ところで、特許文献1のラックは、複数の緑化ユニットを金属線状の支持部材に配置するだけで高さ方向へ設置することが可能であり、緑化ユニットの設置や高さ方向等の緑化を容易にするものであるが、各緑化ユニットへの潅水を人手で行う必要があり、潅水作業に多大な労力を要する。特に、上方の緑化ユニットの設置位置が高い場合や、或いは設置される緑化ユニットの数が多い場合には、潅水作業に要する労力は非常に多大なものとなる。また、緑化ユニットを支持部材に置くだけであるため、屋外に設置した場合に、風雨で緑化ユニットが飛ぶなど設置の安定性や安全性に劣っている。
他方で、特許文献2、3の壁面緑化設備は、潅水経路の形成で潅水作業の労力を低減し、また、壁面や支持体に固定することで設置の安定性や安全性を高めることが可能であるものの、例えば緑化ユニットが傾いた場合に順次の潅水が行われない可能性等がある。即ち、水分の落下や勾配に強く依存して潅水が行われる構造であるため、水分が行き渡らない箇所が発生し、植物が枯れる虞がある。更に、縦方向に潅水パイプを配設する作業や、植栽部の後方に位置する貯水部へのねじ込み式パイプを取り付ける作業等による給水経路を形成する作業は容易でなく、施工コストも高くなる。
本発明は上記不具合を解消するために提案するものであって、給水経路の施工性に優れ、且つ極めて少ない労力で各緑化ユニットに確実に水分を供給することができる、緑化構造、緑化設備及びこれらの施工方法、並びに緑化ユニットを提供することを目的とする。
本発明の緑化構造は、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に係止部で係止され、水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有する緑化ユニットを、高さ方向へ間隔を開けて設けられた支持部にそれぞれ設置して、該緑化ユニットを高さ方向へ複数設置する緑化構造であって、前記貯水部が前記係止部を中心に回動自在であると共に、前記植栽部と前記貯水部との間に給水管を配設することを特徴とする。例えば貯水部の前面或いは後面の側壁上端に内方へ向かって鉤状の係止片を形成し、植栽部の前面或いは後面又は植栽部の底部より下側の前面或いは後面の係止穴に係止片を挿入して係止し、前記係止穴或いは係止穴と係止片で構成される係止部を中心に、貯水部を回動自在にする。好適には、貯水部を後面側の係止部で係止し、前記係止部を中心に貯水部を回動自在として、貯水部が前面側で開閉する構成とすると、給水管の配設等の作業が行いやすくなって良好である。
例えば支持器具の支持柱に高さ方向へ所定間隔を開けて各支持部を設け、或いは建物の壁面に高さ方向へ所定間隔を開けて各支持部を設け、各支持部に緑化ユニットを設置する構成等とすることが可能である。また、各支持部を設ける支持柱や壁面は、垂直方向に延びるものや垂直面に限定されず、例えば斜め直線状や斜め曲線状に延びるもの、或いは前方へ斜め上方に延びるものや後方へ斜め上方へ延びるものなど、傾斜方向に延びるものや傾斜面等としてもよい。また、高さ方向の間隔を開けて配設される緑化ユニットに給水管を配設する構成は、上端の緑化ユニットから下端の緑化ユニットへ蛇行しながら一連の給水管を配設すると好適であるが、例えば給水管の本管から分岐する各分岐管を各緑化ユニットに導入して給水する構成等、他の構成としてもよい。また、植栽部や貯水部は、例えば周壁と底面で囲まれた空間を有する容器や、半球状の容器等、植栽部は植物を栽培可能なもの、貯水部は水分を貯留可能なものであれば適宜である。
更に、本発明の緑化構造は、前記緑化ユニットを前方に傾斜させて設置し、該緑化ユニットの導水部材を該傾斜の低い位置に配置することを特徴とし、例えば導水部材を給水管よりも勾配の低い位置に設ける。好適には、緑化ユニットを略水平にした状態と前記傾斜して設置した状態の両状態で、導水部材の下端が貯水部底面の最下端近傍に位置するように構成するとよい。また、給水管は前記傾斜の高い位置に設ける構成とすると、常時給水管が水分に浸かって給水管が腐食すること等を防止し、給水管からの良好な給水を維持することができて好適である。
また、本発明の緑化構造は、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に蝶番で取り付けられ、水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有する緑化ユニットを、高さ方向へ間隔を開けて設けられた支持部にそれぞれ設置して、該緑化ユニットを高さ方向へ複数設置する緑化構造であって、前記貯水部が前記蝶番を中心に回動自在であると共に、前記植栽部と前記貯水部との間に給水管を配設することを特徴とする。更に、本発明の緑化構造は、前記係止部又は前記蝶番が、前記植栽部と前記貯水部の後面壁に設けられ、前記係止部又は前記蝶番を中心とする回動により、前記貯水部が前方側で開放することを特徴とする。更に、前記構成では、前記緑化ユニットを前方に傾斜させて設置し、該緑化ユニットの導水部材を該傾斜の低い位置に配置すると好適である。
更に、本発明の緑化構造は、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に対して着脱自在で水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有する緑化ユニットを、高さ方向へ間隔を開けて設けられた支持部にそれぞれ設置して、該緑化ユニットを高さ方向へ複数設置する緑化構造であって、前記貯水部を側壁と底面を有する略箱形とし、両側の該側壁に凹部を形成し、該凹部に給水管を配設することにより、前記植栽部と前記貯水部との間に給水管が位置することを特徴とする。前記凹部は前記側壁の略中央よりも前方に位置するように構成とすると好適である。 更に、本発明の緑化構造は、前記植栽部の両側に底部より下方へ延びる脚壁を形成し、該脚壁の下方に凹部を形成し、該凹部に給水管を配設することを特徴とする。好適には、植栽部を、底面より下方に貯水部を収納可能であり且つ底面より下方に延びて貯水部の前面と両側面を覆う脚壁を有するものとすると好適である。また、本発明の緑化構造は、前記植栽部の前面壁に該植栽部の底面より下方に延びた部分を形成し、該下方に延びた部分と前記貯水部の前面壁とを固定することを特徴とする。
更に、本発明の緑化構造は、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に対して着脱自在で水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有する緑化ユニットを、高さ方向へ間隔を開けて設けられた支持部にそれぞれ設置して、該緑化ユニットを高さ方向へ複数設置する緑化構造であって、前記植栽部と前記貯水部との間に給水管を配設すると共に、前記支持部に前記緑化ユニットを設置した状態で、前記給水管が前記貯水部の水に浸からないようになっていることを特徴とする。
更に、本発明の緑化構造は、前記貯水部側壁の凹部と前記植栽部脚壁の凹部との何れか一方が、他方の凹部よりも幅広であることを特徴とする。好適には、例えば下方に位置する貯水部側壁の凹部を側壁横方向へ長い略半楕円形や略蒲鉾形等の幅広とし、植栽部脚壁の凹部を上端箇所が略半円形で脚壁縦方向へ長く略U字形に切り込まれた形状等の幅狭とし、上方へ向かってへこむ凹部を幅広とするとよい。
また、本発明の緑化設備は、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に対して着脱自在で水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有する緑化ユニットを、高さ方向へ間隔を開けて設けられた支持部にそれぞれ設置して、該緑化ユニットを高さ方向へ複数設置する緑化構造を横方向に複数設けた緑化設備であって、前記植栽部と前記貯水部との間に給水管を配設すると共に、前記給水管が前記横方向に並ぶ全ての緑化ユニットに一連で連通していることを特徴とする。更に、本発明の緑化設備は、本発明の緑化構造を横方向に複数設け、横に並ぶ緑化ユニットに一連で給水管を連通しながら、上端且つ横端に位置する緑化ユニットから下端且つ横端に位置する緑化ユニットへ蛇行して給水管を配設することを特徴とし、横の緑化ユニットを優先して給水管を配設していき、蛇行しながら全ての緑化ユニットに給水管を一連で配設する。尚、例えば給水管の本管から分岐する分岐管を横方向に並ぶ緑化ユニットに連通し、各高さの緑化ユニット毎に一連の分岐管を挿通する構成等としてもよい。また、緑化設備は、例えば支持器具に緑化ユニットを配設する緑化構造物を左右に複数並設するものや、壁面の高さ方向に間隔を開けて設けられた支持部に緑化ユニットを設置する緑化構造を左右に並べて設けるもの等とする。
また、本発明の緑化構造の施工方法、又は緑化設備の施工方法は、本発明の緑化構造又は緑化設備を施工する方法であり、前記緑化ユニットに予め植栽を施す第一工程と、該緑化ユニットのそれぞれを前記支持部に設置する第二工程と、前記給水管を配設する第三工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の緑化ユニットは、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に回動自在に取り付けられ、水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有し、該貯水部の側壁に給水管を配設可能な凹部を形成することを特徴とする。また、本発明の緑化ユニットは、少なくとも植物を栽培可能な植栽部と、該植栽部に対して着脱自在で水分を貯水可能な貯水部と、該貯水部内の水分を該植栽部へ導水する導水部材とを有し、該貯水部を回動自在に係止部で係止して設置すると共に、該貯水部の側壁に給水管を配設可能な凹部を形成することを特徴とする。
尚、本発明には、各発明に他の発明や実施形態等の構成を追加したもの、或いは各発明の部分的な構成を他の発明や実施形態等の構成に変更したもの、或いは部分的な効果を奏する限度で各発明の構成を一部削除したものが含まれる。
本発明の緑化構造、緑化設備或いはこれらの施工方法、又は緑化ユニットを用いることにより、極めて少ない労力で、緑化構造や緑化設備の全ての緑化ユニットに確実に水分を行き渡らせることが可能になる。従って、植物が枯れることがなく、高さ方向等に亘る緑化を良好な状態で長期間維持することができる。更に、給水経路の施工性に非常に優れており、施工コストを大幅に低減することができる。
また、導水部材の下端を貯水部底面の最下端近傍に位置させる等、導水部材を緑化ユニットの傾斜の低い位置に配置することにより、貯水部の水分を確実に導水部材で導き、植栽部への吸水に利用できない貯水を極力減らし、効率的に且つ長期間に亘って植物へ水を供給することが可能となり、一層長期に亘って植物の生育状態を良好に維持することができる。
また、貯水部を回動自在に係止部で係止して設置することにより、貯水部を必要に応じて回動して開放し、給水管を配設することが可能となり、植栽部と貯水部との間に簡単に給水管を配設することができる。更に、前記係止部を緑化ユニットの後側に設け、貯水部が緑化ユニットの前側で開放するようにすると、一層給水管の配設等の作業性を向上することができる。
また、略箱形の貯水部の側壁に凹部を形成して前記凹部に給水管を配設する構成、或いは植栽部の両側の脚壁に凹部を形成して前記凹部に給水管を配設する構成とすることにより、植栽部と貯水部の間で給水管を所定位置若しくは所定範囲内に簡単に定置して設置することができる。更に、前記貯水部側壁の凹部と植栽部脚壁の凹部で給水管配設用穴を形成し、前記給水管配設用穴に給水管を配設することにより、給水管の設置状態の安定性を高めることができる。
また、前記貯水部側壁の凹部と前記植栽部脚壁の凹部の何れか一方を他方の凹部より幅広とすることにより、幅広の凹部に給水管を配置しつつ幅狭の凹部と合わせて形成される給水管配設用穴に給水管を配設することが可能となり、給水管の配設作業等を容易にすることができる。更に、貯水部側壁の上向きにへこむ凹部を植栽部脚壁の下方へへこむ凹部より幅広とすると、必要に応じて幅広の凹部に給水管を載置しながら作業を進めることが可能となり、より一層給水管の配設作業等を容易にすることができる。
また、上下に位置する緑化ユニットをずらして配置することにより、上段の緑化ユニットの隣接箇所など露出に適さない部分を隠すことが可能となり、緑化構造や緑化設備の美観を向上することができる。
以下、本発明に関し、図に示す実施形態の緑化ユニット、緑化構造体、緑化設備について説明する。
先ず、本実施形態に於ける緑化ユニット10は、図1〜図6に示すように、育成材14が充填されて植物15が栽培される植栽部(後述の前面壁21、後面壁22、側壁23、底面24で囲まれた空間)を有する植栽コンテナ20と、貯水部に対応する貯水槽30とで構成される。
植栽コンテナ20は、図1及び図2に示すように、前面壁21と後面壁22と両側の側壁23・23と底面24とを有する上面開放の略箱形である。前面壁21と後面壁22と両側の側壁23・23の底面より下方に突出する部分は脚部21a、22a、23aになっており、四方の脚部21a、22a、23aと底面24で囲まれる空間には後述する貯水槽30が配設される。各壁21、22、23の上端は内方へ屈曲延設されて補強片25になっており、植栽コンテナ20の強度を向上している。底面24には、余剰水の排水機能及び通気機能を有する通水兼通気孔24aが穿設されていると共に、その前面壁21の近傍には後述する貯水槽30内の水を導水するための導水部材12を挿通可能な挿通孔24bが穿設されている。挿通孔24bは、略円形ではあるが、対向する位置に外方への突出箇所を有する形状である。
脚部21a、22a、23aの内、後面壁22から連なって下方へ突出する脚部22aは、前面壁21と側壁23に各々連なって下方へ突出する脚部21a、23aよりも突出割合が小さくなっている。脚部21aと脚部23aは互いに連なっているが、脚部23aと後面壁22の脚部22aとの間には後述する貯水槽30の側壁の板厚よりも広い切欠26が形成され、脚部23aと脚部22aは切欠26を介して互いに独立している。側壁23の脚部23aの略中央には、後述する給水管26を配設するために、脚部23aの下端から底面24近傍まで上方に向かって給水管配設用の凹部23bが切り欠かれて形成されており、また、後面壁22の脚部22aの底面24より僅かに下方位置には、後述する貯水槽30の係止片32aを挿入可能な係止孔22bが3箇所に穿設されている。
前記脚部21a、23aの下端は、後述の取り付けられた状態の貯水槽30の底面34と同一平面内に位置するように突出させる、或いは前記位置より僅かに下方まで突出させることが望ましい。尚、後面壁22から下方へ突出する脚部22aの下端は、後述の取り付けられた状態の貯水槽30の底面34と同一平面内にまで突出させる、又は前記底面34より僅かに下方まで突出する構成とすると、脚部21a、23aに加えて脚部22aでも植栽コンテナ20の荷重を受けることができる。前記構成により、貯水槽30が植栽コンテナ20の荷重を受けることを無くし、貯水槽30の変形や破損を防止することができる。
更に、後面壁22には、図1、図2、図7に示すように、後述する支持部に取り付けるための取付部27が設けられており、取付部27は、支持部45の支持片453に対して水平方向の3箇所の異なる位置で取付可能に設置されている。取付部27は、左右に一対で設けられ、それぞれ1枚の略長方形の平板からなる基板27aと、基板27a上に略逆L字形で互いに同じ方向へ向いた3枚の間隔板27bと、間隔板27b上にそれぞれ載置される略長方形の平板からなる被覆板27cとで構成されており、後述する支持片は、基板27aと被覆板27cとの間に、略L字形の内方で形成される間隔板27cの厚さ分の隙間内に配置される。
貯水槽30は、図3及び図4に示すように、前面壁31と後面壁32と両側の側壁33・33と底面34とを有する上面開放の略箱形である。前面壁31は、後面壁32よりも高く形成され、両側の側壁33は後面壁32から前面壁31へ向かって高くなるように上端が傾斜して形成されている。後述する支持部に緑化ユニット10を取り付けた際に、貯水槽30も前面壁31側が低くなるように斜めに傾斜した状態で取り付けられるが、前記構成で貯水槽30の前面壁31側を深くすることにより、貯水槽30の貯水量を可能な限り多めにすることができる。
両側壁33・33には、略中央より前面壁31寄りの位置に、略楕円状若しくは略コ字形である幅広の給水管配設用の凹部33aがそれぞれ切り欠かれて形成され、前記凹部33aと植栽コンテナ20の給水管配設用の凹部23bを対応する位置で合わせることにより、給水管配設用の穴部11が形成される。給水管配設用の穴部11、或いは給水管配設用の凹部33aと凹部23bは、前面壁31側が低くなるように傾斜して緑化ユニット10や貯水槽30が後述する支持部45に設置されることから、貯水量を可能な限り多めにすべく、中央よりも後面壁32寄りに設けると好適である。
貯水槽30の両側の側壁33に設けられた給水管配設用の凹部33aは、植栽コンテナ20の両側の側壁23に設けられた給水管配設用の凹部23bよりも幅広に形成されている。前記構成により、係止片32aの上端部がある程度長さを有する場合に、回動時に給水管の側壁33の上端による噛み込みを防止することができると共に、植栽コンテナ20の下方に余り空間を有しない場合でも給水管60を配設することが可能となる。尚、前記構成に代え、貯水槽30側の凹部33aを幅狭に、植栽コンテナ20側の凹部23bを幅広にする構成とすることも可能であり、前記構成でも同様の効果を得ることができる。また、幅狭の凹部23b或いは33aの幅は、給水管60の前後の大きな移動を規制できる或いは給水管60を略定置できる程度とするとよい。
後面壁32の上端には、内方へ屈曲延設され、更にその端部が下方へ屈曲延設された略鉤形の係止片32aが3箇所に形成されており、各係止片32aが植栽コンテナ20の後面脚部22aに形成された係止孔22bに挿入して係合され、貯水槽30の後面壁32が植栽コンテナ20の後面壁22に取り付けられる。
そして、貯水槽30を前記係止片32aによる係止で植栽コンテナ20に取り付けることにより、緑化ユニット10が構成される。緑化ユニット10は、図5及び図6に示すように、上方に植物を栽培可能な植栽コンテナ20が設けられ、その下方に水分を貯留可能な貯水槽30が設けられている。貯水槽30の底面34と植栽コンテナ20の脚部21a、23aの下端が略同一平面上に位置するように構成され、平面に設置した際に、貯水槽30の変形を防止すると共に、脚部21a、23a及び貯水槽底面34で緑化ユニット10を確実に支持できるようになっている。
緑化ユニット10には、図8及び図9に示すように、植栽コンテナ20の底面24に取り付けられて導水部材12が設けられる。導水部材12は、毛細管現象を生じて下部から上部へ導水可能な略棒状の導水部121が略筒形の支持部材122内に挿通し且つ上方へ突出して設けられている。支持部材122は上端に導水部を挿入可能な開口123が形成され、その下端は導水部121の挿入距離を規制するため閉鎖され、下端近傍の周壁には貯水槽30の水分を導水部121に導くための導水用穴124が形成されている。導水用穴124は、導水部121を水分にできるだけ多く接触させて確実に導水するために、下端近傍からある程度高い位置まで開口すると好適である。支持部材122の略上端には外方へ突出する2つの第1突出部125が形成され、且つ第1突出部125より下方に外方へ突出する第2突出部126(フランジ部)が形成されており、第2突出部126の下方には人が手に取って支持部材122の回転を容易にするための把持部127が形成されている。
導水部材12を植栽コンテナ20に取り付ける場合には、底面24の下方で第1突出部125を挿通孔24bの突出箇所に位置させ、支持部材123の筒状部及び第1突出部125をその外形より僅かに大きい挿通孔24bに下方から挿通し、挿通後に把持部127を持って回転することにより前記突出箇所と第1突出部125との位置をずらす。前記工程により、第1突出部125と第2突出部126とで間の植栽コンテナ底面24が挟持され、導水部材12は水平方向に加えて上下方向への移動を規制されて固定される。前記取り付けられた導水部材12の下端は、貯水槽30が取り付けられた状態で、貯水槽30の底面34に当接或いは底面34の近傍に配置される。
尚、導水部材12は、植栽コンテナ20のできるだけ前面壁21側に設けると、緑化ユニット10を後述する支持部に傾けて配設した場合でも、より多くの水分を導水可能となるため好適である。また、導水部121は、毛細管現象を生じて導水可能なものであれば適宜であり、例えばガラス繊維束、多孔質セラミックス、熱接着繊維、とうもろこし系繊維、アクリル繊維等や、これらを固化してなる導水棒等としてもよく、又、硬質材の導水部121と軟質材の導水部121が含まれる。
また、前述及び図11、図12に示すように、植栽コンテナ20と貯水槽30との取り付けは、植栽コンテナ20の後面脚部22aの係止孔22bに、貯水槽30の後面壁32に形成された係止片32aを挿通して係止することにより行われ、植栽コンテナ20と貯水槽30は後面壁22、32側で取り付けられる。取り付けられた植栽コンテナ20と貯水槽30の前面壁21、31側では、係止片32aと係止孔22bによる係止部を中心にして貯水槽30が回動可能で開放するようになっている。即ち、図12に示すように、前面壁31側で貯水槽30が開放可能なフリーな状態であり、後述する給水管を配設する際に、前面壁21、31側から給水管の配設作業が行えるようになっている。また、貯水槽30を閉じる場合には、開放状態の貯水槽30を係止部を中心に閉じる方向へ回動し、植栽コンテナ20の前面壁21と貯水槽30の前面壁31とをビス等で固定し、貯水槽30を閉じた状態で植栽コンテナ20と貯水槽30とを確実に取り付けることが可能であり、前面壁21、31側からの作業のみで給水管60の配設等の全ての作業を行うことができる。
尚、植栽コンテナ20と貯水槽30の回動構造は、前記構成以外にも適宜である。例えば図13に示すように、貯水槽30の後面壁32が植栽コンテナ20の回動の妨げにならない短めの後面脚部22aの内方に位置し、後面壁32の係止片32aを内方から外方へ係止する構成等とすることが可能であり、必ずしも貯水槽30の後面壁32を植栽コンテナ20の後面脚部22aの外方に配置する必要はない。また、図14に示すように、植栽コンテナ20の後面脚部22aを形成せずに、植栽コンテナ20の後面壁22と貯水部30の後面壁32を蝶番13を介して固定する構成としてもよい。
更に、緑化ユニット10には、図10に示すように、例えば平地等で植栽コンテナ20内に育成材14が充填され、育成材14に植物15が植栽され、植栽ユニットとされる。育成材14は植物15を栽培可能なものであれば適宜であり、例えばパーライト、バーミキュウライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト、下水或いは浄水場から発生する汚泥、或いは汚泥の焼却灰等を用いることができる。また、これらの内の数種類を選定し、更には根腐れ防止用の硅酸塩白土等を植物の種類、環境等に応じて適宜選定し、これらを保水性、排水性を良好にするためにバランス良く配合したもの、或いは単体又は配合して固化しブロック状にした軽量育成材や、スポンジやヤシガラ等の繊維材等の軽量育成材などを用いることができる。前記通気性良好な軽量育成材を育成材14として用いることにより、植物15の根が傷むことを防止でき、又、これらの軽量育成材による荷重は従来の客土の約1/3程度であることから、敷設面や後述する支持部材、或いは植栽コンテナ20へ負荷される荷重を軽減することができる。また、植物15の種類も適宜である。
次に、上記緑化ユニット10を取り付けて構成される緑化構造体50、及び緑化構造体50を複数横方向に整列配置して構成する緑化設備100について説明する。
本実施形態の緑化構造体50は、図15に示す支持器具40に緑化ユニット10が取り付けられて構成される。
支持器具40は、断面略コ字形のチャネル部材で垂直方向に立設する一対の支持柱41と、それぞれの支持柱41の下端で前後に突出して設けられる断面略コ字形のチャネル部材の支持脚42と、支持柱41と支持脚42間に斜めに設けられた補強部43と、水平に架設されて両支持柱41・41相互に連結する断面略L字形の連結部材44と、支持柱41の前面に設けられ、緑化ユニット10の取付部27を支持する支持部45とを備える。
支持脚42は、支持部45に緑化ユニット10が設置された際に重心が前方へ偏ることから、前方へ傾いて倒れることを防止すべく、支持柱41からの前方への突出長さが長くなっており、更に、補強部43で支持柱41の前方への傾きを確実に防止している。また、連結部材44の支持柱41・41間の架橋で、支持柱41が斜めに変形することを防止している。更に、連結部材44は、支持柱41と固定される基面441と、基面441の一方端縁が両側部から所定寸法内側部分で略直角に屈曲延設された屈曲片442を有し、屈曲片442は支持柱41を内方側面から支持し、支持器具40の斜めの変形防止を一層確実にしている。
支持部45は、支持柱41にネジ止め等で固定される基面451と、基面451の一方側端縁を前方へ屈曲延設された保持片452と、保持片452の前方端縁を略直角に外方へ屈曲延設された支持片453とを有し、縦断面略コ字形に形成されている。保持片452は台形状で上辺は下辺より長く、前記台形形状で取り付けられる緑化ユニット10が前方へ傾斜して配設されるようになっており、また、支持片453の上端で且つ保持片452側とは逆側の外側の角は面取りされている。支持部45の支持片453は、植栽コンテナ後面壁22の取付部27の間隔板27bで形成された被覆板27cと基板27aとの間の隙間に配置され、保持片452と支持片453により、被覆板27cや間隔板27bを支持する或いはこれらで構成される取付部27を支持する。尚、前記隙間に支持片453を配設する場合には、例えば、被覆板27cと基板27aとの隙間が支持片453をスライドするように取り付ける、或いは取付部27の一対の被覆板27cの内、片側を取り外し、支持片453を両側の隙間にそれぞれ配置した後、前記取り外した被覆板27cをネジ止めする等により固定して取り付ける。
上記支持器具40を用いることにより、垂直壁等の壁面がある場所以外にも、高さ方向へ緑化を図ることが可能になる。
そして、図16に示すように、上記緑化構造体50を複数横方向に整列配置して緑化設備100を構成する。緑化設備100を構成する場合には、例えば支持器具40を並設し、各支持器具40の支持部45に緑化ユニット10を配設し、給水管60を全ての緑化ユニット10に行き渡るように配設することにより完成する。図16に示す給水管60は、水源に接続されると共に、右の最下段の緑化ユニット10から左の最下段の緑化ユニット10へ横方向へ一連に挿通され、その後に上方へ左の中央段の緑化ユニット10へ導かれ、左の中央段の緑化ユニット10から右の中央段の緑化ユニット10へ横方向へ一連に挿通され、その後に上方へ右の最上段の緑化ユニット10へ導かれ、右の最上段の緑化ユニット10から左の最上段の緑化ユニット10へ横方向へ一連に挿通され、全体的に蛇行して配設されている。
尚、給水管60は、多孔質管、浸出管、ドリップチューブなど適宜であり、また、植栽コンテナ20と貯水槽30の間を通る箇所のみ水分を放出可能な前記多孔質、浸出、ドリップ等を有する管でも良い。また、給水管60を配設する構成としては、前記構成とは逆に、例えば水源に近い給水管60を上段の緑化ユニット10から横方向に配設し、徐々に下段の緑化ユニット10に配設する構成とすると良好である。即ち、水源から近い給水管60の部分では水圧が強く、且つ、下方に位置する給水管60の部分では水圧が強いため、水源から遠い給水管60の部分を下方に配置することで、均等な水圧での給水が可能となる。また、緑化設備100ではなく緑化構造体50に給水管60を設置する構成としてもよい。
給水管60の配設は、例えば緑化ユニット10の回動可能な貯水槽30を前方で開放し、開放状態のときに植栽コンテナ20と貯水槽30間に給水管60を入れ、凹部23bと33aで構成される給水管配設用の穴部11或いは凹部23b内に給水管60を略配置し、貯水槽30を回動して閉じつつ穴部11に給水管60を位置決めして配置し、その後に植栽コンテナ20と貯水槽30を脚部21aと前面壁31等でビス止めして固定することにより行う。前記給水管60の配設作業は、後方等の手が届かない箇所での作業等がなく、高い施工性を有する。
上記緑化構造体50及び緑化設備100を施工する際には、先ず、植栽コンテナ20の底面24に導水部材12を取り付ける工程を行い、その後、貯水槽30を植栽コンテナ20に取り付けて緑化ユニット10を構成する工程を行い、その後に、路面等の水平面で緑化ユニット10内に育成材14を充填する工程、植物15を植栽する工程を行う。その後に、支持器具40に緑化ユニット10を取り付けて緑化構造体50を構成する工程、貯水槽30と植栽コンテナ20の前面のビスを取り外す工程、給水管配設用の穴部11に給水管60を配設する工程を順次行い、最後に前記取り外したビスを取り付ける工程を行うことにより、緑化設備100が完成する。
尚、植栽を施す工程は、必ずしも植物15を植える場合に限定されず、例えば種を蒔く工程或いは種を蒔いて育成する工程等でもよい。また、導水部材12を取り付ける工程は、適宜の工程に前後して行ってもよい。更に、貯水槽30と植栽コンテナ20の前面での取付は、必ずしも水平面で行う必要はなく、例えば貯水槽30が外れた状態で支持部45に取付部27を取り付け、給水管60を配設した後に貯水槽30を取り付ける工程としてよい。更に、空の緑化ユニット10を支持器具40に取り付け、その後に育成材14及び植物15を植栽し、給水管60を配設する工程等としてもよい。
更に、給水管60を貯水槽30と植栽コンテナ20間に配設する際に、各緑化ユニット10の貯水槽30の全てを開放して一度に給水管60を全ての緑化ユニット10内に連通して配置し、貯水槽30を閉じる構成、或いは一つの緑化ユニット10の貯水槽30を開放して給水管60を配置し、前記貯水槽30を閉じた後に、次順位の緑化ユニット10について同様の工程を行う構成、或いは一若しくは複数の緑化ユニット10の貯水槽30を必要に応じて開放して給水管60を配置し、これらの貯水槽30を全て或いは一部閉じつつ、次順位の一若しくは複数の緑化ユニット10の貯水槽30を開放して給水管60を配置していく構成等とすることも可能である。
以上、実施形態の植栽コンテナ20と貯水槽30で構成される緑化ユニット10、緑化ユニット10を支持器具40に取り付けて支持する緑化構造体50、緑化構造体50を横方向に複数並べて配置し、給水管60を配設する緑化設備10について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な拡張や変形が可能である。
例えば植栽コンテナ20、貯水槽30、取付部27、支持部45の構造や形状は適宜であり、また、自立式の支持器具40を用いて垂直面を緑化する上記実施形態に用いるものに限定されず、例えば背後に垂直壁や金網等を有する場合には、例えば支持部45をネジ止めで垂直壁に固定する、或いは金網に引っ掛ける取付具等で金網に固定し、その支持部45に緑化ユニット10を取り付ける構成等により、壁面等の垂直面或いは高さ方向へ緑化ユニット10を設けて緑化を図ることが可能である。前記構成では、支持部45に加え、ワイヤー等により緑化ユニット10を垂直壁や金網に固定すると、台風などによる転倒を防止することができて好適である。
また、緑化構造体50或いは緑化設備100は、各段の緑化ユニット10を高さ方向へ真っ直ぐに支持器具40に取り付ける例(図17参照)に限定されず、例えば図18に示すように、ずれた位置に複数ある間隔板27b及び被覆板27cの適宜の箇所に支持片453を配置し、上下の緑化ユニット10を左右に千鳥状にずらして取り付ける構成、或いは図19に示すように、上下の緑化ユニット10を斜め方向に順次ズレして取り付ける構成等とすることが可能である。尚、ずらす寸法は、例えば緑化ユニット10に植えられる樹木など大きな植物15の本数や位置等で決定するが、緑化ユニット10の植物15が、上段の緑化ユニット10の隣接箇所及び上段の緑化ユニット10の植物15の相互間に位置するようにすると、緑化ユニット10の植物15で上段の緑化ユニット10の隣接箇所及び上段の緑化ユニット10の間の空間を隠すことが可能となり、緑化設備100の美観を向上することができて好適である。
また、緑化構造体50或いは緑化設備100には、緑化ユニット10に植えられた植物15の転倒を防止する支持棒、ワイヤー等の転倒防止部材をその緑化ユニット10や上段の緑化ユニット10に設けると、風雨による植物15の飛散や転倒を未然に防止することができ、長期に亘って優れた美観を維持することができて好適である。例えば図20に示すように、緑化ユニット10の植栽コンテナ20の両側の側壁23・23に支持棒71・71を取り付け、支持棒71・71の上端等の間に植物15内を通してワイヤー72を張設し、ワイヤー72で植物15を支持する構成、或いは前記構成に加え、ワイヤー72に植物15の幹や茎等をワイヤー73で縛って固定し支持する構成、或いは上段の緑化ユニット10で前面壁21若しくは31に外方へ弧状に突出するワイヤー74の挿通部を設け、前記挿通部にワイヤー74を挿通して取り付け、そのワイヤー74を下段の緑化ユニット10の植物15の茎や幹等に巻回する若しくは縛る等で支持する構成等とすることが可能である。
また、緑化構造体50或いは緑化設備100では、最下段以外の緑化ユニット10が一つ下段の緑化ユニット10に植えられている植物15によって前面壁21、31が隠れるため、優れた美観を得られるが、最下段の緑化ユニット10の前面壁21、31は目視可能となり、若干美観が損なわれる。そのため、例えば図20に示すように、最下段の緑化ユニット10に前方に垂下するように垂下型の植物75を植えると好適であり、前記構成により、全ての緑化ユニット10の前面壁21、31を概略隠し、全体に亘って緑化を図り、美観をより一層向上することができる。更に、垂下型の植物75を植える場合に、植物75を支えるための支持棒やワイヤー等の支え部材を設けると好適であり、例えば図20に示すように、緑化ユニット10の両側の側壁23に支持棒76を設け、支持棒76・76の上端等の間にワイヤー77を張設し、植物75をワイヤー77に絡ませて設ける或いはワイヤー77を越えて垂下するように設ける構成等とすると、構造を簡易化することができる。
また、図21に示すように、緑化設備100の前面等に水平面の緑化を行い、水平面の緑化エリア80に、少なくとも緑化設備100の前面近傍位置へ登攀性の植物81を植栽し、緑化構造体50或いは緑化設備100の最下段の緑化ユニット10の前面壁21、31を登攀性の植物81に登攀させ、最下段の緑化ユニット10を隠す構成としてもよい。また、水平面の緑化エリア80を最下段の緑化ユニット10の前面壁21、31を隠す高さに設ける、或いは最下段の緑化ユニット10の前面壁21、31が隠れるように、水平面の緑化エリア80に緑化構造体50或いは緑化設備100を設ける構成としてもよく、前記構成では特に登攀性の植物81等を植栽せずとも、最下段の緑化ユニット10を概略隠すことが可能になる。尚、緑化エリア80内に給水管が敷設される構成等の水平面の緑化エリア80を設ける場合に、緑化構造体50或いは緑化設備100に設けられる給水管60をそのまま水平面の緑化エリア80にも一連で設けると、緑化設備100や緑化エリア80等の全体の給水を一系統で行うことが可能になって好適である。また、水平面と高さ方向或いは垂直面の緑化を合わせて行うと、総合的に優れた美観を得ることができて好適である。
また、緑化構造体50或いは緑化設備100では、図22の一点鎖線で示すように、緑化ユニット10の後面壁22、32とその一つ上段の緑化ユニット10の前面壁21、31とが側面視で一直線上に配置されるように構成すると好適であり、前記構成により、水平面で植栽して上方に延びた植物15を有する緑化ユニット10をそのまま支持部45に配設した場合に、植物15を上段の緑化ユニット10の前面壁21、31に略沿う等の状態で斜めに配設することができ、下段の緑化ユニット10の植物15がその一つ上段の緑化ユニット10の配設の邪魔になることを防止することができると共に、美観を向上することができる。
また、緑化ユニット10の植栽コンテナ20の開放面を、その一つ上段の緑化ユニット10の排水路或いは排水箇所に対応する下方位置に設け、上段の緑化ユニット10からの余剰水を順次下段の緑化ユニット10に供給すると好適である。即ち、垂直方向など高さ方向に設置する緑化構造体50或いは緑化設備100は、最上段の緑化ユニット10を除くと降雨など自然による給水を直接受けることができないが、最上段の緑化ユニット10からの余剰水を順次下段の緑化ユニット10へ導くことにより、降雨など自然による給水を確実に下段の緑化ユニット10や植物15に供給することが可能となると共に、水道費を節約することもできる。図22に示す緑化構造体50では、上段の緑化ユニット10の前面壁31と貯水槽底面34の角が前記排水箇所に対応し、前記角から自然に水分が落下し、前記落下箇所の下方に位置する下段の緑化ユニット10の植栽コンテナ20の開放面に水分が供給される。
更に、前記構成では、例えば緑化ユニット10の前面壁31と底面34が突合する角から下方へ水分を伝わせる紐体などの水分供給路を構成する部材を予め設けると、水分供給を確実に行うことが可能になって好適である。更に、貯水槽30の前面壁31に上端から下端へ連なる凹部を形成し、貯水槽30の前面壁31の外面と植栽コンテナ20の脚部21aとの間に予め排水路となる空間を形成する構成、或いは植栽コンテナ20の脚部21aに突起状或いは高さ方向へ延びる突条等の外向き凸部を設け、植栽コンテナ20の脚部21aの内面と貯水槽30の前面壁31との外面との間に予め排水路となる空間を形成する構成としても良好であり、前記構成により、決まった箇所からの確実は排水が可能となり、又、美しい景観を維持しつつ排水を行うことができる。
また、上記緑化構造体50や支持器具40は、緑化ユニット10を3段設置する3段式とする場合について説明したが、4段式以上、或いは2段式にするなど適宜であり、例えば植物15の種類や施工場所等に応じて選定すればよい。また、一つの緑化ユニット10に植える植物15は、例えば樹木等の場合に4本以外に、3本以下、5本以上など適宜に植えることが可能であり、植物15の種類等に応じて適宜選定すればよい。
また、緑化ユニット10の植栽コンテナ20に関し、植栽コンテナ20の開放面に補強部材28を設けると、育成材14の重みによる植栽コンテナ20の変形を未然に防止することができて好適である。補強部材28は、例えば図23に示すように、細長板状で両端か下方へ屈曲する略コ字形の部材で、前面壁21と後面壁31間の長さと略対応する長さのものとし、補強片25に形成した挿通孔25aに補強部材28の両端の屈曲片28aをそれぞれ挿通して、前面壁21の補強片25と後面壁31の補強片25間に架橋する構成等とする。前記構成は簡単な構造で且つ安価に達成することができる。更に、補強部材28を細長平板等の平板状の部材とし、植栽コンテナ20の補強片25にビス止めする構成等とすることができる。また、補強部材28の数も、例えば植える植物15の数などに応じて適宜必要数設けることが可能である。
また、緑化設備100の横端縁に、給水管60を隠すための隠し部材を設けると、より美観に優れた緑化設備100とすることができて好適である。前記隠し部材は例えば断面コ字形のチャネル部材であるカバーとし、上段と下段の緑化ユニット10間に配設された給水管60を側面から覆うようにビス止め等で緑化ユニット10の側壁23に取り付ける、或いは支持器具40の支持柱41等に取り付ける構成等とすることができる。更に、例えば隠し部材としてカバーを設ける場合等には、そのカバーの外面に登攀性の植物81を這わせる構成等とするとより好適である。
また、緑化ユニット10、緑化構造体50又は緑化設備100で植栽される植物15は適宜の植物とすることが可能であるが、常緑の低木など常緑で余り背の伸びない植物とすると好適であり、例えば、アベリア、イヌツゲ、カンツバキ、サツキツツジ、ヒラドツツジ、シャリンバイ、ハマヒサカキ、ビョウヤナギ、マサキ、トベラ、ナワシログミ、コノテヒバ、グリーンコーン、ニオイヒバ、ニッコウヒバ、ピラカンサ、ベニカナメモチ等とすることが可能である。