JP4931988B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
結着樹脂は、ビニル系樹脂に、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンがグラフトされ、不飽和脂肪酸が重合されたグラフト重合体を含むことを特徴とするトナーである。
また本発明は、前記離型剤が、合成炭化水素系ワックスであることを特徴とする。
ビニル系樹脂と、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンと、不飽和脂肪酸とを混合して加熱することによって、ビニル系樹脂に、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンがグラフトされ、不飽和脂肪酸が重合されたグラフト重合体を得るグラフト重合体作製工程と、
前記グラフト重合体と顔料と離型剤との混合物を加熱しながら混練する混練工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明の実施の一形態であるトナーは、結着樹脂、顔料および離型剤を含み、結着樹脂は、ビニル系樹脂にアビエチン酸類と不飽和脂肪酸とをグラフトさせたグラフト重合体を含む。
(グラフト重合体)
グラフト重合体を構成するビニル系樹脂としては、たとえばスチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体またはその他の単量体との重合体を挙げることができる。スチレン系単量体としては、スチレンおよびスチレン置換体が挙げられる。スチレンおよびスチレン置換体としては、スチレン、アルキルスチレン(たとえば、αーメチルスチレン、p-メチルスチレン)などが挙げられるが、スチレンが好ましい。
顔料としては、有機系および無機系を問わず、様々な種類および様々な色の顔料を用いることが可能である。
離型剤としては、公知の離型剤を用いることができるが、合成炭化水素系ワックスを用いることが好ましい。合成炭化水素系ワックスは、低分子量成分が少なく、揮発性有機化合物の発生が少ないので好ましい。また、離型性が高く、定着ローラなどの部材の汚れが少ないので、好適に用いられる。
本実施形態のトナーは、結着樹脂、顔料および離型剤以外にも、磁性粉および帯電制御剤を含んでもよい。
磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイトおよび各種フェライトなどの磁性体が挙げられる。
帯電制御剤としては、負帯電トナー用の帯電制御剤および正帯電トナー用の帯電制御剤が挙げられる。
本実施形態のトナーの表面には、トナーの流動性を調整し、感光体上へのフィルミングを防止し、感光体ドラム上の残留トナーのクリーニング性を向上させるために各種の外添剤を外添させてもよい。
本実施形態のトナーの製造方法は、グラフト重合体作製工程と、混合工程と、混練工程と、粉砕工程と、外添工程とを含む。
トナーの体積平均粒径は、コールターマルチタイザーII(コールター社製)を用い、100μmアパーチャを用いて測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、試料のポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。使用装置および条件は次のとおりである。なお分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
装置:SYSTEM−11(商品名、昭和電工株式会社製)
カラム:TSKgelαMXL(商品名、東ソー株式会社製)3本
測定温度:40℃
試料溶液:試料の0.10%テトラヒドロフラン溶液
注入量:100mL
検出器:屈折率検出器
ビニル系樹脂の軟化点は、高化式フローテスター(商品名:CFT−500D、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。試料1gに対し、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出されるようにプランジャーで1.96MPaの荷重を与えながら、昇温速度毎分6℃で試料を加熱し、フローテスターのプランジャー降下量(流れ量)−温度曲線を求めた。得られたS字曲線の高さをhとし、ノズルから試料が半分流出したときの温度として、hの2分の1(h/2)に対応する温度を求め、この温度を軟化点とした。
試料1gをテトラヒドロフランに溶解し、滴定液に0.1N(0.1モル/L)水酸化カリウム(化学式:KOH)エタノール溶液を用いて、自動滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業株式会社製)によって電位差滴定を行なった。この電位差滴定において、中和するために使用した水酸化カリウムのmg数を、酸価として固形分換算することで、試料の酸価を算出した。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K 7121−1987に準じて、試料(カルボキシル基含有樹脂または水溶性樹脂)1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を試料の融点として求めた。
[グラフト重合体1]
撹拌装置、温度計、窒素導入口および冷却管を備える300ml容のセパラブルフラスコにキシレンを100重量部投入した。窒素雰囲気下で加熱し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を110℃に保ちながら、下記に示す原料を含むモノマー溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 48重量部
ノルマルブチルアクリレート 12重量部
グリシジルメタクリレート 40重量部
開始剤(商品名:V-601、和光純薬工業株式会社製) 3重量部
撹拌装置、温度計、窒素導入口および冷却管を備える300ml容のセパラブルフラスコにキシレンを100重量部投入した。窒素雰囲気下で加熱し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を85℃に保ちながら、下記に示す原料を含むモノマー溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 47.5重量部
ノルマルブチルアクリレート 12重量部
グリシジルメタクリレート 40重量部
ジビニルベンゼン 0.5重量部
開始剤(商品名:V-601、和光純薬工業株式会社製) 1.5重量部
撹拌装置、温度計、窒素導入口および冷却管を備える300ml容のセパラブルフラスコにキシレンを100重量部投入した。窒素雰囲気下で加熱し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を85℃に保ちながら、下記に示す原料を含むモノマー溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 44.5重量部
ノルマルブチルアクリレート 15重量部
2-ヒドロキシエチルメタクリレート 40重量部
ビニルベンゼン 0.5重量部
開始剤(商品名:V-601、和光純薬工業株式会社製) 1.5重量部
撹拌装置、温度計、窒素導入口および冷却管を備える300ml容のセパラブルフラスコにキシレンを100重量部投入した。窒素雰囲気下で加熱し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を85℃に保ちながら、下記に示す原料を含むモノマー溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 48重量部
ノルマルブチルアクリレート 12重量部
グリシジルメタクリレート 40重量部
開始剤(商品名:V-601、和光純薬工業株式会社製) 1.5重量部
オレイン酸を添加しなかったこと以外はグラフト重合体1の作製方法と同様にして、グラフト重合体5を得た。得られたグラフト重合体5の数平均分子量(Mn)は4500であり、重量平均分子量(Mw)は9600であり、ガラス転移点は67℃であり、軟化点は121℃である。
オレイン酸を添加しなかったこと以外はグラフト重合体2の作製方法と同様にして、グラフト重合体6を得た。得られたグラフト重合体6の数平均分子量(Mn)は9300であり、重量平均分子量(Mw)は69900であり、ガラス転移点は71℃であり、軟化点は142℃である。
水添ロジンを添加しなかったこと以外はグラフト重合体1の作製方法と同様にして、グラフト重合体7を得た。得られたグラフト重合体7の数平均分子量(Mn)は4700であり、重量平均分子量(Mw)は9800であり、ガラス転移点は56℃であり、軟化点は103℃である。
不均化ロジンを添加しなかったこと以外はグラフト重合体2の作製方法と同様にして、グラフト重合体8を得た。得られたグラフト重合体8の数平均分子量(Mn)は9200であり、重量平均分子量(Mw)は73500であり、ガラス転移点は57℃であり、軟化点は107℃である。
[マスターバッチ1]
グラフト重合体1 70重量部
キナクリドン顔料(商品名;Pigment Red 3090、山陽色素株式会社製)
30重量部
グラフト重合体1の代わりにグラフト重合体5を用いたこと以外はマスターバッチ1の作製方法と同様にして、マスターバッチ2を得た。
グラフト重合体1の代わりにグラフト重合体7を用いたこと以外はマスターバッチ1の作製方法と同様にして、マスターバッチ3を得た。
グラフト重合体2 73重量部
マスターバッチ1 15重量部
ポリエチレンワックス(商品名:PW−600、ベーカーペトロライト社製、融点:87℃) 10重量部
ホウ素系錯体(商品名:LR−147、クラリアント社製) 2重量部
実施例1で用いたポリエチレンワックスの代わりに、表2に示す融点を有するポリエチレンワックスを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜4の負摩擦帯電性のトナーを得た。
グラフト重合体2の代わりにグラフト重合体3を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例5の負摩擦帯電性のトナーを得た。
実施例1で用いられたトナー原料の代わりに、以下に示すトナー原料を用い、また混練時の温度を150℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例6の負摩擦帯電性のトナーを得た。なお、実施例6では、トナー混合物の混練時に、グラフト重合体の分子間架橋が行われる。
グラフト重合体4 74重量部
無水トリメリット酸 4重量部
マスターバッチ1 15重量部
ポリエチレンワックス(商品名:PW−600、ベーカーペトロライト社製、融点:87℃) 5重量部
ホウ素系錯体(商品名:LR−147、クラリアント社製) 2重量部
無水トリメリット酸を添加しなかったこと以外は実施例6と同様にして実施例7の負摩擦帯電性のトナーを得た。
離型剤として、ポリエチレンワックスの代わりにエステルワックス(商品名:WEP−5、日本油脂社製、融点:83℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例8の負摩擦帯電性のトナーを得た。
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ2を用い、グラフト重合体2の代わりにグラフト重合体6を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の負摩擦帯電性のトナーを得た。
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ3を用い、グラフト重合体2の代わりにグラフト重合体8を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の負摩擦帯電性のトナーを得た。
(色再現性)
シャープ株式会社製の複写機(MX−450機)を用い、トナー付着量が0.45mg/cm2となるように調整してA4サイズのフルカラー専用紙(商品名:PP106A4C、シャープ株式会社製)上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像をオイルレス定着方式の外部定着機にて165℃で定着を行った。なお、定着機のプロセススピードは220mm/secであった。
Internationaledel' Eclairag e:国際照明委員会)におけるクロマチックネス指数a*、b*の値を求め、下記式(1)に基づいて彩度C*を算出した。彩度C*を色再現性の指標とし、彩度C*が80以上の場合を○、75以上80未満を△、75未満の場合を×と評価し、彩度C*が75以上を実使用上問題ないレベルとした。
C*=(a*×2+b*×2)×(1/2) …(1)
上記色再現性の評価方法と同様にして未定着画像を形成した後、オイルレス定着方式の外部定着器にて所定の温度で定着を行い、紙面へのオフセットの有無を目視で評価した。なお、A4サイズの試験紙には52g/m2の紙を用いた。
上記低温定着性の評価方法と同様の方法で定着上限温度を求め、定着下限温度との差を定着非オフセット域とした。定着非オフセット域が60℃以上の場合を○、40℃を超えて60℃未満の場合を△、40℃以下の場合を×と評価し、定着非オフセット域が40℃を超える場合を実使用上問題ないレベルとした。
実施例および比較例のトナーと、キャリアとの割合を10:90にした現像剤を、前記複写機の現像槽に入れ、現像槽からの現像剤の排出重量を測定した。また、温度53℃の環境下で前記現像剤を2時間空転させた後、一定時間経過後における現像槽からの排出重量を測定し、空転前の現像剤の排出重量と比較して現像剤の排出率を求めた。この排出率が高いほど、高温下でのトナーの凝集が抑制できており、トナー耐久性に優れることを示す。
排出率(%)={(空転後の現像剤の排出重量)
/(空転前の現像剤の排出重量)}×100 …(2)
上記評価結果を用いて総合評価を行った。
◎:大変良好。上記評価結果がすべて○である。
○:良好。上記評価結果に△はあるが、×はない。
×:不良。上記評価結果に×がある。
評価結果および総合評価結果を表3に示す。
Claims (7)
- 結着樹脂、顔料および離型剤を含むトナーにおいて、
結着樹脂は、ビニル系樹脂に、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンがグラフトされ、不飽和脂肪酸が重合されたグラフト重合体を含むことを特徴とするトナー。 - 前記ビニル系樹脂は、グリシジル基を有するアクリルエステルモノマーからなるモノマー単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記グラフト重合体が、分子間架橋されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 前記離型剤が、合成炭化水素系ワックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
- 前記離型剤は、融点が80℃以上110℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナー。
- 結着樹脂、顔料および離型剤を含むトナーの製造方法において、
ビニル系樹脂と、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンと、不飽和脂肪酸とを混合して加熱することによって、ビニル系樹脂に、精製ロジン、水添ロジンまたは不均化ロジンがグラフトされ、不飽和脂肪酸が重合されたグラフト重合体を得るグラフト重合体作製工程と、
前記グラフト重合体と顔料と離型剤との混合物を加熱しながら混練する混練工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記混練工程で、前記混合物に多塩基酸を添加して加熱しながら混練し、前記グラフト重合体を分子間架橋させることを特徴とする請求項6に記載のトナーの製造方法。
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