JP2530977B2 - コンクリ―ト製品の吊上げ反転穴形成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート製品に設
けられる吊上げ反転穴の形成装置に関する。Ｕ字溝等の
側溝や暗渠などのコンクリート製品においては、その移
動や設置作業を容易かつ迅速に行うため、両側面の略重
心位置に金属パイプ等からなる穴形成部材が埋設されて
吊上げ反転を行うための穴が形成される。

【０００２】

【従来の技術】Ｕ字溝等の側溝や暗渠などのコンクリー
ト製品においては、その移動や設置作業を容易かつ迅速
に行うため、両側面の略重心位置に吊上げ反転を行うた
めの穴が形成される。

【０００３】そして、この吊上げ反転穴に吊上げ反転工
具の差込棒を差し込み、吊上げ反転工具をクレーン等で
吊上げ、コンクリート製品の吊上げ反転作業や移動およ
び設置作業を行う（実公昭５９−１６３８９号公報、実
公昭６０−４０５４６号公報参照）。

【０００４】ところで、吊上げ反転穴には多大な応力が
作用するので、吊上げ反転穴は一般に金属パイプ等から
なる穴形成部材を埋設して形成される。

【０００５】従来、穴形成部材を型枠内面に固定するに
は、実公平１−５８２８４号公報，実公平２−５３２０
４号公報等に示されるような構成が取られている。

【０００６】すなわち、型枠に穿設された貫通孔の外面
側周囲に内径が貫通孔の径より大きい高ナットを固定
し、この高ナットにボルト形状の係止部材を螺合する。
係止部材の先端側には、貫通孔に挿通される長尺円柱形
状の支持部材が形成されており、型枠内面側に差し込ま
れた支持部材に金属パイプ等からなる穴形成部材を取り
付けている。

【０００７】また、その他には実開平２−２５６９号公
報に示されるような構成が採用されている。

【０００８】すなわち、基端側にフランジ部が形成さ
れ、先端に螺合部（または雄ネジ部）が形成された略円
筒形状の支持部材を外側から型枠の貫通孔に挿入し、こ
の支持部材に金属パイプ等からなる穴形成部材を嵌合す
ると共に、穴形成部材の奥に形成された係止部（または
雌ネジ部）を支持部材の螺合部（または雄ネジ部）に取
り付けて穴形成部材を固定している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実公平
１−５８２８４号公報，実公平２−５３２０４号公報等
に示されるような構成では、型枠外面側の貫通孔周囲に
高ナットを固定する必要があるので、その分作業工程が
ふえる。

【００１０】さらに、ボルトの先端側を長尺円柱状とし
た特殊形状の支持部材を用いているので、製造コストが
増加する。これに加えて、支持部材は高ナットに螺合さ
れているので、コンクリート固化後に支持部材を抜き取
る際には、そのボルト頭部をスパナ等の工具で回転させ
ねばならず、迅速に作業を行うことが難しい。

【００１１】また、実開平２−２５６９号公報に示され
るような構成では、穴形成部材の奥に係止部（または雌
ネジ部）を形成し、支持部材の先端に螺合部（または雄
ネジ部）を形成する必要があるので、その分製造コスト
が増加する。さらに、支持部材は穴形成部材に螺合され
ているので、支持部材を抜き取る際には、その頭部をド
ライバ等の工具で回転させねばならず、迅速に作業を行
うことが難しい。

【００１２】本発明は上記従来の事情に鑑み創案された
もので、その目的は、製造コストが安価で、工具を用い
ることなく支持部材の取り付けおよび抜き取り作業を容
易かつ迅速に行えるコンクリート製品の吊上げ反転穴形
成装置を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による装置は以下の構成が採用されている。
図１には本発明の装置の構成が示されている。

【００１４】型枠１０には取付孔１２が形成されてお
り、この取付孔１２には支持部材２０が取り付けられて
いる。支持部材２０は略円柱形状を有しており、基端に
はフランジ部１４が形成されている。そして、その中心
部にはフランジ部１４側から奥まで挿入穴１６が形成さ
れている。

【００１５】また、図２ないし図４から理解されるよう
に、支持部材２０の外周部には挿入穴１６に沿って長手
方向に連続し、外周面から挿入穴１６に到達する複数の
溝１８が形成されている。支持部材２０の外周にはこれ
を覆う円筒状のシール部材２２が取り付けられており、
該シール部材２２はゴム、合成樹脂材等で形成されてい
る。

【００１６】また穴形成部材２８は、円筒状の管部２４
と管部２４の中央に取り付けられる円板状のアンカー部
２６とから形成されており、支持部材２０に嵌合されて
型枠１０の内面側に配置される。

【００１７】そして、支持部材２０の挿入穴１６には挿
入棒３０が挿入される。挿入棒３０を挿入することによ
り、支持部材２０の外周が拡大されてシール部材２０が
穴形成部材２８の管部２４内面に密着される。

【００１８】

【作用】本発明では、型枠１０の取付穴１２に支持部材
２０が差し込まれ、この支持部材２０に管部２２が嵌合
されて穴形成部材２８が型枠１０の内面側に配置され
る。

【００１９】さらに支持部材２０の挿入穴１６には、挿
入棒３０が挿入される。挿入棒３０を挿入することによ
り、支持部材２０の外周が拡大されてシール部材２０が
穴形成部材２８の管部２４内面に密着され、これによ
り、穴形成部材２８の固定が確実に行われる。

【００２０】また、コンクリート固化後は挿入棒３０を
抜き取り、フランジ部１４の両端を指などで押さえ込ん
で各溝１８を潰すことにより支持部材２０の外周を縮小
させ、これにより、支持部材２０の抜き取り作業を容易
かつ迅速に行える。

【００２１】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例
を説明する。図１には第１実施例の構成が示されてい
る。

【００２２】相対向する外型枠１０の所定位置（コンク
リート類製品の重心位置に相当する。）には取付孔１２
が形成されており、この取付孔１２には穴形成部材２６
を支持する支持部材２０が取り付けられている。

【００２３】図２ないし図４には支持部材２０の詳細な
構成が示されている。支持部材２０は略円柱形状を有し
ており、穴形成部材２８の管部２４を完全に塞ぐため、
その全長は管部２２の長さより若干大きくとられてい
る。

【００２４】支持部材２０の基端にはフランジ部１４が
形成されており、また、その中心部にはフランジ部１４
側から奥まで挿入穴１６が形成されている。

【００２５】さらに、支持部材２０の外周部には、挿入
穴１６に沿って長手方向に連続し、外周面から挿入穴１
６に到達する溝１８が複数形成されている。

【００２６】支持部材２０の先端部はテーパーが付けら
れており、テーパーの端部は突出片３２とされている。
そして、支持部材２０の外周には、ゴム、合成樹脂材等
からなる円筒状のシール部材２２が取り付けられてお
り、シール部材２０で各溝１８が塞がれる。

【００２７】図示されるように、シール部材２２の先端
側面は突出片３２に当接され、横方向にずれないように
なっている。シール部材２２で覆われた支持部材２０の
外径は、穴形成部材２８の管部２４に対してややすきま
ばめとされている。

【００２８】また穴形成部材２８は、円筒状の管部２４
と管部２４の中央に取り付けられる円板状のアンカー部
２６とから形成されており、アンカー部２６の外側には
コンクリートとの一体化をより強固にするため多数の突
起３４が形成されている。

【００２９】そして、穴形成部材２８は支持部材２０に
嵌合されて型枠１０の内面側に配置される。

【００３０】さらに、支持部材２０の挿入穴１６には、
挿入棒３０が挿入される。挿入棒３０を挿入することに
より、支持部材２０の外周が拡大されてシール部材２２
が穴形成部材２８の管部２４内面に密着され、これによ
り、支持部材２０とシール部材２２とを確実かつ強固に
接合できる。

【００３１】挿入棒３０の基端には頭部３６が形成され
ており、頭部３６にはリング３８が取り付けられてい
る。

【００３２】その後、配筋作業が行われ、内型枠４０が
取り付けられた後、内型枠４０と外型枠１０との間にコ
ンクリート４２が打設される。

【００３３】コンクリート養生作業終了後、コンクリー
トが充分固化したら挿入棒３０および支持部材２０を取
り外す。

【００３４】挿入棒３０を抜き取る際には、リング３８
に指等をかけて引き抜けば、簡単に取り外すことができ
る。

【００３５】図５のように挿入棒２８を抜き取った後、
図６に示されるように支持部材２０のフランジ部１４を
両端から指などで押さえ込んで各溝１８を潰し、支持部
材２０の外周を縮小させてこれを引き抜く。

【００３６】その際には、シール部材２２の先端側面が
突出片３２に当接されて横方向への移動がおさえられる
ので、シール部材２２が支持部材２０から外れて管部２
４内に残るおそれはない。

【００３７】このようにシール部材２２で覆われた支持
部材２０を抜き取る際には先端側の外周を縮小できるの
で、容易かつ迅速に取り外すことができる。

【００３８】以上説明したように本実施例によれば、穴
形成部材２８取り付け時には支持部材２０の挿入穴１６
に挿入棒３０が挿入され、その外周が拡大されてシール
部材２２が穴形成部材２８の管部２４内面に密着される
ので、シール部材２２で覆われた穴形成部材２８を外型
枠１０の内面側へ確実かつ強固に固定できる。

【００３９】また、コンクリート固化後は、リング３８
に指等をかけて挿入棒３０を抜き取った後、支持部材２
０のフランジ部１４を両端から指などで押さえ込んで各
溝１８を潰すことにより、先端側の外周を縮小できるの
で、工具等を用いることなく支持部材２０の抜き取り作
業を容易かつ迅速に行える。

【００４０】また、支持部材２０および挿入棒３０には
ネジ部を形成する必要がなく、合成樹脂材等で簡単に製
作できるので、製造コストが安価である。

【００４１】図７には第２実施例の構成が示されてい
る。この実施例では、支持部材２０のフランジ部１４と
外型枠１０との間にワッシャ４４が介在されている。こ
のため、施工時にフランジ部１４と外型枠１０との間に
コンクリート等が付着したとしても、支持部材２０の抜
き取りを容易に行えるようになっている。

【００４２】また、挿入棒３０の頭部３６に取り付けら
れたリング３８と支持部材２０とは、チェーンまたはワ
イヤ等の繋ぎ材４６で繋がれている。このため、繰り返
して作業を行っても部品が紛失するおそれはない。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、穴
形成部材取り付け時には支持部材の挿入穴に挿入棒が挿
入され、その外周が拡大されてシール部材が穴形成部材
の管部内面に密着されるので、穴形成部材を型枠の内面
側へ確実かつ強固に固定できる。

【００４４】また、コンクリート固化後は、挿入棒を抜
き取った後、支持部材のフランジ部を両端から指などで
押さえ込んで溝を潰すことにより、先端側の外周を縮小
できるので、工具等を用いることなく支持部材の抜き取
り作業を容易かつ迅速に行える。

【００４５】また、支持部材および挿入棒にはネジ部を
形成する必要がなく、合成樹脂材等で簡単に製作できる
ので、製造コストが安価である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の構成を説明する断面図で
ある。

【図２】支持部材の構成を示す正面図である。

【図３】支持部材の構成を示す側面図である。

【図４】支持部材と挿入棒の構成を説明する斜視図であ
る。

【図５】第１実施例の装置の取り外し手順を説明する断
面図（その１）である。

【図６】第１実施例の装置の取り外し手順を説明する断
面図（その２）である。

【図７】本発明の第２実施例の構成を説明する断面図で
ある。

【符号の説明】

１０ 型枠 １２ 取付孔 １４ フランジ部 １６ 挿入穴 １８ 溝 ２０ 支持部材 ２２ シール部材 ２４ 管部 ２６ アンカー部 ２８ 穴形成部材 ３０ 挿入棒 ３２ 突出片 ３４ 突起 ３６ 頭部 ３８ リング ４０ 内型枠 ４２ コンクリート ４４ ワッシャ ４６ 繋ぎ材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 型枠（１０）に形成された取付孔（１
   ２）に差し込まれ、基端にはフランジ部（１４）が形成
   され、中心部にはフランジ部（１４）側から奥まで挿入
   穴（１６）が形成されており、外周部には挿入穴（１
   ６）に沿って長手方向に連続し、外周面から挿入穴（１
   ６）に到達する複数の溝（１８）が形成された略円柱形
   状の支持部材（２０）と、 支持部材（２０）の外周を覆う円筒状のシール部材（２
   ２）と、 円筒状の管部（２４）と、管部（２４）の中央に取り付
   けられる円板状のアンカー部（２６）とからなり、支持
   部材（２０）に嵌合されて型枠（１０）の内面側に配置
   される穴形成部材（２８）と、 支持部材（２０）の挿入穴（１６）に挿入され、支持部
   材（２０）の外周を拡大してシール部材（２２）を穴形
   成部材（２８）の管部（２４）内面に密着させる挿入棒
   （３０）と、 を有する、ことを特徴とするコンクリート製品の吊上げ
   反転穴形成装置。