JP7450213B2 - 舶用機械の状態診断システム及び状態診断方法 - Google Patents
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Description
機械の潤滑油の汚染状態については、例えば、機械の潤滑油循環経路中にセンサを設けて、潤滑油中の金属粉等を検知する手段が知られている(例えば特許文献1を参照)。
また、船舶から整備者への機械の情報の通知については、船舶の無線通信装置が携帯電話通信網に接続可能な状態になっていたら通信をする手段が知られている(例えば特許文献2を参照)。
しかし、舶用機械の部品や潤滑油の交換等の整備作業は船舶の寄港時に行われる場合が多く、航海中の舶用機械の状態を正確に把握することが困難であったため、船舶の接岸中に整備作業を適切かつ迅速に行うことが困難であるという問題があった。このためメンテナンスが過剰となり、無駄なメンテナンス費用が生じていた。
また、各種船舶の運行や舶用機械の稼働は一様ではなく、舶用機械の中には、デッキクレーン等の荷役機械等、主として船舶の接岸中に使用されるものもある。船舶が航海中であっても停泊中であっても、舶用機械の性能を維持し、突発的な故障を防止するためには、舶用機械の異常の兆候をいち早く検知すると共に、その状態を正確に診断することが必要である。正確な診断のためには、その船舶及び舶用機械等について蓄積されたデータを参照可能とする必要がある。しかし、舶用機械の診断用の装置を狭い船舶上に搭載することは困難であり、航海中は利用可能な通信手段も限られる。
前記舶用機械毎に潤滑油の循環部に具備され、前記循環部の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測部と、
前記船舶上に具備され、潤滑油情報として前記計測部による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて前記舶用機械の異常を判断する一次検査部と、
前記船舶が寄港する港湾側において稼働し、港湾域で使用される無線通信を用いて前記一次検査部に蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて前記舶用機械の状態診断を行う診断部と、
を備えることを特徴とする舶用機械の状態診断システム。
2.前記計測部は、前記潤滑油に光を照射することにより潤滑油に含まれる汚染物質の粒子径及び粒子数を計測し、
前記一次検査部は、前記粒子径及び前記粒子数のうちの少なくとも一方の値又はその増加率が所定の基準値を超えたときは前記舶用機械の異常と判断する前記1.記載の舶用機械の状態診断システム。
3.前記一次検査部は、前記舶用機械の異常と判断したときは外部に異常を通報する前記1.又は2.に記載の舶用機械の状態診断システム。
4.前記舶用機械の前記循環部、前記計測部及前記一次検査部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記船舶の航海中に前記舶用機械が稼働されていない場合には前記船舶の寄港前に少なくとも2回、前記循環部、前記計測部及び前記一次検査部を作動させる前記1.乃至3.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。
5.前記船舶の航海中に前記舶用機械に加えられた振動の大きさを検知する振動検知部を備える前記1.乃至4.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。
6.前記船舶の識別情報及び運行情報、前記舶用機械の識別情報、稼働情報及び前記潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベースを備え、
前記診断部は、前記舶用機械データベースに蓄積された情報に基づき前記舶用機械の状態診断を行うと共に、前記船舶の次の航海期間に応じて、前記舶用機械に異常が生じるか否かを予測する前記1.乃至5.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。
7.1つの船舶に搭載される1又は複数の舶用機械の状態診断方法であって、
前記舶用機械毎に具備された潤滑油の循環部61において、前記循環部の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測工程と、
前記船舶上において、潤滑油情報として前記計測工程による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて前記舶用機械の異常を判断する一次検査工程と、
前記船舶が寄港する港湾側において、港湾域で使用される無線通信を用いて前記一次検査工程により蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて前記舶用機械の状態診断を行う診断工程と、
を含むことを特徴とする舶用機械の状態診断方法。
8.前記計測工程は、前記潤滑油に光を照射することにより潤滑油に含まれる汚染物質の粒子径及び粒子数を計測し、
前記一次検査工程は、前記粒子径及び前記粒子数のうちの少なくとも一方の値又はその増加率が所定の基準値を超えたときは前記舶用機械の異常と判断する前記7.記載の舶用機械の状態診断方法。
9.前記一次検査工程は、前記舶用機械の異常と判断したときは外部に異常を通報する前記7.又は8.に記載の舶用機械の状態診断方法。
10.前記舶用機械の前記循環部の作動、前記計測工程及び前記一次検査工程の実行を制御する制御工程を含み、
前記制御工程は、前記船舶の航海中に前記舶用機械が稼働されていない場合には前記船舶の寄港前に少なくとも2回、前記循環部を作動させると共に、前記計測工程及び前記一次検査工程を実行させる前記7.乃至9.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。
11.前記船舶の航海中に前記舶用機械に加えられた振動の大きさを検知する振動検知工程を含む前記7.乃至10.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。
12.前記船舶の識別情報及び運行情報、前記舶用機械の識別情報、稼働情報及び前記潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベースを使用し、
前記診断工程は、前記舶用機械データベースに蓄積された情報に基づき前記舶用機械の状態診断を行うと共に、前記船舶の次の航海期間に応じて、前記舶用機械に異常が生じるか否かを予測する前記7.乃至11.のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。
前記一次検査部は、前記舶用機械の異常と判断したときは外部に異常を通報する場合には、舶用機械の異常情報を船上のオペレータに知らせたり、通信可能であれば寄港地に送信したりすることができる。
前記舶用機械の前記循環部、前記計測部及前記一次検査部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記船舶の航海中に前記舶用機械が稼働されていない場合には前記船舶の寄港前に少なくとも2回、前記循環部、前記計測部及び前記一次検査部を作動させる場合には、通常の航海中には使用されない舶用機械であっても、次の寄港地に到着する前に少なくとも舶用機械の循環部を作動させ、潤滑油中の汚染物質を計測して舶用機械の異常状態を寄港前に検知することができる。
前記船舶の航海中に前記舶用機械に加えられた振動の大きさを検知する振動検知部を備える場合には、舶用機械の異常の検知や診断において、船舶の揺れに伴う舶用機械の振動の影響を受けないようにすることができる。
前記船舶の識別情報及び運行情報、前記舶用機械の識別情報、稼働情報及び前記潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベースを備え、前記診断部は、前記舶用機械データベースに蓄積された情報に基づき前記舶用機械の状態診断を行うと共に、前記船舶の次の航海期間に応じて、前記舶用機械に異常が生じるか否かを予測する場合は、舶用機械データベースに記憶されている当該船舶の運行履歴情報、当該舶用機械の作動履歴情報、同種舶用機械の異常情報等を参照して、取得された潤滑油情報に基づく当該舶用機械の状態をより正確に診断することができる。また、船舶の次の運行スケジュールを取得して、取得された潤滑油情報に基づき当該舶用機械が次の運行中に異常を生じるか否かを予測することができる。
本実施形態に係る舶用機械の状態診断システム1は、1つの船舶5に搭載される1又は複数の舶用機械6の状態診断システムであって、舶用機械6毎に潤滑油の循環部61に具備され、循環部61の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測部11と、船舶5上に具備され、潤滑油情報として計測部11による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて舶用機械6の異常を判断する一次検査部12と、船舶5が寄港する港湾8側において稼働し、港湾8域で使用される無線通信手段2を用いて一次検査部12に蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて舶用機械6の状態診断を行う診断部16と、を備える(図1参照)。
また、船舶5の航海中に舶用機械6に加えられた振動の大きさを検知する振動検知部14を備えることができる。
また、舶用機械の状態診断システム1には、船舶5の運行情報、舶用機械6の稼働情報及びその潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベース17を備えることができる。舶用機械データベース17には、診断を行う船舶5及び舶用機械6に関する過去のデータに限らず、同一又は同種の舶用機械6のデータ等、舶用機械6のメンテナンスに有用な各種情報を蓄積することができる。そして、診断部16は、舶用機械データベース17に蓄積された情報を利用して舶用機械6の状態診断を行うように構成することができる。
診断部16により取得された舶用機械6の潤滑油情報やそれに基づく診断結果等は、通信ネットワーク9を介して、荷役現場、船舶・舶用機械の管理者、船主等の関係者に提供可能に構成することができる。また、荷役作業や次の運行のために船舶5(一次検査部12)に診断結果等を送信するように構成することができる。
前記舶用機械6の種類は特に問わず、例えば、原動機、スクリュー、操舵機、発電機、モータ、ポンプ、巻き上げ機、荷役機械等が挙げられる。これらのうち、デッキクレーン等の荷役機械は、主として船舶の接岸中に使用されるものである。
舶用機械6は、摺動や歯車等を利用した可動部を有し、可動部の摩擦を軽減するために潤滑油が使用される。舶用機械6には、可動部に潤滑油を供給すると共に潤滑油を回収する潤滑油の循環経路として、循環部61が形成されている。通常、舶用機械6が使用されている間は循環部61が作動している。また、舶用機械6は、舶用機械6が使用されていないときであっても、循環部61を作動させることにより潤滑油を循環させることが可能なように構成されている。
計測部11は、舶用機械6毎に潤滑油の循環部61に具備され、循環部61の作動中に、潤滑油の流量、油量、潤滑油に含まれる汚染物質等を計測するように構成されている。潤滑油の汚染は、舶用機械の摩耗に伴って金属粉等の固体物が潤滑油に混入したり、潤滑油の過熱等により生じた酸化物等の固体物が潤滑油に混入したりすること等によって生じる。油溶性の汚染物が潤滑油に溶存することを含めてもよい。
汚染物質を計測するためのセンサは、循環部61の潤滑油の循環経路に設け、常時又は定期的に計測を可能とすることができる。また、計測部11は、舶用機械6から採取された潤滑油を用いて汚染物質を計測するように構成されてもよい。その他、計測部11には、潤滑油の油量を計測する油量計、潤滑油の流量を計測する流量計等を備えることができる。更に計測部11は潤滑油の透明度、潤滑油に含まれる水分量等を計測可能に構成することもできる。
なお、潤滑油中の粒子数により潤滑油の清浄度を表すNAS等級(National Aerospace Standard 1638:2001)では、粒子径が5~100μmの範囲で5つに区分されており、潤滑油100ml中の各区分に含まれる粒子数の分布によって14に等級化されている。計測部11により計測された汚染物質の粒子径及び粒子数は、このNAS等級に対応させることもできる。
計測部11には、計測されたデータを一次検査部12に送信する無線通信部を備えることができる。
一次検査部12は、船舶5の船上において、計測部11によって計測された潤滑油のデータを潤滑油情報として収集する。一次検査部12の具体的な構成は特に問わず、一次検査部12として、パーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末を使用することができる。計測部11と一次検査部12との間の通信方法は特に問わず、通信線を介した有線通信であってもよいし、無線通信(例えば、IEEE802.11等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)、携帯電話通信網等)であってもよい。また、独自の通信手段を備えてもよい。一次検査部12は、計測部11と結合して一体に構成されていてもよい。
前記潤滑油情報には、舶用機械6の作動開始及び終了時刻など、舶用機械6の稼働状態に関する情報(稼働情報)を含むことができる。一次検査部12は、稼働情報を基に舶用機械6の稼働回数、稼働時間、休止時間等を算定することができる。
また、前記潤滑油情報には、船舶5の位置の情報(位置情報)を含むことができる。船舶5の位置は、舶用機械6が稼働しているか否かを問わず、定期的又は適宜のタイミングで取得して記憶される。船舶5の位置の取得方法は特に問わず、例えば衛星測位システム(GPS)を利用することができる。一次検査部12は、位置情報を基に船舶5の移動距離、移動時間等を算定することができる。その他、一次検査部12は、位置情報に関連付けて、船舶5の位置及び時刻における気象情報(例えば、外部の気象データベースにより得られる情報)等を記憶するように構成することもできる。
機械の摩耗が進行すると粒子数が増加し、発生する粒子径は大きくなるため、潤滑油に含まれる汚染物質の粒子径及び粒子数により、舶用機械6の摩耗状態を判断することが可能である(図6参照)。一次検査部12は、計測された汚染物質の粒子径及び粒子数のうちの少なくとも一方の値、又はその時間経過に伴う増加率が所定の基準値を超えたときは舶用機械6の異常と判断することができる。粒子数については、粒子径の各区分の粒子数や分布、それらの時間経過に伴う変化率等とすることができる。一次検査部12は、粒子径の各区分に含まれる粒子数、区分間の比率、それらの変化率等を算出することができる。舶用機械6を異常と判断する基準は、以上のような項目を種々組み合わせた条件により設定することができる。
舶用機械の状態診断システム1には、舶用機械6の循環部61、計測部11、一次検査部12、振動検知部14を制御する制御部13を備えることができる。制御部13は、船舶5上における舶用機械6の状態診断システムの全般的な制御を司るものであり、計測部11、一次検査部12等と結合して一体に構成されていてもよい。
舶用機械の状態診断システム1において、一次検査部12により潤滑油情報を収集すると共に異常の有無を判断するタイミングは接岸中、航海中を問わない。また、潤滑油情報を収集する回数も特に問わないが、航海中は次の寄港までに舶用機械6のメンテナンスに必要な情報を取得しておくことが好ましい。このため、制御部13は、船舶5の運行状況や舶用機械6の稼働状況に応じて計測部11により潤滑油の汚染物質を計測し、一次検査部12により異常の有無を判断するようにするように制御する。
特に、デッキクレーン等の荷役機械等は主として船舶5の接岸中に使用され、通常、航海中は使用されない。このような航海中に使用されない舶用機械6であっても、制御部13の制御によって、船舶5の次の寄港前に舶用機械6の循環部61を作動させて潤滑油情報を取得することができる。これによって、寄港時に舶用機械6の診断が可能になり、また接岸時に必要なメンテナンス作業を行うことができる。
循環部61、計測部11及び一次検査部12を作動させるタイミングは適宜設定されればよく、例えば、出港時刻からの一定期間毎、寄港予定時刻から一定期間内(例えば半日前、1日前)等とすることができる。
舶用機械6の稼働状態にかかわらず、船舶5が揺られて舶用機械6に大きな振動が与えられた場合には、循環油に汚染源が混入したり撹拌されたりすることにより、正確な潤滑油情報が得られないおそれがある。また、計測部11による計測波形に、振動に起因するノイズが重畳され、正確な潤滑油情報が得られないおそれがある。
舶用機械の状態診断システム1には、船舶5の航海中に舶用機械6に加えられた振動の大きさを検知する振動検知部を備えることができる。振動検知部14は、船舶5の航海中に前記舶用機械6に加えられた振動の大きさを検知する手段である。振動検知部14は、船舶5に1つ設けて舶用機械6の数に関わらず各舶用機械6に与えられる振動の大きさとして扱ってもよいし、舶用機械6毎に舶用機械6やその基台に設けて舶用機械6毎に与えられる振動の大きさとして扱ってもよい。振動の大きさを検知する手段は特に問わず、例えば、加速度センサ、角速度センサを用いることができる。また、振動検知部14は、計測部11による計測値を継続的に取得し、その時間的変化に基づいて振動の大きさを検知するようにしてもよい。
一次検査部12における異常の検知や診断部16における診断においては、振動検知部14により得られた前記振動の大きさ及び持続時間が所定の基準を超えるときは、舶用機械6の異常と判断する方法や基準を変更するようにすることができる。大きい振動が続いた場合には、その間の潤滑油情報によって舶用機械6を異常と判断しないようにすることもできる。
診断部16は、港湾8又は港湾8から接続可能なデータセンター等に置かれるサーバ装置上のソフトウェアであり、船舶5が寄港する港湾8側において稼働する。そして、診断部16は、港湾域で使用される無線通信手段2を用いて一次検査部12に蓄積された潤滑油情報を取得し、取得された潤滑油情報に基づいて舶用機械6の状態診断を行うように構成される。
前記のとおり、潤滑油情報には、汚染物質の計測情報、船舶5の位置・運行情報、舶用機械6の稼働情報等が含まれている。診断部16は、舶用機械6の積算稼働時間、循環部61の積算稼働時間等を条件に加え、潤滑油情報に基づいて総合的に舶用機械6の状態を診断することができる。また、更なる精密診断の要否を判断することができる。
汚染物質の計測情報に基づいた潤滑油や舶用機械6の異常の有無の判断には、既存の診断方法(例えば特許3659891号に記載される潤滑対象部診断システム)を適用することができる。
また、診断部16は、船舶5の位置(航路)情報と、別途提供される地域別の天候情報とを照合し、舶用機械6が高温又は低温に晒されたり、時化により舶用機械6に大きな振動等が与えられたりしたと判断する場合は、舶用機械6の状態を異常と判断する条件や基準を変更するようにすることができる。
また、診断部16は、航海の予定期間や運行距離等を含む船舶5の運行情報を取得するように構成することができる。そして、現在の潤滑油の汚染物質の時間的変化率等を基に、船舶5の次の航海期間に応じて、舶用機械6に異常が生じるか否かを予測するようにすることができる。また、船舶5の次の航海の移動距離や、次の航海中において予測される舶用機械6の可動時間、可動回数等に応じて、舶用機械6に異常が生じるか否かを予測するようにすることもできる。
舶用機械の状態診断システム1(図1参照)を使用して行う場合を例として、舶用機械の状態診断方法について説明する。
実施形態に係る舶用機械の状態診断方法は、1つの船舶5に搭載される1又は複数の舶用機械6の状態診断方法であって、舶用機械6毎に具備された潤滑油の循環部61において、循環部61の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測工程S11と、船舶5上において、潤滑油情報として計測工程S11による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて舶用機械6の異常を判断する一次検査工程S12と、船舶5が寄港する港湾8側において、港湾域で使用される無線通信手段2を用いて一次検査工程S12により蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて舶用機械6の状態診断を行う診断工程S16と、を含む。
また、舶用機械6の循環部61の作動、計測工程S11及一次検査工程S12の実行を制御する制御工程S13を含むことができる。
また、船舶5の航海中に舶用機械6に加えられた振動の大きさを検知する振動検知工程を含むことができる。
汚染物質の計測は、船舶5が航海中か停泊中かを問わず、少なくとも舶用機械6の循環部61の作動中に行う。その計測のタイミングは問わず、常時であってもよいし、一定の時間間隔で(例えば、1分毎に)計測を行うようにしてもよい。このため、汚染物質を計測すべき時刻になるまで待機した後(S10)、計測工程を行う。
計測工程(S11)では、潤滑油の流量、油量、潤滑油に含まれる汚染物質等を計測する。図4に、潤滑油の油量、流量、潤滑油100ml当りの汚染物質の粒子数を短時間(約6分間)計測した例を示す。本例では、汚染物質の粒子径を1μm毎に区分し、その区分毎の粒子数が算定されている。計測結果は一次検査工程へ送られる。
異常ありと判断した場合には、船上のオペレータに異常を通報する(S125)。
船舶5側においては、以上の工程を繰り返し行うようにすることができる。
制御工程S13は、船舶5の航海中に舶用機械6が稼働されていない場合であっても、船舶5の寄港前に少なくとも2回(好ましくは3回以上)、循環部61を作動させると共に、計測工程S11及び一次検査工程S12を実行させるように制御する。制御を行うタイミングは適宜設定できるが、舶用機械6が主として船舶5の接岸中に使用され、航海中は使用されないデッキクレーン等の荷役機械等である場合、定期的に、又は寄港予定時刻から一定期間内に複数回(例えば半日前、1日前)等とすることができる。
制御工程S13は前記タイミングにおいて実行され、先ず舶用機械6の潤滑油の循環部61を作動させる(S131)。そして一定時間待って(S132)、計測工程S11及び一次検査工程S12の実行を開始させる(S133)。そして、計測工程S11及び一次検査工程S12により潤滑油情報の取得が完了するまで待機し(S134)、潤滑油情報の取得が完了したら、循環部61、計測工程、一次検査工程を停止させる(S135)。
診断工程S16では、先ず、港湾8域で使用される無線通信手段2を用いて、船舶5側で行われる一次検査工程S12により蓄積された潤滑油情報を取得する(S161)。
また、船舶5の運行情報、舶用機械6の稼働情報、潤滑油情報等が蓄積して記憶されている舶用機械データベース17をアクセスし、舶用機械6のメンテナンスに必要な情報を取得する(S162)。
診断工程S16は、舶用機械データベース17に蓄積されている当該船舶5の運行情報、当該舶用機械6の過去のメンテナンス情報、他の船舶や舶用機械のメンテナンス情報等、各種情報を参照して、一次検査工程S12から取得した潤滑油情報に基づいて舶用機械6の状態診断を行う(S163)。
そして、舶用機械6の状態が異常であるかを判断すると共に(S164)、舶用機械6のメンテナンス作業が必要な状態であるかを判断する(S164)。舶用機械6が異常と判断した場合、及びメンテナンス作業が必要と判断した場合には、荷役現場、船舶・舶用機械の管理者、船主等の関係者に診断結果を通報する(S166)。また、関係者に必要な情報は、通信ネットワーク9を介して各関係者が閲覧可能にすることができる。
11;計測部、12;一次検査部、13;制御部、14;振動検知部、16;診断部、17;舶用機械データベース、
2;無線通信手段、
5;船舶、
6;舶用機械、61;循環部、
8;港湾、9;通信ネットワーク。
Claims (12)
- 1つの船舶に搭載される1又は複数の舶用機械の状態診断システムであって、
前記舶用機械毎に潤滑油の循環部に具備され、前記循環部の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測部と、
前記船舶上に具備され、潤滑油情報として前記計測部による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて前記舶用機械の異常を判断する一次検査部と、
前記船舶が寄港する港湾側において稼働し、港湾域で使用される無線通信を用いて前記一次検査部に蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて前記舶用機械の状態診断を行う診断部と、
を備えることを特徴とする舶用機械の状態診断システム。 - 前記計測部は、前記潤滑油に光を照射することにより潤滑油に含まれる汚染物質の粒子径及び粒子数を計測し、
前記一次検査部は、前記粒子径及び前記粒子数のうちの少なくとも一方の値又はその増加率が所定の基準値を超えたときは前記舶用機械の異常と判断する請求項1記載の舶用機械の状態診断システム。 - 前記一次検査部は、前記舶用機械の異常と判断したときは外部に異常を通報する請求項1又は2に記載の舶用機械の状態診断システム。
- 前記舶用機械の前記循環部、前記計測部及び前記一次検査部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記船舶の航海中に前記舶用機械が稼働されていない場合には前記船舶の寄港前に少なくとも2回、前記循環部、前記計測部及び前記一次検査部を作動させる請求項1乃至3のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。 - 前記船舶の航海中に前記舶用機械に加えられた振動の大きさを検知する振動検知部を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。
- 前記船舶の識別情報及び運行情報、前記舶用機械の識別情報、稼働情報及び前記潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベースを備え、
前記診断部は、前記舶用機械データベースに蓄積された情報に基づき前記舶用機械の状態診断を行うと共に、前記船舶の次の航海期間に応じて、前記舶用機械に異常が生じるか否かを予測する請求項1乃至5のいずれかに記載の舶用機械の状態診断システム。 - 1つの船舶に搭載される1又は複数の舶用機械の状態診断方法であって、
前記舶用機械毎に具備された潤滑油の循環部において、前記循環部の作動中に潤滑油に含まれる汚染物質を計測する計測工程と、
前記船舶上において、潤滑油情報として前記計測工程による計測値及び時刻を蓄積して記憶すると共に前記計測値に基づいて前記舶用機械の異常を判断する一次検査工程と、
前記船舶が寄港する港湾側において、港湾域で使用される無線通信を用いて前記一次検査工程により蓄積された前記潤滑油情報を取得し、取得された前記潤滑油情報に基づいて前記舶用機械の状態診断を行う診断工程と、
を含むことを特徴とする舶用機械の状態診断方法。 - 前記計測工程は、前記潤滑油に光を照射することにより潤滑油に含まれる汚染物質の粒子径及び粒子数を計測し、
前記一次検査工程は、前記粒子径及び前記粒子数のうちの少なくとも一方の値又はその増加率が所定の基準値を超えたときは前記舶用機械の異常と判断する請求項7記載の舶用機械の状態診断方法。 - 前記一次検査工程は、前記舶用機械の異常と判断したときは外部に異常を通報する請求項7又は8に記載の舶用機械の状態診断方法。
- 前記舶用機械の前記循環部の作動、前記計測工程及び前記一次検査工程の実行を制御する制御工程を含み、
前記制御工程は、前記船舶の航海中に前記舶用機械が稼働されていない場合には前記船舶の寄港前に少なくとも2回、前記循環部を作動させると共に前記計測工程及び前記一次検査工程を実行させる請求項7乃至9のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。 - 前記船舶の航海中に前記舶用機械に加えられた振動の大きさを検知する振動検知工程を含む請求項7乃至10のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。
- 前記船舶の識別情報及び運行情報、前記舶用機械の識別情報、稼働情報及び前記潤滑油情報を蓄積して記憶する舶用機械データベースを使用し、
前記診断工程は、前記舶用機械データベースに蓄積された情報に基づき前記舶用機械の状態診断を行うと共に、前記船舶の次の航海期間に応じて前記舶用機械に異常が生じるか否かを予測する請求項7乃至11のいずれかに記載の舶用機械の状態診断方法。
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