以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す軌陸両用車両搭載型クレーン1の左側面図である。以下の説明では、軌陸両用車両搭載型クレーン1を単に軌陸車1と称する。
この軌陸車1は、鉄道の保守や点検等作業を行うときに使用されるものである。この軌陸車1には、本発明の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101(図2参照)が設けられている。
最初に軌陸車1の全体的な構成を簡単に説明する。この軌陸車1は、走行機能を有する車体10と、車体10の前側左右に設けられたアウトリガ20と、車体10の上側に設けられた作業装置30と、車体10の底部に設けられた転車台40と、車体の前後左右に設けられた鉄輪50とを備えている。
作業装置30は、資材の運搬や障害物の除去に使用される。この作業装置30は、車体10の前方側に設けられたキャビン11と後方側に設けられた荷台12との間に立設された支持部13に設けられている。
具体的に説明すると、この作業装置30は、支持部13に水平旋回可能に取り付けられた旋回台31と、旋回台31に立設された旋回ポスト32と、旋回ポスト32に起伏自在に取り付けられたブーム33とを備えている。
旋回台31は、車体10上に設けられた旋回駆動装置(図示せず)によってブーム33と一体に旋回駆動される。
ブーム33は、基端ブーム33aと中間ブーム33b〜33cと先端ブーム33dとによって入れ子式に構成されており、伸縮シリンダ(図示せず)によって伸縮駆動される。
基端ブーム33aは、その付け根において旋回ポスト32に水平に設置された支持軸(図示せず)に回動自在に取り付けられており、上下に起伏できるようになっている。旋回ポスト32と基端ブーム33aの基端部との間には起伏シリンダ34が架け渡されており、この起伏シリンダ34が伸縮することでブーム33全体が起伏駆動される。
先端ブーム33aの先端には回転自在のシーブ(図示せず)が取付けられており、このシーブにはワイヤ(図示せず)が掛けられている。ワイヤの先端にはフックブロック35を介してフック36が取付けられている。ワイヤの末端はウインチドラム(図示せず)に巻き掛けられている。
このウインチドラムは、車体10に設けられたウインチモータ(図示せず)により回転駆動する。このウインチモータが巻き上げ方向又は巻き下げ方向に回転することによりウインチが巻き上げ方向又は巻き下げ方向に回転駆動してワイヤが巻き上げ又は巻き下げられ、これによりフック36が引き上げ又は下げられる。
旋回駆動装置、伸縮シリンダ、起伏シリンダ34、ウインチモータは、車体10に設けられた油圧ポンプ(図示せず)により駆動される。この油圧ポンプは、車体10に設けられたPTO100がエンジンから動力を取り出して油圧ポンプに動力を供給することで駆動される。
アウトリガ20は、軌陸車1の転倒を防止するものである。このアウトリガ20は、車体10の側方に張出可能に設けられており、上記の油圧ポンプにより張出・接地が行われる。
また、車体10の前後左右側には車輪60が設けられている。この車輪60は、軌陸車1が道路走行する際に用いられるものであり、エンジンにより駆動される。
鉄輪50は、軌陸車1が軌道走行する際に用いられるものであり、車体10の前後左右側で車輪60の車両後方側に張出可能に設けられている。この鉄輪50は、格納姿勢では車輪60より上に位置することで車輪60による道路走行を可能とし、張出姿勢では車輪60より下に位置することで軌道走行を可能としている。
鉄輪50の張出及び格納、鉄輪50の走行は、軌道走行装置70(図2参照)により行われる。この軌道走行装置70は、各鉄輪50を油圧による伸縮動により張出又は格納するための鉄輪張出格納駆動部71を備えている。
さらに、この軌道走行装置70は、図示しないが、各鉄輪50を油圧で回転駆動させるための回転駆動部と、回転駆動部を駆動する油圧モータと、油圧モータ及び鉄輪張出格納駆動部71を駆動する上記の油圧ポンプとを備えている。
転車台40は、上端が車体10の底部に固定されて伸縮可能に形成された支持脚41と、支持脚41の下端に取り付けられた上板42と、上板42に水平回転自在に取り付けられた下板43と、支持脚41を伸縮させるシリンダ(図示せず)とを備えている。
この転車台40は、上記の油圧ポンプによりシリンダが伸縮動することで支持脚41が伸縮して下方へ張出又は格納される。また、転車台40は、下方へ張り出されたときには車体10を持ち上げて、この状態で下板43を基準にして水平に回転されるように構成されている。
また、支持部13には、操作部(図示せず)が設けられている。この操作部は、載線作業、離線作業、吊り上げ作業に関する操作を行うために使用される。
具体的には、この操作部は、旋回駆動装置の操作を行う旋回レバー、伸縮シリンダの操作を行う伸縮操作レバー、起伏シリンダ34の操作を行う起伏操作レバー、ウインチモータの操作を行うウインチ操作レバー、アウトリガ20の張出・格納操作を行うアウトリガ操作スイッチを備えている。さらに、この操作部は、転車台40の張出・格納操作を行う転車台操作レバー、鉄輪50の張出・格納操作を行う鉄輪操作レバーを備えている。
以上のように構成されている軌陸車1について、道路から軌道への載線方法を説明する。最初に、軌陸車1を軌道と直交するように配置する。次に、転車台操作レバーの張出操作により転車台40を地面に張り出す。次に、鉄輪操作レバーの張出操作により鉄輪50を張り出す。ここで、転車台40を利用して軌陸車1を水平に回転させて軌道と平行にする。最後に、転車台操作レバーの格納操作により転車台40を格納する。これにより鉄輪50が軌道に載せられる。
また、軌陸車1は、オペレータ等が車体10から離れた位置に立ってブーム33の伸縮、旋回、起伏及びウインチドラムの巻き上げ、巻き下げを無線通信により遠隔操作する遠隔操作装置80を備えている。この遠隔操作装置80は、非使用時には、キャビン11内に設けられている遠隔操作装置格納部90内に格納される。
次に、図2を用いて遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の構成を説明する。この遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、遠隔操作装置格納検出部111と、PTO検出部112と、軌道走行可能検出部120と、制御部130と、警告部140とを備えている。
(遠隔操作装置格納検出部111)
遠隔操作装置格納検出部111は、遠隔操作装置格納部90に設けられている。この遠隔操作装置格納検出部111には、近接スイッチが使用されている。この遠隔操作装置格納検出部111は、遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90内に格納されていることを検出して遠隔操作装置格納検出信号111aを出力するように構成されている。さらに、遠隔操作装置格納検出部111は、遠隔操作装置80を検出したら一定時間その検出状態を維持するように構成されている。
(PTO検出部112)
PTO検出部112は、キャビン11内に設けられており、PTO100を起動させるPTOスイッチ(図示せず)に接続されている。このPTO検出部112は、PTOスイッチがオンになったときにそれを検出してPTO検出信号112aを出力するように構成されている。
(軌道走行可能検出部120)
軌道走行可能検出部120は、軌陸車1が軌道走行可能であることを検出して軌道走行可能検出信号121a〜126aを出力するように構成されている。
具体的に説明すると、この軌道走行可能検出部120は、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、転車台格納検出部123、接地検出部124、アウトリガ格納検出部125、軌道走行電源スイッチ126を備えている。
ブーム格納検出部121は、旋回ポスト32の上端部に設けられている。このブーム格納検出部121には、近接スイッチが使用されている。このブーム格納検出部121は、ブーム33が全縮されて格納状態にあることを検出してブーム格納検出信号121aを出力するように構成されている。
鉄輪張出検出部122は、鉄輪張出格納駆動部71に設けられている。この鉄輪張出検出部122には、近接スイッチが使用されている。この鉄輪張出検出部122は、鉄輪50が張出状態にあることを検出して鉄輪張出検出信号122aを出力するように構成されている。
転車台格納検出部123は、車体10の底部において転車台40の近傍に設けられている。この転車台格納検出部123には、近接スイッチが使用されている。この転車台格納検出部123は、転車台40の上板42が格納状態にあることを検出して転車台格納検出信号123aを出力するように構成されている。
接地検出部124は、各アウトリガ20に設けられている。この接地検出部124には、リミットスイッチが使用されている。この接地検出部124は、各アウトリガ20の反力から各アウトリガ20が路面に接地されたことを検出して接地検出信号124aを出力するように構成されている。
アウトリガ格納検出部125は、各アウトリガ20に設けられている。このアウトリガ格納検出部125には、近接スイッチが使用されている。このアウトリガ格納検出部125は、各アウトリガ20が格納されていることを検出してアウトリガ格納検出信号125aを出力するように構成されている。
軌道走行電源スイッチ126は、上記で説明した操作部に設けられている。この軌道走行電源スイッチ126は、軌陸車1の軌道走行に係る操作(転車台40の張出及び格納、鉄輪50の張出及び格納、鉄輪50の駆動等)を可能にする電源スイッチである。この軌道走行電源スイッチ126は、オンにされるとオン信号126aを出力するように構成されている。
(制御部130)
制御部130は、軌道走行可能判断部131と、軌道走行可能判断部131の出力側に接続された警告信号制御部132とを備えている。
軌道走行可能判断部131は、車体10に設けられている。この軌道走行可能判断部131は、軌道走行可能検出部120から軌道走行可能検出信号121a〜126aが出力されたときに軌陸車1が軌道走行可能であると判断して軌道走行可能判断信号131aを出力するように構成されている。
具体的に説明すると軌道走行可能判断部131の入力側には、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、転車台格納検出部123、接地検出部124、アウトリガ格納検出部125、軌道走行電源スイッチ126が接続されている。
軌道走行可能判断部131は、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、転車台格納検出部123、アウトリガ格納検出部125から検出信号121a〜123a、125aが出力され、接地検出部124から接地検出信号124aが出力されず、軌道走行電源スイッチ126からオン信号126aが出力されたときに軌道走行可能判断信号131aを出力するように構成されている。
警告信号制御部132は、キャビン11内に設けられている。警告信号制御部132の入力側には、遠隔操作装置格納検出部111、PTO検出部112、軌道走行可能判断部131が接続されている。
ここで、図2と図3を用いて警告信号制御部132の制御内容について説明する。
警告信号制御部132は、図3−1に示すように、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには、警告信号132a,132bを出力せず、軌道走行装置70を動作させる軌道走行装置オン信号132cを出力するように構成されている。
警告信号制御部132は、図3−2に示すように、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには、警告信号132a,132bと、軌道走行装置70を動作させない軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
警告信号制御部132は、図3−3、4に示すように、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されないときには、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されてもされなくても警告信号132a,132bを出力せず、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
警告信号制御部132は、図3−5に示すように、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力されず、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには、警告信号132a,132bを出力せず、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
警告信号制御部132は、図3−6に示すように、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力されず、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには、警告信号132a,132bと、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
(警告部140)
図2に示すように警告部140は、警告信号制御部132の出力側に接続されている。この警告部140は、スピーカ141及び表示灯142を備えている。スピーカ141及び表示灯142は、キャビン11内に設けられている。
スピーカ141は、警告信号132aが入力されたときに音が鳴るように構成されている。表示灯142は、警告信号132bが入力されたときに点灯するように構成されている。
また、警告信号制御部132の出力側には、上記で説明した軌道走行装置70が接続されている。軌道走行装置70は、軌道走行装置オン信号132cが入力されたときには動作し、軌道走行装置オフ信号132dが入力されたときには動作しないように構成されている。
次に、図2と図3を用いて、軌道走行時、作業装置30によるクレーン作業時、道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の制御処理を説明する。
最初に、軌道走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の制御処理を説明する。
ブーム格納検出部121は、ブーム33が全縮されて格納状態にあることからブーム格納検出信号121を出力する。鉄輪張出検出部122は、鉄輪50が張出状態にあることから鉄輪張出検出信号122aを出力する。
転車台格納検出部123は、転車台40の上板42が格納状態にあることから転車台格納検出信号123aを出力する。接地検出部124は、各アウトリガ20が路面に接地されていないので接地検出信号124aを出力しない。
アウトリガ格納検出部125は、各アウトリガ20が格納されていることからアウトリガ格納検出信号125aを出力する。軌道走行電源スイッチ126は、オンにされていることからオン信号126aを出力する。
軌道走行可能判断部131は、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、転車台格納検出部123、アウトリガ格納検出部125から検出信号121a〜123a、125aが出力され、接地検出部124から接地検出信号124aが出力されず、軌道走行電源スイッチ126からオン信号126aが出力されることから軌道走行可能判断信号131aを出力する。
PTO検出部112は、PTOスイッチがオンにされていることからPTO検出信号112aを出力する。
図3−1に示すように警告信号制御部132は、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには警告信号132a,132bを出力しない。
つまり、軌陸車1の軌道走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されているときには警告信号132a,132bを出力しない。したがって、スピーカ141及び表示灯142は駆動しない。
また、このときに警告信号制御部132は、軌道走行装置70に軌道走行装置オン信号132cを出力するので、軌道走行装置70は動作可能な状態である。
図3−2に示すように警告信号制御部132は、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには警告信号132a,132bを出力する。
つまり、軌陸車1の軌道走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないときには警告信号132a,132bを出力する。これによりスピーカ141及び表示灯142は駆動し、遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないことをオペレータ等に知らせる。
また、このときに警告信号制御部132は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態になる。
次に、クレーン作業時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の制御処理を説明する。
ブーム格納検出部121は、ブーム33が格納されていないことからブーム格納検出信号121を出力しない。鉄輪張出検出部122は、鉄輪50が張出状態にないことから鉄輪張出検出信号122aを出力しない。
転車台格納検出部123は、転車台40の上板42が格納状態にあることから転車台格納検出信号123aを出力する。接地検出部124は、各アウトリガ20が路面に接地されているので接地検出信号124aを出力する。
アウトリガ格納検出部125は、各アウトリガ20が格納されていないことからアウトリガ格納検出信号125aを出力しない。軌道走行電源スイッチ126は、オンにされていないことからオン信号126aを出力しない。
軌道走行可能判断部131は、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、アウトリガ格納検出部125から検出信号121a、122a、125aが出力されず、接地検出部124から接地検出信号124aが出力され、軌道走行電源スイッチ126からオン信号126aが出力されないので軌道走行可能判断信号131aを出力しない。
PTO検出部112は、PTOスイッチがオンにされていることからPTO検出信号112aを出力する。
図3−3、4に示すように警告信号制御部132は、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力され、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されてもされなくても警告信号132a,132bを出力しない。
つまり、クレーン作業時には遠隔操作装置80の格納状態に関わらず警告信号132a,132bを出力しない。したがって、スピーカ141及び表示灯142は駆動しない。
また、このときに警告信号制御部132は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
最後に、道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の制御処理を説明する。
ブーム格納検出部121は、ブーム33が全縮されて格納状態にあることからブーム格納検出信号121を出力する。鉄輪張出検出部122は、鉄輪50が張出状態にないことから鉄輪張出検出信号122aを出力しない。
転車台格納検出部123は、転車台40の上板42が格納状態にあることから転車台格納検出信号123aを出力する。接地検出部124は、各アウトリガ20が路面に接地されていないので接地検出信号124aを出力しない。
アウトリガ格納検出部125は、各アウトリガ20が格納されていることからアウトリガ格納検出信号125aを出力する。軌道走行電源スイッチ126は、オンにされていないことからオン信号126aを出力しない。
軌道走行可能判断部131は、鉄輪張出検出部122から鉄輪張出検出信号122aが出力されず、軌道走行電源スイッチ126からオン信号126aが出力されないので軌道走行可能判断信号131aを出力しない。
PTO検出部112は、PTOスイッチがオンにされていないことからPTO検出信号112aを出力しない。
図3−5に示すように警告信号制御部132は、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力されず、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには警告信号132a,132bを出力しない。
つまり、軌陸車1の道路走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されているときには警告信号132a,132bを出力しない。したがって、スピーカ141及び表示灯142は駆動しない。
また、このときに警告信号制御部132は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
図3−6に示すように警告信号制御部132は、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力されず、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには警告信号132a,132bを出力する。
つまり、軌陸車1の道路走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないときには警告信号132a,132bを出力する。これによりスピーカ141及び表示灯142は駆動し、遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないことをオペレータ等に知らせる。
また、このときに警告信号制御部132は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
次に、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101の効果を列挙して説明する。
(1)本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されず、軌道走行可能検出部120から軌道走行可能検出信号121a〜126aが出力され、PTO検出部112からPTO検出信号112aが出力されたときに制御部130が警告信号132a,132bを出力するようにした。さらに制御部130から警告信号132a,132bが出力されたときに、警告部140により遠隔操作装置80が所定の場所に格納されていないことを知らせるようにした。
つまり、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、遠隔操作装置80が所定の場所に格納されておらず、軌道走行可能でPTO100がオンである場合に遠隔操作装置80が所定の場所に格納されていないことを知らせるようにした。
これにより、軌道走行時に遠隔操作装置80の置き忘れがあっても置き忘れを知らせることが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを防止することができる。
(2)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、制御部130は、警告信号132a,132bを出力するとともに軌陸車1を軌道走行させる軌道走行装置70を動作させないようにした。つまり、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、遠隔操作装置80が所定の場所に格納されていないことを知らせるとともに軌道走行装置70を動作させないようにした。
これによりオペレータ等は遠隔操作装置80の置き忘れを確実に知ることが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを確実に防止することができる。
(3)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、制御部130が、軌道走行可能判断部131と、警告信号制御部132とを備えるものとした。ここで軌道走行可能判断部131は、軌道走行可能か否かの判断に使用するので、遠隔操作装置格納検出部111、PTO検出部112、警告信号制御部132、警告部140に、従来の道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システムに使用されているものを使用することが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、コストをかけずに軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを防止することができる。
なお、従来の道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システムに軌道走行可能判断部131を接続する際には、従来の警告信号が出力されるように軌道走行可能判断部131を構成する。あるいは、軌道走行可能判断部131と警告信号制御部132との間に外部回路を設け、この外部回路で従来の警告信号を生成するようにしても良い。
(4)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、軌道走行可能であることを検出する条件として、鉄輪50の張出の検出、転車台40の格納の検出、軌道走行電源スイッチ126のオンの検出を使用した。これにより軌陸車1が軌道走行可能であることを簡単に検出することが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101は、軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを簡単に防止することができる。
(5)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、道路走行時でも遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないことを知らせるようにしたので、道路走行時の遠隔操作装置80の置き忘れも防止することができる。
(6)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101では、遠隔操作装置格納検出部111を、遠隔操作装置80を検出したら一定時間その検出状態を維持するように構成した。このため、遠隔操作装置格納部90が揺れて遠隔操作装置80が格納状態と非格納状態を繰り返しても非格納状態であると誤検出してスピーカ141及び表示灯142が駆動しないのを防ぐことができる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201のブロック図である。この遠隔操作装置置き忘れ警報システム201において第1の実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101と同じ部分には同じ符号を付している。
この遠隔操作装置置き忘れ警報システム201は、遠隔操作装置格納検出部111と、軌道走行可能検出部120と、制御部230と、警告部140とを備えている。この遠隔操作装置置き忘れ警報システム201が第1の実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101と異なる点は、PTO検出部112(図2参照)を備えていない点である。
制御部230は、第1の実施の形態の制御部130と同様に、軌道走行可能判断部131と、軌道走行可能判断部131の出力側に接続された警告信号制御部232とを備えている。
警告信号制御部232は、キャビン11内に設けられている。警告信号制御部232の入力側には、遠隔操作装置格納検出部111、軌道走行可能判断部131が接続されている。
ここで、図4と図5を用いて警告信号制御部232の制御内容について説明する。
警告信号制御部232は、図5−1に示すように、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには、警告信号132a,132bを出力せず、軌道走行装置オン信号132cを出力するように構成されている。
警告信号制御部232は、図5−2に示すように、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには、警告信号132a,132bと、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
警告信号制御部232は、図5−3に示すように、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには、警告信号132a,132bを出力せず、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
警告信号制御部232は、図5−4に示すように、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには、警告信号132a,132bと、軌道走行装置オフ信号132dを出力するように構成されている。
次に、図4と図5を用いて、軌道走行時、道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201の制御処理を説明する。
最初に、軌道走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201の制御処理を説明する。なお、軌道走行可能検出部120の検出処理は第1の実施の形態と同様なので省略する。
図5−1に示すように警告信号制御部232は、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには、警告信号132a,132bを出力しない。
つまり、第1の実施の形態と同様に、軌陸車1の軌道走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されているときには警告信号132a,132bを出力しない。したがって、スピーカ141及び表示灯142は駆動しない。
また、このときに警告信号制御部232は、軌道走行装置70に軌道走行装置オン信号132cを出力するので、軌道走行装置70は動作可能な状態である。
図5−2に示すように警告信号制御部232は、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力され、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには警告信号132a,132bを出力する。
つまり、第1の実施の形態と同様に、軌陸車1の軌道走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないときには警告信号132a,132bを出力する。これによりスピーカ及び表示灯は駆動して遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないことをオペレータ等に知らせる。
また、このときに警告信号制御部232は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
次に、道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201の制御処理を説明する。なお、軌道走行可能検出部120の検出処理は第1の実施の形態と同様なので省略する。
図5−3に示すように警告信号制御部232は、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されたときには警告信号132a,132bを出力しない。
つまり、第1の実施の形態と同様に、軌陸車1の道路走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されているときには警告信号132a,132bを出力しない。したがって、スピーカ141及び表示灯142は駆動しない。
また、このときに警告信号制御部232は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
図5−4に示すように警告信号制御部232は、軌道走行可能判断部131から軌道走行可能判断信号131aが出力されず、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されないときには警告信号132a,132bを出力する。
つまり、第1の実施の形態と同様に、軌陸車1の道路走行時に遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないときには警告信号132a,132bを出力する。これによりスピーカ141及び表示灯142は駆動して遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていないことをオペレータ等に知らせる。
また、このときに警告信号制御部232は、軌道走行装置70に軌道走行装置オフ信号132dを出力するので、軌道走行装置70は動作不可能な状態である。
次に、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201の効果を列挙して説明する。
(1)本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201では、遠隔操作装置格納検出部111から遠隔操作装置格納検出信号111aが出力されず、軌道走行可能検出部120から軌道走行可能検出信号121a〜126aが出力されたときに制御部230が警告信号132a,132bを出力するようにした。さらに、制御部230から警告信号132a,132bが出力されたときに、警告部140により遠隔操作装置80が所定の場所に格納されていないことを知らせるようにした。
つまり、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201は、遠隔操作装置80が所定の場所に格納されておらず、軌道走行可能である場合に遠隔操作装置80が所定の場所に格納されていないことを知らせるようにした。
これにより、軌道走行時に遠隔操作装置80の置き忘れがあっても置き忘れを知らせることが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201は、軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを防止することができる。
(2)また、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201では、第1の実施の形態と同様に、制御部230が、軌道走行可能判断部131と、警告信号制御部232とを備えたことで、遠隔操作装置格納検出部111、警告信号制御部232、警告部140に、従来の道路走行時の遠隔操作装置置き忘れ警報システムに使用されているものを使用することが可能になる。よって、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201は、コストをかけずに軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを防止することができる。
さらに、本実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム201では、PTO検出部112を使用しないので、第1の実施の形態の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101に比べてコストをかけずに軌道走行時の遠隔操作装置80の置き忘れを防止することができる。
その他の効果については第1の実施の形態で説明した通りである。
以上、本発明に係る実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
例えば、実施の形態では、軌陸両用車両搭載型クレーン1に本発明の遠隔操作装置置き忘れ警報システム101を適用した場合について説明した。しかし、軌陸車であれば、本発明を軌陸両用の高所作業車、軌陸両用のラフテレーンクレーン、軌陸両用のオールテレーンクレーン、軌陸両用のダンプ等にも適用できる。
また、実施の形態では、制御部130(230)を、軌道走行可能判断部131と警告信号制御部132(232)とに分けて構成したが、双方の機能を統合したものを制御部として構成しても良い。
また、実施の形態では、警告信号132a,132bが出力されると、スピーカ141及び表示灯142が駆動するように構成したが、選択スイッチを設けて、一方のみ駆動させる場合と、双方を駆動させる場合とに選択できるように構成しても良い。
また、実施の形態では、軌道走行可能検出部120として、ブーム格納検出部121、鉄輪張出検出部122、転車台格納検出部123、接地検出部124、アウトリガ格納検出部125、軌道走行電源スイッチ126を使用したが、全てを使用する必要はなく、いずれか一つのもの、または任意に複数のものを選択して使用しても良い。
また、実施の形態では、遠隔操作装置80が1つの場合について説明したが、遠隔操作装置80が複数の場合には、遠隔操作装置格納検出部111は、全ての遠隔操作装置80が遠隔操作装置格納部90に格納されていることを検出したときに遠隔操作装置格納検出信号111aを出力するように構成する。
また、軌陸両用のラフテレーンクレーンやオールテレーンクレーンに遠隔操作装置を設けてPTOのオン時に道路走行する場合には、軌道走行可能検出部120を道路走行が可能であることを検出する道路走行可能検出部に換えて、軌道走行可能判断部131を道路走行が可能であることを判断する道路走行可能判断部に換えて遠隔操作装置置き忘れ警報システムを構成することが可能である。道路走行可能検出部としては、例えばサスペンションがロックされていることを検出する検出部等が挙げられる。