JP4924953B2 - 型枠 - Google Patents
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Description
このような技術の最も一般的なものは、せき板の外側から内側に向かってボルトを突出させ、このボルトにせき板の内側からインサートナットを螺着し、インサートナットをせき板内面に固定するものである。
コンクリート製品の脱型に際しては、ボルトを回転してインサートナットとの螺着を解除し、しかる後コンクリート製品を型枠から取り除く。
また、せき板内面に弾性体でなるボスを突出させておき、このボスにインサートナットなどの筒状体を押し込んで固定する技術もある。この場合、ボスの外径は筒状体の内径よりもやや大きくなっており、ボスの弾性により筒状体を型枠内面に確実に固定できるようにするのが一般的である。
脱型は、ボスはそのままの状態でコンクリート製品をボスの軸線方向に無理矢理引き抜く方法(一般的方法)と、ボスをせき板から外側に引き抜いた後にコンクリート製品を型枠から取り除く方法がある。
しかし、ボルトを螺着し/取り外す作業(ボルトを回転する作業)がきわめて煩雑なばかりか、型枠の下側などの手の届かない場所に用いることが出来ず、また、このような場所で無理に作業を行うのは危険であるという問題があった。
前記の、せき板内面のボスに筒状体を押し込んで固定する方法は、せき板内面に比較的簡単に筒状体を固定することができるが、強固な固定とはならず、コンクリートを型枠に投入する衝撃などで、筒状体がせき板内面から浮き上がり又は脱落したり、曲がった状態で埋設されてしまうおそれがあった。
また本発明は、インサートナットなどの筒状体を埋設したコンクリート製品を成形する型枠であって、
前記筒状体を取り付ける筒状体取付部を備え、
該筒状体取付部は、せき板の外側から内側に貫通して突出する棒状又はワイヤー状の引張部材と、せき板の内側において前記引張部材の外周に装着された弾性筒部材と、該弾性筒部材の外周に装着され該弾性筒部材よりも高硬度で弾性的に増径・縮径可能な外側筒部材と、前記引張部材をその軸線方向に移動させる作動手段を有し、
前記引張部材の前記弾性筒部材の装着された部分の先端側にフランジ部が形成され、
前記引張部材を前記作動手段によりせき板の外側方向に引張移動させたときに、前記弾性筒部材がせき板内面と前記フランジ部で圧縮され、前記弾性筒部材と前記外側筒部材が増径し、前記引張部材がせき板の内側方向に移動したときに前記弾性筒部材と前記外側筒部材が縮径することを特徴とする型枠である。
コンクリート製品を脱型するときは、引張部材を作動手段によりせき板の内側方向に移動させるか、又は、作動手段の引張を解除すると、弾性筒部材の圧縮が解除され、弾性筒部材及び外側筒部材が元通りに縮径し、コンクリート製品を型枠から容易に取り出すことができる。
弾性筒部材を単独で用いると、表面に油が付着して摩擦が低下したり、締固めのバイブレーターの振動などにより、筒状体がせき板表面から浮き上がるおそれがあるが、弾性筒部材と、これよりも高硬度(ビッカース硬さ)の外側筒部材の二重構造とすることで、筒状体をしっかりと固定でき、このようなおそれがなくなる。また、弾性筒部材の摩擦による劣化が緩和され、耐久性も向上する。
弾性筒部材の材質としては、例えば、反撥弾性、耐摩耗性、耐衝撃性に優れたポリエステル系ウレタンプレポリマーやポリエーテル系ウレタンプレポリマーなどが好適である。
また本発明は、前記外側筒部材の内周面及び外周面が粗面となっている請求項1に記載の型枠である。
粗面はRaで20〜80μm程度、Ryで100〜200μm程度が適当である。
また本発明は、前記粗面が、前記外側筒部材の内周面及び外周面において円周方向に形成された多数の溝によって形成されている請求項2に記載の型枠である。
また本発明は、前記外側筒部材が、全長に亘る長さ方向の切断部を有する金属製筒である請求項1〜3のいずれかに記載の型枠である。
また本発明は、前記フランジ部が前記引張部材に螺着したナットである請求項1〜4のいずれかに記載の型枠である。
なお、この場合の「ナット」にはナットとワッシャーの組み合わせも含まれる。
また、筒状体の装着や脱型は、作動手段で引張部材をその軸方向に移動させることで容易に行うことができ、作動手段を操作する位置は、型枠の下側などの危険な場所を避けて容易に設定できるので、安全に作業することができる。
図1,2に示す筒状体取付部は、せき板7の外側(図1,2の下側)から内側(図1,2の上側)に貫通して内側に突出する引張部材1と、せき板7の内側において引張部材1の外周に装着された弾性筒部材4と、弾性筒部材4の外周に装着された外側筒部材5と、引張部材1をせき板7の内外方向(引張部材1の軸線方向)に作動させる作動手段を有する。作動手段は、引張部材1の下部に設けられているが、図1,2では作動手段は省略して表している。
図3は弾性筒部材4の一例で、ポリエステル系ウレタンプレポリマー製の筒である。肉厚は、特に制限はないが、例えば3〜20mm程度とすることができる。
図4は、外側筒部材5の一例である。これは、金属製(鋼製)筒で、その全長に亘って長さ方向の切断部8を有するので、弾性的に増径・縮径可能である。外側筒部材の肉厚に特に制限はないが、例えば0.3〜2.0mm程度とすることができる。図5に示されるように、その周壁の内周面及び外周面において、円周方向に深さ0.1〜0.2mmの多数の溝が形成されている。この外側筒部材は、例えば内径25mmのインサートナットを装着する場合に用いられる。
図6は外側筒部材5の他例で、周壁が多数の穴5を有することにより網目状となっており、これにより弾性的に増径・縮径可能となっている。
外側筒部材の長さは、弾性筒部材が圧縮できるように、その圧縮量以上、弾性筒部材の長さよりも短くなっている。
フランジ部の外径は、弾性筒部材4を圧縮するために、弾性筒部材4の内径よりも大きければよいが、充分圧縮するために弾性筒部材4の外径とほぼ同じ程度とすることが望ましい。ただし、筒状体6を装着するために、その内径よりも小さくなければならない。
なお、外側筒部材5を用いない場合は、弾性筒部材4が増径するように弾性変形し、その外周面が筒状体6の内面に押し付けられる。これにより、筒状体6はせき板7の内面に強固に固定される。
コンクリートが硬化し、コンクリート製品が成形された後、脱型が行われる。脱型に先立って、図示されない作動手段を操作して引張部材1をせき板の内側方向(図1,2の上側方向)に移動すると、弾性筒部材4の軸方向の圧縮が解除され、半径方向に縮径するように弾性復帰する。これに伴って外側筒部材5も縮径するように弾性復帰し、図1の状態になる。この状態においては、筒状体6を抵抗なく外側筒部材5の周囲から抜き取ることができるので、コンクリート製品を型枠から容易に抜き出し、脱型することができる。
図7は脱型した後のコンクリート製品Cの略断面図で、インサートナットなどの筒状体6がコンクリート製品Cの断面に埋め込まれている状態である。
せき板7で囲まれた部分がキャビティーで、インサートナットはせき板の下面(基礎ブロックの上面)に装着される。インサートナットを装着する機構は、図1,2と同様である。せき板7は基台13の上に載置固定されている。基台13は、H形鋼、L形鋼(いわゆるアングル)、コ字形鋼(いわゆるチャンネル)などの鋼材などで周知のごとく製作すればよい。
脱型に際しては、ハンドルでカム11を回して図8の実線に示すようにすると、連結部10の押し下げ及び引張部材1の引張が解除され、弾性筒部材、外側筒部材(図1,2)の弾性により連結部10及び引張部材1が上方に移動して、実線で表した状態に戻り、弾性筒部材及び外側筒部材は縮径して図1の状態となる。
このように、作動手段は、引張部材1を強制的に外側に移動させその状態を保持させる必要があるが、内側に移動させる場合は作動手段が引張部材を引っ張っている状態を解除して弾性筒部材4や外側筒部材5の弾性を利用してもよい。
せき板7で囲まれた部分がキャビティーで、左右それぞれ1本ずつの枕木ブロックを成形する。インサートナットはせき板の下面(基礎ブロックの上面)に装着される。インサートナットを装着する機構は、図1,2と同様である。せき板7は基台13の上に載置固定されている。基台13は、H形鋼、L形鋼(いわゆるアングル)、コ字形鋼(いわゆるチャンネル)などの鋼材などで周知のごとく製作すればよい。
作動桿14は、基台13に設けた支軸15により基台に枢着され、支軸15を中心にしてシーソーのように揺動可能となっている。
作動桿14の左側端部は、4個の引張部材1の下端を連結する連結部10の垂下部10aにピン16により枢着されている。この枢着部において、ピン16が挿入される穴は作動桿14の軸方向の長穴となっており、作動桿14はその軸方向に多少移動することができる。
作動桿14の右側端部には、ボルト受17がその側面に突出形成されたピン18により枢着されている。ボルト受17にはボルト孔17aが形成され、ボルト孔17aにはボルト22が上から挿通されている。ボルト22の、ボルト受17の下側には鍔部23が形成されており、ボルト22が上下動すると、作動桿14の右側端部も上下動するようになっている(図10)。鍔部23は、ナットやドーナツ状板をボルトに溶接固定するなどして形成できる。
ボルト22の下部はナット20に螺着されている。ナット20は、基台13のアングル13aの外面に固定された支持片19に、ナット20の側面に突出形成されたピン21により枢着されている(図10)。
脱型に際しては、ボルト22を右回りに回転させると、ナット20に螺合している関係で、ボルト22が下降し、ボルト頭部に押し下げられて作動桿14の右側も下降する。すると、作動桿14の左側は上昇し、連結部10及び引張部材1が上方に移動して、実線で表した状態に戻り、弾性筒部材及び外側筒部材は縮径して図1の状態となる。
この作動手段は、引張部材1を強制的に外側又は内側に移動させるものである。
また、1つの作動手段で1つの引張部材を作動させてもよいし、実施例のように、1つの作動手段で複数の引張部材を作動させてもよい。
型枠ロについて、筒状体取付部の引張部材の外周にポリエステル系ウレタンプレポリマー製の弾性筒部材を装着し、さらにその外周にS45C製の図4,5に示す外側筒部材を装着してインサートナットを埋設した枕木ブロックを製造した結果、インサートナットの浮き上がりは完全に解消された。
これにより、外側筒部材を用いることで、インサートナットなどの筒状体をより強固に固定できることが実証された。
2 ナット
3 ワッシャー
4 弾性筒部材
5 外側筒部材
6 筒状体
7 せき板
8 切断部
9 穴
10 連結部
11 カム
12 回転軸
13 基台
14 作動桿
15 支軸
16 ピン
17 ボルト受
18 ピン
19 支持片
20 ナット
21 ピン
22 ボルト
23 鍔部
Claims (5)
- インサートナットなどの筒状体を埋設したコンクリート製品を成形する型枠であって、
前記筒状体を取り付ける筒状体取付部を備え、
該筒状体取付部は、せき板の外側から内側に貫通して突出する棒状又はワイヤー状の引張部材と、せき板の内側において前記引張部材の外周に装着された弾性筒部材と、該弾性筒部材の外周に装着され該弾性筒部材よりも高硬度で弾性的に増径・縮径可能な外側筒部材と、前記引張部材をその軸線方向に移動させる作動手段を有し、
前記引張部材の前記弾性筒部材の装着された部分の先端側にフランジ部が形成され、
前記引張部材を前記作動手段によりせき板の外側方向に引張移動させたときに、前記弾性筒部材がせき板内面と前記フランジ部で圧縮され、前記弾性筒部材と前記外側筒部材が増径し、前記引張部材がせき板の内側方向に移動したときに前記弾性筒部材と前記外側筒部材が縮径することを特徴とする型枠。 - 前記外側筒部材の内周面及び外周面が粗面となっている請求項1に記載の型枠。
- 前記粗面が、前記外側筒部材の内周面及び外周面において円周方向に形成された多数の溝によって形成されている請求項2に記載の型枠。
- 前記外側筒部材が、全長に亘る長さ方向の切断部を有する金属製筒である請求項1〜3のいずれかに記載の型枠。
- 前記フランジ部が前記引張部材に螺着したナットである請求項1〜4のいずれかに記載の型枠。
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