JP2013199852A - 潤滑油の交換時期判定装置、潤滑油の交換時期判定方法およびプログラム - Google Patents

潤滑油の交換時期判定装置、潤滑油の交換時期判定方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンオイルの交換時期を的確に操船者に報知することができる潤滑油の交換時期判定装置を提供する。
【解決手段】内燃機関のエンジン回転数ごとに、潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲を記憶する記憶手段と、前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得手段と、前記潤滑油の油温を取得する油温取得手段と、前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得手段と、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧および前記油温取得手段により取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得手段により取得されたエンジン回転数に対応する、前記記憶手段により記憶された正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知手段と、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、潤滑油の交換時期判定装置、潤滑油の交換時期判定方法およびプログラムに関するものである。特に、潤滑油の交換時期を的確に判定する場合に用いられて好適である。
従来、船外機では内燃機関内の潤滑油の交換時期は運転時間などに基づいて判断されていた。具体的には、船外機に搭載したECUなどが船外機の総運転時間を記憶し、予め定めた運転時間(例えば初期20時間、その後100時間毎など)が経過した場合に、警告音を発生させたりオイルランプを表示させたりすることで操船者に報知していた。
また、特許文献1に開示されたエンジンオイル管理装置は、状態取得部がエンジンオイルの状態に関連する状態情報を車両の電子制御系から取得し、報知部が状態情報と累積走行距離と交換日から現在の経過日数とに基づいてエンジンオイルを交換すべきことを出力部から報知することが開示されている。
特開2007−2809号公報
しかしながら、従来の船外機のように運転時間に応じてエンジンオイルの交換時期を判断すると、エンジンオイルの交換時期が必ずしも的確ではないという問題がある。すなわち、船外機を使用する使用状況は、船外機に応じて異なっていることから、エンジンオイルの劣化状況も船外機に応じてばらつきが生じている。また、使用するエンジンオイルにはグレードがあり、グレードが低いエンジンオイルを使用した場合、ダイリューションによりエンジンオイルの粘度が低下しやすい。更に、カーボン・スラッジが発生してしまうと、エンジンオイルの劣化が生じやすい。このような場合であっても運転時間を交換時期の判定の基準にすると、交換時期が一律に判断されてしまう。
また、特許文献1に開示されたエンジンオイル管理装置には、エンジンオイルの状態情報などに基づいてエンジンオイルを交換すべきことを報知することが開示されているが、具体的にどのような判断によりエンジンオイルを交換すべきか否かを判定するかが開示されていない。
本発明は上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンオイルの交換時期をエンジンオイルの劣化状況などに応じて的確に操船者に報知することができるエンジンオイルの交換時期判定装置などを提供することを目的とする。
本発明は、船外機の内燃機関の潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定装置であって、前記内燃機関のエンジン回転数ごとに、潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲を記憶する記憶手段と、前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得手段と、前記潤滑油の油温を取得する油温取得手段と、前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得手段と、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧および前記油温取得手段により取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得手段により取得されたエンジン回転数に対応する、前記記憶手段により記憶された正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知手段と、を有することを特徴とする。
本発明は、船外機の内燃機関のエンジン回転数ごとに、前記内燃機関の潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲に基づいて、潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定方法であって、前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得ステップと、前記潤滑油の油温を取得する油温取得ステップと、前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得ステップと、前記油圧取得ステップにより取得された潤滑油の油圧および前記油温取得ステップにより取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得ステップにより取得されたエンジン回転数に対応する、正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、船外機の内燃機関のエンジン回転数ごとに、前記内燃機関の潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲に基づいて、潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定装置に、前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得ステップと、前記潤滑油の油温を取得する油温取得ステップと、前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得ステップと、前記油圧取得ステップにより取得された潤滑油の油圧および前記油温取得ステップにより取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得ステップにより取得されたエンジン回転数に対応する、正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知ステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、エンジンオイルの交換時期をエンジンオイルの劣化状況などに応じて判定することで、的確に操船者にエンジンオイルの交換時期を報知することができる。
本発明に係る船外機の外観の一例を示す側面図である。 本発明に係るエンジンオイルの経路の一例を示す模式図である。 本発明に係る船外機の内部構造の一例を示すブロック図である。 エンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲の一例を示す図である。 エンジン回転数が1000rpm〜3000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲の一例を示す図である。 エンジン回転数が3000rpm〜4000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲の一例を示す図である。 エンジン回転数が4000rpm〜5000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲の一例を示す図である。 エンジン回転数が5000rpm〜6500rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲の一例を示す図である。 エンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油圧の閾値テーブルの一例を示す図である。 本発明に係る交換時期判定装置の処理を示すフローチャートである。
以下、図面に基づき、本発明による潤滑油(エンジンオイル)の交換時期判定装置における好適な実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る船外機の外観の一例を示す側面図である。図1では、矢印Frが船外機10の前方(船外機10が搭載される船体の前進方向)側を示し、矢印Rrが船外機10の後方(船外機10が搭載される船体の後進方向)側を示している。
船外機10は、船体のRr側の後尾板にクランプブラケット11を介して搭載される。船外機10全体は、外装カバー12によって覆われることで、形状が整えられて構成される。外装カバー12の内部には、内燃機関としてのエンジン13が収容されている。エンジン13は、クランクシャフトが鉛直方向に配設された縦型エンジンであって、例えば水冷式4サイクル単気筒エンジンまたは複数気筒エンジンである。エンジン13は、クランクシャフトが配置されたクランクケース14、ピストンが摺動するシリンダブロック15、インテーク側カムシャフトやエキゾースト側カムシャフトが配置されたシリンダヘッド16を有している。エンジン13は、クランクシャフトからドライブシャフト17を介して船外機10の下方に配設されたスクリュー18を回転させることで、船体が推進する。
図2は、船外機10内においてエンジンオイルが各部を潤滑する経路の一例を示す模式図である。ここでは単気筒エンジンを例にして説明する。
エンジン13の下方には、エンジンオイルを貯留するためのオイルパン21が配置されている。オイルパン21に貯留されたエンジンオイルは、オイルポンプ23によってオイルストレーナ22から吸引され、ロワーギャラリ24のフォワード側24aを通って、オイルフィルタ25へと移送される。オイルフィルタ25に移送されたエンジンオイルは、クランクケース14のメインギャラリ26を通って、クランクシャフトメインジャーナル27およびクランクピン28を潤滑する一方、その一部がロワーギャラリ24のリターン側24bに戻される。ここで、メインギャラリ26には、油温センサ29および油圧センサ30が配置されている。油温センサ29は、メインギャラリ26内を流れるエンジンオイルの温度(油温)を検出し、油温に応じた信号を後述するECUに出力する。また、油圧センサ30は、例えばひずみ式の油圧センサであって、メインギャラリ26内を流れるエンジンオイルの圧力(油圧)を検出し、油圧に応じた信号をECUに出力する。
また、ロワーギャラリ24のリターン側24bに戻されたエンジンオイルは、分岐してシリンダブロック15のサブギャラリー31を通り、ピストンジェット32からピストン33を潤滑する。
また、ロワーギャラリ24のリターン側24bを通ったエンジンオイルは、分岐してインテーク側カムシャフト34およびエキゾースト側カムシャフト37から、それぞれカムシャフトジャーナル35、38およびカムフェース36、39を潤滑する。なお、インテーク側カムシャフト34およびエキゾースト側カムシャフト37を回動させるカムチェーンなどの他の部品もエンジンオイルを用いて潤滑される。各部品を潤滑したエンジンオイルは、自然落下を利用してオイルパン21内に戻され、繰り返しエンジン13内を循環する。
図3は、船外機10の内部構成の一例を示すブロック図である。船外機10は、各種の構成機器を制御するコンピュータとしてのECU(エンジンコントロールユニット)40を有している。ECU40は、本実施形態に係る潤滑油の交換時期判定装置であって、CPU41、ROM42、RAM43、EEPROM44、入力インタフェース45、出力インタフェース46を含んで構成されている。
CPU41は、ROM42に格納されたプログラムを実行して、各種センサなどから出力される信号に基づいて、インジェクタ61およびイグニッションコイル62を制御することで、燃焼の点火時期や燃料の噴射量を最適に制御している。ROM42は、不揮発性メモリであって、CPU41が実行するプログラムなどを格納している。RAM43は、揮発性メモリであって、CPU41が各機器を制御するときに算出した情報などを一時的に記憶している。EEPROM44は、記憶手段の一例としての、書き換え可能な不揮発性メモリである。EEPROM44には、CPU41がエンジンオイルの交換時期を判定するときに用いる後述する閾値テーブルなどを記憶している。
入力インタフェース45は、クランク角センサ51、スロットル開度センサ52、吸気管圧力センサ53、エンジン温度センサ54、冷却水温度センサ55、油温センサ29、油圧センサ30などから出力される信号を受信する入力回路である。
クランク角センサ51は、各気筒のクランクシャフトに近接して配置され、所定のクランク角度で信号を出力する。CPU41は、クランク角センサ51から出力された信号をカウントすることで、エンジン回転数を取得することができる。
スロットル開度センサ52は、吸気管に配置されたスロットバルブに近接して配置される。スロットル開度センサ52は、操船者の操作に応じて変化するスロットバルブの開度に応じた信号を出力する。
吸気管圧力センサ53は、吸気管に配置され、吸気管圧力の信号を出力する。
エンジン温度センサ54は、エンジン13の温度の信号を出力する。冷却水温度センサ55は、冷却水の温度の信号を出力する。
出力インタフェース46は、インジェクタ61、イグニッションコイル62および報知装置63を制御するための信号を送信する出力回路である。
インジェクタ61は、吸気管に燃料を噴射することで、混合気を生成する。CPU41は、各種センサなどから出力される信号に基づいて、インジェクタ61に対して燃料を噴射する噴射量を指示する。
イグニッションコイル62は、点火プラグに対して点火に必要な電圧を供給する。CPU41は、各種センサなどから出力される信号に基づいて、イグニッションコイル62に対して電圧を供給するタイミングを指示する。
報知装置63は、ブザーなどの音響発生部やオイルランプなどの表示部である。CPU41は、エンジンオイルの交換時期を判定した場合には報知装置63を介して操船者にその旨を報知する。例えば音響発生部を用いる場合には、音響発生部はCPU41からの指示に応じて操船者にエンジンオイルの交換時期であることを識別できるように音響を発生する。また、表示部を用いる場合には、表示部はCPU41からの指示に応じて操船者にエンジンオイルの交換時期であることを識別できるように表示する。なお、報知装置63は、音響発生部と表示部との何れか一方を備えていてもよく、両方を備えていてもよい。
上述したように、従来では運転時間に応じてエンジンオイルの交換時期を判断していたために、エンジンオイルの交換時期を劣化状況に応じて的確に判断することができなかった。本実施形態では、正常なエンジンオイルには、エンジン回転数と、エンジンオイルの油圧と、エンジンオイルの油温との間に密接な関連性があることに鑑み、この関連性を用いてエンジンオイルの交換時期を判定することとした。ここでは、エンジンオイルの回転数ごとに、予めエンジンオイルの油温とエンジンオイルの油圧とが関連付けられた、正常なエンジンオイルの範囲をEEPROM44に記憶する。そして、CPU41は現時点のエンジンオイルの油圧とエンジンオイルの油温が、正常なエンジンオイルの範囲外である場合に、操船者にエンジンオイルの交換時期を促すものとする。ここで、正常なエンジンオイルとは、潤滑の機能を十分に発揮できる、交換の必要のないエンジンオイルをいうものとする。
以下、具体的に、図4A〜図4Eを参照して説明する。
図4Aは、エンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示している。
図4Bは、エンジン回転数が1000rpm〜3000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示している。
図4Cは、エンジン回転数が3000rpm〜4000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示している。
図4Dは、エンジン回転数が4000rpm〜5000rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示している。
図4Eは、エンジン回転数が5000rpm〜6500rpmの場合の正常なエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示している。
図4A〜図4Eでは、正常なエンジンオイルの油温と油圧とを測定した結果をプロットした折れ線グラフを示している。折れ線グラフは、エンジンオイルの油温が上昇することでエンジンオイルの粘度が低下するために、油圧が低下している。また、図4A〜図4Eに示すように、エンジン回転数が上昇すると折れ線グラフが徐々に油圧と油温と共に上昇する。
図4A〜図4Eでは、それぞれ各図の折れ線グラフを囲む範囲a〜e内が、正常なエンジンオイルを示す油温と油圧との範囲である。この範囲は、予めエンジン13のバラつきやエンジンオイルの種類などに応じた油圧変化を考慮して決定される。また、エンジンオイルが潤滑する機能が低下するおそれがある油温と油圧との関係を考慮して決定される。
本実施形態では、油温センサ29により検出された油温と油圧センサ30により検出された油圧とが、上述した正常のエンジンオイルの油温と油圧との範囲外である場合には、使用しているエンジンオイルが劣化していたり、粗悪なエンジンオイルを使用したりしているものとして操船者にエンジンオイルの異常を報知、すなわちエンジンオイルの交換を促す。
したがって、上述した正常のエンジンオイルの油温と油圧との範囲を示す実線が、エンジンオイルの交換時期を報知するか否かを判定する閾値となる。具体的には、図4Aに示すようにエンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmであって、例えば油温20〜30℃では、油圧が第1の閾値(約520kpa)よりも大きい場合に、正常のエンジンオイルの油温と油圧との範囲aの範囲外になるために、エンジンオイルの交換を操船者に報知する。
一方、図4Aに示すようにエンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmであって、例えば油温20〜30℃では、油圧が第2の閾値(約400kpa)よりも小さい場合に、正常のエンジンオイルの油温と油圧との範囲aの範囲外になるために、エンジンオイルの交換を操船者に報知する。
ここで、油圧が第1の閾値よりも大きい場合とは、例えばエンジンオイルにスラッジ・カーボンが多く含まれていたり、粘度が高い粗悪なエンジンオイルを用いたりした場合などである。このように油圧が大きくなるのは、エンジンオイルがメインギャラリ26を通るときの抵抗が大きくなるためである。
一方、油圧が第2の閾値よりも小さい場合とは、例えばエンジンオイルにダイリューションが生じたり、粘度が低い粗悪なエンジンオイルを用いたりした場合などである。このように油圧が小さくなるのは、エンジンオイルがメインギャラリ26を通るときの抵抗が小さくなるためである。
図5は、図4Aに示す、エンジン回転数がアイドリング状態〜1000rpmの場合の正常なエンジンオイルの閾値をテーブルとして示した図である。EEPROM44には、図5に示すような閾値テーブルが予め記憶されている。同様に、EEPROM44には、図4B〜図4Eにそれぞれ対応する、エンジン回転数ごとの閾値テーブルが予め記憶されている。
したがって、CPU41がエンジンオイルの交換時期を判定するには、まず現時点のエンジン回転数を取得し、取得したエンジン回転数に応じた閾値テーブルをEEPROM44から読み出す。CPU41は現時点のエンジンオイルの油圧と、閾値テーブルのうち現時点のエンジンオイルの油温に対応する油圧の閾値とを比較する。CPU41は、現時点のエンジンオイルの油圧が第1の閾値よりも大きい場合、または第2の閾値よりも小さい場合に、エンジンオイルの交換を操船者に報知することで、エンジンオイルの劣化状況に応じた的確な交換時期を判定することができる。なお、船外機の異なる機種では、エンジン内の構造やオイルポンプの能力なども異なることから、その機種に応じた閾値テーブルがEEPROM44に記憶される。
以下、本実施形態においてECU40のCPU41が行う処理について図6を参照して説明する。図6は、CPU41がエンジンオイルの交換時期を判定する処理を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、CPU41がROM42に記憶したプログラムをRAM43に展開して実行することで実現する。また、図6に示すフローチャートは、例えばエンジン13が駆動することにより開始される。
まず、ステップS10では、CPU41はクランク角センサ51から出力される信号に基づいてエンジン回転数を取得する。この処理は、エンジン回転数取得手段による処理の一例に対応する。
ステップS11では、CPU41は油温センサ29から出力される信号に基づいてエンジンオイルの油温を取得する。この処理は、油温取得手段による処理の一例に対応する。
ステップS12では、CPU41は油圧センサ30から出力される信号に基づいてエンジンオイルの油圧を取得する。この処理は、油圧取得手段による処理の一例に対応する。
ステップS13では、CPU41は取得したエンジン回転数が含まれる閾値テーブルをEEPROM44から読み出し、RAM43に一時的に記憶する。なお、CPU41は、エンジン回数数ごとの閾値テーブルを全てRAM43に記憶してもよい。
ステップS14では、CPU41は取得したエンジンオイルの油温に対応する閾値テーブルの油圧の閾値と、取得したエンジンオイルの油圧とを比較し、取得したエンジンオイルの油圧が閾値の範囲内であるか否かを判定する。この処理は、判定手段による処理の一例に対応する。例えば、現時点のエンジン回数数が500rpmであり、図5に示す閾値テーブルが読み出されたものとする。このとき、取得した油温が25℃の場合には、CPU41は、取得した油圧と、閾値テーブルの油温の20℃〜30℃に対応する、油圧の第1の閾値(520kpa)および第2の閾値(400kpa)とを比較する。
ここではまず、CPU41は取得したエンジンオイルの油圧が、第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。エンジンオイルの油圧が第1の閾値よりも大きい場合には、上述したようにスラッジ・カーボンが含まれてエンジンオイルが劣化していたり、粘度が高い粗悪なエンジンオイルが使用されたりしていると推定できる。したがって、CPU41はエンジンオイルの交換時期であると判定し、ステップS15に進む。
ステップS15では、CPU41は報知装置63を介して操船者にエンジンオイルの交換時期であることを報知する。この処理は、報知手段による処理の一例に対応する。具体的には、CPU41は音響発生部を用いて音響を発生させたり、オイルランプなどの表示部を点灯させたり点滅させたりすることで、エンジンオイルの交換時期であることを報知する。
なお、油圧が第1の閾値よりも大きく出力されたことを操船者に識別できるように報知することができる。具体的には、CPU41は後述するステップS17の報知方法と異なるように、表示部を点灯させる色や点滅させる間隔を変えたり、異なる音に変えたりすることで、操船者はエンジンオイルの油圧が大きいことを認識することができる。
上述したステップS14において、取得した油圧が第1の閾値以下の場合には、ステップS16に進む。
ステップS16では、CPU41は取得したエンジンオイルの油圧が、第2の閾値よりも小さいか否かを判定する。エンジンオイルの油圧が第2の閾値よりも小さい場合には、上述したようにダイリューションが生じてエンジンオイルが劣化していたり、粘度が低い粗悪なエンジンオイルが使用されたりしていると推定できる。したがって、CPU41はエンジンオイルの交換時期であると判定し、ステップS17に進む。
ステップS17では、CPU41は報知装置63を介して操船者にエンジンオイルの交換時期であることを報知する。この処理は、報知手段による処理の一例に対応する。具体的には、CPU41は音響発生部を用いて音響を発生させたり、オイルランプなどの表示部を点灯させたり点滅させたりすることで、エンジンオイルの交換時期であることを報知する。
なお、油圧が第2の閾値よりも小さく出力されたことを操船者に識別できるように報知することができる。具体的には、CPU41は上述したステップS15の報知方法と異なるように、表示部を点灯させる色や点滅させる間隔を変えたり、異なる音に変えたりすることで、操船者はエンジンオイルの油圧が小さいことを認識することができる。
上述したステップS16において、取得した油圧が第2の閾値以上の場合には、エンジンオイルの油圧は正常であり、エンジンオイルの交換時期ではないと判定し、エンジンオイルの交換時期判定処理を終了する。
CPU41は上述した図6に示すフローチャートの処理をエンジン13が駆動している間、繰り返し行うことで、操船者に対して迅速にエンジンオイルの交換時期を報知することができる。
このように本実施形態では、正常なエンジンオイルは、エンジン回転数、油温および油圧が密接な関連性があることに注目し、エンジン回転数ごとにエンジンオイルの油温と油圧とが関連付けられた正常なエンジンオイルを示す範囲に基づいて、エンジンオイルの交換時期を判定する。したがって、従来のように運転時間に応じてエンジンオイルの交換時期を判定する場合に比べて、現時点のエンジンオイルの劣化状況に応じたエンジンオイルの交換時期を判定することができる。
本実施形態のように、エンジンオイルの交換時期が的確に報知されることで、エンジンに問題が生じる前にエンジンオイルの点検および交換をすることができる。したがって、エンジンオイルの劣化によるエンジンの損傷を防止することができ、エンジンの寿命を延ばすことができる。また、本実施形態では、エンジンオイルの劣化に限られず不適切なエンジンオイル、すなわち粗悪なエンジンオイルを使用している場合でも同様に報知されることから、粗悪なエンジンオイルの使用によるエンジンの損傷も防止することができる。
また、本実施形態では、エンジン回転数および油温ごとに正常なエンジンオイルの油圧の範囲として、第1の閾値および第2の閾値に基づいて、エンジンオイルの交換時期を判定する。このとき、現時点の油圧が第1の閾値よりも大きいか否か、第2の閾値よりも小さいか否かを判定することで、エンジンオイルが正常な油圧よりも大きいか小さいかを判定でき、より具体的なエンジンオイルの劣化状況を判定することができる。
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更などが可能である。本発明には、上述したフローチャートをコンピュータに実行させるためのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。
また、上述した実施形態では、エンジン回転数および油温ごとに、正常なエンジンオイルの油圧の範囲を規定する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、エンジン回転数および油圧ごとに、正常なエンジンオイルの油温の範囲として、第1の閾値および第2の閾値を規定してもよく、この場合もエンジンオイルの劣化状況などに応じてエンジンオイルの交換時期を判定することができる。
10:船外機 13:エンジン 23:オイルポンプ 26:メインギャラリ 29:油温センサ 30:油圧センサ 40:ECU 41:CPU 42:ROM 43:RAM 44:EEPROM 51:クランク角センサ 63:報知装置

Claims (6)

  1. 船外機の内燃機関の潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定装置であって、
    前記内燃機関のエンジン回転数ごとに、潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲を記憶する記憶手段と、
    前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得手段と、
    前記潤滑油の油温を取得する油温取得手段と、
    前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得手段と、
    前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧および前記油温取得手段により取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得手段により取得されたエンジン回転数に対応する、前記記憶手段により記憶された正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知手段と、を有することを特徴とする潤滑油の交換時期判定装置。
  2. 前記記憶手段は、前記内燃機関のエンジン回転数および潤滑油の油温ごとに、正常な潤滑油の油圧の範囲を記憶し、
    前記判定手段は、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧が、前記エンジン回転数取得手段により取得されたエンジン回転数および前記油温取得手段により取得された潤滑油の油温に対応する、前記記憶手段により記憶された正常な潤滑油の油圧の範囲内であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油の交換時期判定装置。
  3. 前記記憶手段は、前記油圧の範囲として、第1の閾値と該第1の閾値よりも小さい第2の閾値を記憶し、
    前記判定手段は、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧が、前記エンジン回転数取得手段により取得されたエンジン回転数および前記油温取得手段により取得された潤滑油の油温に対応する、前記記憶手段により記憶された第1の閾値よりも大きいか否かおよび第2の閾値よりも小さいか否かを判定し、
    前記報知手段は、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧が、第1の閾値よりも大きいと判定された場合または第2の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知することを特徴する請求項2に記載の潤滑油の交換時期判定装置。
  4. 前記報知手段は、前記油圧取得手段により取得された潤滑油の油圧が、前記記憶手段により記憶された第1の閾値よりも大きい場合と、第2の閾値よりも小さい場合とで、前記報知装置を介して異なる報知をすることを特徴とする請求項3に記載の潤滑油の交換時期判定装置。
  5. 船外機の内燃機関のエンジン回転数ごとに、前記内燃機関の潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲に基づいて、潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定方法であって、
    前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得ステップと、
    前記潤滑油の油温を取得する油温取得ステップと、
    前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得ステップと、
    前記油圧取得ステップにより取得された潤滑油の油圧および前記油温取得ステップにより取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得ステップにより取得されたエンジン回転数に対応する、正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにより正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする潤滑油の交換時期判定方法。
  6. 船外機の内燃機関のエンジン回転数ごとに、前記内燃機関の潤滑油の油温と油圧とが関連付けられた、正常な潤滑油を示す範囲に基づいて、潤滑油の交換時期を判定する潤滑油の交換時期判定装置に、
    前記潤滑油の油圧を取得する油圧取得ステップと、
    前記潤滑油の油温を取得する油温取得ステップと、
    前記内燃機関のエンジン回転数を取得するエンジン回転数取得ステップと、
    前記油圧取得ステップにより取得された潤滑油の油圧および前記油温取得ステップにより取得された潤滑油の油温が、前記エンジン回転数取得ステップにより取得されたエンジン回転数に対応する、正常な潤滑油を示す範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにより正常な潤滑油を示す範囲外であると判定された場合に、報知装置を介して操船者に潤滑油の交換を報知する報知ステップと、を実行させるためのプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021110005A1 (zh) * 2019-12-02 2021-06-10 长城汽车股份有限公司 发动机机油保养控制方法及装置
WO2023286296A1 (ja) * 2021-07-12 2023-01-19 日立Astemo株式会社 可変油圧制御システム
EP4224440A1 (en) 2022-02-08 2023-08-09 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha System for and method of controlling watercraft

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