JP5153221B2 - 軟窒化非焼準機械部品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、「軟窒化非焼準機械部品」の製造方法に関する。より詳しくは、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施して、自動車、産業機械及び建設機械などに用いられるクランクシャフトやコネクティングロッドなどのように高い疲労強度と優れた曲げ矯正性が要求される軟窒化非焼準機械部品を製造する方法に関する。
従来、自動車、産業機械及び建設機械などに用いられるクランクシャフトやコネクティングロッドなどの機械部品は、機械構造用炭素鋼・合金鋼などの鋼材を所望の形状に熱間鍛造した後に焼準処理を施して組織の均質化と微細化を行い、その後更に、主として疲労強度を高める目的で、軟窒化を施して製造されてきた。
しかし、近年、機械部品の製造において、製造コスト削減及び省エネルギーのために、熱間鍛造後の焼準処理を省略して軟窒化することが望まれており、特に最近、その要求はますます大きくなっている。
ところが、焼準処理を省略すると、熱間鍛造時に生成した不均質な組織が残存しやすく、また、熱間鍛造開始前の被加工材の加熱中に成長・粗大化した結晶粒がそのまま、製品となる鍛造後の機械部品中に残存するので機械的性質の低下が生じる。すなわち、熱間鍛造後の焼準処理を行わない場合には、結晶粒は一様に粗大化したままであったり、或いは一部の結晶粒が異常粒成長した不均質な組織が残存したままであったりする。このため、熱間鍛造後に焼準処理を省略した場合には、軟窒化を施しても機械部品に所望の高い疲労強度を具備させることができない。
なお、軟窒化を施すことによって機械部品にはひずみが発生し、そのひずみが機械部品の寸法精度を損なうので、軟窒化後には曲げ矯正処理が行われることが多い。したがって、軟窒化機械部品には、高い疲労強度に加えて、優れた曲げ矯正性、つまり、大きな曲げ変位量に到るまで表面にき裂が入らないことも要求される。
しかしながら、熱間鍛造後の焼準処理を省略すれば、上述のとおり粗大結晶粒組織や不均質な組織が生じるので、軟窒化後の機械部品には疲労強度の低下に加えて曲げ矯正性の著しい低下が生じることが多い。
このため、熱間鍛造後の焼準処理を省略した場合にも、軟窒化後の機械部品に高い疲労強度と優れた曲げ矯正性を具備させたいという要望が極めて大きくなっている。
そこで、前記した要望に応えるべく、例えば、特許文献1及び特許文献2に、鋼の微細組織をフェライトとパーライトに保ったままで熱間鍛造での組織の粗大化をできるだけ避ける技術が提案されている。また、特許文献3及び特許文献4に、鋼の微細組織をベイナイトやベイナイトとの混在組織にする技術が提案されている。
具体的には、特許文献1に、「合金元素の含有率が質量%で、C:0.15〜0.40%、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.50%、Cr:0.05〜0.50%を含み、必要に応じて更に、〈1〉Ni:0.50%以下、Mo:0.50%以下のうちの1種または2種、〈2〉N:0.005〜0.030%、V:0.3%以下、Nb:0.3%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.1%以下、Ta:0.2%以下のうちの1種または2種以上、〈3〉S:0.01〜0.30%、〈4〉Pb:0.3%以下、Ca:0.05%以下、Bi:0.2%以下、Te:0.05%以下のうちの1種または2種以上、の4元素群のうちの少なくとも1つの元素群から選ばれる元素を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなり、熱間加工後の組織が実質上フェライト・パーライト組織であり、フェライトの面積率が30%以上かつフェライト粒度番号が5番以上の粒度であり、しかも、パーライトの平均寸法が50μm以下である窒化鋼」が開示されている。
特許文献2に、「鋼に窒化処理してなる窒化処理部品であって、前記鋼が、合金成分として質量%で、C:0.15〜0.40%、Si:0.50%以下、Mn:0.20〜1.50%、Cr:0.05〜0.50%を含有し、必要に応じて更に、〈1〉Ni:0.50%以下、Mo:0.50%以下のうちの1種または2種、〈2〉N:0.005〜0.030%とV:0.3%以下、Nb:0.3%以下、Ti:0.2%以下、Zr:0.2%以下、Ta:0.2%以下のうちの1種または2種以上、〈3〉S:0.01〜0.3%、Pb:0.3%以下、Ca:0.05%以下、Bi:0.2%以下、Te:0.05%以下のうちの1種または2種以上、の3元素群のうちの少なくとも1つの元素群から選ばれる元素を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、前記鋼は、熱間加工ままで、フェライトとパーライトとからなる混合組織を有し、前記フェライトの結晶粒の平均寸法が50μm以下であり、前記パーライトの結晶粒の平均寸法が50μm以下であり、前記窒化処理による平均硬化深さが0.3mm以上であり、かつ、前記硬化深さの変動が0.1mm以内である窒化処理部品」が開示されている。
特許文献3に、「質量%で、C:0.1〜0.3%未満、Si:0.01〜1.0%、Mn:1.5〜3.0%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.1〜1.0%、酸可溶Al:0.01〜0.045%、N:0.005〜0.025%を含有し、必要に応じて更に、S:0.20%以下、Ca:0.01%以下、Pb:0.30%以下、Bi:0.30%以下のうちの1種または2種以上を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる軟窒化用非調質鋼」が開示されている。
特許文献4に、「質量%で、C:0.30〜0.45%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜1.0%、Ti:0.005〜0.1%およびN:0.015〜0.030%を含有し、必要に応じて更に、〈1〉Nb:0.003〜0.1%、Mo:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%及びB:0.001〜0.005%の中から選んだ1種以上、〈2〉S:0.01〜0.1%及びCa:0.0001〜0.005%のうち1種または2種、の2元素群のうちの少なくとも1つの元素群から選ばれる元素を含み、残部がFe及び不純物よりなり、ベイナイト及びフェライトからなる混合組織またはベイナイト、フェライト及びパーライトからなる混合組織を有し、その混合組織中のベイナイト分率が5〜90%である軟窒化用非調質鋼」が開示されている。
特開平9−291339号公報 特開平9−324258号公報 特開2000−309846号公報 WO2005/021816号公報
前述の特許文献1で開示された技術は、特定の化学組成を有する鋼の鍛造後の組織を微細なフェライト・パーライト組織とすることによって窒化処理時の窒化層を安定させ、熱間鍛造後の焼準処理を省略しても窒化処理後に優れた曲げ特性と疲れ特性を得ることを可能とする技術である。しかし、この特許文献1に開示されているような、フェライトの面積率が30%以上で、かつフェライト粒度番号が5番以上の粒度で、かつ、パーライトの平均寸法が50μm以下、という微細組織は、そこに開示されているような、化学組成範囲の鋼を単に熱間鍛造するだけでは必ずしも得られるものではなく、しかも、そうした微細組織を作り込む方法については、十分に開示されていないので、歩留まりよく製品を作ることは困難であった。
特許文献2で開示された技術は、鋼の化学組成、金属組織及び窒化処理硬化深さを調整することにより、熱間鍛造後の焼準処理を省略しても、窒化処理後の矯正が容易で、かつ、疲労強度が高い窒化処理部品が得られる技術である。しかしながら、特許文献2で開示された技術も、特許文献1で開示された技術と同様に、フェライトとパーライトとからなる混合組織であって、フェライトの結晶粒の平均寸法が50μm以下で、パーライトの結晶粒の平均寸法が50μm以下、という微細組織は、そこに開示されているような、化学組成範囲の鋼を単に熱間鍛造するだけでは必ずしも得られるものではなく、しかも、そうした微細組織を作り込む方法については、十分に開示されていないので、歩留まりよく製品を作ることは困難であった。加えて、窒化処理をした後の平均硬化深さを0.3mm以上とし、かつ、硬化深さの変動を0.1mm以内にすることが効果的であることが開示されているが、これについても、こうした硬化層組織を作り込む方法については、何ら開示されていないので、歩留まりよく製品を作ることは困難であった。
特許文献3で開示された技術は、熱間加工後空冷の処理によって鋼組織を容易に強度の高いベイナイトとすることができる軟窒化用非調質鋼を提供する技術である。そして、ベイナイト組織は、従来の非調質鋼が有するフェライト・パーライト組織に比べて、格子欠陥を多く含むために窒素の拡散が速く、深い軟窒化層を得やすく、また、同じ硬さではフェライト・パーライト組織に比べて靱性が高く、曲げ矯正工程における折損が生じにくいので、その軟窒化用非調質鋼は、軟窒化処理後に優れた曲げ矯正性を有している。しかしながら、特許文献3で開示された技術では、鋼のC含有量が最大でも0.3%未満であり、例えばクランクシャフトに適用した場合には、素材の硬さが十分ではないので、軸摩耗の懸念があること、および、Mnの含有量が最小でも1.5%と高いので、軸摩耗の懸念から、C量を高めに設定すると鋼の焼入れ性が顕著に増大して、切削性に有害なマルテンサイトが容易に生成してしまうことが、問題であった。
本発明者らが提案した特許文献4に開示された技術は、熱間加工時の結晶粒の粗大化を抑えるとともに、ベイナイトを含む混合組織とすることによって組織の微細化を図り、また、フェライトでの固溶強化及び軟窒化時に生成する鉄窒化物による析出強化を利用することによって、軟窒化処理後の部品に、優れた疲労強度と曲げ矯正性とを持たせることができる技術である。しかしながら、何らかの影響で、ベイナイト組織が混在しなかった場合には比較的、粗大な粒径のフェライト+パーライト組織となり易いために、何らかの影響で、ベイナイト組織が混在しなかった場合でも、組織が微細化されるような軟窒化部品の製造方法についての検討も必要であった。
前述の特許文献3及び特許文献4で提案されたベイナイト組織の活用は、粗大なパーライトコロニーの生成を抑制することにあり、その意味では、特許文献1及び特許文献2で提案されたパーライトやフェライトの平均粒径を小さくすることと整合している。
しかしながら、微細組織がどのような変態生成物から構成され、また、変態生成物の粒径がどの程度の大きさになるかは、鋼の化学組成及び熱間加工工程の条件に強く依存する。ここで、「熱間加工工程の条件」とは、例えば、加熱温度、加工温度、加工後の冷却速度や加工率であり、これらを制御したいわゆる「加工熱処理」は工業的にも広く利用されている。
熱間鍛造後の焼準処理を省略するために、熱間鍛造の条件を制御しようとする試みは、例えばコンロッドの製造方法において検討されているが、鋼の化学組成を調整し、しかも、熱間加工工程を制御して、熱間鍛造後の焼準処理を省略した場合にも、軟窒化機械部品に高い疲労強度と優れた曲げ矯正性の双方を具備させようとする検討はなされていない。
そこで、本発明の目的は、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を軟窒化部品に具備させることができる「軟窒化非焼準機械部品の製造方法」を提供することである。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、化学組成を種々に調整した鋼を用いて熱間鍛造の条件を種々に変化させ、鍛造後のミクロ組織について調査した。その結果、下記(a)及び(b)の知見を得た。
(a)熱間鍛造における素材(被鍛造材)の加熱温度は、通常1100〜1250℃とされてきたが、1250℃で加熱した場合であっても、いったん1100℃以下まで冷却してから熱間鍛造を開始すると、所望の加工量を与えた後に室温まで冷却した際に得られる組織が微細化する。但し、組織が微細化するためには、鋼中にオーステナイト粒の成長・粗大化を効果的に抑制するピンニング粒子が分散している必要があり、そのピンニング粒子としてはTiの析出物が有効である。
(b)熱間鍛造は複数回の工程で行われるのが一般的で、その際、加工発熱が生じる。このため、鍛造して冷却する場合は鍛造せずに冷却した場合に比べて温度の降下が緩くなって高温に保持される時間が長くなるので、鍛造終了温度が高くなる。そして、鍛造終了温度が高くなるほど、所定の加工量を与えた後に室温まで冷却した際に得られる組織は粗大なものになる。しかし、鍛造終了温度を800℃以下にすれば、組織の粗大化をかなり抑制することができる。
そこで次に、熱間鍛造の条件を種々に変化させ、鍛造後に焼準処理を行うことなく軟窒化を施して、軟窒化前のミクロ組織と軟窒化後の疲労強度及び曲げ矯正性との相関について調査した。その結果、下記(c)の知見を得た。
(c)素材を1100〜1250℃に加熱して熱間鍛造する場合、加熱温度によらず、鍛造を開始する温度を1100℃以下とし、更に、上記熱間鍛造の加熱温度から鍛造を開始する温度に到達するまでの間でのオーステナイト粒の成長・粗大化を効果的に抑制するためにTiの析出物をピンニング粒子として分散させておき、しかも、800℃以下の温度で鍛造を終了して空冷すれば、鍛造後に焼準処理を行うことなく軟窒化しても、高い疲労強度と優れた曲げ矯正性の双方を具備させることができる。
そこで更に検討を加えた結果、下記(d)〜(g)の知見を得た。
(d)熱間鍛造前の加熱・保持の段階でTiの析出物をピンニング粒子として活用することでオーステナイト粒の成長・粗大化を抑制することができ、また、熱間鍛造開始温度を1100℃以下とすることでオーステナイト粒に加わった加工ひずみの解放を抑止することができ、しかも、鍛造終了温度を800℃以下と低めにすることで、フェライト変態が開始する直前の段階までオーステナイト粒に加工ひずみを蓄積できるので、核生成サイトが増加することに基づく初析フェライトの微細化を図ることができる。
(e)オーステナイト粒に蓄積された加工ひずみを析出サイトとして初析フェライトが粒内析出すればパーライト粒を分断することになって粗大なパーライトコロニーの生成を抑制することができる。
(f)鋼に適正量のTiとMoを含有させれば、固溶Tiや固溶Moが組織のベイナイト化に寄与する。
(g)上記(d)のオーステナイト粒の成長・粗大化の抑制及び初析フェライトの微細化、(e)の粗大なパーライトコロニーの生成抑制及び(f)の組織のベイナイト化によって、鍛造後に焼準処理を行うことなく軟窒化した場合にも、高い疲労強度と優れた曲げ矯正性を具備させることができる。
本発明者らは、さらに、熱間鍛造前の加熱温度が、通常の下限温度とされる1100℃より低い場合であっても、十分に均一な組織が得られる成分系を明らかにするために、化学組成を種々に調整した鋼を用いて熱間鍛造の条件を種々に変化させ、鍛造後のミクロ組織について調査した。その結果、下記(h)の知見を得た。
(h)鋼に含まれるC、Si及びMoの量を適切に調整すれば、鋼のA3点が下がるので、熱間鍛造前の加熱温度が1100℃を下回っても900℃以上であれば、鍛造時にオーステナイト単相状態になるので、鍛造後の組織は均一になる。
そこで次に、鋼に含まれるC、Si及びMoの量を調整して鋼のA3点を下げた素材を用いて、熱間鍛造前の加熱温度を1100℃未満として鍛造し、鍛造後に焼準処理を行うことなく軟窒化を施して、疲労強度及び曲げ矯正性との相関について調査した。その結果、下記(i)の知見を得た。
(i)C、Si及びMoの含有量を調整して鋼のA3点を下げ、鍛造時にオーステナイト単相状態となるようにしておけば、熱間での鍛造後に焼準処理を行なうことなく軟窒化する場合であっても、通常の鍛造前に1100℃以上に加熱する場合と同様に、高い疲労強度と優れた曲げ矯正性を具備させることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(4)に示す軟窒化非焼準機械部品の製造方法にある。
(1)軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.30〜0.45%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.5%及びCa:0.0001〜0.005%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を1100〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
(2)軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.30〜0.45%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.5%及びCa:0.0001〜0.005%、並びにNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を1100〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
(3)軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.1〜0.35%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.35%及びCa:0.0001〜0.005%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を900〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
(4)軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.1〜0.35%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.35%及びCa:0.0001〜0.005%、並びにNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を900〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
なお、本発明でいう「空冷」とは、大気中での放冷或いはファンを使った強制風冷を指す。
以下、上記(1)〜(4)の軟窒化非焼準機械部品の製造方法に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」〜「本発明(4)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の方法によれば、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品が得られるので、製造コストの削減及び省エネルギーを達成することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)化学組成
C:0.30〜0.45%(本発明(1)及び本発明(2)の場合)又はC:0.35〜0.45%(本発明(3)及び本発明(4)の場合)
Cは、軟窒化非焼準機械部品の強度、靱性を担うための必須元素であり、熱間鍛造時のオーステナイトの安定化及び製品(軟窒化非焼準機械部品)の耐摩耗性の確保の観点から0.30%以上の含有量が必要である。一方、その含有量が0.45%を超えると焼入れ性が上がり過ぎて切削性を害する硬いマルテンサイトの生成を招きやすくなる。
なお、Cは、鋼のA3点を低下させる元素である。このため、Cの含有量を高くすることによって、特に、Cの含有量を0.35%以上として、A3点を低めておけば、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造で用いられる温度域の下限としての1100℃を下回る場合であっても、鍛造時にオーステナイト単相状態とすることができる。
したがって、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造と同様の1100℃以上の温度域である本発明(1)及び本発明(2)に係る軟窒化非焼準機械部品のCの含有量を0.30〜0.45%とし、また、鍛造前の加熱温度が1100℃を下回る場合を含むものである本発明(3)及び本発明(4)に係る軟窒化非焼準機械部品のCの含有量を0.35〜0.45%とした。
Si:0.1〜0.5%(本発明(1)及び本発明(2)の場合)又はSi:0.1〜0.35%(本発明(3)及び本発明(4)の場合)
Siは、脱酸剤として製鋼工程で添加されるが、フェライトの固溶強化にも効くので0.1%以上の含有量が必要である。一方、Si含有量が0.5%を超えると、鋼の熱間変形抵抗を高めたり、靱性や切削性を劣化させたりしてしまう。
なお、Siは、鋼のA3点を上昇させる元素である。このため、Siの含有量を低くすることによって、特に、Siの含有量を0.35%以下として、A3点を低めておけば、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造で用いられる温度域の下限としての1100℃を下回る場合であっても、鍛造時にオーステナイト単相状態とすることができる。
したがって、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造と同様の1100℃以上の温度域である本発明(1)及び本発明(2)に係る軟窒化非焼準機械部品におけるSiの含有量を0.1〜0.5%とし、また、鍛造前の加熱温度が1100℃を下回る場合を含むものである本発明(3)及び本発明(4)に係る軟窒化非焼準機械部品のSiの含有量を0.1〜0.35%とした。
Mn:0.6〜1.0%
Mnは、Siと同様に脱酸剤として製鋼工程で添加される。また、オーステナイトを安定化して焼入れ性を向上させる。更に、Mnは鋼中のSと結合してMnSを形成し、被削性改善にも効果がある。そのためには0.6%以上のMnの含有量が必要である。一方、Mnの含有量が1.0%を超えると焼入れ性が上がり過ぎて切削性に有害なマルテンサイトの生成を招きやすくなる。したがって、Mnの含有量を0.6〜1.0%とした。
P:0.05%以下
Pは、鋼に含有される不純物であり、粒界に偏析して粒界脆化割れを助長し、特に、その含有量が0.05%を超えると粒界脆化割れの発生が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.05%以下とした。
S:0.1%以下
Sは、鋼材の被削性を高める作用を有する。しかしながら、Sを過剰に含有すると鋼片内での偏析欠陥が発生したり、熱間加工性の低下を招き、特に、Sの含有量が0.1%を超えると、鋼片内での偏析欠陥の発生や熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.1%以下とした。なお、鋼の被削性向上効果を得るためには、Sの含有量は0.02%以上とすることが好ましい。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として、通常、溶製時に添加されるが、アルミナ粒子として鋼中に残存したり、Nと結合してAlNを形成したりする。このうち、アルミナは硬度の高い酸化物系介在物であり、切削加工に使用される工具の寿命を短くしてしまう。また、AlNは、軟窒化時に表面近傍に析出したり、表面化合物層の成長を促進したりして表面層の硬さを著しく高めて、曲げ矯正性を低下させてしまう。更に、AlNは熱間鍛造温度で固溶してしまうので、ピンニング粒子としての機能は期待できず、結晶粒の微細化には殆ど役に立たない。したがって、Alの含有量は低い方がよいが、Al含有量の下限を極小にすることは、脱酸工程での制約を生んでコスト増大につながるので、焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合の曲げ矯正性を阻害しない0.05%以下とした。なお、Alの含有量は0.005%以下とすることが好ましい。
N:0.010〜0.030%
Nは、オーステナイトを安定化したり、結晶粒粗大化を抑えるためのピンニング粒子を構成したり、Fe窒化物を形成して析出強化に寄与したり、更には、固溶窒素として固溶強化に寄与して母材強度を増大させたりする作用を有するので積極的に含有させる。なお、ピンニング粒子として消費されても、固溶強化の効果が得られるようにするために、Nは0.010%以上の含有量とする必要がある。一方、Nの含有量が0.030%を超えるとインゴット中で気泡欠陥が生成して材質を損なうことがある。したがって、Nの含有量を0.010〜0.030%とした。なお、Nの望ましい含有量は0.015〜0.025%である。
Ti:0.005〜0.05%
Tiは、熱間鍛造時の結晶粒粗大化を抑えるためのピンニング粒子を形成させるために必須の元素である。ピンニング粒子としてはTiの窒化物、炭化物及び炭窒化物があり、十分な分布密度のピンニング粒子を生成させるために、0.005%以上の含有量とする必要がある。一方、Tiの含有量が0.05%を超えても前記の効果が飽和するうえに、焼入れ性が過剰になるといった弊害を生じる。したがって、Tiの含有量を0.005〜0.05%とした。
Mo:0.01〜0.5%(本発明(1)及び本発明(2)の場合)又はMo:0.01〜0.35%(本発明(3)及び本発明(4)の場合)
Moは、鋼の焼入れ性を高めて高強度化に寄与し、かつ靱性の向上にも有効な元素である。また、Moを含有するとベイナイトが生成しやすくなって、粗大なパーライトコロニーの生成を抑制する効果もある。こうした効果を得るには、0.01%以上の含有量とする必要がある。一方、Moの含有量が0.5%を超えると、焼入れ性が高くなるので、マルテンサイトの生成が促進されて、軟窒化処理後の曲げ矯正性や靱性の低下を招く。
なお、Moは、鋼のA3点を上昇させる元素である。このため、Moの含有量を低くすることによって、特に、Moの含有量を0.35%以下として、A3点を低めておけば、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造で用いられる温度域の下限としての1100℃を下回る場合であっても、鍛造時にオーステナイト単相状態とすることができる。
したがって、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造と同様の1100℃以上の温度域である本発明(1)及び本発明(2)に係る軟窒化非焼準機械部品におけるMoの含有量を0.01〜0.5%とし、また、鍛造前の加熱温度が1100℃を下回る場合を含むものである本発明(3)及び本発明(4)に係る軟窒化非焼準機械部品のMoの含有量を0.01〜0.35%とした。なお、本発明(1)〜本発明(4)のいずれに係る軟窒化非焼準機械部品の場合についても、Moの望ましい含有量は0.05〜0.3%である。
Ca:0.0001〜0.005%
Caは、鋼材の被削性を高める作用を有するので0.0001%以上含有させる。しかしながら、Caを過剰に含有させると鋼片内での偏析欠陥が発生したり、熱間加工性の低下を招き、特に、Caの含有量が0.005%を超えると、鋼片内での偏析欠陥の発生や熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、Caの含有量を0.0001〜0.005%とした。なお、Ca含有量の望ましい下限は0.001%である。
上記の理由から、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造と同様の1100℃以上の温度域である本発明(1)に係る軟窒化非焼準機械部品は、上述した範囲のCからCaまでの元素を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼を素材とすることと規定した。
また、鍛造前の加熱温度が1100℃を下回る場合を含むものである本発明(3)に係る軟窒化非焼準機械部品は、上述した範囲のCからCaまでの元素を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼を素材とすることと規定した。
なお、本発明に係る軟窒化非焼準機械部品の素材となる鋼には、製品である軟窒化非焼準機械部品の強度を一層高めるために、上述の元素に加えて、後述するNb及びBから選択される1種以上の元素を任意元素として含有させたものでもよい。
以下、上記の任意元素としてのNb及びBに関して説明する。
Nb:0.05%以下
Nbは、熱間鍛造を終えてからの冷却中に微細な炭窒化物となって析出し、強度を高めたり、軟窒化後の疲労強度を増大させる作用がある。また、Nbは、熱間鍛造時の結晶粒粗大化を抑えるためのピンニング粒子を形成させるために利用できる元素である。更に、一部のNbは固溶したまま粒界にとどまることで再結晶粒の粒成長を抑制する効果も有する。こうした効果を得るためには、Nbの含有量を0.003%以上とすることが好ましい。一方、Nbの含有量が0.05%を超えても前記の効果が飽和するようになることに加えて、含有量の増大とともに軟窒化後の曲げ矯正性の低下を招く。したがって、含有する場合のNbの含有量を0.05%以下とした。なお、含有する場合のNbの含有量は0.003〜0.05%とするのが望ましく、0.005〜0.03%とすれば一層望ましい。
B:0.005%以下
Bは、鋼の焼入れ性を高めて、強度を高める作用を有する。この効果を得るためには、Bの含有量を0.001%以上とすることが好ましい。一方、Bの含有量が0.005%を超えると鋼の靱性が損なわれる。したがって、含有する場合のBの含有量を0.005%以下とした。なお、含有する場合のBの含有量は0.001〜0.005%とするのが望ましい。
上記のNb及びBはいずれか1種のみ、又は2種の複合で含有することができる。
上記の理由から、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造と同様の1100℃以上の温度域である本発明(2)に係る軟窒化非焼準機械部品は、前述した範囲のCからCaまでの元素、並びに、上記のNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼を素材とすることと規定した。
また、鍛造前の加熱温度が1100℃を下回る場合を含むものである本発明(4)に係る軟窒化非焼準機械部品は、前述した範囲のCからCaまでの元素、並びに、上記のNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼を素材とすることと規定した。
なお、以上に述べた元素以外は、本発明に係る軟窒化非焼準機械部品の素材となる鋼においては不純物であり、意図的には添加しない。しかし、製鋼工程でのいたずらなコストアップを招かないようにするなどの理由から、不純物のうちでも特に、V、Cr、Cu及びNiの許容量については下記のとおりにすることが好ましい。
V:
不純物としてのVの含有量は、少なければ少ないほどよい。これは、Vが窒化物として析出し、特に、軟窒化機械部品の表面近傍層の硬さを著しく高めて、曲げ矯正性を損なうからである。所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品を得るという本発明の目的、更には、精錬コストや「高炉−転炉法」以外の溶製法における鋼の純度などを勘案すると、0.02%までのVは不純物として許容できる。
Cr:
不純物としてのCrの含有量は、少なければ少ないほどよい。これは、Vと同様にCrも窒化物として析出し、特に、軟窒化機械部品の表面近傍層の硬さを著しく高めて、曲げ矯正性を損なうからである。所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品を得るという本発明の目的、更には、精錬コストや「高炉−転炉法」以外の溶製法における鋼の純度などを勘案すると、0.15%までのCrは不純物として許容できる。なお、不純物としてのCrの含有量は、曲げ矯正性をできるだけ損なわせないとの理由から、0.1%以下であれば一層好ましい。
Cu:
Cuは、前記したVやCrとは異なり、軟窒化後の曲げ矯正性を殆ど害することがないので、軟窒化非焼準機械部品の素材となる鋼の精錬コストが過度に増大しない限り不純物として含まれていてもよい。例えば、スクラップを原料とする場合の鋼には0.2%程度までのCuが含まれていることが多く、この程度の含有量のCuは、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品が得られるという本発明の効果に影響を及ぼさない。したがって、0.2%までのCuは不純物として許容できる。
Ni:
NiもCu同様、前記したVやCrとは異なり、軟窒化後の曲げ矯正性を殆ど害することがないので、軟窒化非焼準機械部品の素材となる鋼の精錬コストが過度に増大しない限り不純物として含まれていてもよい。例えば、スクラップを原料とする場合の鋼には0.2%程度までのNiが含まれていることが多く、この程度の含有量のNiは、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品が得られるという本発明の効果に影響を及ぼさない。したがって、0.2%までのNiは不純物として許容できる。
(B)本発明に係る軟窒化非焼準機械部品の製造方法
本発明(1)及び本発明(2)に係る軟窒化非焼準機械部品は、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を、1100〜1250℃に加熱し、鍛造を1100℃以下の温度で開始して800℃以下の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することによって製造する。
また、本発明(3)及び本発明(4)に係る軟窒化非焼準機械部品は、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を、900〜1250℃に加熱し、鍛造を1100℃以下の温度で開始して800℃以下の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することによって製造する。
以下、上記のことについて説明する。
(B−1)熱間鍛造とその後の冷却
熱間鍛造に供する材料(熱間鍛造用素材)としては、鋳塊を分塊圧延したビレット、連続鋳造材を分塊圧延したビレット或いはこれらを熱間圧延した棒鋼や熱間鍛造した丸棒などのようなものでよいが、その化学組成は前記(A)項で述べたものでなければならない。
鋼の化学組成が前記(A)項で述べたものであれば、熱間鍛造を開始する前の温度域(つまり、本発明(1)及び本発明(2)の場合は1100〜1250℃、また、本発明(3)及び本発明(4)の場合は900〜1250℃)での保持において、Tiの析出物をオーステナイト粒の成長・粗大化を効果的に抑制するピンニング粒子として活用することができるからである。
本発明(1)及び本発明(2)の場合は、熱間鍛造用素材の加熱温度は1100〜1250℃とする必要がある。これは、加熱温度を1250℃超にしても、オーステナイト単相化における時間短縮効果はほとんどなく、むしろ加熱炉の炉壁やヒーターの寿命を縮めるなど、設備上の負荷の方が問題となるからである。一方、加熱温度が1100℃を下回ると、オーステナイト単相化に要する時間が長くかかり、時にはセメンタイトが部分的に残存して、オーステナイト単相状態にできないこともあるからである。なお、本発明(1)及び本発明(2)の場合における上記1100〜1250℃での保持時間は30〜60分とすることが好ましい。
一方、本発明(3)及び本発明(4)の場合は、熱間鍛造用素材の加熱温度の下限は900℃であってもよい。これは、Cの含有量の下限値を高めるとともに、Si及びMoの含有量の上限値を低めることによって、A3点を低めているので、鍛造前の加熱温度が通常の熱間鍛造で用いられる温度域の下限としての1100℃を下回っても900℃以上であれば、鍛造時にオーステナイト単相状態とすることができるからである。逆に言えば、Cの含有量の下限値を高めるとともに、Si及びMoの含有量の上限値を低めることによって、A3点を低めても、鍛造前の加熱温度が900℃を下回ると、オーステナイト単相化に要する時間が長くかかり、時にはセメンタイトが部分的に残存して、オーステナイト単相状態にできないことがある。なお、本発明(3)及び本発明(4)の場合における900〜1250℃での保持時間も30〜60分とすることが好ましい。
上記の温度域に加熱した後は、本発明(1)〜本発明(4)のいずれの場合も、鍛造を1100℃以下の温度で開始する必要がある。これは、いったん1100℃まで冷却してから熱間鍛造を開始することによって、たとえ1250℃で加熱した場合であっても、所望の加工量を与えた後に室温まで冷却した際に得られる組織が微細化するからである。
すなわち、Tiの析出物をピンニング粒子として、熱間鍛造前の加熱・保持の状態から鍛造を開始する温度に到達するまでの間でのオーステナイト粒の成長・粗大化が効果的に抑制され、加えて、鍛造が低温で行われるので、オーステナイト粒に導入された加工ひずみが解放されにくくなり、その結果、フェライト変態の核生成サイトが増大して、組織が微細化するからである。
なお、本発明(3)及び本発明(4)において、熱間鍛造用素材の加熱温度を900℃以上1100℃未満とした場合に、「鍛造を1100℃以下の温度で開始する」とは、加熱の終了後に、素材を冷却することなく直ちに熱間鍛造を開始してもよいことを意味する。
本発明(1)〜本発明(4)のいずれの場合も、前記の熱間鍛造の開始温度は、いわゆる「熱間」の温度域であれば、その下限は特に制限されるものではないが、変形抵抗や割れといった鍛造性の観点から、850℃以上とすることが好ましい。
1100℃以下の温度で開始した鍛造は、800℃以下の温度で終了する必要がある。これは、鍛造終了温度が高くなるほど、所定の加工量を与えた後に室温まで冷却した際に得られる組織は粗大なものになるが、鍛造終了温度を800℃以下にすれば、オーステナイト粒を強く加工してその加工ひずみが抜けない状態でフェライト変態を起こさせることになるのでフェライトの核生成が加速されて組織の粗大化をかなり抑制することができるからである。
上記の鍛造終了温度は800℃以下であればよく、下限は特に制限しないが、低過ぎると、フェライト変態がすでに開始した状態、すなわち、フェライトとオーステナイトの2相域で仕上げることになり、変形抵抗が急激に増大して熱間鍛造機に過大な負荷をかけることになってしまう。このため、工業的な製造の観点からは、変形抵抗の過度な増大を避けるために、650℃以上で仕上げるのが好ましい。
なお、熱間鍛造は複数回の工程で行われるのが一般的で、その際、加工発熱が生じて被鍛造材の温度が上昇するが、この時でも被鍛造材の温度は1100℃を上回らないようにするのが望ましいので、例えば、被鍛造材の温度上昇が激しい場合には、鍛造工程間の時間を調節して、被鍛造材の温度が低下するための時間を与えるようにするのがよい。熱間鍛造の工程数は特に制限されるものではなく、所望の形状に仕上げることができるならばどのようなものであってもよい。
なお、鍛造成形中の素材(被鍛造材)の温度は、例えば、放射温度計を使って測定すればよい。各鍛造工程間の保持時間或いは経過時間、及び各鍛造工程での変形量(加工量)に対して、素材(被鍛造材)の温度を測定して相関曲線を作成しておけば、鍛造のたびごとに温度を実測しなくてもよい。
上述した熱間鍛造後の冷却は、空冷、すなわち、大気中での放冷或いはファンを使った強制風冷とする必要がある。
これは、熱間鍛造後の冷却速度が空冷での範囲を超えると、切削性を害する硬いマルテンサイトが生成するからである。
これに対して、熱間鍛造後の冷却を空冷とすれば、被鍛造材の組織を、
(i)フェライト分率の高い組織、
(ii)パーライト粒のサイズが小さい組織、
(iii)結晶粒が等軸化した(すなわち、アスペクト比の小さい)フェライト組織、
にすることができ、上記の三つの組織はいずれも、曲げ矯正性の向上に寄与する。
すなわち、フェライトは延性に富んだ塑性変形しやすい軟らかい相であるので、フェライトの分率が高くなると曲げ変形のしやすさ、つまり、曲げ矯正性が向上する。なお、フェライト分率が高い組織になるのは、熱間鍛造中及び熱間鍛造後にオーステナイト粒が粗大化及び再結晶しにくくなった結果、フェライトの核生成サイトが増大するためであり、加えて、低温のオーステナイト域で加工が加わるので、連続冷却変態図(CCT曲線図)におけるフェライト変態のノーズが短時間側にシフトしてきて、フェライトの生成が加速されるためである。
また、パーライト粒のサイズを小さくすることは、結晶粒組織の微細化に他ならず、これによって、応力負荷による転位すべりが均質になって不均一変形や局所的な応力集中が回避され、曲げ矯正性の向上に寄与する。なお、パーライト粒のサイズが小さくなるのは、熱間鍛造中及び熱間鍛造後にオーステナイト粒が粗大化及び再結晶しにくくなるためであり、加えて、上述のとおりフェライト分率が高くなるために、粒内フェライトの生成が促進され、その結果、オーステナイト粒が分断化されるためにパーライト粒のサイズも減少するためである。
更に、フェライト粒の形状が等軸化することも、結晶粒組織の微細化に他ならず、これによって、応力負荷による転位すべりが均質になって不均一変形や局所的な応力集中が回避され、曲げ矯正性の向上に寄与する。なお、フェライト粒が等軸化するのは、オーステナイト粒の粗大化が抑制されると旧オーステナイト粒界での核生成サイトが増大するし、粒内フェライトの生成も促進されるためである。
このように熱間鍛造後の冷却を空冷、すなわち、大気中での放冷或いはファンを使った強制風冷とすることによって、熱間鍛造後に焼準することによって得られるのに近い結晶粒組織の微細化効果を得ることができる。
すなわち、ベイナイトとフェライトの微細な混合組織、ベイナイトとフェライトとパーライトの微細な混合組織、或いはフェライトとパーライトの微細な混合組織を得ることができる。
なお、上記の混合組織中の各組織の体積分率は冷却速度や化学組成によって変化するが、前述した条件を満たしさえすれば、いずれかの組織の体積分率が100%になることはないし、マルテンサイトが混在することもない。
上記熱間鍛造後の「空冷」における冷却速度の調整、すなわち、大気中での放冷とするか或いはファンを使った強制風冷にするかは、事前に連続冷却変態図(CCT曲線図)を作成しておき、ベイナイト変態領域を通過する冷却速度範囲を求め、求めた冷却速度範囲に調整すればよい。
(B−2)軟窒化
本発明においては、前記(B−1)項で述べた熱間鍛造と空冷の後、焼準処理を行わずに軟窒化を施す。なお、熱間鍛造後、軟窒化の前に切削加工して所望の軟窒化部品形状に仕上げる場合の切削加工の方法は、部品形状に合わせて適宜選択すればよい。
軟窒化には、ガス軟窒化、塩浴軟窒化やイオン窒化など通常の方法を用いることができる。
いずれの方法を用いても、製品(軟窒化非焼準機械部品)の表面に厚さ20μm程度の化合物層(窒化物層)とその直下の拡散層を均質に形成させることが可能である。
ガス軟窒化して、所望の機械部品を得るためには、例えば、RXガス(「RXガス」は吸熱型変成ガスの商標である。)とアンモニアガスを1:1に混合した雰囲気中で均熱温度560〜620℃にて1〜2時間処理を行えばよい。
以上の理由で、本発明(1)及び本発明(2)の軟窒化非焼準機械部品の製造方法は、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を、1100〜1250℃に加熱し、鍛造を1100℃以下の温度で開始して800℃以下の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することとした。
また、本発明(3)及び本発明(4)の軟窒化非焼準機械部品の製造方法は、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を、900〜1250℃に加熱し、鍛造を1100℃以下の温度で開始して800℃以下の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することとした。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
〔実施例1〕
表1に示す化学組成を有する鋼1〜5を180kg真空溶解炉によって溶製した後、鋼塊を1250℃まで加熱し、鋼材温度が1000℃を下回らない様に熱間鍛造して一辺が75mmの角棒とした。
Figure 0005153221
このようにして得た一辺が75mmの角棒の一部を、1250℃に加熱して30分保持した後、いったん炉から取り出して角棒の表面温度が種々の温度になってから熱間鍛造を開始し、更に、熱間鍛造の終了温度、つまり、熱間鍛造における最終工程の終了温度も変化させて、直径が50mmの丸棒に加工した。
また、一辺が75mmの角棒の一部を、1000℃または900℃に加熱して30分保持した後、炉から取り出してすぐに熱間鍛造を開始し、直径が50mmの丸棒に加工した。
表2に、熱間鍛造条件の詳細を示す。なお、熱間鍛造後の冷却は大気中での放冷とし、被鍛造材の温度は放射温度計により測定した。
Figure 0005153221
上記の熱間鍛造後に大気中で放冷して得た直径50mmの各丸棒のR/2部(「R」は丸棒の半径を表す。)から鍛造方向(鍛錬軸)に平行に、図1に示す小野式回転曲げ疲労試験片(平行部の直径と長さがそれぞれ、10mmと18mmの平滑丸棒試験片)及び図2に示す曲げ矯正性評価用の試験片(深さが5mmで底部曲率半径が10mmの切欠きを設けた長さ100mmの角状試験片)を採取した。なお、図1及び図2に示した試験片における寸法の単位は全て「mm」である。
次いで、上記の小野式回転曲げ疲労試験片及び曲げ矯正性評価用の試験片には、RXガスとアンモニアガスを1:1に混合した雰囲気中で580℃にて2時間保持する条件でガス軟窒化を施し、その後100℃の油中へ冷却した。
上記の軟窒化した小野式回転曲げ疲労試験片を用いて、室温、大気中、回転数3400rpmの条件で小野式回転曲げ疲労試験を実施し、応力付加繰返し数107回において破断しない最大の応力を疲労強度として評価した。
また、上記の軟窒化した曲げ矯正性評価用の試験片の切欠き底中央部に、試験片長手方向と平行な向きにひずみゲージを貼付して下記の三点曲げ試験を行い、切欠き底のひずみ量を測定して曲げ矯正性を調査した。
すなわち、切欠きを含む面の長手方向に切欠きを中心として支点間距離70mmとなるように二つの支点を設け、押し込み速度を0.5mm/分として室温、大気中で三点曲げ試験を行い、押し込み力と基準長さ2mmのひずみゲージで計測した変位量との関係において、変位量が増加しているにも拘わらず押し込み力が低下する現象(いわゆる「ポップイン」)が発生した瞬間を、試験片表面にき裂が入ったものと見なし、このときの変位量を基準長さ2mmで除した値を、最大曲げ矯正可能ひずみ量(μ)として評価した。
表2に、上記の各試験結果を併せて示す。また、図3に、横軸に鍛造開始温度、縦軸に鍛造終了温度をとって、各データ点での最大曲げ矯正可能ひずみ量の値をもとに等高線を描いて示す。
表2から、本発明の製造方法では最大曲げ矯正可能ひずみ量が比較例よりも大きく、疲労強度は比較例と同等もしくはそれ以上であって、疲労強度を維持したまま、曲げ矯正性をより一層改善できることが明らかである。
また、図3から、本発明で規定する条件で製造した場合に高い曲げ矯正性が得られることが明らかである。
〔実施例2〕
前記実施例1に示したような効果が発現した原因を検証するために、熱間鍛造材のミクロ組織を調査した。
すなわち、実施例1において、試験番号13〜18、27及び28の8条件で製造した鋼3の直径が50mmの丸棒のR/2部(Rは丸棒の半径)からミクロ組織観察用のサンプルを採取し、鍛錬軸と垂直な断面を鏡面研磨した後、ナイタールでエッチングし、倍率を200倍として光学顕微鏡で観察して写真撮影した。
このようにして得た光学顕微鏡写真を画像解析して、フェライト分率、パーライト粒径及びフェライト粒のアスペクト比を求めた。
なお、パーライト粒径は、パーライトコロニーを目視で判定して閉曲線で囲み、その面積に相当する円の直径、すなわち、円相当直径をもってパーライト粒径と定義した。
フェライト粒径についても同様に、フェライト粒を目視で判定して閉曲線で囲み、その面積に相当する円の直径をもってフェライト粒径とした。
フェライト粒のアスペクト比は以下の手順で計算した。
まず、閉曲線で囲まれた領域の外周線上にある二点間の中で、最大の距離となる二点間距離を長径とした。次に、これに平行な2本の一組の直線が、フェライト粒を挟み込むようにして外周線に接するように配置されたときの、これら2本の直線の距離を短径とし、長径と短径の比の値を、フェライト粒のアスペクト比とした。
図4〜6に、上記の調査結果を整理して示す。なお、図4〜図6には表2における試験番号を併記した。
図4は、フェライト分率と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、図4(a)及び図4(b)はそれぞれ、フェライト分率と熱間鍛造開始温度との関係及びフェライト分率と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。
また、図5は、パーライト粒径と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、図5(a)及び図5(b)はそれぞれ、パーライト粒径と熱間鍛造開始温度との関係及びパーライト粒径と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。
更に、図6は、フェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、図6(a)及び図6(b)はそれぞれ、フェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造開始温度との関係及びフェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。
図4〜6から明らかなように、熱間鍛造の開始温度と終了温度の両方が本発明で規定する条件を満たす場合に、フェライト分率が45%以上に増大し、パーライト粒径が50μm以下と小さくなり、かつ、フェライト粒のアスペクト比が2.0以下と小さくなっている。そして、これらはいずれも、曲げ矯正性を向上させるのに寄与していると考えられる。
本発明の方法によれば、所望の形状に鍛造した後で焼準処理を行うことなく軟窒化を施した場合であっても、高い疲労強度と曲げ矯正性を有する軟窒化機械部品が得られるので、製造コストの削減及び省エネルギーを達成することができる。
実施例で用いた小野式回転曲げ疲労試験片の形状を示す図である。 実施例で用いた曲げ矯正性評価用の試験片の形状を示す図である。 実施例における最大曲げ矯正可能ひずみ量に及ぼす熱間鍛造の開始温度と終了温度の影響を示す図である。 実施例で用いた鋼3のフェライト分率と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、(a)及び(b)はそれぞれ、フェライト分率と熱間鍛造開始温度との関係及びフェライト分率と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。 実施例で用いた鋼3のパーライト粒径と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、(a)及び(b)はそれぞれ、パーライト粒径と熱間鍛造開始温度との関係及びパーライト粒径と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。 実施例で用いた鋼3のフェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造条件の関係を示す図であり、(a)及び(b)はそれぞれ、フェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造開始温度との関係及びフェライト粒のアスペクト比と熱間鍛造終了温度との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.30〜0.45%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.5%及びCa:0.0001〜0.005%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を1100〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
  2. 軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.30〜0.45%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.5%及びCa:0.0001〜0.005%、並びにNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を1100〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
  3. 軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.1〜0.35%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.35%及びCa:0.0001〜0.005%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を900〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
  4. 軟窒化機械部品の製造方法であって、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.1〜0.35%、Mn:0.6〜1.0%S:0.1%以下N:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、Mo:0.01〜0.35%及びCa:0.0001〜0.005%、並びにNb:0.05%以下及びB:0.005%以下の1種又は2種を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、Al:0.05%以下、V:0.02%以下、Cr:0.15%以下、Cu:0.2%以下及びNi:0.2%以下である鋼を900〜1250℃に加熱し、鍛造を850〜1100℃の温度で開始して650〜800℃の温度で終了して空冷した後に、焼準処理を行うことなく軟窒化することを特徴とする軟窒化非焼準機械部品の製造方法。
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