JP2012237802A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロジンをバイオマス材料として用いた、高温高湿環境下でも流動性に優れたトナーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含むことを特徴とするトナーにより、上記の課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トナーおよびその製造方法に関する。
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、たとえば電子写真方式の画像形成プロセスに用いられる。
電子写真方式の画像形成プロセスを利用する画像形成装置においては、一般的に、潜像担持体である感光体ドラム表面の感光層を均一に帯電させる帯電工程;帯電状態にある感光体ドラム表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する露光工程;感光体ドラム表面の静電潜像に電子写真用トナーを供給して顕像化する現像工程;感光体ドラム表面のトナー像を紙やOHPシートなどの記録媒体に転写する転写工程;トナー像を加熱、加圧などにより記録媒体上に定着させる定着工程;およびトナー像転写後の感光体ドラム表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードにより除去して清浄化するクリーニング工程;を実行して記録媒体上に所望の画像が形成される。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
このような画像形成に使用される電子写真用トナーは、たとえば混練粉砕法、懸濁重合法および乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって製造される。このうち混練粉砕法では、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造することもできる。
近年、地球環境保全の観点から、様々な技術分野において多くの取り組みがなされている。現在、多くの製品の材料が石油から製造されているが、これらの材料の製造時や焼却時には、エネルギーが必要であり、また、二酸化炭素が発生する。このようなエネルギーや二酸化炭素などを削減する取り組みは、地球温暖化対策として非常に重要である。
地球温暖化対策としての二酸化炭素削減の新たな取り組みとして、バイオマスとよばれる植物由来の資源の利用が大いに注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の収支はゼロである。このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルであるバイオマスの利用は、大気中の二酸化炭素量を増加させないと考えられている。
このようなバイオマスから製造されるバイオマス材料は、バイオマスポリマー、バイオマスプラスチック、非石油系高分子材料などの名称でよばれており、このようなバイオマス材料は、バイオマスモノマーとよばれるモノマーを原料とする。
電子写真の分野においても、環境安全性に優れ、二酸化炭素の増加の抑制に有効な資源であるバイオマスを利用する取り組みがなされている。
たとえば、特許文献1には、ロジンを必須成分として得られる軟化点80〜120℃のポリエステル樹脂と、多価エポキシ化合物を必須成分として得られる軟化点160℃以上のポリエステル樹脂とを含有し、低温定着性、耐ホットオフセット性、現像耐久性を兼ね備える電子写真トナーを得ることができる、電子写真トナー用樹脂組成物が開示されている。
特開2008−122509号公報
しかしながら、特許文献1に開示の方法で製造されるトナーでは、ロジンの主成分であるアビエチン酸が残渣として存在してしまうため、高温高湿環境下でトナー粒子同士が融着しやすく、石油由来のポリエステルを用いたトナーと比較して、流動性が著しく低下し易いという問題があった。
本発明は、ロジンをバイオマス材料として用い、高温高湿環境下でも流動性に優れたトナーおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、鋭意努力研究を重ねた結果、少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含むことを特徴とするトナーとを含むことにより、流動性に優れたトナーが得られることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして、本発明によれば、少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含むことを特徴とするトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ポリカルボジイミド樹脂が、前記ポリエステル樹脂に対して2〜8重量%の割合で含まれる上記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸の少なくとも1種である上記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ロジンが、不均化ロジンである上記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸の少なくとも1種である上記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記多価アルコールが、グリセリンおよび1,3−プロパンジオールである上記のトナーが提供される。
さらに、本発明によれば、少なくとも着色剤、ベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンを含む酸成分と多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂ならびにポリカルボジイミド樹脂を混合することによりトナー材料混合物を得る前混合工程;
前記トナー材料混合物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程;
前記溶融混練物を冷却粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程;および
前記粉砕物を分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
本発明によれば、高温高湿環境下でのトナーの融着が軽減し、流動性が大幅に改善したトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。
本発明によるトナーは、少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含有することを特徴とする。
通常、ロジンは、松材をクラフト法によってパルプ化する製造工程で、副生する粗トール油を水蒸気蒸留して得られるトールロジン;松の樹幹に傷をつけ、採集した生松ヤニを水蒸気蒸留して得られるガムロジン;および伐採した松の根株をチップ状にして有機溶剤で抽出し、さらに蒸留して得られるウッドロジンがある。これらのロジンは、従来知られた製法によって得られる。
ロジンは、その約90%が樹脂酸であり、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸およびサンダラコピマル酸等の樹脂酸の混合物を主成分としている。
ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム活性炭触媒(米国特許第2177530号公報)、硫黄系触媒(特公昭49−5360号公報)またはヨウ素系触媒(特開昭51−34896号公報)等を用いて行われる。
上記の不均化反応により2分子のロジンが反応し、1分子は2重結合が3つに増え、芳香族化合物となり、もう1分子は、共役2重結合の1つの2重結合が水素化され単独の2重結合を有する化合物となり、これらの不均化ロジンは、不安定な共役二重結合を有するロジンに比べて変質しにくいという特徴がある。
不均化ロジンの主成分は、デヒドロアビエチン酸およびジヒドロアビエチン酸の混合物である。不均化ロジンは、ヒドロフェナンスレン環の嵩高で剛直な骨格を含むので、不均化ロジンをポリエステルの構成成分として導入することによって、不均化ロジン以外のロジンを用いる場合よりも見掛けのガラス転移温度の上昇を促進させ、保存性の良好なトナーを得ることができる。
したがって、本発明におけるポリエステル樹脂には、上記の不均化ロジンが用いられる。
また、本発明において用いられている用語「ロジン」とは、上記のトールロジン、ガムロジンおよびウッドロジンに加えて、これらロジンの不均化反応により得られる不均化ロジンをも含むものである。
1.トナーの製造方法
図1は、本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。
本発明によるトナーは、ポリエステル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂および着色剤を主成分とする。
また、本発明によるトナーの製造方法は、乾式法による粒子形成方法であり、前混合工程S1と、溶融混練工程S2と、冷却粉砕工程S3と、分級工程S4と、外添工程S5とを含む。
(1)前混合工程S1
前混合工程S1では、ポリエステル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂および着色剤を、混合機によって乾式混合して混合物を作製する。この際、必要に応じて添加剤を加える。添加剤としては、磁性粉、離型剤、電荷制御剤などが挙げられる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用の原料として好適である。ポリエステルは、多塩基酸などの酸成分と多価アルコールとの重縮合によって得られる。
本発明のポリエステル樹脂は、公知の縮重合反応方法によって製造される。反応方法としては、エステル交換反応または直接エステル化反応が適用できる。また、加圧により反応温度を上昇させること、減圧または常圧下で不活性ガスを流すこと、などによって縮重合を促進することもできる。上記反応においては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、およびマンガンのうち、少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒を用い、反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量は、酸成分および多価アルコールの総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましい。
ポリエステル樹脂の作製においては、酸成分として、ベンゼンジカルボン酸およびロジンを用い、多価アルコールとして、2価以上のアルコールを用いる。
ベンゼンジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂の酸成分として、上記のベンゼンジカルボン酸の代わりに、ベンゼンジカルボン酸無水物、または低級アルキルエステル等のようなベンゼンジカルボン酸誘導体を用いてもよい。上記のベンゼンジカルボン酸化合物のうち、テレフタル酸、イソフタル酸、および、それらの低級アルキルエステルの少なくとも1種を用いることが好ましい。上記のベンゼンジカルボン酸化合物は、芳香環骨格による電子の共鳴安定化効果が高いので、帯電安定性に優れ、適度な強度を有する樹脂を得ることができる。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエステルとしては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等が挙げられる。このうち、コストおよび取り扱いの観点から、テレフタル酸ジメチルまたはイソフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。
これらのベンゼンジカルボン酸化合物は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールが挙げられ、これらの多価アルコールのうち、少なくとも1種を使用できる。これらのうち、グリセリンは、植物由来の原料から製造する手法が工業的に確立されており、入手が容易であり、バイオマスの利用を促進する効果が得られるのでより好ましい。
ポリエステル樹脂は、酸成分として、上記のベンゼンジカルボン酸化合物および不均化ロジン以外に、脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類、炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、ダイマー酸等が挙げられる。
3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。これらの芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。これらの芳香族ポリカルボン酸のうち、反応性の観点から、無水トリメリット酸を用いることが好ましい。
またポリエステル樹脂は、多価アルコールとして、3価以上のアルコール以外に、脂肪族ジオールおよびエーテル化ジフェノールの少なくとも1種をさらに用いることができる。
脂肪族ジオールとしては、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルー2−メチルプロパンー1,3−ジオール、2−ブチルー2−エチルプロパンー1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチルー1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロピルー3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの脂肪族ジオールのうち、酸との反応性および樹脂のガラス転移温度の観点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、またはネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。これら脂肪族ジオールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
エーテル化ジフェノールは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールである。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられ、ビスフェノールA1モルに対して、平均付加モル数が2〜16モルとなるよう付加されることが好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂のガラス転移温度は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの保存安定性および低温定着性などを考慮すると、45〜80℃が好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が45℃未満であると、保存安定性が不十分になるため画像形成装置内部でトナーが熱凝集しやすくなり、現像不良が発生することがある。またホットオフセットが発生し始める温度(以後、「ホットオフセット開始温度」と記す)が低下する。「ホットオフセット」とは、定着部材によりトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させる際に、加熱されたトナー粒子の凝集力が、トナーと定着部材との接着力を下回ることによってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。またポリエステル樹脂のガラス転移温度が80℃を超えると、トナーの低温定着性が低下し、定着不良が発生することがある。
(ポリカルボジイミド樹脂)
ポリカルボジイミド樹脂としては、分子内にカルボジイミド基を有し、不均化ロジンのカルボキシル基との反応によってカルバモイルアミド結合を形成するものであれば、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミド樹脂は、原材料であるイソシアネート化合物を、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレンオキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドなどのカルボジイミド化触媒の存在下、120〜150℃の反応温度で、加圧下で行うか、脂肪族アセテート系、ハロゲン系、脂環式エーテルなどの溶媒中で行うことによる脱炭酸縮合反応で得られる。
ポリカルボジイミド樹脂を製造するための原材料のイソシアネート化合物としては、n−ブチルイソシアネート、tert−ブチルジイソシアネート、iso−ブチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、iso−プロピルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、n−オクタデシルイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを挙げることができる。
上記の原材料より得られるポリカルボジイミド樹脂としては、ポリtert−ブチルカルボジイミド、ポリテトラメチルキシリレンカルボジイミド、ポリ2,4−トルイレンカルボジイミド、ポリ2,6−トルイレンカルボジイミド、ポリo−トリジンカルボジイミド、ポリ4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド、ポリ4,4'−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ポリ4,4'−ジフェニルエーテルカルボジイミド、ポリ3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニルカルボジイミド、ポリp−フェニレンカルボジイミド、ポリナフチレン−1,5−カルボジイミド、ポリm−キシリレンカルボジイミド、ポリ水添キシリレンカルボジイミド、ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリイソホロンカルボジイミドなどが挙げられる。
(着色剤)
本発明のトナーに含まれる着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。染料および顔料のうち、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。
黄色の着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、および、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、および、C.I.ダイレクトブルー86、KET.BLUE111などが挙げられる。
黒色の着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
上記の着色剤以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用でき、また2種以上を併用することができる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤はポリエステル樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して使用されることが好ましい。本発明において、マスターバッチは、たとえば、ポリエステル樹脂および着色剤とを混合機で乾式混合し、得られる粉体混合物を混練機で混練することによって製造できる。混練温度は、ポリエステル樹脂の軟化温度によるが、通常は50〜150℃程度、好ましくは50〜120℃程度である。
マスターバッチ材料を乾式混合する混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。
得られたマスターバッチは、たとえば、粒子径2mm〜3mm程度に粉砕されて用いられる。
トナー中の着色剤濃度は、カーボンブラックなどの黒色の着色剤の場合、5〜12重量%が好ましく、6〜8重量%がより好ましい。黒色以外の着色剤濃度は、3〜8重量%が好ましく、4〜6重量%がより好ましい。マスターバッチを用いる場合には、トナー中の着色剤濃度が上記範囲内になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤濃度が上記範囲内であることにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ、高い着色力を有するトナーを得ることができ、また、充分な画像濃度を有し、発色性が高く、画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。
(磁性粉)
本発明のトナーに含まれる磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、および各種フェライトなどが挙げられる。
(離型剤)
本発明のトナーに含まれる離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナウバワックス(カルナバワックス)、およびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、およびフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。
離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。離型剤の添加量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、3〜10重量部である。離型剤の添加量が3重量部未満であると、低温定着性および耐ホットオフセット性が充分に向上しないことがある。離型剤の添加量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができない。またトナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜(フィルム)状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生することがある。
離型剤の融点は、50〜180℃であることが好ましい。融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融し、トナー粒子同士が凝集したり、感光体表面へのフィルミングなどが発生する。融点が180℃を超えると、トナーを記録媒体に定着する際に離型剤が充分に溶出することができず、耐ホットオフセット性が充分に向上しない。
(電荷制御剤)
本発明のトナーに含まれる電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸ならびにその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸が挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、トナー母粒子100重量部に対して0.01〜5重量部である。
混合工程で用いられる混合機としては、公知のものを使用でき、マスターバッチの作製に用いられる前記の混合機と同様のものを使用できる。
(2)溶融混練工程S2
溶融混練工程S2では、前記混合工程S1で作製された混合物を、混練機によって溶融混練して、樹脂中に着色剤および必要に応じて添加された添加剤が分散した溶融混練物を作製する。
溶融混練工程S2で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、マスターバッチの作製で用いられる上記の混練機と同様のものを使用できる。複数の混練機を用いて溶融混練を行ってもよい。
溶融混練の温度は、使用する混練機によるが、80〜200℃であることが好ましい。このような範囲の温度下で溶融混練を行うことで、結着樹脂中に、着色剤および必要に応じて添加された添加剤を均一に分散させることができる。
(3)冷却粉砕工程S3
冷却粉砕工程S3では、前記溶融混練工程S2で得られた溶融混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物を得る。
冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、体積平均粒子径100μm以上5mm以下程度の粗粉砕物に粗粉砕され、得られた粗粉砕物は、たとえば、体積平均粒子径15μm以下にまで、さらに微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
(4)分級工程S4
分級工程S4では、前記冷却粉砕工程S3で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーを得る。過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子は、回収して他のトナーの製造に再利用することができる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
分級後に得られる未外添トナーの体積平均粒子径は、3〜15μmであることが好ましい。高画質画像を得るためには、未外添トナーの体積平均粒子径が3〜9μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。未外添トナーの体積平均粒子径が3μm未満であると、トナーの粒子径が小さいため、高帯電化および低流動化が起こる。トナーの高帯電化および低流動化によって、トナーが感光体に安定して供給されず、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生する。未外添トナーの体積平均粒子径が15μmを超えると、トナーの粒子径が大きいため、高精細な画像を得られないことがある。また、粒子径が大きくなることでトナーの比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなることがある。その結果、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生することがある。
(5)外添工程S5
外添工程S5では、前記分級工程S4で得られた未外添トナーと外添剤とを混合してトナーを得る。外添剤の添加によって、トナーの流動性および感光体表面における残留トナーのクリーニング性が向上し、感光体へのフィルミングが防止できる。外添剤が外添されていない未外添トナーを、トナーとして用いることもできる。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、および酸化亜鉛などの無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、およびスチレンなどの化合物、またはこれら化合物の共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、およびステアリン酸などの高級脂肪酸、またはこれらの高級脂肪酸の金属塩、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素などが挙げられる。
外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。また、外添剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。外添剤の1次粒子の個数平均粒子径がこのような範囲であることによって、トナーの流動性がより向上する。
外添剤のBET比表面積は、20〜200m2/gであることが好ましい。外添剤のBET比表面積がこのような範囲であることによって、トナーに適度な流動性および帯電性が付与できる。
2.トナー
本発明のトナーは、上記の実施形態であるトナーの製造方法で製造される。上記のトナーの製造方法によって得られるトナーは、機械的強度が十分で、耐ホットオフセット性および帯電安定性に優れる。
3.現像剤
本発明に係るトナーは、トナーのみからなる一成分現像剤として用いることができ、また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒子径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。キャリアの粒子径が50μm以下であることにより、トナーとキャリアの接触機会が増え、個々のトナー粒子を適正に帯電制御でき、非画像部カブリが発生せず、かつ高画質な画像を形成することができる。
さらにキャリアの体積抵抗率は、好ましくは108Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cm2の容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、より好ましくは15〜40emu/gである。一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となることがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になることがある。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れやすくなる。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例および比較例における、ポリエステル樹脂のガラス転移温度、軟化温度、重量平均分子量、数平均分子量、およびTHF不溶解分、ならびにポリエステル樹脂および不均化ロジンの酸価、ならびにポリエステル樹脂の粘度、ならびに離型剤の融点、トナーの体積平均粒子径および変動係数は、以下のようにして測定した。
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを昇温速度毎分10℃(10℃/分)で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、吸熱ピークの低温側の曲線に対して勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
〔ポリエステル樹脂の軟化温度(Tm)〕
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重10kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
〔ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)〕
試料を0.25重量%となるようテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、試料200μLをGPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)に注入し、温度40℃において分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以後、単に「Mw/Mn」とも表記する)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
〔ポリエステル樹脂および不均化ロジンの酸価〕
中和滴定法によって測定した。テトラヒドロフラン(THF)50mLに試料5gを溶解し、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
〔ポリエステル樹脂のTHF不溶分〕
試料1gを円筒濾紙に投入し、ソックスレー抽出器にかけた。テトラヒドロフラン(THF)100mLを抽出溶媒として用い、6時間加熱還流して、試料からTHF可溶画分を抽出した。THF可溶画分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶画分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶画分を秤量し、重量X(g)を求めた。THF可溶画分重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式に基づいて、試料中のTHF不溶画分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶解分と称する。
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100
〔ポリエステル樹脂の粘度〕
試料0.6gを、錠剤成形器によって1分間プレス(25℃、約20MPa)し、厚み約0.5mm、直径25mmの測定用試料とした。この測定用試料を直径25mmのパラレルプレートに挟み、加熱溶融後、ストレスレオメータ(REOLOGICA Instruments AB社製)を用い、正弦波振動させ(パラレルプレート間隔1.0mm、歪み10%、周波数1.0Hz)、温度80℃から200℃まで1分間当たり3℃の速度で昇温させて、測定温度間隔10℃で各温度における粘度η(Pa・s)を測定した。得られた各測定結果から、粘度と温度との相関を示すグラフを作成し、任意の温度における粘度を求めた。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、試料0.01gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
〔トナーの体積平均粒子径および変動係数〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。
この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径を求めた。またトナーの変動係数を、体積平均粒子径およびその標準偏差に基づいて、下記式より算出した。
変動係数CV(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒子径)×100
実施例1
〔ポリエステル樹脂Aの作製〕
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、および窒素導入管を備えた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸30kg、イソフタル酸6kg、および不均化ロジン(酸価157.2mgKOH/g)140kg、および無水トリメリット酸3kg、アルコール成分として、グリセリン30kg、および1,3−プロパンジオール15kg、反応触媒としてテトラーn−ブチルチタネート0.2kg(酸成分およびアルコール成分の総量100重量部に対し、0.080重量部相当)を投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、250℃で10時間重縮合反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度60℃、軟化温度112℃、重量平均分子量2800、Mw/Mn=2.3、酸価24mgKOH/g、THF不溶分0%)170kgを得た。
<前混合工程S1>
ポリエステル樹脂A 91.2重量部
カーボンブラック(商品名:MA−77、三菱化学株式会社製) 5.0重量部
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、クラリアント社製、融点127℃) 2.5重量部
帯電制御剤(商品名:LR−147、日本カーリット株式会社製)1.3重量部
上記の原料にポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合し、混合物50kgを得た。
<溶融混練工程S2>
前記混合工程S1で得た混合物を、混練機(商品名:二軸混練機PCM−60、株式会社池貝製)にて、溶融混練し(シリンダ設定温度80℃〜120℃、回転数250rpm、供給量5kg/時間)、溶融混練物43kgを得た。
<冷却粉砕工程S3>
前記溶融混練工程S2で得た溶融混練物を、室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物を、カウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)で微粉砕した。
<分級工程S4>
前記冷却粉砕工程S3で得た粉砕物を、ロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、未外添トナー26kgを得た。
<外添工程S5>
前記分級工程S4で得た未外添トナー100重量部に対して、疎水性シリカ微粉子A(商品名:R976S、日本アエロジル株式会社製)(シランカップリング剤およびジメチルシリコーンオイル表面処理、BET比表面積140m2/g)1.2重量部、疎水性シリカ微粉子B(商品名:R8200、日本アエロジル株式会社製)(シランカップリング剤表面処理、BET比表面積30m2/g)0.8重量部、および酸化チタン(商品名:ST550R、チタン工業株式会社製)(BET比表面積130m2/g)0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合し、実施例1のトナー(体積平均粒子径6.7μm、CV値25%)24kgを得た。
実施例2
〔ポリエステル樹脂Bの作製〕
酸成分として、テレフタル酸および無水トリメリット酸を用いず、イソフタル酸36kg、および不均化ロジン酸価157.2mgKOH/g153kgを用い、アルコール成分として、グリセリン28kgのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂B(ガラス転移温度55℃、軟化温度111℃、重量平均分子量2520、Mw/Mn=1.9、酸価11mgKOH/g、THF不溶分0%)160kgを得た。
前混合工程S1において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナー(体積平均粒子径6.7μm、CV値25%)24kgを得た。
実施例3
〔ポリエステル樹脂Cの作製〕
酸成分として、無水トリメリット酸を用いず、テレフタル酸23kg、イソフタル酸23kg、および不均化ロジン酸価157.2mgKOH/g135kgを用い、アルコール成分として、グリセリン33kg、および1,3−プロパンジオール3kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂C(ガラス転移温度65℃、軟化温度124℃、重量平均分子量5850、Mw/Mn=4.3、酸価10mgKOH/g、THF不溶分0%)163kgを得た。
前混合工程S1において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナー(体積平均粒子径6.7μm、CV値24%)24kgを得た。
実施例4
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)の代わりに、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトHMV−8CA、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナー(体積平均粒子径6.9μm、CV値24%)24kgを得た。
実施例5
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)の代わりに、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトHMV−8CA、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加したこと以外は、実施例2と同様にして実施例5のトナー(体積平均粒子径6.9μm、CV値23%)24kgを得た。
実施例6
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)の代わりに、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトHMV−8CA、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加したこと以外は、実施例3と同様にして実施例6のトナー(体積平均粒子径6.9μm、CV値25%)24kgを得た。
実施例7
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトHMV−8CA、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加の代わりに、2重量%添加したこと以外は、実施例5と同様にして実施例7のトナー(体積平均粒子径6.8μm、CV値25%)24kgを得た。
実施例8
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトHMV−8CA、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加の代わりに、8重量%添加したこと以外は、実施例5と同様にして実施例8のトナー(体積平均粒子径6.8μm、CV値24%)24kgを得た。
比較例1
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナー(体積平均粒子径6.6μm、CV値25%)24kgを得た。
比較例2
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂を添加しないこと以外は、実施例2と同様にして比較例2のトナー(体積平均粒子径6.6μm、CV値23%)24kgを得た。
比較例3
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂を添加しないこと以外は、実施例3と同様にして比較例3のトナー(体積平均粒子径6.6μm、CV値26%)24kgを得た。
比較例4
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加の代わりに、1重量%添加したこと以外は、実施例3と同様にして比較例4のトナー(体積平均粒子径6.7μm、CV値25%)24kgを得た。
比較例5
前混合工程S1において、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡ケミカル株式会社製)をポリエステル樹脂添加量に対して5重量%添加の代わりに、10重量%添加したこと以外は、実施例3と同様にして比較例5のトナー(体積平均粒子径6.7μm、CV値24%)24kgを得た。
得られた実施例1〜8および比較例1〜5のトナーについて、各トナー5重量部とフェライトコアキャリア(体積平均粒子径70μm)95重量部とを、V型混合機(商品名:V−5、株式会社徳寿工作所製)にて20分間混合して二成分現像剤を作製し、温度35℃、相対湿度80%の高温高湿環境中に24以下のようにして評価を行った。
〔粉体流動性〕
カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)のトナーホッパーを改造した落下量試験機を用い、温度35℃、相対湿度80%の高温高湿環境下で、軸回転数180rpm条件にて、各トナーの落下量を測定し、下記の基準で粉体流動性を評価した。
「G」(good:良好):落下量が13g/分以上
「NB」(not bad:可):落下量が11g/分以上13g/分未満
「B」(bad:不良):落下量が11g/分未満
実施例1〜8および比較例1〜5のトナーに用いたポリエステル樹脂を表1に示し、各トナーの評価結果を表2に示す。
Figure 2012237802
Figure 2012237802
表2から明らかなように、実施例1〜8のトナーは、高温高湿環境下で流動性が良好なものであった。これは、トナー粒子間の融着が抑制されているからである。
本発明によれば、少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含むことにより高温高湿環境下でも流動性に優れたトナーおよびそのトナーの製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 少なくとも着色剤;ベンゼンジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂;およびポリカルボジイミド樹脂を含むことを特徴とするトナー。
  2. 前記ポリカルボジイミド樹脂が、前記ポリエステル樹脂に対して2〜8重量%の割合で含まれている請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸の少なくとも1種である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記ロジンが、不均化ロジンである請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
  5. 前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸の少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナー。
  6. 前記多価アルコールが、グリセリンおよび1,3−プロパンジオールである請求項1〜5のいずれか1つに記載のトナー。
  7. 少なくとも着色剤、ベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンを含む酸成分と多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂ならびにポリカルボジイミド樹脂を混合することによりトナー材料混合物を得る前混合工程;
    前記トナー材料混合物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程;
    前記溶融混練物を冷却粉砕して粉砕物を得る冷却粉砕工程;および
    前記粉砕物を分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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