JP4928279B2 - キャビネットラックの耐震構造 - Google Patents

Description

本発明は、電子機器を収納するキャビネットラックの耐震構造に関する。

従来、サーバー等を収納するキャビネットラックにおいて、ラック本体のコーナ部を補強して耐震強度を高める技術が知られている。例えば、図８に示すように、ラック本体５１の水平フレーム５２と垂直フレーム５３とのコーナ部Ｃに三又状の補強金具５４を設け、補強金具５４の水平部５５，５６をラック本体５１の水平フレーム５２に溶接やネジで固定し、補強金具５４の垂直部５７をラック本体５１の垂直フレーム５３に同様の手段で固定した耐震構造が知られている（例えば、特許文献１）。
特開２００３−２７３５５０号公報

ところが、従来の耐震構造によると、補強金具５４の水平部５５，５６および垂直部５７がコーナ部Ｃの一点に集合しているため、地震等でラック本体５１の垂直フレーム５３が大きく揺れた場合に、応力集中によって補強金具５４の各部５５，５６，５７が変形または座屈しやすいという問題点があった。

本発明の目的は、上記課題を解決し、補強金具の剛性を高めて、キャビネットラックの耐震強度を改善することができる構造を提供することにある。

上記の課題を解決するために、本発明の耐震構造は、電子機器を収納するキャビネットラックにおいて、ラック本体の水平フレームと垂直フレームとのコーナ部を補強する補強金具を備え、補強金具に水平フレームに固定される水平部と、垂直フレームに固定される垂直部と、水平部と垂直部との交差部分に広がる筋交部とを一体的に設け、垂直フレームの長手縁に上下方向から筋交部に係合するリブを形成したことを特徴とする。

また、本発明の耐震構造は、補強金具の筋交部にラック本体の水平フレームと垂直フレームの突合せ部に開口する溶接穴を設けたことを特徴とする。

本発明の耐震構造によれば、補強金具の水平部と垂直部との間に筋交部を設けたので、補強金具の剛性を高めることができる。しかも、筋交部に係合するリブをラック本体の垂直フレームに形成したので、ラック本体の揺れに伴う補強金具の応力を分散させることもできる。従って、補強金具の変形を防止し、ラック本体のコーナ部を堅牢化し、キャビネットラックの耐震強度を改善できるという効果がある。

また、筋交部の溶接穴が水平フレームと垂直フレームの突合せ部に開口しているので、この溶接穴を溶接で埋めることにより、補強金具、水平フレーム、垂直フレームの三部材を正確かつ簡単に組み付けできるとともに、補強金具の交差部分をラック本体のフレーム接合部に強固に結合し、地震等の揺れに伴う補強金具およびフレーム接合部の変形または座屈を確実に防止することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１は電子機器を収納するキャビネットラックから扉、背面パネル、側面パネル棚板等を取り外してラック本体を示す。図２はラック本体の下端部におけるコーナ部の構成を示す。図３は補強金具によるコーナ部の耐震構造を示す。図４はコーナ部の耐震構造を図２の矢印ＩＶ方向から示す。図５はコーナ部の耐震構造を図４のＶ−Ｖ線に沿って示す。図６はコーナ部の耐震構造を図４のＶＩ−ＶＩ線に沿って示す。図７は補強金具の変更例を示す。

図１に示すように、この実施形態のラック本体１は、底枠２と天枠３を四本の垂直フレーム４で連結し、縦長の六面枠体を構成している。底枠２および天枠３はそれぞれ四本の水平フレーム５を備え、水平フレーム５と垂直フレーム４とのコーナ部Ｃがラック本体１の八箇所に設けられている。ラック本体１の前面開口部６は扉で覆われ、背面開口部７が背面パネルで覆われる。ラック本体１の左右両側面内側には井桁状のマウントフレーム８が建て付けられ、両者の間に電子機器載置用の棚板が架設される。

図２に示すように、この実施形態のキャビネットラックでは、ラック本体１の前面および背面において、垂直フレーム４と左右方向に延びる水平フレーム５とのコーナ部Ｃに補強金具１０が設けられている。補強金具１０は金属板により略Ｌ字形に形成され、垂直フレーム４に沿って延びる垂直部１１と、水平フレーム５に沿って延びる水平部１２と、水平部１２と垂直部１１との交差部分に広がる斜状の筋交部１３とを一体的に備えている。なお、天枠３のコーナ部Ｃ（図１参照）にも同様の補強金具１０が設けられている。

図３〜図６に示すように、水平部１２にはアンカー部１４が直角に折り曲げられ、アンカー部１４に二つの溶接穴１５が形成されている。水平フレーム５の内側には底板１６が固着され、底板１６の溶接穴１７とアンカー部１４の溶接穴１５とを埋める溶接１８（図６参照）により、水平部１２が水平フレーム５に固定されている。垂直部１１には上下に複数の溶接穴１９が形成され、この溶接穴１９と垂直フレーム４の溶接穴２０（図４参照）とを埋める溶接２１（図５参照）により、垂直部１１が垂直フレーム４に固定されている。

筋交部１３には一つの溶接穴２２が水平フレーム５と垂直フレーム４の突合せ部２３（図４参照）に開口するように設けられ、この溶接穴２２を埋める溶接によって、補強金具１０と水平フレーム５と垂直フレーム４とが一体的に結合されている。一方、垂直フレーム４の内側長手縁にはリブ２４がラック本体１の内側に向かって突出するように折り曲げられ、リブ２４の下端縁が筋交部１３の傾斜面１３ａに上方から係合している。なお、リブ２４の上端縁は上部補強金具（図示略）の筋交部に下方から係合している。

上記構成の耐震構造によれば、次のような効果が得られる。
（ａ）ラック本体１の六面のうち、内側に補強部材を備えない前面開口部６と背面開口部７のコーナ部Ｃに補強金具１０を組み付けたので、ラック本体１の前後の枠組みを堅牢にし、特に左右方向の揺れに対するラック本体１の耐震強度を高めることができる。
（ｂ）補強金具１０は、垂直部１１および水平部１２が共に垂直面内に広がっているため、左右方向の揺れに対し高い剛性を発揮する。
（ｃ）垂直部１１と水平部１２との交差部分に筋交部１３を設けたので、補強金具１０の剛性をさらに高めることができる。

（ｄ）筋交部１３に係合するリブ２３をラック本体１の垂直フレーム４に折り曲げたので、ラック本体１の揺れに伴う補強金具１０の応力を分散させることができる。
（ｅ）筋交部１３の溶接穴２２が水平フレーム５と垂直フレーム４の突合せ部２３に開口しているので、溶接穴２２を溶接で埋めることにより、補強金具１０、水平フレーム５、垂直フレーム４の三部材を正確かつ簡単に組み付けることができる。
（ｆ）溶接穴２２を溶接で埋めることにより、補強金具１０の交差部分をラック本体１のフレーム突合せ部２３に強固に結合し、地震等の揺れに伴って荷重が集中的に作用するアンカー部１４やフレーム突合せ部２３における変形または座屈を確実に防止することができる。

本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
（１）図７に示すように、補強金具１０の筋交部１３に係止溝２６を縦に形成し、係止溝２６にリブ２４の下端部（または上端部）を差し込んで係止すること。こうすれば、補強金具１０の組み付けが容易になるうえ、リブ２４の端部を補強金具１０により保持し、揺れに伴うリブ２４の滑りを防止し、コーナ部をより堅牢に構成することができる。
（２）補強金具１０の垂直部１１と水平部１２をそれぞれネジ部材で垂直フレーム４と水平フレーム５に固定すること。
（３）補強金具１０をラック本体１の左右両側面のコーナ部にも設けること。

本発明の一実施形態を示すラック本体の斜視図である。 ラック本体のコーナ部の構成を示す斜視図である。 補強金具によるコーナ部の耐震構造を示す斜視図である。 コーナ部の耐震構造を示すラック本体の部分正面図である。 図４のＶ−Ｖ線に沿う断面図である。 図４のＶＩ−ＶＩ線に沿う断面図である。 補強金具の変更例を示す斜視図である。 従来の耐震構造を示すラック本体の部分斜視図である。

符号の説明

１ ラック本体
４ 垂直フレーム
５ 水平フレーム
１０ 補強金具
１１ 垂直部
１２ 水平部
１３ 筋交部
１４ アンカー部
２２ 溶接穴
２３ 突合せ部
２４ リブ

Claims (1)

1. 電子機器を収納するキャビネットラックにおいて、ラック本体の水平フレームと垂直フレームとのコーナ部を補強する補強金具を備え、補強金具に、水平フレームに固定される水平部と、垂直フレームに固定される垂直部と、水平部と垂直部との交差部分に広がる筋交部とを一体的に設け、垂直フレームの長手縁に上下方向から筋交部に係合するリブを形成し、補強金具の筋交部にラック本体の水平フレームの端縁と垂直フレームの端縁との突合せ部を露出させる溶接穴を設け、溶接穴を埋める溶接によって、補強金具と水平フレームと垂直フレームとを一体的に結合したことを特徴とする耐震構造。

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