JP4924515B2 - 混練装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような2本ロールミルは、一方のロールに被混練物を付着させながら被混練物に剪断力を付与する混練機であるため、顔料濃度やフィラーの濃度が非常に高い場合、ワックスなどの離型剤が含まれる場合、分散媒体である熱可塑性樹脂の付着力が低い場合などでは、ロール温度、ロール間の隙間、供給量等について高度な調整が必要である。
そのため、特定の熟練者の技術が必要であったり、或いはロールミルに混練物を繰り返し供給する必要があることにより、生産速度の低下を招いていた。
これに対し、オープンタイプの2本ロールミルにおいて、ロールに形成された溝のピッチや深さを調整することにより、混練処理能力を改善することが提案されているが(例えば、特許文献1及び2参照)、その効果は低く、より高い生産速度による生産性の向上が望まれていた。
このような混練装置では、表面に耐摩耗性硬化処理が施された第1のロールには、原料混合物が付着せず、表面処理が施されていない前記第2のロールには、原料混合物が付着するものとなる。
この場合、耐摩耗性硬化処理として、チタンカーバイトコーティング、タングステンカーバイトコーティング、窒化チタン多層コーティング、トリプルチタンコーティング、複合多層チタンコーティング、炭窒化チタン多層コーティング、窒化チタンアルミナコーティング、窒化クロムコーティング、ガス窒化法、塩浴窒化法、タフトライド法、及びプラズマ窒化法からなる群から選ばれる処理を第1のロールに施すことが出来る。
本発明の一実施形態に係る混練装置は、原料混合物を混練するための混練装置であって、2本のロールを備え、2本のロールのうち、第1のロールは、表面に耐摩耗性硬化処理が施されており、第2のロールには、表面処理が施されていないことを特徴とする。
実施例
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明についてより詳細に説明する。
バッチ式2本ロールミルとして、株式会社小平製作所製:試験用2本ロールR2型(スチーム加熱式)ロール寸法:63.5φ×150Lmmを用いた。ロールは、ガス窒化法による耐摩耗性表面処理を行ったロールと表面処理を行わないロールを用意した。
連続式2本ロールミルとして、三井鉱山(株)製:オープンロール連続混練造粒機:MOS100−500ロール寸法:100φ×500Lmmを使用した。ロールは、プラズマ窒化法による耐摩耗性表面処理を行ったロールと表面処理を行わないロールを用意した。
被混練物は、下記の配合組成の顔料マスターバッチ、電子写真用トナー、複合ゴム組成物である。
<顔料マスターバッチ>
三菱レイヨン製:ポリエステル樹脂(Tm:108℃) 50質量部
マゼンタ顔料
セイカファーストカーミン1476T−7(大日精化製) 50質量部
<電子写真用トナー>
花王(株)製:ポリエステル樹脂(Tm:136℃) 50質量部
マゼンタ顔料
セイカファーストカーミン1476T−7(大日精化(株)製) 5質量部
カルナバワックス1号(日本ワックス(株)製) 5質量部
「ボンドロンE−84」(オリエント化学工業(株)製) 1.5質量部
<複合ゴム組成物>
エピクロルヒドリンゴム
(ゼクロンG3100、日本ゼオン(株)製) 100質量部
液状NBR 27質量部
ケッチェンブラックEC300J(ライオン(株)製) 25質量部
炭酸カルシウム 20質量部
酸化亜鉛 5質量部
表面処理硫黄 1質量部
加硫促進剤 0.3質量部
実施例1〜3、比較例1〜3
以上の被混練物について、バッチ式2本ロールミルによる混練処理を行なった。
まず、所定配合処方の原材料1.5kgをヘンシェルミキサー(有効容量:10リットル)に投入し、羽根回転数2500回転/分にて1分間混合を行った。次いで、株式会社モリヤマ製:タンジェンシャル(ディファレンシャル)方式の小容量加圧型ニーダーD3−10混合容量:3リットル、主モーター:10HP(7.5kW)を用いて、混合槽温度をバインダーのTg以上、Tm以下の温度に設定し、材料が十分均一になるまでプレ混練を行った後、得られたプレ混練物をバッチ式2本ロールミルへ投入した。
実施例4〜6、比較例4〜6
以上の被混練物について、連続式2本ロールミルによる混練処理を行なった。
ロール22,23のうち一方は、ガス窒化法による耐摩耗性表面処理が施されており、他のロールは、表面処理が施されていない。
2本ロールミルによる混練条件は、予備混練物に可能な限り高勇断力を付与するように低温に設定した。安定して生産できる温度条件を調整した際の条件を下記表2及び表3に示す。
通常、高顔料濃度のマスターバッチの製造のためには、しばしば有機溶剤や水などを添加し、濡れ性を改善するなど独自の手法を行い、高分散性と高生産性を得ようとするが、そうすることにより添加物が残留した場合などの品質トラブルを招く可能性がある。
これに対し、実施例1及び4では、ロールヘの付着性が改善され、上記のような手法をとることなく十分な分散性を得ることができた。顔料の分散性も、下記表4に示すように良好であった。
また、電子写真用トナーの混練について、実施例2と比較例2の比較、及び実施例5と比較例5の比較から、実施例2及び実施例5では、同様にロール設定温度を低く設定することが可能であった。
また、複合ゴム組成物の混練について、以下のように評価した。
得られた複合ゴム組成物を鋼板(材質:SUS301)上に厚さ2mmで均一に整形し、次いで150℃で0.5時間加熱し、加硫させた。その後、研削して鋼板(材質:SUS301)上に厚さ1mmの導電弾性層を形成した。この導電弾性層について、電気抵抗値を測定した。
以上、顔料マスターバッチ、電子写真用トナー、及び複合ゴム組成物の混練についての実施例について示したが、本発明は、これらに限らず、(1)フィルムの製造、(2)粉体塗料の製造、(3)プラスチック容器の製造、(4)タイヤの製造、(5)絶縁体の製造、及び(6)廃プラスチックのリサイクルについての混練にも同様に適用することが可能である。
Claims (5)
- 原料混合物を混練するための2本のロールを備える混練装置であって、前記2本のロールのうち、第1のロールは、表面に耐摩耗性硬化処理が施されており、第2のロールには、表面処理が施されていないことを特徴とする混練装置。
- 表面に耐摩耗性硬化処理が施された第1のロールには、原料混合物が付着せず、表面処理が施されていない前記第2のロールには、原料混合物が付着することを特徴とする請求項1に記載の混練装置。
- 前記耐摩耗性硬化処理は、チタンカーバイトコーティング、タングステンカーバイトコーティング、窒化チタン多層コーティング、トリプルチタンコーティング、複合多層チタンコーティング、炭窒化チタン多層コーティング、窒化チタンアルミナコーティング、窒化クロムコーティング、ガス窒化法、塩浴窒化法、タフトライド法、及びプラズマ窒化法からなる群から選ばれる処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の混練装置。
- バッチ式であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混練装置。
- 連続式であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混練装置。
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