JP4703839B2 - 船外機、船外機の診断支援システム、およびコンピュータを船外機の診断支援システムとして動作させるプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

船外機、船外機の診断支援システム、およびコンピュータを船外機の診断支援システムとして動作させるプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶に用いられる船外機および船外機の診断支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、小型船舶等に搭載される船外機は、ユーザーによって種々の艇体及びプロペラに組み合わせて使用される。また、1つの艇体に複数の船外機が取り付けられる場合もある。
【0003】
ところが、船舶においては艇体の形状、プロペラの径やピッチ、船外機の数等によって各船外機のエンジンにかかる航行負荷(ボートロード)は変動する。
【0004】
また、船舶はユーザーによって使用用途が多岐にわたり、各ユーザーの使用形態によって積み荷等を含む船体重量が異なることからも船外機のエンジンにかかる負荷は変動する。さらに、高頻度で使用する運転速度等が異なれば、船外機のエンジンに求められる特性も異なる。
【0005】
そして、船外機に対して艇体やプロペラ、さらにユーザの使用形態等のマッチングが悪いと、船外機の性能ポテンシャルが充分に発揮されない。具体的には、運転フィーリングが損なわれたり、エンジン回転数の不適正な変動や燃費悪化等を引き起こし、ひいては船外機のエンジンに不調を生じる場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このような船外機に対する艇体やプロペラ等のマッチングは、専門知識を有する測定者が航走中の船舶に乗船して航行状態とともにエンジン回転数等を読み取るなどしなければ判断することが困難であったため、実際上、各ユーザー艇におけるマッチングの良否を適切に判断することができなかった。
【0007】
また、船外機のエンジンに不調が生じても、これがエンジン自体の故障による不調なのか、マッチングが悪いために引き起こされたエンジン以外に原因がある不調なのかを見分けることは困難であり、このため、故障原因の特定に多大な時間を要するという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、容易にマッチングの診断を行うことができ、ひいてはエンジン不調等の原因を容易に診断することができる船外機を提供することである。
【0009】
また、本発明の第2の目的はこのような船外機についての診断を容易に行うことができる船外機の診断支援システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる船外機は、駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段と、前記エンジンの各部位における故障状態を検出する故障検出手段とを備え、前記運転状態記憶手段は、前記所定のサンプリング周期が到来するごとに前記運転状態データを更新しながら、常時、前記所定の記録時間分の前記運転状態データを記憶するとともに、故障状態が検出されたときに前記運転状態データの更新を停止してその故障状態に至る直前の運転状態データを残すことができるように構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
このような船外機によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態データを適宜出力させることにより、所定のサンプリング周期ごとの複数の時点における運転状態データが得られる。そして、運転状態データが変化しておらず略一定で推移しているか否かから運転状態が定常状態にあるかを判断することができ、このような定常状態で運転された運転データが抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転数と運転状態指標値との関係から航行負荷(ボートロード)が適性範囲にあるかを検討することにより、船外機、艇体およびプロペラのマッチングが適性であるかを診断することができる。
【0012】
また、エンジン不調等が生じた場合であっても、かかる不調がマッチング不良によるものか、エンジン自体に問題があるかを容易に診断することができる。
【0013】
さらに、実際に航行中の運転状態データが得られることから、各ユーザーの使用形態も診断することができる。又、前記故障検出手段が何らかの故障状態を検出した場合であっても、エンジンを停止することなく、その故障状態に至る直前の運転状態データを残すことができるため、故障原因の究明に寄与することができる。
【0014】
このような船外機においては、前記所定のサンプリング周期は2分以下、さらに好ましくは1分以下であることが望ましい。
【0015】
このようにすると、運転状態データが記憶される各サンプリング周期の間において急加減速されていないことを確認することができるため、より確実に定常状態の運転状態データを抽出することができ、これに基づいて上記診断を的確に実施することができる。
【0016】
また、前記所定の記録時間は15秒以上であることが望ましい。
【0017】
このようにすると、少なくとも15秒の間隔をおいた時点の運転状態データが得られることから、両者を比較することにによって運転状態が定常状態にあるのか緩加減速中にあるのかを識別することができるため、より確実に定常状態の運転状態データを抽出することができ、これに基づいて上記診断を的確に実施することができる。
【0018】
また、前記運転状態記憶手段は、前記所定のサンプリング周期が到来するごとに前記運転状態データを更新しながら、常時、前記所定の記録時間分の前記運転状態データを記憶するように構成することが望ましい。
【0019】
このようにすると、常時、最新の運転状態データを得ることができため、最新の運転状態から上記診断を行うことができる。
【0020】
また、何らかの原因でエンジンが停止した場合であっても、停止直前の運転状態が得られるため、停止原因の究明に寄与することができる。
【0021】
また、このように運転状態データを更新しながら記憶する場合、前記所定の記録時間は2分以上であることが望ましい。
【0022】
通常、船舶は外洋等をクルージング状態で高速航行したのち、港湾内等ではアイドリング状態で所定の停船位置に至り停船する。この港湾内等における航行には通常2分間程度を要する。したがって、上述のように、停船前の2分以上にわたる運転状態データを記憶すれば、船舶が港湾内等に至る前における船外機のエンジンにボートロードが直接作用している高速航行時の運転状態データを得ることができるため、この高速航行時における定常状態の運転状態データに基づいて上記診断をより的確に実施することができる。
【0023】
なお、前記所定の記録時間は5分以上であることがさらに望ましい。このようにすると、高速航行時における定常状態の運転データが得られる可能性が高まる。
【0026】
また、このような船外機においては、前記運転状態記憶手段は、前記エンジン回転数が予め設定された第1の所定回転数以上または越えたときに前記運転状態データの更新を開始する一方、前記エンジンの回転数が第2の所定回転数以下または未満になったときに前記運転状態データの更新を停止するように構成されることが望ましい。
【0027】
このようにすると、船舶が所定の運転状態になったときの運転状態データのみを記録することができ、マッチング等の診断を効率的に行うことができる。なお、これら第1の所定回転数および第2の所定回転数は、同じ回転数としても異なる回転数としてもよい。
【0028】
具体的には、第1、第2の所定回転数を充分に低い値、たとえばアイドリング回転数より低い値に設定すると、マッチング等の診断に有効なエンジンが運転されている状態の運転状態データのみを記録することができる。
【0029】
また、第1、第2の所定回転数をアイドリング回転数を超えるように設定すると、エンジンに航行負荷(ボートロード)が作用した状態における運転状態データのみを記録することができるため、効率的である。
【0030】
さらに、第1、第2の所定回転数を船舶が滑走状態にあるときに相当するエンジン回転数の下限値近傍に設定すると、船舶が滑走状態にあるときの運転状態データのみを記録することができるため、滑走状態における運転状態から船外機、艇体およびプロペラのマッチングが適性であるかを診断する場合には、特に効率的である。
【0031】
また、このような船外機においては、使用者等によって操作される記録停止スイッチを備え、前記運転状態記憶手段は、前記記録停止スイッチにおいて記録停止命令の入力を受けた際には、前記運転状態データの更新を停止するように構成することが望ましい。
【0032】
このようにすると、使用者等が記録停止命令を入力することによって、使用者等が診断を希望する状態における運転状態データを残すことができる。具体的には、滑走時等の定常状態のほか、加減速時等の状態変化時の運転状態データを意図的に選択して残すことができる。
【0033】
また、本発明にかかる船外機は、駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして適宜出力可能に記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0034】
この各運転領域区分は、複数に区分したエンジン回転領域と複数に区分した運転状態指標値域とを組み合わせてなるものであるから、それぞれ所定の航行負荷(ボートロード)のもとでの運転状態を示している。したがって、このような船外機によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態データを適宜出力させることにより、どのような航行負荷(ボートロード)のもとで、どの程度運転されたのかを容易に判断することができ、これにより、各使用者(ユーザ)の使用形態と船外機、船体およびプロペラ等とのマッチングを診断することができる。
【0035】
また、上述したように所定のサンプリング周期ごとの運転状態データを記録するとともに、前述したように運転領域区分ごとの累積運転時間を運転状態データとして記録することが望ましい。
【0036】
このようにすると、各使用者(ユーザ)による船外機の使用形態の履歴を把握しながら、現在のマッチングを合わせて検討しうることから、より各使用者および各船外機に応じた適切な診断を行うことができる。
【0037】
なお、運転状態記憶手段において、各運転領域区分ごとに累積運転時間を記憶する場合には、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが各運転領域区分に所定時間以上継続して留まった場合にのみ、累積運転時間に加えるようにすることが望ましい。
【0038】
このようにすると、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが必ずしも航行負荷(ボートロード)を表さない加速時や減速時等の過渡状態にある運転時間を前記累積運転時間からなくして、定常状態にある場合の運転時間のみを累積することができるため、船外機がどのような航行負荷(ボートロード)のもとで、どの程度運転されたのかを正確に判断することができる。
【0039】
以上のような船外機において、前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンへの吸気量を調節するスロットル弁のスロットル開度を前記運転状態指標値として検出するスロットル開度センサを含むものとして構成することができる。
【0040】
このようにすると、スロットル開度に対するエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を想定することができることから、これによって船外機、船体およびプロペラ等のマッチングを診断することができる。具体的には、船外機ごとにその特性に応じたスロットル開度とエンジン回転数の関係の適正範囲を正常状態基準データとして求めておき、船外機に記憶された運転状態データをこの正常状態基準データに当てはめてマッチングが適正状態にあるか否かを判断すればよい。
【0041】
また、前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンの混合気の空燃比を前記運転状態指標値として検出する空燃比センサを含むものとして構成してもよい。
【0042】
このようにしても、混合気の空燃比に対するエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を想定することができることから、上述したスロットル開度による場合と同様にしてマッチングを診断することができる。この空燃比センサとしては具体的にはエンジンに供給される混合気から燃料と空気との割合を直接検出するセンサや、エンジンからの排ガスにおける酸素量を検出することで間接的に空燃比を検出するセンサ等を挙げることができる。
【0043】
このように空燃比を前記運転状態指標値として用いることは、当該船外機が、特定回転域にてエンジンを空燃比に応じたフィードバック制御している場合には特に有効である。
【0044】
また、前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンから水中に至る排ガスの排出経路において該排ガスの背圧を前記運転状態指標値として検出する背圧センサを含むものとして構成してもよい。
【0045】
このようにしても、排ガスの背圧に対するエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を想定することができることから、上述したスロットル開度による場合と同様にしてマッチングを診断することができる。
【0046】
また、前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンに送られる吸気の吸気負圧を前記運転状態指標値として検出する吸気負圧センサを含むものとして構成してもよい。
【0047】
このようにしても、吸気の吸気負圧に対するエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を想定することができることから、上述したスロットル開度による場合と同様にしてマッチングを診断することができる。
【0048】
また、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されていることが望ましい。
【0049】
このようにすると、船外機の運転状態記憶手段から運転状態データとともにエンジン識別情報を出力することで、エンジン識別情報によってエンジンの種類を特定することができることから、エンジンの種類に応じて航行負荷(ボートロード)の適正範囲等を想定して、的確なマッチングの診断を容易に行うことができる。
【0050】
また、本発明にかかる診断支援システムは、駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信手段と、エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
又、本発明にかかる診断支援システムは、駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして適宜出力可能に記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信手段と、エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0051】
船外機は主として搭載するエンジンの種類によって収集・記憶される運転状態データは異なる。たとえば診断の対象とする船外機の各エンジンにおいて何が運転状態指標値とされているかはエンジンが備えるセンサの種類、各センサにおける適正出力値の範囲等によってことなる。また、エンジンの種類によって前記サンプリング周期や記録時間、さらにエンジン回転数および運転状態指標を組み合わせた運転領域区分が異なる。
【0052】
このような船外機に対して、上記診断支援システムによれば、エンジンの種類別に運転データのデータ形式が記憶されており、船外機から受信したエンジン識別情報により、適合するデータ形式に基づいて運転状態データが画面表示されるため、船外機、船体、プロペラ等のマッチングを判断する判断者はエンジンの種類に応じた適切な表示を参照することができ、これにより容易にマッチングの判断を行うことができる。
【0053】
また、このような診断支援システムにおいては、エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、前記表示手段は、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを画面表示するように構成されることが望ましい。
【0054】
船外機は主として搭載するエンジンの種類によって運転状態データの正常状態が異なる。このような船外機に対して、上記診断支援システムによれば、エンジンの種類別に運転データの正常状態基準データが記憶されており、船外機から受信した運転状態データとともに、エンジン識別情報に適合する正常状態基準データが画面表示されるため、判断者はこの正常状態基準データを参照して容易に適切な診断を行うことができる。
【0055】
なお、このような船外機の診断支援システムにおいては、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データに基づいて、受信した運転状態データが正常状態を示しているか否かを診断する診断手段をさらに備え、その診断結果も画面表示することが望ましい。
【0056】
このようにすると、診断支援システムの診断結果を参照して診断者はさらに容易に診断を行うことができる。
【0057】
また、本発明にかかるプログラム記録媒体は、コンピュータを船外機の診断支援システムとして動作させるべく、コンピュータに対して前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信処理と、エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶する記憶処理と、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示処理とを実行させるためのプログラムを記録したものである。
【0058】
また、コンピュータに対して、エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶処理とを実行させる一方、前記表示手段として、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを画面表示させるためのプログラムを記録したものである。
【0059】
このようなプログラム記録媒体によれば、コンピュータを上述した船外機の診断支援システムとして好適に動作させることができる。
【0060】
また、本発明にかかる診断支援システムは、上述した船外機の診断を支援する診断支援システムであって、前記船外機の運転状態記憶手段に記憶された前記エンジン識別情報および運転状態データをネットワーク回線を介して受信する受信手段と、エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、エンジンの種類別に予め設定された担当者が使用する担当者端末のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者の担当者端末に対し、受信した運転状態データを転送する転送手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0061】
船外機は搭載されるエンジンの種類によってエンジンの性格が異なるため、船体やプロペラとのマッチングを診断するにあたっては、搭載されるエンジンの種類に応じた専門知識を有する担当者が診断を行うことが望ましい。このような担当者としては、船外機を開発した開発者等がエンジンの種々の限界特性等を把握していることからより望ましい。しかしながら船外機等は一旦販売されれば海や湖にあって、従来、マッチング等の診断のために適切な担当者が現地に赴くことは少なく、この結果、適切なマッチングがなされているかを正確に判断することはできなかった。
【0062】
このような事情のもと、上記診断支援システムによると、船外機からエンジン識別情報と運転状態データとはネットワーク回線を介して診断支援システムに受信され、エンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者の担当者端末に対し、そのエンジンの種類に適合するデータ形式に基づいて転送されるため、開発製造元等に置かれた診断支援システムから船外機が遠く離れた世界各地の海や湖等にあっても、容易に診断を受けることができる。また、診断を行う担当者が使用する担当者端末に診断の材料となる運転状態データが転送されるため、担当者が船外機がある現地や診断支援システムの近くにいなくても診断を行うことができるため、担当者の負担が軽減される。さらに、このように軽い負担で診断を行うことができることから、診断するにより適当な船外機を開発した開発者等を担当者としうる可能性が高まる。
【0063】
また、このような診断支援システムにおいては、エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、前記転送手段は、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを転送するように構成されることが望ましい。
【0064】
このようにすると、診断を行う担当者には診断すべきエンジンの種類における正常状態基準データが転送されるため、診断を行う担当者が複数種類のエンジンを担当している場合であっても、担当者は診断すべきエンジンの種類における正常状態を確実に把握することができ、これにより容易にマッチング等の診断を行うことができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施形態にかかる船外機および船外機の診断システムについて説明する。
【0066】
まず、図1および図2を参照しながら、本発明にかかる船外機の全体を説明する。
【0067】
図1は、本発明にかかる船外機の一実施形態の説明図であり、同図(A)はエンジンの燃料供給系の構成図、同図(B)は同図(A)のエンジンの縦断面図、同図(C)はこの船外機の側面図である。図2は、同エンジンの冷却系の構成図である。
【0068】
船外機1は、クランク軸10が縦置き状態で搭載されるエンジン2と、エンジン2の下端面に接続されエンジン2を支持するガイドエキゾースト3と、ガイドエキゾスート3の下端面に接続されるアッパーケース4およびロアケース5とから構成され、その下部にプロペラ6が取り付けられるようになっている。
【0069】
上記エンジン2は、筒内噴射式V型6気筒2サイクルエンジンであり、6つの気筒#1〜#6は平面視でVバンクをなすように横置きでかつ縦方向に2列に配設された状態でシリンダボディ7内に形成されている。最上段の気筒#1内には、気筒#1内に供給される混合気の空燃比を検出する空燃比センサ46が設けられている。
【0070】
上記各気筒#1〜#6内には、ピストン(図示しない)が摺動自在に嵌合配置され、各ピストンはクランク軸10に連結されている。このクランク軸10には、クランク軸の回転によって発電する発電機135が設けられている。また、このクランク軸10には、クランク軸10の回転角(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ43が設けられている。
【0071】
また、シリンダボディ7にはシリンダヘッド8が連結固定されており、このシリンダヘッド8には、電磁力で開閉動作されるソレノイド式のインジェクタ(燃料噴射弁)13および点火プラグ14が装着されている。各気筒#1〜#6は、それぞれ掃気ポート(図示せず)によりクランク室12に連通され、また、気筒#1〜#6には排気ポート15が接続されている。
【0072】
図1(B)に示すように、左バンクの排気ポート15は左集合排気通路16に、右バンクの排気ポート15は右集合排気通路17に合流されている。前記左右の集合排気通路の一方には、排気ガス中の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ(O2センサ)112が設けられている。これら左右の集合排気通路16,17は、エンジン2を搭載して支持する搭載台部材(ガイドエキゾースト3)を貫通し、その下面側のアッパーケース4内に形成された消音機能を有する膨張室(マフラー)64に開口している。膨張室64は、プロペラ6のボス部の排気口に連通しており、膨張室64に導かれた排気はこのプロペラ6のボス部から水中に排出されるようになっている。膨張室64には排ガスの圧力(背圧)を検出する背圧センサ38が設けられている。
【0073】
また、エンジン2のクランク室12には、吸気マニホールドから分岐する吸気通路19が接続されている。該吸気通路19には、逆流防止用のリード弁20が配設され、また、リード弁20の下流側には、エンジン内にオイルを供給し潤滑するためのオイルポンプ21が接続され、リード弁20の上流側には吸気量を調節するためのスロットル弁22が配設されている。また、この吸気通路19内の圧力(吸気負圧)を検出する吸気負圧センサ121、吸気通路19内の温度を検出する吸気温センサ44が設けられ、スロットル弁22には、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ45が設けられている。
【0074】
図1(A)に示すように、燃料タンク23は、船体側に設置されており、手動式の第1の低圧燃料ポンプ25を介して燃料ホース(燃料配管)131で船外機1側と接続されている。この燃料タンク23内の燃料はこの燃料ホース131を通って船外機1側に供給され、燃料フィルタ26にて燃料中に混入した水が分離された後、第2の低圧燃料ポンプ27に送られる。この燃料フィルタ26には分離した水の量を検出する水検出センサ55が設けられている。
【0075】
この第2の低圧燃料ポンプ27は、エンジン2のクランク室12のパルス圧により駆動されるダイヤフラム式ポンプであり、気液分離機能を有する燃料タンクであるベーパーセパレータタンク29に燃料を送りこむ。ベーパーセパレータタンク29内には、電動モータにより駆動される燃料予圧ポンプ30が配設されており、燃料を加圧し予圧配管31を経て左右各バンクの高圧燃料ポンプ32a,32bに送る。この予圧配管31とベーパーセパレータタンク29間には予圧圧力調整弁39が設けられている。
【0076】
各高圧燃料ポンプ32a,32bは、その間に設けた共通の例えばカム等からなるポンプ駆動装置40により左右それぞれのプランジャ40a,40bを介して交互に駆動されるようになっている。このポンプ駆動装置40は、ベルト(図示しない)によりクランク軸10に連結され、クランク回転に同期して各高圧燃料ポンプ32a,32bを駆動する。
【0077】
高圧燃料ポンプ32a,32bの吐出側は、各気筒#1〜#6に沿って縦方向に配設された燃料供給レール33a,33bに接続ホース(高圧燃料配管)49を介して接続されている。この接続ホース49には、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ47が設けられている。また、高圧燃料ポンプ32a,32bと接続ホース49の間には高圧圧力調整弁35および燃料冷却器(図示しない)が設けられ、戻り配管37介してベーパーセパレータタンク29に接続されている。
【0078】
エンジン潤滑用のオイルが補給されるサブオイルタンク50は、船体側に設置され、船外機1側とオイルホース132で接続されている。このサブオイルタンク50に蓄えられたオイルは、オイルホース132を介して船外機1側のオイル汲上げポンプ41により船外機1側に配設されたメインオイルタンク51に導入される。このメインオイルタンク51には、オイル量を検出するオイルレベルセンサ56が設けられている。
【0079】
エンジン潤滑用のオイルポンプ21は、クランク軸10の回転により駆動されるポンプであり、エンジン潤滑用のオイルをメインオイルタンク51から吸気通路19内にオイルを供給するようになっている。
【0080】
また、メインオイルタンク51のオイルは、フィルタ52,プリミックス用オイルポンプ53、チェック弁54を介してベーパーセパレータタンク29に供給されるように構成されている。プリミックス用オイルポンプ53は、電磁ソレノイドで駆動する方式のものや電動モータにより駆動するタイプのポンプを採用することができる。
【0081】
図2に示すように、アッパーケース4内にはエンジン2により駆動される冷却水ポンプ18が設けられており、ロアケース5に形成された冷却水取入口5aから冷却水供給通路150に外部の水を冷却水として吸い上げ、矢印付破線のようにエンジン2内のウォータージャケット151を循環して各気筒#1〜#6を冷却してから冷却水排出通路152に至る。そして、この冷却水排出通路152から、一部はアッパーケース4内の水壁63を形成してからアッパーケース4下部から外部に排出される一方、大部分は前記膨張室64を通ったのちプロペラ6のボス部から排気ガスとともに水中に放出するようになっている。なお水壁63はアッパーケース4内に形成される排気系の膨張室(マフラー)64を取り囲み、走行時水面上に位置するアッパーケース4の排気ガスによる過熱を防止するようになっている。
【0082】
前記冷却水排出通路152には所定温度以上で開動作するサーモスタット153が設けられる一方、冷却水供給通路150と冷却水排出通路152とはプレッシャーコントロールバルブ154を介して互いに連通している。このプレッシャーコントロールバルブ154は冷却水供給通路43内の圧力が予め設定した所定圧力を上回ったときに開き、冷却水は冷却水供給通路から冷却水排出通路に流れるようになっている。この構成により、エンジン始動時等においてウォータージャケット151内の水温が所定温度に達するまでは、前記サーモスタットが閉じて冷却水供給通路150内の圧力を高め、新しい冷却水を冷却水供給通路150から冷却水排出通路152に流し、新しい冷却水がウォータージャケット151内に供給されて過冷却となることを防止するようになっている。
【0083】
また、この冷却水排出通路152には、冷却水の温度を検出する冷却水温度センサー48および冷却水の圧力を検出する冷却水圧力センサー155が設けられている。
【0084】
エンジン制御用の電力を供給するバッテリ134は、船体側に設けられており、バッテリーケーブル133を介して船外機1側に接続されている。このバッテリ134は、船体側でユーザにより種々の電気器具等が接続されて電力が消費されうるものである。
【0085】
ECU(電子制御装置)42には、エンジン2の運転状態や船外機1の状態を示す各種センサからの検出信号が入力される。
【0086】
例えば、クランク軸10の回転角(回転数)を検出するエンジン回転数センサ43、スロットル弁22の開度を検出するスロットル開度センサ45,最上段の気筒#1内の空燃比を検出する空燃比センサ46、排ガスの酸素濃度を検出する空燃比センサ(O2センサ)112、排気圧力を検出する背圧センサ38,吸気通路19内の吸気負圧を検出する吸気負圧センサ121、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ47、エンジンの冷却水の温度を検出する冷却水温センサ48、エンジンの冷却水の圧力を検出する冷却水圧力センサ155、さらに、燃料フィルタ26で分離した水の量を検出する水検出センサ55,オイルタンク51のオイル量を検出するオイルレベルセンサ56、シリンダボディ温度センサ57,吸気通路19内の温度を検出する吸気温センサ44,エンジンの姿勢を検出するトリムセンサ28,パルサーセンサ110,ノックセンサ111、および外気温度センサ等の検出信号が入力される。
【0087】
ECU42は、これら各センサの検出信号を制御マップに基づき演算処理し、制御信号をインジェクタ13,点火プラグ、予圧燃料ポンプ30,プリミックス用オイルポンプ53、オイル汲上げポンプ41および排気バルブ駆動モータ62に伝送して制御するようになっている。
【0088】
また、ECU42には前記発電機135からの給電ケーブル136および船体側のバッテリ134につながるバッテリケーブル133が接続され、エンジン運転時には発電機135が発生した電力を船体側のバッテリ134に送電するようになっている。また、ECU42は、前記バッテリ134との接続により、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出手段として機能するようになっている。
【0089】
次に、このような船外機における船体、プロペラ、ユーザの使用形態等とのマッチング診断、船外機と船体との艤装(リギング)の診断、さらに故障診断について説明する。
【0090】
船外機1は、このような各診断に供するための運転状態データを適宜外部の診断支援システムに出力可能になっており、このような機能は主としてECU42が担うようになっている。すなわちECU42は上述したエンジン1の運転制御に並行して診断に供するための運転状態データの記録を行うものである。
【0091】
そこで、まず、ECU42のハードウェア構成について、図3を参照して説明する。
【0092】
図3に示すように、ECU42は、ハードウェア的には、CPU140と、CPU140内に設けられたRAM141およびROM142と、タイマー143と、EEPROM144と、電源回路145と、入力インタフェース146と、出力インターフェース147と、コネクタ148とを備えている。
【0093】
CPU140は、その内部のRAM141を作業領域としてROM142等に記録されたプログラムを実行することで、後述する種々の処理の中核をなすものである。なお内部RAM141のデータは船外機1のメインスイッチがOFFされ、バッテリ134からの電力供給が止まれば失われる。タイマー143はこの船外機1(エンジン2)が運転を開始してからの累積運転時間をカウントするとともに、後述する種々の処理において用いられる時間をカウントする。EEPROM144は不揮発性の書き込み可能なメモリであり、種々の運転状態データやエンジン2の種類を示すエンジン識別情報等が記憶される。
【0094】
コネクタ148は、船外機1の上部または側部から引き出して通信ケーブル等を接続可能となっており、後述する診断支援システムにECU42に記録された運転状態データ等を出力する際や診断支援システムから種々の入力を受ける際に、入力インタフェース146および出力インタフェース147とともに用いられるものである。また、このコネクタ149は船外機1外の診断支援システム等から電力供給を受け、電源回路145が電力によってECU42を船体側のバッテリ134によらずに動作可能となっている。
【0095】
また、このECU42には、後述するサンプリングデータ記録処理を停止させる記録停止命令を使用者が入力するための記録停止スイッチ160が接続されている。
【0096】
また、このECU42は、機能的には、所定のサンプリング周期ごとに種々のセンサーの出力値等を運転状態を記録するサンプリングデータ記録機能(運転状態記憶手段)と、エンジンの運転領域区分ごとに累積運転時間を記録する累積運転時間記録機能(運転状態記憶手段)と、種々のセンサーの出力値等からエンジン2の各部位が故障状態に陥っていないかを検出する故障検出機能(故障検出手段)とを備えている。また、このECU42は、後述する診断支援システムによる各種診断に供するため、エンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報を適宜出力可能な状態で記憶する機能(運転状態記憶手段)を備えている。これら各機能は、CPU等のECU42が備える各ハードウェア要素によって実現されている。
【0097】
サンプリングデータ記録機能は、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点におけるエンジン回転数と、スロットル開度、空燃比、排ガスの背圧、吸気の吸気負圧等の運転状態指標値と、バッテリ電圧、燃料圧、冷却水温度および冷却水圧力等とを運転状態データとして記録する機能である。このサンプリングデータ記録機能は、原則として最新の前記記録時間分の運転状態データを所定のサンプリング周期が到来するごとに更新しながら記録するようになっている。
【0098】
こうして複数時点の運転状態データを得れば、エンジン回転数等が変化していない部分をもって航行状態が定常状態にあることを確認することができ、この定常状態における運転状態データを、船外機、船体およびプロペラ等のマッチングや船外機と船体とのリギングや船外機等における故障状態を診断する基礎データとして扱うことができる。
【0099】
この実施形態においては記録時間は13分、サンプリング周期は1分としており、1分おきに13時点での運転状態データを記録する。
【0100】
記録時間は、定常状態における運転状態を得る可能性を高めるため、また定常状態であることを確認するためには長い方がよい。この記録時間を15秒以上とすれば、15秒の間隔をおいた時点での運転状態データが得られるため、定常状態にあるのか緩加減速中にあるのかを識別することができる。また、記録時間を2分以上、さらに好ましくは5分以上とすれば、エンジン運転中に運転状態データを更新し続けても、エンジン停止後(停船後)において、船舶が沖合で滑走状態中の定常状態にある運転状態データを得られる可能性が高く、より望ましい。
【0101】
サンプリング周期は、運転状態が定常状態にあることを確認するためには短い方がよい。このサンプリング周期を2分以下、さらにこの実施形態のように1分以下とすれば、各サンプリング周期の間において急加減速されていないことを確認することができ、より好ましい。
【0102】
なお、運転状態指標値とは、定常状態においてエンジン回転数とともにその値を判別することによって、この船外機が取り付けられた船舶の航行負荷(ボートロード)を診断可能なエンジンの運転状態を示すセンサー出力値等である。このような運転状態指標値としては、上述したようにスロットル開度、空燃比、排ガスの背圧、吸気の吸気負圧等を挙げることができる。
【0103】
すなわち、スロットル開度、空燃比、背圧または吸気負圧等に対するエンジン回転数をみれば、それぞれ航行負荷(ボートロード)を想定することができることから、これによって船外機、船体およびプロペラ等のマッチングを診断することができる。
【0104】
たとえば図4は、ある船外機におけるスロットル開度とエンジン回転数との関係を概念的に示している。縦軸のスロットル開度はスロットル開度センサからの電圧による出力値をそのまま示している。この図に示すように定常状態におけるスロットル開度とエンジン回転数の関係は、船外機ごとに性能ポテンシャルを充分に発揮するため、推奨される正常範囲が決まっているものである。
【0105】
具体的にはスロットルを開ける(スロットル開度を大きくする)とエンジン回転数は上がるものであるが、この上がり方が程度が正常範囲より大きすぎる場合、すなわち同図において正常範囲より右下側にある場合には、航行負荷(ボートロード)が適正値より小さすぎる軽荷状態であると分かる。一方、スロットル開度に対するエンジン回転数の上がり方の程度が正常範囲より小さすぎる場合、すなわち同図において正常範囲より左上側にある場合には、航行負荷(ボートロード)が適正値より大きすぎる重荷状態であると分かる。
【0106】
軽荷状態の原因としては、船外機(エンジン)に対して船体が小さすぎる、積み荷を含む船体が軽すぎる、プロペラが小さすぎる、あるいはプロペラが摩耗等によって小さくなっているなど、船外機、船体、プロペラさらに使用形態とのマッチング不良が考えられる。
【0107】
重荷状態の原因としては、逆に船外機(エンジン)に対して船体が大きすぎる、積み荷を含む船体が重すぎる、プロペラが大きすぎるなど、船外機、船体、プロペラさらに使用形態とのマッチング不良が考えられる。
【0108】
なお、図4において横軸のエンジン回転数で4000rpmあたりでグラフが急激に立ち上がっているのは、船舶が滑走状態になり、航行負荷(ボートロード)が減少するからである。
【0109】
また、図5は、背圧とエンジン回転数との関係を概念的に示している。この図に示すように定常状態における背圧とエンジン回転数との関係も、船外機ごとに性能ポテンシャルを充分に発揮するため、推奨される正常範囲が決まっている。具体的にはエンジン回転数が低いときには低速であるから背圧は正値をとっているが、エンジン回転数が上がって船速が増すと、プロペラのボス部の排気口がプロペラの後流に引っ張られて負圧となる。そしてさらにエンジン回転数が上がれば排気ガス量が増すために再び正値となる。
【0110】
このような背圧とエンジン回転数との正常な関係に対し、エンジン回転数に対して背圧が負側(マイナス側)に外れている場合、すなわち同図において正常範囲より下側にある場合には、エンジン回転数に対して船速が上がりすぎていることを示しており、航行負荷(ボートロード)が適正値より小さすぎる軽荷状態であると分かる。一方、背圧とエンジン回転数との正常な関係に対し、エンジン回転数に対して背圧が正側(プラス側)に外れている場合、すなわち同図において正常範囲より上側にある場合には、エンジン回転数に対して船速が十分に上がっていないことを示しており、航行負荷(ボートロード)が適正値より大きすぎる重荷状態であると分かる。これにより、スロットル開度とエンジン回転数との場合と同様にして船外機、船体、プロペラさらに使用形態とのマッチングを診断することができる。
【0111】
また、図6は、吸気負圧とエンジン回転数との関係を概念的に示している。この図に示すように定常状態における吸気負圧とエンジン回転数との関係も、船外機ごとに性能ポテンシャルを充分に発揮するため、推奨される正常範囲が決まっている。具体的には、吸気負圧は上述した背圧とエンジンの燃焼部を介して上流側と下流側に位置していることから、上述した背圧と同様にして航行負荷(ボートロード)を判断し、船外機、船体、プロペラさらに使用形態とのマッチングを診断することができる。
【0112】
また、定常状態における空燃比とエンジン回転数の関係においても、空燃比は上述した吸気負圧の影響を受けるものであるから、上述した吸気負圧等と同様にして航行負荷(ボートロード)を判断し、船外機、船体、プロペラさらに使用形態とのマッチングを診断することができる。なお、空燃比はエンジンに供給される混合気から燃料と空気との割合を直接検出するセンサや、エンジンからの排ガスにおける酸素量を検出することで間接的に空燃比を検出するセンサ等によって検出されるいずれの値を用いてもよい。また空燃比とエンジン回転数との関係においてマッチングを診断する場合には、船外機のエンジンが空燃比に応じてフィードバック制御されているときにおいて特に有効である。
【0113】
また、運転状態指標値以外では、定常状態における燃圧(燃料圧力)とエンジン回転数との関係をみれば、船外機と船体との燃料系におけるリギングの良否を診断することができる。すなわち、燃圧はエンジン回転数によって若干変動するものの、エンジンが定常状態で運転中であれば燃圧は略一定の適正範囲(正常範囲)に収まるものであるから、燃圧がこの適正範囲から外れていれば、この原因が燃料系のリギングにある可能性を疑うことができる。
【0114】
たとえば、エンジン回転数が略一定で定常状態であるのに燃圧が正常範囲より低い場合には、エンジンに必要十分な燃料が供給されにくい状態となっていることが推察される。このような具体的な原因としては、燃料ホース131の長さが長すぎる、燃料ホース131の径が小さすぎる、船体側で燃料タンク23の位置等が低すぎる、燃料系にユーザが装着したフィルタや燃料経路切替弁等のアクセサリが不適切であるなどにより、燃料を送り込む際の流動抵抗が大きいことが考えられ、このような原因を推察するとともに、不適切な艤装(リギング)状態にあることを診断することができる。
【0115】
また、定常状態におけるバッテリ電圧とエンジン回転数との関係をみれば、船外機と船体との電気系におけるリギングの良否を診断することができる。すなわち、船外機1が備える発電機135の発電能力はエンジン回転数によって変動し、一般にエンジン回転数が上がれば発電量が増し、エンジン回転数が下がれば発電量が減るものであるが、正常な状態であればエンジン回転数に応じた適正範囲にある。このため、エンジン回転数が略一定の定常状態にあるにもかかわらず、バッテリ電圧が適正範囲を外れていれば、この原因が電気系のリギングにある可能性を疑うことができる。
【0116】
たとえば、エンジンが高速運転中で定常状態にあるのにバッテリ電圧が正常範囲より低い場合には、電力が適正量以上に何処かで消費されていることが考えられる。このような具体的な原因としては、船外機側の発電能力に対して、船体側で種々の電気器具等に電気を使いすぎている場合がある。また、エンジンが低速運転中で定常状態にあるのにバッテリ電圧が正常範囲より低い場合には、高速運転時の充電が十分になされていないことが考えられる。このような具体的な原因としては、バッテリの容量が小さすぎる、バッテリが劣化している、あるいは十分に充電できるだけの高速運転があまりなされていない場合などがある。また、エンジンが運転中であるのに、バッテリ単体でのバッテリ電圧が検出される場合には、発電機の異常(故障)や、ケーブルの断線等の故障が推察される。
【0117】
このようにして、定常状態におけるバッテリ電圧とエンジン回転数との関係をみれば、船外機と船体との電気系におけるリギングの良否や、電気系の故障、さらにはユーザの使用形態と船外機とのマッチング等を診断することができる。
【0118】
また、定常状態における冷却水温度とエンジン回転数との関係をみれば、船外機と船体との冷却系における故障等を診断することができる。すなわち、冷却水温度はエンジンの運転開始直後は低いが、エンジン運転開始からある程度の時間が経過したのちは、エンジン回転数が定常状態にあれば、略一定の適正範囲に収まるものであるから、冷却水温度がこの適正範囲から外れていれば、この原因が冷却系の異常(故障)にある可能性を疑うことができる。
【0119】
たとえば、エンジンが中高速運転中で定常状態にあるのに冷却水温度が正常範囲より高い場合には、冷却水を取り込む冷却水取入口5aのゴミ詰まりや、冷却水ポンプ18内のインペラが摩耗しているなどの原因で、必要なだけの冷却水が取り込まれていない場合がある。また、エンジンが低速運転中で定常状態にあるのに冷却水温度が正常範囲より低い場合には、サーモスタット153が固着したりゴミを噛むなどの原因により、冷却水が必要以上にエンジン2を循環して過冷却になっていることが考えられる。また、エンジン回転数が変動しているにもかかわらず冷却水温度が正常範囲より大きくずれたまま変動しない場合には冷却水温度センサ48の異常(故障)が考えられる。
【0120】
また、定常状態における冷却水圧力とエンジン回転数との関係をみても、船外機と船体との冷却系における故障等を診断することができる。すなわち、冷却水を供給する冷却水ポンプ18はエンジン2のクランク軸10によって駆動されるため、冷却水圧力はエンジン回転数によって変動するが、定常状態で正常であれば、冷却水圧力はエンジン回転数に応じた適正範囲にある。図7は、エンジン回転数と冷却水圧との関係を示している。エンジン回転数が略一定の定常状態にあるにもかかわらず、冷却水圧力が適正範囲を外れていれば、冷却系に異常(故障)がある可能性を疑うことができる。
【0121】
たとえば、エンジン2が定常状態で運転中にエンジン回転数によらず冷却水圧が正常範囲より高い場合や、エンジンが中高速運転中に冷却水圧が正常範囲より低い場合は、サーモスタット153が固着したりゴミを噛むなどの異常(故障)をきたしている場合がある。また、エンジン2が中高速運転中でのみ冷却水圧力が正常範囲より低い場合には、冷却水を取り込む冷却水取入口5aのゴミ詰まりや、冷却水ポンプ18内のインペラが摩耗している場合がある。また、エンジン回転数が変動しているにもかかわらず冷却水圧力が正常範囲よりずれたまま変動しない場合には冷却水圧力センサ155の異常(故障)が考えられる。
【0122】
この実施形態のサンプリングデータ記録機能においては、後述するように、運転状態データとして上記エンジン回転数と、運転状態指標値としてのスロットル開度および空燃比(排ガスの酸素濃度)と、燃圧、バッテリー電圧、冷却水温度を記録するようになっている。
【0123】
累積運転時間記録機能は、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、複数に区分した運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとの累積運転時間に加算していくものである。
【0124】
複数の運転領域区分は、エンジン回転数について予め複数に区分したエンジン回転領域と、運転状態指標値を予め複数に区分した運転状態指標値域とを組み合わせてなるものである。したがって、各運転領域区分は、エンジン回転数と運転状態指標値とを組み合わせてなるものであるから、それぞれおよそ所定の航行負荷(ボートロード)のもとでの運転状態を示している。
【0125】
このような累積運転時間記録機能によると、記録された各運転領域区分後との累積運転時間を適宜出力させることにより、どのような航行負荷(ボートロード)のもとで、どの程度運転されたのかを容易に判断することができ、これにより、各使用者(ユーザ)の使用形態と船外機、船体およびプロペラ等とのマッチングを診断することができる。
【0126】
この累積運転状態記録機能においても、運転状態指標値としては、スロットル開度、空燃比、排ガスの背圧、吸気の吸気負圧等を挙げることができるが、この実施形態においては、後述するように、運転状態指標値として、スロットル開度を用いるようになっている。
【0127】
故障検出機能は、各種センサからの出力値等が明らかな異常値を示している場合などに、故障状態を検出したことをサンプリングデータ記録機能等に提供するとともに、故障の項目を示す故障コードを生成し、これを不揮発性メモリ(EEPROM144)に故障検出時刻(累積運転時間の積算値)とともに故障記録データとして適宜出力可能に記録するものである。
【0128】
各種センサの出力値等が明らかな異常値を示している場合とは、バッテリ電圧が0である場合や、冷却水温度が異常に高まりオーバーヒートが起こりうる直前の状態を検出した場合など、通常起こり得ない状態を示す値である場合である。このような異常は、センサの故障のほか、種々の故障が含まれる。
【0129】
次に、この船外機におけるサンプリングデータ記録機能によるサンプリングデータ記録処理について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0130】
このサンプリングデータ記録処理は、メインスイッチがONされることによって開始される(ステップS10)。
【0131】
そしてまず、エンジン2が運転中であるかが判断される(ステップS12)。具体的には、エンジン2のアイドリング回転数より小さい所定の回転数(例えば350rpm)をしきい値として記憶しておき、エンジン回転数センサ43によって検出されるエンジン回転数が、このしきい値を上回っているか否かによってエンジン2が運転中であるか否かが判断される。
【0132】
エンジン2が運転中でなければ(ステップS12でNO)メインスイッチがOFFされたか否かが判断され(ステップS14)、OFFされれば(ステップS14でYES)、サンプリングデータ記録処理を終了する。ONされたままであれば(ステップS14でNO)、ステップS12に戻りエンジン2が運転されるまで繰り返す。
【0133】
エンジン2が運転中であれば(ステップS12でYES)、運転状態データがECU140のRAM141に記録される(ステップS16)。上述したように、この実施形態では、この運転状態データとして、エンジン回転数、スロットル開度、空燃比、バッテリ電圧、燃料圧および冷却水温度が含まれる。
【0134】
つづいてエンジン2が停止されずに運転を継続しているかが上記ステップS12と同様にして判断され(ステップS18)。エンジン2が運転中(運転を継続している状態)であれば(ステップS18でYES)、故障検出を示す故障コードが表れているか否かが判断され(ステップS20)、故障が検出されていなければ(ステップS20でNO)、記録停止入力の有無が判断され(ステップS22)、記録停止入力がなければ(ステップS22でNO)、前回の運転状態データの記録から所定のサンプリング周期(この実施形態では1分)が経過したか否かが判断される(ステップS24)。所定のサンプリング周期が経過していなければ(ステップS24でNO)、所定のサンプリング周期が経過するまでステップS18〜S24を繰り返す。
【0135】
所定のサンプリング周期が経過していれば(ステップS24でYES)、ステップS16に戻って、そのときの運転状態データがRAM141に記録される。この実施形態では上述したように所定の記録時間として13分間が設定され、13分間分の1分おき13セットの運転状態データが記録されるように構成されている。このため、すでに13分間(13セット)の運転状態データ記録されていれば、13分前の古いデータは破棄する代わりに現在の運転状態データを記憶することで運転状態データを更新し、常時、最新の13分間の運転データが記録されるようになっている。
【0136】
こうして、最新の13分間の運転状態データを更新しながら記憶している途中で、エンジンが運転停止する(ステップS18でNO)、故障が検出される(ステップS20でYES)、または記録停止入力がなされる(ステップS22でYES)のいずれかに該当すれば、RAM141に記録されている運転状態データをEEPROM144に転送して記憶させ(ステップS26)、サンプリングデータ記録処理を終了する。こうして運転状態データをEEPROM144に記憶させておくことにより、メインスイッチがOFFにされ、RAM141への電力供給が絶たれることでRAM141のデータが消失しても、不揮発性のEEPROM144から運転状態データを出力することができるようになっている。
【0137】
そして、このようにエンジン2の運転が停止されれば運転状態データの更新を終了することにより、停船前の最新の運転状態データを残すことができる。
【0138】
また、故障が検出されたときに運転状態データの更新を終了することにより、故障が生じる直前の運転状態データを残すことができる。
【0139】
また、記録停止命令がなされたときに運転状態データの更新を終了することにより、ユーザが希望する時点の直前の運転状態データを残すことができる。
【0140】
こうしてEEPROM144に記録された運転状態データは、後述するように適宜診断システムに出力され、船外機、船体、プロペラ、さらにはユーザの使用形態とのマッチング診断や、リギング(艤装)診断、さらに故障原因の診断等に供される。
【0141】
図9は、このサンプリングデータ記録処理によって記録された運転状態データの一例である。
【0142】
この図において、各列は、左から第1列はエンジン回転数(Engine speed)[rpm]、第2列は燃料圧力(Fuel pressure)[MPa]、第3列はバッテリー電圧(Battery)[V]、第4列は空燃比(Oxygen sensor)[V]、第5列はスロットル開度(TPS voltage)[V]、第6列は冷却水温(Water)[度]をそれぞれ示している。また各行は、第2行目から最下行に向かって順に新しい運転状態データを示しており、第2行目が13分前、第3行目が12分前、…最下行が1分前(最新)のデータを示している。
【0143】
この例においては、記録されている運転状態データの前半(略上半分)はエンジンが高速回転状態にあり、たとえば沖合等を走行していた状態であろうことを示し、後半(略下半分)は、エンジンが低速回転でほぼアイドリング状態にあり、たとえば港湾等に帰ってきて低速で船着き場に走行していた状態であろうことを示している。
【0144】
このうち、エンジン回転数が4600〜4800rpmの3分間は、エンジン回転数が略一定であるからほぼ定常状態を示していると考えられる。したがって、このときのエンジン回転数に対し、燃圧、バッテリー電圧、空燃比、スロットル開度および冷却水温度をみれば、上述した各項目ごとの種々の診断を行うことができる。また、これら各項目の相関関係をみれば、さらに詳細に船外機を含む船舶がどのような状態にあったのかを判断することも可能である。
【0145】
とくに、運転状態データの各項目をグラフ表示すれば、より容易に船外機の状態等を把握することが可能になる。
【0146】
図10は、このサンプリングデータ記録処理によって記録されたエンジン回転数とスロットル開度との関係の時間変化を示すグラフの一例である。
【0147】
この図に示すように、グラフ化すれば、定常状態にある部分を容易に把握することができるとともに、スロットル開度に対するエンジン回転数の関係を視覚的に容易に把握することができる。
【0148】
この図に示す例では、定常状態にある部分において、エンジン回転数に対するスロットル開度が適正範囲にあることから、船外機、船体およびプロペラは適切なマッチングがなされていると診断できる。
【0149】
図11は、サンプリングデータ記録処理によって記録されたエンジン回転数と、バッテリ電圧および燃料圧力との関係を示すグラフの一例である。
【0150】
この図に示すように、エンジン回転数が定常状態をとっている場合において種々のエンジン回転数に対する各項目の値を、時間軸をとらずにプロットしたグラフを作成すれば、各エンジン回転数において、各項目の値がどのように推移するかが容易に把握できる。
【0151】
この図に示す例では、エンジン回転数が低速から高速までバッテリ電圧がほぼ正常な範囲の一定値にあることから電気系について適正なリギングがなされていると診断でき、またエンジン回転数に追随して燃圧がやや高まりながらもほぼ正常な範囲に収まっていることから燃料系について適正なリギングがなされていると診断できる。
【0152】
図12は、このサンプリングデータ記録処理によって記録されたスロットル開度に対するエンジン回転数および冷却水温度の関係を示すグラフの一例である。
【0153】
この図に示すように定常状態におけるエンジン回転数とスロットル開度との関係を求めれば、どの程度のスロットル開度で船舶が非滑走状態から滑走状態に至ったかを容易に把握することができ、これにより簡単に航行負荷(ボートロード)を把握し、船外機と船体とのマッチングを簡便に判断することができる。
【0154】
また、このような滑走状態と非滑走状態とを識別した上で、冷却水温度をみれば、より船舶の運転状態を詳細に検討することが可能となる。
【0155】
なお、上記においては、エンジン回転数を350rpmというごく低い回転数で判別することによりエンジン2が運転中であるかどうかを判断し、エンジン運転中は原則としてサンプリングデータ記録処理を行うようにしたが、例えばアイドリング回転数より高い回転数で判別することとすれば、エンジン2がアイドリング回転以上(たとえば1000rpm)で運転中の運転状態データのみを記録することも可能である。また、滑走状態においてとりうるエンジン回転数の下限値(たとえば3000rpm)で判別することとすれば、船舶が滑走状態にあるときの運転状態データのみを記録することも可能である。
【0156】
図13は、このような場合のサンプリングデータ記録処理のフローチャートである。この処理手順は、上述した図8の場合と、ステップS12およびステップS18を除き同一であり、これらステップS12,ステップS18もエンジン回転数と比較する所定回転数が異なるだけである。
【0157】
このようにエンジン回転数と比較する回転数を適宜設定することにより、所定の運転状態にある場合の運転データのみを容易に記録することができる。
【0158】
次に、この船外機における累積運転時間記録機能による累積運転時間記録処理について、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0159】
この累積運転時間記録処理は、メインスイッチがONされることによって開始される(ステップS50)。
【0160】
そしてまず、エンジン2が運転中であるかが判断される(ステップS52)。具体的には、エンジン2のアイドリング回転数より小さい所定の回転数(例えば350rpm)をしきい値として記憶しておき、エンジン回転数センサ43によって検出されるエンジン回転数が、このしきい値を上回っているか否かによってエンジン2が運転中であるか否かが判断される。
【0161】
エンジン2が運転中でなければ(ステップS52でNO)メインスイッチがOFFされたか否かが判断され(ステップS54)、OFFされれば(ステップS54でYES)、累積運転時間記録処理を終了する。ONされたままであれば(ステップS54でNO)、ステップS12に戻りエンジン2が運転されるまで繰り返す。
【0162】
エンジン2が運転中であれば(ステップS52でYES)、現在の運転領域区分が識別される(ステップS56)。この実施形態においては、上述したように、運転状態指標値としてスロットル開度を用いるため、この運転領域区分は、複数に区分したエンジン回転領域と複数に区分したスロットル開度領域とを組み合わせてなるものである。したがって、現在の運転領域区分は、現在のエンジン回転数とスロットル開度の組み合わせが、2次元的に複数に区分された運転領域区分のいずれの領域に該当するかによって識別される。
【0163】
こうして現在の運転領域区分が識別されれば、これがRAM141に一時記憶される(ステップS58)。
【0164】
つづいてエンジン2が停止されずに運転を継続しているかが上記ステップS52と同様にして判断され(ステップS60)、エンジン2が運転中(運転を継続している状態)であれば(ステップS60でYES)、さらに上記ステップS56と同様にして現在の運転領域区分が識別され(ステップS62)、現在の運転領域区分がRAM141に一時記憶されている運転領域区分から変わったか否かが判断される(ステップS64)。
【0165】
運転領域区分が変わっていなければ(ステップS64でNO)、ステップS58における運転領域区分のRAM141への一時記憶から所定時間(例えば30秒)が経過したか否かが判断される(ステップS66)。経過していなければ(ステップS66でNO)、所定時間を経過するまでステップS60〜S66を繰り返す。
【0166】
所定時間を経過していれば(ステップS66でYES)、EEPROM144上に構成されている運転領域区分後との累積運転時間記録(運転状態データの一部)において、所定時間(30秒間)にわたって変化しなかった現在の運転領域区分に、この所定時間を累積運転時間として加える(ステップS68)。そして再びステップS58に戻って、上記処理を繰り返す。
【0167】
一方、所定時間を経過するまでに運転領域区分が変わった場合には(ステップS64でYES)、ステップS58に戻って、再び現在の運転領域区分をRAM141に一時記憶し直してから上記処理を繰り返す。
【0168】
なお、所定時間を経過するまでにエンジン2の運転が停止されれば(ステップS60でNO)、この累積運転時間記録処理を終了する。
【0169】
このように、所定時間にわたって運転領域区分が変化しなかった場合に限り、この運転時間をEEPROM144上の累積運転時間に加えるようにしているため、加速時や減速時等の運転状態の過渡期を除いた定常状態における運転時間のみで各運転領域区分の累積運転時間を構成することができるようになっている。これにより、過渡期に生じやすい不適正な航行負荷(ボートロード)を示すデータを排除することができる。
【0170】
こうしてEEPROM144に記録された運転状態データは、後述するように適宜診断システムに出力され、船外機、船体、プロペラ、さらにはユーザの使用形態とのマッチング診断や、リギング(艤装)診断、さらに故障原因の診断等に供される。
【0171】
なお、上記累積運転時間記録処理においては、所定時間が経過するごとにEEPROM144上の累積運転時間記録を書き換えたが、エンジン運転中はRAM141上に記録しておき、エンジン停止後においてまとめてEEPROM144を書き換えるようにしてもよい。この場合、予めメインスイッチがONされた際等において、累積運転時間記録を含むEEPROM144上の運転状態データをRAM141上に転送しておき、エンジン停止後においてRAM141上の運転状態データをEEPROM144に転送して書き換えるようにしてもよい。
【0172】
図15は、この累積運転時間記録処理によって記録された運転状態データの一例である。
【0173】
この例において、各列はエンジン回転数を500rpmごとに複数に区分けした各エンジン回転数領域を示し、各行は運転状態指標値としてスロットル開度をエンジン回転角センサ43の出力値で0.5V、対応する角度で10°ごとに複数に区分けした各運転状態指標領域を示している。
【0174】
この図15においては、上述した図4と同様に、エンジン回転数とスロットル開度との間には適正な航行負荷(ボートロード)であるマッチングが適正な正常範囲(推奨使用領域)があり、この領域から外れていれば、不適正な航行負荷(ボートロード)で運転されたものと診断しうる。
【0175】
この例においては、スロットル開度が70〜80°度でエンジン回転数が3500〜4000rpmの定常状態にあった累積運転時間が2.1時間も記録されており、荷重荷での運転がなされたことを示す。また、スロットル開度が50〜60°でエンジン回転数が5500〜6000rpmの定常状態にあった累積運転時間が2.9時間も記録されており、過軽荷での運転がなされたことを示す。
【0176】
このように、各運転領域区分ごとの累積運転時間を示す運転状態データを記録すれば、船外機、船舶、プロペラのマッチングが適正あるいは不適正な状態でどの程度の時間運転がなされたのかを判断することができる。また、これにより各ユーザの使用形態を推察して、各ユーザの使用形態とのマッチングも診断することができる。さらに、記録された運転領域区分がすべて正常範囲(推奨使用領域)にあっても各ユーザがどのような運転領域区分で使用しているかが分かり、高速運転に適したエンジンや低速運転に適したエンジンなど、エンジンの種類ごとの特性に応じた使用がなされているかも判断することができる。
【0177】
次に、上記のような診断のための運転状態データを記録可能な船外機に対して、記録された運転状態データに基づき船外機の診断を行う診断支援システムについて説明する。
【0178】
図16は、船外機の診断支援システム全体の構成を説明するための構成説明図である。
【0179】
この図に示すように、この診断支援システムは、それぞれ独立して使用可能な2段階の診断支援システムから構成されている。すなわち、船外機1に直接接続して診断を行うパーソナルコンピュータ等からなる第1段目の診断支援システム200と、この第1段目の診断支援システム200にネットワーク回線300を介して接続されて診断を行うサーバコンピュータ等からなる第2段目の診断支援システム400である。
【0180】
まず第1段目の診断支援システム200について説明する。
【0181】
第1段目の診断支援システム200は、船外機1がある海や湖等の現場に持ち込んで行う診断(簡易診断)を支援するものであり、現場近くで船舶および船外機のメンテナンス等を行うサービスショップ等が使用する。この診断支援システム200は、ハード的には現場に持ち込みやすいように形態可能なノート型パーソナルコンピュータ等から構成され、機能的には、受信手段201と、データ形式記憶手段202と、正常状態基準データ記憶手段203と、表示手段204等を備えている。
【0182】
受信手段201は、船外機1から通信ケーブル230を介して船外機1に記録された運転状態データおよびエンジン識別情報等を受信するものである。この受信手段201は、船外機1(ECU42)に対して運転状態データ等の出力指示等を行う送信機能も備えている。また通信ケーブル230は、船外機1のECU42が備えるコネクタ148に接続され、船外機1のエンジン2が停止状態にあってもECU42が動作可能なように電力供給を行うことができるように構成されている。
【0183】
データ形式記憶手段202は、複数種類のエンジンについて、種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するものである。具体的には、たとえば、エンジンの種類によって異なりうる運転状態指標値(たとえばスロットル開度)や、設けられたセンサによる運転状態データの項目数や、各運転状態データの出力値の範囲、さらにサンプリングデータ記録処理におけるサンプリング周期や記録時間、累積運転時間記録処理における運転領域区分や運転状態指標の種類等に応じて、適切なデータ形式(表示フォーマット)が記憶される。
【0184】
正常状態基準データ記憶手段203は、エンジンの種類によって異なる運転状態データの正常値の範囲等を正常状態基準データとして記憶するものである。
【0185】
表示手段204は、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類を特定し、特定したエンジン種類に応じた適切な上記データ形式を用いて、受信した運転状態データをモニタ等に表示するとともに、特定したエンジン種類に応じた正常状態基準データをモニタ等に表示するものである。
【0186】
このような各手段201〜204をパーソナルコンピュータ上に構成するためのプログラムはCD−ROM等の記録媒体250に記録されており、適宜パーソナルコンピュータ内にインストールして、診断支援システム200が構成されるようになっている。なお、エンジン種類によって異なるデータ形式や正常状態基準データ等は全てをインストールすることなく、必要に応じて必要なエンジン種類のデータを記録媒体250から参照するようにしてもよい。
【0187】
このような第1段目の診断支援システム200による診断支援の手順においては、まず、船外機1の上面等のカバーを開けてコネクタ148が取り出され、ここに診断支援システム(パーソナルコンピュータ)200に接続された通信ケーブル230が接続される。
【0188】
そして、診断支援システム200が立ち上げられ、モニタ(表示手段)205に表示された所定のメニュー画面等において、診断者が船外機1からの運転状態データ等のダウンロードを指示すれば、診断支援システム200から船外機1のECU42に運転状態データの送信要求がなされ、診断支援システム200はECU42から記録された運転状態データ、故障記録データとともにエンジン識別情報を受信する。
【0189】
このエンジン識別情報により診断支援システム200は当該船外機1に搭載されているエンジン2の種類を識別し、さらに診断者から各種の項目についての画面表示が指示されると、識別したエンジン種類に応じたデータ表示形式で受信した運転状態データを画面表示する。この例としては、サンプリングデータ記録処理において記録された運転状態データは、上述した図9〜図12、累積運転時間記録処理において記録された運転状態データとしては上述した図15を挙げることができる。
【0190】
また、この診断支援システム200は、運転状態データとともに、識別したエンジン種類に応じた正常状態基準データを画面表示する。この例としては、上述した図4〜図7を挙げることができる。
【0191】
この診断支援システム200によれば、こうして船外機1が記録した運転状態データを船外機が備えるエンジンの種類に応じた適切なデータ形式で表示することで、診断者は容易に診断を行うことができる。
【0192】
特に、エンジンの種類に応じた正常状態基準データを画面表示するため、診断者は、この正常状態基準データを参照して記録された運転状態データを容易に診断することができる。
【0193】
また、この診断支援システム200では、診断者からの指示により、船外機1のECU42が記録している故障記録データを画面表示させたり、現在の各種センサの出力値やエンジンの状態をモニターする機能も備えている。
【0194】
図17は、故障記録データ(Diagnosis Record)と、現在の各種センサの出力値(Diagnosis)の画面出力例である。この例においては、現在各種センサは全て正常に動作しており、また故障記録はないことが分かる。
【0195】
図18は、現在のエンジンの状態(Engine Monitor)の画面出力例である。この例においては、エンジン2は停止していることのほか、各種のエンジン2の状態を示すセンサの出力値等がリアルタイムに出力されている。
【0196】
また、この診断支援システム200では、このようなエンジン2の状態を出力したまま、ECU42から点火プラグ14にテスト用の制御信号を送らせ、画面表示やエンジン傍で点火音を確認することにより点火が正常に行われているかをテストしたり、エンジン2の1つの気筒を休止した状態でエンジンを運転させ、そのときのエンジン回転数の変化等を画面表示で確認することにより、休止した気筒が正常に動作しているか否かをテストする機能等を備えている。
【0197】
なお、このような第1段目の診断支援システム200による診断は、海や湖等の現場近くで行われるものであるから、診断者が必ずしも診断の対象とする船外機等について十分な知識がない場合があり、このため十分な診断が行えず、故障や不具合の牽引が解明できない場合もあり得る。そこで、このような場合には、第2段目の診断支援システム400によってさらなる診断が行われる。
【0198】
次に、第2段目の診断支援システム400について説明する。
【0199】
第2段目の診断支援システム400は、船外機1がある海や湖等の現場から離れた場所等において行われる診断(詳細診断)を支援するものである。この第2段目の診断支援システム400は、上述したように現場では解明できなかった診断を詳細に行うものであるから、船外機1についてより高度な知識と経験を有する船外機1を開発、製造した製造メーカ等が使用する。
【0200】
この診断支援システム400は、ハード的にはインターネット等のネットワーク回線300に接続された大型コンピュータからなるサーバコンピュータ等によって構成され、機能的には、受信手段401と、データ形式記憶手段402と、アドレス記憶手段403と、正常状態基準データ記憶手段404と、転送手段405等を備えている。
【0201】
また、この診断支援システム400は、各種類の船外機を開発、設計した各船外機の特性等について熟知している専門家に、具体的な診断を行わせるものであり、このため、このような専門家を担当者として各担当者が使用する担当者端末410,420…と通信回線等で接続されている。
【0202】
受信手段401は、海や湖等の現場にある上述した第1段目の診断支援システム200から、ネットワーク回線300を介して船外機1が記録した運転状態データおよびエンジン識別情報等を受信するものである。
【0203】
データ形式記憶手段402は、複数種類のエンジンについて、種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するものである。具体的には、上述したデータ形式記憶手段202と同様に構成される。
【0204】
アドレス記憶手段403は、上述したように、各種類の船外機を開発、設計した専門家(担当者)が使用する担当者端末410,420…にデータ等を転送するために必要なアドレスを、エンジンの種類別に記憶するものである。なお、このアドレスとしては、各担当者端末410,420…を特定し、データ転送を行いうる情報であれば、任意の公知の情報を採用することができる。
【0205】
正常状態基準データ記憶手段404は、エンジンの種類によって異なる運転状態データの正常値の範囲等を正常状態基準データとして記憶するものである。この正常状態基準データ記憶手段404は、船外機を開発した製造メーカ等において用いられるものであり、船外機1について高度な診断を行うため、上述したサービスショップ等が使用する第1段目の診断支援システム200における正常状態基準データよりも、詳細なものであることが望ましい。
【0206】
転送手段405は、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者(専門家)の担当者端末410,420…のアドレスを用いて、該担当者端末410,420…に対し、このエンジンの種類に応じた適切な上記データ形式を用いて受信した運転状態データを転送するとともに、このエンジンの種類に応じた前記正常状態基準データを転送するものである。
【0207】
このような第2段目の診断支援システム400においては、まず第1段目の診断支援システム200から運転状態データ、故障記録データとともにエンジン識別情報を受信する。診断支援システム400は、このエンジン識別情報によりエンジン2の種類を識別し、識別されたエンジン種類の正常状態データとともに、識別したエンジン種類に応じたデータ表示形式で受信した運転状態データを識別されたエンジン種類の担当者の担当者端末410,420…に対して転送する。
【0208】
このようにすると、診断を行う担当者には診断すべきエンジンの種類における正常状態基準データが転送されるため、診断を行う担当者が複数種類のエンジンを担当している場合であっても、担当者は診断すべきエンジンの種類における正常状態を確実に把握することができ、これにより容易にマッチング、リギング及び故障等の診断を行うことができる。
【0209】
こうして、担当者によって船外機のマッチング、リギング、故障原因等の診断が行われれば、この診断結果は、電話、FAX、電子メール等、種々の情報送信手段を介して現場に送られる。
【0210】
なお、この診断結果をこの第2段目の診断支援システム400を介して第1段目の診断支援システム200に返送するため、転送手段は前記転送手段405は、担当者端末410,420…から送られる診断結果を受信する機能を有し、また前記受信手段401は、この診断結果をネットワーク回線300を介して、第1段目の診断支援システム200に送信する機能を有するように構成することが望ましい。
【0211】
以上、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明にかかる船外機および船外機の診断支援システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。
【0212】
(1)上記実施形態においては、第1段目の診断支援システム200を停船中の船舶の船外機に接続して診断を行うようにしたが、第1段目の診断支援システムを船舶上に設置し、航行中に診断を行ってもよい。
【0213】
(2)上記実施形態においては、船外機1に蓄えられた運転状態データを第1段目の診断支援システム(パーソナルコンピュータ)200に送り、ここからネットワーク回線300を介して第2段目の診断支援システム400に送るようにしたが、船外機1にデータ送信機能を有する携帯電話等を接続し、この携帯電話等からネットワーク回線300を介して直接に第2段目の診断支援システム400に運転状態データ等を送信するようにしてもよい。
【0214】
(3)上記実施形態においては、運転状態データやエンジン識別情報は、EEPROM144に記憶させたが、不揮発性の書き込み可能なメモリであればEEPROMに限らず種々の任意のメモリを用いることができる。
【0215】
(4)上記実施形態においては、サンプリング周期を1分とし、記録時間を13分として1分ごとに13個の運転状態データを記録するようにしたが、サンプリング周期や記録時間は船外機の種類や目的等に応じて適宜設定すればよい。たとえば、サンプリング周期を1秒としてもよい。このようにすると、細かい運転状態の変化を捉えることができることからより確実に定常状態を見極めることができる。また、メモリ容量が許せば、記録時間を8時間程度に設定することが望ましい。このようにすると、小型船舶の一般的な航行時間の全体をカバーすることができることから、航行開始から停船までのすべての状態を把握し、この中からより確実に定常状態を抽出することができる。
【0216】
(5)上記実施形態においては、運転状態データとして記録する値は、種々のセンサからの出力される電圧値等をそのまま用いたが、適宜ユーザ等が理解しやすい値に変換して記録するようにしてもよい。
【0217】
(6)上記実施形態では燃圧センサ47を高圧燃料ポンプ32a,32bの吐出側である高圧の接続ホース49に設けたが、高圧燃料ポンプ32a,32bの上流側である低圧の予圧配管31等に設けてもよい。
【0218】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる船外機によれば、所定のサンプリング周期ごとの複数の時点における運転状態データを出力可能に記憶するため、運転状態データが変化しておらず略一定で推移しているか否かから運転状態が定常状態にあるかを判断することができ、このような定常状態で運転された運転データが抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転数と運転状態指標値との関係から航行負荷(ボートロード)が適性範囲にあるかを検討することにより、船外機、艇体およびプロペラのマッチングが適性であるかを容易に診断することができる。また、エンジン不調等が生じた場合であっても、かかる不調がマッチング不良によるものか、エンジン自体に問題があるかを容易に診断することができる。さらに、実際に航行中の運転状態データが得られることから、各ユーザーの使用形態も診断することができる。
【0219】
また、本発明にかかる船外機によれば、エンジン回転領域および運転状態指標値域を組み合わせてなる各運転領域区分ごとに累積運転時間を記憶するため、各運転領域区分に対応する航行負荷(ボートロード)のもとで、どの程度運転されたのかを容易に判断することができ、これにより、各使用者の使用形態と船外機、船体およびプロペラ等とのマッチングを診断することができる。
又、前記故障検出手段が何らかの故障状態を検出した場合であっても、エンジンを停止することなく、その故障状態に至る直前の運転状態データを残すことができるため、故障原因の究明に寄与することができる。
【0220】
また、本発明にかかる船外機の診断支援システムによれば、船外機から運転状態データとともにエンジン識別情報を受信し、受信したエンジン識別情報により、適合するデータ形式に基づいて運転状態データを診断者に提示するため、判断者は船外機、船体、プロペラ等のマッチングの診断を容易に行うことができる。
【0221】
また、本発明にかかるコンピュータを船外機の診断支援システムとし動作させるプログラムを記録した記録媒体によれば、コンピュータを上述した船外機の診断支援システムとして好適に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる船外機の一実施形態を示す全体構成説明図であり、(A)はエンジンの燃料供給系の構成図、(B)は(A)のエンジンの縦断面図、(C)はこの船外機の側面図である。
【図2】エンジンの冷却系の構成説明図である。
【図3】ECUのハードウェア構成図である。
【図4】エンジン回転数とスロットル開度との関係を示す説明図である。
【図5】エンジン回転数と背圧との関係を示す説明図である。
【図6】エンジン回転数と吸気負圧との関係を示す説明図である。
【図7】エンジン回転数と冷却水圧との関係を示す説明図である。
【図8】サンプリングデータ記録処理のフローチャートである。
【図9】サンプリングデータ記録処理によって得られる運転状態データの一例である。
【図10】サンプリングデータ記録処理によって得られるエンジン回転数とスロットル開度の変化の一例を示すグラフである。
【図11】サンプリングデータ記録処理によって記録されたエンジン回転数と、バッテリ電圧および燃料圧力との関係を示すグラフの一例である。
【図12】サンプリングデータ記録処理によって記録されたエンジン回転数と、スロットル開度および冷却水温との関係を示すグラフの一例である。
【図13】サンプリングデータ記録処理の他の例のフローチャートである。
【図14】累積運転時間記録処理のフローチャートである。
【図15】累積運転時間記録処理よって得られる運転状態データの一例である。
【図16】本発明にかかる船外機の診断支援システムの全体構成図である。
【図17】故障記録データと、現在の各種センサの出力値の画面出力例である。
【図18】現在のエンジンの状態の画面出力例である。
【符号の説明】
1 船外機
2 エンジン
6 プロペラ
23 燃料タンク
38 背圧センサ(運転状態指標値検出手段),
42 ECU(エンジンコントロールユニット)
43 エンジン回転数センサ
44 吸気温センサ
45 スロットル開度センサ(運転状態指標値検出手段)
47 空燃比センサ(運転状態指標値検出手段)
48 冷却水温度センサ
56 オイルレベルセンサ
112 空燃比(O2)センサ(運転状態指標値検出手段)
121 吸気負圧センサ(運転状態指標値検出手段)
131 燃料ホース
133 バッテリケーブル
134 バッテリ
135 発電機
144 EEPROM
148 コネクタ
149 通信ケーブル
155 冷却水圧力センサ
160 記録停止スイッチ
200 第1段目の診断支援システム
201 受信手段
202 データ形式記憶手段
203 正常状態基準データ記憶手段
204 表示手段(モニタ)
230 通信ケーブル
250 CD−ROM(記録媒体)
300 ネットワーク回線
400 第2段目の診断支援システム
401 受信手段
402 データ形式記憶手段
403 アドレス記憶手段
404 正常状態基準データ記憶手段
405 転送手段
410,420 担当者端末

Claims (21)

  1. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、
    前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、
    前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、
    所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段と、
    前記エンジンの各部位における故障状態を検出する故障検出手段とを備え、
    前記運転状態記憶手段は、前記所定のサンプリング周期が到来するごとに前記運転状態データを更新しながら、常時、前記所定の記録時間分の前記運転状態データを記憶するとともに、故障状態が検出されたときに前記運転状態データの更新を停止してその故障状態に至る直前の運転状態データを残すことができるように構成されたことを特徴とする船外機。
  2. 前記所定のサンプリング周期は2分以下であることを特徴とする請求項1記載の船外機。
  3. 前記所定の記録時間は15秒以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の船外機。
  4. 前記所定の記録時間は2分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の船外機。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の船外機において、前記運転状態記憶手段は、前記エンジン回転数が予め設定された第1の所定回転数以上または越えたときに前記運転状態データの更新を開始する一方、前記エンジンの回転数が第2の所定回転数以下または未満になったときに前記運転状態データの更新を停止するように構成されたことを特徴とする船外機。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の船外機において、
    使用者等によって操作される記録停止スイッチを備え、
    前記運転状態記憶手段は、前記記録停止スイッチにおいて記録停止命令の入力を受けた際には、前記運転状態データの更新を停止するように構成されたことを特徴とする船外機。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の船外機において、前記運転状態記憶手段は、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして記憶するように構成されたことを特徴とする船外機。
  8. 前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンへの吸気量を調節するスロットル弁のスロットル開度を前記運転状態指標値として検出するスロットル開度センサを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の船外機。
  9. 前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンの混合気の空燃比を前記運転状態指標値として検出する空燃比センサを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の船外機。
  10. 前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンから水中に至る排ガスの排出経路において該排ガスの背圧を前記運転状態指標値として検出する背圧センサを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の船外機。
  11. 前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンに送られる吸気の吸気負圧を前記運転状態指標値として検出する吸気負圧センサを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の船外機。
  12. 前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の船外機。
  13. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、
    前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信手段と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示手段と
    を備えたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
  14. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして適宜出力可能に記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、
    前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信手段と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示手段と
    を備えたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
  15. 請求項13又は14に記載の船外機の診断を支援する診断支援システムにおいて、
    エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、
    前記表示手段は、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを画面表示するように構成されたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
  16. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムとして、コンピュータに、
    前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信処理と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶する記憶処理と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示処理と
    を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  17. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして適宜出力可能に記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムとして、コンピュータに、
    前記船外機の運転状態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態データを受信する受信処理と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶する記憶処理と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表示処理と
    を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 請求項16又は17記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、コンピュータに、
    エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶処理とを実行させる一方、
    前記表示手段として、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを画面表示させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  19. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手段と
    を備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、
    前記船外機の運転状態記憶手段に記憶された前記エンジン識別情報および運転状態データをネットワーク回線を介して受信する受信手段と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、
    エンジンの種類別に予め設定された担当者が使用する担当者端末のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者の担当者端末に対し、受信した運転状態データを転送する転送手段と
    を備えたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
  20. 駆動軸を介して接続されたプロペラを推進駆動するエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手段と、エンジンの運転時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値の組み合わせが、予め複数に区分したエンジン回転領域および予め複数に区分した運転状態指標値域を組み合わせてなる複数の運転領域区分のいずれにあるのかを識別して、各運転領域区分ごとに累積運転時間を運転状態データとして適宜出力可能に記憶する運転状態記憶手段とを備え、前記運転状態記憶手段には、少なくともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜出力可能に記憶されている船外機の診断を支援する診断支援システムであって、
    前記船外機の運転状態記憶手段に記憶された前記エンジン識別情報および運転状態データをネットワーク回線を介して受信する受信手段と、
    エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段と、
    エンジンの種類別に予め設定された担当者が使用する担当者端末のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
    受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式に基づいて、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者の担当者端末に対し、受信した運転状態データを転送する転送手段と
    を備えたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
  21. 請求項19又は20記載の船外機の診断を支援する診断支援システムにおいて、
    エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、
    前記転送手段は、受信した運転状態データとともに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前記正常状態基準データを転送するように構成されたことを特徴とする船外機の診断支援システム。
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