JP2012173322A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、バイオマス由来のロジンの含有量が高く、耐ホットオフセット性および帯電安定性、並びに耐凝集性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤を含むトナーにおいて、前記結着樹脂は、芳香族ジカルボン酸、ロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含むことを特徴とするトナーにより、上記の課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナーおよびその製造方法に関する。
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、例えば電子写真方式の画像形成プロセスに用いられる。
電子写真方式の画像形成プロセスを利用する画像形成装置においては、一般的に、潜像担持体である感光体ドラム表面の感光層を均一に帯電させる帯電工程;帯電状態にある感光体ドラム表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する露光工程;感光体ドラム表面の静電潜像に電子写真用トナーを供給して顕像化する現像工程;感光体ドラム表面のトナー像を紙やOHPシートなどの記録媒体に転写する転写工程;トナー像を加熱、加圧などにより記録媒体上に定着させる定着工程;およびトナー像転写後の感光体ドラム表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードにより除去して清浄化するクリーニング工程;を実行して記録媒体上に所望の画像が形成される。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
このような画像形成に使用される電子写真用トナーは、例えば混練粉砕法、懸濁重合法および乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって製造される。
このうち混練粉砕法では、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造することもできる。
近年、地球環境保全の観点から、様々な技術分野において多くの取り組みがなされている。現在、多くの製品の材料が石油から製造されているが、これらの材料の製造時や焼却時には、エネルギーが必要であり、また、二酸化炭素が発生する。このようなエネルギーや二酸化炭素などを削減する取り組みは、地球温暖化対策として非常に重要である。
地球温暖化対策としての二酸化炭素削減の新たな取り組みとして、バイオマスとよばれる植物由来の資源の利用が大いに注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、大気中の二酸化炭素の収支はゼロであるものと考えられている。
このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルであるバイオマスの利用は、大気中の二酸化炭素量を増加させないと考えられている。
このようなバイオマスから製造されるバイオマス材料は、バイオマスポリマー、バイオマスプラスチック、非石油系高分子材料などの名称でよばれており、このようなバイオマス材料は、バイオマスモノマーとよばれるモノマーを原料とする。
電子写真の分野においても、環境安全性に優れ、二酸化炭素の増加の抑制に有効な資源であるバイオマスを利用する取り組みがなされている。
たとえば、特許文献1には、ロジンを必須成分として得られる軟化点80〜120℃のポリエステル樹脂と、多価エポキシ化合物を必須成分として得られる軟化点160℃以上のポリエステル樹脂とを含有し、低温定着性、耐ホットオフセット性、現像耐久性を兼ね備える電子写真トナーを得ることができる、電子写真トナー用樹脂組成物が開示されている。
特開2008−122509号公報
しかしながら、特許文献1に開示の方法で製造されるトナーでは、バイオマスの利用率を高めるために、樹脂組成物中のロジン含有量を多くすると、トナーが脆弱になる問題がある。このようなトナーを現像剤として使用した場合、現像槽内での撹拌などによるストレスにより、トナーが破砕されて、微粉が発生し、帯電量が不安定になることや、トナーの弾性が低下してホットオフセットが発生し易くなることや、耐ブロッキング性が低下して、凝集トナーが発生し易くなることが問題となる。
そこで、本発明は、バイオマス由来のロジンの含有量が高く、耐ホットオフセット性および帯電安定性、並びに耐凝集性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、鋭意努力研究を重ねた結果、芳香族ジカルボン酸と、バイオマス由来のロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂A、ならびに該ポリエステル樹脂Aとエポキシ樹脂Bとを架橋させて得られる架橋樹脂Cとを含むトナーが、耐ブロッキング性と耐ホットオフセット性に優れていることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして、本発明によれば、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤を含むトナーにおいて、前記結着樹脂は、芳香族ジカルボン酸、ロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含むことを特徴とするトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記ロジンが不均化ロジンであり、前記トナーが、トナー100重量部に対してロジン15〜45重量部を含有し、かつ前記ポリエステル樹脂Aが、含有量60%以上のロジンを含有するトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記エポキシ樹脂Bが、エポキシ当量400〜1000g/eqを有し、かつ前記結着樹脂100重量部に対して5〜15重量部の割合で含有するトナーが提供される。
さらに、本発明によれば、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤を含むトナーの製造方法であり、芳香族ジカルボン酸、ロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含む前記結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを混合して混合物を作製する混合工程;
前記混合物を溶融混練して、混練物を作製する溶融混練工程;
前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を作製する冷却粉砕工程;
前記粉砕物を分級する分級工程;
とを含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記混合工程が、前記ポリエステル樹脂Aと前記着色剤とを混合混練してマスターバッチを作製し、次いで前記エポキシ樹脂Bと前記マスターバッチとを混合して前記混合物を作製することを含むトナーの製造方法が提供される。
本発明者が、ロジン含有量を高めるために、出発物質として芳香族ジカルボン酸とロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aについて鋭意研究した結果、ロジンと多価アルコールとの反応性が低いことから、十分に重合されていない低分子量の樹脂(例えば、ロジンとアルコールの1:1反応生成物)が得られ、該樹脂を用いて作製したトナーは、軟らかく、高温での弾性率が低くなるものと考えられた。
そこで、本発明によれば、前記結着樹脂は、芳香族ジカルボン酸とロジンと多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含むことにより、耐ブロッキング性と耐ホットオフセット性に優れたトナーが得られる。
さらに、上記エポキシ樹脂Bが、60〜100℃の融点を有するエポキシ樹脂であることにより、本発明によるトナーは、高い耐ブロッキング性を有することができる。
より詳細には、本発明によれば、トナー中の結着樹脂が、芳香族ジカルボン酸とバイオマスであり、植物由来の、カルボキシル基を有するロジンおよび多価アルコールとの重縮合体であるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとが、上記ポリエステル樹脂Aの水酸基と、上記エポキシ樹脂Bが有するグリシジル基とが架橋することにより得られる架橋樹脂Cからなる成分とを含むことにより、耐ブロッキング性を損なうことなく、耐ホットオフセット性に優れたトナーが得られる。
本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。
本発明において用いられるロジンには、松材をクラフト法によってパルプ化する製造工程で、副生する粗トール油を水蒸気蒸留して得られるトールロジン;松の樹幹に傷をつけ、採集した生松ヤニを水蒸気蒸留して得られるガムロジン;および伐採した松の根株をチップ状にして有機溶剤で抽出し、さらに蒸留して得られるウッドロジンがある。これらのロジンは、従来知られた製法によって得られる。
ロジンは、その約90%が樹脂酸であり、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸およびサンダラコピマル酸等の樹脂酸の混合物を主成分としている。
ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム活性炭触媒(米国特許第2177530号公報)、硫黄系触媒(特公昭49−5360号公報)またはヨウ素系触媒(特開昭51−34896号公報)等を用いて行われる。
上記の不均化反応により2分子のロジンが反応し、1分子は2重結合が3つに増え、芳香族化合物となり、もう1分子は、共役2重結合の1つの2重結合が水素化され単独の2重結合を有する化合物となり、これらの不均化ロジンは、不安定な共役二重結合を有するロジンに比べて変質しにくいという特徴がある。
したがって、本発明におけるポリエステル樹脂Aに用いられるロジンとしては、安定性の観点から不均化ロジンが好ましい。
不均化ロジンの主成分は、デヒドロアビエチン酸およびジヒドロアビエチン酸の混合物である。不均化ロジンは、ヒドロフェナンスレン環の嵩高で剛直な骨格を含むので、不均化ロジンをポリエステルの構成成分として導入することによって、不均化ロジン以外のロジンを用いる場合よりも見掛けのガラス転移温度の上昇を促進させ、保存性の良好なトナーを得ることができる。
したがって、本発明において用いられている用語「ロジン」とは、上記のトールロジン、ガムロジンおよびウッドロジンに加えて、これらロジンの不均化反応により得られる不均化ロジンを含むものである。
1.トナーの製造方法
図1は、本発明のトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。本発明のトナーは、結着樹脂および着色剤を主成分とし、本発明に係るトナーの製造方法によって製造される。本発明に係るトナーの製造方法は、乾式法による粒子形成方法であり、混合工程S1と、溶融混練工程S2と、冷却粉砕工程S3と、分級工程S4と、外添工程S5とを含むが、これに限定されるものではない。
(1)混合工程S1
混合工程S1では、混合機を使用し、乾式混合により結着樹脂、着色剤およびベンジル酸化合物の混合物を作製する。この際、必要に応じて添加剤を加えることができる。
添加剤としては、磁性粉、離型剤、電荷制御剤などが挙げられる。
(結着樹脂)
本発明のトナーは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂Aを含有する。ポリエステル樹脂Aは、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用の原料として好適である。ポリエステル樹脂Aは、出発物質として多塩基酸などの酸成分と多価アルコールとを重縮合して得られる。
ポリエステル樹脂Aは、公知の重縮合の反応方法によって製造される。反応方法としては、エステル交換反応または直接エステル化反応が適用できる。また、加圧により反応温度を上昇させること、減圧または常圧下で不活性ガスを流すこと、などによって重縮合を促進することもできる。
上記反応においては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、およびマンガンのうち、少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒を用い、反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量は、酸成分および多価アルコールの総量100重量部に対して、0.01重量部〜1.0重量部が好ましい。
ポリエステル樹脂Aの作製においては、酸成分として芳香族ジカルボン酸およびロジンを用い、多価アルコールとして3価以上のアルコールが用いられる。芳香族ジカルボン酸およびロジンと多価アルコールとの反応によって、適度な分岐を有するポリオール構造が形成される。
ポリエステル樹脂が適度な分岐構造を含むことにより、樹脂の軟化温度を極端に大きくすることなくトナーの低温定着性を維持するとともに、樹脂の分子量分布を広くすることができ、高分子量側に分布の広い樹脂を得ることができるので、トナーの耐オフセット性が良好になる。
ポリエステル樹脂Aの作製に用いられる酸成分である芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂Aの酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸の代わりに、芳香族ジカルボン酸の酸無水物または低級アルキルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
上記の芳香族ジカルボン酸化合物のうち、テレフタル酸、イソフタル酸、および、それらの低級アルキルエステルの少なくとも1種を用いることが好ましい。
なお、上記の芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルを構成する低級アルキル基としては、C1〜C4アルキル基、すなわちメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびイソブチル基が挙げられる。
テレフタル酸およびイソフタル酸は、芳香環骨格による電子の共鳴安定化効果が高く、帯電安定性に優れ、適度な強度を有する樹脂を得ることができる。
テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエステルとしては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等が挙げられる。
このうち、コストおよび取り扱いの観点から、テレフタル酸ジメチルまたはイソフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸化合物は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂Aに用いられる多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられ、これらの多価アルコールのうち、少なくとも1種を使用できる。
このうち、グリセリンは、植物由来の原料から製造する手法が工業的に確立されており、入手も容易であり、バイオマスの利用を促進する効果が得られるのでより好ましい。
ポリエステル樹脂Aにおいて、芳香族ジカルボン酸化合物に対する多価アルコールのモル比は、1.05〜1.65であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸化合物に対する多価アルコールのモル比が1.05未満の場合、樹脂の高分子量側の分子量分布が広くなり、Tmが高くなることによってトナーの低温定着性が低下し、また、分子量分布の広がりを制御できなくなる結果、トナーのゲル化が起こる。モル比が1.65を超える場合、ポリエステル樹脂が含む分岐構造が少ないので、軟化温度およびガラス転移温度が低下し、その結果、トナーの保存性が低下する。
上記のように、ポリエステル樹脂Aは、芳香族ジカルボン酸、ロジンとおよび多価アルコールとを重縮合して得られる。
本発明は、環境安全性に優れたトナーを得るために、ポリエステル樹脂Aの前提となる構成として、出発物質全量におけるロジンの含有量を60重量%以上としている。
ロジンの含有量は、トナー100重量部に対して15〜45重量部が好ましい。ロジンの含有量が15重量部未満であると、バイオマスを利用することによる地球環境保全の効果が低く、ロジンの含有量が45重量部を超えると、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
ポリエステル樹脂Aは、酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸化合物およびロジン以外に、脂肪族ポリカルボン酸または3塩基酸以上のカルボキシ基を有する芳香族ポリカルボン酸をさらに用いることができる。
上記の3塩基酸以上の芳香族ポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
これらの芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。これらの芳香族ポリカルボン酸のうち、反応性の観点から、無水トリメリット酸を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂A中の3塩基酸以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量は、芳香族ジカルボン酸化合物100モルに対し、0.1〜5モルであることが好ましく、0.5〜3モルであることがより好ましい。
ポリエステル樹脂A中の3塩基酸以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量が0.1モル未満であると、ポリエステル樹脂Aの分岐構造が充分でなく、高分子量側に分布の広いポリエステル樹脂Aを得ることができないので、トナーの耐オフセット性が低下するおそれがある。
また、5モルを超えると、ポリエステル樹脂Aの軟化温度が高くなるので、トナーの低温定着性が低下するおそれがある。
上記の脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類、炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、ダイマー酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量は、芳香族ジカルボン酸化合物100モルに対し、0.5〜15モルであることが好ましく、1〜13モルであることがより好ましい。ポリエステル樹脂A中の脂肪族ポリカルボン酸の含有量が上記の範囲であることで、トナーの低温定着性が向上する。
またポリエステル樹脂Aは、多価アルコールとして、脂肪族ジオールおよびエーテル化ジフェノールの少なくとも1種をさらに用いることができる。
上記の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルー2−メチルプロパンー1,3−ジオール、2−ブチルー2−エチルプロパンー1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチルー1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロピルー3−ヒドロキシー2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
これらの脂肪族ジオールのうち、酸との反応性および樹脂のガラス転移温度の観点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、またはネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。これら脂肪族ジオールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂A中の脂肪族ジオールの含有量は、芳香族ジカルボン酸化合物100モルに対し、5〜20モルであることが好ましい。
上記のエーテル化ジフェノールは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールである。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられ、ビスフェノールA1モルに対して、平均付加モル数が2モル〜16モルとなるよう付加されることが好ましい。
ポリエステル樹脂A中のエーテル化ジフェノールの含有量は、芳香族ジカルボン酸化合物100モルに対し、5〜35モルであることが好ましい。
トナーにおけるポリエステル樹脂Aの含有量は、トナー100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましい。
トナーにおけるポリエステル樹脂Aの含有量が20重量部未満であると、トナーの粘度が高くなり、トナーの低温定着性が損なわれる。また、ポリエステル樹脂Aの含有量が60重量部を超えると、ロジンの含有量が高くなるため、トナーの機械的強度の低下や粉体流動性の低下が生じる。
前記エポキシ樹脂Bは、複数のグリシジル基を有し、常温で固体であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂Bとしては、2価のフェノールと、エピクロロヒドリンとの重縮合体を用いることができる。
上記の2価のフェノールとしては、例えばビスフェノールAおよびブロモビスフェノールA等が挙げられる。
上記の2価のフェノールは、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂Bのエポキシ当量400〜1000g/eqとする。
エポキシ樹脂Bのエポキシ当量が400g/eq以上の場合、エポキシ樹脂の融点が60℃以上となり、取り扱いが容易になる。
また、上記エポキシ等量が1000g/eqを超えると、グリシジル基の反応性が落ち、架橋反応が進み難くなる。
架橋樹脂Cの粘度は、ポリエステル樹脂Aの軟化温度において103〜105Pa・sとする。
ポリエステル樹脂Aの軟化温度における架橋樹脂Cの粘度が103Pa・s未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が得られない。
また、ポリエステル樹脂Aの軟化温度における架橋樹脂Cの粘度が105Pa・sを超えると、混練時におけるポリエステル樹脂Aと架橋樹脂Cとの溶融粘度差が大きく、樹脂の混合性が悪くなり、トナー中のポリエステル樹脂Aおよび架橋樹脂Cの分散性が不均一となる。この場合、トナー粒子においてポリエステル樹脂Aの比率が高い部分は破壊され易く、破壊によって粒子径の小さな微粉が発生する。そして発生した微粉により、粒度分布および帯電分布が広くなり、その結果、画像かぶりなどの不具合が生じる。
ポリエステル樹脂Aおよび架橋樹脂Cのガラス転移温度は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの保存性および低温定着性などを考慮すると、45〜80℃が好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのガラス転移温度が45℃未満であると、トナーの保存性が不充分になるため画像形成装置内部でトナーが熱凝集し易くなり、現像不良が発生する。またホットオフセットが発生し始める温度(以後、「ホットオフセット開始温度」と記す)も低下する。
またポリエステル樹脂A、Bのガラス転移温度が80℃を超えると、トナーの低温定着性が低下し、定着不良が発生する。
なお、本発明において用いられている用語「ホットオフセット」とは、定着部材によりトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させる際に、加熱されたトナー粒子の凝集力がトナーと定着部材との接着力を下回ることによってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことを意味する。
結着樹脂には、本発明の目的を達成することができる範囲で、ポリスチレン系重合体、スチレン−アクリル系樹脂等のポリスチレン系共重合体、上記ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂等、従来トナー用結着樹脂として使用されている樹脂が上記ポリエステル樹脂とともに用いられてもよい。
(着色剤)
本発明のトナーに含まれる着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。染料および顔料のうち、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。
黄色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、および、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、および、C.I.ダイレクトブルー86、KET.BLUE111などが挙げられる。
黒色の着色剤としては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
上記の着色剤以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用でき、また2種以上を併用することができる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤はポリエステル樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して使用されることが好ましい。
マスターバッチは、例えば、ポリエステル樹脂Aおよび着色剤を混合機を用いて乾式混合し、得られる粉体混合物を混練機で混練することによって製造できる。
混練温度は、ポリエステル樹脂Aの軟化温度によるが、通常は50〜150℃程度、好ましくは50〜120℃程度である。
マスターバッチ材料を乾式混合する混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、例えば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。
得られたマスターバッチは、例えば、粒子径2〜3mm程度に粉砕されて用いられる。
トナー中の着色剤濃度は、カーボンブラックなどの黒色の着色剤の場合、5〜12重量%が好ましく、6〜8重量%がより好ましい。
黒色以外の着色剤濃度は、3〜8重量%が好ましく、4〜6重量%がより好ましい。
マスターバッチを用いる場合には、トナー中の着色剤濃度が上記範囲内になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤濃度が上記範囲内であることにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ、高い着色力を有するトナーを得ることができ、また、充分な画像濃度を有し、発色性が高く、画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。
(磁性粉)
本発明のトナーに含まれる磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、および各種フェライトなどが挙げられる。
(離型剤)
本発明のトナーに含まれる離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス;カルナウバワックス(カルナバワックス)およびライスワックスなどの天然ワックス;ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、およびフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス;モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス;アルコール系ワックス;ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。
本発明のトナーに含まれる離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
離型剤の添加量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、3〜10重量部である。
離型剤の添加量が3重量部未満であると、低温定着性および耐ホットオフセット性が充分に向上しない。
また、離型剤の添加量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができない。またトナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜(フィルム)状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生する。
離型剤の融点(Tm)は、50〜180℃であることが好ましい。
融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融し、トナー粒子同士が凝集したり、感光体表面へのフィルミングなどが発生する。
また、融点が180℃を超えると、トナーを記録媒体に定着する際に離型剤が充分に溶出することができず、耐ホットオフセット性が充分に向上しない。
(電荷制御剤)
本発明のトナーに含まれる電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸ならびにサリチル酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体およびホウ素錯体、サリチル酸塩化合物、ナフトール酸ならびにナフトール酸誘導体のクロム錯体、亜鉛錯体、アルミニウム錯体およびホウ素錯体、ナフトール酸塩化合物、ベンジル酸塩化合物、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩などの界面活性剤を挙げることができる。
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
混合工程S1で用いられる混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置や、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
(2)溶融混練工程S2
溶融混練工程S2では、前記混合工程で作製された混合物を、混練機によって溶融混練して、結着樹脂中に着色剤、エポキシ樹脂Bおよび必要に応じて添加された添加剤が分散した溶融混練物が作製される。
溶融混練工程で用いられる混練機としては、公知のものを使用でき、マスターバッチの作製で用いられる上記の混練機を使用できる。複数の混練機を用いて溶融混練を行ってもよい。
溶融混練の温度は、使用する混練機によるが、80〜200℃であることが好ましい。このような範囲の温度下で溶融混練を行うことにより、結着樹脂中に、着色剤、エポキシ樹脂および必要に応じて添加された添加剤を均一に分散させることができ、かつ架橋反応を促進できる。
(3)冷却粉砕工程S3
冷却粉砕工程S3では、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却固化し、粉砕して、粉砕物が得られる。
冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、体積平均粒径100μm〜5mm程度の粗粉砕物に粗粉砕され、得られた粗粉砕物は、例えば、体積平均粒径15μm以下にまで、さらに微粉砕される。
粗粉砕物の微粉砕には、例えば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
(4)分級工程S4
分級工程S4では、前記冷却粉砕工程S3で得られた粉砕物を分級機によって分級し、過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去し、未外添トナーが得られる。なお、ここで除去された過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子は、回収後他のトナーの製造に再利用することができる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
分級後に得られる未外添トナーの体積平均粒径は、3〜15μmであることが好ましい。高画質画像を得るためには、未外添トナーの体積平均粒径が3〜9μmであることが好ましく、5〜8μmであることがより好ましい。
未外添トナーの体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さいため、高帯電化および低流動化が起こる。さらにトナーの高帯電化および低流動化によって、トナーが感光体に安定して供給されず、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生する。
また、未外添トナーの体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいため、高精細な画像を得られない。さらにトナー粒径が大きくなることでトナーの比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。その結果、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生する。
(5)外添工程S5
外添工程S5では、前記分級工程S4で得られた未外添トナーと外添剤とを混合してトナーが得られる。
外添剤の添加によって、トナーの流動性および感光体表面における残留トナーのクリーニング性が向上し、感光体へのフィルミングが防止できる。
しかしながら、外添剤が外添されていない未外添トナーを、トナーとして用いることもできる。
上記の外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、および酸化亜鉛などの無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、およびスチレンなどの化合物、またはこれら化合物の共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、およびステアリン酸などの高級脂肪酸、またはこれらの高級脂肪酸の金属塩、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素などが挙げられる。
外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。また、外添剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好ましい。
外添剤の1次粒子の個数平均粒径は、10〜500nmであることが好ましい。外添剤の1次粒子の個数平均粒径がこのような範囲であることによって、トナーの流動性がより向上する。
外添剤のBET比表面積は、20〜200m2/gであることが好ましい。外添剤のBET比表面積がこのような範囲であることによって、トナーに適度な流動性および帯電性が付与できる。
2.トナー
本発明のトナーは、上記の実施形態であるトナーの製造方法で製造される。上記のトナーの製造方法によって得られるトナーは、機械的強度が充分で、耐ホットオフセット性および帯電安定性に優れる。
3.現像剤
本発明に係るトナーは、トナーのみからなる1成分現像剤として用いることができ、また、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。
また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒子径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
キャリアの粒子径が50μm以下であることにより、トナーとキャリアの接触機会が増え、個々のトナー粒子を適正に帯電制御でき、非画像部カブリが発生せず、かつ高画質な画像を形成することができる。
さらにキャリアの体積抵抗率は、好ましくは108Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上である。
キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cm2の容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、より好ましくは15〜40emu/gである。
一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となる。
また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れやすくなる。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例および比較例における各物性値は以下のようにして測定した。
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを昇温速度毎分10℃(10℃/分)で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、吸熱ピークの低温側の曲線に対して勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
〔ポリエステル樹脂の軟化温度(Tm)〕
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重10kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
〔ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)〕
試料を0.25重量%となるようテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、試料200μLをGPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)に注入し、温度40℃において分子量分布曲線を求めた。
得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以後、単に「Mw/Mn」とも表記する)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
〔ポリエステル樹脂およびロジンの酸価〕
中和滴定法によって測定した。テトラヒドロフラン(THF)50mLに試料5gを溶解し、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
〔ポリエステル樹脂のTHF不溶分〕
試料1gを円筒濾紙に投入し、ソックスレー抽出器にかけた。テトラヒドロフラン(THF)100mLを抽出溶媒として用い、6時間加熱還流して、試料からTHF可溶画分を抽出した。THF可溶画分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶画分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶画分を秤量し、重量X(g)を求めた。THF可溶画分重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式(1):
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100…(1)
に基づいて、試料中のTHF不溶画分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶解分と称する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、試料0.01gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
〔トナーの体積平均粒径および変動係数〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。
この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。またトナーの変動係数を、体積平均粒径およびその標準偏差に基づいて、下記式2:
変動係数CV(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径)×100
…(2)
より算出した。
実施例1
〔ポリエステル樹脂A1の作製〕
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置、および窒素導入管を備えた反応容器中に、酸成分として、テレフタル酸305g、イソフタル酸55g、無水トリメリット酸30gおよび不均化ロジン(商品名:ロンヂスR、荒川化学工業(株)社製:酸価157.2mgKOH/g)1960g;アルコール成分として、グリセリン300gおよび1,3−プロパンジオール150g;反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート1.79g(酸成分およびアルコール成分の総量100重量部に対し、0.080重量部相当)を投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し、生成する水を留去しながら、250℃で10時間重縮合反応させ、フローテスターにより所定の軟化温度に達したことを確認して、反応を終了し、ポリエステル樹脂A1(ガラス転移温度60℃、軟化温度112℃、重量平均分子量2800、Mw/Mn=2.3、酸価24mgKOH/g)(2265g)を得た。
<混合工程S1>
ポリエステル樹脂A1(85.4重量部)と、カーボンブラック(商品名:MA−77、三菱化学社製)(11.2重量部)と、ベンジル酸化合物A(商品名:LR−147、日本カーリット株式会社製)(3.4重量部)とを予備混練分散させてマスターバッチ(25kg)を作製した。
得られたマスターバッチにおいて、カーボンブラックの濃度は11.2重量%であり、ベンジル酸化合物Aの濃度は2.9重量%である。このマスターバッチ作製のために用いたベンジル酸化合物Aの添加量は、1.3重量部である。
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 42.7重量部(21.35kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 10.0重量部(5.0kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
なお、マスターバッチ44.7重量部中のカーボンブラックの含有量は5重量部である。
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合し、混合物50kgを得た。
<溶融混練工程S2>
前記混合工程S1で得た混合物を、混練機(商品名:ニ軸混練機PCM−60、株式会社池貝製)にて、シリンダ設定温度80〜120℃(最高温度120℃)、回転数250rpm、供給量5kg/hで溶融混練し、溶融混練物を得た。
<冷却粉砕工程S3>
前記溶融混練工程S2で得た溶融混練物を、室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物を、カウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)で微粉砕した。
<分級工程S4>
前記冷却粉砕工程S3で得た粉砕物(46.5kg)を、ロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、未外添トナー(33.5kg)を得た。
<外添工程S5>
前記分級工程S4で得た未外添トナー100重量部(500g)に対して、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理された疎水性シリカ微粉子A(BET比表面積140m2/g)1.2重量部(6g)、シランカップリング剤で表面処理された疎水性シリカ微粉子B(BET比表面積30m2/g)0.8重量部(4g)、および酸化チタン(BET比表面積130m2/g)0.5重量部(2.5g)を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合し、実施例1のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(470g)を得た。
実施例2
〔ポリエステル樹脂A2の作製〕
不均化ロジン(酸価157.2mgKOH/g)1260g用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂A2(ガラス転移温度58℃、軟化温度110℃、重量平均分子量2700、Mw/Mn=2.2、酸価23mgKOH/g)(2253g)を得た。
<混合工程S1>
ポリエステル樹脂A1の替わりに、ポリエステル樹脂A2を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナー(体積平均粒径6.8μm、CV値24%)(472g)を得た。
実施例3
〔ポリエステル樹脂A3の作製〕
不均化ロジン(酸価157.2mgKOH/g)1027g用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂A2(ガラス転移温度58℃、軟化温度108℃、重量平均分子量2550、Mw/Mn=2.1、酸価20mgKOH/g)(2015g)を得た。
<混合工程S1>
ポリエステル樹脂A1の替わりに、ポリエステル樹脂A3を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値26%)(465g)を得た。
実施例4
<混合工程S1>
エポキシ樹脂B1の替わりに、エポキシ樹脂B2(商品名:YD−012、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:661)10.0重量部(5.0kg)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例4のトナー(体積平均粒径6.8μm、CV値24%)(468g)を得た。
実施例5
<混合工程S1>
エポキシ樹脂B1の替わりに、エポキシ樹脂B3(商品名:YD−014、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:981)10.0重量部(5.0kg)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例5のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値22%)(471g)を得た。
実施例6
<混合工程S1>
エポキシ樹脂B1の替わりに、エポキシ樹脂B3(商品名:YD−907、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:1090)10.0重量部(5.0kg)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例6のトナー(体積平均粒径6.8μm、CV値23%)(475g)を得た。
実施例7
<混合工程S1>
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 47.7重量部(23.85kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 5.0重量部(2.5kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、実施例7のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値25%)(467g)を得た。
実施例8
<混合工程S1>
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 37.7重量部(18.85kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 15.0重量部(7.5kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、実施例8のトナー(体積平均粒径6.9μm、CV値23%)(461g)を得た。
実施例9
<混合工程S1>
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 48.7重量部(24.35kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 4.0重量部(2.0kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、実施例9のトナー(体積平均粒径6.8μm、CV値25%)(475g)を得た。
実施例10
<混合工程S1>
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 36.7重量部(18.35kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 16.0重量部(8.0kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、実施例10のトナー(体積平均粒径6.7μm、CV値24%)(461g)を得た。
実施例11
カーボンブラック 5.0重量部(2.5kg)
ベンジル酸化合物A 1.3重量部(0.65kg)
ポリエステル樹脂A1 81.1重量部(40.55kg)
エポキシ樹脂B1(商品名:YD−011、新日鐵化学(株)社製、エポキシ当量:
468) 10.0重量部(5.0kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
マスターバッチを製造せず、上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、実施例11のトナー(体積平均粒径6.9μm、CV値27%)(470g)を得た。
比較例1
マスターバッチ 44.7重量部(22.35kg)
ポリエステル樹脂A1 52.7重量部(26.35kg)
離型剤(ポリエチレンワックス、商品名:Licowax PE−130 Powder、
クラリアント社製、融点:127℃) 2.6重量部(1.3kg)
上記の原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合する以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナー(体積平均粒径6.8μm、CV値25%)を得た。
実施例1〜11および比較例1のトナーを用いて以下の評価を行った。
〔定着性評価〕
キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、キャリアに対する実施例、及び比較例のトナーの被覆率がそれぞれ60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して、二成分現像剤を作製した。
得られた二成分現像剤を、カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)を改造したものを用いて、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、縦20mm、横50mmの長方形状のベタ画像部を含むサンプル画像を、ベタ画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cm2になるように調整して未定着画像を作製した。得られた未定着画像の非オフセット域を、カラー複合機の定着部を用いて作製した外部定着器を用いて、所定の温度で定着を行い、紙面へのオフセットの有無を目視で評価した。尚、定着機のプロセススピードは124mm/secで、A4サイズの試験紙には52g/m2紙を用い、低温オフセットもホットオフセットも起こらない温度域を非オフセット域として、定着性の指標とした。
本評価方法において、定着幅が60℃以上のものを「G」:good(良好)、45〜55℃を「NB」:not bad(悪くない)、および40℃以下を「B」:bad(不良)と判定し、NB以上を実使用上問題ないレベルとした。
〔保存性〕
保存性は、メッシュアップ率を用いて評価した。トナー100gをポリエチレン製の容器に入れて密封し、50℃の恒温槽にて48時間放置した。200メッシュ網を搭載した振動式ふるい機にて、放置した後のトナーを60Hzで1分間振動させ、メッシュ網上に残留するトナーの重量を測定した。メッシュ網上に残留するトナーの割合をメッシュアップ率とし、下記式(3):
メッシュアップ率(%)
=[メッシュ網上に残留するトナーの重量(g)/100(g)]×100 (3)
に基づいて、メッシュアップ率を算出した。
メッシュアップ率が低いほど、高温環境下でのトナーの保存性が良好であることを示す。
保存性の評価基準は次のとおりである。
「G」:good(良好):メッシュアップ率が10%未満である。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。メッシュアップ率が10〜30%未満である。
「B」:bad(不良):メッシュアップ率が30以上である。
〔帯電安定性〕
実施例1〜7および比較例1のトナーについて、各トナー5重量部とフェライトコアキャリア(体積平均粒径70μm)95重量部とを、V型混合機(商品名:V−5、株式会社徳寿工作所製)にて20分間混合して2成分現像剤を作製した。
得られた2成分現像剤をカラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)に充填し、記録媒体として記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)を使用して、25℃、45%RH環境にて、実機評価を行った。帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度の各項目について、印字前の数値と、画像面積5%の原稿を20000枚印字した後の数値とを比較した。
〔帯電量比〕
帯電量測定装置(商品名:210HS−2A、トレック・ジャパン株式会社製)を用いて測定した。カラー複合機から分取した2成分現像剤を、底部に500メッシュの導電性スクリーンを備えた金属製の容器に入れ、吸引機によってトナーのみを吸引圧250mmHgで吸引し、吸引前および吸引後の2成分現像剤の重量差と、容器に接続されたコンデンサー極板間の電位差とからトナーの帯電量を求めた。下記式(4):
帯電量比(%)
=[トナーの帯電量(μC/g)/トナーの初期帯電量(μC/g)]×100 (4)
に基づいて、トナーの初期帯電量(実機評価を行う前のトナーの帯電量)に対する割合を帯電量比として算出し、下記の基準で帯電量比を評価した。
帯電量比の評価基準は、次のとおりである。
「G」:good(良好):帯電量比が80%以上である。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。帯電量比が70〜80%である。
「B」:bad(不良):帯電量比が70%未満である。
〔画像濃度〕
一辺が3cmのベタ画像100%濃度を印刷し、印刷部分の画像濃度を、反射濃度計商品名:RD918、マクベス社製を用いて測定し、下記の基準で評価した。
画像濃度の評価基準は次のとおりである。
「G」:good(良好):画像濃度が1.4以上である。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。画像濃度が1.2〜1.4未満である。
「B」:bad(不良):画像濃度が1.2未満である。
〔かぶり濃度〕
白度計(商品名:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM、日本電色工業社製)を用いて、非画像部(0%濃度)の白色度を測定し、予め測定しておいた印字前の白色度との差を求め、その差をかぶり濃度とし、下記の基準で評価した。
かぶり濃度の評価基準は次のとおりである。
「G」:good(良好):かぶり濃度が0.5未満である。肉眼でかぶりをほとんど確認できない。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。かぶり濃度が0.5〜1.0である。肉眼でかぶりを少し確認できる。
「B」:bad(不良):かぶり濃度が1.0以上である。肉眼でかぶりを明確に確認できる。
帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度の評価結果を用いて、以下の基準で帯電安定性を評価した。
「G」:good(良好):帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度の評価結果が「G」である。
「NB」:not bad(悪くない):帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度の評価結果のうち、少なくとも1つが「NB」であり、「B」がない。
「B」:bad(不良):帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度の評価結果のうち、少なくとも1つが「B」である
〔総合評価〕
定着性評価、保存性および帯電安定性の評価結果を用いて、以下の総合評価基準で総合評価を行った。
「G」:good(良好):定着性評価、保存性および帯電安定性の評価結果が「G」である。
「NB」:not bad(悪くない):実使用上問題なし。定着性評価、保存性および帯電安定性の評価結果のうち、一つ以上が「NB」があり、「B」がない。
「B」:bad(不良):保存性および帯電安定性の評価結果のうち、少なくとも一つが「B」である。
以上の評価結果を以下の表にまとめて示す。
Figure 2012173322
上記の表より、本発明による実施例1〜11で作製したトナーは、保存性、帯電量比、画像濃度およびかぶり濃度における評価で、いずれも「良好」または「悪くない」との判定結果であり、総合評価においても「良好」または「実使用上問題なし」との判定結果であり、耐凝集性および帯電安定性に優れていることが判る。
本発明によれば、バイオマス由来のロジンの含有量が高く、耐ホットオフセット性および帯電安定性、並びに耐凝集性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤を含むトナーにおいて、前記結着樹脂は、芳香族ジカルボン酸、ロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含むことを特徴とするトナー。
  2. 前記ロジンが、不均化ロジンである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーが、トナー100重量部に対してロジン15〜45重量部を含有し、かつ前記ポリエステル樹脂Aが、含有量60%以上のロジンを含有する請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記エポキシ樹脂Bが、エポキシ当量400〜1000g/eqを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
  5. 前記エポキシ樹脂Bが、前記結着樹脂100重量部に対して5〜15重量部の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナー。
  6. 少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤を含むトナーの製造方法であり、芳香族ジカルボン酸、ロジンおよび多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステル樹脂Aと、該ポリエステル樹脂Aと複数のグリシジル基を有するエポキシ樹脂Bとを架橋反応させて得られる架橋樹脂Cとを含む前記結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを混合して混合物を作製する混合工程;
    前記混合物を溶融混練して、混練物を作製する溶融混練工程;
    前記混練物を冷却固化し、粉砕して粉砕物を作製する冷却粉砕工程;
    前記粉砕物を分級する分級工程;
    とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 前記混合工程が、
    前記ポリエステル樹脂Aと、前記着色剤とを混合混練してマスターバッチを作製し、
    前記エポキシ樹脂Bと、前記マスターバッチとを混合して前記混合物を作製することを含む請求項6に記載のトナーの製造方法。
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