以下、本発明の実施の形態を、作業車両としての農作業用トラクタに適用した場合の図面について説明する。図1はトラクタの側面図、図2は同走行機体の平面図、図3は同走行機体の後半部の拡大平面図、図4は同走行機体のステップフレームの周辺部の拡大平面図、図5はオペレータが操作するペダル等の斜視図、図6はミッションケース及びミッション前面ケースの断面側面図、図7はミッション前面ケースの前面説明図、図8は油圧回路図である。
図1乃至図2に示されるように、トラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持し、前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて前記両後車輪4及び両前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。走行機体2は、前バンパ6及び前車軸ケース7を有するエンジンフレーム8と、エンジン5から出力された動力を継断するためのメインクラッチ9を有するクラッチハウジング10と、エンジン5の回転を適宜変速して前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達するためのミッションケース11と、クラッチハウジング10にミッションケース11を連結するためのミッション前面ケース12と、クラッチハウジング10の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される左右一対のステップフレーム13とからなる。
なお、エンジンフレーム8の後端側がエンジン5の左右外側面に連結されている。エンジン5の後面側にはクラッチハウジング10の前面側が連結されている。クラッチハウジング10の後面側には、ミッション前面ケース12を介してミッションケース11の前面側が連結されている。
エンジン5はボンネット14にて覆われる。また、クラッチハウジング10の上面には、操縦コラム15が立設されている。前記両前車輪3を左右に動かすことによってかじ取りするようにした操縦ハンドル16が操縦コラム15の上面側に配置されている。ミッションケース11の上面には、操縦座席17が配置されている。左右一対のステップフレーム13の上面には、平坦な床板18がそれぞれ設けられている。両前車輪3は、前車軸ケース7を介してエンジンフレーム8に取付けられている。また、両後車輪4は、図3にも示す如く、前記ミッションケース11に対して、当該ミッションケース11の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される後車軸ケース11aを介して取付けられている。なお、両後車輪4の上面側は、左右のリヤフェンダ4aにて覆われている。
前記ミッションケース11の上面には、前記走行機体2の後部に連結される耕うん機等の作業機19を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取付けられている。さらに、前記ミッションケース11の後側面には、作業機19に駆動力を伝えるためのPTO軸21が後向きに突出するように設けられている。作業機19は、ミッションケース11の後部に、一対の左右のロワーリンク22及び1本のトップリンク23からなる3点リンク機構24を介して連結されている。作業機用昇降機構20の左右のリフトアーム20aがリフトリンク20bを介して左右のロワーリンク22に連結され、作業機用昇降機構20を作動させた場合、作業機19が昇降動することになる。
ミッション前面ケース12の前側面には、後述する静油圧式無段変速機(HST)25が配置されている。静油圧式無段変速機25は、クラッチハウジング10の後部に内設されている。メインクラッチ9から後ろ向きに突出する主動軸26を介して、前記エンジン5の回転を無段変速機25に伝達し、次いで、無段変速機25からの出力を後述する副変速ギヤ機構59にて適宜変速して、前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達することになる。一方、主動軸26からの前記エンジン5の回転は、PTO伝動軸62a及びPTOクラッチ62bを介して後述するPTO出力用減速ギヤ機構62に伝達され、そのPTO出力用減速ギヤ機構62にて適宜減速されて、PTO軸21に伝達されることになる。
次に、図4及び図5を参照して、操縦座席17のオペレータが操作する操縦部の構造を説明する。操縦座席17の前方の床板18から上方に突出する操縦コラム15より左方には、メインクラッチ9を切断作動するためのクラッチペダル31が配置されている。クラッチペダル31には、メインクラッチ9を切断させるクラッチ切り機構39と、クラッチペダル31を初期位置に維持するクラッチ入りバネ40とが連結されて、クラッチ入りバネ40によってクラッチペダル31が初期位置に維持されることになる。また、クラッチハウジング10にはクラッチ操作軸302が回動可能に軸支され、クラッチハウジング10内のクラッチ切り機構39のレリーズフォーク等がクラッチ操作軸302に配置されている。また、後述するブレーキ操作軸262にクラッチペダル31のペダルアーム31a基端のボス部31bを回動可能に被嵌し、クラッチ操作軸302にクラッチ操作リンク機構303を介してクラッチペダル31を連結している(図5参照)。クラッチペダル31の踏込み操作によってメインクラッチ9を切り作動させることになる。なお、クラッチ操作リンク機構303は、ボス部31bに固設した第1クラッチリンク305と、クラッチ操作軸302に固設した第2クラッチリンク304と、各リンク304,305に連結したクラッチロッド306とからなる。
一方、操縦コラム15より右方には、左右の後車輪制動用ブレーキ機構32を作動させる単一のブレーキペダル33と、駐車ブレーキレバー34とが配置されている。ブレーキペダル33には、左右のブレーキロッド32aを介して左右の後車輪制動用ブレーキ機構32が連結されて、ブレーキペダル33の操作によってブレーキ機構32が作動し、左右の後車輪4が制動されることになる。また、駐車ブレーキレバー34の操作によってブレーキペダル33が踏込み位置に維持され、オペレータがブレーキペダル33から足を離しても、後車輪4の制動が継続されることになる。なお、クラッチハウジング10の底部には、ブレーキ操作軸受部261が鋳造加工にて一体的に形成されている。ブレーキ操作軸受部261には、ブレーキ操作軸262が回動自在に軸支されている(図6参照)。ブレーキペダル33にブレーキ操作軸262を介して左右のブレーキロッド32aを連結している(図5参照)。
また、操縦コラム15より右方には、無段変速機25の変速操作用トラニオンアーム35を作動させる前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36を踏込み操作位置に維持するクルーズレバー38とが配置されている。前進ペダル36及び後進ペダル37には、変速リンク機構300を介してトラニオンアーム35が連結され、前進ペダル36または後進ペダル37の足踏み操作によって無段変速機25が前進側の変速動作または後進側の変速動作を行うことになる。
図6及び図7を参照して、クラッチハウジング10、ミッション前面ケース12、ミッションケース11の構造を説明する。クラッチハウジング10の内部は、前後に分割するようにハウジング内壁50にて仕切られて、クラッチハウジング10の内部にハウジング前室51及びハウジング後室52が形成されている。ミッション前面ケース12の内部は、前後に分割するように前面壁53にて仕切られて、ミッション前面ケース12の内部に前面ケース前室54及び前面ケース後室55が形成されている。ミッションケース11の内部は、前後に分割するようにミッション内壁56にて仕切られて、ミッションケース11の内部にミッション前室57及びミッション後室58が形成されている。
ハウジング後室52と前面ケース前室54とによって形成された閉鎖空間には、前面壁53の前側に配置された無段変速機25が内設されている。前面ケース後室55とミッション前室57とによって形成された閉鎖空間には、副変速ギヤ機構59及び前車輪駆動機構60が内設されている。ミッション後室58の内部には、後車輪用差動ギヤ機構61及びPTO出力用減速ギヤ機構62が内設されている。
次に、無段変速機25の主変速構造について説明する。無段変速機25は、変速用油圧ポンプ63と、この油圧ポンプ63にて作動する変速用油圧モータ64とからなる(図7参照)。ハウジング前室51には、ハウジング内壁50の貫通穴50aを介して無段変速機25の変速入力軸65の前端側が突出されている。その変速入力軸65の前端側には、カップリング66を介して主動軸26の後端側が連結されている。前面ケース後室55の内部には、無段変速機25の主変速出力軸67が突出されている。その主変速出力軸67には、主変速出力ギヤ68が被嵌されている。副変速ギヤ機構59のカウンタ軸69にはカウンタ入力ギヤ70が被嵌されている。主変速出力ギヤ68にはカウンタ入力ギヤ70が歯合されている。主変速出力軸67からの無段変速出力は、主変速出力ギヤ68及びカウンタ入力ギヤ70を介して、カウンタ軸69に伝えられることになる。
次に、副変速ギヤ機構59について説明する。カウンタ軸69には、副変速用1速(低速)カウンタギヤ71と、副変速用2速(中速)カウンタギヤ72とが一体的に形成されている。また、カウンタ軸69には、副変速用3速(高速)カウンタギヤ73が被嵌されている。また、1速カウンタギヤ71に噛合させる副変速用1速出力ギヤ74と、2速カウンタギヤ72に噛合させる副変速用2速出力ギヤ75と、3速カウンタギヤ73に噛合させる副変速用3速出力ギヤ76とが備えられている。副変速ギヤ機構59の副変速出力軸77には、1速出力ギヤ74及び3速出力ギヤ76が回転自在に被嵌されている。副変速出力軸77には、この軸線方向にスライド可能で一体的に回転する副変速スライダ78が被嵌されている。2速出力ギヤ75が副変速スライダ78に一体的に形成されている。
したがって、副変速スライダ78を副変速シフタ79の操作によって移動させることにより、2速出力ギヤ75が2速カウンタギヤ72に噛合されることになる。一方、1速出力ギヤ74または3速出力ギヤ76には、1速用クラッチ爪80または3速用クラッチ爪81を介して副変速スライダ78が選択的に連結される。即ち、副変速出力軸77の回転は、1速出力ギヤ74及び2速出力ギヤ75及び3速出力ギヤ76のいずれか一方を介して3段階に変速されることになる。
一方、副変速出力軸77の後端側は、ミッション後室58に突出されている。また、副変速出力軸77の後端側には、後車輪用差動ギヤ機構61に回転力を伝えるためのピニオンギヤ82が一体的に形成されている。副変速出力軸77からの動力は、ピニオンギヤ82及び差動ギヤ機構61を介して左右の後車輪4に伝えられることになる。
次に、前車輪駆動機構60について説明する。副変速出力軸77の前端側には、前車輪駆動ギヤ83,84を介して前車輪駆動機構60の前車輪用出力軸85が連結されている。前面ケース後室55に突出した前車輪用出力軸85の後端側には、回転自在に被嵌させる前車輪駆動ギヤ84と、該前車輪駆動ギヤ84を前車輪用出力軸85に係脱可能に係止するための前車輪用出力クラッチ86とが配置されている。また、前車輪用出力軸85の中間部は、玉軸受を介して前面壁53に支持されている。前車輪用出力軸85の前端側は、前面ケース前室54の内部に突出されている。
また、前車輪用出力軸85の前端側には、自在軸継ぎ手250を介して前車輪用伝動軸88の後端側が連結されている。前車輪用伝動軸88の前端側が走行機体2の前側に向けて延長されて、前車輪用伝動軸88の前端側から前車軸ケース7を介して前車輪3に駆動力が伝えられることになる。前車輪用伝動軸88には、合成樹脂パイプ製のシャフトカバー89が被嵌され、前車輪用伝動軸88がシャフトカバー89にて保護されることになる。
図7に示されるように、無段変速機25と変速リンク機構300との間に前車輪用駆動取出し軸85を配置している。即ち、油圧式無段変速機25は、正面視で走行機体2の右側方に向けて傾斜させてミッション前面ケース12に固設しているから、油圧式無段変速機25の右側面と変速リンク機構300との間のミッション前面ケース12に、前車輪用駆動取出し軸85を設置するためのスペースを簡単に確保できる。
また、進行方向に向かって走行機体2の右側に配置された変速リンク機構300と、油圧式無段変速機25の右側に配置したトラニオンアーム35の下端側とを、互いに接近させて、クラッチハウジング10の右側壁を挟んで対向させて配設できる。且つ、油圧式無段変速機25の右側面とトラニオンアーム35の上端側とを互いに接近でき、油圧式無段変速機25にトラニオンアーム35を支持するためのトラニオン軸301を短尺に形成できることになる。なお、トラニオン軸301は切削加工によって六角柱形の棒状体の母材から形成し、クラッチハウジング10の外側から油圧式無段変速機25のケースに組付け、四角柱形に形成したトラニオン軸301の先端側にトラニオンアーム35を着脱可能に固設している。
図8は本実施形態のトラクタ1の油圧回路200を示し、エンジン5の回転力により作動する作業機用油圧ポンプ94及びチャージ用油圧ポンプ95を備える。チャージ用油圧ポンプ95は、パワーステアリング用の操向制御弁201を介して操縦ハンドル16によるパワーステアリング用の複動式の操向油圧シリンダ202に接続する。また、作業機用油圧ポンプ94は、作業機用昇降機構20における単動式の昇降油圧シリンダ203に作動油を供給するための昇降用油圧切換弁204に接続している。
したがって、オペレータがポジションレバー205を操作して、昇降用油圧切換弁204を切換えて、昇降油圧シリンダ203を作動させ、リフトアーム20aを回動させることにより、ロワーリンク22を介して作業機19が上昇または下降されることになる。
図8に示すように、上述した油圧無段変速機25の可変容量形の変速用油圧ポンプ63と、この油圧ポンプ63から吐出される高圧の作動油にて作動する定容量形の変速用油圧モータ64とは、閉ループ油路207を介してそれらの吸入側及び吐出側が接続されている。変速入力軸65を介して駆動される変速用油圧ポンプ63の斜板208を角度調節することにより、変速用油圧モータ64を介して駆動される主変速出力軸67の回転数が変更されることになる。なお、上述した油圧回路200には、図8に示すように、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等を備えている。
次に、図9乃至図15を参照して、前進ペダル36及び後進ペダル37の取付け構造について説明する。図9及び図13に示されるように、上述したクラッチハウジング10の進行方向に向かって右側の側面に、複数本のボルト311によってベースフレーム310を着脱可能に締結する。ベースフレーム310には、前後の横側板312,313を介して縦側板314を熔接にて一体的に固設する。即ち、前進ペダル36及び後進ペダル37を組付けるための平面視で矩形状のペダルユニット枠309は、ベースフレーム310と、前後の横側板312,313と、縦側板314とから形成されている。なお、ペダルユニット枠309は、進行方向(前進)に向かって右側のステップフレーム13の下方のクラッチハウジング10の右側面に配置されている。
図12及び図13に示されるように、ベースフレーム310と、縦側板314とは、走行機体2の前後方向(進行方向)に略平行に、クラッチハウジング10の右側面に沿わせて延設する。ベースフレーム310及び縦側板314に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を回動可能に軸支し、前後の横側板312,313の間に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を配置する。縦側板314の外側方に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316の一端側を突出している。縦側板314の外側方の前進ペダル軸315の一端側に、前進ペダル36のペダルアーム317基端側のボス部318を被嵌する。また、縦側板314の外側方の後進ペダル軸316の一端側に、後進ペダル37のペダルアーム319基端側のボス部320を被嵌する。
したがって、前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316の軸芯線回りに回動可能に前進ペダル36及び後進ペダル37が配置される。前進ペダル36のペダルアーム317、及び後進ペダル37のペダルアーム319は、前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316から斜め前方上方に向けて突設され、前進ペダル36の斜め後側方に後進ペダル37が配置されている。前進ペダル36及び後進ペダル37は、両者ともに、斜め前方下方に向けて略同一方向に足踏み操作されることになる。なお、上述したクラッチペダル31、ブレーキペダル33、前進ペダル36、及び後進ペダル37の各足踏み操作方向(斜め前方下方)が略一致することになる。
図12及び図14に示されるように、前進ペダル軸315のボス部318及び後進ペダル軸316のボス部320にストップアーム321,322を固設する。縦側板314の外側面には、各ストップアーム321,322を当接させるためのボルト形の前進ストッパ323及び後進ストッパ324をそれぞれ配置する。縦側板314に熔接にて固設されたストッパ受ブラケット325に、前進ストッパ323及び後進ストッパ324を位置調節可能にそれぞれ螺着している。したがって、ストップアーム321,322が前進ストッパ323及び後進ストッパ324に当接して、前進ペダル36及び後進ペダル37の増速方向の踏込み操作が規制され、前進側及び後進側の最大速度が前進ストッパ323及び後進ストッパ324によって設定されることになる。
図11及び図14に示されるように、前進ペダル軸315に押圧アーム326の基端部を固設し、該押圧アーム326の先端部にローラ軸327を介して当接ローラ328を回転自在に軸支する。また、後進ペダル軸316に揺動アーム329の基端部を固設する。揺動アーム329には、受圧片330と係止片331とが一体的に形成されている。当接ローラ328に受圧片330を当接し、ローラ軸327と係止片331とに引張バネ332を連結している。したがって、引張バネ332のバネ力によって当接ローラ328と受圧片330とが常に当接することになる。
また、図11及び図14に示されるように、後進ペダル軸316に変速アーム333の基端部を固設し、変速アーム333の先端部に、連結ピン334及び継ぎブラケット335を介して、伸縮調節可能な変速ロッド336の一端側のを連結する。上述したトラニオンアーム35に、連結軸337を介して変速ロッド336の他端側を連結している。
さらに、クラッチハウジング10にバネホルダ338を介して挟みバネ形の中立保持バネ339を配置する。クラッチハウジング10に中立調整体340を介して係止軸341を固設する。連結軸337と係止軸341とに中立保持バネ339の両端を係止する。中立調整体340は、中立調整用の1本の支点ボルト342と2本の中立調整ボルト343によってクラッチハウジング10に固設する。中立調整体340の長孔形の中立調整孔344に中立調整ボルト343を貫通させる。中立調整体340に変速規制孔345を形成し、長孔形の変速規制孔345に連結軸337を貫通している。
図11に示されるように、変速規制孔345は、トラニオン軸301を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、連結軸337が変速規制孔345内を移動する無段変速範囲で、トラニオン軸301を中心に、トラニオンアーム35を前進側または後進側に回動することになる。
一方、中立調整体340の中立調整孔344は、支点ボルト342を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、中立調整ボルト343を弛めて、支点ボルト342を中心に中立調整体340を回動し、係止軸341を移動して中立(出力零)位置を調整し、且つ変速規制孔345を移動して連結軸337の無段変速範囲を調整することになる。
図12及び図14に示されるように、前進ペダル軸315に踏力調整リンク346の基端部を固設する。踏力調整リンク346に形成した複数の踏力調整孔347のいずれか1つに、踏力調整ピン348を介して、踏力フレーム349の一端側を連結する。また、上述したペダル操作軸262上の回動自在な筒軸体350に、連結リンク351の基端部及び踏力リンク352の基端部を固設する。踏力フレーム349の他端側に連結ピン353を介して連結リンク351の先端部を連結する。踏力リンク352の先端部に支持ピン354を介して踏力ダンパ355を連結する。なお、踏力ダンパ355は、クラッチハウジング10の外側方にダンパ取付軸356を介して組み付けている(図5参照)。
次に、前進ペダル36及び後進ペダル37の操作によって実行される無段変速機25の変速操作を説明する。先ず、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル軸315回りに押圧アーム326が回動して、当接ローラ328によって揺動アーム329を後進ペダル軸316回りに回動させる。揺動アーム329の回動によって後進ペダル軸316上の変速アーム333が回動されて、変速アーム333によって変速ロッド336が押され、中立保持バネ339力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸301が前進方向(図11において時計方向)に回動し、無段変速機25を前進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を前進側に駆動し、走行機体2を前進方向に移動させる。
したがって、前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル36の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム321が前進ストッパ323に当接するまで、または連結軸337が変速規制孔345の一端側に当接するまで、前進ペダル36を踏込んで前進側に増速できる。また、前進ペダル36を踏込んで、揺動アーム329を回動させることによって、踏込み操作方向と逆の方向に後進ペダル37が後進ペダル軸316回りに回動される。
一方、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で後進ペダル37を踏込んだ場合、後進ペダル軸316回りに変速アーム333が回動されて、変速アーム333によって変速ロッド336が引かれ、中立保持バネ339力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸301が後進方向(図11において反時計方向)に回動し、上述した無段変速機25を後進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を後進側に駆動し、走行機体2を後進方向に移動させる。
したがって、後進ペダル37を踏込んだ場合、後進ペダル37の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム322が後進ストッパ324に当接するまで、または連結軸337が変速規制孔345の他端側に当接するまで、後進ペダル37を踏込んで後進側に増速できる。また、後進ペダル37を踏込むことによって、揺動アーム329の回動によって当接ローラ328を介して押圧アーム326が回動して、踏込み操作方向と逆の方向に前進ペダル36が前進ペダル軸315回りに回動される。
なお、前進ペダル36または後進ペダル37から足を離した場合、前進ペダル36及び後進ペダル37は、中立保持バネ339力によって、踏力ダンパ355の規制によって緩やかに中立位置(出力零位置)に戻り、無段変速機25の変速出力が略零に維持される。
次に、図9、図11、図14及び図15を参照して、上述した前進ペダル36を所定の踏込み位置に保持して走行機体2の車速を一定に保持するための車速維持機構(オートクルーズ機構)について説明する。車速維持機構361は、係脱可能に係合させる複数の係止爪362と1つの係止体363とを有する。係止体363と、係止爪362とは、接離可能に対向させて配置される。
図9に示されるように、進行(前進)方向に向かって走行機体2の右側にクラッチハウジング10からクラッチ操作軸302の一端側を突出させ、そのクラッチ操作軸302の突出端部に側面視L形の係止リンク364の中間を回動可能に軸支し、手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止リンク364の一端側を連結し、係止リンク364の他端側に突起形の係止体363を一体的に形成する。
図11に示されるように、前進ペダル軸315に側面視弓形の係止アーム365の一端側を連結し、係止アーム365の他端側の外周縁に複数の係止爪362を連続的に形成する。中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪362に係止体363が係合または離脱する方向を略直交させる。係止アーム365が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪362と係止体363との係合面を略直交させている。そのため、前進ペダル36をさらに増速方向に踏込んだ場合、係止体363に係合している係止爪362に隣接した増速側の係止爪362によって、係止体363が離脱方向に移動させられて、係止爪362と係止体363との係合が解除されるように構成している。
即ち、中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する回転モーメントが、係止爪362に係止体363を係合させる力として作用するように、係止爪362及び係止体363の形状を形成する。係止爪362に係止体363を係合させる係止アーム365の回動力(中立保持バネ339力)が、操縦コラム15の切り位置にクルーズレバー38を保持するための切り保持バネ366の力(係止爪362から係止体363を離脱させる力)より数倍大きくなるように、またはオペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を移動させる操作力より数倍大きくなるように、中立保持バネ339によって係止アーム365が初期位置に復帰するように構成している。
したがって、切り保持バネ366によってクルーズレバー38を切り位置に戻す力では、係止爪362から係止体363が離脱しない。また、オペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を戻す押し操作力では、係止爪362から係止体363が離脱しない。中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する回転モーメントが、係止爪362及び係止体363に係合力として作用し、前進ペダル36を踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネとしての中立保持バネ339力によって、係止爪362及び係止体363の係合を維持可能に構成している。
次に、図10及び図15等を参照して、上述した車速維持機構(オートクルーズ機構)361の車速保持動作(オートクルーズ動作)を説明する。オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた状態で、オペレータによってクルーズレバー38が切り保持バネ366に抗して引き上げられた場合、図15に示すように、係止リンク364が仮想線位置から実線位置にクラッチ操作軸302回りに回動し、係止爪362に係止体363が係合される。したがって、オペレータが前進ペダル36から足を離しても、前進ペダル36が踏込み位置に維持されて、前車輪3及び後車輪4が略一定速度で駆動され、略一定速度で移動しながら耕耘作業等が行われる。一方、係止爪362に係止体363が係合されている状態で、オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた場合、係止爪362から係止体363が離脱して、クルーズレバー38及び係止リンク364が実線位置から仮想線位置(初期位置)に切り保持バネ366によって戻され、略一定速度で移動する車速保持動作(オートクルーズ動作)が解除される。
図9、図11、図15から明らかなように、走行部としての前車輪3及び後車輪4を備えた走行機体2に搭載されたエンジン5と、エンジン5からの動力を変速する油圧式無段変速機25と、前車輪3及び後車輪4に変速出力ギヤとしての副変速ギヤ機構59を介して油圧式無段変速機25からの変速出力を伝えるミッションケース11と、油圧式無段変速機25の変速操作部としてのトラニオンアーム35に変速機構としての変速リンク機構300を介して連結する変速ペダルとしての前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み操作位置に保持する車速維持機構361とを備えてなる作業車両において、車速維持機構361は、係脱可能に係合させる複数の係止爪362を有する係止アーム365と、係止体363とを備え、前進ペダル36に係止アーム365を連結し、車速維持用の手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止体363を連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネとしての中立保持バネ339の付勢力によって、係止爪362と係止体363との係合を維持可能に構成しているものであるから、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み位置から初期位置に戻す力(油圧式無段変速機25の変速出力を零に戻す力)を利用して、係止爪362と係止体363との係合を継続できる。即ち、オペレータが足で踏む前進ペダル36の踏込み力に比べ、オペレータが片手で押し(引き)操作するクルーズレバー38の操作力が小さいから、クルーズレバー38の操作力より中立保持バネ339力を大きく設定でき、クルーズレバー38の操作によって係止爪362と係止体363との係合が簡単に解除されない。そのため、クルーズレバー38の誤操作によって係止爪362と係止体363との係合が解除されるのを簡単に防止でき、運転操作性等を向上できる。なお、クルーズレバー38の操作力より中立保持バネ339力を大きくしても、オペレータが足で前進ペダル36及び後進ペダル37を簡単に踏むことができ、且つ油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35を出力零位置に簡単に戻すこともできる。
図15から明らかなように、走行機体2に係止リンク364を回動可能に配置し、クルーズレバー38に係止リンク364の一端側を連結し、係止リンク364の他端側に係止体363を配置しているものであるから、係止リンク364に複数の係止爪362を形成した従来構造に比べて、係止リンク364に係止体363を一体的に形成して、係止リンク364を軽量に且つ簡単に構成できる。そのため、中立保持バネ339力より小さいバネ力によって、係止爪362から離反した位置に係止体363を簡単に支持できるから、係止爪362に係止体363を係合させるためのクルーズレバー38の操作力を低減できる。
図14、図15から明らかなように、前進ペダル36に係止アーム365の一端側を連結し、係止アーム365の他端側に複数の係止爪362を形成し、係止リンク364の係止体363と、係止アーム365の係止爪362とを対向させて配置しているものであるから、係止アーム365に形成した複数の係止爪362の強度を簡単に向上できる。即ち、係止爪362の強度が向上するように、係止アーム365を高剛性に形成しても、前進ペダル36より係止アーム365を軽量に形成できるから、係止リンク364に複数の係止爪362を形成した従来構造に比べて、前進ペダル36の変速機能を損なうことなく、高剛性の係止アーム365及び係止爪362を簡単に形成できる。
図11、図14から明らかなように、変速ペダルは前進ペダル36及び後進ペダル37からなり、1つの中立保持バネ339のバネ力によって、前進ペダル36及び後進ペダル37が踏込み位置から初期位置に戻され、且つ油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35が出力零位置に戻されるように構成しているものであるから、油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35の出力零位置を簡単に設定できる。即ち、中立保持バネ339によってトラニオンアーム35を出力零位置に維持する出力零調整部と、中立保持バネ339によって前進ペダル及び後進ペダルを初期位置に戻す初期位置調整部とを、調整部品を兼用して形成でき、出力零調整部及び初期位置調整部としての中立調整体340等を簡単に構成できる。したがって、前進ペダル36及び後進ペダル37の組み付け作業性及びメンテナンス作業性を向上できる。
図12、図14から明らかなように、走行機体2のペダルフレームとしてのペダルユニット枠309に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を介して前進ペダル36及び後進ペダル37を回動可能にそれぞれ軸支し、前進ペダル36及び後進ペダル37のいずれか一方と無段変速機25のトラニオンアーム35とを連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37の同時踏込み作動を防ぐ牽制機構としての押圧アーム326及び揺動アーム329を介して、前進ペダル36と後進ペダル37とを連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37のそれぞれの踏込み操作方向を略一致させるように構成しているものであるから、オペレータが足の前側で前進ペダル36と後進ペダル37とを踏み分けることができる。例えば、走行機体2の操縦座席17に座乗したオペレータの右足の前側に前進ペダル36及び後進ペダル37を接近させて配置でき、オペレータが右足を左右に移動して前進ペダル36または後進ペダル37を踏み分けることができる。したがって、オペレータが足の前側で前進ペダル36を踏み且つ足の後側で後進ペダル37を踏む従来構造に比べ、前進ペダル36及び後進ペダル37の同時踏込み作動を防ぐ機能を損なうことなく、後進ペダル37の踏込み操作性を向上できる。
次に、図5、図15ないし図21を参照して、ブレーキ操作手段としてのブレーキペダル33の取付構造を説明する。図5及び図19に示されるように、上述したステップフレーム13の左右の軸受ブラケット370にブレーキペダル軸371を着脱可能に固設する。左右の軸受ブラケット370は、走行機体2の前後方向に略平行に延長する。左右の軸受ブラケット370の間に、ブレーキペダル軸371を介して、ブレーキペダル33のペダルアーム372の基端側のボス部373を被嵌する。走行機体2の外側から右の軸受ブラケット370に、ボルト374を介して、ブレーキペダル軸371の右端側の締結板375を締結する。ボルト374を外して軸受ブラケット370の外側方にブレーキペダル軸371を抜出すことによって、ステップフレーム13からブレーキペダル33が取外されることになる。
図5、図15、図19に示されるように、上述したペダル操作軸262にブレーキリンク機構381を介してペダルアーム372のボス部373を連結する。ブレーキリンク機構381は、ペダル操作軸262にアームボス部382を介して固設した一方のブレーキアーム376と、ボス部373に固設した他方のブレーキアーム377と、各ブレーキアーム376,377にピン378,379を介して連結するブレーキリンク380とを備える。アームボス部382にロッドアーム383を介してブレーキロッド32aを連結する。また、縦側板314のフックアーム384とロッドアーム383とをブレーキ解除バネ385によって連結する。ブレーキペダル33がブレーキ解除バネ385によって初期位置に維持され、ブレーキ機構32の制動動作がブレーキ解除バネ385によって解除された状態に保持されることになる。
図17、図20、図21を参照して、ブレーキペダル33を踏込み位置に維持する駐車ブレーキ構造を説明する。図17に示されるように、ペダルアーム372のボス部373にロックアーム386の基端側を固設し、駐車アーム386の先端側に係止突起387を一体的に形成する。また、上述したステップフレーム13の前面側に支点フレーム388の後端側を固設し、支点フレーム388の前端側にアーム支軸389を配置し、アーム支軸389に駐車アーム390の基端側のボス部393を回動可能に軸支する。駐車アーム390には、係止突起387を係脱可能に係止させるための複数の係止ノッチ391と、係止ガイド面392とを形成している。
図17及び図20に示されるように、駐車アーム390の基端側のボス部393に受圧アーム394を固設する。受圧アーム394には、アーム支軸389を中心とした円周方向に長い長孔395を形成する。また、アーム支軸389に加圧アーム396を回動可能に軸支し、加圧アーム396に加圧ピン397を固設し、長孔395に加圧ピン397を貫通させる。ボス部393の外周に加圧バネ398を巻装し、受圧アーム394に加圧バネ398の一端側を係止し、加圧ピン397に加圧バネ398の他端側を係止する。係止ノッチ391及び係止ガイド面392に係止突起387を加圧バネ398の付勢力によって弾圧することになる。
一方、上述したクラッチハウジング10の側面にステップフレーム13のステップ基板399をボルト400によって締結する。ステップ基板399の上方のクラッチハウジング10の側面に、レバーガイドフレーム401を介して、駐車ブレーキレバー34を、立設姿勢に上下方向に移動可能に配置する。ステップフレーム13の軸ブラケット402とステップ基板399との間に、ピン軸体403を介してレバー軸404を回動可能に軸支する。駐車ブレーキレバー34の下端側にピン406を介してレバー軸404の第1アーム405を連結する。レバー軸404の第2アーム407にピン408を介して駐車リンク409の一端側を連結する。
他方、駐車リンク409の他端側にピン410を介して上述した加圧アーム396を連結する。そのピン410と、支点フレーム388に一端側を固設した支点越えアーム412の他端側とを、支点越えバネ411によって連結する。即ち、駐車ブレーキレバー34は、上昇側の駐車ブレーキ入り位置、または下降側の駐車ブレーキ切り位置に、支点越えバネ411によって維持されることになる。
図16及び図17を参照して、駐車ブレーキレバー34の操作によって、ブレーキペダル33を踏込み位置に維持するための駐車ブレーキ動作を説明する。操縦座席17に座乗したオペレータが右足でブレーキペダル33を踏込み、ブレーキ機構32を作動させ、左右の後車輪4を制動する。そのようにブレーキペダル33を踏込んだ場合、ロックアーム386及び係止突起387が、ブレーキペダル軸371回り(図17の矢印、時計方向の回転)に回動し、係止ノッチ391に係合可能な位置に係止突起387が移動する。
また、後車輪4を制動した状態で、オペレータが右手で駐車ブレーキレバー34の握り部34aを握って、下げ(駐車ブレーキ切り)位置の駐車ブレーキレバー34を上げ(駐車ブレーキ入り)位置に引き上げた場合、支点越えバネ411に抗して加圧アーム396が回動され、支点越えバネ411によって駐車ブレーキレバー34が上げ位置に保持される。前記加圧アーム396の回動によって加圧ピン397がアーム支軸389周りに回動し、加圧ピン397を介して受圧アーム394及び駐車アーム390が連動して回動し、係止突起387に係止ガイド面392が当接する。そのため、オペレータが右足をブレーキペダル33から離した場合、係止突起387が係止ガイド面392の案内によって係止ノッチ391に係合し、ブレーキペダル33が踏込み位置に維持される。したがって、オペレータが右足をブレーキペダル33から離しても、左右の後車輪4の制動が継続され、駐車ブレーキ機構32が入り状態に保持されて、後車輪4の制動が維持される。
一方、オペレータが右手で駐車ブレーキレバー34の握り部34aを握って、上げ(駐車ブレーキ入り)位置の駐車ブレーキレバー34を下げ(駐車ブレーキ切り)位置に引き下げた場合、支点越えバネ411に抗して加圧アーム396が回動され、支点越えバネ411によって駐車ブレーキレバー34が下げ位置に保持される。前記加圧アーム396の回動によって加圧ピン397がアーム支軸389周りに回動し、加圧バネ398の付勢力によって加圧ピン397を介して受圧アーム394及び駐車アーム390が連動して回動し、係止突起387から係止ノッチ391が離反し、ブレーキペダル33がブレーキ解除バネ85の付勢力によって踏込み位置から初期位置に戻される。したがって、オペレータが右足をブレーキペダル33から離した状態では、左右の後車輪4の制動が解除され、駐車ブレーキ機構32が切り状態に保持される。
次に、図15、図18、図20、図21を参照して、ブレーキペダル33の踏込み(制動)操作によって、上述した車速維持機構361の車速維持動作を解除する制動系のオートクルーズ解除構造を説明する。図18及び図20に示されるように、上述した支点フレーム388に、制動系解除手段としての丸棒形の解除アーム413の一端側を貫通させる。支点フレーム388に貫通した解除アーム413の一端側は、走行機体2の左右方向に延設したブレーキペダル軸371と略平行に配置する。支点フレーム388の右側方に突出した解除アーム413の突出端側とロックアーム386とを、解除用リンク機構414を介して連結する。解除用リンク機構414は、ロックアーム386にピン415を介して一端側を回動可能に連結する第1リンク416と、解除アーム413の突出端側に一端側を固設する第2リンク417とを有する。第1リンク416の他端側と第2リンク417の他端側とはピン418を介して回動可能に連結している。ブレーキペダル軸371回りに回動させるブレーキペダル33の操作と連動して、ロックアーム386及び解除用リンク機構414を介して、解除アーム413が軸芯線回りに回動することになる。
一方、図20に示されるように、支点フレーム388の右側方に解除アーム413の他端側を突出させて、解除アーム413の他端側を略L形に折り曲げて解除操作部413aを一体的に形成する。また、上述した係止リンク364に丸棒形の解除突起419を固設し、解除操作部413aと解除突起419とを、機体進行方向(前後方向)に延設した直線上に配置している。
上述した車速維持機構361の車速維持動作を解除する制動系のオートクルーズ解除動作を説明する。オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた状態で、図15に示されるように、オペレータによってクルーズレバー38が仮想線位置から実線位置に引き上げられ、係止リンク364が仮想線位置から実線位置にクラッチ操作軸302回りに回動し、係止爪362に係止体363が係合され、車速維持機構361がオートクルーズ(車速維持)状態に保持されている場合、ブレーキペダル33の踏込み操作によって解除アーム413が軸芯線回りに回動した際、解除操作部413aが解除突起419に当接して、実線位置の係止リンク364を仮想線位置の方向に強制的に移動させる。
したがって、係止爪362から係止体363が強制的に離脱させられ、車速維持機構361が解除状態に切換えられ、前進ペダル36が踏込み位置から初期位置に戻り、無段変速機25からの変速出力が略零に戻る。なお、図15に示されるように、オートクルーズ切(仮想線)位置にクルーズレバー38を押し下げた状態では、係止リンク364が実線位置から機体前方の仮想線位置に移動し、係止体363が係止爪362から離間した非係合位置に保持される。そのように、車速維持機構361が解除状態に保持されている場合、解除操作部413aの回動軌跡範の外側に解除突起419が位置するから、ブレーキペダル33の操作によって解除アーム413が軸芯線回りに回動しても、解除操作部413aが解除突起419に当接しない。よって、クルーズレバー38が切位置に確実に保持された状態で、ブレーキペダル33を操作できる。
上記の記載及び図15、図17、図18、図20から明らかなように、走行部としての前車輪3及び後車輪4を備えた走行機体2に搭載されたエンジン5と、エンジン5からの動力を変速する油圧式無段変速機25と、前車輪3及び後車輪4に変速出力ギヤとしての副変速ギヤ機構59を介して前記油圧式無段変速機25からの変速出力を伝えるミッションケース11と、油圧式無段変速機25の変速操作部としてのトラニオンアーム35に変速機構としての変速リンク機構300を介して連結する変速ペダルとしての前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36を任意の踏込み操作位置に保持する車速維持機構361と、前車輪3及び後車輪4を制動するブレーキ操作手段としてのブレーキペダル33とを備えてなる作業車両において、ブレーキペダル33の制動操作によって車速維持機構361が強制的に解除される制動系解除手段としての解除アーム413を備え、前進ペダル36によって車速維持機構361を解除する走行系解除操作と、解除アーム413によって車速維持機構361を解除する制動系解除操作とを、それぞれ独立して実行可能に構成しているものであるから、走行系と制動系の二系統の解除手段をそれぞれ独立して形成でき、それぞれ独立した走行系と制動系の二系統の解除手段の少なくともいずれか一方によって車速維持機構361を強制的に解除できる。そのため、いずれか一方の解除手段に不具合が発生しても、他方の解除手段によって車速維持機構361を解除でき、車速維持機能及びその解除機能の信頼性等を向上できるものである。
上記の記載及び図15、図18から明らかなように、車速維持機構361は、前進ペダル36を踏込み位置に維持するための複数の係止爪362を有する係止アーム365と、係止爪362に係脱可能に係合させる係止体363とを備え、車速維持用の手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止リンク364を連結し、該係止リンク364に係止体363を配置し、ブレーキ操作手段としてのブレーキペダル33に、係止爪362から係止体363を強制的に離脱させるための制動系解除手段としての解除アーム413を介して、係止リンク364を連結しているものであるから、係止爪362から係止体363を強制的に離脱させるための制動系解除手段を、解除アーム413によって簡単に構成でき、車速維持機能及びその解除機能の信頼性等を向上できるものである。
上記の記載及び図18、図20、図21から明らかなように、走行機体2のステップフレーム13にブレーキペダル33及び解除アーム413を配置し、ブレーキペダル33と解除アーム413とを解除用リンク機構414にて連結しているものであるから、ブレーキペダル33と解除アーム413とをステップフレーム13によって高剛性に支持でき、ブレーキペダル33と解除アーム413とを、簡単な構成で低コストの解除用リンク機構414によって連結できるものである。
上記の記載及び図15から明らかなように、走行機体2のリンク支軸302に係止リンク364を回動可能に配置し、クルーズレバー38に係止リンク364の一端側を連結し、係止リンク364の他端側に係止体363を配置し、係止爪362から係止体363が離反する方向に解除アーム413によって係止リンク364を移動可能に構成しているものであるから、ブレーキペダル33の比較的小さな操作力で解除アーム413を作動して、係止リンク364を簡単に移動でき、車速維持機構361を強制的に解除できる。したがって、前進ペダル36及び後進ペダル37を初期位置に戻す中立保持バネ339等の比較的大きな付勢力を利用して、係止爪362と係止体363との係合を確実に維持できるものである。
上記の記載及び図11、図13から明らかなように、前記変速ペダルは前進ペダル36と後進ペダル37とからなり、前記走行機体2にペダルフレームとしてのペダルユニット枠309を着脱可能に配置し、前記ペダルユニット枠309に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を介して前記前進ペダル36及び後進ペダル37を回動可能に軸支しているものであるから、前記走行機体2に前記ペダルユニット枠309を介して組付ける前記前進ペダル36及び後進ペダル37の組立及び分解作業と、前記ステップフレーム13に組付ける前記ブレーキペダル33の組立及び分解作業とを、それぞれ各別に実行でき、前記前進ペダル36及び後進ペダル37及び前記ブレーキペダル33の組立及び分解作業性を向上できる。また、オペレータが右足で踏込み操作し易い場所に、前記前進ペダル36及び後進ペダル37及び前記ブレーキペダル33を互いに接近させて配置でき、前記前進ペダル36及び後進ペダル37及び前記ブレーキペダル33の踏込み操作性を向上できる。