JP4923534B2 - 作業機械の旋回制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、下部走行体上に運転室を備えた上部旋回体が旋回可能に設けられたクローラクレーンや油圧ショベルなどの作業機械の旋回制御装置に関する。
従来、この種の作業機械においは、休止時や輸送時などに上部旋回体が不用意に旋回するのを防止するために、上部旋回体が下部走行体に対し所定の旋回位置にあるとき両者を機械的にロックする旋回ロック機構が装備されている。この旋回ロック機構は、例えば特許文献1に開示されるように、上部旋回体の運転室内に設けられた操作レバーと、上部旋回体側から下部走行体側に出没可能に設けられかつ上記操作レバーにケーブル又はリンクなどからなる操作力伝達機構を介して連結されたロックピンと、下部走行体に設けられたピン受けとを備え、操作レバーによりロックピンを上部旋回体側から下部走行体側に突出させピン受けに嵌合させることによりロックする構成になっている。
ところが、上記従来の旋回ロック機構では、上部旋回体が所定の旋回位置以外の位置にあるときに運転者が誤ってロックピンを下部走行体側に突出させ、その状態で上部旋回体を旋回させた場合、あるいは旋回中にロックピンを下部走行体側に突出させた場合にロックピンがピン受けの側面に衝突して破損が生じるという問題がある。また、クローラクレーンなどで荷物を吊り下げている場合には荷振れが生じ危険でもある。
そこで、このような問題を解決するために、特許文献2に開示するような旋回ロック装置が提案されている。この旋回ロック装置は、従来の旋回ロック機構の構成要素に加えて、上部旋回体が所定の旋回位置にあることを検出する旋回位置検出手段と、この旋回位置検出手段からの信号と操作レバー又は操作スイッチなどの旋回ロック操作手段からの信号とが共に入力された時点から時間を開始しかつ所定時間経過後にタイムアップ信号を出力する計時手段と、この計時手段からタイムアップ信号が入力された時点で旋回ロック機構のロックピンをピン受けに嵌合させてロックするロック制御手段とを更に備えてなる。
しかしながら、上記提案の旋回ロック装置では、ロック制御手段として、タイムアップ信号の入力時点でロックピンをピン受けに嵌合させるために油圧、空気又は電気などで作動するアクチュエータが必要になるため、コスト的に高くつくとともに、従来の旋回ロック機構を装備した作業機械にそのまま適用することができないという欠点がある。
特開平11−217192号公報(第2頁、図7) 特開平6−320976号公報(全頁、全図)
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、運転者が誤ってロックピンを下部走行体側に突出させた状態のまま上部旋回体を旋回させた場合、あるいは旋回中にロックピンを下部走行体側に突出させた場合に旋回速度を超低速にすることなどにより、ロックピンがピン受けの側面に衝突した時の衝撃力を可及的に軽減して破損の防止及び荷揺れの抑制を図ることができ、しかもアクチュエータを必要とせず、従来の旋回ロック機構を装備した作業機械にもそのまま適用でき、汎用性及び実用性に優れた作業機械の旋回制御装置を提供せんとするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、作業機械として、下部走行体上に運転室を備えた上部旋回体が旋回可能に搭載されかつ旋回駆動手段により旋回駆動可能に設けられている一方、この上部旋回体の旋回動作をロックする旋回ロック機構が設けられ、この旋回ロック機構は、上部旋回体側から下部走行体側に出没可能に設けられたロックピンと、下部走行体に設けられかつ上部旋回体側から突出したロックピンが嵌合可能なピン受けと、上部旋回体の運転室内に設けられた操作レバーと、この操作レバーと上記ロックピンとを連結するケーブルとを備え、操作レバーによりケーブルを緩めるとロックピンが上部旋回体側の格納位置から自重により下方に下がるようになっていることを前提とする。そして、この作業機械の旋回制御装置として、上記ロックピンの位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段の信号を受け、上記ロックピンが上部旋回体側の格納位置から下方に下がっているとき上部旋回体の旋回速度を所定速度以下に減速させるように上記旋回駆動手段を制御する制御手段とを備える構成にする。
この構成では、運転者が誤ってロックピンを下部走行体側に突出させた状態のまま上部旋回体を旋回させた場合、あるいは旋回中にロックピンを下部走行体側に突出させた場合には、位置検出手段がロックピンの位置変化を検出し、この位置検出手段の信号を受ける制御手段により上部旋回体の旋回速度を所定速度以下に減速させるように旋回駆動手段が制御されるため、ロックピンがピン受けの側面に衝突した時の衝撃力を可及的に軽減することができる。
しかも、上記旋回ロック機構、従来一般的なアクチュエータを必要としないので、コスト的に安価に実施することができる上、従来の旋回ロック機構を装備した作業機械にそのまま適用することができる。
請求項に係る発明は、上述した構成に加えて、上記ロックピンを、その下端部に面取り部を有する構成にし、また上記ピン受けを、ロックピンの下端面と接触可能な水平な接触面と、この接触面の中央部に穿設されたピン嵌合穴と、上記接触面の周縁に連接しかつ下部走行体側に突出したロックピンの面取り部と当接してロックピンを持ち上げ可能な下り傾斜面とを有する構成にする。この構成では、ロックピンが下がった状態でピン受けと衝突する時ロックピン下端部の面取り部がピン受けの下り傾斜面に当接し、上部旋回体の旋回に伴ってロックピン下端部の面取り部がピン受けの下り傾斜面に当接した状態のまま下り傾斜面に沿ってロックピンが持ち上げられ、ピン受けの接触面位置にまで上昇するとロックピンは自重で接触面と接触状態を維持し、その後ピン嵌合穴と一致した時点で自重によりピン嵌合穴内に落ち込んで嵌合することになり、ロック機能が発揮される。
請求項に係る発明は、更に、上記位置検出手段を、ロックピンの位置として上部旋回体側の格納位置、ロックピンが格納位置よりも下がってピン受けの接触面に接触可能な接触位置、及びロックピンが完全に下がって下部走行体側に突出する突出位置を識別して検出する構成にし、また上記制御手段を、ロックピンの位置が平面的に見てピン受けの外側で格納位置から突出位置に変化したとき上部旋回体の旋回速度を所定速度以下に減速させ、ロックピンの位置が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したとき上部旋回体の旋回を停止させるように設ける構成にする。この構成では、位置検出手段の信号を受ける制御手段の制御の下に、ロックピンがピン受けの外側で格納位置から下がって突出位置に変化したときには上部旋回体の旋回速度が所定速度以下に減速するため、ロックピンとピン受けとの衝突時の衝撃力を可及的に軽減することができ、また、ロックピンが接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したとき、つまりロックピンがピン受けの上面(接触面)に接触した状態で旋回した後ロックピンがピン受けに嵌合したときには上部旋回体の旋回が自動的に停止するため、安全性を高めることができる。
請求項に係る発明は、請求項1記載の作業機械の旋回制御装置において、上記位置検出手段を、操作レバーの操作位置からロックピンの位置を間接的に検出する構成にする。この構成では、ロックピンの位置を直接検出することができない場合に適用することができ、汎用性を高めることができる。
請求項に係る発明は、請求項1記載の作業機械の旋回制御装置において、更に、上記旋回駆動手段を操作する旋回操作部の操作状態を検出する操作状態検出手段と、運転者に報知するための報知手段とを備え、また上記制御手段を、位置検出手段の信号に加えて上記操作状態検出手段の信号をも受け、ロックピンが格納位置から下方に下がっておりかつ上記旋回操作部が操作されたときに報知手段を作動させるように設ける構成にする。この構成では、ロックピンが下がった状態で運転者が誤って旋回操作をした場合には、制御手段の制御の下に報知手段によって運転者に対し音又は表示の報知が行われ、注意が促されるため、ロックピンとピン受けの衝突時の衝撃力を軽減することと相俟って、衝突の危険性をより低減することができる。
請求項に係る発明は、請求項記載の作業機械の旋回制御装置において、上記旋回駆動手段を、旋回駆動用モータの回転を停止させるブレーキを有する構成にし、また上記制御手段を、ロックピンの位置が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したときこのブレーキを作動させて上部旋回体の旋回を停止させる構成にする。この構成では、ロックピンがピン受けに嵌合したときに上部旋回体の旋回を停止させるに当たり、旋回駆動手段のモータの回転をブレーキにより停止させているため、上部旋回体の旋回停止を確実に実現することができ、安全性をより高めることができる。
請求項に係る発明は、請求項1ないし請求項のいずれか一つに記載の作業機械の旋回制御装置において、上部旋回体の旋回速度を減速するときの所定速度を限定するものである。すなわち、上記所定速度を、上部旋回体の通常旋回速度の10分の1以下に設定する構成にする。
以上のように、本発明における作業機械の旋回制御装置によれば、ロックピンが下がったまま運転者が誤って上部旋回体を旋回させ、あるいは旋回中にロックピンを下げた場合でも上部旋回体の旋回速度が自動的に所定速度以下に減速するため、ロックピンとピン受けの衝突時の衝撃力を可及的に軽減することができ、破損の防止及び荷揺れの抑制を効果的に図ることができる。しかも、アクチュエータを必要とせず、従来の旋回ロック機構を装備した作業機械にもそのまま適用することができるので、汎用性及び実用性に優れた効果を有するものである。
その上、ロックピンとピン受けの衝突後上部旋回体の旋回に伴ってロックピンがピン受けの接触面位置にまで持ち上げられ、その接触面と接触状態を維持した後ピン嵌合穴に落ち込んで嵌合するため、ロック機能を発揮することができ、作業性の向上に寄与することができる。
また、ロックピンがピン受けの外側で格納位置から下がって突出位置に変化したときには上部旋回体の旋回速度が所定速度以下に減速するため、ロックピンとピン受けの衝突時の衝撃力を可及的に軽減することができる上、ロックピンがピン受けに嵌合したときには上部旋回体の旋回が自動的に停止するため、安全性を高めることができるという効果を併有する。
特に、請求項に係る発明では、ロックピンの位置を直接検出することができない場合に適用することができるので、汎用性をより高めることができる。
請求項に係る発明では、ロックピンが下がったまま運転者が誤って旋回操作をした場合には運転者に対し音又は表示の報知が行われ注意が促されるため、ロックピンとピン受けの衝突時の衝撃力を軽減することと相俟って、衝突の危険性をより低減することができる。
さらに、請求項に係る発明では、ロックピンがピン受けに嵌合したときに上部旋回体を停止させるに当たり、旋回駆動用モータの回転をブレーキにより停止させているため、上部旋回体の旋回停止を確実に実現することができ、安全性をより高めることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る旋回制御装置を装備した作業機械としてのクローラクレーンAの概略構成を示す。このクローラクレーンAは、クローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が旋回ベアリング3を介して旋回可能に搭載されてなり、上部旋回体2には、図示していないがブームが起伏自在に取り付けられているとともに、このブームの一側方に運転室4が設けられている。
上記上部旋回体2は、旋回ベアリング3を中心軸として、図2に示すような旋回駆動手段10により旋回駆動可能に設けられている。この旋回駆動手段10は、エンジン(図示せず)により駆動される可変容量形の油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11から吐出される圧油が3位置切換弁12を介して供給される油圧モータ13とを備え、3位置切換弁12の位置切替により油圧モータ13が正回転、停止又は逆回転をし、この油圧モータ13の回転により上部旋回体2が左右に旋回するようになっている。
上記クローラクレーンAは、上部旋回体2が下部走行体1に対し所定の旋回位置(例えば運転室4を前側にした旋回角零の位置)にあるとき両者を機械的にロックする旋回ロック機構20を装備している。この旋回ロック機構20は、上部旋回体2の運転室4内に支点21aを中心に揺動操作可能に設けられた操作レバー21と、上部旋回体2側から下部走行体1側に出没可能に設けられたロックピン22と、このロックピン22に対応して下部走行体1に設けられたピン受け23と、上記操作レバー21とロックピン22とを連結する操作力伝達手段としてのケーブル24とを備えてなる。
上記ロックピン22は、図3ないし図5に拡大詳示するように、上部旋回体2に設けた格納部25内から下向きつまり下部走行体1側に向かって出没可能に配置されており、このロックピン22の下端部には円錐面状の面取り部22aが形成されている。また、上記ケーブル24のロックピン22側端部は上部旋回体2の格納部25近傍にまで敷設され、ケーブル24のインナーケーブル24aはロックピン22の上端に接続され、アウターケーブル24bは上部旋回体2の格納部25上方に取り付けた固定金具26に接続されている。一方、上記ピン受け23は、円形ブロック状のものであって、その上面にロックピン22と接触する接触面23aを有し、この接触面23aの中央部にはロックピン22が嵌合可能なピン嵌合穴27が形成されているとともに、接触面23aの周縁部にはこれと連接する下り傾斜面28が形成されている。そして、上記操作レバー21によりケーブル24を引っ張っているときには、図3に示すようにロックピン22が上部旋回体2の格納部25内の上方位置つまり格納位置に位置し、操作レバー21によりケーブル24を緩めたときには、図4又は図5に示すようにロックピン22が上部旋回体2の格納部25内の格納位置から自重により下方に下がるようになっている。
また、上記クローラクレーンAは、図2に示すように、旋回駆動手段10の油圧ポンプ11の作動を制御する旋回制御装置30を装備している。この旋回制御装置30は、上記ロックピン22の位置を検出する位置検出手段としての近接センサ31と、この近接センサ31の信号を受け、油圧ポンプ11の傾転角を変更する傾転切替部14を制御するコントローラ33とを備えている。近接センサ31は、図3ないし図5に示すように、上部旋回体2の格納部25近傍にその格納部25内の格納位置に位置するロックピン22の上端部に対向した状態で取付部材34を介して取り付けられている。また、コントローラ33は、ロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっているとき油圧ポンプ11の吐出油圧量を少なくして上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下に減速させるように傾転切替部14を制御するようになっており、上記所定速度は、上部旋回体2の通常旋回速度の10分の1以下に設定されている。
次に、上記第1の実施形態の作用効果を説明するに、運転者が旋回ロック機構20により上部旋回体2と下部走行体1とを機械的にロックする場合には、先ず、ロックピン22を上部旋回体2の格納部25内の格納位置に保持した状態のまま上部旋回体2を目測により、又は地上にいる作業者などの指示に従って下部走行体1に対し所定のロック旋回位置の近くにまで旋回させる。このとき、図3に示すように、上部旋回体2の格納部25の下方にピン受け23が位置するようになる。
続いて、運転者が操作レバー21を操作してケーブル24を緩めるとロックピン22が格納部25内の格納位置から自重により下方に下がり、図4に示すように、ロックピン22の下端がピン受け23の接触面23aに接触する。このとき、旋回制御装置30の近接スイッチ31がロックピン22の格納位置からの降下を検出し、この検出信号を受けるコントローラ33が旋回駆動手段10の油圧ポンプ11の傾転切替部14を制御して上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下の超低速に減速させる。
その後、ロックピン22の下端がピン受け23の接触面23aに接触したまま上部旋回体2が超低速で旋回し、上部旋回体2の格納部25と下部走行体1側のピン受け23のピン嵌合穴27とが一致したとき、図5に示すように、格納部25内からロックピン22が更に自重により下がってピン受け23のピン嵌合穴27に嵌合し、これにより、上部旋回体2と下部走行体1とが機械的にロックされる。
このような操作手順によって、上部旋回体2と下部走行体1とを所定の旋回位置で旋回ロック機構20により円滑にかつ確実にロックすることができる。
一方、運転者が所定のロック旋回位置よりもかなり手前側で誤って操作レバー21を緩めてロックピン22を上部旋回体2の格納部25内から下部走行体1側に突出させ、この状態のまま上部旋回体2を旋回させた場合などでも、上述の場合と同様に、旋回制御装置30の近接スイッチ31がロックピン22の格納位置からの降下を検出し、コントローラ33が旋回駆動手段10の油圧ポンプ11の傾転切替部14を制御して上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下の超低速に減速させる。このため、運転者は誤操作に気付くことができるとともに、ロックピン22がピン受け23の外周面に衝突した時の衝撃力を可及的に軽減することができるので、破損の防止及び荷揺れの抑制を効果的に図ることができる。
しかも、上記旋回制御装置30において、上部旋回体2の旋回速度を減速させるに当たっては、本実施形態の如く旋回駆動手段10の油圧ポンプ11が可変容量形のものである場合その傾転切替部14を制御するだけで旋回速度の減速を容易に実現することができる。また、旋回ロック機構20のロックピン22を、アクチュエータにより移動させる構成を採る必要はなく、従来と同じ旋回ロック機構20を装備したクローラクレーンA又はその他の作業機械にもそのまま適用することができるので、汎用性及び実用性に優れた効果を有する。
尚、ロックピン22がピン受け23の外周面に衝突した後上部旋回体2が超低速で旋回するとロックピン22はその下端部の面取り部22aがピン受け23の下り傾斜面28に接触して格納部25内に押し上げられ、ピン受け23の接触面23aと接触した後ピン受け23のピン嵌合穴27に嵌合する。
(第2の実施形態)
図6は本発明の第2の実施形態に係るクローラクレーンの旋回駆動系の構成を示す。この第2の実施形態の場合、旋回駆動手段10は、第1の実施形態の場合と同じく、可変容量形の油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11から吐出される圧油が3位置切換弁12を介して供給される油圧モータ13とを備えてなる。尚、図6は、3位置切換弁12の位置切替のためのパイロット管路系の構成をも開示しており、旋回操作レバー41を左旋回位置又は右旋回位置に操作すると油圧ポンプ42からの圧油がパイロット管路43,44を通して3位置切換弁12の一方のパイロット室に導入され、これにより、3位置切換弁12の位置切替が行われる。
また、旋回制御装置30は、第1の実施形態の場合と同じく、旋回ロック機構20のロックピン22(図3など参照)の位置を検出する位置検出手段としての近接センサ31と、この近接センサ31の信号を受け、油圧ポンプ11の傾転角を変更する傾転切替部14を制御するコントローラ33とを備えるだけでなく、更に、旋回駆動手段10の旋回操作レバー41の操作状態を検出する操作状態検出手段としてパイロット管路43,44に設けられた一対の圧力スイッチ45,45と、運転室4(図1参照)内に設けられ運転者に報知するための報知手段としての警報表示器46とを備えている。そして、コントローラ33は、近接センサ31の検出信号に加えて上記各圧力スイッチ45の検出信号をも受け、第1の実施形態の場合と同じく旋回ロック機構20のロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっているとき油圧ポンプ11の吐出油圧量を少なくして上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下に減速させるように傾転切替部14を制御するとともに、旋回ロック機構20のロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっておりかつ旋回操作レバー41が操作されたときに制御信号を出力して警報表示器46を作動させるようになっている。
従って、上記第2の実施形態においては、第1の実施形態の場合と同じく旋回ロック機構20のロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっている場合にはコントローラ33が旋回駆動手段10の油圧ポンプ11の傾転切替部14を制御して上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下の超低速に減速させるため、ロックピン22がピン受け23の外周面に衝突した時の衝撃力を可及的に軽減することができ、破損の防止及び荷揺れの抑制を図ることができるなどの効果を奏する。
その上、旋回ロック機構20のロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっている場合に旋回操作レバー41が操作されるとコントローラ33の制御の下に警報表示器46が作動して警報表示が行われるため、上部旋回体2の旋回速度の減速と相俟ってロックピン22とピン受け23の衝突を運転者に事前に認識させることができ、安全性をより高めることができる。
(第3の実施形態)
図7は本発明の第3の実施形態に係るクローラクレーンの旋回駆動系の構成を示す。この第3の実施形態の場合、上部旋回体2(図1参照)の旋回速度を所定速度以下に減速させるための構成が第1及び第2の実施形態の場合と異なる。
すなわち、旋回駆動手段10は、3位置切換弁12のパイロット管路43,44に設けられた一対の比例弁48,48を更に備えている。旋回制御装置30のコントローラ33は、この比例弁48により3位置切換弁12のパイロット室に導入されるパイロット圧を制限することで油圧モータ13の回転速度ひいては上部旋回体2の旋回速度を通常旋回時よりも減速させるようになっている。尚、その他の構成は、第2の実施形態の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
そして、上記第3の実施形態においても、第2の実施形態の場合と同様な作用効果を奏することができるのは勿論である。
(第4の実施形態)
図8及び図9は本発明の第4の実施形態に係るクローラクレーンの旋回ロック機構の構成を示す。この第4の実施形態の場合、旋回ロック機構20は、基本的には第1の実施形態の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
そして、第1の実施形態の場合との相違点は、旋回ロック機構20のロックピン22の位置を検出する旋回制御装置の主要な構成要素である位置検出手段としての近接センサ51の配設箇所である。すなわち、この近接スイッチ51は、操作レバー21の支点21aとケーブル24の運転室側端部とを連結する連結リンク52に対応して配設されており、図8に示す如く操作レバー21によりケーブル24が引っ張られ、ロックピン22が格納部25内の格納位置にあるときには近接スイッチ51の前方に連結リンク52は存在せず、図9に示す如く操作レバー21によりケーブル24を緩めてロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がっているときには近接スイッチ51の前方に連結リンク52が存在するようになり、これにより、近接スイッチ51が連結リンク52ないし操作レバー21の操作位置からロックピン22の位置を間接的に検出するようになっている。
第4の実施形態のものは、第1の実施形態の如く近接スイッチ31を上部旋回体2の格納部25近傍に配置することができない場合などに有効である。
(第5の実施形態)
図10は本発明の第5の実施形態に係るクローラクレーンの旋回駆動系の構成を示す。この第5の実施形態の場合、旋回駆動手段10は、第1の実施形態の場合と同じく、可変容量形の油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11から吐出される圧油が3位置切換弁12を介して供給される油圧モータ13とを備えるだけでなく、更に、油圧モータ13の回転を停止させるブレーキ61を備えている。このブレーキ61は、図10に示す如く油圧ポンプ62の圧油が電磁切換弁63を通してシリンダ64内に導入されているときには油圧モータ13のプレート65を開放し、電磁切換弁63の位置切替によりシリンダ64内の圧油がタンクに戻されたときにはシリンダ64内のスプリング66の力により油圧モータ62のプレート65を押して制動するようになっている。
また、旋回制御装置30は、旋回ロック機構20のロックピン22(図11など参照)の位置を検出する位置検出手段としての2つの近接センサ71,72と、この両近接センサ71,72の信号を受け、油圧ポンプ11の傾転切替部14及び上記電磁切換弁63の位置切替を制御するコントローラ73とを備えている。上記2つの近接センサ71,72は、図11ないし図13に示すように、上部旋回体2の格納部25近傍にその格納部25内の格納位置に位置するロックピン22の上部に共に対向した状態で取付部材74を介して上下に互いに所定距離を隔てて取り付けられており、図11に示す如くロックピン22が格納部25内の格納位置に位置するときには両近接センサ71,72が共に検出信号を出力し、図12に示す如くロックピン22が格納部25内の格納位置よりも下がってピン受け23の接触面23aに接触可能な接触位置に位置するときには下側の近接センサ72のみが検出信号を出力し、図13に示す如くロックピン22が完全に下がって下部走行体1側に突出する突出位置に位置するときには両近接センサ71,72は共に検出信号を出力しなくなる。
上記コントローラ73は、上記2つの近接センサ71,72からの検出信号の有無に基づいてロックピン22の位置が格納位置、接触位置又は突出位置のいずれであるかを判別するとともに、ロックピン22の位置が平面的に見てピン受け23の外側で格納位置から突出位置に変化したとき油圧ポンプ11の吐出油圧量を少なくして上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下の超低速に減速させるように傾転切替部14を制御し、ロックピン22の位置が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したとき上記ブレーキ61を作動させて上部旋回体2の旋回を停止させるよう電磁切換弁63の位置切替を制御するようになっている。ここで、上記所定時間は、上部旋回体2が超低速で旋回するときロックピン22が突出位置からピン受け23の下り傾斜面28に接触して格納部25内に押し上げられ接触位置に変化した時点から、ピン受け23の接触面23aと接触した後ピン受け23のピン嵌合穴27に嵌合して再度突出位置に変化する時点までの所要時間又はそれよりも少し長い時間に設定される。
従って、上記第5の実施形態においては、旋回ロック機構20のロックピン22が格納部25内の格納位置から下方に下がり突出位置に変化したときにはコントローラ73が旋回駆動手段10の油圧ポンプ11の傾転切替部14を制御して上部旋回体2の旋回速度を所定速度以下の超低速に減速させるため、ロックピン22がピン受け23の外周面に衝突した時の衝撃力を可及的に軽減することができ、破損の防止及び荷揺れの抑制を図ることができるなどの効果を奏する。
その上、旋回ロック機構20のロックピン22が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したとき、つまりピン受け23のピン嵌合穴27に嵌合したときにはコントローラ73が旋回駆動手段10の電磁切換弁63の位置切替を行い、ブレーキ61が作動して上部旋回体2の旋回が自動的に停止するため、安全性をより高めることができる。
尚、本発明は上記第1ないし第5の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば上記各実施形態では、いずれも作業機械としてクローラクレーンAに適用した場合について述べたが、本発明は、クローラクレーンAに限らず、ラフテレーンクレーンや油圧ショベルなど下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に搭載されてなる作業機械に広く適用することができる。
また、上記各実施形態では、ロックピン22の位置を検出する位置検出手段として、いずれも近接センサ31,51,71,72を用いたが、本発明は、この近接センサの代わりに、光や電磁波などをロックピン22の上方からロックピン22の上端面に向けて発して距離を測定する測定器又はその他の距離測定器を用いてもよいのは勿論である。
さらに、上記各実施形態では、上部旋回体2の旋回動作をロックする旋回ロック機構20を、上部旋回体2の運転室4内に支点21aを中心に揺動操作可能に設けられた操作レバー21と、上部旋回体2側から下部走行体1側に出没可能に設けられたロックピン22と、このロックピン22に対応して下部走行体1に設けられたピン受け23と、上記操作レバー21とロックピン22とを連結する操作力伝達手段としてのケーブル24とを備える構成にしたが、本発明は、操作力伝達手段として、ケーブル24の代わりに、リンクを用いて構成し、またロックピン22を、アクチュエータを用いる遠隔操作でもって移動させる構成にしてもよい。
本発明の第1の実施形態に係るクローラクレーンの概略構成図である。 上記クローラクレーンの旋回駆動系の構成図である。 旋回ロック機構のロックピンが格納部の格納位置に位置するときのロックピン配設箇所付近の縦断側面図である。 ロックピンがピン受けの上面に接触したときの図3相当図である。 ロックピンがピン受けのピン嵌合穴に嵌合したときの図3相当図である。 第2の実施形態を示す図2相当図である。 第3の実施形態を示す図2相当図である。 第4の実施形態に係るクローラクレーンの旋回ロック機構のロックピンが格納部の格納位置に位置するときの旋回ロック機構の構成を示し、(a)は一部を切開した側面図、(b)は(a)のX−X線における拡大断面図である。 同じく旋回ロック機構のロックピンがピン受けのピン嵌合穴に嵌合したときの旋回ロック機構の構成を示し、(a)は一部を切開した側面図、(b)は(a)のY−Y線における拡大断面図である。 第5の実施形態を示す図2相当図である。 同じく図3相当図である。 同じく図4相当図である。 同じく図5相当図である。
A クローラクレーン
1 下部走行体
2 上部旋回体
4 運転室
10 旋回駆動手段
20 旋回ロック機構
21 操作レバー
22 ロックピン
22a 面取り部
23 ピン受け
23a 接触面
24 ケーブル
27 ピン嵌合穴
28 下り傾斜面
30 旋回制御装置
31,51,71,72 近接センサ(位置検出手段)
33,73 コントローラ(制御手段)
41 旋回操作レバー(旋回操作部)
45 圧力スイッチ(操作状態検出手段)
46 警報表示器(報知手段)
61 ブレーキ
63 電磁切換弁

Claims (5)

  1. 下部走行体上に運転室を備えた上部旋回体が旋回可能に搭載されかつ旋回駆動手段により旋回駆動可能に設けられている一方、この上部旋回体の旋回動作をロックする旋回ロック機構が設けられ、この旋回ロック機構は、上部旋回体側から下部走行体側に出没可能に設けられたロックピンと、下部走行体に設けられかつ上部旋回体側から突出したロックピンが嵌合可能なピン受けと、上部旋回体の運転室内に設けられた操作レバーと、この操作レバーと上記ロックピンとを連結するケーブルとを備え、操作レバーによりケーブルを緩めるとロックピンが上部旋回体側の格納位置から自重により下方に下がるようになっている作業機械において、
    上記ロックピンの位置を検出する位置検出手段と、
    この位置検出手段の信号を受け、上記ロックピンが上部旋回体側の格納位置から下方に下がっているとき上部旋回体の旋回速度を所定速度以下に減速させるように上記旋回駆動手段を制御する制御手段とを備えており、
    上記ロックピンは、その下端部に面取り部を有しており、上記ピン受けは、ロックピンの下端面と接触可能な水平な接触面と、この接触面の中央部に穿設されたピン嵌合穴と、上記接触面の周縁に連接しかつ下部走行体側に突出したロックピンの面取り部と当接してロックピンを持ち上げ可能な下り傾斜面とを有してなり、
    上記位置検出手段は、ロックピンの位置として上部旋回体側の格納位置、ロックピンが格納位置よりも下がってピン受けの接触面に接触可能な接触位置、及びロックピンが完全に下がって下部走行体側に突出する突出位置を識別して検出するものであり、
    上記制御手段は、ロックピンの位置が平面的に見てピン受けの外側で格納位置から突出位置に変化したとき上部旋回体の旋回速度を所定速度以下に減速させ、ロックピンの位置が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したとき上部旋回体の旋回を停止させるように設けられていることを特徴とする作業機械の旋回制御装置。
  2. 上記位置検出手段は、操作レバーの操作位置からロックピンの位置を間接的に検出するものである請求項1記載の作業機械の旋回制御装置。
  3. 上記旋回駆動手段を操作する旋回操作部の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
    運転者に報知するための報知手段とを更に備えており、
    上記制御手段は、位置検出手段の信号に加えて上記操作状態検出手段の信号をも受け、ロックピンが格納位置から下方に下がっておりかつ上記旋回操作部が操作されたときに報知手段を作動させるように設けられている請求項記載の作業機械の旋回制御装置。
  4. 上記旋回駆動手段は、旋回駆動用モータの回転を停止させるブレーキを有しており、上記制御手段は、ロックピンの位置が接触位置に変化した後所定時間以内に再度突出位置に変化したときこのブレーキを作動させて上部旋回体の旋回を停止させる構成になっている請求項1記載の作業機械の旋回制御装置。
  5. 上記所定速度は、上部旋回体の通常旋回速度の10分の1以下に設定されている請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の作業機械の旋回制御装置。
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