大型の移動式クレーンにおいては、伸縮ブームの先端部から大重量の荷を吊ったときの安定性を確保するために、伸縮ブームの反対側となる旋回台の後部にカウンタウエイトを脱着自在に装着できるようにしている。
この種のカウンタウエイト脱着装置として、例えば図13に示す第1公知例が知られている。尚、図13(第1公知例)のカウンタウエイト脱着装置は、特開2001−220088号公報(特許文献1)に示されるものである。
図13に示す第1公知例のカウンタウエイト脱着装置は、移動式クレーンの旋回台2の後部20にサブウインチユニット3を介してカウンタウエイト4を脱着自在に装着し得るようになっている。尚、サブウインチユニット3はウインチケース31にサブウインチ32を装備したもので、サブウインチ32が必要なときにサブウインチユニット3を旋回台後部20に装着して使用される。
図13のカウンタウエイト脱着装置では、サブウインチユニット3の脱着用とカウンタウエイト4の昇降用に使用される油圧シリンダ5をウインチケース31に取付けている。尚、この油圧シリンダ5は、ウインチケース31の左右各側に一対設けられている。又、この各油圧シリンダ5は、大重量のカウンタウエイト4を支持する必要からかなり大型のものが使用される関係で、かなりの重量を有している。
図13のカウンタウエイト脱着装置に使用されている油圧シリンダ5には、旋回台2側に設けた図示しない油圧供給源から作動油が供給されるが、油圧供給源と油圧シリンダ5とは接離可能な油圧ホース16,17で接続される。尚、油圧供給源としては、旋回台2に直接油圧発生装置(油圧ポンプや油圧タンク等)を設けて該旋回台2部分で油圧を発生させるものや、車輌側に設けた油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台2側に供給される作動油を使用するものがあるが、いずれの場合も旋回台2側の油圧供給源と上記油圧シリンダ5とが油圧ホース16,17で接続される。
又、油圧シリンダ5の下端部には、そのロッド52下端の係止部55でカウンタウエイト4を係脱自在に支持し得るようになっている。この係止部55は、油圧シリンダ5のロッド52を回転装置(シリンダ)56で水平回転させることで、カウンタウエイト4に対して図13(A),(B)に示す非係合状態(抜き出し可能状態)と図13(C)に示す係合状態(吊持可能状態)とに変位させ得るようになっている。
この第1公知例のカウンタウエイト脱着装置は、次のように操作される。
まず、図13(A)に示すように、車輌フレーム11上の所定位置(旋回台後部20付近)にカウンタウエイト4とサブウインチユニット3を配置する。このとき、油圧シリンダ5のロッド52下端の係止部55は、カウンタウエイト4の内部に設置した載せ台57上に当接している。そして、図13(A)の状態で、旋回台2側から油圧シリンダ5に対して油圧ホース16,17を接続する。
次に、図13(B)に示すように、油圧シリンダ5を伸長させてサブウインチユニット3を持ち上げ、旋回台2側の係合受部25Aにウインチケース31側の係合部(係合ピン)35Aを係合させた後、旋回台2側のボス部24(ピン穴)にウインチケース31側のボス部34(ピン穴)を重合させて両ボス部(ピン穴)に連結ピンを挿通させることによって、サブウインチユニット3を旋回台後部20に装着させる。
そして、図13(B)の状態から、回転装置56により係止部55を係止位置に回し、油圧シリンダ5を縮小させると、図13(C)に示すようにカウンタウエイト4を車輌フレーム11上面から離間させて装着位置まで持ち上げることができる。
又、サブウインチユニット3のみで(カウンタウエイト4は非装着で)クレーン作業を行うときには、図13(B)の状態から油圧シリンダ5を縮小させて係止部55をカウンタウエイト4から上方に脱出させると、旋回台後部20にサブウインチユニット3を装着した状態で旋回台2を旋回させることができる。
ところで、この第1公知例(図13)の移動式クレーンでは、旋回台後部20にサブウインチユニット3のみを装着(カウンタウエイト4は非装着)し、サブウインチ32を用いてクレーン作業を行う場合があるが、そのときにはクレーン作業に不必要な油圧シリンダ5がサブウインチユニット3に取付けられたままであるので、該油圧シリンダ5の重量が常時旋回台2に加わっている。従って、旋回台後部20にサブウインチユニット3のみを装着してクレーン作業を行う場合には、クレーン作業に不必要な油圧シリンダ5の重量まで負担しなければならず、余分な負担重量が増すことになる。
尚、他の公知例のカウンタウエイト脱着装置の中には、カウンタウエイト脱着用の油圧シリンダを直接(サブウインチユニットを介することなく)旋回台後部に取付けたものもあるが、この場合もカウンタウエイトを使用しないでクレーン作業を行うときに該油圧シリンダが余分な負担重量になる。
そこで、本件出願人は、図14(第2公知例)に示すようにサブウインチユニット3の脱着用とカウンタウエイト4の昇降用に使用される油圧シリンダ5をカウンタウエイト4側に取付けたものを提案している。尚、図14(第2公知例)のカウンタウエイト脱着装置は、特開2007−223787号公報(特許文献2)に示されるものである。
図14に示す第2公知例のカウンタウエイト脱着装置も、移動式クレーンの旋回台2の後部20にサブウインチユニット3を介してカウンタウエイト4を脱着自在に装着し得るようになっている。尚、この第2公知例のものも、サブウインチ32が必要なときにサブウインチユニット3を旋回台後部20に装着して使用される。
この図14のカウンタウエイト脱着装置では、サブウインチユニット3の脱着用とカウンタウエイト4の昇降用に使用される油圧シリンダ5をカウンタウエイト4側に取付けている。尚、この図14のカウンタウエイト脱着装置でも、油圧シリンダ5はかなりの重量を有し且つ左右一対を1組にして使用されている。
この図14のカウンタウエイト脱着装置では、カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5とウインチケース31とは、ロッド52上端をサブウインチユニット3のウインチケース31の側面部に対して抜き差し自在なピン37で連結することによって脱着自在に合体させることができる。
カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5には、旋回台2側に設けた図示しない油圧供給源から作動油が供給されるが、油圧供給源と油圧シリンダ5とは接離可能な油圧ホース16,17で接続される。尚、この油圧供給源は、上記第1公知例の場合と同様に、旋回台2に直接油圧発生装置(油圧ポンプや油圧タンク等)を設けて該旋回台2部分で油圧を発生させるものや、車輌側に設けた油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台2側に供給される作動油を使用するものがあるが、いずれの場合も旋回台2側の油圧供給源と上記油圧シリンダ5とが油圧ホース16,17で接続される。
この第2公知例のカウンタウエイト脱着装置は、次のように操作される。
まず、図14(A)に示すように、車輌フレーム11上の所定位置(旋回台後部20付近)にカウンタウエイト4とサブウインチユニット3を配置する。そして、図14(A)の状態で、旋回台2側から油圧シリンダ5に対して油圧ホース16,17を接続する。
次に、図14(B)に示すように、油圧シリンダ5を伸長させてサブウインチユニット3を持ち上げ、旋回台2側の係合部25とウインチケース31側の係合受部35とを係合させた後、旋回台2側のボス部24(ピン穴)とウインチケース31側のボス部34(ピン穴)とを重合させて両ボス部(ピン穴)に連結ピンを挿通させることによって、サブウインチユニット3を旋回台後部20に装着させる。
そして、図14(B)の状態から油圧シリンダ5を縮小させると、図14(C)に示すようにカウンタウエイト4を車輌フレーム11上面から離間させて装着位置まで持ち上げることができる。
又、サブウインチユニット3のみで(カウンタウエイト4は非装着で)クレーン作業を行うときには、図14(B)の状態からピン37を抜き外し、油圧シリンダ5を縮小させると、旋回台後部20にサブウインチユニット3のみを装着した状態で旋回台2を旋回させることができる。
この第2公知例(図14)の移動式クレーンでも、旋回台後部20にサブウインチユニット3のみを装着し(カウンタウエイト4は非装着)、サブウインチ32を用いてクレーン作業を行うことがあるが、その場合には、上記油圧シリンダ5がカウンタウエイト4側に取付けられているので、旋回台2側に油圧シリンダ5による余分な負担重量が加わらないという利点がある。
特開2001−220088号公報
特開2007−223787号公報
ところで、上記第2公知例(図14)のカウンタウエイト脱着装置では、油圧シリンダ5がカウンタウエイト4側に取付けられている関係で、該カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5に対して旋回台2側から油圧ホース16,17を接続させるが、該油圧ホース16,17が接続状態で且つカウンタウエイト4が車輌フレーム11上に載置されている状態で、誤って旋回台2を旋回させることが考えられる。即ち、運転室からは油圧ホース16,17の接続状態やカウンタウエイト4の位置(車輌フレーム11上に載置されているか該車輌フレーム11から浮上しているか)が見えず、上記の不正常な状態でオペレータの勘違いにより旋回台2を旋回操作する虞れがある。
そして、例えば、図14(A)の状態で油圧ホース16,17をカウンタウエイト4側の油圧シリンダ5に接続させた状態、あるいは図14(B)の状態から油圧シリンダ5とウインチケース31との連結を解除し(ピン37を抜き外し)且つ油圧シリンダ5を縮小させた状態等において、誤操作により旋回台2を旋回させると、カウンタウエイト4及び油圧シリンダ5が車輌フレーム11上に載置(不動)されているので、旋回台2側から油圧シリンダ5に接続している油圧ホース16,17が損傷(切断)するというトラブルが発生する。特に、図14(B)のように油圧シリンダ5とウインチケース31とが連結されている状態で旋回台2を旋回させると、油圧ホース16,17が損傷するとともに油圧シリンダ5も破損する虞れがある。
そこで、本願発明は、カウンタウエイト昇降用油圧シリンダがカウンタウエイト側に装備されたカウンタウエイト脱着装置において、上記のように油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌フレーム上に載置された状態にあるときに、その状態を自動で検出し得るようにすることにより、誤って旋回台を旋回操作するのを防止し得るようにしたカウンタウエイト脱着状態検出装置を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、移動式クレーンのカウンタウエイト脱着状態検出装置を対象にしている。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、車輌上に旋回台を搭載し、該旋回台に伸縮ブームを装備してなる移動式クレーンにおいて、旋回台後部にカウンタウエイトを脱着自在に装着するためのカウンタウエイト脱着装置を備えたものである。尚、この種の移動式クレーンでは、伸縮ブームや油圧式ウインチが旋回台に装備される関係で、それらのアクチュエータの作動源となる油圧供給源も旋回台側に必要である。尚、この油圧供給源は、旋回台に直接油圧発生装置(油圧ポンプや油圧タンク等)を設けて該旋回台部分で油圧を発生させるものや、車輌側に設けた油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台側に供給される作動油を使用するものがある。そして、車輌側の油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台側に作動油を供給するものでは、旋回台側の油圧供給源として単に作動油を導通させ得るものでもよい(例えば油圧供給口)。
この請求項1の発明では、カウンタウエイトを旋回台後部に脱着させるのに油圧シリンダを使用しているが、この油圧シリンダはカウンタウエイトに固定的に設けている。
カウンタウエイト昇降用の油圧シリンダには、旋回台側に設けた油圧供給源から油圧ホースを介して作動油が供給されるが、該油圧ホースは油圧シリンダに対して接離可能となっている。尚、この油圧ホースは、作動油の供給用と排出用の2本有している。
この請求項1の発明では、旋回台側の油圧供給源とカウンタウエイト側の油圧シリンダとを接離可能な油圧ホースで接続して、油圧供給源からの作動油で油圧シリンダを伸縮操作することによって、カウンタウエイトを車輌(車輌フレーム)上に載置した下位置と旋回台後部に装着し得る上位置との間で昇降させ得るようにしている。尚、カウンタウエイトは、直接旋回台後部に脱着させたり、あるいは後述の実施例のようにサブウインチユニットを介して旋回台後部に装着させたりすることができるが、いずれの場合もカウンタウエイト側の油圧シリンダの伸縮操作によってカウンタウエイトを昇降させることができる。又、該油圧ホースが接続状態でカウンタウエイトが昇降すると、該油圧ホースが上下傾動変位するようになる。
そして、この請求項1の発明では、カウンタウエイトの昇降に伴って上下傾動変位する油圧ホースの姿勢を検出するホース姿勢検出手段を備え、該油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された下位置にある状態での油圧ホースの姿勢をホース姿勢検出手段が検出しているときには、該ホース姿勢検出手段が検出信号を発信するように構成している。このホース姿勢検出手段は、油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された下位置にある状態での油圧ホース姿勢のときにON信号を発するもの(後述の第1実施例)でもOFF信号を発するもの(後述の第2実施例)でもよく、そのON信号又はOFF信号をホース姿勢検出手段からの検出信号とすることができる。尚、ホース姿勢検出手段からの検出信号は、運転室(操作室)に発信して、油圧ホースが接続状態でカウンタウエイトが車輌上に載置状態であることを運転室のオペレータに認知させ得るようにするとよい。
尚、以下の説明では、油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された下位置にある状態のことを、「旋回台を旋回させてはいけない状態」ということがある。
他方、上記油圧ホースが接続状態でカウンタウエイトが旋回台後部の装着位置(高さ)まで持ち上げられた状態(カウンタウエイトが車輌上面から離間する)では、該カウンタウエイトの上動に伴って油圧ホースが上記ホース姿勢検出手段から検出信号が発信されない姿勢まで上側に傾動する。又、油圧ホースを油圧シリンダに接続していないときには、該油圧ホースをホース姿勢検出手段が実質的な検出信号を発しない姿勢位置(例えば上向き姿勢位置)に格納しておく。従って、カウンタウエイトが上動しているとき、及び油圧ホースが接続されていないとき(上向き格納姿勢)には、ホース姿勢検出手段から実質的な検出信号は発信されない。尚、ここでいう実質的な検出信号とは、後述するように報知手段や旋回駆動規制手段等を実質的に機能させる信号のことであり、上記のようにカウンタウエイトが上動しているとき、及び油圧ホースが接続されていないとき(上向き格納姿勢)には、ホース姿勢検出手段が油圧ホースを位置を検出していても実質的な検出信号は発信されない。
この請求項1の発明で使用される移動式クレーンでは、クレーン作業にカウンタウエイトが不要の場合は、油圧シリンダ付きカウンタウエイトを車輌から降ろして車輌全体を軽量にすることができる。
そして、カウンタウエイトを使用する場合は、該カウンタウエイト(油圧シリンダ付き)を車輌フレーム上の所定位置(旋回台後部への装着位置)に載置して、次のように操作する。
まず、旋回台後部(カウンタウエイト装着部)をカウンタウエイト設置部の直上方の位置に旋回させた状態で、旋回台側の油圧供給源とカウンタウエイト側の油圧シリンダとを油圧ホースで接続する。尚、この状態は、カウンタウエイトが車輌上に載置され且つ油圧ホースが接続状態であるので、この状態で旋回台を旋回させると油圧ホースが損傷(切断)してしまう。
ところで、本願では、カウンタウエイトが車輌上(下位置)にある状態で油圧ホースが接続されると(油圧ホースが旋回台側からカウンタウエイト側に向けて下傾斜姿勢となっている)、このときの油圧ホースの姿勢をホース姿勢検出手段が検出して、その検出信号(実質的な検出信号)を発信するようになっている。従って、ホース姿勢検出手段から実質的な検出信号が発信されている状態では、「旋回台を旋回操作してはいけない状態」(油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された状態)であることをオペレータが認知でき、誤って旋回操作することを回避できる。
尚、カウンタウエイトが上動しているとき、及び油圧ホースが接続されていないとき(上向き格納姿勢)には、ホース姿勢検出手段から実質的な検出信号が発信されず、該ホース姿勢検出手段から検出信号が発信されていないことにより旋回台を旋回操作しても差し支えないことが認知できる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、ホース姿勢検出手段からの検出信号で、オペレータに報知するための報知手段を作動させるように構成している。
この報知手段による報知内容としては、運転室内のモニターに表示したり、警報灯を点灯したり、音声警報を発したり、等の適宜のものを採用できる。
この請求項2の場合は、ホース姿勢検出手段が検出信号を発したときに、油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された状態であること(「旋回台を旋回させてはいけない状態」であること)を報知手段によって確実にオペレータに認知させることができる。
尚、カウンタウエイトが上動しているとき、及び油圧ホースが接続されていないとき(上向き格納姿勢)には、ホース姿勢検出手段が実質的な検出信号を発しないので報知手段が作動せず、旋回台を旋回操作しても差し支えないことが認知できる。
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、ホース姿勢検出手段からの検出信号で、旋回台の旋回駆動を規制する旋回駆動規制手段を作動させるように構成している。
旋回駆動規制手段としては、旋回モータの制御弁への操作手段が採用できる。そして、上記ホース姿勢検出手段から実質的な検出信号が発信されている状態では、コントローラにより旋回モータ制御弁をOFFのままに維持させるように制御することによって、旋回操作を行っても旋回モータが作動しないようにできる。
尚、上記請求項2の報知手段付きのものに上記旋回駆動規制手段を採用したものでは、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときに、報知手段による報知機能と旋回駆動規制手段による旋回不能機能との二重のチェック機能が働く。
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項2又は3のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、旋回台の旋回をロックする旋回ロック手段と、該旋回ロック手段がロック状態にあるときにそれを検出する旋回ロック検出手段とを備え、該旋回ロック検出手段が旋回ロック状態を検出しているときには、該旋回ロック検出手段からの信号で報知手段及び/又は旋回駆動規制手段を作動不能に制御するように構成している。
上記旋回ロック手段としては、旋回台と車輌フレームとをピンで係脱自在にロックし得るようにしたものが採用できる。その場合、旋回ロック検出手段には、ピンが係合状態(ロック状態)にあることを検出する検出器(例えばリミットスイッチ)が採用される。
この請求項4のように、旋回ロック手段を設けたものでは、該旋回ロック手段がロック状態にあるときには旋回台を旋回操作しても(旋回モータを作動させても)該旋回台が旋回しない。従って、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」(油圧ホースが接続状態でカウンタウエイトが車輌上に載置されている状態)のときに、報知手段(請求項2)や旋回駆動規制手段(請求項3)を作動させなくても特に支障がない。即ち、旋回ロック手段がロック状態にあるときには、オペレータが誤操作により旋回台を旋回操作(旋回モータを作動)しても該旋回台が旋回不能(ロック状態)であるので、油圧ホースの切断等のトラブルは発生しない。
又、旋回ロック手段がロック状態にあるときには、旋回ロック検出手段からの信号で上記報知手段や旋回駆動規制手段を作動不能に制御するが、このようにすると報知手段や旋回駆動規制手段を無用に作動させなくて済む。尚、旋回ロック手段がロック状態でないときには、上記旋回ロック検出手段がOFFであるので、報知手段や旋回駆動規制手段は作動可能状態となっており、ホース姿勢検出手段から検出信号が発信されると該報知手段や旋回駆動規制手段が作動する。
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、上記油圧ホースの一端を旋回台側において回転継手を介して油圧供給源に接続している。尚、該油圧ホースは2本あるが、各油圧ホースの一端をそれぞれの回転継手に接続している。
又、上記ホース姿勢検出手段は、油圧ホースの上下傾動変位に伴って回転継手の回転により揺動する作動子(例えばプレート)と、該作動子の位置を検出するセンサー(例えば近接スイッチ)とで構成している。尚、作動子は、片方の回転継手に設けるだけでよい。そして、油圧ホースが接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置された下位置にある状態(「旋回台を旋回させてはいけない状態」)では、作動子がセンサーで検出される位置に揺動したり(この場合はセンサーからのON信号が検出信号となる)、あるいは該作動子がセンサーで検出されない位置に揺動したり(この場合はセンサーからのOFF信号が検出信号となる)するようにしている。
この請求項5のものでは、カウンタウエイトの昇降に伴って油圧ホースが上下傾動変位したときに、油圧ホースの一端を接続している回転継手が回転するので該油圧ホースの一端側がスムーズに傾動する。従って、回転継手に取付けている作動子が油圧ホースの上下傾動変位量に応じた角度だけ確実に揺動し、センサーによるホース姿勢検出精度を良好にし得る。
[本願請求項1の発明の効果]
この請求項1のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、カウンタウエイト側の油圧シリンダと旋回台側の油圧供給源とを接続する油圧ホースの上下傾動姿勢を検出するホース姿勢検出手段を備え、該ホース姿勢検出手段が油圧ホース接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置されている状態での油圧ホース姿勢を検出しているときに、該ホース姿勢検出手段が検出信号(実質的な検出信号)を発信するようにしている。
従って、請求項1のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、上記ホース姿勢検出手段からの検出信号が発信されていることをオペレータが確認することで、「旋回台を旋回させてはいけない状態」(油圧ホース接続状態で且つカウンタウエイトが車輌上に載置されている状態)であることを認知でき、従来わかりにくかった油圧ホース及びカウンタウエイトの各状態(旋回台を旋回させてもよいかどうか)を容易に確認できるという効果がある。
又、このように、油圧ホース及びカウンタウエイトの各状態をオペレータが容易に確認できると、「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときにオペレータが誤って旋回台を旋回操作するのを防止できる(油圧ホースが損傷しない)、という効果がある。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明では、上記請求項1のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、ホース姿勢検出手段からの検出信号でオペレータに報知するための報知手段を作動させるようにしているので、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときに、その状態をオペレータに対して積極的に報知することができる。
従って、この請求項2のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、上記した「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときに、それをオペレータに確実に知らしめることができるので、上記請求項1の効果に加えて、より一層の誤操作防止効果を達成できるという効果がある。
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明では、上記請求項1又は2のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、ホース姿勢検出手段からの検出信号で旋回台の旋回駆動を規制する旋回駆動規制手段を作動させるようにしている。
従って、この請求項3のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、上記請求項1又は2の効果に加えて、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」(ホース姿勢検出手段が検出信号を発信している)のときには、旋回駆動規制手段が自動的に作動して、誤って旋回操作を行っても旋回台が旋回することがなく、誤操作による作動を確実に防止できるという効果がある。
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明では、上記請求項2又は3のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、旋回台の旋回をロックする旋回ロック手段がロック状態のときには、それを旋回ロック検出手段が検出して、該旋回ロック検出手段からの信号で報知手段及び/又は旋回駆動規制手段を作動不能に制御する。尚、旋回ロック手段がロック状態にあるときには、旋回モータを作動させても旋回台が旋回することがない。
従って、この請求項4のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、上記請求項2又は3の効果に加えて、旋回ロック手段がロック状態にあるときには、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」(油圧ホースが接続状態でカウンタウエイトが車輌上に載置されている状態)のときに、報知手段(請求項2)や旋回駆動規制手段(請求項3)を作動させないようにすることにより、該報知手段や旋回駆動規制手段が無駄に作動するのを防止できるという効果がある。
尚、旋回ロック手段がロック状態でないとき(ロック解除状態)には、報知手段や旋回駆動規制手段は作動可能状態となっているので、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときに旋回ロック手段がロック解除状態であると、該報知手段や旋回駆動規制手段が作動して、誤操作を防止したり誤作動を防止できるようになっている。
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明では、上記請求項1から4のいずれか1項のカウンタウエイト脱着状態検出装置において、油圧ホースの一端を旋回台側において回転継手を介して油圧供給源に接続し、ホース姿勢検出手段として油圧ホースの上下傾動変位に伴って回転継手の回転により揺動する作動子と該作動子に位置を検出するセンサーとで構成し、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときの作動子の位置をセンサーで検出(又は非検出)するようにしている。そして、油圧ホースが上下に傾動すると、その上下傾動変位量だけ回転継手がスムーズに回転し、回転継手に取付けている作動子が油圧ホースの上下傾動変位量に応じた角度だけ正確に揺動するようになる。
従って、この請求項5のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、油圧ホースの上下傾動変位量が回転継手を介して作動子に正確に伝達されるので、上記請求項1〜4の効果に加えて、油圧ホースの上下傾動変位量に対応して揺動した作動子をセンサーで検出(又は非検出)することにより、ホース姿勢検出精度が良好になって検出誤差による誤作動が起こらないという効果がある。
以下、図1〜図12を参照して本願実施例の移動式クレーンのカウンタウエイト脱着状態検出装置を説明すると、図1〜図10には第1実施例が示され、図11及び図12には第2実施例(第1実施例のホース姿勢検出手段の変形例)が示されている。
まず、図1〜図10に示す第1実施例について説明すると、図1にはカウンタウエイト脱着装置を備えた移動式クレーンが示されているが、この移動式クレーンは、車輌1のフレーム11上に旋回台2を搭載し、該旋回台2に伸縮ブーム12を起伏自在に装備している。
旋回台2は、車輌フレーム11上において旋回ベアリング21により旋回自在に搭載されており、旋回モータ22によって旋回せしめられる。又、旋回台2の後部寄り位置には、クレーン作業時の荷揚げに使用されるメインウインチ23が取付けられている。
この種の移動式クレーンでは、伸縮ブーム12の起伏シリンダや伸縮シリンダ、旋回モータ22、メインウインチ23等には油圧アクチュエータが使用されているが、これらの油圧アクチュエータには旋回台2に搭載した油圧供給源(油圧タンク、油圧ポンプ等)13から作動油が供給される。
又、図1の移動式クレーンでは、旋回台2の後部20(伸縮ブーム12の延出方向の反対側)にサブウインチユニット3を着脱自在に装着し得るようになっている。このサブウインチユニット3は、ウインチケース31にサブウインチ32を取付けたもので、クレーン作業にサブウインチ32が必要にときに該サブウインチユニット3を旋回台後部20に装着することができる。
ところで、大型の移動式クレーンでは、伸縮ブーム12の先端から吊荷を吊下げたときの安定性を確保するために、旋回台後部20にカウンタウエイト4を脱着自在に装着し得るようになっている。尚、旋回台後部20へのカウンタウエイト4の脱着作業は、図1に示すように旋回台後部20を車輌1の前方に向けた状態で行う。
この実施例では、カウンタウエイト脱着装置として、図2〜図5に示す構成のものを採用している。尚、図2は図1の部分拡大図であり、図3は図2の平面図であり、図4及び図5はそれぞれ図2からの状態変化図である。
この実施例のカウンタウエイト脱着装置は、図2〜図5に示すようにカウンタウエイト4をサブウインチユニット3とともに旋回台後部20に脱着させ得るようにしている。
尚、カウンタウエイト4としては、クレーン作業時のバランスを考慮して、例えば図3に鎖線図示するように本体部分(符号4部分)の左右に側部ウエイト4A,4Aを追加したり、さらに該各側部ウエイト4A,4A上に所定個数の上部ウエイト4B,4Bを載せたりすることができる。
この実施例のカウンタウエイト脱着装置では、サブウインチユニット3の脱着用とカウンタウエイト4の昇降用に油圧シリンダ5が使用されるが、この油圧シリンダ5はカウンタウエイト4側に取付けている。この油圧シリンダ5は、図3に示すように左右一対を1組にして使用されている。この各油圧シリンダ5,5は、大重量のカウンタウエイト4を支持する必要からかなり大型(大重量)のものが使用されている。尚、各側の油圧シリンダ5,5は基本的に同構成であるので、以下の説明では一方の油圧シリンダ5についてのみ説明することが多々ある。
カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5は、そのチューブ51をカウンタウエイト4に固定し、ロッド52をカウンタウエイト4の上面から上方に突出させた状態で設置している。そして、油圧シリンダ5とウインチケース31とは、油圧シリンダ5のロッド52上端をサブウインチユニット3のウインチケース31の側面部に設けた連結部36に対して抜き差し自在なピン37で連結することによって脱着自在に合体させている。
カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5及びサブウインチ32のウインチモータ33には、それぞれ旋回台2側に設けた油圧供給源13から作動油が供給されるが、油圧供給源13と油圧シリンダ5とは接離可能な油圧ホース16,17で接続され、油圧供給源13とウインチモータ33とは同じく接離可能な油圧ホース38,38(図4、図5参照)で接続される。
尚、旋回台2側の油圧供給源13としては、この実施例では旋回台2に油圧発生装置(油圧ポンプや油圧タンク等)を搭載して、該旋回台2部分の油圧発生装置で油圧を発生させるようにしているが、他の実施例では車輌1側に設けた油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台2側に供給される作動油を使用することもできる。そして、車輌1側の油圧発生装置からロータリージョイントを介して旋回台2側に作動油を供給するものでは、旋回台2側の油圧供給源13として単に作動油を導通させ得るものでもよい(例えば油圧供給口)。
カウンタウエイト4側の油圧シリンダ5からは、カウンタウエイト4内を通して該カウンタウエイト外面まで油圧配管53,54が導出されており、該カウンタウエイト外面の下端部寄り位置に該油圧配管53,54の接続口を設けている。尚、左右の各油圧シリンダ5,5の油圧配管53,54は、図3に示すようにそれぞれカウンタウエイト4の外面まで導出させた後、両側の各油圧配管53,54同士を合流させて1つずつの接続口に集約させている。尚、この集約接続口は、図3に示すように、カウンタウエイト4の前面部の一方の端部寄りに位置させている。
他方、旋回台2側には、油圧供給源13に接続された油圧ホース16,17が設けられている。この旋回台2側の各油圧ホース16,17は、その自由側端をカウンタウエイト4側の油圧シリンダ5の各油圧配管53,54の接続口に対して接離自在に接続し得るようになっている。尚、この旋回台2側の各油圧ホース16,17は、非接続時には図2に示すように上向き姿勢で旋回台2側の側面に格納される。
又、この実施例では、油圧シリンダ5のロッド52とカウンタウエイト4の上面部(ブラケット)との間に、油圧シリンダ5を最縮小させた状態でサブウインチユニット3とカウンタウエイト4とが離間するのを防止する(実質的には図5においてカウンタウエイト4が下動するのを防止する)ためのピン41が抜き差し自在に挿通される。尚、このピン41は、油圧シリンダ5の伸縮操作時には抜き外しておく。
旋回台2の後端面(旋回台後部20の後端面)には、ウインチケース31を連結するためのボス部24と係合部25(それぞれ左右一対ある)がそれぞれ設けられている。他方、ウインチケース31の前端面には、旋回台2側のボス部24に重合するボス部34(左右一対ある)と該旋回台2側の係合部25を係止する係合受部35(左右一対ある)がそれぞれ設けられている。
旋回台2側の各ボス部24とウインチケース31側の各ボス部34には、各側の両ボス部24,34(左右2箇所)をそれぞれ重合させた状態でその各側のピン穴にそれぞれピン30が挿通されるが、この各ピン30は、図3に示すようにウインチケース31の前面部に設けた自動ピン装置で同時に抜き差し操作される。
又、旋回台2側の各係合部25は下向きの爪状に形成されている一方、ウインチケース31側の各係合受部35は、上記係合部(下向き爪部)25を嵌入させる穴付きのものが使用されている。そして、この係合部25と係合受部35とは、ウインチケース31を図2の下位置から図4に示すように上動させることによってウインチケース31側の係合受部35が旋回台2側の係合部25に係合するようになっている。
この実施例のカウンタウエイト脱着装置は、次のように操作される。
まず、図2に示すように、車輌フレーム11上の所定位置(旋回台後部20付近)にカウンタウエイト4とサブウインチユニット3を配置する。尚、このとき油圧シリンダ5のロッド52とカウンタウエイト4の上面部(ブラケット)とを連結しているピン41は抜き外しておく。
そして、図2の状態で、旋回台2側の各油圧ホース16,17の自由端をカウンタウエイト4側の油圧配管53,54の集約接続口に接続させる(図4の状態)。
次に、図4に示すように、油圧シリンダ5を伸長させてサブウインチユニット3を持ち上げ、旋回台2側の係合部25とウインチケース31側の係合受部35とを係合させた後、旋回台2側のボス部24(ピン穴)とウインチケース31側のボス部34(ピン穴)とを重合させて両ボス部(ピン穴)にピン30を挿通させることによって、サブウインチユニット3を旋回台後部20に装着させる。
そして、図4の状態から油圧シリンダ5を縮小させると、図5に示すようにカウンタウエイト4を車輌フレーム11上面から離間させて装着位置まで持ち上げることができる。このとき、油圧シリンダ5のロッド52とカウンタウエイト4の上面部のブラケットにピン41を挿通させると、該ピン41部分でカウンタウエイト4の重量を支持できる(油圧シリンダ5によるカウンタウエイト支持力を軽減又は不要にできる)。この図5の状態では、カウンタウエイト4が車輌フレーム11上から浮上しているので、旋回台2を支障なく旋回させることができる。
又、サブウインチユニット3のみで(カウンタウエイト4は非装着で)クレーン作業を行うときには、図4に示すようにウインチケース31を旋回台後部20に連結した状態でピン37を抜き外し、油圧シリンダ5を縮小させると、旋回台後部20にサブウインチユニット3のみを装着した状態で旋回台2を旋回させることができる。尚、この場合には、油圧シリンダ5がカウンタウエイト4とともに旋回台2側から外されるので、旋回台2側に油圧シリンダ5による余分な負担重量が加わらない。
ところで、カウンタウエイト4の位置(車輌フレーム11上面に対して接触しているか離間しているか)や油圧ホース16,17の状態(接続状態か分離状態か)は、オペレータが操作室19(図1)から見ることができず、図2又は図4に示すようにカウンタウエイト4が車輌フレーム11上に載置され且つ各油圧ホース16,17がカウンタウエイト4側の接続口に接続されている状態で、オペレータが誤って旋回台2を旋回操作する虞れがある。尚、以下の説明でも、油圧ホース16,17が接続状態でカウンタウエイト4が車輌フレーム11上に載置されている状態を「旋回台を旋回させてはいけない状態」ということがある。
そして、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」で、誤って旋回台2を旋回操作する(旋回モータ22を作動させる)と、カウンタウエイト4が車輌フレーム11上から動かないので接続状態にある油圧ホース16,17が損傷(切断)するというトラブルが発生する。又、図4のように、カウンタウエイト4が車輌フレーム11上に載置されサブウインチユニット3が旋回台後部20に連結されている状態で、旋回台2を旋回操作した場合には、油圧シリンダ5も損傷する虞れがある。
そこで、本願の移動式クレーンには、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」を自動で検出できるようにしたカウンタウエイト脱着状態検出装置を備えている。以下、第1実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置について、図6〜図10を併用して説明する。
この第1実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置の概要は、旋回台2側の各油圧ホース16,17をカウンタウエイト4側の油圧シリンダ5(カウンタウエイト外面の接続口)に接続した状態でカウンタウエイト4が昇降したときに、該各油圧ホース16,17が上下傾動変位するのを利用して、該各油圧ホース16,17の上下傾動姿勢をホース姿勢検出手段6で検出し、該ホース姿勢検出手段6が上記「旋回台を旋回させてはいけない状態」を検出しているときに、該ホース姿勢検出手段6が検出信号を発信するようにしたものである。
図6及び図7に示すように、旋回台2側の各油圧ホース16,17の一端側(基端側)16a,17aは、油圧供給源13(例えば図2、図7)に対してそれぞれ回転継手14,15を介して接続されている。各回転継手14,15は、図6及び図7に示すように旋回台2側に固定された取付台18に対して水平向き姿勢で取付けられている。そして、各油圧ホース16,17がカウンタウエイト4側に接続された状態でカウンタウエイト4が昇降すると、該各油圧ホース16,17が各回転継手14,15を中心にしてスムーズに上下傾動変位するようになっている。即ち、油圧ホース格納状態では、図2に示すように該各油圧ホース16,17が上向き姿勢となり、油圧ホース接続姿勢でカウンタウエイト4が車輌フレーム11上に載置されている状態では、図4に示すように各油圧ホース16,17が下傾斜姿勢となり、油圧ホース接続姿勢でカウンタウエイト4が使用位置まで持ち上げられた状態では、図5に示すように各油圧ホース16,17が略水平姿勢となる。
上記ホース姿勢検出手段6は、図6及び図7に示すように上記各油圧ホース16,17のうちの下側油圧ホース17の上下傾動変位を検出するようにしている。そして、このホース姿勢検出手段6は、下側の回転継手15に取付けた作動子61と、該作動子61の位置を検出するセンサー62とで構成している。尚、この実施例では、作動子61として扇形のプレートが採用されており、センサー62には近接スイッチが採用されている。
作動子(プレート)61は、支持台61aを介して回転継手15の回転部分に取付けられており、油圧ホース17が上下傾動変位する(回転継手15が回転する)ことによって該作動子61が鉛直面内で揺動するようになっている。
センサー(近接スイッチ)62は、上記取付台18から垂下させた支持台62aに取付けている。このセンサー62は、上記作動子61を検出しない状態ではOFFであるが、該作動子61が図4(及び図8の実線図示)に示す下向き姿勢となったときに該作動子61を検出してONになる。
そして、上記油圧ホース(下側の油圧ホース)17が図2に示す格納位置にあるときには、作動子61が図6に拡大図示するように上傾斜姿勢となり(センサー62はOFF)、油圧ホース17が図4に示す下傾斜位置にあるときには、作動子61が図8に拡大図示するように下向き姿勢となり(センサー62がON)、油圧ホース17が図5(及び図8の鎖線図示)に示す略横向き位置にあるときには、作動子61も略横向き姿勢となる(センサー62は0FF)。
この第1実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置では、センサー62が作動子61を検出してONになると、その検出信号(ON信号)を後述のコントローラ9(図10)に向けて発信するようになっている。即ち、この第1実施例では、センサー62が作動子61を検出しているとき(ON状態のとき)に、上記「旋回台を旋回させてはいけない状態」であることを示す実質的な検出信号を発信する。
図10には、この第1実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置の制御ブロック図を示しているが、ホース姿勢検出手段6のセンサー(近接スイッチ)62がONになると、図10に示すようにセンサー62からの検出信号がコントローラ9に入力される。そして、該センサー62からの検出信号(ON信号)がコントローラ9に入力されると、該コントローラ9からの信号で報知手段10及び旋回駆動規制手段7をそれぞれ作動させるようになっている。
上記報知手段10としては、警報器(例えば警報音、警報灯)や表示器(例えば操作室19内のディスプレイ)等が採用できる。そして、上記センサー62からの検出信号がコントローラ9に入力されると、該コントローラ9からの信号で報知手段10を作動させてオペレータに認知させ得るようにしている。
上記旋回駆動規制手段7には、例えば旋回モータ22の制御弁(電磁弁)への操作手段を採用できる。そして、上記センサー62からの検出信号がコントローラ9に入力されると、該コントローラ9からの信号で旋回駆動規制手段7(旋回モータ制御弁)を作動不能にすることにより、もし誤って旋回台2を旋回操作しても旋回モータ22が作動しないようにしている。
尚、この実施例では、上記報知手段10と旋回駆動規制手段7の両方を備えているが、他の実施例では報知手段10と旋回駆動規制手段7のいずれか一方だけを採用したものでもよい。
この実施例の移動式クレーンには、旋回台2の旋回部分に旋回台2の旋回をロックするための旋回ロック手段8が装備されている(図1参照)。尚、この旋回ロック手段8は、旋回台2の旋回中心を挟んで対向する2箇所に設けられている。
この旋回ロック手段8は、図9に拡大図示するように、旋回台2側に油圧シリンダ81により横向きリンク82と縦向きリンク83を介して上下動するピン84を設ける一方、車輌フレーム11側に穴86付きのサポート85を設けて構成されている。そして、この旋回ロック手段8は、旋回台後部20にカウンタウエイト4を装着し得る位置に旋回台2を停止させた状態でシリンダ81を縮小させると、ピン84が鎖線図示(符号84′)するように車輌フレーム11側のサポート85の穴86に嵌入して、旋回台2を旋回不能にロックし得るようになっている。
又、車輌フレーム11側には、図9に示すように旋回ロック手段8のロック状態を検出するための旋回ロック検出手段87(この実施例ではリミットスイッチ)を設けている。この旋回ロック検出手段87は、ピン84が符号84′で示すロック位置にあるときにそのロック状態を検出して、その検出信号をコントローラ9(図10)に向けて発信するようになっている。
そして、図10に示すように、旋回ロック検出手段87からの検出信号がコントローラ9に発信されると、該コントローラ9からの信号で報知手段10及び旋回駆動規制手段7をそれぞれ作動不能に制御するようになっている。
第1実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置は、次のような機能を有している。
まず、図2(及び図6)に示すように、油圧供給源13に接続されている旋回台2側の油圧ホース16,17が旋回台2側に格納されている状態では、該油圧ホース16,17が上向き姿勢となって作動子61がセンサー62で検出されない位置にある。従って、この状態では報知手段10及び旋回駆動規制手段7は作動されない。尚、この状態では、旋回台2を旋回動作させることができる。
又、図4に示すように、油圧ホース16,17をカウンタウエイト4側の油圧シリンダ5に接続し且つカウンタウエイト4が車輌フレーム11に載置された状態では、図8に実線図示するように各油圧ホース16,17が下傾斜姿勢となって作動子61がセンサー62で検出される位置に揺動している。この状態が第1実施例では上記「旋回台を旋回させてはいけない状態」となる。尚、図2の状態で、油圧ホース16,17を油圧シリンダ5に接続したときも「旋回台を旋回させてはいけない状態」となる。
作動子61がセンサー62で検出されると、該センサー62から実質的な検出信号(ON信号)がコントローラ9(図10)に向けて発信され、該コントローラ9により報知手段10及び旋回駆動規制手段7をそれぞれ作動させる。すると、報知手段10によりオペレータに対して「旋回台を旋回させてはいけない状態」であることを認知させる一方、もしオペレータが報知手段10による報知に気づかないで誤って旋回台2を旋回操作しても、旋回駆動規制手段7が作動しているので、誤作動(不用意な旋回台2の旋回動作)が起こらない。従って、「旋回台を旋回させてはいけない状態」で誤って旋回操作しても旋回台2が旋回しないので、油圧ホース16,17が損傷するというトラブルを未然に防止できる。
又、図5に示すように、各油圧ホース16,17がカウンタウエイト4側の油圧シリンダ5に接続され且つ油圧シリンダ5によりカウンタウエイト4が装着位置まで持ち上げられた状態では、図8に鎖線図示するように各油圧ホースが符号16′,17′で示す略横向き姿勢となって、作動子61が符号61′のようにセンサー62で検出されない位置に揺動している。従って、この状態では報知手段10及び旋回駆動規制手段7は作動されない。尚、この状態では、カウンタウエイト4を旋回台後部20に装着した状態で旋回台2を旋回動作させることができる。
又、図9に鎖線図示するように、旋回ロック手段8がロック状態(ピンが符号84′の位置)にあるときには、そのロック状態を旋回ロック検出手段(リミットスイッチ又は近接スイッチ)87が検出して、その検出信号をコントローラ9(図10)に発信し、該コントローラ9からの信号で報知手段10及び旋回駆動規制手段7をそれぞれ作動不能に制御するようになっている。
このように、旋回ロック手段8を設けたものでは、該旋回ロック手段8がロック状態にあるときには旋回台2を旋回操作しても(旋回モータ22を作動させても)該旋回台2が旋回しない。従って、上記のように「旋回台を旋回させてはいけない状態」のときに、報知手段10や旋回駆動規制手段7を作動させなくても特に支障がない。即ち、旋回ロック手段8がロック状態にあるときには、オペレータが誤操作により旋回台2を旋回操作(旋回モータ22を作動)しても該旋回台2が旋回不能(ロック状態)であるので、油圧ホース16,17の切断等のトラブルは発生しない。
又、旋回ロック手段8がロック状態にあるときには、旋回ロック検出手段87からの信号で報知手段10や旋回駆動規制手段7を作動不能に制御するが、このようにすると報知手段10や旋回駆動規制手段7を無用に作動させなくて済む。尚、旋回ロック手段8がロック状態でないときには、旋回ロック検出手段87がOFFであるので、報知手段10や旋回駆動規制手段7は作動可能状態となっており、上記のようにホース姿勢検出手段6(センサー62)から検出信号が発信されると該報知手段10や旋回駆動規制手段7が作動して安全性が確保できる。
尚、上記実施例では、旋回台後部20に対してサブウインチユニット3を介してカウンタウエイト4を脱着させるようにしているが、他の実施例では、該カウンタウエイト4を直接(サブウインチユニット3を介することなく)旋回台後部20に脱着させるようにしてもよい。その場合は、油圧シリンダ5のロッド上端部を旋回台後部20に対して直接脱着させるようにする。
図11及び図12には、本願第2実施例のカウンタウエイト脱着状態検出装置が示されている。この第2実施例では、ホース姿勢検出手段6として、上記第1実施例と同様に油圧ホース17の上下傾動変位によって回転継手15を介して揺動する作動子(プレート)61と、該作動子61の位置を検出するセンサー(近接スイッチ)62とで構成しているが、該センサー62は、図12に実線図示するように作動子61がセンサー62で検出されない位置にあるときにコントローラ9(図10)に向けて実質的な検出信号を発信するようになっている。
即ち、この第2実施例の場合は、図11及び図12に示すようにセンサー取付用の支持台62aを取付台18から横向き姿勢で延出させて、該支持台62aにセンサー62を取付けている。他方、作動子61の揺動範囲は、上記第1実施例の場合と同じである。そして、油圧ホース16,17が上向きの格納姿勢(図2の状態)にあるときは図11に示すように作動子61がセンサー62の前方位置にあって該センサー62をONにし、該油圧ホース16,17が図12に鎖線図示(符号16′,17′)する略横向き姿勢(図5の状態)にあるときにも作動子61がセンサー62の前方位置にあって該センサー62をONにする一方、該油圧ホース16,17が図12に実線図示する下傾斜姿勢(図4の状態)にあるときには作動子61がセンサー62で検出されない下方位置にあって該センサー62をOFFにする。
そして、この第2実施例の場合は、センサー62がON状態(図11の状態及び図12の鎖線図示状態)ではコントローラ9(図10)から実質的な検出信号(報知手段10や旋回駆動規制手段7への作動信号)が発信されず、該センサー62がOFF状態(図12の実線図示状態)になったときに該コントローラ9から検出信号(報知手段10や旋回駆動規制手段7への作動信号)が発信されるようになっている。
このように、上記第1実施例のホース姿勢検出手段6と第2実施例のホース姿勢検出手段6とでは、センサー62がONのときに検出信号を発信するかOFFのときに検出信号を発信するかの違いがあるが、実質的に同じ機能をするものである。
1は車輌、2は旋回台、3はサブウインチユニット、4はカウンタウエイト、5はカウンタウエイト昇降用の油圧シリンダ、6はホース姿勢検出手段、7は旋回駆動規制手段、8は旋回ロック手段、9はコントローラ、10は報知手段、11は車輌フレーム、12は伸縮ブーム、13は油圧供給源、14,15は回転継手、16,17は油圧ホース、20は旋回台後部、31はウインチケース、32はサブウインチ、61は作動子(プレート)、62はセンサー(近接スイッチ)、81はシリンダ、84はピン、87は旋回ロック検出手段(リミットスイッチ)である。