JP2019045639A - トナー - Google Patents

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深雪 山田
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Abstract

【課題】耐熱保管性および低温定着性を維持しつつ印刷物の貼り付きを抑制するトナーを提供する。【解決手段】トナーは、内側に配置されたコア部と、コア部の表面を覆うように配置されたシェル部とを有するトナー母体粒子を有する。コア部は、連続層と、連続層に分散された分散層とを有する。連続層は結着樹脂であり、分散層は離型剤と、導電性高分子とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、トナーに関する。
従来、電子写真法によって可視画像を形成する電子写真方式の画像形成方法では、静電潜像現像用のトナー(以下、単に「トナー」ともいう。)が使用されている。電子写真方式の画像形成方法では、紙などの転写媒体上に形成されたトナー像を定着する方法としては、トナー像が形成された転写媒体を、加熱ローラと加圧ローラの間を通過させて定着する熱ローラ定着方式が広く利用されている。
近年、地球環境の温暖化防止の観点から、電子写真方式の画像形成方法を行うための画像形成装置に対しても、省エネルギー化の要請が高まっている。このため、熱ローラ定着方式を採用している画像形成装置においては、トナー画像の定着に必要とされる熱量を低減させる技術、すなわち定着温度を下げる技術が検討されている。
一方、画像形成装置においては、トナーと逆極性の電荷を利用することで感光体からベルトおよび記録媒体上にトナー画像を転写できる。すなわち、トナーは、転写したい対象物の裏側からトナーと逆電位の転写電位をかけられることで電気的に引っ張られている。この際、転写の対象物である転写ベルト、または用紙上には転写電流が注入される。通常、電気抵抗が高い物性の紙やトナーでは、温度が高くなる程電荷がリークし易くなる。
すなわち、低温定着化を進めたプロセスにおいては、転写電流により用紙に蓄えられた電荷が放出しにくいため、結果として印刷画像は帯電した状態のまま排紙される。この状態で印刷物が連続的に積載されていくと画像同士が貼りついてしまう。省エネルギー化を目的とした低温定着化が進んでいった結果、印加された電位が抜けづらくなり、結果的に蓄えられた電荷による印刷物の張り付きが顕在化するようになってきた。このような課題の改善策として、様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、上記課題の改善策として、定着画像にマイナスイオンを吹き付けて除電する方法が記載されている。また、特許文献2には、上記課題の他の改善策として、定着画像と除電シートとを交互に排出して除電する方法が記載されている。また、特許文献3には、上記課題の他の改善策として、定着画像を、複数の孔が設けられている中間トレイに一旦収容して除電する方法が記載されている。また、特許文献4には、上記課題の他の改善策として、定着画像に帯びる可能性のある複数種類の電荷について、その電荷に応じた除電手段のみを定着画像と接触させる方法が記載されている。
特開2006−343491号公報 特開2013−213894号公報 特開平11−223964号公報 特開2005−281006号公報
しかしながら、特許文献1〜4のいずれの方法も、後工程として定着画像に除電操作を行う方法であるため、印刷時の生産性が低下してしまうことがある。このように、定着画像に対して除電する方法では、生産性が低下するおそれがあるため、トナーを改良することで、上記の課題を克服することが求められている。
そこで、本発明の課題は、良好な帯電性、低温定着性および耐熱保管性を維持しつつ、印刷物同士の貼り付きを抑制できるトナーを提供することである。
本発明は、前述した課題を解決するための一手段として、内側に配置されたコア部と、前記コア部の表面を覆うシェル部とを有するトナー母体粒子を有するトナーであって、前記コア部は、連続層と、前記連続層に分散された分散層とを有し、前記連続層は、結着樹脂であり、前記分散層は、離型剤と、導電性高分子とを含有する、トナーを提供する。
本発明によれば、良好な帯電性、低温定着性および耐熱保管性を維持しつつ、印刷物同士の貼り付きを抑制できるトナーを提供できる。
図1は、貼り付き力の評価方法を説明するための模式図です。
以下、本発明の一実施の形態に係るトナーについて説明する。
トナーは、後述するトナー母体粒子を有していれば、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。一成分現像剤のトナーは、トナー粒子から構成される。また、二成分現像剤のトナーは、トナー粒子およびキャリア粒子から構成される。トナー粒子は、トナー母体粒子およびその表面に付着した外添剤から構成される。本実施の形態では、トナーは、二成分現像剤であることが好ましい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合のキャリア粒子の例には、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子が含まれる。キャリア粒子は、フェライト粒子であることが好ましい。
また、キャリア粒子は、磁性粒子の表面をシリコーン樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアでもよいし、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアでもよい。キャリア粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリア粒子の体積基準のメジアン径は、例えば、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置(HELOS;SYMPATEC社)で測定できる。
本実施の形態におけるトナー母体粒子は、内側に配置されたコア部と、コア部の表面を覆うように配置されたシェル部とを有する。コア部は、連続層と、連続層に分散した分散層と、を有する。連続層は、結着樹脂であり、分散層は、離型剤と、導電性高分子とを含む。
(結着樹脂)
結着樹脂は、公知の樹脂を使用できる。結着樹脂は、例えば結晶性ポリエステル樹脂(結晶性樹脂)および非晶性ビニル樹脂(非晶性樹脂)の一方または両方を含む。
結晶性樹脂は、結晶性樹脂またはトナー母体粒子の示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークを意味する。
トナー母体粒子における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、低温定着性の観点から、5質量%超であることが好ましい。また、トナー母体粒子における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、製造性の観点から、15質量%未満であることが好ましい。また、トナー母体粒子における結晶性ポリエステル樹脂の含有量が5〜15質量%であれば非晶性ビニル樹脂によって、結晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子中で均一に分散されるため、結晶化を抑制できる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tmc)は、十分な低温密着性および良好な耐熱保管性を得る観点から、50〜90℃であることが好ましいく、60〜80℃であることがより好ましい。融点(Tmc)は、DSCにより測定できる。具体的には、結晶性ポリエステル樹脂0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置(Diamond DSC;パーキンエルマー社)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目および2回目の加熱時には、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(Tmc)として測定する。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は5,000〜50,000であることが好ましく、数平均分子量は2,000〜10,000であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量および数平均分子量が上記範囲内の場合、トナーは、低温定着性が高く、かつ光沢度安定性が高い。重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
非晶性ビニル樹脂(非晶性樹脂)は、エチレン性不飽和結合を有する。非晶性ビニル樹脂の単量体の例には、芳香族系ビニル単量体と、(メタ)アクリルエステル系単量体とが含まれる。
芳香族系ビニル単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレンなどおよびその誘導体が含まれる。これらの芳香族系ビニル単量体は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルが含まれる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、優れた帯電性、画質特性などを得る観点から、スチレンまたはその誘導体を多く用いることが好ましい。具体的には、スチレンまたはその誘導体の使用量が、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の全量に対して50質量%以上であることが好ましい。
上記単量体を用いた重合反応は、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤の添加の時期は、ラジカル重合の制御が容易である観点から、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合した後が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、公知の重合開始剤を使用できる。重合開始剤の例には、過酸化物類およびアゾ化合物が含まれる。過酸化物類の例には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルが含まれる。アゾ化合物の例には、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)が含まれる。
また、重合反応においては、分子量を調整する観点から、公知の連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤の例には、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが含まれる。連鎖移動剤は、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の混合工程において、樹脂材料と混合することが好ましい。連鎖移動剤の添加量は、分子量や分子量分布によって異なる。連鎖移動剤の添加量は、具体的には、単量体に対して0.1〜5質量%で添加することが好ましい。また、重合温度も適宜選択できる。重合温度は、例えば、85〜125℃であることが好ましく、90〜120℃であることがより好ましく、95〜115℃であることがさらに好ましい。
非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量は、20,000〜150,000であることが好ましく、数平均分子量は、5,000〜20,000であることが好ましい。非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量および数平均分子量が上記の範囲内の場合、低温密着性および耐熱保管性を両立できる。
非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば以下に示すゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)で測定した分子量分布から求めることができる。非晶性ビニル樹脂を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置(HLC−8120GPC;東ソー株式会社)およびカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−m3連(東ソー株式会社)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)は、定着性および耐熱保管性を両立させる観点から、20〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点は、例えばASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にしたがって測定できる。非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)の測定には、示差走査カロリメーター(DSC−7;パーキンエルマー社)、熱分析装置コントローラー(TAC7/DX;パーキンエルマー社)などを使用できる。
結着樹脂は、定着性の観点から、非晶性ビニル樹脂および結晶性樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)を含有していてもよい。非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すポリエステル樹脂である。非晶性ポリエステル樹脂は、シェル部の材料としても使用できる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。多価カルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;これらカルボン酸化合物の無水物;炭素数1〜3のアルキルエステルが含まれる。これらの多価カルボン酸は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。多価アルコールの例には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上のアルコールが含まれる。これらの多価アルコールは、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価カルボン酸と多価アルコールとの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基(−OH)と多価カルボン酸のカルボキシ基(−COOH)との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5であることが好ましく、1.2/1〜1/1.2であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2,000〜10,000であることが好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、20〜70℃であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、非晶性ビニル樹脂のガラス転移点と同様にして測定できる。
非晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド樹脂でもよい。ハイブリッド樹脂である非晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂部分が非晶性ビニル樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に非晶性ポリエステル樹脂を均一に分散できる。コア−シェル構造を有するトナー粒子において、シェル部が非晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、非晶性ビニル樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、表面全体を被覆しやすくなる。
「スチレン−アクリル樹脂により変性された非晶性ポリエステル樹脂」とは、非晶性ポリエステル樹脂のユニットとスチレン−アクリル樹脂のユニットが化学結合した樹脂を意味する。ここで「非晶性ポリエステル樹脂のユニット」とは、ハイブリッド樹脂のうち、非晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち非晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖を意味する。また「スチレン−アクリル樹脂のユニット」とは、ハイブリッド樹脂のうち、スチレン−アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン−アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖を意味する。
スチレン−アクリル樹脂は、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体との重合体である。スチレン系単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、これらの誘導体が含まれる。これらのスチレン系単量体は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸系単量体の例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルが含まれる。これらの(メタ)アクリル酸系単量体は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン−アクリル樹脂は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体も使用できる。使用できる他の単量体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが含まれる。
スチレン−アクリル樹脂は、前述の単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法などの公知の重合手法により重合することで得られる。また、重合時、分子量を調整する観点からアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどの通常用いられる連鎖移動剤を使用できる。
ハイブリッド樹脂中のスチレン−アクリル樹脂のユニットの含有量は、トナー母体粒子の可塑性を制御しやすい観点から、1〜30質量%であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂は、それぞれ個別に用意した非晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂とを化学結合させて得ることができる。結合を容易にする観点から、非晶性ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂に、非晶性ポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を導入しておくことが好ましい。例えば、スチレン−アクリル樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸系単量体とともに、非晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基またはヒドロキシ基と反応可能な置換基と、スチレン−アクリル樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、非晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基またはヒドロキシ基と反応可能な置換基を有するスチレン−アクリル樹脂を得ることができる。
また、ハイブリッド樹脂は、あらかじめ用意した非晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン−アクリル樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン−アクリル樹脂の存在下で非晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応によっても得ることができる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような非晶性ポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。
ハイブリッド樹脂のガラス転移点(Tg)は、耐熱性の観点から、35℃以上であることが好ましい。また、ハイブリッド樹脂のガラス転移点(Tg)は、定着性および絶縁破壊による電荷リーク防止の観点から、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましい。
ハイブリッド樹脂の数平均分子量は、定着性の観点から、2,000〜10,000であることが好ましい。また、トナー母体粒子中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、定着性と帯電の環境安定性との観点から、1〜50質量%であることが好ましい。
(離型剤)
離型剤は、公知のワックスなどを使用できる。ワックスの例には、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスが含まれる。また、これらの離型剤は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(導電性高分子)
導電性高分子は、体積抵抗が1016Ω・cmの導電性を有する高分子化合物である。
導電性高分子の例には、複素環化合物、縮合多環化合物、アミン系化合物などの重合体が含まれる。導電性高分子の例には、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリ−3,4−アルキルピロール、ポリチオフェン、ポリ3−メチルチオフェン、ポリNアルキルアニリン、ポリ−2,5−アルコキシアニリン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレン、ボリフェニレン、ポリアズレン、ポリアニリン、ポリジフェニルベンジジン、イソチオナフテンおよびこれらの誘導体が含まれる。これらの導電性高分子は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子は、前述した導電性高分子のうち、ポリアニリンであることが好ましい。ポリアニリンは、分子構造が明確に同定されており、立体障害による共役の低下がなく、合成および精製が容易なためである。また、ポリアニリンは、その有する導電性が熱や湿度に依存しないためでもある。
ポリアニリンは、アニリンの単独重合体であってもよいし、アニリン誘導体の単独重合体であってもよいし、アニリンとアニリン誘導体との共重合体であってもよい。アニリン誘導体の例には、2〜3位、5〜6位のうち、1つまたは2つ以上を置換した誘導体が含まれる。アニリン誘導体の例には、2,5−ジアルキルアニリン、2,6−ジアルコキシアニリン、3,6−ジクロルアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン、4−アミノアニリン、6−メチルフェニルアミノアニリンが含まれる。
導電性高分子((共)重合体の構造)は、一般にアニリンがモノマー環の2、5位で結合した重合体であるが、場合によっては一部が3位あるいは4位で結合が生じている重合体もありうるが、良好な導電率の維持の発現のため、モノマー環が2、5位でつながった重合体がより好ましい。
ポリアニリンにドープ可能なドーパントは、電子供与性ドーパントと、電子受容性ドーパントとに分類される。
電子供与性ドーパントの例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム類、1級および2級アミノ基を有するアミン類が含まれる。
電子受容性ドーパントの例には、臭素、ヨウ素、塩素、ヨウ化臭素などのハロゲン類、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、亜硫酸イオン、五フッ化砒素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩化リン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどのルイス酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素、過塩素酸、p−トルエンスルホン酸、フルオロ硫酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロトン酸、塩化第二鉄、五塩化モリブデン、五塩化タングステン、四塩化錫、五フッ化モリブテン、五フッ化ルテニウム、五臭化タンタル、四ヨウ化錫などの遷移金属ハライド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノンジメタン、クロラニル、2,3−ジクロル−5,6ジシアノパラベンゾキノン、2,3−ジブロムー5,6ジシアノパラベンゾキノンなどの有機物、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤、グルタミン酸、ウリジン酸、グアノイシン酸、アスパラギン酸、イノシン酸、リジン、アルギニン、ペニシリン、タンパク質などの生態関連物質およびポルフィリン類、フタロシアニン類が含まれる。
ポリアニリンの合成方法は、使用目的に応じて適宜変更できる。ポリアニリンは、例えば、以下の方法で合成できる。電子受容性のドーパントである塩酸などの酸性水溶液にアニリンを溶融させ、それをアルカリ性水溶液で中和し、濾過し、水とメタノールで洗浄し、乾燥させることでポリアニリン粉末を得ることができる。
導電性高分子の含有量は、トナー母体粒子中の高分子化合物に対して、0.5〜10質量%であることが好ましく、3〜6質量%であることがより好ましい。導電性高分子の含有量がトナー母体粒子中の高分子化合物に対して0.5質量%未満の場合、導電性高分子の効果が発揮できないおそれがある。また、導電性高分子の含有量がトナー母体粒子の高分子化合物に対して10質量%超の場合、トナー母体粒子の内部に内包することが困難なことがある。
また、導電性高分子の体積抵抗値は、低いほど好ましい。ここで、一般にトナーの体積抵抗値は、1014〜1016Ω・cmである。よって、導電性高分子の体積抵抗値がトナーの体積抵抗値以下であれば、印刷物の貼り付きを抑制できる。また、導電性高分子の体積抵抗値が低ければ低いほど、印刷物の貼り付きは抑制できると考えられる。
なお、トナー中に含まれる導電性高分子は、NMRなどの公知の構造解析で確認できる。また、導電性高分子中に含まれるドーパントは、二次イオン質量分析(SIMS)などにより確認できる。
トナー母体粒子は、前述したようにコア−シェル構造である。ここで、「コア−シェル構造」とは、内側に配置されたコア部と、コア部の表面を覆うシェル部と、を有する構造を意味する。ここで「コア部を覆う」とは、必ずしもコア部の全体を覆っている必要はなく、導電性高分子の機能を発揮できる程度に覆われていればよい。コア−シェル構造のトナー母体粒子は、着色剤や離型剤などを含有したガラス転移温度が比較的低めの樹脂粒子(コア部)と、コア部の表面に比較的高めのガラス転移温度を有する樹脂領域(シェル部)とを有する。コア−シェル構造は、シェル部がコア部を完全に被覆していてもよいし、シェル部がコア部を完全に被覆せず、コア部の一部が露出していてもよい。なお、シェル部は、コア部の表面に凝集、融着させることで製造されうる。コア−シェル構造の断面構造は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)や走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)などの公知の手段で確認できる。
トナー母体粒子におけるシェル部の含有量は、5〜15質量%であることが好ましい。トナー母体粒子におけるシェル部の含有量が5質量%未満の場合、コア部の被覆率が低下し、導電性高分子がトナー表面に露出してしまい、現像剤として必要な帯電量を保持できないおそれがある。また、トナー母体粒子におけるシェル部の含有量が15質量%超の場合、低温定着性が低くなるおそれがある。
トナー母体粒子には、任意の成分として着色剤を含有させることができる。
(着色剤)
着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料が含まれる。
カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックが含まれる。
磁性体の例には、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物が含まれる。
染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95、またこれらの混合物が含まれる。
顔料の例には、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、またはこれらの混合物が含まれる。
(外添剤)
トナー母体粒子をそのままトナーに用いてもよいが、流動性、帯電性、クリーニング性など向上させる観点から、トナー母体粒子に外添剤を含有させてトナー粒子として、トナーに用いてもよい。外添剤の例には、無機粒子、有機粒子などの微粒子、滑材が含まれる。これらの外添剤は、1種類で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機粒子の例には、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子が含まれる。また、シリカ微粒子の例には、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したシリカ粒子が含まれる。
有機粒子の例には、スチレン、メチルメタクリレートが含まれる。
滑材は、クリーニング性または転写性の向上のために添加できる。滑材の例にはテアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸などの金属塩が含まれる。また、金属塩の金属の例には、亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムが含まれる。
外添剤は、個数平均一次粒子径が70〜200nmの範囲内にある球形のシリカが好ましい。シリカは、トナー母体粒子に高い流動性および帯電性を付与できる。
個数平均一次粒径は、例えば次のように測定できる。走査型電子顕微鏡(JSM−7401F;日本電子株式会社)で外添剤を30000倍の倍率で撮影し、得られた画像をスキャナーで取り込む。画像処理解析装置(LUZEX(登録商標)AP;ニレコ社)で画像を2値化処理し、画像中のトナー表面に存在する100個の外添剤の水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒径とする。水平方向フェレ径とは、外添剤に外接する長方形のX軸に平行な辺の長さをいう。
トナー粒子中の外添剤の含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましい。
〔トナーの特性〕
(ガラス転移点)
トナーのガラス転移点(Tg)は、50〜70℃であることが好ましく、55〜65℃であることがより好ましい。ガラス転移点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性および耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの耐熱性(熱的強度)を維持することができ、十分な耐熱保管性および耐ホットオフセット性を得ることができる。トナーのガラス転移点(Tg)は、非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)と同様にして測定できる。トナーのガラス転移点は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸系単量の組成を変化させることにより調整できる。例えば、スチレン系単量体の割合を高めると、トナーのガラス転移点(Tg)は高くなる傾向がある。
(融点)
トナーの融点(Tm)は、60〜90℃であることが好ましく、65〜80℃であることがより好ましい。融点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性および耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの良好な耐熱性(熱的強度)も維持することができ、十分な耐熱保管性を得ることができる。トナーの融点(Tm)は、結晶性ポリエステル樹脂の融点と同様にして測定できる。トナーの融点は、融点を有する結晶性物質(例えば、ワックス、結晶性ポリエステル)の種類を変更することで高低させることができる。
(トナー母体粒子の粒径)
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、3〜8μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径が上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの高解像度のドットを正確に再現できる。なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御できる。
体積基準のメジアン径は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定できる。具体的には、トナー0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナーの分散液を調製する。このトナーの分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。次いで、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径として求める。
(トナー母体粒子の平均円形度)
トナー母体粒子の平均円形度は、0.930〜1.000であることが好ましく、0.950〜0.995であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー母体粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
トナーの平均円形度は、例えば以下のように測定できる。メジアン径を測定する場合と同様に、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもSysmex社)などによって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液を撮影し、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。
式(y)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、トナーの平均円形度は、トナーを水中で撹拌しながら、Tgおよび融点以上に加熱することで大きくなっていく(表面積が小さくなり、丸くなる)。
〔トナーの製造方法〕
トナーは、例えば乳化重合凝集法により製造できる。以下に、着色剤を含有するトナーを乳化重合凝集法によって製造する例(コア−シェル構造を有するトナー)を具体的に示す。
トナーは、
(1−1)水系媒体中において、シェル樹脂によるシェル樹脂微粒子を形成して当該シェル樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する第1−1工程と、
(1−2)水系媒体中において、ワックスおよびコア樹脂が含有されたワックス含有コア樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する第1−2工程と、
(1−3)水系媒体中に、着色剤による着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する第1−3工程と、
(2)水系媒体中でワックス含有コア樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集させてコア粒子を形成する第2工程と、
(3)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造を有するトナー母体粒子を形成する第3工程と、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する第4工程と、
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する第5工程と、
(6)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する第6工程と、
(7)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する第7工程と、
により製造できる。
(1−1)第1−1工程
第1−1工程では、シェル樹脂微粒子の分散液を調製する。シェル樹脂微粒子の分散液は、例えば、超音波分散法、ビーズミル分散法などにより、界面活性剤を添加した水系直接分散法により得ることができる。この工程において得られるシェル樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmであることが好ましい。体積基準のメジアン径は、UPA−150(マイクロトラック社)を用いて測定できる。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランが含まれる。水系溶媒は、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
(分散安定剤)
水系媒体中には、分散させた液滴の凝集を防ぐために、分散安定剤が添加されていることが好ましい。分散安定剤の例には、公知の種々のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界面活性剤が含まれる。
カチオン性界面活性剤の例には、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイドが含まれる。
ノニオン性界面活性剤の例には、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖が含まれる。
アニオン性界面活性剤の例には、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪族石鹸や、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムが含まれる。これらの界面活性剤は、1種で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1−2)第1−2工程
第1−2工程では、ワックスおよびコア樹脂が含有された樹脂微粒子が形成される。この樹脂微粒子は、第2工程に使用される。
具体的には、ワックス含有コア樹脂微粒子は、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中おいて、コア樹脂を形成するための重合性単量体に、ワックスおよび必要に応じて荷電制御剤などのその他のトナー構成成分を溶解あるいは分散させた単量体溶液を添加する。そして、ワックスの融点以上の温度において機械的エネルギーを加えて液滴を形成させた後、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。この工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段の例には、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段が含まれる。
また、場合によっては酢酸エチル等の有機溶媒に樹脂とワックスを溶解した後、界面活性剤水溶液に該溶解液を加え、機械的手段により微分散した後、溶媒を除去する方法を用いることもできる。
この工程において形成させるワックス含有コア樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成のものとすることもできる。この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用できる。この場合、ワックスは、いずれの層に含有されていてもよい。ワックスは、3層構成のものである場合は中間層に含有されることが好ましい。
第1−2工程において使用されうる界面活性剤の例には、上述の第1−1工程において使用することのできる界面活性剤が含まれる。この工程において得られるコア樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmであることが好ましい。体積基準のメジアン径は、UPA−150(マイクロトラック社)を用いて測定できる。
(1−3)第1−3工程
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することで調製できる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。使用される界面活性剤の例には、例えば上述の界面活性剤と同様のものが含まれる。
この工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmであることが好ましい。着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計(ELS−800;大塚電子株式会社)で測定できる。
また、この工程において使用する界面活性剤の例には、上述の第1−1工程において使用できる界面活性剤が含まれる。
着色剤は、例えば、第1−2工程において、予めコア樹脂を形成するための単量体溶液に溶解または分散させておくことによって、トナー粒子中に導入してもよい。
着色剤の数平均一次粒子径は、種類により多様であるが、10〜200nm程度であることが好ましい。
(2)第2工程
第2工程においては、必要に応じて、コア樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に、荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
コア樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加する。次いで、コア樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。これにより、コア樹脂微粒子および着色剤微粒子などの微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させる。なお、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う。
(凝集剤)
この工程において使用する凝集剤は、金属塩から適宜選択できる。金属塩の例には、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩が含まれる。
具体的な金属塩の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンが含まれる。これらの金属塩の中では、より少量で凝集を進めることができる観点から、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらの金属塩は、1種で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第2工程において界面活性剤を使用する場合、界面活性剤として、上述の第1−1工程において使用できる界面活性剤を使用できる。また、第2工程において得られるコア粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径(D50)が2〜9μmであることが好ましく、4〜7μmであることがより好ましい。コア粒子の体積基準のメジアン径は、(コールターマルチサイザー3;コールター・ベックマン社)で測定できる。
(3)第3工程
第3工程では、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子を添加して、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル層を被覆させてトナー母体粒子を形成する。
具体的には、コア粒子の分散液は第2工程における温度を維持した状態でシェル樹脂微粒子の分散液を添加する。そして、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル樹脂微粒子をコア粒子の表面に凝集、融着させることによってコア部の表面に厚さ100〜300nmのシェル部を被覆させてトナー母体粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間がより好ましい。
(4)第4工程
第4工程では、上記の第2工程および第3工程における加熱温度の制御によりある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図ることができる。
第4工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、粒径が一定で分布が狭く形成したトナー母体粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものとなるよう制御する。具体的には、第2工程および第3工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均―化を促進させ、この第4工程においても加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー母体粒子を所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
(5)第5工程〜(6)第6工程
第5工程および第6工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)第7工程
第7工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合する工程である。第6工程までの工程を経て作製されたトナー母体粒子は、そのままトナー粒子として使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。これらの外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。
外添剤の添加方法の例には、乾燥されたトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が含まれる。混合装置の例には、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が含まれる。また例えば、ワックスは、上記のようにコア樹脂を構成するスチレン−アクリル系樹脂の重合時に含有させるミニエマルション法によってコア粒子に導入する方法に限定されず、着色剤微粒子と同様にして別途ワックスのみよりなるワックス微粒子の分散液を調製し、これを第2工程においてワックスを含有しないコア樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に凝集させてコア粒子を形成することにより、コア粒子に導入する方法を採用することもできる。本発明のトナーの製造方法においては、ワックスは、ミニエマルション法によってコア粒子に導入する方法を採用することが好ましい。
(トナーの平均粒径)
本発明のトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、3〜8μmであることがより好ましい。この粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成などによって制御できる。体積基準のメジアン径が上記の範囲であれば、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、(マルチサイザー3;ベックマン・コールター社)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出できる。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の(ISOTONII;ベックマン・コールター社)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
以上のように構成されたトナーが印刷物の貼り付きを抑制するメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推察される。
体積抵抗が高いトナーにおいて、絶縁破壊の強さは、温度に関係することがわかっている。絶縁破壊の強さは、通常低温で最大値を示し、温度が上昇するにつれて低下する。トナーの温度が、ガラス転移温度より高温になると、主鎖のミクロブラウン運動が活発になるため、ヤング率の急激な減少と誘電率の増加が起こり、絶縁耐力が急激に低下するため電荷が逃げやすくなる。よって、トナーに導電率の高い導電性高分子を含ませることで、定着時に溶融したトナーの表面に導電スポットが増加する。これにより、空気中の水分子を介した電荷のリークが加速され、印刷物同志の貼り付きが改善されると考えられる。
また、導電性高分子を含有するコア部をシェル部で覆うことで、トナーの表面からの電荷のリークを抑制でき、かつ定着前の状態では現像剤の特性として必要な帯電特性を保つこともできる。
また、結晶性の樹脂は、溶融したときに周りの樹脂と相溶して、Tgを低下させる効果も発揮することから、定着時に熱を受けた際により一層電荷のリークが加速され貼り付きも改善される。
[材料の調製]
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
撹拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)315質量部、1,9−ノナンジオール252質量部を入れた。この反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら8時間重合反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った。その後、反応容器内を10mmHgまで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は14000であり、融点(Tm)は72℃であった。
上記で得られた結晶性ポリエステル樹脂200質量部を、70℃に加温した酢酸エチル200質量部に溶解した後、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを濃度が1質量%になるよう溶解させた水溶液と混合し、超音波ホモジナイザーを用いて分散した。この溶液を減圧下で、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度を20質量%に調整した。これにより、水系媒体中に結晶性ポリエステル樹脂による粒子が分散された結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径(Mv)は、200nmであった。
(導電性高分子の調整1)
高分子化合物であるアニリン100gを電子受容性ドーパントである塩酸(0.6N)1000gに溶融させ、それをアルカリ性水溶液で中和し、濾過し、水とメタノールそれぞれ1000gで洗浄し、乾燥させることでポリアニリン粉末を得た。
(導電性高分子の調製2)
エチレンジオキシチオフェン(EDOT)50gを、高分子カルボン酸の存在下水性媒体中で、過硫酸塩50gを用いて化学酸化重合して得られた反応液に、水酸化ナトリウム水溶液200gを添加してアルカリ性にした後、水溶性アルコールを加えて沈殿物した生成物を濾取して、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)を得た。
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の調製)
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、基礎粒子分散液1を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム8.67質量部をイオン交換水1352質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製した基礎粒子分散液1を固形分換算で55質量部と、下記単量体、連鎖移動剤および離型剤を90℃にて溶解させた混合液と、を添加した。
スチレン(St) 228.3質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 89.96質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 34.58質量部
(メタクリル酸固形分27.67質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.8質量部
ポリアニリン(導電性高分子) 66.7質量部
循環経路を有する機械式分散機(CLEARMIX;エム・テクニック社、「CLEARMIX」は、同社の登録商標)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム4.87質量部をイオン交換水92.5質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、基礎粒子分散液2を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られた基礎粒子分散液2に、さらに硫酸カリウム9.5質量部をイオン交換水180質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体および連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン(St) 325.7質量部
アクリル酸ブチル(BA) 156.6質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 38.47質量部
(メタクリル酸固形分30.78質量部)
メタクリル酸メチル(MMA) 46.53質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、非晶性ビニル樹脂分散液1を調製した。分散液中の非晶性ビニル樹脂粒子1は、体積基準のメジアン径が220nm、重量平均分子量(Mw)が32000、固形分は30%であった。
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液2の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、導電性高分子の添加量を66.7gから75gに変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を得た。
スチレン(St) 226.1質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 89.13質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 34.24質量部
(メタクリル酸固形分27.41質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.8質量部
ポリアニリン(導電性高分子) 75.0質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液3の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、導電性高分子の添加量を66.7gから82.2gに変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液3を得た。
スチレン(St) 224.3質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 89.42質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 33.99質量部
(メタクリル酸固形分27.19質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.8質量部
ポリアニリン (導電性高分子) 82.2質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液4の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、導電性高分子の添加量を66.7gから30gに変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液4を得た。
スチレン(St) 237.48質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 93.6質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 35.99質量部
(メタクリル酸固形分28.79質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.8質量部
ポリアニリン (導電性高分子) 30質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液5の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、導電性高分子の添加量を66.7gから135gに変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液5を得た。
スチレン(St) 211.02質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 83.17質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 31.98質量部
(メタクリル酸固形分25.58質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.8質量部
ポリアニリン(導電性高分子) 135質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液6の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた導電性高分子をポリアニリンからポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)に変更し、かつ単量体の組成比を下記組成としたこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液6を得た。
スチレン(St) 226.10質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 89.13質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 34.24質量部
(メタクリル酸固形分27.41質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.80質量部
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)
(導電性高分子) 66.7質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液7の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の製造において、第2段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、導電性高分子を添加しなかったこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液7を得た。
スチレン(St) 245.04質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 96.58質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 37.13質量部
(メタクリル酸固形分29.71質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.99質量部
N−252(離型剤) 172.80質量部
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液8の調製)
上記非晶性ビニル樹脂粒子分散液2の製造において、第2段重合および第3段重合に用いた単量体の組成比を下記組成とし、それぞれのTgを変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子分散液8を得た。
(第2段重合)
スチレン(St) 234.78質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 106.87質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 37.13質量部
(メタクリル酸固形分29.71質量部)
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.81質量部
N−252(離型剤) 172.80質量部
(第3段重合)
スチレン(St) 328.10質量部
アクリル酸ブチル(BA) 192.87質量部
メタクリル酸80%水溶液(MAA80) 41.31質量部
(メタクリル酸固形分30.78質量部)
メタクリル酸メチル(MMA) 46.87質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.06質量部
(シェル粒子分散液の調製)
下記スチレン−アクリル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体(アクリル酸)および重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル重合セグメントが、スチレン−アクリル樹脂を主鎖としてグラフト化されたハイブリッド非晶性樹脂を得た。得られたハイブリッド非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は25000であり、ガラス転移点(Tg)は60℃であった。重量平均分子量(Mw)は上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定し、ガラス転移点(Tg)は非晶性ビニル樹脂と同様にして測定した。
得られたハイブリッド非晶性樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザー(US−150T;株式会社日本精機製作所)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプ(V−700;BUCHI社)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のハイブリッド非晶性樹脂粒子分散液を調製した。分散液中のハイブリッド非晶性樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(着色剤粒子分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、カーボンブラック420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
[トナーの製造]
(トナー1の製造)
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂粒子分散液1を540質量部(固形分換算)、イオン交換水332質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを10に調整した。
さらに、着色剤粒子分散液31質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム水溶液72.5質量部をイオン交換水72.5質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、精密粒度分布測定装置(コールターマルチサイザー3;コールター・ベックマン社)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、シェル粒子分散液60質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム94.6質量部をイオン交換水378.4質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。次いで、昇温して80℃の状態で撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナー粒子の平均円形度が0.970になった時点で、2.5℃/minの冷却速度で30℃まで冷却した。平均円形度は、測定装置(FPIA−3000;Sysmex社)を用いて、HPF検出数を4000個として測定した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子を得た。
得られたトナー母体粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部と、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部、ゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部とを添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社)により回転翼周速35mm/sec、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。
(トナー2の製造)
トナー1の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液1を非晶性ビニル樹脂粒子分散液2に変更し、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2の仕込み量を固形分換算で540gから480gに変更し、定着助剤として結晶性ポリエステル粒子分散液量を固形分で60g添加したこと以外は同様にしてトナー2を製造した。
(トナー3の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液3に変更し、非晶性ビニル樹脂粒子分散液3の仕込み量を固形分換算で480gから438gに変更し、定着助剤として結晶性ポリエステル粒子分散液量を固形分で102g添加したこと以外は同様にしてトナー3を製造した。
(トナー4の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液4に変更したこと以外は同様にしてトナー4を製造した。
(トナー5の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液5に変更したこと以外は同様にしてトナー5を製造した。
(トナー6の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の仕込み量を固形分換算で480gから516gに変更し、シェル粒子分散液量を固形分で60gから24gに変更したこと以外は同様にしてトナー6を製造した。
(トナー7の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液3に変更し、非晶性ビニル樹脂粒子分散液3の仕込み量を固形分換算で480gから438gに変更し、シェル粒子分散液量を固形分で60gから102gに変更したこと以外は同様にしてトナー7を製造した。
(トナー8の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液6に変更したこと以外は同様にしてトナー8を製造した。
(トナー9の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液7に変更したこと以外は同様にしてトナー9を製造した。
(トナー10の製造)
トナー2の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液2を非晶性ビニル樹脂粒子分散液1に変更し、非晶性ビニル樹脂粒子分散液1の仕込み量を固形分換算で480gから540gに変更し、シェル粒子分散液量を固形分で60gからゼロgに変更したこと以外は同様にしてトナー10を製造した。
(トナー11の製造)
トナー9の製造方法において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液7を非晶性ビニル樹脂粒子分散液8に変更したこと以外は同様にしてトナー11を製造した。
各トナーに使用した非晶性ビニル樹脂分散液の組成を表1に示す。
Figure 2019045639
各トナー中の樹脂量を表2に示す。
Figure 2019045639
[評価]
(低温定着性(アンダーオフセット性)の評価)
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために記録紙等の転写材から剥離してしまう画像欠陥を言う。画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタ株式会社)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPI128g/m(日本製紙)を用い、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルトの温度を110〜200℃、定着下ローラの温度を100℃に設定し5℃毎の水準で定着させた時に、アンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。低温密着性は、以下の基準で評価した。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、150℃未満を合格とした。
◎:145℃未満
○:145℃以上150℃未満
△:150℃以上155℃未満
×:155℃以上
(耐熱保管性の評価)
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサー(KYT−2000;株式会社セイシン企業)で室温にて600回振盪した後、蓋を取った状態で57.5℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行い、保存性の指標とした。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が15質量%以上35質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が35質量%以上50質量%未満(トナーの耐熱保管性やや劣るが許容レベル)
×:トナー凝集率が50質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)。
(帯電量の評価)
キャリア19gとトナー1gとを20mlガラス製容器に入れ、NN環境(25℃、50%RH)にて毎分200回、振り角度45度、アーム50cmで20分間、振った後、ブローオフ法で帯電量を測定した。帯電量は、以下の基準で評価した。
◎:75〜85μC/g
○:70−75,85−90μC/g
△:71−74,90−95μC/g
×:70未満、95以上μC/g
(貼り付き力の評価)
図1は、貼り付き力の評価方法を説明するための模式図である。貼り付き力の測定は、「bizhub PRESS C1070(コニカミノルタ株式会社)」を用いて、ベタ画像(トナー付着量:10.5g/m)を両面100枚出力した(紙種:OKトップコート紙(王子製紙社) A3 157g/m)。図1に示されるように、積載された出力画像のうち、上から70〜80枚目の11枚を抽出し、平坦なテーブルの上に置き、一番上の用紙S短辺先端にテープTを貼り付け水平方向にゆっくり滑らせた。この際、上から2枚目以降の用紙Sについては動かないようにテーブルに固定した。用紙を滑らせるのに要する力をばねばかりで測定した。この測定を上から順に5枚繰り返し、ばねばかりの示した力の平均値を貼り付き力とした。貼り付き力は、以下の基準で評価した。貼り付き力が1.5N以下となる場合に実用可能レベルとした。
◎・・・1.5N未満
○・・・1.5N以上2.0N未満
△・・・2.0N以上3.0N未満
×・・・3.0N超
評価結果および測定値を表3に示す。
Figure 2019045639
表3に示されるように、コア部に導電性高分子が含有されていないトナー9は、貼り付き力が不良であった。これは、導電性高分子が含有されていないため、印刷画像に蓄えられた電荷が放出しないためと考えられる。また、コア−シェル構造でないトナー10は、耐熱保管性および帯電量が不良であった。これは、トナー表面から電荷がリークしてしまったためと考えられる。また、ガラス転移温度が低いトナー11は、耐熱保管性が不良であった。コア−シェル構造を有し、コア部に導電性高分子が含有されたトナー1〜8は、低温定着性、耐熱保管性および帯電性のいずれにおいても良好だった。これは、コア部に含有された導電性高分子が定着時に露出して、定着画像に注入されていた転写電流が逃げやすくなったためと考えられる。
本発明に係るトナーは、良好な帯電性、低温定着性および耐熱保管性を維持しつつ、印刷物同士の貼り付きを抑制できる。したがって、トナーを用いた画像形成のさらなる多様化とさらなる普及とが期待される。
S 用紙
T テープ

Claims (8)

  1. 内側に配置されたコア部と、前記コア部の表面を覆うシェル部とを有するトナー母体粒子を有するトナーであって、
    前記コア部は、連続層と、前記連続層に分散された分散層とを有し、
    前記連続層は、結着樹脂であり、
    前記分散層は、離型剤と、導電性高分子とを含有する、
    トナー。
  2. 前記導電性高分子は、
    高分子化合物と、
    前記高分子化合物に含まれたドーピングされたドーパントと、を有する、
    請求項1に記載のトナー。
  3. 前記導電性高分子の含有量は、前記トナー母体粒子中の高分子化合物に対して0.5〜10質量%である、請求項1または請求項2に記載のトナー。
  4. 前記導電性高分子の含有量は、前記トナー母体粒子中の高分子化合物に対して3〜6質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー母体粒子における前記シェル部の含有量は、5〜15質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂は、非晶性ビニル樹脂および結晶性樹脂の一方または両方である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂である、請求項6に記載のトナー。
  8. 前記トナー母体粒子における前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、5〜15質量%である、請求項7に記載のトナー。
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