JP2007033435A - エンジンのオイルレベル検出装置及びオイルレベル検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン10は、クランクケース11内に油掻き上げ部40及びフロート式オイルレベル検出器50を備える。フロート式オイルレベル検出器は、潤滑油Luのレベルが下限レベルまで低下したときに、フロートに設けた可動接点が固定接点に接触することで、レベル低下の検出信号を発する。オイルレベル検出装置は、フロート式オイルレベル検出器と、潤滑油の現実のレベル低下を判断する第1・第2判断手段とを備える。第1判断手段は、エンジン停止中において、検出信号の持続時間が基準時間に達したときに、レベル低下と判断する。第2判断手段は、エンジン作動中において、検出信号を受けた回数が基準回数に達したときに、レベル低下と判断する。
【選択図】図1
Description
図9(a)はエンジン100の断面構造を示す。従来のエンジン100は、クランクケース101の底部に潤滑油102を溜めた汎用エンジンであり、クランクケース101内に、クランク軸103の回転に伴い潤滑油102を掻き上げて各摺動部分に供給する油掻き上げ部104と、潤滑油102のレベルを検出するフロート式オイルレベル検出器111とを、備えたというものである。
潤滑油102のレベルについては、最も上位に上限レベルL1が設定され、上限レベルL1の下方に下限レベルL2、下限レベルL2の下方に最下限レベルL3が、それぞれ設定されている。
このため、油面が大きく上下動しつつ低下した場合に、実際のレベルが最下限レベルL3の近傍まで低下すると、可動接点117は固定接点118,118に断続的に接触する。つまり、実際のレベルが最下限レベルL3まで低下していないにもかかわらず、可動接点117は固定接点118,118に断続的に接触し得る。また、実際のレベルが最下限レベルL3まで低下したときに、固定接点118,118に対して、可動接点117は極く短時間の接触を断続的に繰り返す。
このように、エンジン100の作動中と停止中とでは、可動接点117と固定接点118,118とによる、レベル検出状態が全く異なる。このようなことから、エンジンの運転状態にかかわらず、より正確に且つ確実に検出するための配慮が必要となる。
エンジンのオイルレベル検出装置は、潤滑油の現実のレベル低下を判断する第1判断手段及び第2判断手段を備え、
第1判断手段は、エンジンが停止中であるという条件と、検出信号の持続している時間が予め設定された基準時間に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油の現実のレベルが下限レベルまで低下したと判断するように構成し、
第2判断手段は、エンジンが作動中であるという条件と、検出信号を受けた回数が予め設定された基準回数に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油の現実のレベルが下限レベルまで低下したと判断するように構成したことを特徴とする。
エンジンのオイルレベル検出方法は、潤滑油の現実のレベル低下を判断する第1判断基準及び第2判断基準を設定したものであり、
第1判断基準は、エンジンが停止中であるという条件と、検出信号の持続している時間が予め設定された基準時間に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油の現実のレベルが下限レベルまで低下したと判断する基準であり、
第2判断基準は、エンジンが作動中であるという条件と、検出信号を受けた回数が予め設定された基準回数に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油の現実のレベルが下限レベルまで低下したと判断する基準であることを特徴とする。
第1判断手段は、エンジン停止中で且つレベル低下の検出信号(可動接点の接触)が一定時間にわたって持続しているときに、現実にレベル低下であると判断するものであるから、エンジンの停止中におけるレベル検出に最適である。
一方、第2判断手段は、エンジン作動中で且つレベル低下の検出信号を一定回数受けたときに、現実にレベル低下であると判断するものであるから、エンジンの作動中におけるレベル検出に最適である。
このように、オイルレベル検出装置に2つの判断手段を備えただけの、簡単な構成によって、エンジンの停止中及び作動中の両方で、エンジンの潤滑油のレベルを、より正確に且つ確実に検出することができる。
すなわち、1種類のオイルレベル検出装置を用いて、クランクケース内の潤滑油のレベルが一定以上低下したときに、エンジンを自動的に停止させる場合と停止させない場合とに、切替手段で切り替えることができる。
第1判断基準は、エンジン停止中で且つレベル低下の検出信号(可動接点の接触)が一定時間にわたって持続しているときに、現実にレベル低下であると判断する基準であるから、エンジンの停止中におけるレベル検出に最適である。
一方、第2判断基準は、エンジン作動中で且つレベル低下の検出信号を一定回数受けたときに、現実にレベル低下であると判断する基準であるから、エンジンの作動中におけるレベル検出に最適である。
このように、エンジンの停止・作動を判断基準とするように、エンジンのオイルレベル検出方法に2つの判断基準を設定したので、エンジンの停止中及び作動中の両方で、エンジンの潤滑油のレベルを簡単な方法によって、より正確に且つ確実に検出することができる。
図1は本発明に係るエンジンを正面から見た断面図であり、クランク軸14の動力取出し部側から見たエンジンを示す。エンジン10は、図1に示すように正面から見たとき、略水平なクランク軸14に対してシリンダ21を傾斜させた、傾斜シリンダ型のOHC式空冷型単気筒内燃機関である。以下、エンジン10を詳しく説明する。
クランク軸14は、クランク室12でクランクピン15にコンロッド16を連結し、このコンロッド16にピストン17を連結したものである。
シリンダブロック13は、内部にシリンダ21を形成するとともに、先端にシリンダヘッド22をボルト止めし、シリンダ21の先端部とシリンダヘッド22との間に燃焼室23を形成し、さらに、シリンダヘッド22に吸気口(図示せず)並びに排気口25を形成したものである。ピストン17はシリンダ21内を往復動が可能である。
動弁機構30は、それぞれ1個のカム軸31、ロッカ軸32、吸気弁用ロッカアーム33、吸気弁34、排気弁用ロッカアーム35及び排気弁36を主要構成要素として、シリンダヘッド22に取付けたものである。
カム軸31の回転に伴って、吸気弁駆動用カム37及び排気弁駆動用カム38が変位することにより、吸・排気弁用ロッカアーム33,35がスイングし、この結果、吸・排気弁34,36が所定の開閉タイミングで開閉する。
後部開口57aは、カバー57のうち、油掻き上げ部40(図1参照)の回転方向とは反対側の側面に開いている。このため、油掻き上げ部40で潤滑油Luを掻き上げることによる、油面の変動の影響を、極力抑制することができる。
図2(a)に示すように、潤滑油Luが上限レベルL11まで十分に溜まっている状態においては、フロート54が油面上に浮いている。この状態では、可動接点55は一対の固定接点56,56から離れている。この結果、オイルレベルスイッチ58はオフ状態にある。
その後、図2(b)に示すように、潤滑油Luの油面が下限レベルL12まで低下した状態においては、フロート54がフロート室53の最下部まで下降する。この状態では、可動接点55は一対の固定接点56,56に接触している。この結果、オイルレベルスイッチ58はオン状態に反転し、レベル低下の検出信号を発する。
メインスイッチ62は、ノブを回すことで、エンジン10の始動と停止とを切り替える、手動操作スイッチである。報知器63は、表示ランプ等の表示器や、ブザー等の警音器からなる。切替スイッチ64は、手動にて操作可能な揺動スイッチや押し釦スイッチ等の、手動操作スイッチである。さらにエンジン10は、図3に示すように、操作パネル61又は任意の位置に制御部65を備える。
図4は本発明に係るエンジンのオイルレベル検出装置の回路図である。オイルレベル検出装置60はフロート式オイルレベル検出器50、メインスイッチ62、報知器63、切替スイッチ64、制御部65、トリガパルス発生部66、エンジン10の点火装置67及び回転センサ68からなる。
トリガパルス発生部66は、フロート式オイルレベル検出器50の検出信号に基づいてトリガパルス信号を発するものである。このトリガパルス発生部66は、例えば、オイルレベルスイッチ58からオン信号を受けるたび、つまり、オイルレベルスイッチ58が「オフからオンに反転」するたびに、1パルスの信号を発するものであり、単安定マルチバイブレータ等からなる。
点火装置67は、エンジン10の点火プラグ(図示せず)に高圧電気を発するものである。回転センサ68は、エンジン10の回転速度を検出するものである。
ST01;初期設定をする。具体的には第1タイマ71のカウント時間Tc1=0、第2タイマ73(図6参照)のカウント時間Tc2=0及びパルスカウント数Cu=0にセットする。
ST02;各種信号を読み込む。
ST04;オイルレベルスイッチ58がオンであるか否かを調べ、YESならST05に進み、NOならST10に進む。ST10については後述する。
ST06;第1タイマ71をスタートさせる。
ST09;報知器63を作動させた後に、この制御部65による制御を終了する。報知器63は、図2(b)に示す潤滑油Luの現実のレベルLrが、下限レベルL12まで低下していることを報知する。
ST11;カウント時間Tc1=0にリセットした後に、ST02に戻る。
ST21;エンジン10が作動中なので、トリガパルス発生部66からトリガパルス信号が有ったか否かを調べ、YESならST22に進み、NOならST28に進む。ST28については後述する。
ST22;トリガパルス信号が有ったので、パルスカウント数Cuを1個加算する。
ST23;パルスカウント数Cuが、予め設定された一定の基準パルス数Csに達したか否かを調べ、YESならST24に進み、NOならST33に進む。ST33については後述する。
ST25;報知器63を作動させる。報知器63は、図2(b)に示す潤滑油Luの現実のレベルLrが、下限レベルL12まで低下したことを報知する。
ST26;点火装置67を停止させた後に、この制御部65による制御を終了する。この結果、点火装置67から点火プラグ(図示せず)へ高圧電気が印加されないので、エンジン10は停止する。
ST27;報知器63を作動させた後に、この制御部65による制御を終了する。報知器63は、図2(b)に示す潤滑油Luの現実のレベルLrが、下限レベルL12まで低下したことを報知する。
ST29;第2タイマ73をスタートさせる。
ST32;パルスカウント数Cu=0にリセットした後に、図5のST02に戻る。
ST33;第2タイマ73をストップさせる又はストップ状態を維持させる。
ST34;カウント時間Tc2=0にリセットした後に、図5のST02に戻る。
図5に示す第1タイマ71は、ST05〜ST08、ST10及びST11の組合せ構造からなる。図6に示すカウンタ72は、ST22及びST23の組合せ構造からなる。図6に示す第2タイマ73は、ST28〜ST31、ST33及びST34の組合せ構造からなる。図5に示すST03は、エンジン10が停止中であるか又は作動中であるかを判断する、エンジン作動判断手段74を構成する。
第1基準時間Ts1については、エンジン10の停止中において、現実のレベルLrが下限レベルL12まで低下したと判断可能な値に設定するものであり、例えば、エンジン振動の周期よりも大きく設定すればよい。一般に、エンジン10が停止中であるときには、作動中のように微小な時間で油面が変動することはないからである。
基準回数Csについては、エンジン10の作動中において、現実のレベルLrが下限レベルL12まで低下したと判断可能な値に設定するものであり、例えば、エンジン振動の周期を勘案して設定すればよい。この値は、エンジン10の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば実験によって求めることができる。
つまり、第1判断手段75は、エンジン10が停止中であるという条件と、検出信号の持続している時間Tc1が予め設定された基準時間Ts1に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油Luの現実のレベルLrが下限レベルL12まで低下したと判断するように構成している。
つまり、第2判断手段76は、エンジン10が作動中であるという条件と、レベル低下の検出信号を受けた回数Cuが予め設定された基準回数Csに達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、潤滑油Luの現実のレベルLrが下限レベルL12まで低下したと判断するように構成している。
第2モードは、第2判断手段76が潤滑油Luの現実のレベル低下を判断したとき(ST23)に、その判断に応じて、報知器63を作動させるとともにエンジン10の作動状態(運転状態)を続行させる、つまり、報知器63を作動させる(ST27)だけの制御モードである。
図7は本発明に係るエンジン停止中におけるオイルレベル検出装置の作用図であり、横軸を経過時間としたタイムチャートで各部の作動を示す。
その後、オイルレベルスイッチ58がオンになると、第1タイマ71がオンになり、タイマカウントをスタートする。オイルレベルスイッチ58がオン状態を持続している時間Tc1(カウント時間Tc1)が、予め設定された基準時間Ts1に達しないときには、オイルレベルの判定は許容レベルのままである。
切替スイッチ64はオン状態にあり、エンジン10は作動中である。この状態においては、エンジン振動によって潤滑油Luの油面が揺れるので、オイルレベルスイッチ58はオンとオフとを反復する。オイルレベルスイッチ58がオンになった時点だけ、トリガパルス発生部66はパルス幅が極く小さいトリガパルス信号を発する。
図1及び図2に示すように、エンジン10の停止中と作動中とでは、潤滑油Luの油面の状況が異なるので、これに応じて、フロート54の挙動も異なる。つまり、エンジン10の停止中においては油面が変動せず、エンジン10の作動中においては油面の上下動が大きい。
一方、第2判断手段76は、エンジン10の作動中で且つレベル低下の検出信号を一定回数Cs受けたとき(Cu≧Cs)に、現実にレベル低下であると判断するものであるから、エンジン10の作動中におけるレベル検出に最適である。
第1判断基準は、エンジン10の停止中で且つレベル低下の検出信号(可動接点55の接触)が一定時間Ts1にわたって持続しているときに、現実にレベル低下であると判断するものであるから、エンジン10の停止中におけるレベル検出に最適である。
一方、第2判断基準は、エンジン10の作動中で且つレベル低下の検出信号を一定回数Cs受けたとき(Cu≧Cs)に、現実にレベル低下であると判断するものであるから、エンジン10の作動中におけるレベル検出に最適である。
このようにリセットすることで、エンジン10の作動中における潤滑油LuのレベルLrを、より一層正確に且つ確実に検出することができる。
例えば、オイルレベルスイッチ58から制御部65へ発する検出信号が「オフ信号からオン信号に反転」するたびに、制御部65において割り込み処理を実行することで、ステップST21において、「オフからオンに反転」したと判断することができる。
また、切替手段78の有無は任意である。切替手段78を廃止した場合には、ステップST23でYESと判断した場合に、(1)ステップST25〜ST26を実行して報知器63を作動させるとともにエンジン10を停止させるか、又は(2)ステップST27を実行して報知器63を作動させるとともに、エンジン10の作動状態をそのまま持続させるように、構成すればよい。
ST25を廃止した場合には、ST26でエンジン10を停止させるだけとなる。
ST26を廃止した場合には、ST25で報知器63を作動させるだけとなる。
エンジン10を停止させるか否かについては、エンジン10を搭載する負荷の特性、例えば各種作業機の特性によって決めることができる。
(1)表示ランプからなる報知器63が点灯する。
(2)表示ランプからなる報知器63が、通常は常時点灯してエンジン10が正常状態であることを表示し、現実のレベルLrが下限レベルL12まで低下したときには、消灯するか又は表示色違いの灯光を発する。
(3)ブザーや音声発生器等の警音器からなる報知器63が、警報音や警報メッセージを発する。
Claims (4)
- クランクケース内に、クランク軸の回転に伴い潤滑油を掻き上げて各摺動部分に供給する油掻き上げ部と、前記潤滑油のレベルを検出するフロート式オイルレベル検出器とを備えたエンジンであって、前記フロート式オイルレベル検出器は、前記潤滑油のレベルが予め設定された下限レベルまで低下したときに、フロートに設けた可動接点が固定接点に接触することで、レベル低下の検出信号を発するようにした、エンジンのオイルレベル検出装置において、
前記エンジンのオイルレベル検出装置は、前記潤滑油の現実のレベル低下を判断する第1判断手段及び第2判断手段を備え、
前記第1判断手段は、前記エンジンが停止中であるという条件と、前記検出信号の持続している時間が予め設定された基準時間に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記潤滑油の現実のレベルが前記下限レベルまで低下したと判断するように構成し、
前記第2判断手段は、前記エンジンが作動中であるという条件と、前記検出信号を受けた回数が予め設定された基準回数に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記潤滑油の現実のレベルが前記下限レベルまで低下したと判断するように構成したことを特徴とするエンジンのオイルレベル検出装置。 - 前記第2判断手段は、先の前記検出信号を受けてから、予め設定されている基準の時間が経過するまで、次の前記検出信号を受けないときには、前記検出信号を受けた回数をリセットする、リセット手段を備えていることを特徴とした請求項1記載のエンジンのオイルレベル検出装置。
- 請求項1又は請求項2記載のエンジンのオイルレベル検出装置において、前記第2判断手段が前記潤滑油の現実のレベル低下を判断したときに、その判断に応じて前記エンジンを停止させる第1モードと、前記第2判断手段の判断に応じて報知器を作動させるとともに前記エンジンの作動状態を続行させる第2モードとに、切り替える切替手段を備えていることを特徴とするエンジンのオイルレベル検出装置。
- クランクケース内における潤滑油のレベルが、予め設定された下限レベルまで低下したときに、フロートに設けた可動接点が固定接点に接触することで、フロート式オイルレベル検出器がレベル低下の検出信号を発するエンジンのオイルレベル検出方法において、
前記エンジンのオイルレベル検出方法は、前記潤滑油の現実のレベル低下を判断する第1判断基準及び第2判断基準を設定したものであり、
前記第1判断基準は、前記エンジンが停止中であるという条件と、前記検出信号の持続している時間が予め設定された基準時間に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記潤滑油の現実のレベルが前記下限レベルまで低下したと判断する基準であり、
前記第2判断基準は、前記エンジンが作動中であるという条件と、前記検出信号を受けた回数が予め設定された基準回数に達したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記潤滑油の現実のレベルが前記下限レベルまで低下したと判断する基準であることを特徴としたエンジンのオイルレベル検出方法。
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