JP2015014621A - トナー、及びそれを備えた画像形成装置、及びそのトナーの製造方法 - Google Patents

トナー、及びそれを備えた画像形成装置、及びそのトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた色調安定に加えて、耐高温オフセット性に優れるトナー、それを備えた画像形成装置及びそのトナーの製造方法を提供する。【解決手段】 少なくとも結着樹脂、酸化チタン、着色剤及び離型剤を含むトナーであって、結着樹脂は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bを含み、酸化チタンは、少なくともポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのどちらか一方と架橋構造を有し、且、結着樹脂100重量部に対し、2〜20重量部含有される。【選択図】 図1

Description

本発明は、トナー、トナーの製造方法及び画像形成装置に関する。
地球温暖化対策としての二酸化炭素削減のために、バイオマスとよばれる植物由来の資源の利用が注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の収支はゼロである。このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルであるバイオマスの利用は、大気中の二酸化炭素量を増加させないと考えられている。
電子写真の分野においても、環境安全性に優れ、二酸化炭素の増加の抑制に有効な資源であるバイオマスを利用する取り組みがなされている。特に、電子写真の潜像の現像に用いられるトナーでは、植物由来の資源として、松脂から採取される不均化ロジンを必須成分として含んだトナーが用いられている。しかし、不均化ロジンを含むトナーは、日光などにさらすと紫外線の影響を受けて色調の劣化が大きく、耐光性の改善が求められている。
耐光性が改善されたトナーとして、例えば特許文献1に記載されている電子写真用トナーが開示されている。特許文献1記載の電子写真用トナーは、粒径100nm以下の酸化チタン微粒子からなる紫外線吸収剤を、結着樹脂、着色剤及び紫外線吸収剤の合計量に対し、5〜30%含ませることで耐光性の改善を図っている。
特開2010−79008
しかしながら、特許文献1記載の電子写真用トナーでは、紫外線による着色剤の劣化は防げるが、トナーの熱特性、特に粘弾性特性の維持が困難であるという課題がある。特に、不均化ロジンを含むトナーでは、不均化ロジンの粘弾性特性が低いため、トナーの粘弾性特性が低くなり、高温オフセットが発生しやすくなる。
そこで本発明は、上記課題を顧みてなされたものであり、その目的は、優れた色調安定に加えて、耐高温オフセット性に優れるトナー、それを備えた画像形成装置及びトナーの製造方法を提供するところにある。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、酸化チタン、着色剤及び離型剤を含むトナーであって、結着樹脂は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bを含み、酸化チタンは、少なくともポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのどちらか一方と架橋構造を有し、且、結着樹脂100重量部に対し、2〜20重量部含有されることを特徴とするトナーである。
また、酸化チタンの体積平均径が5nm以上100nm以下であってもよい。
また、ポリエステル樹脂Bの酸価が18mgKOH/g以上かつ28mgKOH/g以下であってもよい。
本発明の画像形成装置は、本発明のトナーを備えた画像形成装置である。
また、本発明のトナーの製造方法は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bと、酸化チタンと、着色剤と、離型剤とを、混合して混合物を得る混合工程と、混合物に紫外線を照射し、紫外線吸収混合物を得る紫外線照射工程と、紫外線吸収混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る溶融混練工程と、を含むトナーの製造方法である。
本発明によれば、トナーの紫外線による色調劣化を抑制し、且、高温オフセット性が向上したトナーを得られる。
本発明の実施形態1に係るトナーの製造方法の手順を示す工程図である。 本発明の実施形態2に係る本発明のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本発明が具現化された一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは勿論である。
〔実施形態1〕
まず、本発明の実施形態1として、本発明に係るトナー及びそのトナーの製造方法を説明する。
本発明に係るトナーは、少なくとも結着樹脂、酸化チタン、着色剤及び離型剤を含むトナーであって、結着樹脂は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bを含み、酸化チタンは、少なくともポリエステルA樹脂とポリエステル樹脂Bのどちらか一方と架橋構造を有し、且、結着樹脂100重量部に対し、2〜20重量部含有する。本発明のトナーによれば、結着樹脂と酸化チタンの架橋構造によって、紫外線を画像内部の着色剤などの分子まで到達させることを防ぐので、トナーの色調が安定し、且、高温オフセット性が向上する。
図1は、本発明の実施形態1に係るトナーの製造方法の手順を示す工程図である。本発明のトナーは、本発明に係るトナーの製造方法によって製造される。本発明に係る実施形態1のトナーの製造方法は、乾式法による粒子形成方法であり、少なくとも混合工程S1と、紫外線照射工程S2と、溶融混練工程S3と、を有することを特徴とする。
(混合工程S1)
混合工程S1では、結着樹脂、酸化チタン及びその他添加剤を混合機によって乾式混合して混合物を得る。添加剤としては、着色剤、離型剤、電荷制御剤が挙げられ、必要に応じて添加する。
ここで、混合工程S1において、混合される本発明の実施形態1に係るトナーの各成分について詳細に説明する。
(結着樹脂)
本発明の結着樹脂は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bとを含む、結着樹脂である。
ポリエステル樹脂Aは、少なくとも酸成分としての芳香族ジカルボン酸及び不均化ロジンと多価アルコールとしてのグリセリンとを、公知の重縮合反応方法によって作製される。
反応方法としては、エステル交換反応または直接エステル化反応が適用できる。また、加圧により反応温度を上昇させることなどによって重縮合を促進させることもできる。
上記反応においては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びマンガンのうち、少なくとも1種の金属化合物など、公知慣用の反応触媒を用い、反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量は、酸成分及び多価アルコールの総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましい。
ポリエステル樹脂Aに用いられる芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリエステル樹脂Aの酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸の代わりに、芳香族ジカルボン酸無水物、または芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
上記の芳香族ジカルボン酸のうち、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの低級アルキルエステルの少なくとも1種を用いることが好ましい。テレフタル酸及びイソフタル酸は、芳香環骨格による電子の共鳴安定化効果が高く、帯電安定性に優れ、適度な強度を有する樹脂を得ることができる。テレフタル酸及びイソフタル酸の低級アルキルエステルとしては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチルなどが挙げられる。このうち、コスト及び取り扱い容易性の観点から、テレフタル酸ジメチルまたはイソフタル酸ジメチルを用いることがより好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂Aに用いられる不均化ロジンとしては、ロジンの不均化反応によって得られる。通常、ロジンは、松材をクラフト法によってパルプ化する製造工程で、副生する粗トール油を水蒸気蒸留して得られるトールロジン、松の樹幹に傷をつけ、採集した生松ヤニを水蒸気蒸留して得られるガムロジン及び伐採した松の根株をチップ状にして有機溶剤で抽出し、さらに蒸留して得られるウッドロジンがある。これらのロジンは、従来知られた製法によって得られる。
ロジンは、その約90%が樹脂酸であり、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、イソピマル酸及びサンダラコピマル酸などの樹脂酸の混合物を主成分としている。
ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム活性炭触媒(米国特許第2177530号公報)、硫黄系触媒(特公昭49−5360号公報)またはヨウ素系触媒(特開昭51−34896号公報)などを用いて行われる。
これらの不均化反応により2分子のロジンが反応し、ロジンの1分子は二重結合が3つに増え、芳香族化合物となり、片方のロジン1分子は、共役二重結合の1つの2重結合が水素化され単独の2重結合を有する不均化ロジンとなる。これらの不均化ロジンは、不安定な共役二重結合を有するロジンに比べて変質しにくいという特徴がある。
不均化ロジンの主成分は、ジヒドロアビエチン酸及びジヒドロアビエチン酸の混合物である。不均化ロジンは、ヒドロフェナンスレン環の嵩高で剛直な骨格を含むので、不均化ロジンを結着樹脂の構成成分として導入することによって、不均化ロジン以外のロジンを用いる場合よりも見かけのガラス転移温度の上昇を促進させ、保存性の良好なトナーを得ることができる。
したがって、本発明におけるポリエステル樹脂Aには、上記の不均化ロジンが用いられる。
また、不均化ロジンの含有量は、環境安全性に優れたトナーを得るために、ポリエステル樹脂Aの前提となる構成として、出発物質全量における不均化ロジンの含有量を60重量%以上としている。特に、不均化ロジンの含有量は、ポリエステル樹脂A100重量%に対して60重量%〜75重量%が好ましい。
不均化ロジンの含有量が60重量%未満であると、バイオマスを利用することによる地球環境保全の効果が低く、不均化ロジンの含有量が75重量%を超えると、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
ポリエステル樹脂Aに用いられる多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3−プロパンジオール及びペンタエリスリトールなどが挙げられ、これらの多価アルコールのうち、少なくとも1種を使用できる。このうち、グリセリンは、植物由来の原料から製造する手法が工業的に確立されており、入手も容易であり、バイオマスの利用を促進する効果が得られるのでより好ましい。
多価アルコールのモル比は、ポリエステル樹脂Aにおいて、芳香族ジカルボン酸に対して、1.05〜1.65であることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸に対する多価アルコールのモル比が1.05未満の場合、樹脂の高分子量側の分子量分布が広くなり、融点が高くなることによってトナーの低温定着性が低下し、また、分子量分布の広がりを制御できなくなる結果、トナーのゲル化が起こる。
芳香族ジカルボン酸に対する多価アルコールのモル比が1.65を超える場合、ポリエステル樹脂Aの分岐構造が少なくなってしまうので、軟化温度及びガラス転移温度が低下し、その結果、トナーの保存性が低下する。
上記のように、ポリエステル樹脂Aは、少なくとも酸成分としての芳香族ジカルボン酸及び不均化ロジンと多価アルコールとしてのグリセリンとを重縮合して得られる。
ポリエステル樹脂Aは、酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸及び不均化ロジン以外に、脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類、炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類、ダイマー酸などが挙げられる。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量は、芳香族ジカルボン酸100モルに対し、0.5モル〜15モルであることが好ましく、1モル〜13モルであることがより好ましい。ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量が上記の範囲であることで、トナーの低温定着性が向上する。
3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物などが挙げられる。これらの芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。これらの芳香族ポリカルボン酸のうち、反応性の観点から、無水トリメリット酸を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aにおける3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸の含有量は、芳香族ジカルボン酸100モルに対し、0.1モル〜5モルであることが好ましく、0.5モル〜3モルであることがより好ましい。ポリエステル樹脂Aにおける3価以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量が0.1モル未満であると、ポリエステル樹脂Aの分岐構造が充分でなく、高分子量側に分布の広いポリエステル樹脂Aを得ることができないので、トナーの耐高温オフセット性が低下するおそれがある。また、5モルを超えると、ポリエステル樹脂Aの軟化温度が高くなるので、トナーの低温定着性が低下するおそれがある。
また、ポリエステル樹脂Aは、多価アルコールとして、3価以上のアルコール以外に、脂肪族ジオール及びエーテル化ジフェノールの少なくとも1種をさらに用いることができる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの脂肪族ジオールのうち、酸との反応性及び樹脂のガラス転移温度の観点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、またはネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。これら脂肪族ジオールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ジオールの含有量は、芳香族ジカルボン酸100モルに対し、5〜20モルであることが好ましい。
エーテル化ジフェノールは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールである。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられ、ビスフェノールA1モルに対して、平均付加モル数が2〜16モルとなるよう付加されることが好ましい。
結着樹脂中のポリエステル樹脂Aの含有量は、結着樹脂100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの含有量が20重量部未満であると、得られるトナーの粘度が高くなり、トナーの低温定着性が損なわれる。また、ポリエステル樹脂Aの含有量が60重量部を超えると、ロジンの含有量が高くなるため、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
本発明によるポリエステル樹脂Bは、少なくとも酸成分として芳香族ジカルボン酸及び多価アルコールとを重縮合して得られる。また、ポリエステル樹脂Bは、実質的にロジンを含まないポリエステル樹脂であり、トナーに高温オフセット耐性を付与するため、高分子量かつ高粘度を有することが好ましい。
ポリエステル樹脂Bは、ポリエステル樹脂Aと同様に、公知の重縮合の反応方法によって製造される。また、反応方法としても、ポリエステル樹脂Aと同様に、エステル交換反応または直接エステル化反応が適用できる。また、加圧により反応温度を上昇させることなどによって重縮合を促進することもできる。
さらに、上記反応においては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びマンガンのうち、少なくとも1種の金属化合物など、公知慣用の反応触媒を用い、反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量は、酸成分及び多価アルコールの総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましい。
ポリエステル樹脂Bの酸成分としては、ポリエステル樹脂Aと同様の芳香族ジカルボン酸を用いることができる。ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bが含む芳香族ジカルボン酸は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、ポリエステル樹脂Bは、出発物質の酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸以外に、ポリエステル樹脂Aと同様の脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。これらの酸成分は、ポリエステル樹脂A及びBで同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
また、ポリエステル樹脂Bの酸成分として、飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸などの多塩基酸、その酸無水物、及びこれらの低級アルキルエステルを用いることができる。
飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、及び飽和多塩基酸の低級アルキルエステルとしては、例えばアジピン酸、セバシン酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、無水コハク酸、炭素数8〜18個のアルキルコハク酸、アルキル無水コハク酸、アルケニルコハク酸、アルケニル無水コハク酸などの二塩基酸類;トリメリット酸、無水トリメリット酸、シアヌール酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
不飽和多塩基酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。また、必要に応じ、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸などの一塩基酸を用いてもよい。
ポリエステル樹脂Bの多価アルコールとしては、ポリエステル樹脂Aと同様に、3価以上のアルコール、脂肪族ジオール及びエーテル化ジフェノールを用いることができ、ポリエステル樹脂Aと同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。また、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール類を用いてもよい。多価アルコールは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、必要に応じてステアリルアルコールなどのモノアルコール類を、本発明の効果を損なわない範囲内で用いてもよい。
結着樹脂の酸価は、特に制限されず、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、18mgKOH/g以上28mgKOH/g以下であることが好ましい。結着樹脂の酸化が18mgKOH/g以上28mgKOH/gの範囲であれば、溶融混練工程S3において、結着樹脂の末端基である、例えばCH基あるいはOH基などと酸化チタン表面のOHラジカルが架橋反応を効果的に促進させることができる。
ポリエステル樹脂Bの粘度は、ポリエステル樹脂Aの軟化温度において10〜10Pa・sが好ましい。ポリエステル樹脂Aの軟化温度におけるポリエステル樹脂Bの粘度が10Pa・s未満であると、トナーの耐高温オフセット性が得られ難い。
また、ポリエステル樹脂Aの軟化温度におけるポリエステル樹脂Bの粘度が10Pa・sを超えると、溶融混練時におけるポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの溶融粘度差が大きく、樹脂の混合性が悪くなり、トナー中のポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bの分散性が不均一となる。その結果、トナー粒子においてポリエステル樹脂Aの比率が高い部分は破壊され易く、破壊によって粒子径の小さな微粉が発生する。このような微粉により、粒度分布及び帯電分布が広くなり、画像かぶりなどの不具合が生じ易くなる。
ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの保存性及び低温定着性などを考慮すると、45〜80℃が好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bのガラス転移温度が45℃未満であると、トナーの保存性が不充分になるため画像形成装置内部でトナーが熱凝集しやすくなり、現像不良の発生、及び高温オフセットが発生し始める温度の低下の原因になる。
(酸化チタン)
本発明の酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型のいずれの結晶型の酸化チタンが利用される。
酸化チタンの含有量は、結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましい。酸化チタンの含有量が結着樹脂100重量部に対し2重量部未満の場合、酸化チタン表面のOHラジカルと結着樹脂の末端基である、例えばCH基あるいはOH基などとの架橋反応が進まない。一方で、酸化チタンの含有量が結着樹脂100重量部に対し20重量部を超える場合は、酸化チタン表面のOHラジカルと結着樹脂の末端基である、例えばCH基やOH基などとの架橋反応が進み、画質が落ちてガサツキが顕著になる。
また、本発明による酸化チタンは、その粒径が5nm以上100nm以下の粉末を用いることが好ましい。粒径が5nm未満の酸化チタンは製造自体が難しく、粒径が200nm以上の酸化チタンは光触媒活性が不十分になり、OHラジカルが生成しなくなる。また、酸化チタンの粒径が100nmを超える場合は、得られるトナーの透明性や発色性が損なわれる可能性がある。そのため、酸化チタン微粒子の好ましい粒径の範囲は、5nm〜100nmである。
(着色剤)
本発明のトナーに含まれる着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。特に、染料及び顔料のうち、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性及び発色性に優れるので、耐光性及び発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤の添加量としては、一般に結着樹脂100重量部に対して3〜10重量部が添加される。
黄色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、及びC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄及び黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、及び、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、及びC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、及び、C.I.ダイレクトブルー86、KET.BLUE111などが挙げられる。
黒色の着色剤としては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、及びアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
(離型剤)
本発明のトナーに含まれる離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナウバワックス、及びライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、及びフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。
また、本発明のトナーに含まれる離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。離型剤の添加量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類及び含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、3重量部〜10重量部である。離型剤の添加量が3重量部未満であると、低温定着性及び耐高温オフセット性が充分に向上し難い。離型剤の添加量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができない。また、トナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生し易い。
また、離型剤の融点(Tm)は、50℃〜180℃であることが好ましい。融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融し、トナー粒子同士の凝集や、感光体表面へのフィルミングなどが発生する。一方で、融点が180℃を超えると、トナーを記録媒体に定着する際に離型剤が充分に溶出することができず、耐高温オフセット性が充分に向上しない。
(電荷制御剤)
本発明のトナーに含まれる電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用及び負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸ならびにサリチル酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体及びホウ素錯体、サリチル酸塩化合物、ナフトール酸ならびにナフトール酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体及びホウ素錯体、ナフトール酸塩化合物、ベンジル酸塩化合物、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩などの界面活性剤を挙げることができる。
電荷制御剤の添加量は、ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bからなる結着樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
混合照射工程S1で用いられる混合機としては、紫外光を照射できるものであれば、公知の物を使用でき、例えば、例えば、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(株式会社カワタ製)、メカノミル(岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置や、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
(紫外線照射工程S2)
紫外線照射工程S2では、混合工程S1で得た混合物に紫外線を照射し、紫外線吸収混合物を得る。その目的は、混合工程S1で得た混合物に紫外線を照射することで、混合物に含まれる酸化チタンの表面にOHラジカルを生成させるためである。
紫外線を照射する条件として、例えば、紫外線照射装置を用いて、ランプ出力120W/cm、波長365nmの紫外線を1時間程度照射する。しかし、本発明は、上述の紫外線照射条件に限定されるものでない。
(溶融混練工程S3)
溶融混練工程S3では、紫外線照射工程S2で得た紫外線吸収混合物を、混練機によって溶融混練して、結着樹脂に酸化チタン及びその他添加剤を均一に分散させた溶融混練物を得る。
溶融混練の際に、紫外線照射工程S2において、酸化チタンの表面に生成したOHラジカルが、結着樹脂のポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bの末端基、例えばCH基あるいはOH基などと、架橋反応を行う。この架橋反応により、結着樹脂に酸化チタンを介した架橋構造が生成される。
結着樹脂の酸化チタンを介した架橋構造によって、得られるトナーの粘弾性特性を向上させることができ、耐高温オフセット性に優れたトナーを得ることができる。また、得られるトナーは、結着樹脂の酸化チタンを介した架橋構造によって、結着樹脂に着色剤などの添加剤が覆われ、紫外線をトナー内部の着色剤などの分子まで到達させないので、色調が安定し、耐光性が向上する。
溶融混練工程S3で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。また、溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。
溶融混練の加熱温度は、使用する混練機によるが、80〜200℃であることが好ましい。このような範囲の温度下で溶融混練を行うことで、結着樹脂中に、必要に応じて混合工程で添加された添加剤を均一に分散させることができる。
(冷却粉砕工程S4)
冷却粉砕工程S4では、溶融混練工程S3で得られた溶融混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物を得る。
冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、体積平均粒径100μm〜5mm程度の粗粉砕物に粗粉砕する。そこで、得られた粗粉砕物は、例えば、体積平均粒径15μm以下にまで、さらに微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、例えば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子と固定子との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
(分級工程S5)
分級工程S5では、冷却粉砕工程S4で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子及び粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーを得る。過粉砕トナー粒子及び粗大トナー粒子は、回収して他のトナーの製造に再利用することができる。
分級には、遠心力及び風力による分級により過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、例えば、旋回式風力分級機などを使用することができる。
分級後に得られる未外添トナーの体積平均粒径は、3〜15μmであることが好ましい。高画質画像を得るためには、未外添トナーの体積平均粒径が3〜9μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。
未外添トナーの体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さいため、高帯電化及び低流動化が起こる。トナーの高帯電化及び低流動化によって、トナーが感光体に安定して供給されず、地肌かぶり及び画像濃度の低下などが発生し易くなる。未外添トナーの体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいため、高精細な画像を得られ難い。また、粒径が大きくなることでトナーの比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。その結果、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生する。
(外添工程S6)
外添工程S6では、分級工程S5で得られた未外添トナーと外添剤とを混合してトナーを得る。外添剤の添加によって、トナーの流動性及び感光体表面における残留トナーのクリーニング性が向上し、感光体へのフィルミングが防止できる。外添剤が外添されていない未外添トナーを、本発明のトナーとして用いることもできる。
外添剤としては、公知のものを使用でき、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、及び酸化亜鉛などの無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、及びスチレンなどの化合物、またはこれら化合物の共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、及びステアリン酸などの高級脂肪酸、またはこれらの高級脂肪酸の金属塩、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素などが挙げられる。
外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。また、外添剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜5重量部であることが好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒径は、10〜500nmであることが好ましい。外添剤の1次粒子の個数平均粒径がこのような範囲であることによって、トナーの流動性がより向上する。
また、外添剤のBET比表面積は、20〜200m/gであることが好ましい。外添剤のBET比表面積がこのような範囲であることによって、トナーに適度な流動性及び帯電性が付与できる。
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2として、本発明に係る画像形成装置について説明する。
図2は、実施形態2に係る本発明のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置を示す概略構成図である。
同図において、実施形態2に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム1を有し、この感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1を帯電する帯電装置2と、この感光体ドラム1上に静電潜像3を形成する潜像形成装置としての例えば露光装置4と、感光体ドラム1上に形成された静電潜像3を可視像化する現像装置5と、感光体ドラム1上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙6に転写する転写装置7と、感光体ドラム1上の残留トナーを清掃するクリーニング装置8とを順次配設したものである。
実施形態2に係る画像形成装置において、現像装置5は、図2に示すように、本発明に係るトナーを含む現像剤9が収容される現像ハウジング10を有し、この現像ハウジング10には感光体ドラム1に対向して現像用開口11を開設すると共に、この現像用開口11に面してトナー保持体としての現像ロール12を配設し、この現像ロール12に定められた現像バイアスを印加することで、感光体ドラム1と現像ロール12とに挟まれる領域の現像領域に現像電界を形成する。さらに、現像ハウジング10内には現像ロール12と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール13を設けたものである。特に、実施形態2に係る画像形成装置では、電荷注入ロール13は現像ロール12に本発明に係るトナーを含む現像剤9を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
次に、本発明の実施形態2に係る画像形成装置の作像プロセスについて説明する。
作像プロセスが開始されると、まず、感光体ドラム1表面が帯電装置2により帯電され、露光装置4が帯電された感光体ドラム1上に静電潜像3を書き込み、現像装置5が静電潜像3をトナー像として可視像化する。その後、感光体ドラム1上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置7が被転写体である記録紙6に感光体ドラム1上のトナー像を静電的に転写する。なお、感光体ドラム1上の残留トナーはクリーニング装置8にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙6上のトナー像が被記録媒体に定着され、画像が得られ、一連の作動プロセスが終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、被転写体である記録紙6に直接転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から中間転写ベルト等にトナー画像を1次転写し、中間転写ベルト等を介してトナー画像を記録紙に2次転写する構成であってもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
[結着樹脂の作製]
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、及び窒素導入管を備えた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸305g、イソフタル酸55g、無水トリメリット酸30g及び不均化ロジン(荒川化学工業社製:酸価157.2mgKOH/g)1400g、アルコール成分として、グリセリン300g、及び1,3−プロパンジオール150g、反応触媒としてテトラーn−ブチルチタネート1.79gを投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、250℃で10時間重縮合反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度60℃、軟化温度112℃、重量平均分子量2800、Mw/Mn=2.3、酸価24mgKOH/g)(2000g)を得た。
次に、撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸350g、イソフタル酸400g、及び無水トリメリット酸50g、アルコール成分として、グリセリン125g、ビスフェノールAのPO2モル付加物(商品名ニューポールBP−2P、三洋化成工業社製)350g、及びビスフェノールAのPO3モル付加物(商品名ニューポールBP−3P、三洋化成工業社製)450g、反応触媒として、テトラーn−ブチルチタネート1.38gを投入した。
これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、220℃で10時間重縮合反応させ、次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂B(ガラス転移温度61℃、軟化温度147℃、重量平均分子量29500、Mw/Mn=10.8、酸価22mg/KOH)(1500g)を得た。
[混合工程S1]
結着樹脂100重量部(ポリエステル樹脂A40重量部及びポリエステル樹脂B60重量部)と、酸化チタン3重量部と、着色剤(C.1ピグメンレッド57:1)3重量部と、電荷制御剤(商品名:LR−147、日本カーリット株式会社製)1.5重量部と、離型剤(商品名:ビスコール550P、三洋化成社製)3重量部とを、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)に投入し、周速40m/secの撹拌速度で10分間混合し、混合物(3000g)を作成した。
[紫外線照射工程S2]
混合工程S1で得た混合物(3000g)に、高圧水銀ランプを用いて、ランプ出力120W/cm、波長365nmの紫外線を1時間照射し、紫外線吸収混合物(2000g)を得た。
[溶融混練工程S3]
紫外線照射工程S2で得た紫外線吸収混合物(3000g)を5kg/hで混練機(商品名:二軸混練機PCM−60、株式会社池貝製)に供給し、シリンダ設定温度80℃〜120℃(最高温度120℃)、回転数250rpm、溶融混練し、溶融混練物(2000g)を得た。
[冷却粉砕工程S4]
前記溶融混練工程S3で得た溶融混練物(2000g)を、室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物を、カウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)で微粉砕した。
[分級工程S5]
前記冷却粉砕工程S4で得た粉砕物(3500g)を、ロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、未外添トナー(1500g)を得た。
[外添工程S6]
前記分級工程S5で得た未外添トナー100重量部(1500g)に対して、シランカップリング剤で表面処理された疎水性シリカ微粉子(商品名R974、日本アエロジル社製)(BET比表面積170m/g)0.5重量部(7.5g)を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合し、実施例1のトナーA(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例2>
酸化チタンの添加量を2.0重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーB(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例3>
酸化チタンの添加量を10重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーC(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例4>
酸化チタンの添加量を20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーD(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例5>
酸化チタンの粒径を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーE(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例6>
酸化チタンの粒径を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーF(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例7>
ポリエステルBの作製において、グリセリンを100g、縮重合時間を8時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーG(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例8>
ポリエステルBの作製において、グリセリンを140g、縮重合時間を12時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーH体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例9>
ポリエステルBの作製において、無水トリメリット酸40g、グリセリンを150g、縮重合時間を15時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーI(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<実施例10>
ポリエステルBの作製において、無水トリメリット酸60g、グリセリンを100g、縮重合時間を6時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーJ(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
<比較例1>
混合工程S1において、酸化チタンの粒径を添加しなかったことを除いて、実施例1と同様にしてトナーK(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(1500g)を得た。
表1に実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kにおける結着樹脂の作製条件及び樹脂酸化を示す。また、表2に実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kにおける各組成物の配合比率及び使用した酸化チタンの粒径、結着樹脂の樹脂酸化を示す。
上記のように作製した実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kを以下に示す評価方法で、耐光性、定着性及び画質評価を行った。
[耐光性評価]
実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kを、非磁性二成分現像装置(シャープ製:カラープリンタ型式:MX−4500FN)に実装し、普通紙を用いて印字した画像に紫外光を200時間連続照射し、SPECTRODENSITMETER938(X-Rite社製)を用いて、色相変化の差ΔEを測定した。
耐光性の評価基準は次のとおりである。
○:ΔEが2.0未満で、実使用上特に良好である。
△:ΔEが2.0以上5.0未満で、実使用上良好である。
×:ΔEが5.0以上10.0未満で実用可能である。
[定着性評価]
実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kを、非磁性二成分現像装置(シャープ製:カラープリンタ型式:MX−4500FN)に実装し、標準環境(室温25℃、湿度50%RH)にて、黒ベタ(0.5mg/cm)、ハーフトーンを未定着のまま印字した。その後、上記現像装置の外部定着機を用いて、各温度の定着オフセットバンドを調べた。定着ローラの温度モニターは、非接触の温度計を用いて行った。
定着性の評価基準は次のとおりである。
○:5℃〜10℃以上広がった。
△:0℃〜5℃広がった。
×:効果は得られなかった。
[画質評価]
実施例1〜10及び比較例1のトナーA〜Kを、非磁性二成分現像装置(シャープ製:カラープリンタ型式:MX―4500FN)に実装し、標準環境(25℃、50%RH)にて、SHARP美人チャートを用いガサツキを目視で評価した。なお、画質評価は下記の基準で行った。
○:画質は良好であった。
△:実使用上良好である。
×:ガサツキが見受けられる。
以上の評価手法による実施例1〜10及び比較例1の評価結果を表3に示す。
これらの結果から、紫外線を照射された酸化チタンを含む実施例1〜10で得られたトナーA〜Jは、いずれも、酸化チタンが添加されていない比較例1で得られたトナーKよりも、画像の耐光性に優れており、さらに定着性にも優れていることが分かった。
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 静電潜像
4 露光装置
5 現像装置
6 記録紙
7 転写装置
8 クリーニング装置

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、酸化チタン、着色剤及び離型剤を含むトナーであって、
    前記結着樹脂は、少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bを含み、
    前記酸化チタンは、少なくとも前記ポリエステル樹脂Aと前記ポリエステル樹脂Bのどちらか一方と架橋構造を有し、且、前記結着樹脂100重量部に対し、2〜20重量部含有されることを特徴とするトナー。
  2. 前記酸化チタンの体積平均径が5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂の酸価が18mgKOH/g以上かつ28mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1、あるいは請求項2に記載のトナー。
  4. トナーの製造方法であって、
    少なくとも芳香族ジカルボン酸、不均化ロジン及び多価アルコールとからなるポリエステル樹脂Aと、少なくとも芳香族ジカルボン酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂Bと、酸化チタンと、着色剤と、離型剤とを、混合して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物に紫外線を照射し、紫外線吸収混合物を得る紫外線照射工程と、
    前記紫外線吸収混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る溶融混練工程と、を含むトナーの製造方法。
  5. 請求項1から3に記載のトナーを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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