JP2002161800A - 水ジェット推進艇、水ジェット推進艇の診断支援システム、およびコンピュータを水ジェット推進艇の診断支援システムとして動作させるプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

水ジェット推進艇、水ジェット推進艇の診断支援システム、およびコンピュータを水ジェット推進艇の診断支援システムとして動作させるプログラムを記録した記録媒体

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JP2002161800A
JP2002161800A JP2000358570A JP2000358570A JP2002161800A JP 2002161800 A JP2002161800 A JP 2002161800A JP 2000358570 A JP2000358570 A JP 2000358570A JP 2000358570 A JP2000358570 A JP 2000358570A JP 2002161800 A JP2002161800 A JP 2002161800A
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jet propulsion
water jet
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JP2000358570A
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English (en)
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Jun Motose
準 本瀬
Masayoshi Nanami
正善 名波
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Yamaha Marine Co Ltd
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Sanshin Kogyo KK
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Publication date
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B61/00Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing
    • F02B61/04Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers
    • F02B61/045Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers for marine engines

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  • Recording Measured Values (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 故障診断等を容易に行うことができる水ジェ
ット推進艇を提供する。 【解決手段】 水ジェット推進艇は、所定のサンプリン
グ周期(例えば1分)ごとに所定の記録時間(例えば1
3分)分の最新の運転状態データとしてエンジン回転
数、スロットル開度、冷却水温、冷却水圧等を記録す
る。これを適宜診断支援システムにて受信し、エンジン
回転数が略一定で推移している部分を定常状態で運転さ
れた運転状態データとする。そして、この運転状態デー
タに含まれるエンジン回転数に対するスロットル開度、
冷却水温、冷却水圧等との関係からインペラと艇本体と
のマッチング、冷却系の異常、インペラの摩耗状態等に
関する水ジェット推進艇の状態を診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水ジェット推進艇
および水ジェット推進艇の診断支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】水ジェット推進艇は、ジェット推進機内
のインペラをエンジンで推進駆動し、該インペラで発生
する噴流を噴射ノズルから後方に噴射することにより推
進するものである。
【0003】このような水ジェット推進艇において、ジ
ェット推進機は水とともに砂や小石なども一緒に吸い込
んでしまうため、ジェット推進機内のインペラはこれら
砂や小石などによって摩耗する。こうしてインペラが摩
耗すると、インペラを除く水ジェット推進艇本体とイン
ペラとのマッチングが悪化し、エンジンの駆動力が適切
に推進力に変換できず、運転フィーリングが損なわれた
り、エンジン回転数の不適正な変動や燃費悪化等を引き
起こし、ひいてはエンジンに不調を生じる場合がある。
【0004】また、インペラはユーザによって取り替え
可能であるため水ジェット推進艇本体とのマッチングが
悪いインペラが取り付けられることで上記不調を生じる
場合もある。
【0005】さらに、一般に水ジェット推進艇では、ジ
ェット推進機のインペラで加圧された水をエンジン冷却
に用いていることから、水ジェット推進艇本体とマッチ
ングの悪い摩耗したインペラ等が取り付けられている
と、エンジン冷却系の不具合を引き起こすこともある。
【0006】また、水ジェット推進艇は海上で使用され
ることが多いことから、吸気中に含まれる塩分が吸気通
路のスロットル弁をバイパスするバイパス通路におい
て、該バイパス通路を開閉するバイパス開閉弁(ISC
バルブ)に固着してしまい、アイドリング回転が不安定
になることがある。
【0007】また、水ジェット推進艇は、一般に4サイ
クルエンジンを搭載しているが、激しい姿勢変動を伴う
運転がなされることが多いため、4サイクルエンジンを
搭載したジェット推進艇においては、燃焼室から漏れた
ガソリンが潤滑油に混入して潤滑油の粘性が低下し、適
切な潤滑ができなくなることがある。また、多くの水ジ
ェット推進艇のエンジンの出力軸はインペラに固定され
た減速比で連結されているので高回転領域で長時間運転
されることが多いことから、上記ガソリンの漏れが生じ
やすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
このような種々の原因によって水ジェット推進艇に不調
が生じても、このような不調は所定の運転状態にある海
上等で生じるものであり、停泊中には再現できないこと
が多い。
【0009】このため、水ジェット推進艇に不調が生じ
ても、故障部位を特定することが困難であり、故障部位
を特定するには水ジェット推進艇を分解して各部位を目
視確認しなければならず、非常な時間と手間を要してい
た。
【0010】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、その第1の目的は、容易にエンジン不調等の原因
を容易に診断することができる水ジェット推進艇を提供
することである。
【0011】また、本発明の第2の目的はこのような水
ジェット推進艇についての診断を容易に行うことができ
る水ジェット推進艇の診断支援システムを提供すること
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる水ジェッ
ト推進艇は、ジェット推進機のインペラを推進駆動する
エンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出する
エンジン回転数センサと、前記エンジンの運転状態を示
す所定の運転状態指標値を検出する運転状態指標検出手
段と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周
期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記
運転状態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能
な状態で記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを
特徴とするものである。
【0013】このような水ジェット推進艇によると、運
転状態記憶手段に記憶された運転状態データを適宜出力
させることにより、所定のサンプリング周期ごとの複数
の時点における運転状態データが得られる。そして、運
転状態データが変化しておらず略一定で推移しているか
否かから運転状態が定常状態にあるかを判断することが
でき、このような定常状態で運転された運転データが抽
出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転数
と運転状態指標値との関係から航行負荷(ボートロー
ド)が適性範囲にあるかを検討することにより、インペ
ラとインペラを除く水ジェット推進艇本体とのマッチン
グが適性であるかを診断することができる。これによ
り、エンジン不調等が生じた場合であっても、かかる不
調がマッチング不良によるものか、エンジン自体に問題
があるかを容易に診断することができる。また、実際に
航行中の運転状態データが得られることから、各ユーザ
ーの使用形態も診断することができる。
【0014】また、このような水ジェット推進艇におい
て、前記運転状態指標検出手段は、前記エンジンへの吸
気量を調節するスロットル弁のスロットル開度を前記運
転状態指標値として検出するスロットル開度センサを含
むものとして構成することができる。
【0015】このようにすると、スロットル開度に対す
るエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を
想定することができることから、これによってインペラ
とインペラを除く水ジェット推進艇本体とのマッチング
を診断することができる。具体的には、水ジェット推進
艇の特性に応じたスロットル開度とエンジン回転数の関
係の適正範囲を正常状態基準データとして求めておき、
水ジェット推進艇に記憶された運転状態データをこの正
常状態基準データに当てはめてマッチングが適正状態に
あるか否かを判断すればよい。
【0016】また、前記運転状態指標検出手段は、艇の
船速を前記運転状態指標値として検出する船速センサを
含むものとして構成してもよい。
【0017】このようにしても、艇の船速に対するエン
ジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を想定す
ることができることから、上述したスロットル開度によ
る場合と同様にしてマッチングを診断することができ
る。
【0018】また、前記運転状態指標検出手段は、前記
エンジンの混合気の空燃比を前記運転状態指標値として
検出する空燃比センサを含むものとして構成してもよ
い。
【0019】このようにしても、混合気の空燃比に対す
るエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を
想定することができることから、上述したスロットル開
度による場合と同様にしてマッチングを診断することが
できる。この空燃比センサとしては具体的にはエンジン
に供給される混合気から燃料と空気との割合を直接検出
するセンサや、エンジンからの排ガスにおける酸素量を
検出することで間接的に空燃比を検出するセンサ等を挙
げることができる。
【0020】このように空燃比を前記運転状態指標値と
して用いることは、当該水ジェット推進艇が、特定回転
域にてエンジンを空燃比に応じたフィードバック制御し
ている場合には特に有効である。
【0021】また、前記運転状態指標検出手段は、前記
エンジンに送られる吸気の吸気負圧を前記運転状態指標
値として検出する吸気負圧センサを含むものとして構成
してもよい。
【0022】このようにしても、吸気の吸気負圧に対す
るエンジン回転数によって航行負荷(ボートロード)を
想定することができることから、上述したスロットル開
度による場合と同様にしてマッチングを診断することが
できる。
【0023】また、本発明にかかる水ジェット推進艇
は、ジェット推進機のインペラを推進駆動するエンジン
と、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン
回転数センサと、前記インペラで加圧された水をエンジ
ンの冷却水として供給する開放型冷却手段と、前記エン
ジン近傍における冷却水温度を検出する冷却水温度セン
サと、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周
期ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記
冷却水温度とを運転状態データとして適宜出力可能な状
態で記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴
とものである。
【0024】このような水ジェット推進艇では、エンジ
ン回転数が略一定で推移している定常状態においては、
エンジン回転数に対する冷却水温度は、冷却系が正常で
あれば所定の適正範囲に収まる。
【0025】したがって、このような水ジェット推進艇
によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態デー
タを適宜出力させることにより、所定のサンプリング周
期ごとの複数の時点における運転状態データが得られ、
運転状態データが変化しておらず略一定で推移している
か否かから運転状態が定常状態にあるかを判断すること
ができ、このような定常状態で運転された運転データが
抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転
数と冷却水温度との関係から冷却水温度が適正範囲にあ
るかを検討することにより、エンジンの冷却系に故障が
生じているか否かを容易に判断することができる。ま
た、複数時点の運転状態データが得られることから、こ
の間のエンジン回転数と冷却水温度との関係の推移を検
討することによって、冷却系の故障であっても、インペ
ラの摩耗か、冷却水取入口の詰まりかなど、どの部位に
故障が生じているかを推測することが可能になる。
【0026】なお、本発明において、開放型冷却手段と
は、水ジェット推進艇において艇外部から取り込んだ水
をエンジンに供給して直接冷却するもの、あるいは艇外
部から取り込んだ水で内部循環冷却水を冷却し、この内
部循環冷却水がエンジン周りを循環する間接冷却するも
のを含む。
【0027】ただし、いずれにおいても冷却水温度セン
サはエンジン近傍の冷却水の冷却水温度を検出すること
が望ましい。
【0028】また、本発明にかかる水ジェット推進艇
は、ジェット推進機のインペラを推進駆動するエンジン
と、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン
回転数センサと、前記インペラで加圧された水をエンジ
ンの冷却水として供給する開放型冷却手段と、前記イン
ペラで加圧されてエンジンの冷却水として供給される水
の圧力を冷却水圧力として検出する冷却水圧力センサ
と、所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期
ごとに複数の時点における前記エンジン回転数と前記冷
却水圧力とを運転状態データとして適宜出力可能な状態
で記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴と
するものである。
【0029】このような水ジェット推進艇では、エンジ
ン回転数が略一定で推移している定常状態においては、
エンジン回転数に対する冷却水圧力は、冷却系が正常で
あれば所定の適正範囲に収まる。
【0030】したがって、このような水ジェット推進艇
によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態デー
タを適宜出力させることにより、所定のサンプリング周
期ごとの複数の時点における運転状態データが得られ、
運転状態データが変化しておらず略一定で推移している
か否かから運転状態が定常状態にあるかを判断すること
ができ、このような定常状態で運転された運転データが
抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転
数と冷却水圧力との関係から冷却水圧力が適正範囲にあ
るかを検討することにより、エンジンの冷却系に故障が
生じているか否かを容易に判断することができる。ま
た、複数時点の運転状態データが得られることから、こ
の間のエンジン回転数と冷却水圧力との関係の推移を検
討することによって、冷却系の故障であっても、インペ
ラの摩耗か、冷却水取入口の詰まりかなど、どの部位に
故障が生じているかを推測することが可能になる。
【0031】なお、本発明において、開放型冷却手段と
は、水ジェット推進艇において艇外部から取り込んだ水
をエンジンに供給して直接冷却するもの、あるいは艇外
部から取り込んだ水で内部循環冷却水を冷却し、この内
部循環冷却水がエンジン周りを循環して間接冷却するも
のを含む。
【0032】ただし、いずれにおいても冷却水圧力セン
サは、前記インペラで加圧されてエンジンの冷却水とし
て供給される水の圧力を冷却水圧力として検出すること
が望ましい。
【0033】また、本発明にかかる水ジェット推進艇
は、ジェット推進機のインペラを推進駆動するエンジン
と、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン
回転数センサと、前記エンジンの各気筒への吸気通路に
おいて該吸気通路を開閉するスロットル弁をバイパスす
るバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパ
ス開閉弁と、前記バイパス開閉弁のバイパス開度を検出
するバイパス開度検出手段と、所定の記録時間にわたっ
て所定のサンプリング周期ごとに複数の時点における前
記エンジン回転数と前記バイパス開度とを運転状態デー
タとして適宜出力可能な状態で記憶する運転状態記憶手
段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0034】このような水ジェット推進艇では、エンジ
ン回転数が略一定で推移している定常状態においては、
エンジン回転数に対するバイパス開閉弁のバイパス開度
は、吸気系が正常であれば所定の適正範囲に収まる。
【0035】したがって、このような水ジェット推進艇
によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態デー
タを適宜出力させることにより、所定のサンプリング周
期ごとの複数の時点における運転状態データが得られ、
運転状態データが変化しておらず略一定で推移している
か否かから運転状態が定常状態にあるかを判断すること
ができ、このような定常状態で運転された運転データが
抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転
数とバイパス開度との関係からバイパス開度が適正範囲
にあるかを検討することにより、エンジンのバイパス開
閉弁が塩で固着していないかなど、吸気系の故障を容易
に判断することができる。また、複数時点の運転状態デ
ータが得られることから、この間のエンジン回転数とバ
イパス開度との関係の推移を検討することによって、吸
気系の故障であっても、バイパス開閉弁に故障が生じて
いるのか、他の部位に故障が生じているかを推測するこ
とが可能になる。
【0036】また、本発明にかかる水ジェット推進艇
は、ジェット推進機のインペラを推進駆動する4サイク
ルのエンジンと、前記エンジンのエンジン回転数を検出
するエンジン回転数センサと、前記エンジンに対して潤
滑油を循環させる潤滑油循環経路と、前記潤滑油循環経
路における潤滑油圧を検出する潤滑油圧センサと、所定
の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複
数の時点における前記エンジン回転数と前記潤滑油圧と
を運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶する
運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とするもので
ある。
【0037】このような水ジェット推進艇では、エンジ
ン回転数が略一定で推移している定常状態においては、
エンジン回転数に対する潤滑油圧は、潤滑系が正常であ
れば所定の適正範囲に収まる。
【0038】したがって、このような水ジェット推進艇
によると、運転状態記憶手段に記憶された運転状態デー
タを適宜出力させることにより、所定のサンプリング周
期ごとの複数の時点における運転状態データが得られ、
運転状態データが変化しておらず略一定で推移している
か否かから運転状態が定常状態にあるかを判断すること
ができ、このような定常状態で運転された運転データが
抽出できれば、運転状態データに含まれるエンジン回転
数と潤滑油圧との関係から潤滑油圧が適正範囲にあるか
を検討することにより、エンジンの潤滑系に故障が生じ
ているか否かを容易に判断することができる。また、複
数時点の運転状態データが得られることから、この間の
エンジン回転数と潤滑油圧との関係の推移を検討するこ
とによって、潤滑系の故障であっても、潤滑油に水が混
入したのか、一時的にエアを噛んだのかなど、具体的な
故障原因を推測することが可能になる。
【0039】このような水ジェット推進艇においては、
前記所定のサンプリング周期は2分以下、さらに好まし
くは1分以下であることが望ましい。
【0040】このようにすると、運転状態データが記憶
される各サンプリング周期の間において急加減速されて
いないことを確認することができるため、より確実に定
常状態の運転状態データを抽出することができ、これに
基づいて上記診断を的確に実施することができる。
【0041】また、前記所定の記録時間は15秒以上で
あることが望ましい。
【0042】このようにすると、少なくとも15秒の間
隔をおいた時点の運転状態データが得られることから、
両者を比較することにによって運転状態が定常状態にあ
るのか緩加減速中にあるのかを識別することができるた
め、より確実に定常状態の運転状態データを抽出するこ
とができ、これに基づいて上記診断を的確に実施するこ
とができる。
【0043】また、前記運転状態記憶手段は、前記所定
のサンプリング周期が到来するごとに前記運転状態デー
タを更新しながら、常時、前記所定の記録時間分の前記
運転状態データを記憶するように構成することが望まし
い。
【0044】このようにすると、常時、最新の運転状態
データを得ることができため、最新の運転状態から上記
診断を行うことができる。
【0045】また、何らかの原因でエンジンが停止した
場合であっても、停止直前の運転状態が得られるため、
停止原因の究明に寄与することができる。
【0046】また、このように運転状態データを更新し
ながら記憶する場合、前記所定の記録時間は1分以上で
あることが望ましい。
【0047】通常、水ジェット推進艇は海岸等の近傍に
おいて使用されており、高速航行ののち、1分以内程度
のアイドリング状態を経て海岸等の停船位置に至り停船
する。したがって、上述のように、停船前の1分以上に
わたる運転状態データを記憶すれば、水ジェット推進艇
が停船準備に入る前に水ジェット推進艇のエンジンにボ
ートロードが直接作用している高速航行時の運転状態デ
ータを得ることができるため、この高速航行時における
定常状態の運転状態データに基づいて上記診断をより的
確に実施することができる。
【0048】なお、前記所定の記録時間は2分以上、さ
らに5分以上であることがより望ましい。このようにす
ると、高速航行時における定常状態の運転データが得ら
れる可能性が高まる。
【0049】また、運転状態データを更新しながら記憶
する場合には、前記エンジンの各部位における故障状態
を検出する故障検出手段を備え、前記運転状態記憶手段
は、故障状態が検出されたときに前記運転状態データの
更新を停止するように構成されることが望ましい。
【0050】このようにすると、前記故障検出手段が何
らかの故障状態を検出した場合であっても、エンジンを
停止することなく、その故障状態に至る直前の運転状態
データを残すことができるため、故障原因の究明に寄与
することができる。
【0051】また、このような水ジェット推進艇におい
ては、前記運転状態記憶手段は、前記エンジン回転数が
予め設定された第1の所定回転数以上または越えたとき
に前記運転状態データの更新を開始する一方、前記エン
ジンの回転数が第2の所定回転数以下または未満になっ
たときに前記運転状態データの更新を停止するように構
成されることが望ましい。
【0052】このようにすると、水ジェット推進艇が所
定の運転状態になったときの運転状態データのみを記録
することができ、故障診断を効率的に行うことができ
る。なお、これら第1の所定回転数および第2の所定回
転数は、同じ回転数としても異なる回転数としてもよ
い。
【0053】具体的には、第1、第2の所定回転数を充
分に低い値、たとえばアイドリング回転数より低い値に
設定すると、故障診断に有効なエンジンが運転されてい
る状態の運転状態データのみを記録することができる。
【0054】また、第1、第2の所定回転数をアイドリ
ング回転数を超えるように設定すると、エンジンに航行
負荷(ボートロード)が作用した状態における運転状態
データのみを記録することができるため、効率的であ
る。
【0055】さらに、第1、第2の所定回転数を水ジェ
ット推進艇が滑走状態にあるときに相当するエンジン回
転数の下限値近傍に設定すると、艇が滑走状態にあると
きの運転状態データのみを記録することができるため、
滑走状態における故障を診断する場合には、特に効率的
である。
【0056】また、このような水ジェット推進艇におい
ては、使用者等によって操作される記録停止スイッチを
備え、前記運転状態記憶手段は、前記記録停止スイッチ
において記録停止命令の入力を受けた際には、前記運転
状態データの更新を停止するように構成することが望ま
しい。
【0057】このようにすると、使用者等が記録停止命
令を入力することによって、使用者等が診断を希望する
状態における運転状態データを残すことができる。具体
的には、滑走時等の定常状態のほか、加減速時等の状態
変化時の運転状態データを意図的に選択して残すことが
できる。
【0058】また、前記運転状態記憶手段には、少なく
ともエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適
宜出力可能に記憶されていることが望ましい。
【0059】このようにすると、水ジェット推進艇の運
転状態記憶手段から運転状態データとともにエンジン識
別情報を出力することで、エンジン識別情報によってエ
ンジンの種類を特定することができることから、エンジ
ンの種類に応じて異なる運転状態データの適正範囲等を
想定して、的確な故障診断を容易に行うことができる。
【0060】また、本発明にかかる診断支援システム
は、このような水ジェット推進艇の診断を支援する診断
支援システムであって、前記水ジェット推進艇の運転状
態記憶手段から前記エンジン識別情報および運転状態デ
ータを受信する受信手段と、エンジンの種類別に各エン
ジンにおいて検出される運転状態データのデータ形式を
記憶するデータ形式記憶手段と、受信したエンジン識別
情報に該当するエンジンの種類における前記データ形式
に基づいて、受信した運転状態データを画面表示する表
示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0061】水ジェット推進艇は主として搭載するエン
ジンの種類によって収集・記憶される運転状態データの
前記サンプリング周期や記録時間が異なる。
【0062】このような水ジェット推進艇に対して、上
記診断支援システムによれば、エンジンの種類別に運転
データのデータ形式が記憶されており、水ジェット推進
艇から受信したエンジン識別情報により、適合するデー
タ形式に基づいて運転状態データが画面表示されるた
め、水ジェット推進艇の故障判断を行う判断者はエンジ
ンの種類に応じた適切な表示を参照することができ、こ
れにより容易に故障診断を行うことができる。
【0063】また、このような診断支援システムにおい
ては、エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状
態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を
備え、前記表示手段は、受信した運転状態データととも
に、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種
類における前記正常状態基準データを画面表示するよう
に構成されることが望ましい。
【0064】水ジェット推進艇は主として搭載するエン
ジンの種類によって運転状態データの正常状態が異な
る。このような水ジェット推進艇に対して、上記診断支
援システムによれば、エンジンの種類別に運転データの
正常状態基準データが記憶されており、水ジェット推進
艇から受信した運転状態データとともに、エンジン識別
情報に適合する正常状態基準データが画面表示されるた
め、判断者はこの正常状態基準データを参照して容易に
適切な故障診断を行うことができる。
【0065】なお、このような水ジェット推進艇の診断
支援システムにおいては、受信したエンジン識別情報に
該当するエンジンの種類における前記正常状態基準デー
タに基づいて、受信した運転状態データが正常状態を示
しているか否かを診断する診断手段をさらに備え、その
診断結果も画面表示することが望ましい。
【0066】このようにすると、診断支援システムの診
断結果を参照して診断者はさらに容易に診断を行うこと
ができる。
【0067】また、本発明にかかるプログラム記録媒体
は、コンピュータを水ジェット推進艇の診断支援システ
ムとして動作させるべく、コンピュータに対して前記水
ジェット推進艇の運転状態記憶手段から前記エンジン識
別情報および運転状態データを受信する受信処理と、エ
ンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転状
態データのデータ形式を記憶する記憶処理と、受信した
エンジン識別情報に該当するエンジンの種類における前
記データ形式に基づいて、受信した運転状態データを画
面表示する表示処理とを実行させるためのプログラムを
記録したものである。
【0068】また、コンピュータに対して、エンジンの
種類別に前記運転状態データの正常状態基準データを記
憶する正常状態基準データ記憶処理とを実行させる一
方、前記表示手段として、受信した運転状態データとと
もに、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの
種類における前記正常状態基準データを画面表示させる
ためのプログラムを記録したものである。
【0069】このようなプログラム記録媒体によれば、
コンピュータを上述した水ジェット推進艇の診断支援シ
ステムとして好適に動作させることができる。
【0070】また、本発明にかかる診断支援システム
は、上述した水ジェット推進艇の診断を支援する診断支
援システムであって、前記水ジェット推進艇の運転状態
記憶手段に記憶された前記エンジン識別情報および運転
状態データをネットワーク回線を介して受信する受信手
段と、エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出され
る運転状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記
憶手段と、エンジンの種類別に予め設定された担当者が
使用する担当者端末のアドレスを記憶するアドレス記憶
手段と、受信したエンジン識別情報に該当するエンジン
の種類における前記データ形式に基づいて、受信したエ
ンジン識別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当
者の担当者端末に対し、受信した運転状態データを転送
する転送手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0071】水ジェット推進艇は搭載されるエンジンの
種類によってエンジンの性格が異なるため、故障診断を
行うにあたっては、搭載されるエンジンの種類に応じた
専門知識を有する担当者が診断を行うことが望ましい。
このような担当者としては、水ジェット推進艇を開発し
た開発者等がエンジンの種々の限界特性等を把握してい
ることからより望ましい。しかしながら水ジェット推進
艇は一旦販売されれば海や湖にあって、従来、故障診断
のために適切な担当者が現地に赴くことは少なく、この
結果、故障原因の診断等を正確に判断することはできな
かった。
【0072】このような事情のもと、上記診断支援シス
テムによると、水ジェット推進艇からエンジン識別情報
と運転状態データとはネットワーク回線を介して診断支
援システムに受信され、エンジン識別情報に該当するエ
ンジンの種類に応じた担当者の担当者端末に対し、その
エンジンの種類に適合するデータ形式に基づいて転送さ
れるため、開発製造元等に置かれた診断支援システムか
ら水ジェット推進艇が遠く離れた世界各地の海や湖等に
あっても、容易に診断を受けることができる。また、診
断を行う担当者が使用する担当者端末に診断の材料とな
る運転状態データが転送されるため、担当者が水ジェッ
ト推進艇がある現地や診断支援システムの近くにいなく
ても診断を行うことができるため、担当者の負担が軽減
される。さらに、このように軽い負担で診断を行うこと
ができることから、診断するにより適当な水ジェット推
進艇を開発した開発者等を担当者としうる可能性が高ま
る。
【0073】また、このような診断支援システムにおい
ては、エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状
態基準データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を
備え、前記転送手段は、受信した運転状態データととも
に、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種
類における前記正常状態基準データを転送するように構
成されることが望ましい。
【0074】このようにすると、診断を行う担当者には
診断すべきエンジンの種類における正常状態基準データ
が転送されるため、診断を行う担当者が複数種類のエン
ジンを担当している場合であっても、担当者は診断すべ
きエンジンの種類における正常状態を確実に把握するこ
とができ、これにより容易に故障診断を行うことができ
る。
【0075】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しながら本
発明の実施形態にかかる水ジェット推進艇および水ジェ
ット推進艇の診断システムについて説明する。
【0076】まず、図1および図2を参照しながら、本
発明にかかる水ジェット推進艇の全体を説明する。
【0077】図1は、本発明にかかる水ジェット推進艇
の一実施形態の全体概略図であり、図2は、水ジェット
推進艇のエンジンの説明図であり、同図(A)はエンジ
ンの燃料供給系の構成図、同図(B)は冷却系の構成図
である。
【0078】水ジェット推進艇1は、デッキ部材3とハ
ル部材4とがその周縁部で接合されて艇体が構成され、
この艇体内部の前後方向ほぼ中央位置にエンジン2が搭
載され、このエンジン2の前方に燃料タンク29が設置
され、このエンジン2の後方にはジェット推進機5が設
置されている。
【0079】前記エンジン2のクランク軸10には、固
定減速比を備えた変速装置からカップリング171を介
してインペラ軸172が連結され、このインペラ軸17
2には、上記ジェット推進機5のインペラハウジング1
75に収容されたインペラ6が取り付けられている。こ
のインペラハウジング175の後端部には噴射ノズル1
73が取り付けられ、この噴射ノズル173にディフレ
クター174が取り付けられている。
【0080】そして、エンジン2で駆動されるジェット
推進機5のインペラ6で発生した噴流を噴射ノズル17
3から後方に噴射することにより艇体が推進されるとと
もに、シートにまたがった乗員が操舵ハンドルを操作し
て噴射ノズル173のディフレクター174を左右に揺
動させることにより、旋回されるようになっている。
【0081】上記エンジン2は、たとえば水冷式の直列
4気筒4サイクルエンジンであって、図2に示すよう
に、クランク軸10が艇体前後方向に延在するようにシ
リンダボディ7内に形成されている。図2(A)に示す
最上段の気筒内には、気筒内に供給される混合気の空燃
比を検出する空燃比センサ46が設けられている。
【0082】各気筒内には、ピストンが摺動自在に嵌合
配置され、各ピストンはクランク軸10に連結されてい
る。このクランク軸10には、クランク軸の回転によっ
て発電する発電機135が設けられている。また、この
クランク軸10には、クランク軸10の回転角(エンジ
ン回転数)を検出するエンジン回転数センサ43が設け
られている。
【0083】また、シリンダボディ7にはシリンダヘッ
ド8が連結固定されており、このシリンダヘッド8に
は、それぞれカムで開閉動作される吸気バルブ12、排
気バルブ13および点火プラグ14が各気筒ごとに装着
されている。吸気バルブ12は吸気通路17に連通し、
排気バルブ13は、排気通路16に連通している。
【0084】各気筒の排気通路16は集合して消音機能
を有する膨張室(マフラー)64に開口している。この
排気通路16には排気ガス中の酸素濃度から空燃比を検
出する空燃比センサ(O2センサ)112が設けられ、
膨張室64には排ガスの圧力(背圧)を検出する背圧セ
ンサ38が設けられている。
【0085】また、吸気通路19には、エンジン2内に
燃料を噴射する燃料噴射弁20が接続され、燃料噴射弁
20の上流側には吸気量を調節するためのスロットル弁
22が配設されている。また、この吸気通路19内の圧
力(吸気負圧)を検出する吸気負圧センサ121、吸気
通路19内の温度を検出する吸気温センサ44が設けら
れ、スロットル弁22には、スロットル開度を検出する
スロットル開度センサ45が設けられている。
【0086】また、この吸気通路19には、スロットル
弁22をバイパスするバイパス通路33が設けられ、こ
のバイパス通路33の上流側は吸気ボックス(サイレン
サー)に、下流側はスロットル弁22よりも下流側の吸
気通路19に接続されている。
【0087】また、このバイパス通路33には、このバ
イパス通路33を開閉するバイパス開閉弁35が設けら
れている。このバイパス開閉弁35は図示しないステッ
プモータで駆動される。このバイパス通路33とバイパ
ス開閉弁35とでISC(アイドルスピードコントロー
ル装置)が構成されている。
【0088】燃料タンク29には、電動モータにより駆
動される燃料ポンプ30が配設されており、燃料を加圧
し配管31から燃料噴射弁20に送り込むようになって
いる。
【0089】この配管31には、燃料圧力(燃圧)を検
出する燃圧センサ47が設けられている。また燃料噴射
弁20とベーパーセパレータタンク29間を繋ぐ戻り配
管37には圧力調整弁39が設けられている。
【0090】オイルタンク51に貯えられたエンジン潤
滑用のオイルは、クランク軸10の回転により駆動され
るオイルポンプ21により送り配管に汲み上げられ、フ
ィルタ40を介してクランク軸10部に送り込まれる。
また、クランク軸10を潤滑したオイルは戻り配管を通
ってオイルタンク50に戻る。これらオイルタンク5
0,オイルポンプ21,フィルタ40、送り配管および
戻り配管等は潤滑油循環経路を構成している。この潤滑
油系にはフィルタ40の下流側の送り配管に潤滑油圧を
検出する潤滑油圧センサ50が設けられ、オイルタンク
50には、オイル量を検出するオイルレベルセンサ56
が設けられている。
【0091】図2(B)に示すように、水ジェット推進
艇1のジェット推進機5は、水ジェット推進艇1の底部
から後部に至るジェット水流路180を備えており、上
記インペラ6は、このジェット水流路180内において
エンジン2によって推進駆動される。このジェット水流
路180のインペラ6より下流側(後部)には、冷却水
取入流路150が接続され、インペラ6によって加圧さ
れた水が冷却水としてこの冷却水取入流路150からエ
ンジン2に送られる。エンジン2に送られた水はエンジ
ンを直接冷却した後、冷却水排出流路151を通って艇
外に排出される。これら冷却水取入流路150、冷却水
排出流路151は、エンジン2の冷却系を構成してお
り、冷却水取入れ流路150には、冷却水の温度を検出
する冷却水温度センサ48および冷却水の圧力を検出す
る冷却水圧力センサ155が設けられている。
【0092】また、この水ジェット推進艇1の最後部の
底部には、艇外の水流の速度を検出することにより艇の
船速を検出するパドルホイール型の船速センサ156が
設けられている。
【0093】ECU(電子制御装置)42には、エンジ
ン2の運転状態や水ジェット推進艇1の状態を示す各種
センサからの検出信号が入力される。
【0094】例えば、クランク軸10の回転角(回転
数)を検出するエンジン回転数センサ43、スロットル
弁22の開度を検出するスロットル開度センサ45,艇
の船速を検出する船速センサ156、最上段の気筒内の
空燃比を検出する空燃比センサ46、排気通路16内の
酸素濃度を検出する空燃比センサ(O2センサ)11
2、排気圧力を検出する背圧センサ38,吸気通路19
内の吸気負圧を検出する吸気負圧センサ121、燃料圧
力(燃圧)を検出する燃圧センサ47、エンジンの冷却
水の温度を検出する冷却水温センサ48、エンジンの冷
却水の圧力を検出する冷却水圧力センサ155、潤滑油
圧を検出する潤滑油圧センサ50、さらに、オイルタン
ク51のオイル量を検出するオイルレベルセンサ56、
吸気通路19内の温度を検出する吸気温センサ44、パ
ルサーセンサ,ノックセンサ、および外気温度センサ等
の検出信号が入力される。
【0095】ECU42は、これら各センサの検出信号
を制御マップに基づき演算処理し、吸気バルブ12、排
気バルブ13、点火プラグ14、燃料ポンプ30,バイ
パス開閉弁35およびオイルポンプ40に制御信号を伝
送して制御するようになっている。
【0096】また、ECU42は、バイパス開閉弁35
を駆動制御する際、この制御量を検出することでバイパ
ス開度検出手段として機能するようになっている。
【0097】また、ECU42には発電機135からの
給電ケーブル136およびバッテリ134につながるバ
ッテリケーブル133が接続され、エンジン運転時には
発電機135が発生した電力をバッテリ134に充電す
るようになっている。また、ECU42は、前記バッテ
リ134との接続により、バッテリ電圧を検出するバッ
テリ電圧検出手段として機能するようになっている。
【0098】次に、このような水ジェット推進艇におけ
る艇本体とインペラとのマッチングや故障の診断につい
て説明する。
【0099】水ジェット推進艇1は、このような各診断
に供するための運転状態データを適宜外部の診断支援シ
ステムに出力可能になっており、このような機能は主と
してECU42が担うようになっている。すなわちEC
U42は上述したエンジン1の運転制御に並行して診断
に供するための運転状態データの記録を行うものであ
る。
【0100】そこで、まず、ECU42のハードウェア
構成について、図3を参照して説明する。
【0101】図3に示すように、ECU42は、ハード
ウェア的には、CPU140と、CPU140内に設け
られたRAM141およびROM142と、タイマー1
43と、EEPROM144と、電源回路145と、入
力インタフェース146と、出力インターフェース14
7と、コネクタ148とを備えている。
【0102】CPU140は、その内部のRAM141
を作業領域としてROM142等に記録されたプログラ
ムを実行することで、後述する種々の処理の中核をなす
ものである。なお内部RAM141のデータは水ジェッ
ト推進艇1のメインスイッチがOFFされ、バッテリ1
34からの電力供給が止まれば失われる。タイマー14
3はこの水ジェット推進艇1(エンジン2)が運転を開
始してからの累積運転時間をカウントするとともに、後
述する種々の処理において用いられる時間をカウントす
る。EEPROM144は不揮発性の書き込み可能なメ
モリであり、種々の運転状態データやエンジン2の種類
を示すエンジン識別情報等が記憶される。
【0103】コネクタ148は、水ジェット推進艇1の
計器パネル部等から通信ケーブル等を接続可能となって
おり、後述する診断支援システムにECU42に記録さ
れた運転状態データ等を出力する際や診断支援システム
から種々の入力を受ける際に、入力インタフェース14
6および出力インタフェース147とともに用いられる
ものである。また、このコネクタ149は艇外の診断支
援システム等から電力供給を受け、電源回路145が電
力によってECU42を水ジェット推進艇1が備えるバ
ッテリ134によらずに動作可能となっている。
【0104】また、このECU42には、後述するサン
プリングデータ記録処理を停止させる記録停止命令を使
用者が入力するための記録停止スイッチ160が接続さ
れている。
【0105】また、このECU42は、機能的には、所
定のサンプリング周期ごとに種々のセンサーの出力値等
を運転状態を記録するサンプリングデータ記録機能(運
転状態記憶手段)と、エンジンの運転領域区分ごとに累
積運転時間を記録する累積運転時間記録機能(運転状態
記憶手段)と、種々のセンサーの出力値等からエンジン
2の各部位が故障状態に陥っていないかを検出する故障
検出機能(故障検出手段)とを備えている。また、この
ECU42は、後述する診断支援システムによる各種診
断に供するため、エンジンの種類を特定可能なエンジン
識別情報を適宜出力可能な状態で記憶する機能(運転状
態記憶手段)を備えている。これら各機能は、CPU等
のECU42が備える各ハードウェア要素によって実現
されている。
【0106】サンプリングデータ記録機能は、所定の記
録時間にわたって所定のサンプリング周期ごとに複数の
時点におけるエンジン回転数と、スロットル開度、船
速、空燃比、排ガスの背圧、吸気の吸気負圧等の運転状
態指標値と、バッテリ電圧、燃料圧、冷却水温度、冷却
水圧力、バイパス開度および潤滑油圧等とを運転状態デ
ータとして記録する機能である。このサンプリングデー
タ記録機能は、原則として最新の前記記録時間分の運転
状態データを所定のサンプリング周期が到来するごとに
更新しながら記録するようになっている。
【0107】こうして複数時点の運転状態データを得れ
ば、エンジン回転数等が変化していない部分をもって航
行状態が定常状態にあることを確認することができ、こ
の定常状態における運転状態データを、水ジェット推進
艇本体とインペラとのマッチングや水ジェット推進艇に
おける種々の故障状態を診断する基礎データとして扱う
ことができる。
【0108】この実施形態においては記録時間は13
分、サンプリング周期は1分としており、1分おきに1
3時点での運転状態データを記録する。
【0109】記録時間は、定常状態における運転状態を
得る可能性を高めるため、また定常状態であることを確
認するためには長い方がよい。この記録時間を15秒以
上とすれば、15秒の間隔をおいた時点での運転状態デ
ータが得られるため、定常状態にあるのか緩加減速中に
あるのかを識別することができる。また、記録時間を2
分以上、さらに好ましくは5分以上とすれば、エンジン
運転中に運転状態データを更新し続けても、エンジン停
止後(停船後)において、水ジェット推進艇が沖合で滑
走状態中の定常状態にある運転状態データを得られる可
能性が高く、より望ましい。
【0110】サンプリング周期は、運転状態が定常状態
にあることを確認するためには短い方がよい。このサン
プリング周期を2分以下、さらにこの実施形態のように
1分以下とすれば、各サンプリング周期の間において急
加減速されていないことを確認することができ、より好
ましい。
【0111】なお、運転状態指標値とは、定常状態にお
いてエンジン回転数とともにその値を判別することによ
って、水ジェット推進艇1の航行負荷(ボートロード)
を診断可能なエンジンの運転状態を示すセンサー出力値
等である。このような運転状態指標値としては、スロッ
トル開度、船速、空燃比、排ガスの背圧、吸気の吸気負
圧等を挙げることができる。
【0112】すなわち、スロットル開度、船速、空燃
比、背圧または吸気負圧等に対するエンジン回転数をみ
れば、それぞれ航行負荷(ボートロード)を想定するこ
とができることから、これによって水ジェット推進艇本
体とインペラとのマッチングを診断することができる。
【0113】たとえば図4は、ある水ジェット推進艇に
おけるスロットル開度とエンジン回転数との関係を概念
的に示している。縦軸のスロットル開度はスロットル開
度センサからの電圧による出力値をそのまま示してい
る。この図に示すように定常状態におけるスロットル開
度とエンジン回転数の関係は、水ジェット推進艇ごとに
性能ポテンシャルを充分に発揮するため、推奨される正
常範囲が決まっているものである。
【0114】具体的にはスロットルを開ける(スロット
ル開度を大きくする)とエンジン回転数は上がるもので
あるが、この上がり方が程度が正常範囲より大きすぎる
場合、すなわち同図において正常範囲より右下側にある
場合には、航行負荷(ボートロード)が適正値より小さ
すぎる軽荷状態であると分かる。一方、スロットル開度
に対するエンジン回転数の上がり方の程度が正常範囲よ
り小さすぎる場合、すなわち同図において正常範囲より
左上側にある場合には、航行負荷(ボートロード)が適
正値より大きすぎる重荷状態であると分かる。
【0115】軽荷状態の原因としては、プロペラが摩耗
等によって小さくなっている、あるいはもともとジェッ
ト推進艇本体に対してインペラが小さすぎるなど、ジェ
ット推進艇本体とインペラとのマッチング不良が考えら
れる。
【0116】重荷状態の原因としては、逆に取り付けら
れたインペラが大きすぎるマッチング不良が考えられ
る。
【0117】なお、図4において横軸のエンジン回転数
で4000rpmあたりでグラフが急激に立ち上がって
いるのは、艇が滑走状態になり、航行負荷(ボートロー
ド)が減少するからである。
【0118】また、定常状態における船速とエンジン回
転数との関係も推奨される正常範囲が決まっており、こ
の正常範囲から外れていれば水ジェット推進艇本体とイ
ンペラとのマッチング不良が考えられる。
【0119】また、図5は、背圧とエンジン回転数との
関係を概念的に示している。この図に示すように定常状
態における背圧とエンジン回転数との関係も、水ジェッ
ト推進艇ごとに性能ポテンシャルを充分に発揮するた
め、推奨される正常範囲が決まっている。具体的にはエ
ンジン回転数が低いときには低速であるから背圧は正値
をとっているが、エンジン回転数が上がって船速が増す
と、排気が引っ張られて負圧となる。そしてさらにエン
ジン回転数が上がれば排気ガス量が増すために再び正値
となる。
【0120】このような背圧とエンジン回転数との正常
な関係に対し、エンジン回転数に対して背圧が負側(マ
イナス側)に外れている場合、すなわち同図において正
常範囲より下側にある場合には、エンジン回転数に対し
て船速が上がりすぎていることを示しており、航行負荷
(ボートロード)が適正値より小さすぎる軽荷状態であ
ると分かる。一方、背圧とエンジン回転数との正常な関
係に対し、エンジン回転数に対して背圧が正側(プラス
側)に外れている場合、すなわち同図において正常範囲
より上側にある場合には、エンジン回転数に対して船速
が十分に上がっていないことを示しており、航行負荷
(ボートロード)が適正値より大きすぎる重荷状態であ
ると分かる。これにより、スロットル開度とエンジン回
転数との場合と同様にして水ジェット推進艇本体とイン
ペラとのマッチングを診断することができる。
【0121】また、図6は、吸気負圧とエンジン回転数
との関係を概念的に示している。この図に示すように定
常状態における吸気負圧とエンジン回転数との関係も、
水ジェット推進艇ごとに性能ポテンシャルを充分に発揮
するため、推奨される正常範囲が決まっている。具体的
には、吸気負圧は上述した背圧とエンジンの燃焼部を介
して上流側と下流側に位置していることから、上述した
背圧と同様にして航行負荷(ボートロード)を判断し、
水ジェット推進艇本体とインペラとのマッチングを診断
することができる。
【0122】また、定常状態における空燃比とエンジン
回転数の関係においても、空燃比は上述した吸気負圧の
影響を受けるものであるから、上述した吸気負圧等と同
様にして航行負荷(ボートロード)を判断し、水ジェッ
ト推進艇本体とインペラとのマッチングを診断すること
ができる。なお、空燃比はエンジンに供給される混合気
から燃料と空気との割合を直接検出するセンサや、エン
ジンからの排ガスにおける酸素量を検出することで間接
的に空燃比を検出するセンサ等によって検出されるいず
れの値を用いてもよい。また空燃比とエンジン回転数と
の関係においてマッチングを診断する場合には、水ジェ
ット推進艇のエンジンが空燃比に応じてフィードバック
制御されているときにおいて特に有効である。
【0123】また、運転状態指標値以外では、定常状態
における燃圧(燃料圧力)とエンジン回転数との関係を
みれば、燃料系の故障状態の有無を診断することができ
る。すなわち、燃圧はエンジン回転数によって若干変動
するものの、エンジンが定常状態で運転中であれば燃圧
は略一定の適正範囲(正常範囲)に収まるものであるか
ら、燃圧がこの適正範囲から外れていれば、この原因が
燃料系の故障にある可能性を疑うことができる。
【0124】たとえば、エンジン回転数が略一定で定常
状態であるのに燃圧が正常範囲より低い場合には、エン
ジンに必要十分な燃料が供給されにくい状態となってい
ることが推察される。このような具体的な原因として
は、燃料系にユーザが装着したフィルタ等のアクセサリ
が不適切であるなどにより、燃料を送り込む際の流動抵
抗が大きいことが考えられる。
【0125】また、定常状態におけるバッテリ電圧とエ
ンジン回転数との関係をみれば、電気系における故障状
態を診断することができる。すなわち、発電機135の
発電能力はエンジン回転数によって変動し、一般にエン
ジン回転数が上がれば発電量が増し、エンジン回転数が
下がれば発電量が減るものであるが、正常な状態であれ
ばエンジン回転数に応じた適正範囲にある。このため、
エンジン回転数が略一定の定常状態にあるにもかかわら
ず、バッテリ電圧が適正範囲を外れていれば、この原因
が電気系の異常にある可能性を疑うことができる。
【0126】たとえば、エンジンが高速運転中で定常状
態にあるのにバッテリ電圧が正常範囲より低い場合に
は、発電機の異常が考えられる。また、エンジンが低速
運転中で定常状態にあるのにバッテリ電圧が正常範囲よ
り低い場合には、高速運転時の充電が十分になされてお
らず、バッテリの容量が小さすぎる、バッテリが劣化し
ている、あるいは十分に充電できるだけの高速運転があ
まりなされていない場合などがある。また、エンジンが
運転中であるのに、バッテリ単体でのバッテリ電圧が検
出される場合には、発電機の異常(故障)や、ケーブル
の断線等の故障が推察される。
【0127】このようにして、定常状態におけるバッテ
リ電圧とエンジン回転数との関係をみれば、種々の故障
の原因を想定して故障診断を行うことができる。
【0128】また、定常状態における冷却水温度とエン
ジン回転数との関係をみれば、冷却系における故障等を
診断することができる。
【0129】すなわち、冷却水温度はエンジン回転数が
定常状態にあれば、略一定の適正範囲に収まるものであ
るから、冷却水温度がこの適正範囲から外れていれば、
この原因が冷却系の異常(故障)にある可能性を疑うこ
とができる。
【0130】たとえば、エンジンが中高速運転中で定常
状態にあるのに冷却水温度が正常範囲より高い場合に
は、冷却水を取り込む冷却水取入口のゴミ詰まりや、イ
ンペラが摩耗しているなどの原因で、必要なだけの冷却
水が取り込まれていない場合がある。また、エンジン回
転数が変動しているにもかかわらず冷却水温度が正常範
囲より大きくずれたまま変動しない場合には冷却水温度
センサ48の異常(故障)が考えられる。
【0131】また、定常状態における冷却水圧力とエン
ジン回転数との関係をみても、冷却系における故障等を
診断することができる。すなわち、冷却水を供給する冷
却水はエンジン2によって駆動されるインペラ6から送
り込まれるため、冷却水圧力はエンジン回転数によって
変動するが、定常状態で正常であれば、冷却水圧力はエ
ンジン回転数に応じた適正範囲にある。図7は、エンジ
ン回転数と冷却水圧との関係を示している。エンジン回
転数が略一定の定常状態にあるにもかかわらず、冷却水
圧力が適正範囲を外れていれば、冷却系に異常(故障)
がある可能性を疑うことができる。
【0132】たとえば、エンジン2が定常状態で運転中
にエンジン回転数によらず冷却水圧が正常範囲より低い
場合は、冷却水を取り込む冷却水取入口5aのゴミ詰ま
りや、インペラ6が摩耗している場合がある。また、エ
ンジン回転数が変動しているにもかかわらず冷却水圧力
が正常範囲よりずれたまま変動しない場合には冷却水圧
力センサ155の異常(故障)が考えられる。
【0133】また、定常状態におけるバイパス開度とエ
ンジン回転数との関係をみれば、吸気系における故障等
を診断することができる。すなわち、バイパス通路33
のバイパス開閉弁35は、ECU42により、エンジン
回転数等に応じて開閉駆動制御されるため、バイパス開
度はエンジン回転数によって変動するが、定常状態で正
常であれば、バイパス開度はエンジン回転数に応じた適
正範囲にある。したがって、エンジン回転数が略一定の
定常状態にあるにもかかわらず、バイパス開度が適正範
囲を外れていれば、吸気系、特にISCに異常(故障)
がある可能性を疑うことができる。
【0134】たとえば、エンジン2が定常状態で運転中
にエンジン回転数によらずバイパス開度が正常範囲から
ずれている場合や、エンジン回転数が変化した前後の定
常状態でバイパス開度が変化しない場合などには、バイ
パス開閉弁が塩で固着するなどによる故障が考えられ
る。
【0135】また、定常状態における潤滑油圧とエンジ
ン回転数との関係をみれば、潤滑系における故障等を診
断することができる。すなわち、潤滑油圧はエンジン運
転中は、エンジン回転数に応じて変動するするため、エ
ンジン回転数が略一定の定常状態にあるにもかかわら
ず、潤滑油圧が適正範囲を外れていれば、潤滑系に異常
(故障)がある可能性を疑うことができる。
【0136】たとえば、複数のエンジン回転数におい
て、運転状態が定常状態にあるのに潤滑油圧が正常範囲
より低い場合には、潤滑油にガソリン等が混入して希釈
され、粘度が低下していることが考えられる。また、エ
ンジンが定常状態で運転されているにもかかわらず、潤
滑油圧が一時的に正常範囲より低下している場合には、
エア噛みを生じたことが考えられる。また、潤滑油圧が
エンジン回転数の変動に関係なく一定値を取っている場
合には、潤滑油圧センサの異常(故障)が考えられる。
【0137】この実施形態のサンプリングデータ記録機
能においては、後述するように、運転状態データとして
上記エンジン回転数と、運転状態指標値としてのスロッ
トル開度および空燃比(排ガスの酸素濃度)と、燃圧、
バッテリー電圧、冷却水温度、バイパス開度および潤滑
油圧を記録するようになっている。
【0138】累積運転時間記録機能は、エンジンの運転
時において、エンジン回転数および前記運転状態指標値
の組み合わせが、複数に区分した運転領域区分のいずれ
にあるのかを識別して、各運転領域区分ごとの累積運転
時間に加算していくものである。
【0139】複数の運転領域区分は、エンジン回転数に
ついて予め複数に区分したエンジン回転領域と、運転状
態指標値を予め複数に区分した運転状態指標値域とを組
み合わせてなるものである。したがって、各運転領域区
分は、エンジン回転数と運転状態指標値とを組み合わせ
てなるものであるから、それぞれおよそ所定の航行負荷
(ボートロード)のもとでの運転状態を示している。
【0140】このような累積運転時間記録機能による
と、記録された各運転領域区分後との累積運転時間を適
宜出力させることにより、どのような航行負荷(ボート
ロード)のもとで、どの程度運転されたのかを容易に判
断することができ、これにより、各使用者(ユーザ)の
使用形態と水ジェット推進艇本体とのマッチングを診断
することができる。
【0141】この累積運転状態記録機能においても、運
転状態指標値としては、スロットル開度、船速、空燃
比、排ガスの背圧、吸気の吸気負圧等を挙げることがで
きるが、この実施形態においては、後述するように、運
転状態指標値として、スロットル開度を用いるようにな
っている。
【0142】故障検出機能は、各種センサからの出力値
等が明らかな異常値を示している場合などに、故障状態
を検出したことをサンプリングデータ記録機能等に提供
するとともに、故障の項目を示す故障コードを生成し、
これを不揮発性メモリ(EEPROM144)に故障検
出時刻(累積運転時間の積算値)とともに故障記録デー
タとして適宜出力可能に記録するものである。
【0143】各種センサの出力値等が明らかな異常値を
示している場合とは、バッテリ電圧が0である場合や、
冷却水温度が異常に高まりオーバーヒートが起こりうる
直前の状態を検出した場合など、通常起こり得ない状態
を示す値である場合である。このような異常は、センサ
の故障のほか、種々の故障が含まれる。
【0144】次に、この水ジェット推進艇におけるサン
プリングデータ記録機能によるサンプリングデータ記録
処理について、図8に示すフローチャートを参照しなが
ら説明する。
【0145】このサンプリングデータ記録処理は、メイ
ンスイッチがONされることによって開始される(ステ
ップS10)。
【0146】そしてまず、エンジン2が運転中であるか
が判断される(ステップS12)。具体的には、エンジ
ン2のアイドリング回転数より小さい所定の回転数(例
えば350rpm)をしきい値として記憶しておき、エ
ンジン回転数センサ43によって検出されるエンジン回
転数が、このしきい値を上回っているか否かによってエ
ンジン2が運転中であるか否かが判断される。
【0147】エンジン2が運転中でなければ(ステップ
S12でNO)メインスイッチがOFFされたか否かが
判断され(ステップS14)、OFFされれば(ステッ
プS14でYES)、サンプリングデータ記録処理を終
了する。ONされたままであれば(ステップS14でN
O)、ステップS12に戻りエンジン2が運転されるま
で繰り返す。
【0148】エンジン2が運転中であれば(ステップS
12でYES)、運転状態データがECU140のRA
M141に記録される(ステップS16)。上述したよ
うに、この実施形態では、この運転状態データとして、
エンジン回転数、スロットル開度、空燃比、バッテリ電
圧、燃料圧、冷却水温度、バイパス開度および潤滑油圧
が含まれる。
【0149】つづいてエンジン2が停止されずに運転を
継続しているかが上記ステップS12と同様にして判断
され(ステップS18)。エンジン2が運転中(運転を
継続している状態)であれば(ステップS18でYE
S)、故障検出を示す故障コードが表れているか否かが
判断され(ステップS20)、故障が検出されていなけ
れば(ステップS20でNO)、記録停止入力の有無が
判断され(ステップS22)、記録停止入力がなければ
(ステップS22でNO)、前回の運転状態データの記
録から所定のサンプリング周期(この実施形態では1
分)が経過したか否かが判断される(ステップS2
4)。所定のサンプリング周期が経過していなければ
(ステップS24でNO)、所定のサンプリング周期が
経過するまでステップS18〜S24を繰り返す。
【0150】所定のサンプリング周期が経過していれば
(ステップS24でYES)、ステップS16に戻っ
て、そのときの運転状態データがRAM141に記録さ
れる。この実施形態では上述したように所定の記録時間
として13分間が設定され、13分間分の1分おき13
セットの運転状態データが記録されるように構成されて
いる。このため、すでに13分間(13セット)の運転
状態データ記録されていれば、13分前の古いデータは
破棄する代わりに現在の運転状態データを記憶すること
で運転状態データを更新し、常時、最新の13分間の運
転データが記録されるようになっている。
【0151】こうして、最新の13分間の運転状態デー
タを更新しながら記憶している途中で、エンジンが運転
停止する(ステップS18でNO)、故障が検出される
(ステップS20でYES)、または記録停止入力がな
される(ステップS22でYES)のいずれかに該当す
れば、RAM141に記録されている運転状態データを
EEPROM144に転送して記憶させ(ステップS2
6)、サンプリングデータ記録処理を終了する。こうし
て運転状態データをEEPROM144に記憶させてお
くことにより、メインスイッチがOFFにされ、RAM
141への電力供給が絶たれることでRAM141のデ
ータが消失しても、不揮発性のEEPROM144から
運転状態データを出力することができるようになってい
る。
【0152】そして、このようにエンジン2の運転が停
止されれば運転状態データの更新を終了することによ
り、停船前の最新の運転状態データを残すことができ
る。
【0153】また、故障が検出されたときに運転状態デ
ータの更新を終了することにより、故障が生じる直前の
運転状態データを残すことができる。
【0154】また、記録停止命令がなされたときに運転
状態データの更新を終了することにより、ユーザが希望
する時点の直前の運転状態データを残すことができる。
【0155】こうしてEEPROM144に記録された
運転状態データは、後述するように適宜診断システムに
出力され、水ジェット推進艇本体とインペラ、さらには
ユーザの使用形態とのマッチング診断や、故障原因の診
断等に供される。
【0156】図9は、このサンプリングデータ記録処理
によって記録された運転状態データの一例である。
【0157】この図において、各列は、左から第1列は
エンジン回転数(Engine speed)[rpm]、第2列は
燃料圧力(Fuel pressure)[MPa]、第3列はバッ
テリー電圧(Battery)[V]、第4列は空燃比(Oxyge
n sensor)[V]、第5列はスロットル開度(TPS volt
age)[V]、第6列は冷却水温(Water)[度]、第7
列は潤滑油圧(Oil pressure)[kPa]、第8列はバ
イパス開度(ISC θ)[度]をそれぞれ示している。
また各行は、第2行目から最下行に向かって順に新しい
運転状態データを示しており、第2行目が13分前、第
3行目が12分前、…最下行が1分前(最新)のデータ
を示している。
【0158】この例においては、記録されている運転状
態データの前半(略上半分)はエンジンが高速回転状態
にあり、たとえば沖合等を走行していた状態であろうこ
とを示し、後半(略下半分)は、エンジンが低速回転で
ほぼアイドリング状態にあり、たとえば停泊地近くに帰
ってきて低速で走行していた状態であろうことを示して
いる。
【0159】このうち、エンジン回転数が4600〜4
800rpmの3分間は、エンジン回転数が略一定であ
るからほぼ定常状態を示していると考えられる。したが
って、このときのエンジン回転数に対し、燃圧、バッテ
リー電圧、空燃比、スロットル開度、冷却水温度、潤滑
油圧およびバイパス開度をみれば、上述した各項目ごと
の種々の診断を行うことができる。また、これら各項目
の相関関係をみれば、さらに詳細に水ジェット推進艇が
どのような状態にあったのかを判断することも可能であ
る。
【0160】とくに、運転状態データの各項目をグラフ
表示すれば、より容易に水ジェット推進艇の状態等を把
握することが可能になる。
【0161】図10は、このサンプリングデータ記録処
理によって記録されたエンジン回転数とスロットル開度
との関係の時間変化を示すグラフの一例である。
【0162】この図に示すように、グラフ化すれば、定
常状態にある部分を容易に把握することができるととも
に、スロットル開度に対するエンジン回転数の関係を視
覚的に容易に把握することができる。
【0163】この図に示す例では、定常状態にある部分
において、エンジン回転数に対するスロットル開度が適
正範囲にあることから、インペラとインペラを除く水ジ
ェット推進艇本体とは適切なマッチングがなされている
と診断できる。
【0164】図11は、サンプリングデータ記録処理に
よって記録されたエンジン回転数と、バッテリ電圧およ
び燃料圧力との関係を示すグラフの一例である。
【0165】この図に示すように、エンジン回転数が定
常状態をとっている場合において種々のエンジン回転数
に対する各項目の値を、時間軸をとらずにプロットした
グラフを作成すれば、各エンジン回転数において、各項
目の値がどのように推移するかが容易に把握できる。
【0166】この図に示す例では、エンジン回転数が低
速から高速までバッテリ電圧がほぼ正常な範囲の一定値
にあることから電気系については正常であると診断で
き、またエンジン回転数に追随して燃圧がやや高まりな
がらもほぼ正常な範囲に収まっていることから燃料系に
ついても正常であると診断できる。
【0167】図12は、このサンプリングデータ記録処
理によって記録されたスロットル開度に対するエンジン
回転数および冷却水温度の関係を示すグラフの一例であ
る。
【0168】この図に示すように定常状態におけるエン
ジン回転数とスロットル開度との関係を求めれば、どの
程度のスロットル開度で水ジェット推進艇が非滑走状態
から滑走状態に至ったかを容易に把握することができ、
これにより簡単に航行負荷(ボートロード)を把握し、
水ジェット推進艇本体とインペラとのマッチングを簡便
に判断することができる。
【0169】また、このような滑走状態と非滑走状態と
を識別した上で、冷却水温度をみれば、より水ジェット
推進艇の運転状態を詳細に検討することが可能となる。
【0170】なお、上記においては、エンジン回転数を
350rpmというごく低い回転数で判別することによ
りエンジン2が運転中であるかどうかを判断し、エンジ
ン運転中は原則としてサンプリングデータ記録処理を行
うようにしたが、例えばアイドリング回転数より高い回
転数で判別することとすれば、エンジン2がアイドリン
グ回転以上(たとえば1000rpm)で運転中の運転
状態データのみを記録することも可能である。また、滑
走状態においてとりうるエンジン回転数の下限値(たと
えば3000rpm)で判別することとすれば、水ジェ
ット推進艇が滑走状態にあるときの運転状態データのみ
を記録することも可能である。
【0171】図13は、このような場合のサンプリング
データ記録処理のフローチャートである。この処理手順
は、上述した図8の場合と、ステップS12およびステ
ップS18を除き同一であり、これらステップS12,
ステップS18もエンジン回転数と比較する所定回転数
が異なるだけである。
【0172】このようにエンジン回転数と比較する回転
数を適宜設定することにより、所定の運転状態にある場
合の運転データのみを容易に記録することができる。
【0173】次に、この水ジェット推進艇における累積
運転時間記録機能による累積運転時間記録処理につい
て、図14に示すフローチャートを参照しながら説明す
る。
【0174】この累積運転時間記録処理は、メインスイ
ッチがONされることによって開始される(ステップS
50)。
【0175】そしてまず、エンジン2が運転中であるか
が判断される(ステップS52)。具体的には、エンジ
ン2のアイドリング回転数より小さい所定の回転数(例
えば350rpm)をしきい値として記憶しておき、エ
ンジン回転数センサ43によって検出されるエンジン回
転数が、このしきい値を上回っているか否かによってエ
ンジン2が運転中であるか否かが判断される。
【0176】エンジン2が運転中でなければ(ステップ
S52でNO)メインスイッチがOFFされたか否かが
判断され(ステップS54)、OFFされれば(ステッ
プS54でYES)、累積運転時間記録処理を終了す
る。ONされたままであれば(ステップS54でN
O)、ステップS12に戻りエンジン2が運転されるま
で繰り返す。
【0177】エンジン2が運転中であれば(ステップS
52でYES)、現在の運転領域区分が識別される(ス
テップS56)。この実施形態においては、上述したよ
うに、運転状態指標値としてスロットル開度を用いるた
め、この運転領域区分は、複数に区分したエンジン回転
領域と複数に区分したスロットル開度領域とを組み合わ
せてなるものである。したがって、現在の運転領域区分
は、現在のエンジン回転数とスロットル開度の組み合わ
せが、2次元的に複数に区分された運転領域区分のいず
れの領域に該当するかによって識別される。
【0178】こうして現在の運転領域区分が識別されれ
ば、これがRAM141に一時記憶される(ステップS
58)。
【0179】つづいてエンジン2が停止されずに運転を
継続しているかが上記ステップS52と同様にして判断
され(ステップS60)、エンジン2が運転中(運転を
継続している状態)であれば(ステップS60でYE
S)、さらに上記ステップS56と同様にして現在の運
転領域区分が識別され(ステップS62)、現在の運転
領域区分がRAM141に一時記憶されている運転領域
区分から変わったか否かが判断される(ステップS6
4)。
【0180】運転領域区分が変わっていなければ(ステ
ップS64でNO)、ステップS58における運転領域
区分のRAM141への一時記憶から所定時間(例えば
30秒)が経過したか否かが判断される(ステップS6
6)。経過していなければ(ステップS66でNO)、
所定時間を経過するまでステップS60〜S66を繰り
返す。
【0181】所定時間を経過していれば(ステップS6
6でYES)、EEPROM144上に構成されている
運転領域区分後との累積運転時間記録(運転状態データ
の一部)において、所定時間(30秒間)にわたって変
化しなかった現在の運転領域区分に、この所定時間を累
積運転時間として加える(ステップS68)。そして再
びステップS58に戻って、上記処理を繰り返す。
【0182】一方、所定時間を経過するまでに運転領域
区分が変わった場合には(ステップS64でYES)、
ステップS58に戻って、再び現在の運転領域区分をR
AM141に一時記憶し直してから上記処理を繰り返
す。
【0183】なお、所定時間を経過するまでにエンジン
2の運転が停止されれば(ステップS60でNO)、こ
の累積運転時間記録処理を終了する。
【0184】このように、所定時間にわたって運転領域
区分が変化しなかった場合に限り、この運転時間をEE
PROM144上の累積運転時間に加えるようにしてい
るため、加速時や減速時等の運転状態の過渡期を除いた
定常状態における運転時間のみで各運転領域区分の累積
運転時間を構成することができるようになっている。こ
れにより、過渡期に生じやすい不適正な航行負荷(ボー
トロード)を示すデータを排除することができる。
【0185】こうしてEEPROM144に記録された
運転状態データは、後述するように適宜診断システムに
出力され、水ジェット推進艇本体とインペラ、さらには
ユーザの使用形態とのマッチング診断や、故障原因の診
断等に供される。
【0186】なお、上記累積運転時間記録処理において
は、所定時間が経過するごとにEEPROM144上の
累積運転時間記録を書き換えたが、エンジン運転中はR
AM141上に記録しておき、エンジン停止後において
まとめてEEPROM144を書き換えるようにしても
よい。この場合、予めメインスイッチがONされた際等
において、累積運転時間記録を含むEEPROM144
上の運転状態データをRAM141上に転送しておき、
エンジン停止後においてRAM141上の運転状態デー
タをEEPROM144に転送して書き換えるようにし
てもよい。
【0187】図15は、この累積運転時間記録処理によ
って記録された運転状態データの一例である。
【0188】この例において、各列はエンジン回転数を
500rpmごとに複数に区分けした各エンジン回転数
領域を示し、各行は運転状態指標値としてスロットル開
度をエンジン回転角センサ43の出力値で0.5V、対
応する角度で10°ごとに複数に区分けした各運転状態
指標領域を示している。
【0189】この図15においては、上述した図4と同
様に、エンジン回転数とスロットル開度との間には適正
な航行負荷(ボートロード)であるマッチングが適正な
正常範囲(推奨使用領域)があり、この領域から外れて
いれば、不適正な航行負荷(ボートロード)で運転され
たものと診断しうる。
【0190】この例においては、スロットル開度が70
〜80°度でエンジン回転数が3500〜4000rp
mの定常状態にあった累積運転時間が2.1時間も記録
されており、荷重荷での運転がなされたことを示す。ま
た、スロットル開度が50〜60°でエンジン回転数が
5500〜6000rpmの定常状態にあった累積運転
時間が2.9時間も記録されており、過軽荷での運転が
なされたことを示す。
【0191】このように、各運転領域区分ごとの累積運
転時間を示す運転状態データを記録すれば、水ジェット
推進艇本体とインペラとのマッチングが適正あるいは不
適正な状態でどの程度の時間運転がなされたのかを判断
することができる。また、これにより各ユーザの使用形
態を推察して、各ユーザの使用形態とのマッチングも診
断することができる。さらに、記録された運転領域区分
がすべて正常範囲(推奨使用領域)にあっても各ユーザ
がどのような運転領域区分で使用しているかが分かり、
高速運転に適したエンジンや低速運転に適したエンジン
など、エンジンの種類ごとの特性に応じた使用がなされ
ているかも判断することができる。
【0192】次に、上記のような診断のための運転状態
データを記録可能な水ジェット推進艇に対して、記録さ
れた運転状態データに基づき水ジェット推進艇の診断を
行う診断支援システムについて説明する。
【0193】図16は、水ジェット推進艇の診断支援シ
ステム全体の構成を説明するための構成説明図である。
【0194】この図に示すように、この診断支援システ
ムは、それぞれ独立して使用可能な2段階の診断支援シ
ステムから構成されている。すなわち、水ジェット推進
艇1に直接接続して診断を行うパーソナルコンピュータ
等からなる第1段目の診断支援システム200と、この
第1段目の診断支援システム200にネットワーク回線
300を介して接続されて診断を行うサーバコンピュー
タ等からなる第2段目の診断支援システム400であ
る。
【0195】まず第1段目の診断支援システム200に
ついて説明する。
【0196】第1段目の診断支援システム200は、水
ジェット推進艇1がある海や湖等の現場に持ち込んで行
う診断(簡易診断)を支援するものであり、現場近くで
水ジェット推進艇のメンテナンス等を行うサービスショ
ップ等が使用する。この診断支援システム200は、ハ
ード的には現場に持ち込みやすいように形態可能なノー
ト型パーソナルコンピュータ等から構成され、機能的に
は、受信手段201と、データ形式記憶手段202と、
正常状態基準データ記憶手段203と、表示手段204
等を備えている。
【0197】受信手段201は、水ジェット推進艇1か
ら通信ケーブル230を介して水ジェット推進艇1に記
録された運転状態データおよびエンジン識別情報等を受
信するものである。この受信手段201は、水ジェット
推進艇1(ECU42)に対して運転状態データ等の出
力指示等を行う送信機能も備えている。また通信ケーブ
ル230は、水ジェット推進艇1のECU42が備える
コネクタ148に接続され、水ジェット推進艇1のエン
ジン2が停止状態にあってもECU42が動作可能なよ
うに電力供給を行うことができるように構成されてい
る。
【0198】データ形式記憶手段202は、複数種類の
エンジンについて、種類別に各エンジンにおいて検出さ
れる運転状態データのデータ形式を記憶するものであ
る。具体的には、たとえば、エンジンの種類によって異
なりうる運転状態指標値(たとえばスロットル開度)
や、設けられたセンサによる運転状態データの項目数
や、各運転状態データの出力値の範囲、さらにサンプリ
ングデータ記録処理におけるサンプリング周期や記録時
間、累積運転時間記録処理における運転領域区分や運転
状態指標の種類等に応じて、適切なデータ形式(表示フ
ォーマット)が記憶される。
【0199】正常状態基準データ記憶手段203は、エ
ンジンの種類によって異なる運転状態データの正常値の
範囲等を正常状態基準データとして記憶するものであ
る。
【0200】表示手段204は、受信したエンジン識別
情報に該当するエンジンの種類を特定し、特定したエン
ジン種類に応じた適切な上記データ形式を用いて、受信
した運転状態データをモニタ等に表示するとともに、特
定したエンジン種類に応じた正常状態基準データをモニ
タ等に表示するものである。
【0201】このような各手段201〜204をパーソ
ナルコンピュータ上に構成するためのプログラムはCD
−ROM等の記録媒体250に記録されており、適宜パ
ーソナルコンピュータ内にインストールして、診断支援
システム200が構成されるようになっている。なお、
エンジン種類によって異なるデータ形式や正常状態基準
データ等は全てをインストールすることなく、必要に応
じて必要なエンジン種類のデータを記録媒体250から
参照するようにしてもよい。
【0202】このような第1段目の診断支援システム2
00による診断支援の手順においては、まず、水ジェッ
ト推進艇1の操作パネル部等のカバーを開けてコネクタ
148が取り出され、ここに診断支援システム(パーソ
ナルコンピュータ)200に接続された通信ケーブル2
30が接続される。
【0203】そして、診断支援システム200が立ち上
げられ、モニタ(表示手段)205に表示された所定の
メニュー画面等において、診断者が水ジェット推進艇1
からの運転状態データ等のダウンロードを指示すれば、
診断支援システム200から水ジェット推進艇1のEC
U42に運転状態データの送信要求がなされ、診断支援
システム200はECU42から記録された運転状態デ
ータ、故障記録データとともにエンジン識別情報を受信
する。
【0204】このエンジン識別情報により診断支援シス
テム200は当該水ジェット推進艇1に搭載されている
エンジン2の種類を識別し、さらに診断者から各種の項
目についての画面表示が指示されると、識別したエンジ
ン種類に応じたデータ表示形式で受信した運転状態デー
タを画面表示する。この例としては、サンプリングデー
タ記録処理において記録された運転状態データは、上述
した図9〜図12、累積運転時間記録処理において記録
された運転状態データとしては上述した図15を挙げる
ことができる。
【0205】また、この診断支援システム200は、運
転状態データとともに、識別したエンジン種類に応じた
正常状態基準データを画面表示する。この例としては、
上述した図4〜図7を挙げることができる。
【0206】この診断支援システム200によれば、こ
うして水ジェット推進艇1が記録した運転状態データを
水ジェット推進艇が備えるエンジンの種類に応じた適切
なデータ形式で表示することで、診断者は容易に診断を
行うことができる。
【0207】特に、エンジンの種類に応じた正常状態基
準データを画面表示するため、診断者は、この正常状態
基準データを参照して記録された運転状態データを容易
に診断することができる。
【0208】また、この診断支援システム200では、
診断者からの指示により、水ジェット推進艇1のECU
42が記録している故障記録データを画面表示させた
り、現在の各種センサの出力値やエンジンの状態をモニ
ターする機能も備えている。
【0209】図17は、故障記録データ(Diagnosis Re
cord)と、現在の各種センサの出力値(Diagnosis)の
画面出力例である。この例においては、現在各種センサ
は全て正常に動作しており、また故障記録はないことが
分かる。
【0210】図18は、現在のエンジンの状態(Engine
Monitor)の画面出力例である。この例においては、エ
ンジン2は停止していることのほか、各種のエンジン2
の状態を示すセンサの出力値等がリアルタイムに出力さ
れている。
【0211】また、この診断支援システム200では、
このようなエンジン2の状態を出力したまま、ECU4
2から点火プラグ14にテスト用の制御信号を送らせ、
画面表示やエンジン傍で点火音を確認することにより点
火が正常に行われているかをテストしたり、エンジン2
の1つの気筒を休止した状態でエンジンを運転させ、そ
のときのエンジン回転数の変化等を画面表示で確認する
ことにより、休止した気筒が正常に動作しているか否か
をテストする機能等を備えている。
【0212】なお、このような第1段目の診断支援シス
テム200による診断は、海や湖等の現場近くで行われ
るものであるから、診断者が必ずしも診断の対象とする
水ジェット推進艇等について十分な知識がない場合があ
り、このため十分な診断が行えず、故障や不具合の牽引
が解明できない場合もあり得る。そこで、このような場
合には、第2段目の診断支援システム400によってさ
らなる診断が行われる。
【0213】次に、第2段目の診断支援システム400
について説明する。
【0214】第2段目の診断支援システム400は、水
ジェット推進艇1がある海や湖等の現場から離れた場所
等において行われる診断(詳細診断)を支援するもので
ある。この第2段目の診断支援システム400は、上述
したように現場では解明できなかった診断を詳細に行う
ものであるから、水ジェット推進艇1についてより高度
な知識と経験を有する水ジェット推進艇1を開発、製造
した製造メーカ等が使用する。
【0215】この診断支援システム400は、ハード的
にはインターネット等のネットワーク回線300に接続
された大型コンピュータからなるサーバコンピュータ等
によって構成され、機能的には、受信手段401と、デ
ータ形式記憶手段402と、アドレス記憶手段403
と、正常状態基準データ記憶手段404と、転送手段4
05等を備えている。
【0216】また、この診断支援システム400は、各
種類の水ジェット推進艇を開発、設計した各水ジェット
推進艇の特性等について熟知している専門家に、具体的
な診断を行わせるものであり、このため、このような専
門家を担当者として各担当者が使用する担当者端末41
0,420…と通信回線等で接続されている。
【0217】受信手段401は、海や湖等の現場にある
上述した第1段目の診断支援システム200から、ネッ
トワーク回線300を介して水ジェット推進艇1が記録
した運転状態データおよびエンジン識別情報等を受信す
るものである。
【0218】データ形式記憶手段402は、複数種類の
エンジンについて、種類別に各エンジンにおいて検出さ
れる運転状態データのデータ形式を記憶するものであ
る。具体的には、上述したデータ形式記憶手段202と
同様に構成される。
【0219】アドレス記憶手段403は、上述したよう
に、各種類の水ジェット推進艇を開発、設計した専門家
(担当者)が使用する担当者端末410,420…にデ
ータ等を転送するために必要なアドレスを、エンジンの
種類別に記憶するものである。なお、このアドレスとし
ては、各担当者端末410,420…を特定し、データ
転送を行いうる情報であれば、任意の公知の情報を採用
することができる。
【0220】正常状態基準データ記憶手段404は、エ
ンジンの種類によって異なる運転状態データの正常値の
範囲等を正常状態基準データとして記憶するものであ
る。この正常状態基準データ記憶手段404は、水ジェ
ット推進艇を開発した製造メーカ等において用いられる
ものであり、水ジェット推進艇について高度な診断を行
うため、上述したサービスショップ等が使用する第1段
目の診断支援システム200における正常状態基準デー
タよりも、詳細なものであることが望ましい。
【0221】転送手段405は、受信したエンジン識別
情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者(専門
家)の担当者端末410,420…のアドレスを用い
て、該担当者端末410,420…に対し、このエンジ
ンの種類に応じた適切な上記データ形式を用いて受信し
た運転状態データを転送するとともに、このエンジンの
種類に応じた前記正常状態基準データを転送するもので
ある。
【0222】このような第2段目の診断支援システム4
00においては、まず第1段目の診断支援システム20
0から運転状態データ、故障記録データとともにエンジ
ン識別情報を受信する。診断支援システム400は、こ
のエンジン識別情報によりエンジン2の種類を識別し、
識別されたエンジン種類の正常状態データとともに、識
別したエンジン種類に応じたデータ表示形式で受信した
運転状態データを識別されたエンジン種類の担当者の担
当者端末410,420…に対して転送する。
【0223】このようにすると、診断を行う担当者には
診断すべきエンジンの種類における正常状態基準データ
が転送されるため、診断を行う担当者が複数種類のエン
ジンを担当している場合であっても、担当者は診断すべ
きエンジンの種類における正常状態を確実に把握するこ
とができ、これにより容易にマッチングや故障等の診断
を行うことができる。
【0224】こうして、担当者によって水ジェット推進
艇本体とインペラとのマッチングや故障原因等の診断が
行われれば、この診断結果は、電話、FAX、電子メー
ル等、種々の情報送信手段を介して現場に送られる。
【0225】なお、この診断結果をこの第2段目の診断
支援システム400を介して第1段目の診断支援システ
ム200に返送するため、転送手段は前記転送手段40
5は、担当者端末410,420…から送られる診断結
果を受信する機能を有し、また前記受信手段401は、
この診断結果をネットワーク回線300を介して、第1
段目の診断支援システム200に送信する機能を有する
ように構成することが望ましい。
【0226】以上、本発明を実施形態に即して説明した
が、本発明にかかる水ジェット推進艇および水ジェット
推進艇の診断支援システムは、上記実施形態に限定され
るものではなく、以下のように構成してもよい。
【0227】(1)上記実施形態においては、第1段目
の診断支援システム200を停船中の水ジェット推進艇
に接続して診断を行うようにしたが、第1段目の診断支
援システムを水ジェット推進艇上に設置し、航行中に診
断を行ってもよい。
【0228】(2)上記実施形態においては、水ジェッ
ト推進艇1に蓄えられた運転状態データを第1段目の診
断支援システム(パーソナルコンピュータ)200に送
り、ここからネットワーク回線300を介して第2段目
の診断支援システム400に送るようにしたが、水ジェ
ット推進艇1にデータ送信機能を有する携帯電話等を接
続し、この携帯電話等からネットワーク回線300を介
して直接に第2段目の診断支援システム400に運転状
態データ等を送信するようにしてもよい。
【0229】(3)上記実施形態においては、運転状態
データやエンジン識別情報は、EEPROM144に記
憶させたが、不揮発性の書き込み可能なメモリであれば
EEPROMに限らず種々の任意のメモリを用いること
ができる。
【0230】(4)上記実施形態においては、サンプリ
ング周期を1分とし、記録時間を13分として1分ごと
に13個の運転状態データを記録するようにしたが、サ
ンプリング周期や記録時間は水ジェット推進艇の種類や
目的等に応じて適宜設定すればよい。たとえば、サンプ
リング周期を1秒としてもよい。このようにすると、細
かい運転状態の変化を捉えることができることからより
確実に定常状態を見極めることができる。また、メモリ
容量が許せば、記録時間を8時間程度に設定することが
望ましい。このようにすると、水ジェット推進艇の一般
的な使用時間の全体をカバーすることができることか
ら、運転開始から停船までのすべての状態を把握し、こ
の中からより確実に定常状態を抽出することができる。
【0231】(5)上記実施形態においては、運転状態
データとして記録する値は、種々のセンサからの出力さ
れる電圧値等をそのまま用いたが、適宜ユーザ等が理解
しやすい値に変換して記録するようにしてもよい。
【0232】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる水ジェッ
ト推進艇によれば、所定のサンプリング周期ごとの複数
の時点における運転状態データを出力可能に記憶するた
め、運転状態データが変化しておらず略一定で推移して
いるか否かから運転状態が定常状態にあるかを判断する
ことができる。
【0233】そして、運転状態データとしてエンジン回
転数と運転状態指標値とを記録する場合に定常状態で運
転された運転状態データが抽出できれば、エンジン回転
数と運転状態指標値との関係から航行負荷(ボートロー
ド)が適性範囲にあるかを検討することにより、インペ
ラとインペラを除く水ジェット推進艇本体とのマッチン
グが適性であるかや故障状態を示していないかを容易に
診断することができる。
【0234】また、運転状態データとしてエンジン回転
数と冷却水温度または冷却水圧力とを記録する場合に定
常状態で運転された運転状態データが抽出できれば、エ
ンジン回転数と冷却水温度または冷却水圧力との関係か
ら冷却水温度または冷却水圧力が適正範囲にあるかを検
討することにより、冷却系やインペラに異常が生じてい
ないかを容易に診断することができる。
【0235】また、運転状態データとしてエンジン回転
数とバイパス開度とを記録する場合に定常状態で運転さ
れた運転状態データが抽出できれば、エンジン回転数と
バイパス開度との関係からバイパス開度が適正範囲にあ
るかを検討することにより、吸気系に異常が生じていな
いかを容易に診断することができる。
【0236】また、運転状態データとしてエンジン回転
数と潤滑油圧とを記録する場合に定常状態で運転された
運転状態データが抽出できれば、エンジン回転数と潤滑
油圧との関係から潤滑油圧が適正範囲にあるかを検討す
ることにより、潤滑油系に異常が生じていないかを容易
に診断することができる。
【0237】また、本発明にかかる水ジェット推進艇の
診断支援システムによれば、水ジェット推進艇から運転
状態データとともにエンジン識別情報を受信し、受信し
たエンジン識別情報により、適合するデータ形式に基づ
いて運転状態データを診断者に提示するため、診断者は
インペラとインペラを除く水ジェット推進艇本体とのマ
ッチングの診断等を容易に行うことができる。
【0238】また、本発明にかかるコンピュータを水ジ
ェット推進艇の診断支援システムとし動作させるプログ
ラムを記録した記録媒体によれば、コンピュータを上述
した水ジェット推進艇の診断支援システムとして好適に
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる水ジェット推進艇の一実施形態
を示す全体構成図である。
【図2】本発明にかかる水ジェット推進艇の説明図であ
り、(A)はエンジンの燃料供給系の構成図、(B)は
冷却系の説明図ある。
【図3】ECUのハードウェア構成図である。
【図4】エンジン回転数とスロットル開度との関係を示
す説明図である。
【図5】エンジン回転数と背圧との関係を示す説明図で
ある。
【図6】エンジン回転数と吸気負圧との関係を示す説明
図である。
【図7】エンジン回転数と冷却水圧との関係を示す説明
図である。
【図8】サンプリングデータ記録処理のフローチャート
である。
【図9】サンプリングデータ記録処理によって得られる
運転状態データの一例である。
【図10】サンプリングデータ記録処理によって得られ
るエンジン回転数とスロットル開度の変化の一例を示す
グラフである。
【図11】サンプリングデータ記録処理によって記録さ
れたエンジン回転数と、バッテリ電圧および燃料圧力と
の関係を示すグラフの一例である。
【図12】サンプリングデータ記録処理によって記録さ
れたエンジン回転数と、スロットル開度および冷却水温
との関係を示すグラフの一例である。
【図13】サンプリングデータ記録処理の他の例のフロ
ーチャートである。
【図14】累積運転時間記録処理のフローチャートであ
る。
【図15】累積運転時間記録処理よって得られる運転状
態データの一例である。
【図16】本発明にかかる水ジェット推進艇の診断支援
システムの全体構成図である。
【図17】故障記録データと、現在の各種センサの出力
値の画面出力例である。
【図18】現在のエンジンの状態の画面出力例である。
【符号の説明】
1 水ジェット推進艇 2 エンジン 5 ジェット推進機 6 インペラ 22 スロットル弁 23 燃料タンク 33 バイパス通路 35 バイパス開閉弁 38 背圧センサ(運転状態指標値検出手段), 42 ECU(エンジンコントロールユニット、バイパ
ス開度検出手段) 43 エンジン回転数センサ 45 スロットル開度センサ(運転状態指標値検出手
段) 47 空燃比センサ(運転状態指標値検出手段) 48 冷却水温度センサ、 50 潤滑油圧センサ 112 空燃比(O2)センサ(運転状態指標値検出手
段) 121 吸気負圧センサ(運転状態指標値検出手段) 144 EEPROM 148 コネクタ 149 通信ケーブル 155 冷却水圧力センサ 160 記録停止スイッチ 200 第1段目の診断支援システム 201 受信手段 202 データ形式記憶手段 203 正常状態基準データ記憶手段 204 表示手段(モニタ) 230 通信ケーブル 250 CD−ROM(記録媒体) 300 ネットワーク回線 400 第2段目の診断支援システム 401 受信手段 402 データ形式記憶手段 403 アドレス記憶手段 404 正常状態基準データ記憶手段 405 転送手段 410,420 担当者端末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 368 F02D 45/00 368G B63B 35/73 B63B 35/73 H B63H 11/08 B63H 11/08 A 21/30 21/30 Z 21/38 21/38 A B F02D 41/02 315 F02D 41/02 315 G01D 9/00 G01D 9/00 K Fターム(参考) 2F070 AA01 CC04 CC11 DD12 DD15 3G084 AA08 DA27 EA05 EB17 EC03 FA00 FA05 FA10 FA11 FA20 FA26 FA33 3G301 JB09 JB10 NB03 NC01 ND21 PA07A PA11A PD02A PE01A PF01A PG01A

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジェット推進機のインペラを推進駆動す
    るエンジンと、 前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転
    数センサと、 前記エンジンの運転状態を示す所定の運転状態指標値を
    検出する運転状態指標検出手段と、 所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごと
    に複数の時点における前記エンジン回転数と前記運転状
    態指標値とを運転状態データとして適宜出力可能な状態
    で記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴と
    する水ジェット推進艇。
  2. 【請求項2】 前記運転状態指標検出手段は、前記エン
    ジンへの吸気量を調節するスロットル弁のスロットル開
    度を前記運転状態指標値として検出するスロットル開度
    センサを含むことを特徴とする請求項1記載の水ジェッ
    ト推進艇。
  3. 【請求項3】 前記運転状態指標検出手段は、艇の船速
    を前記運転状態指標値として検出する船速センサを含む
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の水ジェット
    推進艇。
  4. 【請求項4】 前記運転状態指標検出手段は、前記エン
    ジンの混合気の空燃比を前記運転状態指標値として検出
    する空燃比センサを含むことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の水ジェット推進艇。
  5. 【請求項5】 前記運転状態指標検出手段は、前記エン
    ジンに送られる吸気の吸気負圧を前記運転状態指標値と
    して検出する吸気負圧センサを含むことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の水ジェット推進艇。
  6. 【請求項6】 ジェット推進機のインペラを推進駆動す
    るエンジンと、 前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転
    数センサと、 前記インペラで加圧された水をエンジンの冷却水として
    供給する開放型冷却手段と、 前記エンジン近傍における冷却水温度を検出する冷却水
    温度センサと、 所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごと
    に複数の時点における前記エンジン回転数と前記冷却水
    温度とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記
    憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とする
    水ジェット推進艇。
  7. 【請求項7】 ジェット推進機のインペラを推進駆動す
    るエンジンと、 前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転
    数センサと、 前記インペラで加圧された水をエンジンの冷却水として
    供給する開放型冷却手段と、 前記インペラで加圧されてエンジンの冷却水として供給
    される水の圧力を冷却水圧力として検出する冷却水圧力
    センサと、 所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごと
    に複数の時点における前記エンジン回転数と前記冷却水
    圧力とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記
    憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とする
    水ジェット推進艇。
  8. 【請求項8】 ジェット推進機のインペラを推進駆動す
    るエンジンと、 前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転
    数センサと、 前記エンジンの各気筒への吸気通路において該吸気通路
    を開閉するスロットル弁をバイパスするバイパス通路
    と、 前記バイパス通路を開閉するバイパス開閉弁と、 前記バイパス開閉弁のバイパス開度を検出するバイパス
    開度検出手段と、 所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごと
    に複数の時点における前記エンジン回転数と前記バイパ
    ス開度とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で
    記憶する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とす
    る水ジェット推進艇。
  9. 【請求項9】 ジェット推進機のインペラを推進駆動す
    る4サイクルのエンジンと、 前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転
    数センサと、 前記エンジンに対して潤滑油を循環させる潤滑油循環経
    路と、 前記潤滑油循環経路における潤滑油圧を検出する潤滑油
    圧センサと、 所定の記録時間にわたって所定のサンプリング周期ごと
    に複数の時点における前記エンジン回転数と前記潤滑油
    圧とを運転状態データとして適宜出力可能な状態で記憶
    する運転状態記憶手段と、を備えたことを特徴とする水
    ジェット推進艇。
  10. 【請求項10】 前記所定のサンプリング周期は2分以
    下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記
    載の水ジェット推進艇。
  11. 【請求項11】 前記所定の記録時間は15秒以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の
    水ジェット推進艇。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の水
    ジェット推進艇において、 前記運転状態記憶手段は、前記所定のサンプリング周期
    が到来するごとに前記運転状態データを更新しながら、
    常時、前記所定の記録時間分の前記運転状態データを記
    憶するように構成されたことを特徴とする水ジェット推
    進艇。
  13. 【請求項13】 前記所定の記録時間は2分以上である
    ことを特徴とする請求項12記載の水ジェット推進艇。
  14. 【請求項14】 請求項12または13に記載の水ジェ
    ット推進艇において、 前記エンジンの各部位における故障状態を検出する故障
    検出手段を備え、 前記運転状態記憶手段は、故障状態が検出されたときに
    前記運転状態データの更新を停止するように構成された
    ことを特徴とする水ジェット推進艇。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の水
    ジェット推進艇において、前記運転状態記憶手段は、前
    記エンジン回転数が予め設定された第1の所定回転数以
    上または越えたときに前記運転状態データの更新を開始
    する一方、前記エンジンの回転数が第2の所定回転数以
    下または未満になったときに前記運転状態データの更新
    を停止するように構成されたことを特徴とする水ジェッ
    ト推進艇。
  16. 【請求項16】 請求項12〜15のいずれかに記載の
    水ジェット推進艇において、 使用者等によって操作される記録停止スイッチを備え、 前記運転状態記憶手段は、前記記録停止スイッチにおい
    て記録停止命令の入力を受けた際には、前記運転状態デ
    ータの更新を停止するように構成されたことを特徴とす
    る水ジェット推進艇。
  17. 【請求項17】 前記運転状態記憶手段には、少なくと
    もエンジンの種類を特定可能なエンジン識別情報が適宜
    出力可能に記憶されていることを特徴とする請求項1〜
    16のいずれかに記載の水ジェット推進艇。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の水ジェット推進艇の
    診断を支援する診断支援システムであって、 前記水ジェット推進艇の運転状態記憶手段から前記エン
    ジン識別情報および運転状態データを受信する受信手段
    と、 エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転
    状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段
    と、 受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に
    おける前記データ形式に基づいて、受信した運転状態デ
    ータを画面表示する表示手段とを備えたことを特徴とす
    る水ジェット推進艇の診断支援システム。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の水ジェット推進艇の
    診断を支援する診断支援システムにおいて、 エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準
    データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、 前記表示手段は、受信した運転状態データとともに、受
    信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類にお
    ける前記正常状態基準データを画面表示するように構成
    されたことを特徴とする水ジェット推進艇の診断支援シ
    ステム。
  20. 【請求項20】 請求項17記載の水ジェット推進艇の
    診断を支援する診断支援システムとして、コンピュータ
    に、 前記水ジェット推進艇の運転状態記憶手段から前記エン
    ジン識別情報および運転状態データを受信する受信処理
    と、 エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転
    状態データのデータ形式を記憶する記憶処理と、 受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に
    おける前記データ形式に基づいて、受信した運転状態デ
    ータを画面表示する表示処理とを実行させるためのプロ
    グラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。
  21. 【請求項21】 請求項20記載のコンピュータ読み取
    り可能な記録媒体において、コンピュータに、 エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準
    データを記憶する正常状態基準データ記憶処理とを実行
    させる一方、 前記表示手段として、受信した運転状態データととも
    に、受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種
    類における前記正常状態基準データを画面表示させるた
    めのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な
    記録媒体。
  22. 【請求項22】 請求項17記載の水ジェット推進艇の
    診断を支援する診断支援システムであって、 前記水ジェット推進艇の運転状態記憶手段に記憶された
    前記エンジン識別情報および運転状態データをネットワ
    ーク回線を介して受信する受信手段と、 エンジンの種類別に各エンジンにおいて検出される運転
    状態データのデータ形式を記憶するデータ形式記憶手段
    と、 エンジンの種類別に予め設定された担当者が使用する担
    当者端末のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、 受信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類に
    おける前記データ形式に基づいて、受信したエンジン識
    別情報に該当するエンジンの種類に応じた担当者の担当
    者端末に対し、受信した運転状態データを転送する転送
    手段とを備えたことを特徴とする水ジェット推進艇の診
    断支援システム。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の水ジェット推進艇の
    診断を支援する診断支援システムにおいて、 エンジンの種類別に前記運転状態データの正常状態基準
    データを記憶する正常状態基準データ記憶手段を備え、 前記転送手段は、受信した運転状態データとともに、受
    信したエンジン識別情報に該当するエンジンの種類にお
    ける前記正常状態基準データを転送するように構成され
    たことを特徴とする水ジェット推進艇の診断支援システ
    ム。
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