JP2005220869A - 汎用エンジンのオイルセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 汎用エンジンの潤滑不良に伴うエンジントラブルを未然に防止する。
【解決手段】 汎用エンジンのクランクケースにはオイルセンサ10が組み付けられる。オイルセンサ10は、油温を検出する油温センサ部51と、油面高さを検出する油面センサ部50とを備える。油温センサ部51からの検出信号に基づき油温判定回路53が油温の異常上昇を判定すると、油温判定回路53からORゲート57に異常信号が出力される。また、油面センサ部50からの検出信号に基づき油面判定回路52が油面の異常低下を判定すると、油面判定回路52からORゲート57に異常信号が出力される。そして、判定回路52,53の一方または双方から異常信号が出力されると、ORゲート57から遅延回路54を介して停止回路55に異常信号が出力され、停止回路55はイグナイタ48の点火回路58を開くとともに警告灯49の点灯回路59を閉じるように作動する。
【選択図】 図5

Description

本発明は汎用エンジンのオイルセンサに関する。
汎用エンジンのオイルパンには潤滑油が貯留されており、この潤滑油はクランク機構や動弁機構などの各摺動部に供給され、各摺動部を潤滑した後に再びオイルパンに戻されるようになっている。潤滑油の供給方式としては、スクレーパによってオイルパン内の潤滑油を掻き上げる飛沫潤滑方式や、ストレーナからポンプを介してオイルパン内の潤滑油を吸い上げる強制潤滑方式があるが、いずれの方式であっても、各摺動部に潤滑油を安定供給して焼付き等を防止するためには、オイルパンに十分な潤滑油を貯留しておく必要がある。
そこで、オイルパンに貯留される潤滑油の液面高さを検出することにより、潤滑油の油量低下を判定した場合には、使用者に対して警報を発するようにしたオイルレベルセンサが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。このオイルレベルセンサには、油量低下を判定する際の確実性を高めるため、油温を検出するサーミスタ素子が組み込まれており、油温が所定温度に達するまで油量判定が禁止されている。つまり、高粘度となる低油温時には潤滑油がオイルパンに戻り難くなり、オイルパンに貯留される潤滑油が一時的に減少するため、これに起因する油量低下の誤判定を回避するようになっている。
特開平5−312619号公報(第3頁、図1)
前述したオイルレベルセンサは、油量低下を検出することによって焼付き等のエンジントラブルを防止するものであるが、エンジントラブルは油温上昇によっても引き起こされることがある。つまり、油量が十分であったとしても、油温上昇に伴って潤滑油の粘度が低下した場合には、潤滑油の油膜切れから焼付き等が発生してしまうおそれがある。特に、各種機器の動力源として使用される汎用エンジンの多くは、油温が上昇し易い空冷エンジンであることから、汎用エンジンにあっては油温上昇に伴うエンジントラブルを回避することが重要となっている。
本発明の目的は、汎用エンジンのエンジントラブルを未然に防ぐことのできるオイルセンサを提供することにある。
本発明の汎用エンジンのオイルセンサは、オイルパンに貯留される潤滑油の状態を検出する汎用エンジンのオイルセンサであって、前記オイルパンに収容され、前記潤滑油の温度を検出する油温検出手段と、前記オイルパンに収容され、前記潤滑油の液面を検出する油面検出手段と、前記油温検出手段の検出信号から油温が上限温度を上回ると判定されたとき、或いは前記油面検出手段の検出信号から油面が下限レベルを下回ると判定されたときに、前記汎用エンジンの点火回路を開くエンジン停止手段とを有することを特徴とする。
本発明の汎用エンジンのオイルセンサは、前記油温検出手段と前記油面検出手段とにより1つのセンサ本体を形成することを特徴とする。
本発明によれば、油面が下限レベルを下回った場合に限られることなく、油温が上限温度を上回った場合にも、汎用エンジンを停止するようにしたので、潤滑不良に伴う焼付き等のエンジントラブルを未然に防ぐことができる。
また、油温検出手段と油面検出手段とにより1つのセンサ本体を形成するようにしたので、オイルセンサの組み付けが容易になるとともにコストを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるオイルセンサ10が組み付けられた汎用エンジン11を示す正面図であり、図2は汎用エンジン11を示す背面図である。図1および図2に示すように、汎用エンジン11は単気筒の4サイクルエンジンとなっており、各種機器の動力源として使用される。この汎用エンジン11は、クランク軸12を回転自在に支持するクランクケース13と、後述するピストン23を往復動自在に収容するシリンダ14とを備えており、シリンダ14の上端には図示しない動弁機構を収容するシリンダヘッド15が組み付けられ、このシリンダヘッド15の上端にはヘッドカバー16が組み付けられている。
汎用エンジン11の図示しない吸気ポートには、混合気を生成する気化器つまりキャブレタ17が接続されており、このキャブレタ17には吸入空気を浄化するエアクリーナ18が接続されている。また、キャブレタ17よりも上方に燃料タンク19が設けられており、燃料タンク19からの燃料はキャブレタ17のフロート室に供給されるようになっている。さらに、汎用エンジン11の図示しない排気ポートには、図示しない排気管が組み付けられており、排気管には遮熱カバーによって覆われた消音器20が取り付けられている。
図3は汎用エンジン11の一部を示す断面図である。図3に示すように、クランク軸12は軸受20,21を介してクランクケース13に回転自在に支持されており、クランク軸12とピストン23とはコンロッド24を介して連結されている。また、クランク軸12には駆動スプロケット25が固定されるとともに、シリンダヘッド15内の図示しないカム軸には従動スプロケットが固定されており、これら2つのスプロケットにタイミングチェーン26を架け渡すことで、ピストン23と動弁機構との同期が図られている。
また、クランクケース13に支持されるクランク軸12の両端は、それぞれクランクケース13から突出するようになっている。クランク軸12の一端にはフライホイール30が嵌合しており、クランク軸12とフライホイール30とはキーを介して周方向に固定されている。このフライホイール30の端面には冷却ファン31が固定されており、冷却ファン31はクランクケース13に装着されたファンカバー32によって覆われている。クランク軸12と共に回転する冷却ファン31により生成される冷却風は、ファンカバー32によってシリンダ14近傍を流れるように整流され、エンジン本体を冷却するようになっている。なお、冷却風が案内されるシリンダ14の表面には、多数の放熱フィン14aが形成されており、汎用エンジン11の冷却効率が高められている。
さらに、ファンカバー32の外側には始動機構としてのリコイル機構33が設けられており、リコイル機構33とクランク軸12とは図示しない連結部材を介して連結されている。リコイル機構33には図示しないリコイルドラムと、これに巻き付けられるリコイルロープとが設けられており、リコイルロープの端部にはリコイルレバー34が装着されている。このリコイルレバー34を使用者が引っ張ることにより、クランク軸12を所定回転数以上で回転させることができ、汎用エンジン11を始動させることが可能となる。
一方、クランク軸12の他端は、エンジン動力の取り出し部位となっており、汎用エンジン11の用途に応じて、偏心ウェイト、スプロケット、プーリ、ギヤなどの回転体が取り付けられる。たとえば、地表面を突き固める建設機器のプレートコンパクターに汎用エンジン11を搭載する場合には、起振機構を構成する偏心ウェイトをクランク軸12に取り付けることにより、クランク軸12の回転運動から地表面を突き固めるための打撃振動を得ることができる。
続いて、図3に示すように、オイルパンであるクランクケース13の下部には、汎用エンジン11のクランク機構や動弁機構などを潤滑する潤滑油Lが貯留されるとともに、この潤滑油Lに浸されるように油量異常と油温異常を検出するオイルセンサ10が取り付けられている。なお、潤滑油Lには所定の下限レベルが設定されており、この下限レベルを油面が上回ることで、オイルセンサ10の先端部が潤滑油Lに浸されるようになっている。
以下、オイルセンサ10について説明する。図4はオイルセンサ10を示す分解斜視図であり、図5はオイルセンサ10の制御系を示すブロック図である。まず、図4に示すように、オイルセンサ10はセンサ本体40と制御部41とを備えており、センサ本体40と制御部41との間には雄ねじ部42が形成されている。クランクケース13には雌ねじ部を備えた取付孔43が形成されており、この取付孔43にオイルセンサ10を取り付けることによって、センサ本体40はクランクケース13の内側に収容される一方、制御部41はクランクケース13の外側に配置されるようになっている。また、制御部41から伸びる複数のリード線44〜47は、イグニッションコイルに電流を供給制御するイグナイタ48、油量異常や油温異常が検出された時に点灯する発光ダイオード製の警告灯49、そして接地(アース)のためクランクケース13にそれぞれが接続されることになる。
図5に示すように、センサ本体40は、油面検出手段である油面センサ部50と油温検出手段である油温センサ部51とを備えており、潤滑油Lの液面が下限レベルを下回るか否か、そして潤滑油Lの温度が上限温度を上回るか否かを判定することにより、潤滑不良の要因となる潤滑油Lの油量不足や温度上昇を検出するようになっている。また、エンジン停止手段である制御部41は、油面センサ部50からの検出信号に基づき油面を判定する油面判定回路52、油温センサ部51からの検出信号に基づき油温を判定する油温判定回路53、オイルセンサ10の制御ハンチングを抑制する遅延回路54、イグナイタ48および警告灯49を作動制御する停止回路55を備えるとともに、これらの回路に電流を供給する電源回路56を備えている。
図4に示すように、油面センサ部50は筒状の外極50aと棒状の内極50bとを備えており、外極50aの内側に内極50bが挿入されている。外極50aと内極50bとの間には所定の間隔が設けられており、外極50aと内極50bとの間の抵抗値を検出することにより、オイルセンサ10は潤滑油Lの有無から油面が下限レベルを下回っているか否を判定する。
つまり、油面が下限レベルを上回る場合には、両極間に潤滑油Lが流れ込むため、内極50bと外極50aとは潤滑油Lを介して接続された状態となり、両極間で潤滑油Lの抵抗値が検出される一方、油面が下限レベルを下回る場合には、潤滑油Lが排出されて空気が流れ込むため、両極間で潤滑油Lの抵抗値よりも大きな空気の絶縁抵抗値が検出されることになる。そして、両極間で潤滑油Lの抵抗値が検出された場合には、油面判定回路52は油量が十分であると判定してORゲート57に正常信号を出力する一方、両極間で空気の絶縁抵抗値が検出された場合には、油面判定回路52は油量が不足していると判定してORゲート57に異常信号を出力する。なお、外極50aには連通孔50cが形成されるため、外極50aと内極50bとの間に潤滑油Lや空気が滞ることはない。
また、油面センサ部50の内極50b内には油温センサ部51が収容されており、油温に応じた電圧を油温判定回路53に出力するようになっている。油温判定回路53は出力電圧に基づいて油温が所定の上限温度を上回っているか否かを判定するとともに、油温が上限温度を上回る場合にはORゲート57に異常信号を出力する一方、油温が上限温度を下回る場合にはORゲート57に正常信号を出力する。なお、油温センサ部51は、2種類の金属線を電気的に接合した熱電対によって形成されているが、これに限られることはなく、温度変化に伴って抵抗値が変化するサーミスタ素子を用いるようにしても良い。
このように油温判定回路53や油面判定回路52から異常信号や正常信号が入力されるORゲート57は、判定回路52,53の少なくともいずれか一方から異常信号が入力されると遅延回路54に異常信号を出力する一方、判定回路52,53の双方から正常信号が入力されると遅延回路54に正常信号を出力する。そして、遅延回路54に入力された異常信号や正常信号は、遅延回路54から停止回路55に出力されることになる。
停止回路55に異常信号が入力された場合には、停止回路55はイグナイタ48の点火回路58を開くとともに警告灯49の点灯回路59を閉じ、汎用エンジン11を停止させて警告灯49を点灯させる一方、停止回路55に正常信号が入力された場合には、停止回路55は点火回路58の閉状態を維持するとともに点灯回路59の開状態を維持し、汎用エンジン11を駆動させて警告灯49を消灯させることになる。なお、遅延回路54は所定の遅延時間を備えており、ORゲート57から出力された信号が直ちに遅延回路54を介して停止回路55に出力されることはなく、遅延時間の経過後に同様の信号が継続されている場合にのみ、停止回路55に対して信号を出力するようになっている。これにより、一時的な油面変動に伴う誤判定を回避して、制御ハンチングを回避することができる。
これまで説明したように、油面が下限レベルを下回った場合に限られることなく、油温が上限温度を上回った場合であっても、汎用エンジン11を停止するようにしたので、潤滑不良に伴う焼付き等のエンジントラブルを未然に防ぐことができる。つまり、油量不足に伴う焼付きだけでなく、オーバーヒートを防止することができるため、潤滑不良に伴うエンジントラブルを確実に回避することができる。また、汎用エンジン11を停止するとともに、油量異常や油温異常を警告する警告灯49を点灯するようにしたので、使用者が汎用エンジン11の停止理由を直ちに理解することができ、汎用エンジン11が停止した後の対処が容易となる。さらに、油面センサ部50と油温センサ部51とにより1つのセンサ本体40を形成するようにしたので、オイルセンサ10の組み付けが容易になるとともにコストを抑制することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、本発明のオイルセンサ10を搭載した汎用エンジン11の用途としては、プレートコンパクター、ランマー、タンパーなどの建設機器に限られることはなく、発電機など他の機器の動力源として用いるようにしても良い。
また、図示する汎用エンジン11にあっては、クランクケース13の下部をオイルパンとして使用しているが、クランクケースの下部に別体のオイルパンを装着するようにしても良い。
本発明の一実施の形態であるオイルセンサが組み付けられた汎用エンジンを示す正面図である。 図1の汎用エンジンを示す背面図である。 汎用エンジンの一部を示す断面図である。 オイルセンサを示す分解斜視図である。 オイルセンサの制御系を示すブロック図である。
符号の説明
10 オイルセンサ
11 汎用エンジン
13 クランクケース(オイルパン)
40 センサ本体
41 制御部(エンジン停止手段)
50 油面センサ部(油面検出手段)
51 油温センサ部(油温検出手段)
58 点火回路
L 潤滑油

Claims (2)

  1. オイルパンに貯留される潤滑油の状態を検出する汎用エンジンのオイルセンサであって、
    前記オイルパンに収容され、前記潤滑油の温度を検出する油温検出手段と、
    前記オイルパンに収容され、前記潤滑油の液面を検出する油面検出手段と、
    前記油温検出手段の検出信号から油温が上限温度を上回ると判定されたとき、或いは前記油面検出手段の検出信号から油面が下限レベルを下回ると判定されたときに、前記汎用エンジンの点火回路を開くエンジン停止手段とを有することを特徴とする汎用エンジンのオイルセンサ。
  2. 請求項1記載の汎用エンジンのオイルセンサにおいて、前記油温検出手段と前記油面検出手段とにより1つのセンサ本体を形成することを特徴とする汎用エンジンのオイルセンサ。

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