JP4923927B2 - クランクシャフトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クランクシャフトの製造方法に関するものである。
従来、自動車のエンジンなどには、クランクシャフトが使用されている。クランクシャフトは、一般に、回転軸方向に所定の間隔に配置されたアーム部を、上記回転軸と中心軸を一致させて配置したジャーナル部と、上記回転軸と一定距離離間させた位置に中心軸を有するピン部とにより、交互に連結した構造を有している。
この種のクランクシャフトの製造方法としては、例えば、丸棒の鋼を、必要な最終形状まで熱間鍛造する方法、さらに、熱間鍛造後、焼きならし処理を行ったり、強度確保のために軟窒化処理または窒化処理を施す方法などが知られている。
また、例えば、特許文献1には、鋼を熱間鍛造した後、これを放冷し、さらに、ピン部およびジャーナル部とアーム部とのつなぎ部を冷間コイニングして、コイニング部を加工硬化させるクランクシャフトの製造方法が開示されている。
特開2004−243373号公報
しかしながら、従来知られるクランクシャフトの製造方法は、以下の点で改善の余地があった。
すなわち、例えば、軟窒化処理等を施したクランクシャフトでは、鍛造時や軟窒化時に生じた曲がりを修正するため、軟窒化処理後に曲がり矯正を行うことが多い。
ところが、その表面には硬質の窒化層が形成されているため、曲がり矯正時に、窒化層に亀裂が生じ、クランクシャフトが破損することがある。そのため、クランクシャフトは、曲がり矯正を行い易いように良好な曲げ矯正性を有していることが要求される。
また、クランクシャフトは、通常、大きなねじり負荷や曲げ負荷が繰り返し作用する環境下で使用される。そのため、高い静的強度、疲労強度を有していることが要求される。
しかしながら、高強度化を図るほど、曲げ矯正性は低下していく関係にある。したがって、曲げ矯正性および強度特性を両立できる範囲には限界があり、これ以上の強度特性の改善は困難な状況にあった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、従来に比較して、曲げ矯正性および強度特性に優れたクランクシャフトを製造可能な方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るクランクシャフトの製造方法は、鋼を、110
0℃以上の温度でクランクシャフト形状に熱間鍛造する工程と、得られた鍛造物について、そのピン部および/またはジャーナル部の隅R部を800℃〜1000℃の温度範囲内で加工前の前記隅R部におけるR寸法をL 、加工後の前記隅R部におけるR寸法をL とするとき、(L −L )/L ×100(%)で求められる加工率の値を5〜50%で加工する工程と、得られた加工物を軟窒化処理または窒化処理する工程とを有することを要旨とする。
この際、上記鍛造物のうち、ピン部および/またはジャーナル部を選択的に800℃〜1000℃の温度範囲とし、上記加工を行うことが好ましい。
また、上記鋼の組成は、質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:0.7%以下、Mn:0.3〜1.5%、S:0.01〜0.2%、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、および、Cr:0.05〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなることが好ましい。
上記鋼は、質量%で、Mo:0.25%以下、Ti:0.1%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下、および、Ca:0.005%以下から選択される1種または2種以上をさらに含有していても良い。
本発明に係るクランクシャフトの製造方法では、1100℃以上の温度でクランクシャフト形状に熱間鍛造して得た鍛造物について、そのピン部および/またはジャーナル部の隅R部を、800℃〜1000℃の温度範囲内で5〜50%の加工率で加工した後、軟窒化処理等を施す。
そのため、従来に比較して、曲げ矯正性および強度特性に優れたクランクシャフトを製造することができる。
これは、ピン部および/またはジャーナル部の隅R部を、特定の温度範囲にて、特定の加工率で加工することにより、隅R部に微細組織(微細フェライトパーライト組織、微細ベントナイト組織など)が生じるためであると推察される。
ここで、熱間鍛造により得られた鍛造物について、ピン部および/またはジャーナル部を選択的に800℃〜1000℃の温度範囲とし、所定の加工を行った場合には、局所的な温度調節で済む。そのため、エネルギー消費量を少なくすることができ、製造コストを抑制しやすくなる。
また、鋼の組成が、上記範囲内にあれば、曲げ矯正性および強度特性に優れたクランクシャフトを得やすい。
以下、本実施形態に係るクランクシャフトの製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について説明する。
本製造方法は、図1に例示するような、回転軸方向に所定の間隔に配置されたアーム部12を、上記回転軸と中心軸を一致させて配置したジャーナル部14と、上記回転軸と一定距離離間させた位置に中心軸を有するピン部16とにより、交互に連結した構造を有するクランクシャフト10を製造する方法である。
本製造方法は、以下の(1)熱間鍛造工程と、(2)(1)で得られた鍛造物の加工工程と、(3)(2)で得られた加工物の軟窒化また窒化工程とを少なくとも有している。以下、これらについて説明する。
(1)熱間鍛造工程
本製造方法において、熱間鍛造工程は、鋼を、1100℃以上の温度でクランクシャフト形状に熱間鍛造する工程である。
熱間鍛造前の鋼の形状としては、具体的には、例えば、丸棒、角棒などの棒形状などを例示することができる。
ここで、「クランクシャフト形状に鍛造する」とは、アーム部、ピン部、ジャーナル部の形状と認められるクランクシャフトの形状となるまで鍛造することをいい、実用に供される最終形状まで鍛造する意味ではない。
後述する加工工程を行うことからも明らかなように、この熱間鍛造工程では、そのピン部およびジャーナル部の隅R部の形状が、比較的緩やかなR形状にまで粗鍛造された状態になっている。
本工程では、1100℃以上の温度で鋼を熱間鍛造する。熱間鍛造時の温度の上限は、鋼が部分溶融し、割れが発生するなどの観点から、1400℃以下が好ましく、結晶粒の粗大化防止の観点から、1300℃以下がより好ましい。
なお、鋼を加熱する手法は、特に限定されるものでははく、誘導加熱、電気炉加熱など、種々の鋼の加熱手法を適用することができる。
(2)加工工程
本製造方法において、加工工程は、(1)で得られた鍛造物について、そのピン部および/またはジャーナル部の隅R部を、800℃〜1000℃の温度範囲内で5〜50%の加工率で加工する工程である。
すなわち、(1)で得られた鍛造物は、ピン部および/またはジャーナル部の隅R部の形状が、比較的緩やかなR形状となっている。そのため、本工程では、この部分を、上記温度範囲にて上記加工率でさらに加工するのである。
ここで、ピン部の隅R部とは、図1に例示するように、ピン部16とアーム部12とのつなぎ目18のことである。一方、ジャーナル部の隅R部とは、同じく図1に例示するように、ジャーナル部14とアーム部12とのつなぎ目20のことである。
本工程では、ピン部またはジャーナル部の何れか一方の隅R部を加工しても良いし、ピン部およびジャーナル部の両方の隅R部を加工しても良い。好ましくは、曲げ矯正性および曲げ疲労強度に優れたクランクシャフトを得やすいなどの観点から、後者が好ましい。
また、ピン部、ジャーナル部の隅R部の加工は、図1で見て右側または左側の何れか一方について行っても良いし、左右の隅R部について行っても良い。
曲げ矯正性および曲げ疲労強度に優れたクランクシャフトを得やすいなどの観点から、後者が好ましい。
上記加工時の温度の上限は、1000℃以下であるが、曲げ矯正性を向上させやすいなどの観点から、950℃以下が好ましく、900℃以下がより好ましい。
一方、上記加工時の温度の下限は、800℃以上である。
また、上記加工率の上限は、50%以下であるが、製造コストの観点から、40%以下が好ましい。
一方、上記加工率の下限は、5%以上であるが、曲げ矯正性および曲げ疲労強度を向上させやすいなどの観点から、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が最も好ましい。
なお、上記「加工率」とは、図2(a)に示すように、加工前のピン部16またはジャーナル部14の隅R部におけるR寸法をL、図2(b)に示すように、加工後のピン部16またはジャーナル部14の隅R部におけるR寸法をLとすると、(L−L)/L×100(%)で求められる値である。
また、隅R部の加工方法としては、具体的には、例えば、鍛造、ロール加工、プレス加工、コイニングなどを例示することができる。これらは1または2以上組み合わせても良い。
本工程では、(1)で得られた鍛造物の全体を上記温度範囲内とすることで、ピン部、ジャーナル部を上記温度範囲内としても良いし、上記鍛造物のうち、ピン部、ジャーナル部だけを選択的に上記温度範囲内としても良い。本工程では、局所的な温度調節で済み、エネルギー消費量を削減して製造コストを抑制しやすいなどの観点から、後者が好ましい。
後者のように調温する方法としては、<1>熱間鍛造工程を経たばかりの、まだ相対的に温度が高いままの鍛造物について、そのピン部および/またはジャーナル部だけを各種の冷却手法を用いて上記温度範囲まで局所的に冷却する方法などが挙げられる。
それ以外にも、<2>熱間鍛造工程を経た鍛造物を、各種の冷却手法を用いて、一旦上記温度範囲の下限値以下まで冷却し、その後、ピン部および/またはジャーナル部部分を各種の加熱手法を用いて局所的に加熱する方法などが挙げられる。
また、それ以外にも、<3>熱間鍛造工程を経た鍛造物を、各種の冷却手法を用いて、一旦上記温度範囲の下限値以下まで冷却し、その後、この鍛造物全体を、上記温度範囲の上限値以上まで加熱し、その後、ピン部および/またはジャーナル部だけを各種の冷却手法を用いて上記温度範囲まで局所的に冷却する方法などが挙げられる。
本工程では、これら<1>〜<3>の調温方法うち、エネルギー効率、生産効率に優れるなどの観点から、<1>の調温方法を工程に用いることができる。
なお、上記冷却手法としては、具体的には、例えば、水冷、衝風冷却、自然放冷、油冷などを例示することができる。これらは1または2以上組み合わせても良い。
(3)軟窒化また窒化工程
本工程は、(2)で得られた加工物を軟窒化処理または窒化処理する工程である。軟窒化処理方法、窒化処理方法としては、従来クランクシャフトの製造において行われている軟窒化処理方法、窒化処理方法であれば、何れの方法であっても適用することができる。
上記軟窒化処理方法としては、具体的には、例えば、鋼のA1変態点以下、通常、530〜600℃程度の温度で、導入アンモニアガスから生成した窒素雰囲気中で上記加工物表面を処理し、窒素とともに一部の炭素を鋼中に侵入させ、窒化物や炭窒化物を生成させて表層を硬化させる方法などを例示することができる。
また、上記窒化処理方法としては、具体的には、例えば、鋼のA1変態点以下、通常、480〜550℃程度の温度で、導入アンモニアガスによる窒素雰囲気中で上記加工物表面を処理し、窒素を鋼中に侵入させ、窒化物を生成させて表層を硬化させる方法などを例示することができる。
(4)その他
本製造方法は、上記(1)〜(3)の工程を必須工程として有するが、これら工程以外にも、必要に応じて、さらに、(3)の工程の後に、得られたクランクシャフトを研磨、研削などする機械加工工程を有していても良い。また、(3)の工程の後に、得られたクランクシャフトを曲げ矯正する工程を有していても良い。
上記説明した本製造方法において、クランクシャフトの材料として用いる鋼は、特に限定されるものではなく、クランクシャフトの材料として従来適用されている鋼種であれば、何れのものでも用いることが可能である。
本製造方法では、好ましくは、下記の組成の鋼を用いることができる。すなわち、その
鋼は、以下のような元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる。その添加元素の種類、成分範囲などは次の通りである。なお、以下にいう「%」は質量%の意味である。
C:0.3〜0.5%
Cは、鋼の強度向上に寄与する。その効果を得るなど観点から、C含有量は、0.3〜0.5%が好ましい。
Si:0.7%以下
Siは、疲労強度の向上に寄与し、鋼溶製時の脱酸剤としても機能する。その一方、過剰に添加すると、曲げ矯正性を悪化させる。このような観点から、Si含有量は、0.7%以下が好ましく、軟窒化および窒化処理の制御がしやすいなどの観点から、0.05〜0.5%がより好ましい。
Mn:0.3〜1.5%
Mnは、耐力を向上させるのに有効である。また、Sと結びいてMn系硫化物を生成し、被削性の向上に寄与する。その効果を得るなどの観点から、Mn含有量は、0.3〜1.5%が好ましい。
S:0.01〜0.2%
Sは、Mnと結びいてMn系硫化物を生成し、被削性の向上に寄与する。その効果を得るなどの観点から、S含有量は、0.01〜0.2%が好ましく、熱間鍛造時の割れなども抑制しやすいなどの観点から、0.01〜0.15%がより好ましい。
Cu:0.5%以下
Cuは、耐力向上に有効な元素であり、強度向上に寄与する。その一方、過剰に添加すると、熱間加工性が低下する。このような観点から、Cu含有量は、0.5%以下が好ましく、疲労強度向上の観点から、0.1〜0.5%がより好ましい。
Ni:0.5%以下
Niは、組織の微細化に有効な元素であり、強度向上に寄与する。その一方、過剰に添加すると、被削性が低下する。このような観点から、Ni含有量は、0.5%以下が好ましい。
Cr:0.05〜0.3%
Crは、強度と靱性を高め、疲労強度を向上させるのに有効である。その効果を得るなどの観点から、Cr含有量は、0.05〜0.3%が好ましく、軟窒化および窒化処理の制御がしやすいなどの観点から、0.06〜0.25%がより好ましい。
上記鋼は、上述した元素に加えて、さらに、必要に応じて、下記の元素から選択される1種または2種以上の元素を含有していても良い。
Mo:0.25%以下
Moは、強度向上に有効な元素である。その一方、過剰に添加すると、被削性が低下する。このような観点から、Mo含有量は、0.25%以下が好ましい。
Ti:0.1%以下
Tiは、微細な酸化物を形成し、Mn系硫化物生成の核として働く。その一方、過剰に添加すると、Ti系炭硫化物を生成し、被削性が悪化する。このような観点から、Ti含有量は、0.1%以下が好ましい。
V:0.2%以下
Vは、耐力向上に有効な元素である。その一方、過剰に添加すると、窒化層を硬くし、曲げ矯正性を悪化させる。このような観点から、V含有量は、0.2%以下が好ましい。
Nb:0.1%以下
Nbは、耐力向上に有効な元素である。その一方、過剰に添加すると、窒化層を硬くし、曲げ矯正性を悪化させる。このような観点から、Nb含有量は、0.1%以下が好ましい。
Ca:0.005%以下
Caは、被削性向上に有効な元素である。その一方、過剰に添加すると、CaSを生成し、被削性を悪化させる。このような観点から、Ca含有量は、0.005%以下が好ましい。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
1.実施例および比較例に係るクランクシャフトの製造
(実施例1〜9)
先ず、表1に示す鋼(1)の組成となるように原料を配合し、電気炉により鋼塊を溶製し、この鋼塊から直径100mm、長さ400mmの丸棒鋼を作製した。
次いで、各丸棒鋼を、1250℃まで誘導加熱した後、1100℃で熱間鍛造し、クランクシャフト形状(アーム数8つ、ピン数4つ、ジャーナル数5つ)の各鍛造物とした。なお、得られた各鍛造物は、概ねクランクシャフト形状になっているが、少なくとも、まだ、そのピン部およびジャーナル部の隅R部の形状は最終形状になっていない。
次いで、得られた各鍛造物のピン部および/またはジャーナル部を水冷し、熱間鍛造時の温度を下げて、表2に示す各温度まで調温した。
次いで、所定温度に調温された各鍛造物のピン部および/またはジャーナル部について、隅R部を、表2に示す各加工率で加工した。なお、この加工にはロール加工を用いた。
次いで、得られた各加工物を、導入ガスにアンモニアガスを用いて、575℃にて3時間ガス軟窒化処理を行い、その後油冷し、各実施例に係るクランクシャフトを得た。
Figure 0004923927
(比較例1)
熱間鍛造後、表2に示すように、ピン部およびジャーナル部の温度を本願で規定される温度範囲内に調温したが、隅R部については全く加工しなかった以外は、実施例のクランクシャフトの製造と同様にして、比較例1に係るクランクシャフトを得た。
(比較例2)
表2に示すように、ピン部および/またはジャーナル部の温度を、本願で規定される上限温度を上回る温度に調温した以外は、実施例のクランクシャフトの製造と同様にして、比較例2に係るクランクシャフトを得た。
(比較例3)
表2に示すように、ピン部および/またはジャーナル部の温度を、本願で規定される下限温度を下回る温度に調温した以外は、実施例のクランクシャフトの製造と同様にして、比較例3に係るクランクシャフトを得た。
(比較例4)
熱間鍛造後の鍛造物を30℃となるまで放冷し、その後、表2に示す条件にて、ピン部およびジャーナル部の隅R部を冷間加工した以外は、実施例のクランクシャフトの製造と同様にして、比較例4に係るクランクシャフトを得た。
(比較例5)
熱間鍛造後、表2に示すように、ピン部およびジャーナル部の調温、隅R部の加工を全く行わなかった以外は、実施例のクランクシャフトの製造と同様にして、比較例5に係るクランクシャフトを得た。
2.各クランクシャフトの評価
次に、得られた各クランクシャフトについて曲げ矯正試験、曲げ疲労試験を行い、各クランクシャフトの製造方法による特性の違いを相対比較した。
(曲げ矯正試験)
曲げ矯正試験は、次のように行った。すなわち、得られた各クランクシャフトの両端部を支点間距離400mmにて支えながら、中央ジャーナル部に集中荷重を加えることにより、3点曲げ試験を行った。この試験において、中央ジャーナル部に亀裂が発生するまで荷重を加え、亀裂発生までの最大ひずみ量をそのクランクシャフトの曲げ矯正性とした。
(曲げ疲労試験)
曲げ疲労試験は、次のように行った。すなわち、得られた各クランクシャフトに負荷する最大負荷荷重を種々変えて曲げ疲労試験を行い、10回にて破壊を生じない最大負荷荷重を疲労強度とした。
3.評価結果
上記試験結果を、ピン部・ジャーナル部の加工条件とももにまとめたものを表2に示す。
Figure 0004923927
表2によれば次のことが分かる。すなわち、比較例1〜4に係る製造方法にて得られた各クランクシャフトは、最大ひずみ量が14000〜15000με程度であり、実施例に比較して、何れも曲げ矯正性に劣っていることが分かる。また、曲げ疲労強度も、505〜510MPa程度であり、実施例に比較して、何れも低かった。
これに対し、実施例1〜9に係る製造方法にて得られた各クランクシャフトは、比較例に比較して、何れも、曲げ矯正性および曲げ疲労強度ともに優れていた。また、実施例2、3、5、6に係る製造方法にて得られた各クランクシャフトは、ピン部およびジャーナル部を800℃〜900℃に調温し、隅R部を30〜50%の加工率で加工している。そのため、他の実施例に比較して、一層優れた曲げ矯正性および曲げ疲労強度を発現できていることが分かる。
なお、各クランクシャフトの材質を、鋼(1)から、表1に示す組成の鋼(2)〜鋼(4)に変えて実施例1〜9と同様にクランクシャフトを作製し、評価しても、上記と同様の傾向が得られた。
これらの結果から、本発明に係るクランクシャフトの製造方法によれば、曲げ矯正性および強度特性に優れたクランクシャフトを製造可能なことが確認できた。
以上、本発明に係るクランクシャフトの製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
クランクシャフトの一部を模式的に例示した図である。 隅R部の加工における加工率の内容を説明するための図であり、(a)は、加工前のピン部またはジャーナル部の隅R部を模式的に拡大して示したものであり、(b)は、加工後のピン部またはジャーナル部の隅R部を模式的に拡大して示したものである。
符号の説明
10 クランクシャフト
12 アーム部
14 ジャーナル部
16 ピン部
18 隅R部(ピン部)
20 隅R部(ジャーナル部)

Claims (4)

  1. 鋼を、1100℃以上の温度でクランクシャフト形状に熱間鍛造する工程と、
    得られた鍛造物について、そのピン部および/またはジャーナル部の隅R部を800℃〜1000℃の温度範囲内で加工前の前記隅R部におけるR寸法をL 、加工後の前記隅R部におけるR寸法をL とするとき、(L −L )/L ×100(%)で求められる加工率の値を5〜50%で加工する工程と、
    得られた加工物を軟窒化処理または窒化処理する工程と、
    を有することを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
  2. 前記鍛造物のうち、ピン部および/またはジャーナル部を選択的に800℃〜1000
    ℃の温度範囲とし、前記加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフト
    の製造方法。
  3. 前記鋼は、質量%で、
    C :0.3〜0.5%、
    Si:0.7%以下、
    Mn:0.3〜1.5%、
    S :0.01〜0.2%、
    Cu:0.5%以下、
    Ni:0.5%以下、および、
    Cr:0.05〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のクランクシャフトの製造方法。
  4. 前記鋼は、質量%で、
    Mo:0.25%以下、
    Ti:0.1%以下、
    V :0.2%以下、
    Nb:0.1%以下、および、
    Ca:0.005%以下
    から選択される1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項3に記載の
    クランクシャフトの製造方法。
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