JP3601641B2 - クレーンの安全装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径、例えば上部旋回体の後端旋回半径より突出するときのクレーンの安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
第1ブーム(基段ブーム)内を伸縮する第2ブーム以降の伸縮ブーム後端が、第1ブーム後端より後方に突出するクレーンの警報装置としては、従来、図5、および図6に示す「実開平3−99651号」が提案されている。
図5はクレーンの側面図で、下部走行体1上には上部旋回体3が旋回自在に装着され、この上部旋回体3にはブーム4の基段ブーム41 が、起伏シリンダ6により起伏自在に取付けられている。
【0003】
図6は警報装置の制御ブロック図で、第2ブーム42 以降の伸縮ブームの長さをブーム長検出器51(図4では省略)で、また基段ブーム41 の起伏角度θをブーム角検出器52(図4では省略)でそれぞれ検出し、これら検出値より第2ブーム42 以降の伸縮ブーム後端の旋回半径を制御装置50で演算して、この伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の旋回半径より突出したときに、警報ランプ53、警報ブザー57により警報したり、アンロード電磁弁58を作動させて旋回油圧をアンロードさせて、上部旋回体3を旋回させないようにしている。なおスイッチ55を開けば警報ブザー57が停止し、スイッチ56を開けばアンロード電磁弁58がオンロードして上部旋回体3が旋回できる。
これにより運転者は伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の後端旋回半径より突出しているのを知らずに上部旋回体3を旋回させ、伸縮ブーム後端を外壁などの障害物へ衝突させる等の事故を未然に防ぐことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記構成においては、伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出すると警報を発するようになっているため、伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出している場合には常に警報を発し続けた状態となっている。
そのため、運転者は警報に慣れ、操作の都度運転者に注意を喚起することにならないという問題がある。
また伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出している場合でも、一時的に図5に示すスイッチ55を開いて警報ブザー57を停止させて作業することがあるが、時間が経つとスイッチ55を開いていることを忘れるため、不注意に上部旋回体3を旋回させると、伸縮ブーム後端を外壁などの障害物へ衝突させる等の事故が発生する恐れがあった。
また一時的にスイッチ56を開いてアンロード電磁弁58をオンロードさせて作業する場合についても同様の事故が発生する恐れがあった。
【0005】
本発明は前記の問題点に注目してなされたもので、伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の後端旋回半径等の設定した許容旋回半径より突出している状態で、運転者が許容旋回半径より更に突出する方向へ操作したり、または旋回操作する都度、運転者に警報を発し、あるいは許容旋回半径より更に突出する方向への作動、または旋回操作を停止できるクレーンの安全装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1の発明は、下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に、起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、伸縮ブーム後端部の旋回半径が、設定された許容旋回半径より突出したか否かを検出して、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していて、かつ、伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする方向に伸縮ブームを操作するか、または上部旋回体を旋回操作したときには警報手段により警報を発する。従って運転者は周囲に注意してクレーンを操作をすることとなり、障害物への衝突や危険を未然に防止することが可能となる。
また、例え伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していても、ブーム操作あるいは旋回操作をしていないときには警報は作動せず、危険な方向に操作したときに警報が作動するため運転者は操作の都度注意を喚起されることとなり、安全性が大幅に向上する。
【0008】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2の発明は、下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に、それらの操作による作動を停止する作動停止手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、伸縮ブーム後端部の旋回半径が、設定された許容旋回半径より突出したか否かを検出して、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していて、かつ、伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする方向に伸縮ブームを操作するか、または上部旋回体を旋回操作したときには、その方向への作動を停止するため、運転者が誤って操作しても伸縮ブーム後端部が障害物へ衝突するような危険の発生を未然に、かつ確実に防止できる。
しかも安全装置を一時的に解除することにより、伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径より突出した状態においても、前記同様、各操作の度にその方向への作動を停止するため、運転者の不用意な操作による危険を確実に防止し、安全性が更に大幅に向上する。
【0010】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第3の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、基段ブーム角検出手段と、これら検出手段からの信号を受信して、伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算し、この旋回半径が設定された許容旋回半径より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、第1の発明、または第2の発明において、基段ブームおよび伸縮ブームがどのような姿勢にあっても、制御装置が伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、基段ブーム角検出手段とからの信号を受信して、伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算し、この旋回半径が設定された許容旋回半径より大きく、かつ伸縮ブーム後端の旋回半径を増大する信号を入力すると、制御装置から警報手段あるいは作動停止手段に出力する。従って信頼性の高い安全装置がコンパクトに、かつ安価に製作される。
【0012】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第4の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を伸縮ブーム後端部の突出量に、また許容旋回半径を許容突出量としたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明によれば、ブーム角が略一定となるような作業においては、第1、または第2の発明における伸縮ブーム後端部の旋回半径に代えて、伸縮ブーム後端部の突出量だけを検出して、許容突出量と比較すればよいため、クレーンの安全装置が簡略化されコスト低減が可能となる。
【0014】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第5の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、この突出量検出手段からの突出量信号を受信して、この突出量が設定された許容突出量より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の突出量を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
第5の発明によれば、第4の発明と同様にブーム角が略一定となるような作業においては、第1、または第2の発明における伸縮ブーム後端部の旋回半径に代えて、伸縮ブーム後端部の突出量だけを検出して、許容突出量と比較すればよいため、制御装置を含めたクレーンの安全装置全体が簡略化されコスト低減が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るクレーンの安全装置の実施例について、図1〜図4を参照して詳述する。本実施例の説明においては図5、および図6に示す従来の技術と同様な部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
図1は本発明に係るクレーンの走行状態を示す側面図、図2は本発明に係るクレーンの作業状態を示す側面図で、伸縮ブーム後端の旋回半径を算出する説明図、図3は本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
【0018】
図1に示すように、ブーム4を最短状態にしたときに第2ブーム42 以降の伸縮ブームの後端部を基段ブーム41 の後端部より突出させて、上部旋回体3の後端旋回半径RよりSだけ突出させることにより、走行姿勢における車両全長Kを短くして走行性を向上しながら、ブーム伸長時のブーム全長を長くして作業範囲を広くしている。
【0019】
図1に示す走行状態から図2に示すように、起伏シリンダ6を伸長して基段ブーム41 をピン5の回りに起立させて作業状態にしたとき、第2ブーム42 以降の伸縮ブームが十分伸長状態にないと、伸縮ブームの後端部が基段ブーム41 の後端部より多く突出することになる。この場合には伸縮ブームの後端部が図1に示す上部旋回体3の後端旋回半径Rより突出して、狭隘な場所では伸縮ブームの後端部が外部の障害物に衝突して損傷等の危険を招くことがある。
また運転者が伸縮ブームの後端部が上部旋回体3の後端旋回半径Rより突出していることに気付かずに、上部旋回体3を旋回したり、ブーム4を附伏操作したりすると、同様に伸縮ブームの後端が外壁等の障害物に衝突して損傷等の危険を招くことがある。
【0020】
図3は、本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
ブーム伸縮操作レバー10を備えた第1圧力比例制御弁11の収縮側パイロット回路12aと、伸長側パイロット回路12bとはブーム伸縮操作弁13の各パイロット操作部に接続している。また収縮側パイロット回路12aには第1圧力スイッチ14が接続され、この第1圧力スイッチ14の検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0021】
ブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作すると、図1、および図2に示すブーム4内に装着されたブーム伸縮シリンダがブーム収縮側に作動すると共に、パイロット回路12aの油圧が上昇し、第1圧力スイッチ14が閉じて制御装置40にブーム伸縮操作信号が送られる。
【0022】
ブーム起伏操作レバー20を備えた第2圧力比例制御弁21のブーム俯伏側パイロット回路22aと、ブーム起立側パイット回路22bとはブーム起伏操作弁23の各パイロット操作部に接続している。ブーム俯伏側パイロット回路22aには第2圧力スイッチ24が接続され、この第2圧力スイッチ24の検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0023】
ブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作すると、図1、および図2に示すブーム起伏シリンダ6はブーム俯伏側に作動すると共に、ブーム俯伏側パイロット回路22aの油圧が上昇し、第2圧力スイッチ24が閉じて制御装置40にブーム俯伏操作信号が送られる。
【0024】
旋回操作レバー30を備えた第3圧力比例制御弁31の左、右各旋回パイロット回路32a,32bは、旋回操作弁34の各パイロット操作部に接続している。パイロット回路32a,32bにはそれぞれ第3圧力スイッチ35、および第4圧力スイッチ36が接続され、この第3圧力スイッチ35、および第4圧力スイッチ36の各検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0025】
旋回操作レバー30を右旋回、または左旋回操作すると、図1、および図2に示す上部旋回体3は図示しない旋回油圧モータにより旋回駆動すると共に、パイロット回路32a、または32bの油圧が上昇し、第3圧力スイッチ35、または第4圧力スイッチ36が閉じて、右旋回、または左旋回操作信号が制御装置40に送られる。
【0026】
制御装置40は、ブーム長検出手段であるブーム長検出センサ41、およびブーム角検出手段であるブーム角検出センサ42に接続されており、ブーム長検出検出センサ41、およびブーム角検出センサ42の各検出信号を入力している。また制御装置40は、警報手段である運転室のモニタパネルの警告ブザー50、ディスプレイ52、および音声により危険であることを注意するスピーカ51に接続されている。
前記各検出信号より上部旋回体3の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算して、設定された許容旋回半径とを比較している。
【0027】
前記構成による安全装置の作用について図2、および図3により説明する。
(1)ブーム長センサ41は、図2に示すピン5の中心から第2ブーム42 の後端までの距離Laを測定し、その測定値を制御装置40に送信する。
(2)ブーム角センサ42は、図2に示すピン5と第2ブーム41 の後端とを結ぶ直線X−Xと水平線との成す角度αを測定し、その測定値を制御装置40に送信する。
(3)制御装置40は距離Laおよび角度αから、ピン5の中心から第2ブーム41 の後端までの水平距離LbをLb=La×cos α により演算して求める。つぎにLbに上部旋回体2の旋回中心からピン4までの距離Lcを加算し、上部旋回体3の旋回中心から第2ブーム41 の後端までの水平距離LdをLd=Lb+Lcにより求め、許容旋回半径である上部旋回体3の後部旋回半径Rと比較する。
(4)運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作し、第1圧力スイッチ14あるいは第2圧力スイッチ24からの信号が制御装置40に出力しているときに、Ld≧R になった場合、制御装置40は警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信して注意を喚起する。
これにより運転者は後方の安全を確認したのち作業を続行する。
【0028】
(5)運転者が操作レバー10,20を中立位置に戻すと、制御装置40は警報信号の発信を中止するため警報は止まる。
(6)第2ブーム42 の後端が上部旋回体2の後端旋回半径Rより突出した状態、すなわちLd≧Rの状態で運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム短縮側に操作するか、あるいはブーム起伏レバー20をブーム俯伏側に操作すると、第2ブーム42 の後端は後部旋回半径Rより更に突出する方向になるので、第1圧力スイッチ14または第2圧力スイッチ24から信号を受けた制御装置40は、警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信する。そのため警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52から警報を発して運転者の注意を喚起する。
(7)同様にLd≧R の状態で運転者が旋回操作レバー30を左、右いずれに旋回操作した場合でも、制御装置40は第3圧力スイッチ35または第4圧力スイッチ36からの信号を受けた制御装置40は、警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信する。そのため警告灯50、警報ブザー51、およびディスプレイ52から警報を発して運転者、および周囲に注意を喚起する。
【0029】
前記のように運転者が操作レバー10,20,30を危険が発生する恐れのある方向に操作したときにのみ、操作の度に警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52が警報を発するので、運転者はその都度クレーンの周囲を確認して操作し、伸縮ブーム後端が周囲に衝突する危険の発生を確実に防止することができる。
【0030】
図4は本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2実施例の制御回路図である。警報器以外の部分は第1実施例と同一のため説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
制御装置40は図示しないブーム伸縮シリンダのパイロット油圧をアンロードする第1電磁弁60、ブーム起伏シリンダのパイロット油圧をアンロードする第2電磁弁61、上部旋回体3の旋回駆動油圧モータのパイロット油圧をアンロードする第3電磁弁62と、それぞれON−OFFスイッチ63,64,65を介して接続している。
スイッチ63,64,65は運転者が自由に操作可能になっている。
【0032】
つぎに作動について説明する。
(1)運転者は作業開始時にスイッチ63,64,65をONにしておく。
(2)運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作して、Ld≧Rになると制御装置40は第1電磁弁60にアンロード信号を発信し、ブーム伸縮操作弁13の収縮側のパイロット回路12aをアンロードしてブーム収縮作動を停止するか、あるいはブーム起伏操作弁23の俯伏側のパイロット回路22aをアンロードしてブーム俯伏作動を停止させる。
(3)運転者はブーム後方の安全を確認したのちスイッチ63、あるいは64を開いて第1電磁弁60、あるいは第2電磁弁61により、収縮側のパイロット回路12a、あるいは俯伏側のパイロット回路22aをオンロードさせて、ブーム収縮作動、あるいはブーム俯伏作動を行う。
(4)作動完了時には運転者は操作レバーを中立にするとともに、再びスイッチ63、あるいは64を閉じる。
【0033】
(5)Ld≧R の状態で運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作すると、ブーム後端部は更に後端旋回半径Rより突出することになるため、制御装置40は制御信号を発信してブーム収縮作動、あるいはブーム俯伏作動を停止させる。
(6)運転者は後方の安全を確認後、スイッチ63、あるいは64を開いて収縮側のパイロット回路12a、あるいは俯伏側のパイロット回路22aをオンロードさせて、ブーム伸縮作動、あるいはブーム起伏作動させ、作動完了後は再びスイッチ63あるいは64を閉じる。
(7)またLd≧R の状態で運転者が旋回操作レバー30を操作すると、制御装置40は第3電磁弁62に制御信号を発信して、旋回操作レバー30の左、右パイロット回路32a、または32bをアンロードして旋回作動を停止させる。
(8)運転者はブーム後方の安全を確認したのちスイッチ65を開いて旋回作動させ、旋回作動完了後にはスイッチ65を閉じる。
【0034】
前記のようにスイッチ63〜65を開くことにより、各パイロット回路12a,22a,32a,32bをオンロードさせて、ブーム収縮作動、ブーム俯伏作動、あるいは旋回作動させても、その後必ずスイッチ63〜65を閉じておけば運転者が操作レバーを危険が発生する可能性の有る方向に操作すれば、自動的に作動停止となるため安全性が確保される。
【0035】
なお、第1実施例の警報器50〜52と第2実施例の電磁弁60〜62とを併用してもよいことは言うまでもない。
また第1実施例、および第2実施例のように伸縮ブームの後端旋回半径を、ブーム長検出センサ41、およびブーム角検出センサ42からの信号により演算したが、ブーム角が略一定の作業においては図1に示す伸縮ブームの後端限界位置だけをリミットスイッチ7で検出することにより、伸縮ブームの後端旋回半径に代用させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクレーンの走行状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係るクレーンの作業状態を示す側面図で、伸縮ブーム後端の旋回半径を算出する説明図である。
【図3】本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
【図4】本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2実施例の制御回路図である。
【図5】従来のクレーンの側面図である。
【図6】図5の警報装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
1…下部走行体、3…上部旋回体、4…ブーム、41 …基段ブーム、42 …第2ブーム、5…ピン、6…ブーム起伏シリンダ、7…リミットスイッチ、10…ブーム伸縮操作レバー、11…第1圧力比例制御弁、12a,12b,22a,22b,32a,32b…パイロット回路、13…ブーム伸縮操作弁、14…第1圧力スイッチ、20…ブーム起伏操作レバー、21…第2圧力比例制御弁、23…ブーム起伏操作弁、24…第2圧力スイッチ、30…旋回操作レバー、31…第3圧力比例制御弁、34…旋回操作弁、35…第3圧力スイッチ、36…第4圧力スイッチ、40…制御装置、41…ブーム長検出センサ、42…ブーム角検出センサ、50…警告灯、51…スピーカ、52…ディスプレイ、60…第1電磁弁、61…第2電磁弁、62…第3電磁弁、63,64,65…スイッチ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径、例えば上部旋回体の後端旋回半径より突出するときのクレーンの安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
第1ブーム(基段ブーム)内を伸縮する第2ブーム以降の伸縮ブーム後端が、第1ブーム後端より後方に突出するクレーンの警報装置としては、従来、図5、および図6に示す「実開平3−99651号」が提案されている。
図5はクレーンの側面図で、下部走行体1上には上部旋回体3が旋回自在に装着され、この上部旋回体3にはブーム4の基段ブーム41 が、起伏シリンダ6により起伏自在に取付けられている。
【0003】
図6は警報装置の制御ブロック図で、第2ブーム42 以降の伸縮ブームの長さをブーム長検出器51(図4では省略)で、また基段ブーム41 の起伏角度θをブーム角検出器52(図4では省略)でそれぞれ検出し、これら検出値より第2ブーム42 以降の伸縮ブーム後端の旋回半径を制御装置50で演算して、この伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の旋回半径より突出したときに、警報ランプ53、警報ブザー57により警報したり、アンロード電磁弁58を作動させて旋回油圧をアンロードさせて、上部旋回体3を旋回させないようにしている。なおスイッチ55を開けば警報ブザー57が停止し、スイッチ56を開けばアンロード電磁弁58がオンロードして上部旋回体3が旋回できる。
これにより運転者は伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の後端旋回半径より突出しているのを知らずに上部旋回体3を旋回させ、伸縮ブーム後端を外壁などの障害物へ衝突させる等の事故を未然に防ぐことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記構成においては、伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出すると警報を発するようになっているため、伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出している場合には常に警報を発し続けた状態となっている。
そのため、運転者は警報に慣れ、操作の都度運転者に注意を喚起することにならないという問題がある。
また伸縮ブーム後端部が上部旋回体3の後端旋回半径より突出している場合でも、一時的に図5に示すスイッチ55を開いて警報ブザー57を停止させて作業することがあるが、時間が経つとスイッチ55を開いていることを忘れるため、不注意に上部旋回体3を旋回させると、伸縮ブーム後端を外壁などの障害物へ衝突させる等の事故が発生する恐れがあった。
また一時的にスイッチ56を開いてアンロード電磁弁58をオンロードさせて作業する場合についても同様の事故が発生する恐れがあった。
【0005】
本発明は前記の問題点に注目してなされたもので、伸縮ブーム後端の旋回半径が上部旋回体3の後端旋回半径等の設定した許容旋回半径より突出している状態で、運転者が許容旋回半径より更に突出する方向へ操作したり、または旋回操作する都度、運転者に警報を発し、あるいは許容旋回半径より更に突出する方向への作動、または旋回操作を停止できるクレーンの安全装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1の発明は、下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に、起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、伸縮ブーム後端部の旋回半径が、設定された許容旋回半径より突出したか否かを検出して、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していて、かつ、伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする方向に伸縮ブームを操作するか、または上部旋回体を旋回操作したときには警報手段により警報を発する。従って運転者は周囲に注意してクレーンを操作をすることとなり、障害物への衝突や危険を未然に防止することが可能となる。
また、例え伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していても、ブーム操作あるいは旋回操作をしていないときには警報は作動せず、危険な方向に操作したときに警報が作動するため運転者は操作の都度注意を喚起されることとなり、安全性が大幅に向上する。
【0008】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2の発明は、下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に、それらの操作による作動を停止する作動停止手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、伸縮ブーム後端部の旋回半径が、設定された許容旋回半径より突出したか否かを検出して、伸縮ブーム後端部が許容旋回半径より突出していて、かつ、伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする方向に伸縮ブームを操作するか、または上部旋回体を旋回操作したときには、その方向への作動を停止するため、運転者が誤って操作しても伸縮ブーム後端部が障害物へ衝突するような危険の発生を未然に、かつ確実に防止できる。
しかも安全装置を一時的に解除することにより、伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径より突出した状態においても、前記同様、各操作の度にその方向への作動を停止するため、運転者の不用意な操作による危険を確実に防止し、安全性が更に大幅に向上する。
【0010】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第3の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、基段ブーム角検出手段と、これら検出手段からの信号を受信して、伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算し、この旋回半径が設定された許容旋回半径より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、第1の発明、または第2の発明において、基段ブームおよび伸縮ブームがどのような姿勢にあっても、制御装置が伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、基段ブーム角検出手段とからの信号を受信して、伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算し、この旋回半径が設定された許容旋回半径より大きく、かつ伸縮ブーム後端の旋回半径を増大する信号を入力すると、制御装置から警報手段あるいは作動停止手段に出力する。従って信頼性の高い安全装置がコンパクトに、かつ安価に製作される。
【0012】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第4の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を伸縮ブーム後端部の突出量に、また許容旋回半径を許容突出量としたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明によれば、ブーム角が略一定となるような作業においては、第1、または第2の発明における伸縮ブーム後端部の旋回半径に代えて、伸縮ブーム後端部の突出量だけを検出して、許容突出量と比較すればよいため、クレーンの安全装置が簡略化されコスト低減が可能となる。
【0014】
本発明に係るクレーンの安全装置に関する第5の発明は、第1の発明、または第2の発明において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、この突出量検出手段からの突出量信号を受信して、この突出量が設定された許容突出量より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の突出量を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
第5の発明によれば、第4の発明と同様にブーム角が略一定となるような作業においては、第1、または第2の発明における伸縮ブーム後端部の旋回半径に代えて、伸縮ブーム後端部の突出量だけを検出して、許容突出量と比較すればよいため、制御装置を含めたクレーンの安全装置全体が簡略化されコスト低減が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るクレーンの安全装置の実施例について、図1〜図4を参照して詳述する。本実施例の説明においては図5、および図6に示す従来の技術と同様な部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
図1は本発明に係るクレーンの走行状態を示す側面図、図2は本発明に係るクレーンの作業状態を示す側面図で、伸縮ブーム後端の旋回半径を算出する説明図、図3は本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
【0018】
図1に示すように、ブーム4を最短状態にしたときに第2ブーム42 以降の伸縮ブームの後端部を基段ブーム41 の後端部より突出させて、上部旋回体3の後端旋回半径RよりSだけ突出させることにより、走行姿勢における車両全長Kを短くして走行性を向上しながら、ブーム伸長時のブーム全長を長くして作業範囲を広くしている。
【0019】
図1に示す走行状態から図2に示すように、起伏シリンダ6を伸長して基段ブーム41 をピン5の回りに起立させて作業状態にしたとき、第2ブーム42 以降の伸縮ブームが十分伸長状態にないと、伸縮ブームの後端部が基段ブーム41 の後端部より多く突出することになる。この場合には伸縮ブームの後端部が図1に示す上部旋回体3の後端旋回半径Rより突出して、狭隘な場所では伸縮ブームの後端部が外部の障害物に衝突して損傷等の危険を招くことがある。
また運転者が伸縮ブームの後端部が上部旋回体3の後端旋回半径Rより突出していることに気付かずに、上部旋回体3を旋回したり、ブーム4を附伏操作したりすると、同様に伸縮ブームの後端が外壁等の障害物に衝突して損傷等の危険を招くことがある。
【0020】
図3は、本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
ブーム伸縮操作レバー10を備えた第1圧力比例制御弁11の収縮側パイロット回路12aと、伸長側パイロット回路12bとはブーム伸縮操作弁13の各パイロット操作部に接続している。また収縮側パイロット回路12aには第1圧力スイッチ14が接続され、この第1圧力スイッチ14の検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0021】
ブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作すると、図1、および図2に示すブーム4内に装着されたブーム伸縮シリンダがブーム収縮側に作動すると共に、パイロット回路12aの油圧が上昇し、第1圧力スイッチ14が閉じて制御装置40にブーム伸縮操作信号が送られる。
【0022】
ブーム起伏操作レバー20を備えた第2圧力比例制御弁21のブーム俯伏側パイロット回路22aと、ブーム起立側パイット回路22bとはブーム起伏操作弁23の各パイロット操作部に接続している。ブーム俯伏側パイロット回路22aには第2圧力スイッチ24が接続され、この第2圧力スイッチ24の検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0023】
ブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作すると、図1、および図2に示すブーム起伏シリンダ6はブーム俯伏側に作動すると共に、ブーム俯伏側パイロット回路22aの油圧が上昇し、第2圧力スイッチ24が閉じて制御装置40にブーム俯伏操作信号が送られる。
【0024】
旋回操作レバー30を備えた第3圧力比例制御弁31の左、右各旋回パイロット回路32a,32bは、旋回操作弁34の各パイロット操作部に接続している。パイロット回路32a,32bにはそれぞれ第3圧力スイッチ35、および第4圧力スイッチ36が接続され、この第3圧力スイッチ35、および第4圧力スイッチ36の各検出信号回路は制御装置40に接続している。
【0025】
旋回操作レバー30を右旋回、または左旋回操作すると、図1、および図2に示す上部旋回体3は図示しない旋回油圧モータにより旋回駆動すると共に、パイロット回路32a、または32bの油圧が上昇し、第3圧力スイッチ35、または第4圧力スイッチ36が閉じて、右旋回、または左旋回操作信号が制御装置40に送られる。
【0026】
制御装置40は、ブーム長検出手段であるブーム長検出センサ41、およびブーム角検出手段であるブーム角検出センサ42に接続されており、ブーム長検出検出センサ41、およびブーム角検出センサ42の各検出信号を入力している。また制御装置40は、警報手段である運転室のモニタパネルの警告ブザー50、ディスプレイ52、および音声により危険であることを注意するスピーカ51に接続されている。
前記各検出信号より上部旋回体3の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算して、設定された許容旋回半径とを比較している。
【0027】
前記構成による安全装置の作用について図2、および図3により説明する。
(1)ブーム長センサ41は、図2に示すピン5の中心から第2ブーム42 の後端までの距離Laを測定し、その測定値を制御装置40に送信する。
(2)ブーム角センサ42は、図2に示すピン5と第2ブーム41 の後端とを結ぶ直線X−Xと水平線との成す角度αを測定し、その測定値を制御装置40に送信する。
(3)制御装置40は距離Laおよび角度αから、ピン5の中心から第2ブーム41 の後端までの水平距離LbをLb=La×cos α により演算して求める。つぎにLbに上部旋回体2の旋回中心からピン4までの距離Lcを加算し、上部旋回体3の旋回中心から第2ブーム41 の後端までの水平距離LdをLd=Lb+Lcにより求め、許容旋回半径である上部旋回体3の後部旋回半径Rと比較する。
(4)運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作し、第1圧力スイッチ14あるいは第2圧力スイッチ24からの信号が制御装置40に出力しているときに、Ld≧R になった場合、制御装置40は警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信して注意を喚起する。
これにより運転者は後方の安全を確認したのち作業を続行する。
【0028】
(5)運転者が操作レバー10,20を中立位置に戻すと、制御装置40は警報信号の発信を中止するため警報は止まる。
(6)第2ブーム42 の後端が上部旋回体2の後端旋回半径Rより突出した状態、すなわちLd≧Rの状態で運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム短縮側に操作するか、あるいはブーム起伏レバー20をブーム俯伏側に操作すると、第2ブーム42 の後端は後部旋回半径Rより更に突出する方向になるので、第1圧力スイッチ14または第2圧力スイッチ24から信号を受けた制御装置40は、警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信する。そのため警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52から警報を発して運転者の注意を喚起する。
(7)同様にLd≧R の状態で運転者が旋回操作レバー30を左、右いずれに旋回操作した場合でも、制御装置40は第3圧力スイッチ35または第4圧力スイッチ36からの信号を受けた制御装置40は、警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52に警報信号を発信する。そのため警告灯50、警報ブザー51、およびディスプレイ52から警報を発して運転者、および周囲に注意を喚起する。
【0029】
前記のように運転者が操作レバー10,20,30を危険が発生する恐れのある方向に操作したときにのみ、操作の度に警告ブザー50、スピーカ51、およびディスプレイ52が警報を発するので、運転者はその都度クレーンの周囲を確認して操作し、伸縮ブーム後端が周囲に衝突する危険の発生を確実に防止することができる。
【0030】
図4は本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2実施例の制御回路図である。警報器以外の部分は第1実施例と同一のため説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
制御装置40は図示しないブーム伸縮シリンダのパイロット油圧をアンロードする第1電磁弁60、ブーム起伏シリンダのパイロット油圧をアンロードする第2電磁弁61、上部旋回体3の旋回駆動油圧モータのパイロット油圧をアンロードする第3電磁弁62と、それぞれON−OFFスイッチ63,64,65を介して接続している。
スイッチ63,64,65は運転者が自由に操作可能になっている。
【0032】
つぎに作動について説明する。
(1)運転者は作業開始時にスイッチ63,64,65をONにしておく。
(2)運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作して、Ld≧Rになると制御装置40は第1電磁弁60にアンロード信号を発信し、ブーム伸縮操作弁13の収縮側のパイロット回路12aをアンロードしてブーム収縮作動を停止するか、あるいはブーム起伏操作弁23の俯伏側のパイロット回路22aをアンロードしてブーム俯伏作動を停止させる。
(3)運転者はブーム後方の安全を確認したのちスイッチ63、あるいは64を開いて第1電磁弁60、あるいは第2電磁弁61により、収縮側のパイロット回路12a、あるいは俯伏側のパイロット回路22aをオンロードさせて、ブーム収縮作動、あるいはブーム俯伏作動を行う。
(4)作動完了時には運転者は操作レバーを中立にするとともに、再びスイッチ63、あるいは64を閉じる。
【0033】
(5)Ld≧R の状態で運転者がブーム伸縮操作レバー10をブーム収縮側に操作するか、あるいはブーム起伏操作レバー20をブーム俯伏側に操作すると、ブーム後端部は更に後端旋回半径Rより突出することになるため、制御装置40は制御信号を発信してブーム収縮作動、あるいはブーム俯伏作動を停止させる。
(6)運転者は後方の安全を確認後、スイッチ63、あるいは64を開いて収縮側のパイロット回路12a、あるいは俯伏側のパイロット回路22aをオンロードさせて、ブーム伸縮作動、あるいはブーム起伏作動させ、作動完了後は再びスイッチ63あるいは64を閉じる。
(7)またLd≧R の状態で運転者が旋回操作レバー30を操作すると、制御装置40は第3電磁弁62に制御信号を発信して、旋回操作レバー30の左、右パイロット回路32a、または32bをアンロードして旋回作動を停止させる。
(8)運転者はブーム後方の安全を確認したのちスイッチ65を開いて旋回作動させ、旋回作動完了後にはスイッチ65を閉じる。
【0034】
前記のようにスイッチ63〜65を開くことにより、各パイロット回路12a,22a,32a,32bをオンロードさせて、ブーム収縮作動、ブーム俯伏作動、あるいは旋回作動させても、その後必ずスイッチ63〜65を閉じておけば運転者が操作レバーを危険が発生する可能性の有る方向に操作すれば、自動的に作動停止となるため安全性が確保される。
【0035】
なお、第1実施例の警報器50〜52と第2実施例の電磁弁60〜62とを併用してもよいことは言うまでもない。
また第1実施例、および第2実施例のように伸縮ブームの後端旋回半径を、ブーム長検出センサ41、およびブーム角検出センサ42からの信号により演算したが、ブーム角が略一定の作業においては図1に示す伸縮ブームの後端限界位置だけをリミットスイッチ7で検出することにより、伸縮ブームの後端旋回半径に代用させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクレーンの走行状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係るクレーンの作業状態を示す側面図で、伸縮ブーム後端の旋回半径を算出する説明図である。
【図3】本発明に係るクレーンの安全装置に関する第1実施例の制御回路図である。
【図4】本発明に係るクレーンの安全装置に関する第2実施例の制御回路図である。
【図5】従来のクレーンの側面図である。
【図6】図5の警報装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
1…下部走行体、3…上部旋回体、4…ブーム、41 …基段ブーム、42 …第2ブーム、5…ピン、6…ブーム起伏シリンダ、7…リミットスイッチ、10…ブーム伸縮操作レバー、11…第1圧力比例制御弁、12a,12b,22a,22b,32a,32b…パイロット回路、13…ブーム伸縮操作弁、14…第1圧力スイッチ、20…ブーム起伏操作レバー、21…第2圧力比例制御弁、23…ブーム起伏操作弁、24…第2圧力スイッチ、30…旋回操作レバー、31…第3圧力比例制御弁、34…旋回操作弁、35…第3圧力スイッチ、36…第4圧力スイッチ、40…制御装置、41…ブーム長検出センサ、42…ブーム角検出センサ、50…警告灯、51…スピーカ、52…ディスプレイ、60…第1電磁弁、61…第2電磁弁、62…第3電磁弁、63,64,65…スイッチ。
Claims (5)
- 下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に、起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、
前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とするクレーンの安全装置。 - 下部走行体上に旋回自在に搭載した上部旋回体に起伏自在に取着した基段ブームと、この基段ブームに対して伸縮し、収縮時に基段ブーム後端より後方に突出する伸縮ブームとを備えたクレーンであって、前記上部旋回体の旋回中心に対する伸縮ブーム後端部の旋回半径と許容旋回半径とを比較するクレーンの安全装置において、
前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作時、または前記伸縮ブーム後端部の旋回半径が許容旋回半径以上であって、前記上部旋回体の旋回操作時に、それらの操作による作動を停止する作動停止手段を備えたことを特徴とするクレーンの安全装置。 - 請求項1または請求項2記載のクレーンの安全装置において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、基段ブーム角検出手段と、これら検出手段からの信号を受信して、伸縮ブーム後端部の旋回半径を演算し、この旋回半径が設定された許容旋回半径より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とするクレーンの安全装置。
- 請求項1または請求項2記載のクレーンの安全装置において、前記伸縮ブーム後端部の旋回半径を伸縮ブーム後端部の突出量に、また許容旋回半径を許容突出量としたことを特徴とするクレーンの安全装置。
- 請求項1または請求項2記載のクレーンの安全装置において、前記基段ブーム後端に対する伸縮ブーム後端部の突出量検出手段と、この突出量検出手段からの突出量信号を受信して、この突出量が設定された許容突出量より大きく、かつ前記伸縮ブーム後端部の突出量を更に大きくする操作信号、または前記上部旋回体の旋回操作信号を入力した時に、前記警報手段、または作動停止手段に制御信号を発信する制御装置を備えたことを特徴とするクレーンの安全装置。
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