JP2007079340A - 静電荷現像用トナー、静電荷現像用トナーの製造方法、静電荷現像用現像剤及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

静電荷現像用トナー、静電荷現像用トナーの製造方法、静電荷現像用現像剤及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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康浩 有馬
Masaki Nakamura
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敏行 矢野
Shinichiro Kawashima
信一郎 川島
Atsushi Sugidachi
淳 杉立
Shinpei Takagi
慎平 高木
Satoshi Yoshida
聡 吉田
Hiroshi Nakazawa
博 中沢
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Abstract

【課題】粒度分布がシャープであって、最表面の凹凸が緩やかで均一な静電荷現像用トナーを提供する。
【解決手段】結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆し非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする表面層とを有する静電荷現像用トナーの製造方法であって、水中でコア粒子を形成するコア粒子形成工程と、エステル類、エーテル類、ケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドの群から選ばれた少なくとも一種の溶剤を添加し、前記非結晶性ポリエステル樹脂からなる付着粒子を前記コア粒子の表面に付着させ、前記コア粒子表面に付着粒子を主成分とする表面層を形成する被覆工程とを含む静電荷現像用トナーの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像の為に使用する静電荷現像用トナーの製造方法、およびそのトナー、並びに、これを用いた静電荷現像剤および画像形成方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像をトナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。また、同種の技術として、ロールの一方または両方をベルトに代えた定着法も知られている。これらの技術は、他の定着法と比較して、高速で堅牢な画像が得られエネルギー効率が高く、また溶剤等の揮発による環境への害が少ない。
一方、転写工程を経て、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着工程において加熱された定着部材により加熱されることで溶融し、前記被転写体表面へ定着される。前記定着工程では前記定着部材により前記トナー像だけでなく前記被転写体をも十分に加熱しないと、前記トナー像が定着されないことが知られている。被転写体への加熱が不十分であると、前記定着部材からの加熱によりトナーだけが溶融し、定着部材へ付着するいわゆるコールドオフセットが発生する。
また被転写体やトナー像が過度に加熱されるとトナーの粘度が減少してトナー像の一部または全部が定着部材側に付着するいわゆるホットオフセットが発生する。したがって定着部材を用いて被転写体やその表面に転写されたトナー像を加熱した際に、コールドオフセットおよびホットオフセットの両方が発生しないように定着条件を設定する必要がある。
一方、画像形成に際して必要なエネルギーの省力化への要求の高まりに伴い、複写機において主要電力使用工程である定着工程の省電力化を図り、定着ラチチュードを拡大させるためには、トナーの最低定着温度をより低温化させる必要がある。トナー定着温度を低温化させることにより、前記省電力化および前記定着条件の拡大に加えて、電源入力時の定着ロール等の定着部材表面の定着可能温度までの待ち時間、いわゆるウォームアップタイムの短時間化、定着部材の長寿命化も可能である。
しかしながらトナーの定着温度を低温化させることは、同時にトナー粒子のガラス転移点も低下させてしまうことになり、トナーの保存性との両立が困難となる。低温定着化とトナー保存性とを両立させるためには、トナーのガラス転移点をより高温に保ったまま、高温領域でトナーの粘度が急速に低下するいわゆるシャープメルト性をもつことが必要である。
しかしながらトナーに使用される樹脂は、ガラス転移温度、分子量等に分布を持つため、前記シャープメルト性を得るためには、樹脂の組成と、分子量とを極端にシャープ化する必要がある。このような均一性の高い樹脂を得るためには、コストが高くまた均一性の高い樹脂の作製に際して不要な樹脂(廃棄物)が生じ、近年の環境保護の観点からも現実的ではない。
一方、複写した画像を重ねて長期に保存しておく場合、画像の一部もしくは全部が、重ねられた上側の紙の裏に移行してしまうトラブルが起きることがある(以下、「ドキュメントオフセット」という)。この現象は特に高温高湿の条件下で画像が保存された場合に特に促進され、画像保存性が悪化する為、このような条件においても鮮明な画像が保てる画像形成方法が望まれる。
従って、低温で定着し、より高温領域までオフセットが発生しない、いわゆる定着ラチチュードの広い電子写真用トナー、および、ドキュメントオフセットに耐え得る画像が得られる画像形成方法が強く要求されている。
オフセットの発生を防止する手段としては、高分子重合体や架橋重合体をブレンドした結着樹脂を用いる方法(例えば、特許文献2、特許文献3等参照)が知られており、トナー溶融時の表面凝集力を高めることで、定着部材表面へのトナー融着を防ぐ手段が取られている。しかしこれらの方法では、オフセット防止には効果があるものの、定着温度が上昇してしまうという問題が生じる。
そこで、定着部材表面からの剥離性を改善する目的として、トナーにポリプロピレンやポリエチレン、アルキルアミド化合物、エステル化合物などの低分子量成分を添加することが試みられている。しかし、これらの方法においても、耐オフセット性に効果を改善できるものの、現像機内での長期放置などにより、ブロッキング等が生じ易くなり、保存安定性に懸念が生じる。
また、ブロッキング防止、画像保存性、および、低温定着性を両立させる手段として、結晶性樹脂を結着樹脂として用いる方法が古くから知られている(例えば、特許文献4、特許文献5等参照)。しかし、結晶性樹脂は、混練粉砕法では粉砕が困難で収率が低い為、製造性の観点から実用性に欠しいという問題があった。また、製造上の実用性を確保できた場合でも、定着温度を下げることは可能であるが、必ずしも十分な耐オフセット性を得ることはできない。即ち、溶融したトナーが紙中に浸透することにより、オフセットの発生を防止する効果はあるが、溶融したトナーが紙中に染み込みすぎて、均一で高濃度の画像が得られないという問題が生じる。
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術が数多く提案されている。また、混練粉砕法でトナーを作製する場合、非晶性樹脂部分の存在により、粉砕が容易となることも知られている。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する方法(例えば、特許文献6参照)や、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した樹脂を用いる方法(例えば、特許文献7〜11参照)などが挙げられる。
しかし、非晶性樹脂が結晶性樹脂より多い場合には、非晶性樹脂が連続相になり結晶性樹脂が分散相となるが、この場合、結晶性樹脂は非晶性樹脂に覆われているため、結晶性樹脂による問題は生じない一方、トナー全体の溶融は非晶性樹脂の軟化温度に支配されるので、低温定着性を実現することは困難となる。
既述のように、低温定着性及び耐オフセット性を共に向上させるに当り、溶融混練粉砕法では、低温定着性及び耐オフセット性に対しては効果的である結晶性樹脂の使用が困難であり、高分子量若しくは架橋構造を持つ樹脂を用いても十分な性能が得られない等の問題がある。さらに、粉砕を行うため、トナー粒子の形状制御も難しく、特にトナー粒子の球形化は困難であり、高画質化の目的で、トナー粒子の小粒径化を図ることも困難である。
上記問題を解決するためのトナーの製造方法としては、懸濁重合法等の重合によりトナー粒子を作製するような、湿式製法が挙げられる(例えば、特許文献12参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。従って、上述の混練粉砕法等によって得られたトナー粒子の均一化を図る目的で必須とされていた分級工程を設ける必要もない。
しかし、結晶性樹脂を用いた懸濁重合法では、トナー中に均一に着色剤を分散させることが難しいという不具合がある。
一方、電子写真プロセスにおいて使用されるトナーの体積抵抗値はその帯電特性を左右する重要な特性値であるが、結晶性樹脂の体積抵抗値は、従来使用されている分子量領域の非結晶性樹脂に比べて低く、結晶性樹脂単独では、電子写真法に必要な帯電特性を確保し難いのが現状である。
そこで、前記不具合を改善する目的で、無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体に結晶性樹脂を溶解させた溶液中で、これらの成分を含む乳化または懸濁樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を得る処方が提案されている(特許文献13参照)。しかし、この方法では、トナー中に含まれる結晶性樹脂相の割合が多い場合、トナー表面へ結晶性樹脂が露出する割合が大きくなる。この場合、上述のように結晶性樹脂本来の低抵抗に起因してトナーの帯電性に悪影響を及ぼすという問題がある。
また、上記のような結晶性樹脂、および無定形高分子の親疎水性のバランス、および両者の濡れ性に起因して、結晶性樹脂粒子の表面に無定形高分子を接着させることが困難な場合が多い。
一方、上記の問題を解決する手段として、結晶性樹脂を水中において凝集・融合させることにより核となる粒子(以下、「コア粒子」と略す)を形成し、このコア粒子の表面に無定形高分子微粒子の分散液と凝集剤を添加することにより微粒子を付着させた後、成膜化することにより、コアシェル型トナーを得る方法が考えられる。この方法では、一度固化したコア粒子表面に凝集剤の作用によって微粒子を付着させるため、コア粒子と付着微粒子間の親疎水性バランスや濡れ性にそれほど依存しない。
しかし、上記の如き方法においては、特に凝集・融合工程において添加された残存する凝集剤等の存在に起因して、微粒子同士、トナー同士の凝集を引き起こし、粒度分布が悪化するという問題がある。また、仮に界面活性剤等を添加した場合、界面活性剤等の多量の不純物がコア粒子表面への微粒子の付着並びにその後の成膜形成を阻害し、均一な被覆層を得ることができない。このような不均一な成膜や粒度分布の悪化は、トナーの帯電分布をブロードにするため、現像性、転写性に悪影響を及ぼす。
一方、上記の問題を解決する手段として、固形分濃度を減少させて不純物濃度を低下させることにより、不純物の影響を抑制する方法が考えられる。しかし、この方法では、分散液の固形分濃度が希薄なためにコア粒子周辺に無定形高分子微粒子が不均一に存在することになり、均一な被覆層を得ることができない。また、粒子同士の相互作用が不均一となるために微粒子同士並びにコア粒子同士の凝集塊が形成され、特に加熱時において粒度分布が悪化するという問題がある。
また、上記のような分散液中においてコア粒子表面に無定形高分子微粒子を充填する手段として、より多量の無定形高分子微粒子を添加することにより被覆率の高い被覆層を得る方法が考えられる。しかし、そのような場合、トナーの帯電量は向上するものの、トナー中に占める無定形高分子の存在量の増大に起因して、定着性に悪影響を及ぼすという問題がある。また、系中における無定形高分子微粒子の存在割合が多くなることにより微粒子同士の接触確率が高まるため、付着微粒子同士の凝集塊が発生し粒度分布もより悪化するという不具合が生ずる。
また、被覆工程における被覆層内の充填密度および被覆表面の平滑化はトナー化後、現像剤として使用される際に極めて重要である。被覆層表面の平滑度が低いと流動化剤、転写助剤、クリーニング助剤などの外添剤が表面凹部に移動しその機能発現を阻害し、例えば転写不良による濃度むらなどの画質欠陥、流動不良による固着/ブロッキングトラブル、クリーニング不良などの二次障害を引き起こす。また、被覆層内の充填密度が低いと前記外添剤の埋まり込みを容易とし上記と同様のトラブルを引き起こす結果となる。
このように、コア粒子に結晶性樹脂、被覆層に無定形高分子を用いるコアシェル型トナーにおいては、無定形高分子微粒子、またはコア粒子同士の凝集に起因して粒度分布が悪化し、また均一な被覆層形成も困難であり、結晶性樹脂の利点である低温定着性、並びに充分な帯電性を両立させることは困難であった。加えて、耐ホットオフセット性、ドキュメントオフセット性も満足させるためには、相反する諸特性を両立させることが要求され、更に、粉体流動性、着色性等他のトナー特性を満足するトナーはいまだ提供されていないのが現状である。したがって、低温定着性に加えて充分な帯電特性を確保し、さらに、その他の諸特性も高いレベルで両立させたトータルバランスの優れたトナーを提供することが重要である。
特公昭42−23910号公報 特開昭50−134652号公報 特開昭51−23354号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特開平2−79860号公報 特開平1−163756号公報 特開平1−163757号公報 特開平4−81770号公報 特開平4−155351号公報 特開平5−44032号公報 特公昭36−10231号公報 特開2001−42564号公報
上述したように、結晶性樹脂をコア粒子の主成分とするコアシェル型トナーにおいて、付着工程および被覆工程における粒度分布の悪化が生じていた。さらに、コア粒子の表面に被覆樹脂粒子を付着させ表面層を形成する場合に、その付着条件及び被覆樹脂粒子の溶融条件を厳密に設定しないと、シェルを形成する被覆樹脂粒子がコア粒子に十分に付着しないおそれがあった。かかる場合、得られるトナー粒子の表面の非均一に凹凸が形成されるとともにその凹凸度が極めて大きくなり、その結果、このトナー粒子の大きな凹凸内に外添剤が偏在するおそれがある。このようなトナーは、クリーニング性、搬送性が得られない可能性が高い。
さらに、コア粒子の表面に被覆樹脂粒子が十分に付着して表面層を形成していない場合、現像機のストレス等でトナー粒子の表面層が破壊され、表面層を形成する樹脂がキャリアにインパクションしてしまい、現像剤の寿命を短くしてしまうとともに、トナー粒子はコア部分の樹脂が露出してしまい、トナーの定着性が劣化するなどの不具合が生じるおそれがあった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す本発明を完成するに至った。
本願発明は、以下の特徴を有する。
(1)結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆し非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする表面層とを有する静電荷現像用トナーの製造方法であって、水中でコア粒子を形成するコア粒子形成工程と、エステル類、エーテル類、ケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドの群から選ばれた少なくとも一種の溶剤を添加し、前記非結晶性ポリエステル樹脂からなる付着粒子を前記コア粒子の表面に付着させ前記コア粒子表面に付着粒子を主成分とする表面層を形成する被覆工程とを含む静電荷現像用トナーの製造方法。
(2)上記(1)に記載の静電荷現像用トナーの製造方法において、前記溶剤は、前記被覆工程における前記付着粒子の100重量部当たり0.025重量部から25重量部の割合で添加される静電荷現像用トナーの製造方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の静電荷現像用トナーの製造方法により製造された静電荷現像用トナーであって、前記表面層の均膜厚が0.01μmから0.5μmである静電荷現像用トナー。
(4)上記(3)に記載の静電荷現像用トナーとキャリアとを含む静電荷現像剤。
(5)潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、上記(4)に記載の静電荷現像剤を用いる画像形成方法。
本発明によれば、粒度分布のシャープの静電荷現像用トナーを得ることができる。さらに、溶剤によりその表面を一部溶解させた付着粒子は、コア粒子の表面に付着し易いため、強固にかつ均一に付着粒子をコア粒子表面に付着させることができ、さらに、コア粒子表面に付着粒子が付着したプレトナー粒子の最表面は、溶剤により一部溶解(又は膨潤)しているため、穏やかな凹凸度でかつ均一な凹凸が形成される。その結果、このプレトナー粒子の最表面の凹凸に均一に外添剤が存在したのち、所定温度に昇温され融合されてトナー粒子が製造されるので、このようなトナーは、所望の帯電性、クリーニング性、搬送性が得られる。
さらに、コア粒子の表面に付着粒子が十分に付着して表面層が形成されているので、現像機のストレス等でトナー粒子の表面層が破壊される可能性が極めて低い。したがって、キャリアの表面を汚すおそれもなく、現像剤の寿命をより長くすることができ、一方、トナーの表面層がコア粒子に均一に形成されているため、トナーの定着性も良好で安定している。
本発明の実施の形態について以下説明する。
以下、本発明を、静電荷現像用トナーの製造方法、静電荷現像用トナー、静電荷現像剤、画像形成方法の順に大きく分けて説明する。
<静電荷現像用トナーの製造方法>
本発明の静電荷現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)の製造方法は、湿式造粒法の中でも乳化凝集法が好適に用いられる。この場合、本発明のトナーの製造方法は、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆し非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする表面層とを有する静電荷現像用トナーの製造方法であって、水中でコア粒子を形成するコア粒子形成工程と、エステル類、エーテル類、ケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドの群から選ばれた少なくとも一種の溶剤を添加し、前記非結晶性ポリエステル樹脂からなる付着粒子を前記コア粒子の表面に付着させ前記コア粒子表面に付着粒子を主成分とする表面層を形成する被覆工程とを含むものである。以下、各工程並びにトナー材料について詳細に説明する。
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法においては、被覆層を形成する前段階において結晶性ポリエステルを主成分とするコア粒子を形成するコア粒子形成工程を有する。
(コア粒子形成工程)
コア粒子形成工程においては、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂を、水中で乳化分散させてコア粒子を形成する。以下に、コア粒子の形成工程について詳細に説明する。
−ポリエステル樹脂−
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
本発明の結晶性ポリエステルを主成分とするコア粒子の融点は、45〜110℃の範囲内であることが好ましく、60〜90℃の範囲内であることがより好ましい。トナーは、融点を境にして急激に粘度が低下するために、融点以上の温度環境下で保存されるとブロッキングを起こしてしまう。そこで、トナーの融点は、トナーの保存時や画像とした後に曝される一般的な高温環境下の下限温度以上、すなわち45℃以上であることが好ましい。一方、融点が110℃を超える場合には、低温定着ができなくなる場合がある。
この融点はJIS K−7121に基づいて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融点とみなす。
本発明の静電荷現像用トナーに用いられる結晶性ポリエステルのような『結晶性』とは、示差走査熱量測定において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。
また、本発明のトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
上記結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
さらに、トランス−ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジカルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデカンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、トランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメチレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キシレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。尚、これらの重合体において使用される複数のエステル系モノマーの共重合体、エステル系モノマー及びこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体等も使用することができる。
上記ポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示、また染料類などを使用することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
本発明の静電荷現像用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、コア粒子及び付着粒子を構成する結着樹脂の総計100重量部に対して、1〜30重量部が好ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーにおいて用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
離型剤の含有量は、コア粒子及び付着粒子を構成する結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
−凝集剤−
結晶性ポリエステル樹脂粒子、着色剤、離型剤を凝集させる凝集工程において、その材料種により凝集剤は無くとも良いが、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
乳化により得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子と上述の凝集剤、着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記コア粒子を形成する樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑えるために、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行い、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい。
さらに、上記凝集工程にて所望の粒度、および粒度分布に整えられた後、融合工程にてコア粒子の表面に付着粒子しさらに上記着色剤や離型剤が凝集したプレトナー粒子の合一を行う。融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを調整する(pH3〜7の範囲が好ましい)ことにより、凝集の進行を止め、結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集体を融合させ合一させる。加熱の時間としては、合一が十分に為される程度行えばよく、0.2〜10時間程度行えばよい。その後、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化温度以下まで降温して、粒子を固化する。
前記融合工程においては、結晶性ポリエステル樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。
上記結晶性ポリエステル樹脂に対して架橋反応を行わせる場合には、例えば、結晶性ポリエステル樹脂として二重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。
−重合開始剤−
本発明において用いられる重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル-2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
本発明におけるコア粒子は、該分散液の電気伝導度を調整しておく必要があり、電気伝導度が高い場合には系内のイオンバランスが崩れ、無定形高分子微粒子をコア粒子表面に均一付着させることが困難となる。コア粒子形成後において電気伝導度を調整する目的で、任意の洗浄作業を行ってもよい。洗浄方法については特に制限はないが、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸水溶液による分散剤の除去や、イオン交換水による濾過及びリスラリー化洗浄等が好ましく用いられる。
なお、コア粒子は、遠心分離沈降、吸引濾過、加圧濾過等により水中から分離することができる。
(被覆工程)
被覆工程では、上述したエステル類、エーテル類、ケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドの群から選ばれた少なくとも一種の溶剤を添加し、以下に示す非結晶性ポリエステル樹脂からなる付着粒子を上記コア粒子の表面に付着させ上記コア粒子表面に付着粒子を主成分とする表面層を形成する。
付着粒子の主成分である非結晶性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することができる。
ここで、上記『非晶性ポリエステル樹脂』とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質樹脂(無定形高分子)を意味するが、本発明において用いられる結晶融解に伴う吸熱ピークが存在しない樹脂であり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
また、上記ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。さらに、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、トリメリト酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルを併用することができる。尚、酸価や水酸基価の調製等の目的で、必要に応じて、酢酸、安息香酸等の1価の酸を使用することも可能である。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのトリメチレンオキシド付加物等が挙げられる。さらに、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。また、微量であれば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールを併用することができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
ポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
また、コア粒子の表面に付着粒子を付着させる付着工程では、上記の凝集・融合工程を経て形成された結晶性ポリエステルを主成分とするコア粒子に、付着粒子の分散液を添加することにより、コア粒子表面に非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする付着粒子(以下、「付着粒子」と略す場合がある)を付着させる。この時凝集剤を使用してもよい。
本発明のトナー作製において使用される付着粒子の粒径は、0.02〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.04〜0.15μmである。
また、被覆工程において、被覆される付着粒子分散液の固形分濃度が20重量%以上60重量%以下で行うものであり、40重量%以上60重量%以下であることがより好ましい。全固形分濃度が20重量%より低い場合、系内におけるコア粒子表面における付着粒子の存在割合が低下し微粒子同士の接触確率が増加するために凝集塊が発生してしまう。上記凝集塊の発生は粒度分布の悪化を誘発すると共に、コア粒子表面に付着粒子を均一に付着させることが困難となる。また、固形分濃度が60重量%を超える場合には、系内が非常に高粘度となるために攪拌状態が不均一となることから、微粒子同士の凝集塊が発生するとともにコア粒子表面に密に付着させることが困難となる。
次に、凝集・融合工程を経て形成されたコア粒子表面に付着粒子を付着させたのち、有機溶剤の存在化で被覆した付着粒子の融解温度以上とすることにより付着粒子をコア粒子に半融着させる。なお、付着粒子のガラス転移点以上に加熱しない場合には、コア粒子と付着粒子の間に充分な接着力が作用せず、後述の洗浄工程において、被覆した表面層が脱離するという問題が生ずる。そのため、均一な表面層を得ることができない。
被覆工程で添加される溶剤は、被覆工程における付着粒子の100重量部当たり0.025重量部から25重量部の割合、好ましくは0.05重量部から10重量部の割合で添加される。溶剤量が、付着粒子100重量部当たり0.05重量部未満の場合には、コア粒子表面の付着粒子の付着が不均一または十分ではなく、得られるトナー粒子の表面の非均一に凹凸が形成されるとともにその凹凸度が極めて大きくなり、その結果、このトナー粒子の大きな凹凸内に外添剤が偏在するおそれがある。このようなトナーは、所望の帯電性、クリーニング性、搬送性が得られなくなる。一方、付着粒子100重量部当たり10重量部を超えると、トナーの脱溶剤性が悪くなり、臭気等の懸念があり好ましくない。
本発明においては被覆工程における被覆層内の充填密度および被覆表面の平滑化を確保するために添加される有機溶剤は、付着粒子を構成する樹脂を略融解/膨潤可能なものであればいかなるものでも使用可能であるが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、ジメチルエーテル,ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等、の種々の溶剤を用いることができるが比較的水可溶の溶剤を用いることが好ましい。また、上記溶剤は単独で使用してもよいが、2種以上の混合溶媒として使用してもよい。
また、上記有機溶剤の添加方法としては、上記付着粒子の転相乳化時に脱溶媒量を制御したものを使用する方法、被覆工程で所望の有機溶剤量を添加/混合する方法、上記付着粒子添加直後に所望の有機溶剤量を添加/混合する方法等が挙げられる。ここで必要とされる有機溶剤量は、例えば、被覆される付着粒子分散液(固形分20重量%相当)に対して50〜50000ppmであり、より好ましくは100〜20000ppmであるが、付着粒子の樹脂組成/構造/分子量等の条件により任意に調整可能である。
また、被覆工程においては、加熱によるトナー同士の凝集を抑制する目的で、種々の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の種類に特に限定はないが、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。また、添加量はコア粒子および付着微粒子の重量の総和に対する比率で決まるが、0.01〜5.0重量分率程度である。
被覆工程後、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液で分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などですすぎ、更に任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得る。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、気流式乾燥法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
<静電荷現像用トナー>
本発明のトナーは、少なくともコアとなる着色剤含有の結着樹脂とその表面を非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする表面層で被覆されたものである。この場合、この表面層の平均厚みは、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましい。表面層の平均厚みが0.5μmを超える場合には、定着時にトナーが加熱された際に、表面層の内側に存在する結着樹脂成分がトナーの表面に染み出しにくくなるために、良好な定着特性を獲得できなくなる。また、このようなトナーを用いて形成された画像ではドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。表面層の厚みについては、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)での確認が可能であり、複数枚のトナー断面写真から核粒子上に形成された付着粒子層の幅を測定しその平均値から求めることができる。例として、TEM写真を画像解析装置LUZEX FT(ニコレ株式会社製)で二値化し、トナー外周と結晶性ポリエステルコア粒子(白抜き部分)の外周から其々の円相当径を算出し、その半径の差分を表面層の平均厚みとする。また、本発明においては付着粒子の直径がほぼその層厚となる。
低温定着の観点から、表面層の厚みは薄ければ薄い方が好ましいが、0.01μm以下の場合には、内部樹脂成分がトナー表面に染み出し、帯電性の悪化等の障害を招く場合がある。従って、表面層の厚みは0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
本発明の電子写真用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、また、個数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径および個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機微粒子や有機微粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
また、本実施形態におけるトナーは、少なくとも結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とを含むものである。この場合、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量が20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、25〜65重量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が20重量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着ができなくなる。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。また、トナーに含まれる結晶性樹脂の溶融特性を樹脂酸価や金属塩によって制御することによって、薄膜条件下で存在する最表面に存在する無定型高分子の溶融特性の影響を殆ど受けることなく、トナーとしての溶融特性を制御することが可能である。
<静電荷現像用現像剤>
本発明の静電荷現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記現像剤として、本発明の静電荷現像用トナーを含む現像剤を用いることを特徴とする。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の現像剤(本発明のトナー)を用いているため低温定着が可能であると共に、トナーが適正な摩擦帯電量を保持することができる。このため、画像形成に際して省エネルギー性に優れ、トナー飛散等の発生を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、エチレングリコール120重量部、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル22重量部、セバシン酸ジメチル215重量部、と触媒としてジブチル錫オキサイド0.3重量部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。その後、減圧にて220℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘度が増加したところで空冷し、反応を停止し、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は25500であり、数平均分子量(Mn)は8300であった。
なお、GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
また、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)の熱分析装置を用いて測定した。測定は、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で行い、融点をJIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。上述のように、昇温速度10℃/minで測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は69℃であった。
樹脂のNMRスペクトルから測定計算した、共重合分(5−スルホイソフタル酸成分)とセバシン酸成分の含有比は7.5 : 92.5であった。上記樹脂粒子約20mgをサンプル瓶に秤量し、これに溶媒である重THF(テトラヒドロフラン)を1ml加えて充分溶解し、その溶液をNMRチュ―ブに移してNMRスペクトル測定を行った。
ついで、この結晶性ポリエステル160重量部及び脱イオン水1440重量部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱する。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで攪拌した。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)3.2重量部を希釈した水溶液40重量部を滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒径が0.18μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液[樹脂粒子濃度:10重量%]を調製した。
−非結晶ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液の調整−
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2):386重量部
トリメチロールプロパン:428重量部
テレフタル酸:1253重量部
トリメリット酸:139重量部
前記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして、軟化点が105℃になるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ無水フタル酸の497部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、重量平均分子量が15000である無定形ポリエステル樹脂を得た。ついでこれを結晶性ポリエステル樹脂の調製条件と同様にキャビトロンで乳化分散させ、平均粒径0.24μmのポリエステル樹脂からなる非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
上記同様に、DSCの測定結果より、結晶性ポリエステル樹脂の吸熱ピークにおける半値幅はいずれも10℃以下であり、結晶性を有していることが確認された。また、非結晶性ポリエステル樹脂については明確な融点が認められないため、ガラス転移点(Tg)を示すこととし、上記非結晶性ポリエステル樹脂のTgは63℃であった。
−離型剤分散液の調製−
エステルワックス(日本油脂(株)製:WE−2、融点65℃):50重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5重量部
イオン交換水:200重量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−着色剤分散液の調製−
シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):1000重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):150重量部
イオン交換水:9000重量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
−コア粒子の製造−
結晶性ポリエステル樹脂分散液:1500重量部
離型剤分散液1:75重量部
着色剤分散液1:32.61重量部
ポリ塩化アルミニウム:0.72重量部
塩化カルシウム:0.46重量部
イオン交換水:117重量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH4.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を分散させた後、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、63℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径5.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
この凝集粒子分散液のpHは3.8であった。そこで水酸化ナトリウム(和光純薬社製)を0.5mol/Lに希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを7.0に調整した。この凝集粒子分散液を攪拌を継続しながら80℃まで昇温して30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、合一した球形粒子が観察された。その後、イオン交換水を添加しながら10℃/分の速度で20℃まで降温してコア粒子1を得た。得られたコア粒子1の粒度分布をコールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒子径は5.8μmであった。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、形状は球形であった。上記のコア粒子の分散液を、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5A濾紙を用いて固液分離を施し、固形分濃度45%のコア粒子のウェットケーキを得た。また、このコア粒子のごく少量をイオン交換水に分散させ固形分濃度5重量%とした後、この分散液の電気伝導度を測定したところ、840μS/cmであった。
なお、体積平均粒子径の測定方法は以下とのとおりである。
(粒度及び粒度分布測定方法)
本発明における粒径(「粒度」ともいう。)及び粒径分布測定(「粒度分布測定」ともいう。)について述べる。
本発明において測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100ml中に添加した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて2〜50μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50000個であった。
また本発明におけるトナーの粒度分布は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積16%となる累積個数粒径をD16pと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義する。さらに累積84%となる累積個数粒径をD84pと定義する。
本発明における体積平均粒径は該D50vであり、GSDpは以下の式によって算出した。
(数1)
GSDp={(D84p)/(D16p)}0.5
また本発明において測定する粒子直径が2μm未満の場合、すなわち付着粒子の粒子径測定等ではレーザ回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
−トナー1の製造−
上記製造のコア粒子のウェットケーキに3300mlのイオン交換水を加え5分間攪拌混合した後、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5A濾紙を用いて固液分離を施した。このウェットケーキを3Lフラスコに入れた後、非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液を140重量部(表面層の膜厚:0.01μmのもの)添加し、さらに酢酸エチルを非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液(固形分濃度:20重量%)に対し50ppm添加し攪拌を開始した(ここで、酢酸エチルは、付着粒子100重量部に対して0.05重量%である)。10分後、イオン交換水を120重量部添加し0.3mol/Lの硝酸水溶液を徐々に添加することにより、pHを3.0に調整した。30分後、ポリ塩化アルミニウムを0.14重量部添加して30分後、0.5℃/1分の速度で48℃まで昇温した。48℃で2時間経過した後、0.1℃/1分の速度で57℃まで昇温0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより、pH7.5に調整した。この時点で2時間加熱を続けた。2時間後、電子顕微鏡(SEM)撮影にてコア粒子表面に付着微粒子の被覆層が形成されていることを確認した後、30分で20℃まで降温した。
この後、反応生成物を洗浄した後、凍結乾燥機にて乾燥させることによりトナー1を得た。このトナー1について、走査電子顕微鏡を用いて、表面を観察した結果を図1に示す。
−トナー2の製造−
上記製造のコア粒子のウェットケーキに3300mlのイオン交換水を加え5分間攪拌混合した後、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5A濾紙を用いて固液分離を施した。このウェットケーキを3Lフラスコに入れた後、非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液を7000重量部(表面層の膜厚:0.5μmのもの)添加し、酢酸エチルを非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液(固形分濃度:20重量%)に対し50000ppm添加し攪拌を開始した(ここで、酢酸エチルは、付着粒子100重量部に対して10重量%である)。その後の工程は、上記トナー1と同様に行い、トナー2を製造した。
−トナー3の製造−
酢酸エチルを添加しないこと以外はトナー1と同様に行い、トナー3を製造した。このトナー3について、走査電子顕微鏡を用いて、表面を観察した結果を図2に示す。
−トナー4の製造−
酢酸エチルを非結晶性ポリエステル樹脂(付着粒子)分散液に対して51000ppm添加したこと以外はトナー1と同様に行い、トナー4を製造した。
[トナーの諸評価]
(現像剤作製)
トナー1に外添剤としてチタニア微粉末をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、攪拌混合機で混合して静電荷現像用トナーを得た。ついで、このトナー5重量部とポリメチルメタクリレート(Mw:80000)で樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒子径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整した。
(実機評価)
実機性能は富士ゼロックス社製 DocuCentreColor500改造機(定着温度を140℃に設定したもの)を用い10kpvの維持性評価を行い濃度維持性およびディフェクトの発生状況を確認した。濃度測定にはX−Rite404濃度計を使用した。
[評価結果]
トナー1〜4を評価したところ、トナー1,2はいずれもディフェクトの問題がなく、充分な実機性能であった。これに対し、トナー3は、ごく初期から搬送性の悪さに由来する帯電分布の悪化から観察される地かぶり、また現像剤の搬送性の悪さに伴う濃度低下も認められた。また、クリーニング性の悪化に伴う感光体へのフィルミングの発生が認められた。これはトナーのシェルの被覆レベルが充分ではなく充分な帯電特性、表面の凹凸グレードも悪く外添剤の凹部への移行が生じ、また搬送性が悪化した結果と考えられる。また、トナー4では溶剤量が多すぎたためトナー同士の融着による粒度分布悪化が生じてしまった。その結果実機では転写時の白抜け製造工程において多量の粗大粉を発生させたことにより低得率となった。
以上より、本発明の静電荷現像用トナーは、粒度分布が維持されるとともに、優れた帯電特性と低温定着性を有する結果を得た。
トナー1のトナー粒子の表面を撮影した走査電子顕微鏡写真である。 トナー3のトナー粒子の表面を撮影した走査電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆し非結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする表面層とを有する静電荷現像用トナーの製造方法であって、
    水中でコア粒子を形成するコア粒子形成工程と、
    エステル類、エーテル類、ケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドの群から選ばれた少なくとも一種の溶剤を添加し、前記非結晶性ポリエステル樹脂からなる付着粒子を前記コア粒子の表面に付着させ、前記コア粒子表面に付着粒子を主成分とする表面層を形成する被覆工程と、
    を含むことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
  2. 請求項1に記載の静電荷現像用トナーの製造方法において、
    前記溶剤は、前記被覆工程における前記付着粒子の100重量部当たり0.025重量部から25重量部の割合で添加されることを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静電荷現像用トナーの製造方法により製造された静電荷現像用トナーであって、前記表面層の平均膜厚が0.01μmから0.5μmであることを特徴とする静電荷現像用トナー。
  4. 請求項3に記載の静電荷現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷現像剤。
  5. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、請求項4に記載の静電荷現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009211068A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Xerox Corp トナー組成物
JP2012194218A (ja) * 2011-03-15 2012-10-11 Ricoh Co Ltd トナー及びそのトナーの製造方法
JP2013025289A (ja) * 2011-07-26 2013-02-04 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤およびトナーの製造方法

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