JP2012226263A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、バイオマス由来のロジンの含有量が高く、耐ホットオフセット性および帯電安定性、並びに耐凝集性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくともベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンとグリセリンとからなるポリエステル樹脂Aならびに少なくともベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体からなるポリエステル樹脂Bを含むバインダー樹脂;ロジンとアクリル酸との反応生成物C;およびカーボンブラックを含み、前記バインダー樹脂が、25〜50重量%の不均化ロジンを含むことを特徴とするトナーにより、上記の課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナーおよびその製造方法に関する。
より具体的には、本発明は、溶融混練法トナーおよびその製造方法に関する。
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、たとえば電子写真方式の画像形成プロセスに用いられる。
電子写真方式の画像形成プロセスを利用する画像形成装置においては、一般的に、潜像担持体である感光体ドラム表面の感光層を均一に帯電させる帯電工程;帯電状態にある感光体ドラム表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する露光工程;感光体ドラム表面の静電潜像に電子写真用トナーを供給して顕像化する現像工程;感光体ドラム表面のトナー像を紙やOHPシートなどの記録媒体に転写する転写工程;トナー像を加熱、加圧などにより記録媒体上に定着させる定着工程;およびトナー像転写後の感光体ドラム表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードにより除去して清浄化するクリーニング工程;を実行して記録媒体上に所望の画像が形成される。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
このような画像形成に使用される電子写真用トナーは、たとえば混練粉砕法、懸濁重合法および乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって製造される。
このうち混練粉砕法では、バインダー樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、電荷制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造することもできる。
近年、地球環境保全の観点から、様々な技術分野において多くの取り組みがなされている。現在、多くの製品の材料が石油から製造されているが、これらの材料の製造時や焼却時には、エネルギーが必要であり、また、二酸化炭素が発生する。このようなエネルギーや二酸化炭素などを削減する取り組みは、地球温暖化対策として非常に重要である。
地球温暖化対策としての二酸化炭素削減の新たな取り組みとして、バイオマスとよばれる植物由来の資源の利用が大いに注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の収支はゼロであるものと考えられている。
このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルであるバイオマスの利用は、大気中の二酸化炭素量を増加させないと考えられている。
このようなバイオマスから製造されるバイオマス材料は、バイオマスポリマー、バイオマスプラスチック、非石油系高分子材料などの名称でよばれており、このようなバイオマス材料は、バイオマスモノマーとよばれるモノマーを原料とする。
電子写真の分野においても、環境安全性に優れ、二酸化炭素の増加の抑制に有効な資源であるバイオマスを利用する取り組みがなされている。
たとえば、特許文献1には、ロジンを必須成分として得られる軟化点80〜120℃のポリエステル樹脂と、多価エポキシ化合物を必須成分として得られる軟化点160℃以上のポリエステル樹脂とを含有し、低温定着性、耐ホットオフセット性、現像耐久性を兼ね備えるトナーを得ることができる、電子写真トナー用樹脂組成物が開示されている。
特開2008−122509号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法による着色剤としてカーボンブラックを用いる溶融混練法トナーでは、バインダー樹脂中のロジンの含有量を多くすると、オープンロールや二軸混練機を用いてトナー材料を混練する際に、カーボンブラックを樹脂中に均一に分散させることが難しくなり、遊離したカーボンブラックが定着ローラに徐々に付着する定着ローラ汚れが発生する問題があった。
そこで、本発明は、バイオマス由来のロジンを含有し、カーボンブラックを着色材として含有しても定着ローラ汚れが生じにくい溶融混練法によるトナー、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、鋭意努力研究を重ねた結果、トナーが、不均化ロジン25〜50重量%を含むバインダー樹脂、ロジンとアクリル酸との反応生成物Cおよびカーボンブラックを含むことにより、カブリやトナー飛散の発生を抑えることができることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして、本発明によれば、少なくともベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンとグリセリンとからなるポリエステル樹脂Aならびに少なくともベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体からなるポリエステル樹脂Bを含むバインダー樹脂;ロジンとアクリル酸との反応生成物C;およびカーボンブラックを含み、前記バインダー樹脂が、25〜50重量%の不均化ロジンを含むことを特徴とするトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸であり、前記ビスフェノールA誘導体が、ビスフェノールAのPO2モル付加物およびPO3モル付加物であり、前記ポリエステル樹脂AおよびBが、さらに無水トリメット酸を構成成分として含むトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記反応生成物Cが、前記カーボンブラックに対して重量比で5〜20重量%の割合で含まれるトナーが提供される。
さらに、本発明によれば、 少なくともバインダー樹脂とカーボンブラックを含むトナーにおいて、少なくともベンゼンジカルボン酸、不均化ロジンおよびグリセリンから製造されるポリエステル樹脂Aおよびベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体から製造されるポリエステル樹脂Bを含むバインダー樹脂、ロジンとアクリル酸との反応生成物C、カーボンブラックおよび離型剤とを混合して混合物を作製する混合工程;
前記混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程;
前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を作製する冷却粉砕工程;および
前記粉砕物を分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
本発明によれば、不均化ロジン25〜50重量%含むバインダー樹脂と、カーボンブラックを含む溶融混練法トナーにおいて、ロジンとアクリル酸との反応生成物Cが添加されることから、カブリやトナー飛散の発生が抑えられる。
この効果が得られるメカニズムとしては、以下のように推定される。すなわち、樹脂中のロジン成分とカーボンブラックとの相溶性が低いため、ロジン成分の含有量を多くするとカーボンブラックが樹脂中に均一に混ざり込みにくくなると考えられる。
このため、バインダー樹脂とカーボンブラックとの混合物に対して、高いせん断力を与えて分散させるようなマスターバッチ処理を行わずに、オープンロールや二軸混練機を用いてトナー材料を混練するだけでは、カーボンブラックを樹脂中に均一に分散させることが困難であった。
それに対して、不均化ロジンを25〜50重量%含むバインダー樹脂と、カーボンブラックを含む溶融混練法トナーにおいて、ロジンとアクリル酸との反応生成物Cを添加すると、カーボンブラックと樹脂中のロジン成分との親和性が高まり、バインダー樹脂中にカーボンブラックが均一に分散され易くなり均一なトナーが得られるものと考えられる。その結果、遊離したカーボンブラックの発生が抑えられ、定着ローラ汚れの発生を防止できたと推定される。
本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。
本発明によるトナーは、少なくともベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンとグリセリンとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aならびに少なくともベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体とを重縮合して得られるポリエステル樹脂Bとをバインダー樹脂として含有する。
通常、ロジンは、松材をクラフト法によってパルプ化する製造工程で、副生する粗トール油を水蒸気蒸留して得られるトールロジン;松の樹幹に傷をつけ、採集した生松ヤニを水蒸気蒸留して得られるガムロジン;および伐採した松の根株をチップ状にして有機溶剤で抽出し、さらに蒸留して得られるウッドロジンがある。これらのロジンは、従来知られた製法によって得られる。
ロジンは、その約90%が樹脂酸であり、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸およびサンダラコピマル酸等の樹脂酸の混合物を主成分としている。
ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム活性炭触媒(米国特許第2177530号公報)、硫黄系触媒(特公昭49−5360号公報)またはヨウ素系触媒(特開昭51−34896号公報)等を用いて行われる。
上記の不均化反応により2分子のロジンが反応し、1分子は2重結合が3つに増え、芳香族化合物となり、もう1分子は、共役2重結合の1つの2重結合が水素化され単独の2重結合を有する化合物となり、これらの不均化ロジンは、不安定な共役二重結合を有するロジンに比べて変質しにくいという特徴がある。
不均化ロジンの主成分は、デヒドロアビエチン酸およびジヒドロアビエチン酸の混合物である。不均化ロジンは、ヒドロフェナンスレン環の嵩高で剛直な骨格を含むので、不均化ロジンをポリエステルの構成成分として導入することによって、不均化ロジン以外のロジンを用いる場合よりも見掛けのガラス転移温度の上昇を促進させ、保存性の良好なトナーを得ることができる。
したがって、本発明におけるポリエステル樹脂Aには、上記の不均化ロジンが用いられる。
また、本発明において用いられている用語「ロジン」とは、上記のトールロジン、ガムロジンおよびウッドロジンに加えて、これらロジンの不均化反応により得られる不均化ロジンをも含むものである。
1.トナーの製造方法
図1は、本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。本発明のトナーは、バインダー樹脂、カーボンブラックおよびロジンとアクリル酸との反応生成物Cを主成分とし、本発明に係るトナーの製造方法によって製造される。
本発明に係るトナーの製造方法は、乾式法による粒子形成方法であり、混合工程S1と、溶融混練工程S2と、冷却粉砕工程S3と、分級工程S4と、外添工程S5とを含む。
(1)混合工程S1
混合工程S1では、バインダー樹脂、カーボンブラックおよびロジンとアクリル酸の反応生成物Cを混合機によって乾式混合して混合物を作製する。この際、必要に応じて添加剤を加える。添加剤としては、磁性粉、離型剤、電荷制御剤などが挙げられる。
(バインダー樹脂(結着樹脂))
ポリエステル樹脂は、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用の原料として好適である。
本発明のトナーは、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを含有する。
本発明によるポリエステル樹脂Aは、少なくとも酸成分としてのベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンと多価アルコールとしてのグリセリンとを重縮合して得られ、ポリエステル樹脂Bは、少なくとも酸成分としてのベンゼンジカルボン酸および多価アルコールとしてのビスフェノールA誘導体とを重縮合して得られる。
このようにして得られるポリエステル樹脂AおよびBは、適度な分岐構造を含むことにより、樹脂の軟化温度を極端に大きくすることなくトナーの低温定着性を維持するとともに、樹脂の分子量分布を広くすることができ、高分子量側に分布の広い樹脂を得ることができるので、トナーの耐オフセット性が良好になる。
不均化ロジンの含有量は、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bからなるバインダー樹脂(100重量%)に対して25〜50重量%が好ましい。
バインダー樹脂における不均化ロジンの含有量が25重量%未満であると、バイオマスを利用することによる地球環境保全の効果が低くなり、また、不均化ロジンの含有量が50重量部を超えると、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じ易くなるので好ましくない。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、公知の重縮合の反応方法によって製造される。
反応方法としては、エステル交換反応または直接エステル化反応が適用できる。また、加圧により反応温度を上昇させることなどによって重縮合を促進することもできる。
上記反応においては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、およびマンガンのうち、少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒を用い、反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量は、酸成分および多価アルコールの総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましい。
ポリエステル樹脂Aに用いられるベンゼンジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリエステル樹脂Aの酸成分として、上記のベンゼンジカルボン酸の代わりに、ベンゼンジカルボン酸無水物、またはベンゼンジカルボン酸の低級アルキルエステルなどのようなベンゼンジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
上記のベンゼンジカルボン酸化合物のうち、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの低級アルキルエステルの少なくとも1種を用いることが好ましい。
テレフタル酸およびイソフタル酸は、芳香環骨格による電子の共鳴安定化効果が高く、帯電安定性に優れ、適度な強度を有する樹脂を得ることができる。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエステルとしては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等が挙げられる。このうち、コストおよび取り扱いの観点から、テレフタル酸ジメチルまたはイソフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。
これらのベンゼンジカルボン酸化合物は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂Aに用いられる多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3−プロパンジオールおよびペンタエリスリトールなどが挙げられ、これらの多価アルコールのうち、少なくとも1種を使用できる。このうち、グリセリンは、植物由来の原料から製造する手法が工業的に確立されており、入手も容易であり、バイオマスの利用を促進する効果が得られるのでより好ましい。
ポリエステル樹脂Aにおいて、ベンゼンジカルボン酸化合物に対する多価アルコールのモル比は、1.05〜1.65であることが好ましい。
ベンゼンジカルボン酸化合物に対する多価アルコールのモル比が1.05未満の場合、樹脂の高分子量側の分子量分布が広くなり、Tmが高くなることによってトナーの低温定着性が低下し、また、分子量分布の広がりを制御できなくなる結果、トナーのゲル化が起こる。
多価アルコールのモル比が1.65を超える場合、ポリエステル樹脂が含む分岐構造が少ないので、軟化温度およびガラス転移温度が低下し、その結果、トナーの保存性が低下する。
上記のように、ポリエステル樹脂Aは、少なくとも酸成分としてのベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンと多価アルコールとしてのグリセリンとを重縮合して得られる。本発明は、環境安全性に優れたトナーを得るために、ポリエステル樹脂Aの前提となる構成として、出発物質全量における不均化ロジンの含有量を60重量%以上としている。
ロジンの含有量は、ポリエステル樹脂A(100重量%)に対して60〜75重量%が好ましい。
ロジンの含有量が60重量%未満であると、バイオマスを利用することによる地球環境保全の効果が低く、ロジンの含有量が75重量%を超えると、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
ポリエステル樹脂Aは、酸成分として、上記のベンゼンジカルボン酸化合物および不均化ロジン以外に、脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類、炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、ダイマー酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量は、ベンゼンジカルボン酸化合物100モルに対し、0.5〜15モルであることが好ましく、1〜13モルであることがより好ましい。ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量が上記の範囲であることで、トナーの低温定着性が向上する。
3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。これらの芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。これらの芳香族ポリカルボン酸のうち、反応性の観点から、無水トリメリット酸を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂A中の3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸の含有量は、ベンゼンジカルボン酸化合物100モルに対し、0.1〜5モルであることが好ましく、0.5〜3モルであることがより好ましい。
ポリエステル樹脂A中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量が0.1モル未満であると、ポリエステル樹脂Aの分岐構造が充分でなく、高分子量側に分布の広いポリエステル樹脂Aを得ることができないので、トナーの耐オフセット性が低下するおそれがある。また、5モルを超えると、ポリエステル樹脂Aの軟化温度が高くなるので、トナーの低温定着性が低下するおそれがある。
またポリエステル樹脂Aは、多価アルコールとして、3価以上のアルコール以外に、脂肪族ジオールおよびエーテル化ジフェノールの少なくとも1種をさらに用いることができる。
脂肪族ジオールとしては、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルー2−メチルプロパンー1,3−ジオール、2−ブチルー2−エチルプロパンー1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチルー1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロピルー3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの脂肪族ジオールのうち、酸との反応性および樹脂のガラス転移温度の観点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、またはネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。これら脂肪族ジオールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ジオールの含有量は、ベンゼンジカルボン酸化合物100モルに対し、5〜20モルであることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの含有量は、トナー100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの含有量が20重量部未満であると、トナーの粘度が高くなり、トナーの低温定着性が損なわれる。また、ポリエステル樹脂Aの含有量が60重量部を超えると、ロジンの含有量が高くなるため、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
ポリエステル樹脂Bは、実質的にロジンを含まないポリエステル樹脂であり、トナーに高温オフセット耐性を付与するため、高分子量かつ高粘度を有することが好ましい。
ポリエステル樹脂Bの酸成分としては、ポリエステル樹脂Aと同様のベンゼンジカルボン酸化合物を用いることができる。ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bが含むベンゼンジカルボン酸化合物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。またポリエステル樹脂Bは、出発物質の酸成分として、上記のベンゼンジカルボン酸化合物以外に、ポリエステル樹脂Aと同様の脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。これらの酸成分は、ポリエステル樹脂AおよびBで同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
また、ポリエステル樹脂Bの酸成分として、飽和多塩基酸および不飽和多塩基酸等の多塩基酸、その酸無水物、およびこれらの低級アルキルエステルを用いることができる。
飽和多塩基酸および飽和多塩基酸の低級アルキルエステルとしては、例えばアジピン酸、セバシン酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、無水コハク酸、炭素数8〜18個のアルキルコハク酸、アルキル無水コハク酸、アルケニルコハク酸、アルケニル無水コハク酸等の二塩基酸類;トリメリット酸、無水トリメリット酸、シアヌール酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
不飽和多塩基酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。
飽和多塩基酸および不飽和多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。また、必要に応じ、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸を用いてもよい。
ポリエステル樹脂Bの多価アルコールとしては、ポリエステル樹脂Aと同様に、3価以上のアルコール、脂肪族ジオールおよびエーテル化ジフェノールを用いることができ、ポリエステル樹脂Aと同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。また、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類を用いてもよい。多価アルコールは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。さらに、必要に応じてステアリルアルコール等のモノアルコール類を、本発明の効果を損なわない範囲内で用いてもよい。
エーテル化ジフェノールは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールである。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられ、ビスフェノールA1モルに対して、平均付加モル数が2〜16モルとなるよう付加されることが好ましい。
ポリエステル樹脂B中のエーテル化ジフェノールの含有量は、ベンゼンジカルボン酸化合物100モルに対し、25〜65モルであることが好ましい。
ポリエステル樹脂Bの粘度は、ポリエステル樹脂Aの軟化温度において103〜105Pa・sが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの軟化温度におけるポリエステル樹脂Bの粘度が103Pa・s未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が得られない。
また、ポリエステル樹脂Aの軟化温度におけるポリエステル樹脂Bの粘度Bが105Pa・sを超えると、混練時におけるポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの溶融粘度差が大きく、樹脂の混合性が悪くなり、トナー中のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bの分散性が不均一となる。その結果トナー粒子においてポリエステル樹脂Aの比率が高い部分は破壊され易く、破壊によって粒子径の小さな微粉が発生する。このような微粉により、粒度分布および帯電分布が広くなり、画像かぶりなどの不具合が生じる。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの保存性および低温定着性などを考慮すると、45〜80℃が好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのガラス転移温度が45℃未満であると、トナーの保存性が不充分になるため画像形成装置内部でトナーが熱凝集しやすくなり、現像不良が発生する。またホットオフセットが発生し始める温度(以後、「ホットオフセット開始温度」と記す)が低下する。
「ホットオフセット」とは、定着部材によりトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させる際に、加熱されたトナー粒子の凝集力が、トナーと定着部材との接着力を下回ることによってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。またポリエステル樹脂A、Bのガラス転移温度が80℃を超えると、トナーの低温定着性が低下し、定着不良が発生する。
バインダー樹脂には、本発明の目的を達成することができる範囲で、ポリスチレン系重合体、スチレン−アクリル系樹脂等のポリスチレン系共重合体、上記ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂等、従来トナー用バインダー樹脂として使用されている樹脂が上記ポリエステル樹脂とともに用いられてもよい。
(カーボンブラック)
本発明のトナーに含まれるカーボンブラックとしては、ファーネス法あるいはチャンネル法などにより製造されるあらゆるものが使用可能であるが、特にファーネス法により製造されたカーボンブラックが好ましい。ファーネス法カーボンブラックとしては、三菱化学社製のMA7、MA8、MA11、MA100、#1000、#2200B、#2350、#2400B、キャボット社製のMOGUL L、REGAL 400R、MONARCH 1000等、コロンビア社製のRAVENシリーズの1035、1040、1255、3500等が具体例として挙げられ、BET法による比表面積が25〜400m2/gでジブチルフタレート(DBP)吸収量が40〜140ml/100gの範囲のものが好ましい。カーボンブラックの添加量としては、一般に樹脂100重量部に対して3〜10重量部が添加される。
(ロジンとアクリル酸の反応生成物C)
本発明におけるロジンとアクリル酸の反応生成物とは、アクリル酸等で変性されたロジンであり、ロジンにアクリル酸等を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンとアクリル酸とによる加熱下でのディールス−アルダー(Diels−Alder)反応を経て得ることができる。
ロジンとアクリル酸の反応生成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンとアクリル酸等を混合し、180〜260℃程度に加熱することで、ディールス−アルダー反応により、ロジン(主成分としてアビエチン酸)に含まれる共役二重結合を有する酸にアクリル酸等を付加させて、反応生成物を得ることができる。
(離型剤)
本発明のトナーに含まれる離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナウバワックス(カルナバワックス)、およびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、およびフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。
本発明のトナーに含まれる離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。離型剤の添加量は特に制限されず、バインダー樹脂、カーボンブラックなどの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、バインダー樹脂100重量部に対して、3重量部〜10重量部である。離型剤の添加量が3重量部未満であると、低温定着性および耐ホットオフセット性が充分に向上しない。離型剤の添加量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができない。またトナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜(フィルム)状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生する。
離型剤の融点(Tm)は、50〜180℃であることが好ましい。
融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融し、トナー粒子同士が凝集したり、感光体表面へのフィルミングなどが発生する。
また、融点が180℃を超えると、トナーを記録媒体に定着する際に離型剤が充分に溶出することができず、耐ホットオフセット性が充分に向上しない。
(電荷制御剤)
本発明のトナーに含まれる電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸ならびにサリチル酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体およびホウ素錯体、サリチル酸塩化合物、ナフトール酸ならびにナフトール酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体およびホウ素錯体、ナフトール酸塩化合物、ベンジル酸塩化合物、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩などの界面活性剤を挙げることができる。
電荷制御剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
混合工程S1で用いられる混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置や、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
(2)溶融混練工程S2
溶融混練工程S2では、前記混合工程で作製された混合物を、混練機によって溶融混練して、バインダー樹脂中にカーボンブラックを必要に応じて添加された添加剤が分散した溶融混練物を作製する。
溶融混練工程で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。
溶融混練の温度は、使用する混練機によるが、80〜200℃であることが好ましい。このような範囲の温度下で溶融混練を行うことで、バインダー樹脂中に、カーボンブラックを必要に応じて添加された添加剤を均一に分散させることができる。
(3)冷却粉砕工程S3
冷却粉砕工程S3では、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物を得る。
冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、体積平均粒径100μm〜5mm程度の粗粉砕物に粗粉砕され、得られた粗粉砕物は、たとえば、体積平均粒径15μm以下にまで、さらに微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
(4)分級工程S4
分級工程S4では、前記冷却粉砕工程S3で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーを得る。過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子は、回収して他のトナーの製造に再利用することができる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
分級後に得られる未外添トナーの体積平均粒径は、3〜15μmであることが好ましい。高画質画像を得るためには、未外添トナーの体積平均粒径が3〜9μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。
未外添トナーの体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さいため、高帯電化および低流動化が起こる。トナーの高帯電化および低流動化によって、トナーが感光体に安定して供給されず、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生する。未外添トナーの体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいため、高精細な画像を得られない。また、粒径が大きくなることでトナーの比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。その結果、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生する。
(5)外添工程S5
外添工程S5では、前記分級工程S4で得られた未外添トナーと外添剤とを混合してトナーを得る。外添剤の添加によって、トナーの流動性および感光体表面における残留トナーのクリーニング性が向上し、感光体へのフィルミングが防止できる。外添剤が外添されていない未外添トナーを、トナーとして用いることもできる。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、および酸化亜鉛などの無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、およびスチレンなどの化合物、またはこれら化合物の共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、およびステアリン酸などの高級脂肪酸、またはこれらの高級脂肪酸の金属塩、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素などが挙げられる。
外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。また、外添剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒径は、10〜500nmであることが好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒径がこのような範囲であることによって、トナーの流動性がより向上する。
外添剤のBET比表面積は、20〜200m2/gであることが好ましい。
外添剤のBET比表面積がこのような範囲であることによって、トナーに適度な流動性および帯電性が付与できる。
2.トナー
本発明のトナーは、上記の実施形態であるトナーの製造方法で製造される。上記のトナーの製造方法によって得られるトナーは、機械的強度が充分で、耐ホットオフセット性および帯電安定性に優れる。
3.現像剤
本発明に係るトナーは、トナーのみからなる1成分現像剤として用いることができ、また、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。
また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒子径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
キャリアの粒子径が50μm以下であることにより、トナーとキャリアの接触機会が増え、個々のトナー粒子を適正に帯電制御でき、非画像部カブリが発生せず、かつ高画質な画像を形成することができる。
さらにキャリアの体積抵抗率は、好ましくは108Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上である。
キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cm2の容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、より好ましくは15〜40emu/gである。
一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となる。
また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れやすくなる。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40%〜80%であることが好ましい。
実施例1
[ポリエステル樹脂Aの作製]
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、および窒素導入管を備えた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸305g、イソフタル酸55g、無水トリメリット酸30gおよび不均化ロジン((商品名ロンヂスR、荒川化学工業社製:酸価157.2mgKOH/g)1400g、アルコール成分として、グリセリン300g、および1,3−プロパンジオール150g、反応触媒としてテトラーn−ブチルチタネート1.79g(酸成分およびアルコール成分の総量100重量部に対し、0.080重量部相当)を投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、250℃で10時間重縮合反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂A1(ガラス転移温度60℃、軟化温度112℃、重量平均分子量2800、Mw/Mn=2.3、酸価24mgKOH/g)(2000g)を得た。
[ポリエステル樹脂Bの作製]
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、および窒素導入管の付いた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸350g、イソフタル酸400g、および無水トリメリット酸50g、アルコール成分として、グリセリン125g、ビスフェノールAのPO2モル付加物((商品名ニューポールBP−2P、三洋化成工業社製)350g、およびビスフェノールAのPO3モル付加物(商品名ニューポールBP−3P、三洋化成工業社製)450g、反応触媒として、テトラーn−ブチルチタネート1.38gを投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、220℃で10時間重縮合反応させ、次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂B(ガラス転移温度61℃、軟化温度147℃、重量平均分子量29500、Mw/Mn=10.8、酸価22mmHg、THF不溶分40%)(1500g)を得た。
[ロジンとアクリル酸の反応生成物Cの作製]
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、および窒素導入管を備えた反応容器中に、ロジン(ロジン:日本シェラック工業社製)3380g(10モル)とアクリル酸1442g(10モル)を加え、170℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い未反応の酸成分を除去し、ロジンとアクリル酸の反応生成物C(4520g)を得た。
<混合工程S1>
ポリエステル樹脂Aと、ポリエステル樹脂Bと、カーボンブラック(商品名:MA−77、三菱化学社製)と、反応生成物Cと、電荷制御剤(商品名:LR−147、日本カーリット株式会社製)と、シランカップリング剤(商品名:Z−6040、東レダウコーニング株式会社製)と離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、クラリアント社製、融点:127℃)を、表1に示す割合で、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)に投入し、周速40m/secの撹拌速度で10分間混合し、混合物(4900g)を作成した。
<溶融混練工程S2>
前記混合工程S1で得た混合物(4900g)を、混練機(商品名:ニ軸混練機PCM−60、株式会社池貝製)にて、シリンダ設定温度80〜120℃(最高温度120℃)、回転数250rpm、供給量5kg/hで溶融混練し、溶融混練物(4000g)を得た。
<冷却粉砕工程S3>
前記溶融混練工程S2で得た溶融混練物(4000g)を、室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物を、カウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)で微粉砕した。
<分級工程S4>
前記冷却粉砕工程S3で得た粉砕物(3500g)を、ロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、未外添トナー(3000g)を得た。
<外添工程S5>
前記分級工程S4で得た未外添トナー100重量部(500g)に対して、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理された疎水性シリカ微粉子A(商品名R974、日本アエロジル社製)(BET比表面積170m2/g)および酸化チタン(商品名T805、日本アエロジル社製)(BET比表面積50m2/g)0.5重量部(2.5g)を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合し、実施例1のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(2000g)を得た。
実施例2
ロジンとアクリル酸の反応生成物Cを5重量部添加したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーE(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(2000g)を得た。
実施例3
ロジンとアクリル酸の反応生成物Cを20重量部添加したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーE(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(2000g)を得た。
比較例1
ロジンとアクリル酸の反応生成物Cを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様にしてトナーD(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(2000g)を得た。
比較例2
ロジンとアクリル酸の反応生成物Cを30重量部添加したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーE(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(2000g)を得た。
[定着ローラ汚れ評価]
定着ローラ汚れは、シャープ株式会社製複合機(製品名:MX−4501FN)を用いて、100K枚エージングを行い、目視で定着ローラ汚れの有無を確認した。評価基準を以下に示す。
「G」:good(良好):良好。目視で定着ローラ汚れを確認できない。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。目視で定着ローラ汚れが少し確認できる。
「B」:bad(不良):不良。目視で定着ローラ汚れを明確に確認できる。
Figure 2012226263
これらの結果から、モノマー成分として不均化ロジン25〜50重量%を含むバインダー樹脂とカーボンブラックを含む溶融混練法トナーにおいて、ロジンとアクリル酸との反応生成物が添加されることによって、カーボンブラックと樹脂中のロジン成分と親和性が高まり、バインダー樹脂中にカーボンブラックが均一に分散されやすくなると考えられる。その結果、定着汚れを防止できたと推定される。
本発明によれば、バイオマス由来のロジンの含有量が高く、耐ホットオフセット性および帯電安定性、並びに耐凝集性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法が提供される。

Claims (5)

  1. 少なくともベンゼンジカルボン酸および不均化ロジンとグリセリンとからなるポリエステル樹脂Aならびに少なくともベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体からなるポリエステル樹脂Bを含むバインダー樹脂;ロジンとアクリル酸との反応生成物C;およびカーボンブラックを含み、前記バインダー樹脂が、25〜50重量%の不均化ロジンを含むことを特徴とするトナー。
  2. 前記ベンゼンジカルボン酸が、テレフタル酸およびイソフタル酸であり、前記ビスフェノールA誘導体が、ビスフェノールAのPO2モル付加物およびPO3モル付加物である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ポリエステル樹脂AおよびBが、さらに無水トリメット酸を構成成分として含む請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記反応生成物Cが、前記カーボンブラックに対して重量比で5〜20重量%の割合で含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
  5. 少なくともバインダー樹脂とカーボンブラックを含むトナーにおいて、少なくともベンゼンジカルボン酸、不均化ロジンおよびグリセリンから製造されるポリエステル樹脂Aおよびベンゼンジカルボン酸およびビスフェノールA誘導体から製造されるポリエステル樹脂Bを含むバインダー樹脂、ロジンとアクリル酸との反応生成物C、カーボンブラックおよび離型剤とを混合して混合物を作製する混合工程;
    前記混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程;
    前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を作製する冷却粉砕工程;および
    前記粉砕物を分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110527470A (zh) * 2019-08-29 2019-12-03 苏州瀚海新材料有限公司 一种用于ffc的胶黏剂组合物

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