JP2024054460A - ワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーン - Google Patents

ワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーン Download PDF

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Abstract

Figure 2024054460000001
【課題】複数の点検項目を網羅したワイヤロープの点検の効率化を図ることができるワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンを提供する。
【解決手段】断線検出装置2によりワイヤロープ10の素線の断線が検出されたことを示す信号50を取得し、撮影装置3によりワイヤロープ10の周面を撮影して、その周面が映る画像データ52を取得する。そして、断線検出装置2によって取得された複数の信号50と撮影装置3によって取得された複数の画像データ52とを演算装置6によりデータ処理することにより、ワイヤロープ10の長手方向に複数の信号50が並んだ断線検出データ51と、ワイヤロープ10の長手方向に複数の画像データ52が並んだ外観画像データ53とを作成することにより、複数の点検項目を網羅したワイヤロープ10の点検を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンに関し、より詳細には、ワイヤロープの点検の効率化を図ることができるワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンに関する。
クレーンやエレベータなどの設備に備えられたワイヤロープは、断線、摩耗、腐食、形崩れ(キンク、うねり、潰れ、曲がり)などの予め定められた複数の点検項目に基づいて点検されている。作業者の目視による点検では、ワイヤロープに付着した油の影響により、ワイヤロープを構成する素線の断線の見落としがある。また、作業者の目視による点検では、ワイヤロープの内部の素線の断線までは点検することができない。
これに関して、ワイヤロープを磁化させてワイヤロープの断線によって生じる漏洩磁束を検出する磁気検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気検出装置では、ワイヤロープを構成する内外の素線の断線を検出可能であり、作業者の目視による点検よりも高い精度でワイヤロープの素線の断線の点検を行うことが可能になっている。しかしながら、特許文献1に記載の磁気検出装置では、断線以外の点検項目を点検することはできない。そのため、従来では磁気検出装置による断線の点検に併用して、作業者がワイヤロープを直接目視確認して摩耗、腐食および形崩れのそれぞれの点検項目をチェックしていた。
しかし、作業者の目視による点検は、ワイヤロープを作業者の手元に置く必要があり、クレーンやエレベータなどの設備の休止中にしか行えず、ワイヤロープを取り外す手間も要する。そのため、特許文献1に記載の磁気検出装置を利用しても、ワイヤロープの点検には多くの手間と時間を要していた。このように、複数の点検項目を網羅したワイヤロープの点検の効率化を図るには改善の余地がある。
特開2021-81224号公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の点検項目を網羅したワイヤロープの点検の効率化を図ることができるワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンを提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明のワイヤロープの点検方法は、多数の素線を有するワイヤロープに対して予め定められた複数の点検項目に基づく点検を行うワイヤロープの点検方法において、断線検出装置により前記素線の断線が検出されたことを示す信号を取得し、撮影装置により前記ワイヤロープの周面を撮影して、その周面が映る画像データを取得し、前記断線検出装置によって取得された複数の前記信号と前記撮影装置によって取得された複数の前記画像データとを演算装置によりデータ処理することにより、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記信号が並んだ断線検出データと、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記画像データが並んだ外観画像データとを作成することを特徴とする。
上記のような目的を達成するための本発明のワイヤロープの点検システムは、多数の素線を有するワイヤロープに対して予め定められた複数の点検項目に基づく点検に用いられるワイヤロープの点検システムにおいて、前記素線の断線が検出されたことを示す信号を取得する断線検出装置と、前記ワイヤロープの周面を撮影して、その周面が映る画像データを取得する撮影装置と、前記断線検出装置によって取得された前記信号と、前記撮影装置によって取得された前記画像データとが記憶される演算装置とを備え、前記演算装置は、複数の前記信号および複数の前記画像データを整理して、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記信号が並んだ断線検出データと、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記画像データが並んだ外観画像データとを作成するデータ処理を実行することを特徴とする。
本発明のクレーンは、上記ワイヤロープの点検システムの断線検出装置と撮影装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、断線検出装置が取得した多数の信号が整理された断線検出データを用いてワイヤロープの素線の断線を点検し、撮影装置が取得した多数の画像データが整理された外観画像データを用いて断線以外の摩耗、腐食、形崩れを点検できる。これにより、各データを確認するだけで複数の点検項目を網羅したワイヤロープの点検が可能となる。また、断線検出装置や撮影装置は、ワイヤロープを用いる設備に設置可能であり、設備からワイヤロープを取り外すことなく点検可能になり、設備の稼働中にも各データを取得できる。それ故、ワイヤロープの点検にワイヤロープの取り外しや、設備の休止が必須ではなくなる。このように、本発明は、断線検出装置と撮影装置とを併用することで、簡便に複数の点検項目を網羅する構成でありながら、ワイヤロープの点検の効率化を図ることができる。
ワイヤロープの点検システムおよびクレーンの実施形態をクレーンの側面視で例示する説明図である。 クレーンに備えられた点検ユニットを斜視で例示する説明図である。 点検システムの構成を例示するブロック図である。 断線検出データを例示する説明図である。 外観画像データを例示する説明図である。 点検データを作業者が確認するワイヤロープの点検方法の実施形態の手順を例示するフロー図である。 演算装置の補助記憶部に記憶された複数の信号の格納状態を例示する説明図である。 点検データを例示する説明図である。 点検データを演算装置が解析するワイヤロープの点検方法の実施形態の手順を示すフロー図である。 図9の点検データを例示する説明図である。 ワイヤロープの交換時期の度数を示した度数分布図である。
以下、本発明のワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンを図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示するクレーン20の実施形態は、公知の種々のクレーンを用いることができる。クレーン20の一例として岸壁クレーンを例示しているが、クレーン20は、ワイヤロープ20を備えていればよく、門型クレーン、アンローダ、天井クレーン、製品クレーンなども例示される。
詳述すると、クレーン20は、脚構造体21と、脚構造体21の上部で支持されてクレーン20の横行方向(以下、横行方向という)に延在するガーダ22と、ガーダ22の海側端部に連結されて横行方向に延在するブーム23と、ガーダ22およびブーム23に沿って横行方向に横行するトロリ25と、トロリ25の下方に吊り下げられる吊具26とを備えている。ブーム23はヒンジ部24を介してガーダ22に連結されていて、ガーダ22に対してブーム23が上下方向に起伏可能な構成になっている。
クレーン20では、様々な用途でワイヤロープ10(10a、10b)が使用されている。このクレーン20は、吊具26の昇降に使用される吊具用のワイヤロープ10aと、ガーダ22に対するブーム23の起伏に使用される起伏用のワイヤロープ10bとを備えている。各ワイヤロープ10a、10bは、各々の駆動装置28による繰り出しおよび巻き取りにより対象となる装置を稼働させている。なお、クレーン20によっては、トロリ25がロープトロリ式の場合、トロリ25の横行にワイヤロープ10を用いるものもある。
ワイヤロープ10は、公知の種々のワイヤロープを用いることができる。ワイヤロープ10の一例は、図示しない硬鋼線で構成される多数の素線で構成される。詳述すると、ワイヤロープ10は、心綱とその心綱の周りに複数の素線を撚り合わせた複数のストランドを撚り合わせた構造を成している。心綱は、複数の繊維や硬鋼線を撚り合わせて構成される。
クレーン20では、各ワイヤロープ10の経路に複数のシーブ29が設置されており、各ワイヤロープ10が複数のシーブ29に掛け回されている。図中では、複数のシーブ29の中の代表的なものとして、ガーダ22の陸側端部とブーム23の海側端部に設けられたシーブ29を図示している。これらのシーブ29は、掛け回されたワイヤロープ10aを誘導している。また、複数のシーブ29の中の代表的なものとして、ガーダ22よりも上方に延在している上部構造体26の上部に設けられたシーブ29を図示している。このシーブ29は、掛け回されたワイヤロープ10bを誘導している。
クレーン20は、後述する点検システム1の断線検出装置2と撮影装置3とを備えている。クレーン20は、断線検出装置2と撮影装置3とを一組にした複数の点検ユニット4を備えている。複数の点検ユニット4は、各々のワイヤロープ10a、10bの経路に間隔を空けて配置されている。複数の点検ユニット4は、各々のワイヤロープ10a、10bの全域を点検できることが望ましいが、各々のワイヤロープ10a、10bを誘導するシーブ29ごとに配置されていればよい。クレーン20では、各々のワイヤロープ10a、10bが受ける損傷の要因がシーブ29の通過時にある。それ故、点検ユニット4がシーブ29ごとに配置されることで各々のワイヤロープ10a、10bに対して過不足の無い点検を行うことが可能となる。複数の点検ユニット4は、それぞれのシーブ29の近傍に設置される。複数の点検ユニット4の設置には、シーブ29をクレーン20に支持する支持部材を利用してもよい。なお、点検ユニット4には、後述するカウンタ5も含まれているが、カウンタ5は必須でない場合もある。
なお、各駆動装置28はドラムで構成されており、ドラムによる繰り出しと巻き取りにより、各駆動装置28の近傍では、各ワイヤロープ10a、10bが図中の奥行き方向や手前方向への移動が生じる。それ故、シーブ29の近傍であっても奥行き方向や手前方向への移動が生じる部分には、点検ユニット4を設置することは難しい。例えば、ガーダ22の陸側端部に設置されたシーブ29の近傍では、シーブ29を基準として駆動装置28の側に点検ユニット4を設置することが難しいため、その反対側に点検ユニット4を設置することが好ましい。また、点検対象のワイヤロープ10に作用する張力が抜けてそのワイヤロープ10にたわみが生じると、点検ユニット4とワイヤロープ10との接触や点検不良が生じるおそれがある。それ故、仮にワイヤロープ10に作用する張力が抜けてワイヤロープ10にたわみが生じても、そのたわみによるワイヤロープ10との接触が回避可能な位置に点検ユニット3を設置することが好ましい。例えば、シーブ29の近傍は、ワイヤロープ10に生じるたわみが小さくなるので、点検ユニット4の設置位置としては好適である。
以下、点検システム1の実施形態について詳述する。
図1~図3に例示する点検システム1は、クレーン20が備えるワイヤロープ10をクレーン20の稼働中に監視している。点検システム1は、断線検出装置2、撮影装置3、および、カウンタ5を有する点検ユニット4と、演算装置6を備えている。点検システム1を用いたワイヤロープ10の点検は、予め定められた複数の点検項目に基づいて行われる。
複数の点検項目は、公知の種々のワイヤロープの点検項目を用いることができる。複数の点検項目の一例は、一般財団法人の日本クレーン協会が定めている「JCA S 0501-1986 クレーン等に使用されるワイヤロープの保守・点検および廃棄基準」を用いている。以下の表1に示すように、ワイヤロープ10に対する複数の点検項目として、断線、摩耗、腐食、および形崩れが定められており、それぞれの点検項目について廃棄基準が定められている。
Figure 2024054460000002
複数の点検項目は、ワイヤロープ10が備え付けられている設備に応じて適宜設定できるが、クレーン20に用いるワイヤロープ10に対しては少なくとも断線、摩耗、腐食および形崩れの四つの項目が必須となっている。複数の点検項目は、例示した点検項目以外にも、例えば、ワイヤロープ10の塗油の状態などを追加設定することもできる。
断線検出装置2は、ワイヤロープ10の素線の断線を示す信号50を検出する装置である。断線検出装置2は、素線の断線の有無により変化する信号50を演算装置6に出力している。断線検出装置2は、磁気検出装置や超音波検出装置、レーザー検出装置などのワイヤロープ10の素線の断線を示す信号50を検出可能な公知の種々の検出装置を用いることができる。断線検出装置2の一例は、磁気検出装置で構成されている。磁気検出装置は、ワイヤロープ10を磁化させてワイヤロープ10の素線の断線によって生じる漏洩磁束の磁束密度を信号50として検出することで、ワイヤロープ10の素線の断線を検出する。断線検出装置2が磁気検出装置で構成される場合、磁気検出装置が出力する漏洩磁束の検出信号が演算装置6に出力される信号50となる。
撮影装置3は、ワイヤロープ10の周面を撮影し、その周面が映る画像データ52を取得する装置である。撮影装置3は、取得した画像データ52を演算装置6に出力している。撮影装置3は、デジタルカメラや赤外線カメラなどの公知の種々のカメラを用いることができる。ワイヤロープ10の周面とは、ワイヤロープ10の周方向の全周の面であることが望ましい。したがって、撮影装置3は、ワイヤロープ10の周方向に撮影方向を異ならせた少なくとも2台のカメラ3a、より好ましくは3台以上のカメラ3aで構成されることが望ましい。撮影装置3は、撮影方向を異ならせた2台以上のカメラ3aで構成されることにより、ワイヤロープ10の周方向の全周の面を網羅的に撮影する構成になっている。
なお、この実施形態では、撮影装置3を3台のカメラ3aで構成した場合を例示している。図2では撮影装置3を構成する3台のカメラ3aのうちの2台のカメラ3aを図示している。撮影装置3は、ワイヤロープ10の周面を鮮明に撮影でき、ワイヤロープ10が振れた場合にもワイヤロープ10が干渉しない位置に配置するとよい。具体的には撮影装置3を構成するカメラ3aは、ワイヤロープ10から例えば、数十センチから数メートル程度離間した位置に配置するとよい。カメラ3aは、ワイヤロープ10にカメラ3aのレンズの焦点(ピント)が合う位置に配置する。カメラ3aは、ワイヤロープ10が振れた場合にワイヤロープ10の周面に自動的に焦点を合わせるオートフォーカス機能を有する構成にするとよい。撮影装置3は、例えば、ワイヤロープ10の上下左右にそれぞれ配置した4台のカメラ3aで構成することもできる。
カウンタ5は、断線検出装置2による断線検出の調節と撮影装置3による撮影の調節を行う装置である。カウンタ5は、断線検出装置2と撮影装置3と演算装置6の各々に電気的に接続されている。
クレーン20に用いられるワイヤロープ10は、トロリ25および吊具26の移動やブーム23の起伏(傾動)が所定の定加速度、定速度、定減速度に応じて制御されることに伴って、移動速度が時々刻々と変化する。つまり、固定の周期での断線検出装置2の断線検出と撮影装置3の撮影では、断線を検出する箇所や撮影した箇所がワイヤロープ10の長手方向に関して連続的にならず、断線を検出する箇所どうしや撮影した箇所どうしの間の間隔も不揃いになる。このような不連続かつ不揃いのデータは、点検漏れの要因となる。それ故、ワイヤロープ10の長手方向に等間隔に断線検出装置2による断線検出と撮影装置3による撮影とを行うには、断線検出装置2の検出周期と撮影装置3の撮影周期とをワイヤロープ10の移動速度の変化に合わせて調節する必要がある。カウンタ5は、その検出周期と撮影周期との調節をワイヤロープ10の移動速度に基づいて行う。
また、断線検出装置2が信号50を検知した箇所や撮影装置3が画像データ52を撮影した箇所の位置は、信号50や画像データ52のみで判断することが難しい。それ故、断線検出装置2の信号50の検知箇所や撮影装置3の画像データ52の撮影箇所を特定する必要がある。カウンタ5は、それらの箇所をワイヤロープ10の移動速度に基づいて特定する。
詳述すると、カウンタ5は、ワイヤロープ10の移動速度を取得する公知の種々の速度センサとコンピュータとの組み合わせを用いることができる。速度センサは、ワイヤロープ10に接触しない非接触のセンサであることが望ましい。コンピュータは、マイクロコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの公知の種々のコンピュータを用いることができる。カウンタ5は、速度センサが取得したワイヤロープ10の移動速度に基づいてコンピュータにより断線検出装置2の検出周期と撮影装置3の撮影周期とを調節するデータ処理が実行される。
具体的に、カウンタ5は、吊具26やトロリ25の移動における定速度を基準の速度とし、その速度よりも遅い移動速度(定加速度や定減速度で移動中の速度)では、検出周期と撮影周期を遅くする。断線検出装置2が取得した信号50と撮影装置3が取得した画像データ52は、ワイヤロープ10の長手方向に切れ間のない連続したデータであることが望ましく、検知周期および撮影周期はそれぞれのデータが連続したデータになる範囲で調節される。基準の速度は任意に設定可能である。断線検出装置2の周期毎の検出範囲は、撮影装置3の周期毎の撮影範囲よりも狭いため、断線検出装置2の検出周期は、撮影装置3の撮影周期よりも短い周期(例えば、撮影周期の1/2~1/10の周期)に設定される。
また、カウンタ5は、速度センサが取得したワイヤロープ10の移動速度に基づいて、コンピュータにより単位時間当たりのワイヤロープ10の移動距離を算出し、算出したその移動距離に基づいて、断線検出装置2の信号50の検知箇所や撮影装置3の画像データ52の撮影箇所を特定するデータ処理が実行される。具体的に、カウンタ5は、断線検出装置2の信号50の所定の検知箇所や撮影装置3の画像データ52の所定の撮影箇所を原点として、ワイヤロープ10の移動速度に基づいてその原点の移動した距離を算出して、断線検出装置2の信号50の検知箇所や撮影装置3の画像データ52の撮影箇所を特定する。所定の検出箇所や所定の撮影箇所は、各データの取得時に最初に検知した箇所や撮影した箇所が例示される。
なお、クレーン20に使用されるワイヤロープ10は、常に、長手方向の一方に移動するのではなく、荷役の状況に応じて、長手方向の他方にも移動する。そこで、カウンタ5は、長手方向の一方にワイヤロープ10が移動した場合を正とし、他方にワイヤロープ10が移動した場合を負として、ワイヤロープ10の移動速度を取得可能であることが望ましい。
カウンタ5は、駆動装置28のドラムの回転速度を検出するエンコーダと演算装置6との組み合わせも例示される。このエンコーダもドラムの回転方向の一方を正とし、他方を負として回転速度を取得可能なものが望ましい。また、カウンタ5は、演算装置6が駆動装置28のドラムの回転速度を調節する場合、ワイヤロープ10の移動速度を取得するセンサを有さずに、演算装置6のプログラムとして構成されてもよい。
演算装置6は、公知の種々のコンピュータを用いることができる。演算装置6は、中央演算処理部(CPU)、主記憶部(メモリ)、補助記憶部(HDD)、入力部、出力部7を有する。演算装置6を構成するコンピュータは、パーソナルコンピュータや物理サーバーで構成される。また、そのコンピュータは、クラウドサーバーなどの仮想サーバーで構成することもできる。演算装置6の設置位置は特に限定されない。演算装置6はクレーン20に設置してもよいし、クレーン20から離間した位置に配置してもよい。断線検出装置2が取得した信号50と撮影装置3が取得した画像データ52とは、演算装置6の補助記憶部に記憶される。
演算装置6は、補助記憶部に記憶された複数の信号50と複数の画像データ52とを整理して、ワイヤロープ10の長手方向に複数の信号50が並んだ断線検出データ51と、ワイヤロープ10の長手方向に複数の画像データ52が並んだ外観画像データ53と、を作成するデータ処理を実行する。
図4に、断線検出データ51の一例として磁気検出装置を使用した場合の漏洩磁束検出データを示す。この断線検出データ51は、横軸がワイヤロープ10における長手方向の位置(0~n)を示し、縦軸が磁気検出装置(断線検出装置2)によって検出された漏洩磁束の磁束密度(信号50の強度)の大きさを示している。位置は、ワイヤロープ10の所定の箇所から等間隔に並んでおり、「0.2」刻みに番号(0~n)が付与されている。なお、図中では整数の番号のみを図示し、小数点を含む番号は省略している。この断線検出データ51では、検出箇所のワイヤロープ10の素線の断線数が多いほど漏洩磁束の磁束密度が相対的に大きい値を示す。つまり、断線検出データ51の磁束密度の大小に基づいて、ワイヤロープ10の長手方向のそれぞれの箇所での素線の断線数を点検できる。
図5に、外観画像データ53の一例を示す。外観画像データ53は、横軸がワイヤロープ10における長手方向の位置(0~m)を示し、縦に、撮影装置3の各々のカメラ3aが撮影した画像データ52が並んでいる。位置は、ワイヤロープ10の所定の箇所から等間隔に並んでおり、「1」刻みに番号(0~m)が付与されている。この外観画像データ53は、ワイヤロープ10の周面が映っている。つまり、外観画像データ53での周面の状態を確認することで、ワイヤロープ10の腐食や形崩れを点検できる。また、縦に並んだ画像データからワイヤロープ10の外径Rを確認できる。したがって、ワイヤロープ10の公称外径と確認した外径Rとを比較することでワイヤロープ10の摩耗を点検できる。
点検システム1は、演算装置6が出力部7に出力した断線検出データ51および外観画像データ53を含む点検データ54を作業者が確認する点検方法に用いることができる。また、点検システム1は、演算装置6が点検データ54に基づいたデータ処理を実行することによる点検方法にも用いることができる。まず、演算装置6が出力部7に出力した点検データ54を作業者が確認する点検方法の内容を以下に詳述する。
図6は、演算装置6が出力部7に出力した点検データ54を作業者が確認する点検方法の手順の一例を示す。この点検方法では、荷役中に一方(正方向)や他方(逆方向)にランダムに移動するワイヤロープ10の点検を行うことが可能である。この手順では、まず、断線検出装置2が信号50を取得する(S110)とともに撮影装置3が画像データ52を取得する(S120)。次いで、取得された各データが演算装置6の補助記憶部に記憶される(S130)。各ステップ(S110~S130)は、所定の時間tmが経過するまで繰り返し行われる。所定の時間tmが経過した後に、演算装置6の補助記憶部に記憶された所定のプログラムが演算装置6に各手順(S140)~(S160)を実行させる。最終的に、演算装置6の出力部7に点検データ54を出力し、作業者がその点検データ54を確認して、ワイヤロープ10の点検作業を行って(S170)終了する。以下に、各ステップ(S110~S170)の内容を詳述する。
信号50を取得するステップ(S110)では、断線検出装置2がカウンタ5により調節された検知周期で信号50を検出し、検出したその信号50を演算装置6に出力する。画像データ52を取得するステップ(S120)では、撮影装置3がカウンタ5により調節された撮影周期でワイヤロープ10の周面を撮影し、撮影した画像データ52を演算装置6に出力する。これらの各ステップは、並列で行われている。なお、前述したとおり、断線検出装置2の検出周期は撮影装置3の撮影周期よりも短く、信号50の検出数は、画像データ52の撮影数よりも多くなる。
信号50を記憶する、および、画像データ52を記憶するステップ(S130)では、演算装置6により信号50と画像データ52を整理して、補助記憶部に記憶するデータ処理が実行される。補助記憶部に記憶された信号50および画像データ52は、カウンタ5により特定されるワイヤロープ10の長手方向の位置ごと、かつ、時間ごとに格納されている。
図7は、補助記憶部に記憶された信号50の格納状態の一例を示す。図7に示す表の最左列はワイヤロープ10の長手方向の位置(1、2、・・・、n)を示している。表の最上段は時間(t1、t2、・・・、tm)を示している。表には、ワイヤロープ10の所定の位置で、所定の時間に検出された信号50が示されている。ワイヤロープ10の移動は、荷役の状況に応じて長手方向の一方あるいは他方にランダムに移動する。つまり、ワイヤロープ10の位置によっては、時間の経過に伴って何回も信号50が検出される位置もある。よって、ワイヤロープ10の各位置での最新の信号50は、最も遅い時間に検出された信号50(各段の最右方の信号50)になる。図7に示す表の空欄は、データが無い状態を示している。なお、補助記憶部に記憶された画像データ52の格納状態も信号50の格納状態と同様であるため、その説明は省略する。
所定の時間tmは、任意に設定できるが、所定の時間tmが短いほど、リアルタイムでの点検には有利になる。ただし、所定の時間tmが短い場合、ワイヤロープ10の損傷の進行が進まずに、点検の必要がない可能性もある。そこで、所定の時間tmは、クレーン20に対して定期的に行われる予防点検の期間に設定するとよい。所定の時間tmが予防点検の期間に設定されることで、予防点検に点検システム1が収集したデータを利用することができる。
各データを作成するステップ(S140)では、演算装置6により、所定の時間tmが経過するまで補助記憶部に記憶された多数の信号50に基づいて断線検出データ51を作成するデータ処理と、多数の画像データ52に基づいて外観画像データ53を作成するデータ処理とが実行される。断線検出データ51は、所定の時間tmが経過した時にワイヤロープ10の位置ごとの最新の信号50を集積させて作成される。作成された断線検出データ51は、多数の信号50がワイヤロープ10の長手方向に並んでいる。外観画像データ53も同様に、所定の時間tmが経過した時に位置ごとの最新の画像データ52を集積させて作成される。作成された外観画像データ53は、多数の画像データ52がワイヤロープ10の長手方向に並んでいる。
点検データ54を作成するステップ(S150)では、演算装置6により、位置を同期させた断線検出データ51および外観画像データ53を含む点検データ54を作成するデータ処理が実行される。各データの位置は、点検ユニット4における断線検出装置2と撮影装置3との位置ずれの補正などにより同期する。
図8は、点検データ54の一例を示す。点検データ54には、ワイヤロープ10の長手方向に連続した多数の信号50が並んだ断線検出データ51と、同様にワイヤロープ10の長手方向に連続した多数の画像データ52が並んだ外観画像データ53とが、互いの位置が同期して集積している。点検データ54での各信号50と各画像データ52は、最新のデータ(取得された時間が最も遅いデータ)になっている。つまり、点検データ54は、作成された時点でのワイヤロープ10の状態を示している。一例では、一枚の外観画像データ53に対して、点検データ54が五つの箇所での信号50を含む。つまり、断線検出装置2の検出周期は、撮影装置3の撮影周期の1/5の周期になっている。
点検データ54を出力するステップ(S160)では、演算装置6により、出力部7に作成した点検データ54を出力するデータ処理が実行される。出力部7がモニタの場合、点検データ54がモニタに表示される。出力部7がプリンタの場合、点検データ54が紙に印刷される。なお、点検データ54が出力される出力部7は、演算装置6の出力部7に限定されるものではない。出力部7がモニタの場合、ワイヤロープ10の点検作業を行う作業者が確認可能なモニタであればよく、作業者が使用するコンピュータのモニタでもよい。作業者が使用するコンピュータとしては、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレットパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、スマートフォン(モバイルフォン、セルフォン)、ウェアラブルデバイスなどが例示される。
ワイヤロープ10を点検するステップ(S170)では、作業者により、出力部7から出力された点検データ54が確認されて、ワイヤロープ10を点検する作業が行われる。作業者は、上述した複数の点検項目に従ってワイヤロープ10の点検作業を行う。作業者は、点検データ54の断線検出データ51を確認して、ワイヤロープ10の素線の断線を点検する。また、作業者は、点検データ54の外観画像データ53を確認して、ワイヤロープ10の摩耗、腐食、および、形崩れを点検する。合わせて、作業者は、断線検出データ51および外観画像データ53の両方を比較して、ワイヤロープ10の損傷が進行している部位を特定する。損傷が進行している部位は、点検項目の各廃棄基準には至っていないが、断線、摩耗、腐食、および、形崩れなどが複合的に生じるおそれがあり、将来的にワイヤロープ10が損傷する予兆が見受けられる部位である。
以上のように、本実施形態によれば、断線検出装置2が取得した多数の信号50が整理された断線検出データ51を用いてワイヤロープ10の素線の断線を点検し、撮影装置3が取得した多数の画像データ52が整理された外観画像データ53を用いて断線以外の摩耗、腐食、形崩れを点検できる。これにより、各データを確認するだけで複数の点検項目を網羅したワイヤロープ10の点検が可能となる。また、断線検出装置2や撮影装置3は、ワイヤロープ10を用いるクレーン20に設置可能であり、クレーン20からワイヤロープ10を取り外すことなく点検可能になり、クレーン20の稼働中にも各データを取得できる。それ故、ワイヤロープ10の点検にワイヤロープ10の取り外しや、クレーン20の休止が必須ではなくなる。このように、本実施形態は、断線検出装置2と撮影装置3とを併用することで、簡便に複数の点検項目を網羅する構成でありながら、ワイヤロープ10の点検の効率化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、断線検出装置2と撮影装置3とを併用することで得られた点検データ54により、断線、摩耗、腐食、および、形崩れが複合的に生じるおそれのある箇所や他の要因により主要因がより進行するおそれがある箇所(例えば、摩耗や腐食の進行により素線の断線数が増加するおそれがある箇所など)も特定することができる。つまり、複数の点検項目に設定されている各廃棄基準に至っていないが将来的に損傷する予兆が見受けられる箇所を特定することで、予知保全を実施することができる。この結果、より安全なクレーン20の運用が可能となる。合わせて、予知保全の実施により、荷役中の突発的なワイヤロープ10の破断を回避できるため、荷役作業が突然停止することによる荷役効率の低下を事前に防止することができる。
さらに、本実施形態によれば、断線検出データ51および外観画像データ53を含む点検データ54を作業者が確認することで、ワイヤロープ10の損傷状況をより把握し易くなるので、ワイヤロープ10の検査の効率化を図るにはより一層有利になる。また、本実施形態によれば、点検データ54を保存しておくことにより、ワイヤロープ10の点検作業の内容や履歴がデータ化されることになる。したがって、多数の点検データ54を蓄積することで、蓄積した多数の点検データ54を解析して、ワイヤロープ10の損傷のより詳細なメカニズムの解明や、最適な予防保全の実施に寄与する。
次に、演算装置6が点検データ54に基づいたデータ処理を実行することによる点検方法の内容について詳述する。
図9は、演算装置6が点検データ54に基づいたデータ処理を実行することによる点検方法の手順の一例を示す。この点検方法でも、図6に例示する点検方法と同様に荷役中に一方(正方向)や他方(逆方向)にランダムに移動するワイヤロープ10の点検を行うことが可能である。この手順では、まず、図6に例示した各ステップ(S110~S150)が行われる。点検データ54が作成された後に、演算装置6の補助記憶部に記憶された所定のプログラムが演算装置6に各手順(S210)~(S230)を実行させる。最終的に、演算装置6の出力部に点検結果を出力すると(S230)、終了する。以下に、各ステップ(S210~S230)の内容を詳述する。
ワイヤロープ10の状態を予測するステップ(S210)では、演算装置6により、作成した点検データ54に基づいて、ワイヤロープ10の状態を予測するデータ処理が実行される。具体的に、演算装置6は、点検データ54を解析してワイヤロープ10の状態を示す複数種類の数値を算出する。点検データ54の解析により得られる複数種類の数値は、素線の断線数の素線の総数に対する割合、ワイヤロープ10の外径の減少率などが例示される。また、演算装置6は、学習データを用いて機械学習により構築した分類モデルと、点検データ54とに基づいて、ワイヤロープ10の状態を予測する。分類モデルにより分類される状態としては、表面の腐食の有無、素線の緩みの有無、曲がりの有無、キンクの有無などが例示される。
学習データは、予め取得しておいた多数の点検データ54を用いることができる。この多数の点検データ54は、前述した作業者による点検方法で、点検結果によりワイヤロープ10の交換が判断されたときのデータである。また、学習データは、クレーン20の製造者、管理者、点検者などの従事者が従来から蓄積している多量のデータを用いることもできる。クレーン20の従事者であれば、交換が必要なワイヤロープ10の状態を示す画像や断線検出装置2を用いて収集したデータなどの多量のデータを蓄積している。
機械学習を用いて分類モデルを構築する手法は、公知の種々の機械学習を用いた構築手法が例示される。なお、機械学習を用いて、ワイヤロープ10の素線の断線数や外径などのワイヤロープ10の状態を示す複数種類の数値を予測する回帰分析モデルを構築することもできる。
ワイヤロープ10を検査するステップ(S220)では、演算装置6により、予測したワイヤロープ10の状態と複数の点検項目の各廃棄基準とを比較して、ワイヤロープ10を検査するデータ処理が実行される。このステップでは、複数の点検項目の各廃棄基準をベースとして設定した交換基準を用いてもよい。交換基準は、複数の点検項目の各廃棄基準よりも厳しい数値設定にするとよい。例えば、摩耗の点検項目の交換基準は、ワイヤロープ10の直径Rの公称径に対する減少率の閾値の条件を廃棄基準の7%よりも小さい数値(例えば、5%など)にする。つまり、交換基準は、ワイヤロープ10の状態が複数の点検項目の各廃棄基準に達するよりも前に、ワイヤロープ10の交換を判断可能な数値に設定される。このような交換基準を用いることで、ワイヤロープ10の損傷の予兆を把握することができる。その結果、予知保全を実施可能になる。
検査結果を出力するステップ(S230)では、演算装置6により、出力部7に検査結果を出力するデータ処理が実行される。上記の(S160)のステップと同様に、このステップで検査結果が出力される出力部7は、演算装置6の出力部7に限定されるものではない。なお、出力部7から検査結果に応じた警告を発してもよい。
検査結果は、ワイヤロープ10の状態が複数の点検項目の各廃棄基準や交換基準を満たしているか否かや、ワイヤロープ10の交換の有無が例示される。また、検査結果は、それぞれの点検項目の検査結果を総合的に評価したワイヤロープ10の損傷度も例示される。損傷度は、ワイヤロープ10の損傷の度合いを示しており、損傷度の高低がワイヤロープ10の交換の判断に影響を及ぼす。損傷度が高い場合、近い将来、ワイヤロープ10が破断する可能性が高く、損傷度が低い場合、ワイヤロープ10が破断する可能性が低く、安全に使用可能な状態である。
損傷度を算出する上でのそれぞれの点検項目の重み付けは適宜設定できる。例えば、各点検項目の重み付けを均等に設定してもよいし、各点検項目の重み付けを異ならせてもよい。損傷度の基準のレベルは任意に設定可能であるが、そのレベルとして、次回の点検データ54が作成されるまで、つまり、所定の時間tmが経過するまでの間に、複数の点検項目の各廃棄基準や交換基準のいずれの基準も満たさないと予測されるレベルが例示される。例えば、ワイヤロープ10の外径の減少率と、廃棄基準に示される減少率との差分が所定の範囲外であれば、所定の時間tmが経過するまでの間にいずれの基準も満たさないと予測できる。
図10は、出力部7としてモニタを用いてそのモニタに出力された検査結果の一例を示している。検査結果は、点検データ54に、ワイヤロープ10の損傷度を示す損傷度データ55と、ワイヤロープ10の交換を指示する指示データ56とが追加されている。損傷度データ55は、断線検出データ51や外観画像データ53と同様に、ワイヤロープ10の長手方向の位置ごとの損傷度を示しており、それらのデータと位置が同期している。損傷度データ55の横軸の位置は、断線検出データ51と同様に、ワイヤロープ10の所定の箇所から等間隔に並んでおり、「0.2」刻みに番号が付与されている。なお、図中では整数の番号のみを図示し、小数点を含む番号は省略している。検査結果の一例では、外観画像データ53と、断線検出データ51と、損傷度データ55とが縦に並んで表示されているが、各データレイアウトは特に限定されるものではない。ただし、各データの位置が同期することで、各データを比較することが可能となる。検査結果は、いずれかの点検項目の廃棄基準や交換基準を満たしたワイヤロープ10の箇所が優先的に表示されてもよい。
次に、図6、図9に例示する点検方法を実施した結果を多数、集積したデータに基づいて、ワイヤロープ10の交換時期を予測する方法について説明する。
図11は、二種類のワイヤロープ10A、10Bの交換時期(交換した時期)の度数(頻度)を示した度数分布である。図11では、二種類のワイヤロープ10A、10Bが、吊具用のワイヤロープ10aとして使用されるものであり、それぞれの構造が異なっている場合を例示している。図11では、二種類のワイヤロープ10A、10Bの交換時期の度数分布を比較する場合を例示しているが、三種類以上のワイヤロープ10の交換時期の度数分布を比較することもできる。比較するワイヤロープ10の組み合わせは特に限定されない。それぞれ構造(具体的には、例えば、よりの種類やよりの組み合わせ、素線の材質や寸法等)が異なるワイヤロープ10どうしを比較することもできるし、構造が同じワイヤロープ10どうしを比較することもできる。また、製造したメーカーが同じワイヤロープ10どうしを比較することもできるし、製造したメーカーが異なるワイヤロープ10どうしを比較することもできる。
この実施形態では、吊具用のワイヤロープ10aの交換時期の指標として、クレーン20が荷役した荷の個数である荷役数を用いている。交換時期の指標として荷役数を用いることで、クレーン20に使用されるワイヤロープ10A、10Bの交換時期をクレーン20の荷役作業ベースで確認することが可能となる。
二種類のワイヤロープ10A、10Bのそれぞれの交換予測時期TA、TBは、それぞれの交換時期の代表値(平均値、中央値、最頻値)を用いることができる。図中では、交換予測時期TAが交換予測時期TBよりも早くなっている。このように、図6、図9に例示する点検方法を実施した結果を多数、集積することで、ワイヤロープ10ごとの異なりに応じた適切な交換予測時期を予測することが可能となる。
なお、吊具用のワイヤロープ10aの交換時期の指標としては荷役数を用いたが、交換時期の指標はワイヤロープ10の用途ごとに異なる。例えば、起伏用のワイヤロープ10bの交換時期を予測する場合には、交換時期の指標として、ブーム23の起伏動作によってワイヤロープ10bに負荷が作用した回数である負荷回数を用いる。また、トロリ25がロープトロリ式の場合、トロリ25の横行に用いるワイヤロープ10の交換時期を予測する場合にも、起伏用のワイヤロープ10bと同様に負荷回数を用いる。
以上のように本実施形態によれば、演算装置6により、断線検出データ51と外観画像データ53とに基づいて、複数の点検項目に従ったワイヤロープ10の検査を行うことで、ワイヤロープ10の交換の要否をより客観的に精度よく判定することが可能になる。従来では、作業者ごとに異なる経験則に基づいた判定により不要なワイヤロープ10の交換があった。本実施形態によれば、演算装置6によるワイヤロープ10の検査により、安全を考慮した上で、不要なワイヤロープ10の交換が減り、クレーン20の維持管理に要するコストを大幅に低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明のワイヤロープの点検方法および点検システム並びにクレーンは特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
点検システム1はクレーン20に限らず、エレベータなどのワイヤロープ10を備える様々な設備に採用できる。点検システム1は、設備に備え付けられたワイヤロープ10の点検に限らず、例えば、設備から取外した状態のワイヤロープ10の点検にも使用することもできる。
撮影装置3は、カウンタ5が設定した撮影周期ごとにワイヤロープ10の周面が映る動画データを取得してもよい。ただし、動画データのデータ容量は、画像データ52のデータ容量よりも多くなり、演算装置6の補助記憶部の記憶領域の占有率が大きくなるため、撮影装置3は、画像データ52を取得する装置が好ましい。
点検ユニット4が近傍に設置されるクレーン20のシーブ29は、任意に選択できるが、点検ユニット4が、図示しないトロリ25に設置されたシーブや吊具26に設置されたシーブの近傍にも設置されることが望ましい。つまり、クレーン20は、多数の点検ユニット4を備え、ワイヤロープ10が掛け回されるシーブごとに点検ユニット4が配置されることが望ましい。これにより、点検データ54では、駆動装置28の周辺を除いたワイヤロープ10の略全域に亘る断線検出データ51と外観画像データ53が確認することが可能になる。
断線検出装置2として、レーザー検出装置を使用する場合には、ワイヤロープ10の周面に対してエアーを噴射して、ワイヤロープ10の周面に付着している不要な潤滑剤(グリース)の固まりや付着物を取り除くエアー噴射器をレーザー検出装置の近傍に設置するとよい。エアー噴射器を設けることで、レーザー検出装置によるワイヤロープ10の素線の断線の検出精度を高めるには有利になる。
図6、図9に示した点検方法の手順の一例では、所定の時間tmを予防点検の期間に設定したが、所定の時間tmを撮影装置3の撮影周期に設定してもよい。所定の時間tmを撮影装置3の撮影周期に設定することで、ワイヤロープ10のリアルタイムの点検データ54を出力することが可能になる。ワイヤロープのリアルタイムでの点検では、演算装置6により同一箇所での過去の点検データ54との比較するデータ処理を実行し、比較により得られた相違点を出力部7に出力するとよい。相違点としては、素線の断線数の素線の総数に対する割合やワイヤロープ10の外径の減少率の変化が例示される。また、相違点としては、表面の腐食、素線の緩み、曲がり、キンクの有無が例示される。過去の点検データ54としては、ワイヤロープ10を交換直後に得られたデータが好ましい。また、過去の点検データ54としては、ワイヤロープ10の交換直後に得られたデータから今回のリアルタイムの点検により得られたデータまでの間に実施されたリアルタイムの点検により得られた複数のデータを用いてもよい。複数のデータを用いることで、ワイヤロープ10の損傷の進行を把握することができる。
1 点検システム
2 断線検出装置
3 撮影装置
3a カメラ
4 点検ユニット
5 カウンタ
6 演算装置
7 出力部
10 ワイヤロープ
10a (吊具用の)ワイヤロープ
10b (起伏用の)ワイヤロープ
20 クレーン
21 脚構造体
22 ガーダ
23 ブーム
24 ヒンジ部
25 トロリ
26 吊具
27 上部構造体
28 駆動装置
29 シーブ
50 (素線の断線を示す)信号
51 断線検出データ
52 画像データ
53 外観画像データ
54 点検データ
55 損傷度データ
56 指示データ

Claims (8)

  1. 多数の素線を有するワイヤロープに対して予め定められた複数の点検項目に基づく点検を行うワイヤロープの点検方法において、
    断線検出装置により前記素線の断線が検出されたことを示す信号を取得し、
    撮影装置により前記ワイヤロープの周面を撮影して、その周面が映る画像データを取得し、
    前記断線検出装置によって取得された複数の前記信号と前記撮影装置によって取得された複数の前記画像データとを演算装置によりデータ処理することにより、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記信号が並んだ断線検出データと、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記画像データが並んだ外観画像データとを作成することを特徴とするワイヤロープの点検方法。
  2. 多数の素線を有するワイヤロープに対して予め定められた複数の点検項目に基づく点検に用いられるワイヤロープの点検システムにおいて、
    前記素線の断線が検出されたことを示す信号を取得する断線検出装置と、
    前記ワイヤロープの周面を撮影して、その周面が映る画像データを取得する撮影装置と、
    前記断線検出装置によって取得された前記信号と、前記撮影装置によって取得された前記画像データとが記憶される演算装置とを備え、
    前記演算装置は、複数の前記信号および複数の前記画像データを整理して、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記信号が並んだ断線検出データと、前記ワイヤロープの長手方向に複数の前記画像データが並んだ外観画像データとを作成するデータ処理を実行することを特徴とするワイヤロープの点検システム。
  3. 前記断線検出装置の前記信号の検出周期と、前記撮影装置の前記画像データの撮影周期とを、前記ワイヤロープの移動速度に基づいて設定するカウンタを備える請求項2に記載のワイヤロープの点検システム。
  4. 前記カウンタは、前記信号の検知箇所と前記画像データの撮影箇所とを前記ワイヤロープの移動速度に基づいて特定し、
    前記演算装置は、前記カウンタが特定した前記検知箇所および前記撮影箇所に基づいて、位置を同期させた前記断線検出データおよび前記外観画像データを含む点検データを作成し、作成したその点検データを出力部に出力するデータ処理を実行する請求項3に記載のワイヤロープの点検システム。
  5. 前記演算装置は、作成した前記断線検出データと前記外観画像データと前記複数の点検項目とに基づいて、前記ワイヤロープを検査するデータ処理を実行する請求項4に記載のワイヤロープの点検システム。
  6. 前記演算装置は、前記点検データを用いて実施された前記ワイヤロープに対する点検の結果を多数、集積したデータに基づいて、前記ワイヤロープの交換時期を予測するデータ処理を実行する請求項4に記載のワイヤロープの点検システム。
  7. 請求項2に記載のワイヤロープの点検システムの前記断線検出装置と前記撮影装置とを備えたことを特徴とするクレーン。
  8. 前記断線検出装置と前記撮影装置とを組み合わせた点検ユニットが、前記ワイヤロープが掛け回されるシーブの近傍に配置された請求項7に記載のクレーン。
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