】
一方、上記ステップ74の判別結果がNOで、オイルレベル下限フラグF_LOWERが「1」でないときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値1だけディクリメントする(ステップ78)。次いで、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が0を下回ったか否かを判別し(ステップ79)、その判別結果がYESのときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWを値0にセットした(ステップ80)後、後述するステップ81に進む。また、ステップ79の判別結果がNOのときには、ステップ80をスキップしてステップ81に進む。
【0047】
このステップ81では、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、所定の警告実行判定値#CNTLON(例えば50)よりも小さいか否かを判別する。この判別結果がNOで、下限オイルレベルカウンタCOILLOWが警告実行判定値#CNTLON以上であるときには、オイルレベルOLが、エンジンオイルの交換や補充が必要な程度まで下降しているとして、その旨を報知するために、オイルレベル警告フラグF_OLWARを「1」にセットするとともに(ステップ82)、その警告を行ったことを表すオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBを「1」にセットし(ステップ83)、本処理を終了する。上記ステップ82で、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「1」にセットされることにより、後述するオイルレベル警告処理において、警告表示装置14の警告ランプが点灯される。なお、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBは、バックアップRAMに記憶されるようになっており、エンジン3の停止後も、そのフラグ値が保持される。
【0048】
一方、ステップ81の判別結果がYESで、COILLOW<#CNTLONのときには、下限オイルレベルカウンタCOILLOWの値が、所定の警告解除判定値#CNTLOFF(例えば20)よりも大きいか否かを判別する(ステップ84)。この判別結果がYESのときには、そのまま本処理を終了し、上記ステップ82で「1」にセットしたオイルレベル警告フラグF_OLWARを保持する。一方、ステップ84の判別結果がNOで、COILLOW≦#CNTLOFFであるときには、エンジンオイルEOの交換や補充により、オイルレベルOLが上昇しているとして、オイルレベル警告フラグF_OLWARを「0」にリセットし(ステップ85)、本処理を終了する。これに応じて、点灯中の警告ランプが消灯される。
【0049】
次いで、図5に戻り、前記ステップ27に続くステップ28において、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち上限スイッチ7aがON側固着故障していると判定されているときには、後述する上限オイルレベル判定処理を実行することなく、本処理を終了する。一方、ステップ28の判別結果がNOで、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」でないときには、ステップ29に進み、上限オイルレベル判定処理を実行する。
【0050】
図8は、この上限オイルレベル判定処理を示している。本処理は、上限スイッチ7aのON/OFF状態に応じて、オイルレベルOLが十分に高いレベルにあって、十分な量のエンジンオイルEOが補充されたか否かを判定する処理である。本処理は、所定時間(例えば100ミリ秒)ごとに実行される。同図に示すように、本処理ではまず、ステップ91において、イグニッションスイッチがONされてから、図7の前記ステップ71の所定時間#TMOILLよりも短い所定時間#TMOILU(例えば1秒)が経過したか否かを判別する。この判別結果がYESで、イグニッションスイッチのON時から、所定時間#TMOILUが経過したときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値0にセットし(ステップ92)、本処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ91の判別結果がNOであるとき、すなわちエンジン3がクランキング中であるときには、ステップ93に進み、シフトレバーの位置がPポジションであるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、エンジン水温TWが所定の温度範囲、具体的には下限温度#TWOILUPL(例えば−30℃)より高く、かつ、上限温度#TWOILUPH(例えば100℃)より低いか否かを判別する(ステップ94)。この判別結果がYESで、エンジン水温TWが、#TWOILUPL<TW<#TWOILUPHであるときには、エンジン水温TWが上限オイルレベル判定に適した温度範囲内にあるとして、ステップ95に進む。
【0052】
このステップ95では、エンジン回転数NEが、アイドル回転数#NEOILUPP(例えば800rpm)よりも低いか否かを判別する。この判別結果がYESで、NE<#NEOILUPPであるときには、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」であるか否かを判別する(ステップ96)。このオイルレベル上限フラグF_UPPERは、オイルレベルセンサ7の上限スイッチ7aがON状態のときに、「1」にセットされるフラグである。より具体的には、図2に示すように、エンジンオイルEOのオイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を上回っている状態、あるいは、オイルレベルOLが第1上限レベルOLH1を上回った後、第2上限レベルOLH2以上に留まっているときに、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」に保持される。
【0053】
ステップ96の判別結果がYESで、オイルレベル上限フラグF_UPPERが「1」であるときには、ステップ97に進み、前述したオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち図7の下限オイルレベル判定処理でオイルレベルの低下に伴って警告がなされているときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値1だけインクリメントする(ステップ98)。次いで、ステップ99に進み、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERが、所定の判定値#CNTUPPER(例えば7回)以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、COLUPPER≧#CNTUPPERであるときには、オイルレベルOLが十分に高いレベルに確実に回復し、十分な量のエンジンオイルEOが補充されたとして、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBを「0」にリセットして(ステップ100)、本処理を終了する。一方、ステップ99の判別結果がNOで、COLUPPER<#CNTUPPERであるときには、そのまま本処理を終了する。
【0054】
一方、上記ステップ93〜97のいずれかの判別結果がNOであるときには、上限オイルレベルカウンタCOLUPPERを値0にセットし(ステップ92)、本処理を終了する。
【0055】
図3に戻り、前記ステップ2のオイルレベル判定処理に続くステップ3では、オイルレベル警告処理を実行する。本処理では、ステップ2のオイルレベル判定処理において設定された各種フラグに基づき、警告表示装置14を介して、以下のような警告を行う。
【0056】
具体的には、図5のステップ21の故障判定処理において、下限スイッチOFF故障フラグF_FFLOWSW、あるいは下限スイッチON故障フラグF_NFLOWSWが「1」にセットされている場合には、オイルレベルセンサ7の下限スイッチ7bがOFF側固着故障あるいはON側固着故障している旨の警告表示が行われる。また、上限スイッチON故障フラグF_NFUPSWが「1」にセットされている場合には、上限スイッチ7aがON側固着故障している旨の警告表示が行われる。なお、図5のステップ24で判別される断線フラグF_OLSWCDISが「1」にセットされている場合には、オイルレベルセンサ7がカプラ外れや回路断線によって故障している旨の警告表示が行われる。
【0057】
また、前述したように、図7の下限オイルレベル判定処理において、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「1」にセットされている場合には(ステップ82)、警告ランプを点灯させる。その後、オイルレベル警告フラグF_OLWARが「0」にリセットされたときには(ステップ85)、警告ランプを消灯させる。なお、警告ランプの点灯の際には、これとともに、エンジンオイルの交換や補充を促す旨の警告メッセージを表示するようにしてもよい。
【0058】
さらに、図7のステップ83でセットされるオイルレベル警告済みフラグF_OLWARBは、エンジン3の停止後も保持されているため、エンジン始動時に、オイルレベル警告済みフラグF_OLWARBが「1」であるときには、イグニッションスイッチがONされてから所定時間(例えば10秒)、警告ランプが点灯され、その後、消灯される。
【0059】
以上のようなオイルレベル警告処理(ステップ3)の終了後、ステップ4において、図4のステップ13あるいは15でセットされるオイル交換判定フラグF_OILRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、オイル交換判定フラグF_OILRSTを「0」にリセットした(ステップ5)後、NOのときにはそのまま、本処理を終了する。このように、このオイル交換判定フラグF_OILRSTは、エンジンオイルが交換された直後にのみ「1」にセットされる。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態によれば、車両4が走行あるいは停止している路面が、オイルパン6内のオイルレベルOLに影響を及ぼすような路面状態であるとき、すなわち悪路状態や、前後左右に所定角度#ALRREF、#AFRREF以上に傾斜した状態であるときには、そのオイルレベル検出を禁止する一方、それ以外のときには、オイルレベルセンサ7でオイルレベルOLを検出することにより、オイルレベルOLを適正に検出できるとともに、オイルレベルOLの誤検出を確実に防止することができる。その結果、オイルレベル検出の信頼性を、従来に比べて大幅に向上させることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、オイルレベルセンサ7として、上・下限スイッチ7a、7bを有するものを用いたが、これに代えて、オイルパン6内のオイルレベルをリニアに検出可能なタイプのセンサを採用してもよい。図9は、そのようなタイプのオイルレベルセンサ20を備えたエンジン3の概略構成を示している。このオイルレベルセンサ20は、フロート20aと、これを上下方向に案内するとともに、フロート20aの高さに応じて、抵抗値がリニアに変化するフロートガイド20bとを有している。このオイルレベルセンサ20では、フロート20aが、オイルレベルOLに応じて、フロートガイド20bに沿って昇降し、その位置に対応するオイルレベルを表す検出信号がECU2に送られる。
【0062】
図10は、上記オイルレベルセンサ20を用いたときのオイルレベルの算出処理を示している。本処理ではまず、車両4の左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRに応じ、図示しないマップから、補正係数を検索する(ステップ101)。このマップは、左右傾斜角度ALRおよび登降坂角度AFRに対し、オイルレベルセンサ20の検出結果への影響を補償するための補正係数を、オイルパン6に対するオイルレベルセンサ20の配置などに基づいて設定したものである。次いで、オイルレベルセンサ20の検出値を、上記補正係数で補正することによって、最終的なオイルレベルOLを算出する(ステップ102)。具体的には、オイルレベルセンサ20の検出値に対し、補正係数を例えば乗算などすることで検出値を補正することにより、オイルレベルOLを算出する。
【0063】
これにより、車両4が、左右傾斜路や登降坂路を走行する場合にも、適正なオイルレベルOLを得ることができる。その結果、そのオイルレベルOLを用いて、その後のオイルレベル判定処理などを適正に行うことが可能となる。
【0064】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、本発明を自動車などの車両のエンジンに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の産業機器や船外機などのエンジンに適用することも可能である。また、実施形態で示した故障判定装置1やエンジン3の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関のオイルレベル検出装置は、オイルレベルを適正に検出できるとともに、路面状態による誤検出を確実に防止できることにより、オイルレベル検出の信頼性を向上させることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるオイルレベル検出装置およびこれを適用した内燃機関を示す概略構成図である。
【図2】オイルレベルセンサの上限スイッチおよび下限スイッチを模式的に示すとともに、これらのスイッチのON/OFF切替えを説明するための説明図である。
【図3】エンジンオイルのオイルレベル判定のメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】リセットスイッチ入力処理のフローチャートである。
【図5】オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図6】オイルレベル検出の実行判定処理のフローチャートである。
【図7】下限オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図8】上限オイルレベル判定処理のフローチャートである。
【図9】オイルパン内のオイルレベルをリニアに検出可能なタイプのオイルレベルセンサを備えた内燃機関を示す概略構成図である。
【図10】オイルレベル算出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 オイルレベル検出装置
2 ECU(路面状態判別手段、検出禁止手段、傾斜状態検出手段およびオイルレベル補正手段)
3 内燃機関
4 車両
5 エンジン本体
6 オイルパン
7、20 オイルレベルセンサ
10L 左側後輪の車両速度センサ(路面状態検出手段)
10R 右側後輪の車両速度センサ(路面状態検出手段)
11 左右傾斜センサ
12 前後傾斜センサ
EO エンジンオイル
OL オイルレベル
ALR 左右方向の傾斜角度
AFR 前後方向の傾斜角度
F_STP オイルレベル検出禁止フラグ
Claims (5)
- 車両に搭載された内燃機関のオイルパンに貯留されたエンジンオイルのオイルレベルを検出するための内燃機関のオイルレベル検出装置であって、
前記オイルパンに取り付けられ、当該オイルパン内の前記オイルレベルを検出するオイルレベルセンサと、
前記車両が走行または停止している路面が、前記オイルパン内の前記オイルレベルに影響を及ぼすような所定の路面状態にあるか否かを判別する路面状態判別手段と、
この路面状態判別手段により、前記路面が前記所定の路面状態であると判別されたときに、前記オイルレベルセンサによるオイルレベル検出を禁止する検出禁止手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関のオイルレベル検出装置。 - 前記所定の路面状態は、悪路状態であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイルレベル検出装置。
- 前記所定の路面状態は、前記路面が左右方向に所定角度以上傾斜している状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のオイルレベル検出装置。
- 前記所定の路面状態は、前記路面が前後方向に所定角度以上傾斜している状態であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関のオイルレベル検出装置。
- 車両に搭載された内燃機関のオイルパンに貯留されたエンジンオイルのオイルレベルを検出するための内燃機関のオイルレベル検出装置であって、
前記オイルパンに取り付けられ、当該オイルパン内の前記オイルレベルを検出するオイルレベルセンサと、
前記車両の傾斜状態を検出する傾斜状態検出手段と、
当該検出された車両の傾斜状態に応じて、前記オイルレベルセンサで検出された前記オイルレベルを補正するオイルレベル補正手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関のオイルレベル検出装置。
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