以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。また、各実施形態において、従前に説明された構成及び動作と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
本発明は、少なくとも道路を走行するための車輪と軌道を走行するための鉄輪とを車体に備えると共に、車体に水平旋回可能な転車台を備えた軌陸車に広く適用可能である。本実施形態では、車体にクレーン装置が設けられた軌陸車に本発明を適用した場合の一例について説明する。
本実施形態では、軌陸車1の前進方向を「前方」と称し、軌陸車1の後進方向を「後方」と称する。また、本実施形態では、軌陸車1を後方から前方に向かって視た場合において、軌陸車1の右方を単に「右方」と称し、軌陸車1の左方を単に「左方」と称する。そして、右方及び左方を総称して「側方」と称する。また、本実施形態では、軌陸車1の車高方向を「上方」と称し、上方と反対方向を「下方」と称する。軌陸車1の車幅方向は、左右方向と同一方向である。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る軌陸車1を模式的に示す図である。図1(a)は、軌陸車1の上面図である。図1(b)は、軌陸車1の側面図である。
軌陸車1は、前後方向に延びて車体2の骨格を形成するフレーム3と、フレーム3の前部に設けられて作業者が軌陸車1の運転操作を行うためのキャブ4と、フレーム3の上部であってキャブ4の後方に設けられたクレーン装置5とを備える。更に、軌陸車1は、軌陸車1が道路Wを走行するために必要な各種の機構及び駆動装置である道路走行装置6と、軌陸車1が軌道Tを走行するために必要な各種の機構及び駆動装置である軌道走行装置8とを備える。更に、軌陸車1は、クレーン作業の際に車幅方向に張り出して車体2を持ち上げるアウトリガ10と、フレーム3の下部であって車体2の重心位置付近に設けられて車体2を持ち上げて水平旋回させるための転車台20とを備える。更に、軌陸車1は、キャブ4内のモニタ及びスピーカ並びにキャブ4外の表示灯及びスピーカ等により構成され、軌陸車1の動作状態及び周囲の状況を作業者及び周囲に報知する報知機器40と、報知機器40を含む軌陸車1の各構成要素を制御する制御部50とを備える。
クレーン装置5は、フレーム3の上部において旋回自在に設けられた旋回台と、旋回台に対して起伏自在に設けられて長手方向に伸縮する伸縮ブームと、旋回台に対して回動自在に設けられて伸縮ブームを起伏させる起伏シリンダとを含む。更に、クレーン装置5は、伸縮ブームから垂下されて吊荷を吊り上げるワイヤロープと、旋回台に設けられてワイヤロープを巻き取るウインチとを含む。
道路走行装置6は、フレーム3の左右両側部に支持されて道路Wを走行するための車輪7と、車輪7の向きを変える操舵機構と、車輪7を回転させるエンジン及びモータ等の動力源と、車輪7の回転を制動するブレーキとを含む。
軌道走行装置8は、フレーム3の左右両側部に支持されて軌道Tを走行するための鉄輪9と、鉄輪9をフレーム3から下方に張り出し及びフレーム3へ格納させる鉄輪支持装置と、鉄輪9を回転させるエンジン及びモータ等の動力源と、車輪7の回転を制動するブレーキとを含む。鉄輪9の動力源は、PTO装置を介して接続されたエンジンによって作動する油圧ポンプによって吐出される作動油により作動する油圧モータであってよい。
アウトリガ10は、フレーム3の左右両側部から車幅方向に張り出すよう伸縮自在に設けられたアウトリガビーム11と、アウトリガビーム11の先端部から下方に張り出すよう伸縮自在に設けられたアウトリガジャッキ12とを含む。アウトリガジャッキ12は、車体2の下方に張り出して接地し、車体2を持ち上げ可能に構成される。アウトリガビーム11は、アウトリガジャッキ12によって持ち上げられた車体2を、車幅方向にスライド可能に構成される。
転車台20は、軌陸車1の車体2を持ち上げて水平旋回させることによって、車輪7が道路Wに載置される道路走行姿勢と、鉄輪9が一対のレールR1及びR2に載置される軌道走行姿勢とに、軌陸車1の姿勢を変更することができる。
図2は、実施形態1に係る転車台20を模式的に示す図である。図2(a)は、上方から視た転車台20の上面図である。図2(b)は、前方から視た転車台20の側面図である。図2(c)は、右方から視た転車台20の側面図である。図2(d)は、軌道Tに含まれる一対のレールR1及びR2と転車台20との位置関係を示す図である。
転車台20は、フレーム3の下部から下方に張り出すよう伸縮自在に設けられた一対のジャッキ21と、一対のジャッキ21の各下端部に固定された支持板22と、支持板22に対して水平面上で旋回自在に設けられたベース板23とを含む。更に、転車台20は、支持板22とベース板23との間に設けられてベース板23を旋回させる旋回機構24を含む。
一対のジャッキ21のそれぞれは、車幅方向に沿って互いに間隔をあけて設けられる。一対のジャッキ21のそれぞれは、転車台20の旋回中心Cからの距離が互いに略等距離となるように設けられる。一対のジャッキ21のそれぞれは、上方から視た場合、図2(a)に示されるように、円環A上に設けられる。円環Aは、旋回中心Cを回転軸とし、軌道Tに含まれる一対のレールR1及びR2同士の距離Dを直径とする円環である。
支持板22は、上方から視た場合、車幅方向に長く前後方向に短い略八角形状に形成される。支持板22の車幅方向の長さは、一対のレールR1及びR2同士の距離Dより長く、支持板22の前後方向の長さは、旋回機構24の直径より長く、距離Dより短い。支持板22は、支持板22の中心が旋回中心C上に位置するように設けられる。
ベース板23は、上方から視た場合、車幅方向に長く前後方向に短い略長方形状に形成され、その四隅のそれぞれが前後方向に突出するように形成される。ベース板23の車幅方向の長さは、一対のレールR1及びR2同士の距離Dより長く、ベース板23の前後方向の長さは、旋回機構24の直径より長く、距離Dより短い。ベース板23は、ベース板23の中心が旋回中心C上に位置するように設けられる。
ベース板23は、一対のジャッキ21が伸長すると、車体2の下部から下方に張り出して接地する。更に一対のジャッキ21が伸長すると、車体2は地面から持ち上げられる。このとき、車体2は、ベース板23が接地した転車台20によって支持される。この状態で、旋回機構24が旋回すると、車体2は旋回中心Cの周りに水平旋回する。すなわち、ベース板23は、車体2の下部から下方に張り出して車体2を持ち上げる際に接地すると共に車体2に対して旋回可能に設けられている。
また、ベース板23には、軌道Tに含まれる一対のレールR1及びR2を検出する複数の検出器が設けられる。複数の検出器は、それぞれの下方に位置するレールR1及びR2をそれぞれ検出可能な非接触式のセンサによって構成される。好適には、複数の検出器は、レールR1及びR2のそれぞれの存在だけでなく、レールR1及びR2のそれぞれの変位を検出可能な非接触式のセンサによって構成される。複数の検出器のそれぞれは、例えば、渦電流式、レーザ式又は超音波式等の各種の変位センサによって構成されてよい。
複数の検出器は、円環A上において互いに略等間隔に設置され、それぞれが下方を向くように設置される。具体的には、複数の検出器は、図2に示されるように、円環A上において互いに略等間隔に設置された、第1検出器31と、第2検出器32と、第3検出器33と、第4検出器34とを含む。また、複数の検出器は、互いを結ぶ線分が転車台20の旋回中心Cを通るように円環A上に配置される一対の検出器を含む。具体的には、一対の検出器は、図2に示されるように、互いを結ぶ線分が転車台20の旋回中心Cを通るように円環A上に配置された、第1検出器31及び第3検出器33であり、第2検出器32及び第4検出器34である。
第1検出器31及び第3検出器33は、複数の検出器のうち、軌陸車1が道路走行姿勢である場合において軌陸車1の前後方向に沿うように配置される検出器である。第1検出器31及び第3検出器33は、ベース板23が車体2の下部に格納された状態において、前後方向に沿うように配置される。第1検出器31及び第3検出器33は、第1検出器31が前方側に位置し、第3検出器33が後方側に位置するように配置される。
また、第2検出器32及び第4検出器34は、複数の検出器のうち、軌陸車1が軌道走行姿勢である場合において軌陸車1の車幅方向に沿うように配置される検出器である。第2検出器32及び第4検出器34は、ベース板23が車体2の下部に格納された状態において、軌陸車1の車幅方向に沿うように配置される。第2検出器32及び第4検出器34は、第2検出器32が左方側に位置し、第4検出器34が右方側に位置するように配置される。
なお、第1検出器31及び第3検出器33は、ベース板23の長辺中央から前後方向にそれぞれ延びる一対のブラケット25を介して、ベース板23にそれぞれ設置されてよい。
すなわち、第1〜第4検出器31〜34のそれぞれは、互いの旋回中心Cからの距離が一対のレールR1及びR2同士の距離Dの半分に略等しく、且つ、円環A上において互いに略等間隔となるようにベース板23に設置される。そして、第1〜第4検出器31〜34のそれぞれは、第1検出器31及び第3検出器33を結ぶ線分と第2検出器32及び第4検出器34を結ぶ線分とが、旋回中心Cにおいて交わり、互いに略直交するようにベース板23に設置される。
図3は、実施形態1に係る軌陸車1の機能的構成を示すブロック図である。
制御部50は、プロセッサ及び記憶装置を含み、軌陸車1の各構成要素を統括的に制御する電子制御ユニットであってよい。制御部50の入力側には、第1〜第4検出器31〜34が接続される。制御部50の出力側には、報知機器40が接続される。
制御部50は、第1〜第4検出器31〜34の検出結果に基づいて、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置を判断する。好適には、制御部50は、第1〜第4検出器31〜34の検出結果に基づいて、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置及び姿勢の少なくとも1つを判断する。そして、制御部50は、この判断結果が報知されるよう報知機器40の動作を制御する。
図4は、実施形態1に係る軌陸車1が道路Wから軌道Tに進入する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
軌陸車1は、踏切等の道路Wと軌道Tとの交差地点において、道路Wから軌道Tに進入する。軌道Tに含まれる一対のレールR1及びR2のうち、軌陸車1が道路Wから軌道Tに進入する際において軌陸車1に近い側をレールR1とし、軌陸車1に遠い側をR2とする。作業者は、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入するよう、軌陸車1の運転操作を行う。
ステップ401において、制御部50は、ベース板23の前方側にある第1検出器31がレールR1を検出したか否かを判定する。制御部50は、第1検出器31がレールR1を検出していない場合、待機する。一方、制御部50は、第1検出器31がレールR1を検出した場合、ステップ402に移行する。
ステップ402において、制御部50は、レールR1の検出が報知されるよう報知機器40を制御する。作業者は、転車台20の旋回中心Cが一対のレールR1及びR2の中間に向けて近付くよう、軌陸車1の運転操作を行い得る。
ステップ403において、制御部50は、ベース板23の車幅方向にある第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出したか否かを判定する。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出した場合、ステップ406に移行する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出していない場合、ステップ404に移行する。
ステップ404において、制御部50は、軌道Tの直交方向でない非直交方向から軌陸車1が軌道Tへ進入したと判断する。軌陸車1が非直交方向から軌道Tへ進入すると、鉄輪9の位置と一対のレールR1及びR2の位置とがずれてしまい、鉄輪9が一対のレールR1及びR2に適切に載置されないことがある。ステップ403において、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出していない場合には、軌陸車1が軌道Tの非直交方向から軌道Tへ進入したことを意味し得る。
ステップ405において、制御部50は、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入するように作業者の操作を促すことが報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、ステップ401に移行する。作業者は、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入するよう、軌陸車1の運転操作をやり直し得る。
ステップ406において、制御部50は、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入したと判断する。ステップ403において、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出した場合には、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入したことを意味し得る。
ステップ407において、制御部50は、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入したことが報知されるよう報知機器40を制御する。作業者は、転車台20の旋回中心Cが一対のレールR1及びR2の中間に向けて近付くよう、軌陸車1の運転操作を行い得る。
ステップ408において、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR2及びR1をそれぞれ検出したか否かを判定する。制御部50は、第1検出器31がレールR2を検出していないか、第3検出器33がレールR1を検出していない場合、待機する。一方、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR2及びR1をそれぞれ検出した場合、ステップ409に移行する。
ステップ409において、制御部50は、軌陸車1が目標の停車位置にあると判断する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断する。目標の停車位置とは、転車台20の旋回中心Cが一対のレールR1及びR2の中間に位置するような軌陸車1の停車位置である。軌陸車1が目標の停車位置にないと、鉄輪9の位置と一対のレールR1及びR2の位置とがずれてしまい、鉄輪9が一対のレールR1及びR2に適切に載置されないことがある。ステップ408において、第1検出器31及び第3検出器33がレールR2及びR1をそれぞれ検出した場合には、軌陸車1が目標の停車位置にあることを意味し得る。
ステップ410において、制御部50は、軌陸車1が目標の停車位置にあることが報知されるよう報知機器40を制御する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、図4の処理を終了する。作業者は、鉄輪9を一対のレールR1及びR2に載置する載線作業に移行し得る。
図5は、実施形態1に係る軌陸車1が載線する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図5の処理は、図4の処理の後に制御部50によって行われる処理である。制御部50は、図4の処理の後、作業者の操作に応じて図5の処理を開始する。
軌陸車1の載線作業では、作業者の操作に応じて、転車台20の一対のジャッキ21が伸長されてベース板23が張り出されることで、車体2が持ち上げられる。そして、軌陸車1が軌道Tに沿った向きとなるよう車体2が手動で水平旋回され、作業者の操作に応じて鉄輪9が張り出される。そして、軌陸車1の載線作業では、作業者の操作に応じて、一対のジャッキ21が短縮されて、鉄輪9が一対のレールR1及びR2に載置されるまで車体2が下ろされる。鉄輪9が一対のレールR1及びR2に適切に載置されると、ベース板23が車体2に格納される。この際、ベース板23は、手動で旋回される。
ステップ501において、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出したか否かを判定する。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、ベース板23の旋回が継続されるよう待機する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ステップ502に移行する。
ステップ502において、制御部50は、ベース板23が目標の格納姿勢にあると判断する。すなわち、制御部50は、車体2に対するベース板23の姿勢が正常であると判断する。目標の格納姿勢とは、ベース板23を上方から視た場合に、ベース板23の長手方向が車体2の車幅方向と略平行となるようなベース板23の姿勢である。ベース板23が目標の格納姿勢にないと、ベース板23が車体2の下部機器と干渉してベース板23が適切に格納されないことがある。ステップ501において、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合には、ベース板23が目標の格納姿勢にあることを意味し得る。
ステップ503において、制御部50は、ベース板23が目標の格納姿勢にあることが報知されるよう報知機器40を制御する。すなわち、制御部50は、車体2に対するベース板23の姿勢が正常であると判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。作業者は、転車台20の一対のジャッキ21を短縮してベース板23を車体2の下部に格納し得る。
ステップ504において、制御部50は、ベース板23が格納され、載線作業が完了したことが報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、図5の処理を終了する。作業者は、軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業に移行し得る。
なお、軌陸車1は、軌道T上でのクレーン作業が終了すると、踏切等の道路Wと軌道Tとの交差地点において、軌道Tから道路Wへ退線する。この退線作業において、制御部50は、図5の処理と同様に、第1〜第4検出器31〜34の検出結果に基づいて、報知機器40を制御する。
具体的には、制御部50は、張り出されたベース板23を格納する際、ステップ501の代わりに、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出したか否かを判定する。そして、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、ベース板の旋回が継続されるよう待機する。一方、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ベース板23が目標の格納姿勢にあると判断し、その旨が報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、ベース板23が格納され、退線作業が完了したことが報知されるよう報知機器40を制御する。作業者は、道路走行に移行し得る。
図6は、実施形態1に係る軌陸車1が軌道Tを走行する際又は軌道T上で作業する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
軌陸車1が軌道Tを走行する際又は軌道T上でのクレーン作業をする際、第2検出器32及び第4検出器34は、それぞれの下方に位置する一対のレールR1及びR2のそれぞれの変位を、常時検出する。
ステップ601において、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34の少なくとも1つで検出されたレールR1及びR2の少なくとも1つの変位が、許容範囲外か否かを判定する。許容範囲とは、レールR1及びR2に対する鉄輪9の載置状態が適切な場合に、第2検出器32及び第4検出器34のそれぞれの下方に位置するレールR1及びR2のそれぞれの変位が取り得る範囲である。制御部50は、レールR1及びR2のそれぞれの変位が許容範囲以内である場合、軌道走行又はクレーン作業が継続されるよう待機する。一方、制御部50は、レールR1及びR2の少なくとも1つの変位が許容範囲外である場合、ステップ602移行する。
ステップ602において、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する鉄輪9の載置状態に異常があると判断する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置及び姿勢の少なくとも1つが正常でないと判断する。ステップ601において、レールR1及びR2の何れかの変位が許容範囲外である場合には、車体2が傾く等により、鉄輪9がレールR1及びR2の何れかに対して浮いていることを意味し得る。すなわち、軌陸車1は、鉄輪9がレールR1又はR2に対して浮いていないかを常時監視し得る。また、ステップ601において、レールR1及びR2の両方の変位が許容範囲外である場合には、鉄輪9がレールR1及びR2から脱輪していることを意味し得る。
ステップ603において、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する鉄輪9の載置状態に異常があることが報知されるよう報知機器40を制御する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置及び姿勢の少なくとも1つが正常でないと判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、図6の処理を終了する。作業者は、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を停止し、軌陸車1の安全性が確保されるよう必要な復旧作業に移行し得る。
図7は、実施形態1に係る軌陸車1を脱輪復旧させる際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図7の処理は、図6の処理の後に制御部50によって行われる処理である。制御部50は、図6の処理の後、作業者の操作に応じて図7の処理を開始する。
軌陸車1の脱輪復旧作業では、作業者の操作に応じて、アウトリガ10のアウトリガビーム11が伸長されて車幅方向に張り出される。そして、アウトリガジャッキ12が伸長され下方に張り出されることで、車体2が持ち上げられる。そして、軌陸車1の脱輪復旧作業では、アウトリガビーム11を伸縮して車体2が車幅方向にスライドされる。
ステップ701において、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出したか否かを判定する。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、車体2のスライドが継続されるよう待機する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ステップ702に移行する。
ステップ702において、制御部50は、鉄輪9がレールR1及びR2の上方の目標位置にあると判断する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断する。鉄輪9の目標位置とは、鉄輪9を上方から視た場合に、鉄輪9がレールR1及びR2と重なる位置である。鉄輪9が目標位置にないと、鉄輪9の位置とレールR1及びR2の位置とがずれてしまい、鉄輪9がレールR1及びR2に適切に載置されないことがある。ステップ701において、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合には、鉄輪9が目標位置にあることを意味し得る。
ステップ703において、制御部50は、鉄輪9がレールR1及びR2の上方の目標位置にあることが報知されるよう報知機器40を制御する。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。作業者は、アウトリガ10のアウトリガジャッキ12を短縮して鉄輪9がレールR1及びR2に載置されるまで車体2を下ろし得る。そして、作業者は、アウトリガジャッキ12を短縮すると共にアウトリガビーム11を短縮して、アウトリガジャッキ12及びアウトリガビーム11を格納し得る。
ステップ704において、制御部50は、アウトリガ10が格納され、脱輪復旧作業が完了したことが報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、図7の処理を終了する。作業者は、軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業に移行し得る。
以上のように、実施形態1に係る軌陸車1は、転車台20の旋回中心Cを回転軸とし一対のレールR1及びR2同士の距離Dを直径とする円環A上において互いに略等間隔に設置された、第1〜第4検出器31〜34を備える。第1検出器31及び第3検出器33は、互いを結ぶ線分が転車台20の旋回中心Cを通るように円環A上に配置される。同様に、第2検出器32及び第4検出器34も、互いを結ぶ線分が転車台20の旋回中心Cを通るように円環A上に配置される。第1〜第4検出器31〜34は、複雑な画像処理を必要としない変位センサによって構成される。そして、軌陸車1は、第1〜第4検出器31〜34の検出結果に基づいて、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置等を判断する制御部50を備える。
このため、軌陸車1は、カメラの取得画像を用いて複雑な画像処理を行わなくても、例えば道路Wから軌道Tに進入する際に、軌陸車1を目標の停車位置に容易に停車させることができる。しかも、軌陸車1は、カメラの取得画像が不鮮明となる夜間であるか否かに関わらず、軌陸車1を目標の停車位置に容易に停車させることができる。それにより、軌陸車1は、簡単な構成であっても、一対のレールR1及びR2に対する鉄輪9の位置合わせに関する作業を容易に行うことができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を効率的に行うことができる。
更に、実施形態1に係る軌陸車1は、第1検出器31及び第3検出器33は、軌陸車1が道路Wを走行する際、軌陸車1の前後方向に沿うように配置される。第2検出器32及び第4検出器34は、軌陸車1が軌道Tを走行する際、軌陸車1の車幅方向に沿うように配置される。このため、軌陸車1は、道路Wから軌道Tに進入する際に限らず、載線作業、退線作業、軌道走行、軌道T上での作業及び脱輪復旧作業において、その作業性を容易に向上させることができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡単な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
特に、実施形態1に係る軌陸車1は、道路Wから軌道Tに進入する際、軌陸車1が目標の停車位置で停車したことを報知することができる。このため、作業者は、軌陸車1を目標の停車位置で容易に停車させることができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
また、実施形態1に係る軌陸車1は、載線又は退線する際、張り出されたベース板23が目標の格納姿勢にあることを報知することができる。このため、作業者は、ベース板23を目標の格納姿勢まで容易に旋回させることができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
また、実施形態1に係る軌陸車1は、軌道走行又は軌道T上での作業の際、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2のそれぞれの変位を検出する。そして、軌陸車1は、検出された変位が許容範囲外にある場合には、レールR1及びR2に対する鉄輪9の載置状態に異常があることを報知することができる。このため、作業者は、鉄輪9が脱輪したり軌陸車1が転倒したりする前に、危険を回避する行動を迅速に行うことができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を効率的に行うことができるだけでなく、安全性を高めることもできる。
また、実施形態1に係る軌陸車1は、脱輪復旧の際、鉄輪9がレールR1及びR2の上方の目標位置にあることを報知することができる。このため、作業者は、鉄輪9を目標位置となるよう車体2を容易にスライドさせることができる。よって、実施形態1に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
また、実施形態1に係る軌陸車1は、第1〜第4検出器31〜34がベース板23に設置される。このため、軌陸車1は、一対のレールR1及びR2に対して可能な限り近い位置から一対のレールR1及びR2を検出することができ、高い検出精度を確保することができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る軌陸車1について説明する。実施形態2に係る軌陸車1の説明において、実施形態1に係る軌陸車1と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
実施形態2に係る軌陸車1では、制御部50による制御の下、鉄輪9の位置合わせに関する作業が自動化される。
図8は、実施形態2に係る軌陸車1の機能的構成を示すブロック図である。
制御部50は、プロセッサ及び記憶装置を含み、軌陸車1の各構成要素を統括的に制御する電子制御ユニットであってよい。制御部50の入力側には、第1〜第4検出器31〜34が接続される。制御部50の出力側には、クレーン装置5、道路走行装置6、軌道走行装置8、転車台20の一対のジャッキ21及び旋回モータ26、アウトリガ10のアウトリガビーム11及びアウトリガジャッキ12、並びに、報知機器40が接続される。
旋回モータ26は、旋回機構24を旋回させる油圧モータであり、PTO装置を介して接続されたエンジンによって作動する油圧ポンプによって吐出される作動油により作動する。
制御部50は、第1〜第4検出器31〜34の検出結果に基づいて、クレーン装置5、道路走行装置6、軌道走行装置8、一対のジャッキ21及び旋回モータ26を含む転車台20、アウトリガビーム11及びアウトリガジャッキ12、並びに、報知機器40の動作を制御する。例えば、制御部50は、軌陸車1が道路Wから軌道Tに進入した際、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した場合には、転車台20を格納状態から張出状態とする。また、例えば、制御部50は、軌陸車1が軌道Tを走行する際、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常でないと判断した場合には、軌陸車1の軌道走行を停止又は不能とする。
図9は、実施形態2に係る軌陸車1が道路Wから軌道Tに進入する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ901において、制御部50は、軌陸車1の道路走行を制御する。具体的には、制御部50は、作業者の運転操作に応じて道路走行装置6を制御し、軌陸車1の道路走行を制御する。また、制御部50は、軌陸車1の自動運転機能によって、軌陸車1が軌道Tの略直交方向から軌道Tへ進入するよう道路走行装置6を制御してもよい。
ステップ902において、制御部50は、図4のステップ401と同様の処理を行う。制御部50は、第1検出器31がレールR1を検出していない場合、ステップ901に移行する。一方、制御部50は、第1検出器31がレールR1を検出した場合、ステップ903に移行する。
ステップ903において、制御部50は、図4のステップ402と同様の処理を行う。
ステップ904において、制御部50は、ステップ901と同様の処理を行う。軌陸車1の転車台20は、ステップ901の時点よりも一対のレールR1及びR2の中間に向けて近付き得る。
ステップ905において、制御部50は、図4のステップ403と同様の処理を行う。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出していない場合、ステップ901に移行する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1を略同時に検出した場合、ステップ906に移行する。
ステップ906及びステップ907において、制御部50は、図4のステップ406及びステップ407と同様の処理を行う。
ステップ908において、制御部50は、ステップ901と同様の処理を行う。軌陸車1の転車台20は、ステップ904の時点よりも一対のレールR1及びR2の中間に向けて近付き得る。
ステップ909において、制御部50は、図4のステップ408と同様の処理を行う。制御部50は、第1検出器31がレールR2を検出していないか、第3検出器33がレールR1を検出していない場合、ステップ908に移行する。一方、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR2及びR1をそれぞれ検出した場合、ステップ910に移行する。
ステップ910において、制御部50は、図4のステップ409と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断する。
ステップ911において、制御部50は、軌陸車1の道路走行を停止する。具体的には、制御部50は、作業者の運転操作に応じて道路走行装置6を制御し、軌陸車1の道路走行を停止する。また、制御部50は、軌陸車1の自動運転機能によって、軌陸車1が目標の停車位置で停止するよう道路走行装置6を制御してもよい。
ステップ912において、制御部50は、図4のステップ410と同様の処理を行う。その後、制御部50は、図9の処理を終了する。
図10は、実施形態2に係る軌陸車1が載線する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図10の処理は、図9の処理の後に制御部50によって行われる処理である。制御部50は、図9の処理の後、自動的に図10の処理を開始する。なお、制御部50は、作業者の操作に応じて図10の処理を開始してもよい。
ステップ1001において、制御部50は、転車台20の一対のジャッキ21を伸長してベース板23を張り出し、車体2を持ち上げる。すなわち、制御部50は、図9のステップ910において一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した場合には、ステップ1001において転車台20を格納状態から張出状態とする。この際、制御部50は、車体2が持ち上がることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1002において、制御部50は、旋回モータ26を制御して旋回機構24を旋回させ、軌陸車1が軌道Tに沿った向きとなるよう車体2を水平旋回させる。この際、制御部50は、車体2が旋回することが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1003において、制御部50は、軌道走行装置8を制御し、鉄輪9を張り出す。この際、制御部50は、鉄輪9が張り出されることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1004において、制御部50は、転車台20の一対のジャッキ21を短縮して鉄輪9が一対のレールR1及びR2に載置されるまで車体2を下ろす。この際、制御部50は、車体2が下りることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1005において、制御部50は、旋回モータ26を制御して旋回機構24を旋回させ、ベース板23を旋回させる。この際、制御部50は、ベース板23が旋回することが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1006において、制御部50は、図5のステップ501と同様の処理を行う。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34が一対のレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、ステップ1005に移行する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34が一対のレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ステップ1007に移行する。
ステップ1007において、制御部50は、図5のステップ502と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、車体2に対するベース板23の姿勢が正常であると判断する。
ステップ1008において、制御部50は、旋回モータ26を制御して旋回機構24の旋回を停止させ、ベース板23の旋回を停止する。
ステップ1009において、制御部50は、図5のステップ503と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、車体2に対するベース板23の姿勢が正常であると判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。
ステップ1010において、制御部50は、転車台20の一対のジャッキ21を短縮してベース板23を車体2に格納する。この際、制御部50は、ベース板23が車体2に格納することが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1011において、制御部50は、図5のステップ504と同様の処理を行う。その後、制御部50は、図10の処理を終了する。
図11は、実施形態2に係る軌陸車1が退線する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ1101において、制御部50は、軌陸車1の軌道走行を停止する。具体的には、制御部50は、作業者の運転操作に応じて軌道走行装置8を制御し、軌陸車1の軌道走行を停止する。この際、制御部50は、軌陸車1の自動運転機能によって、軌陸車1が交差地点で停止するよう軌道走行装置8を制御してもよい。
ステップ1102において、制御部50は、図10のステップ1001と同様の処理を行う。
ステップ1103において、制御部50は、軌道走行装置8を制御し、鉄輪9を車体2の下部に格納する。この際、制御部50は、鉄輪9が格納されることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1104において、制御部50は、旋回モータ26を制御して旋回機構24を旋回させ、軌陸車1が道路Wに沿った向きとなるよう車体2を水平旋回させる。この際、制御部50は、車体2が旋回することが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1105において、制御部50は、転車台20の一対のジャッキ21を短縮して車輪7が道路Wに載置されるまで車体2を下ろす。この際、制御部50は、車体2が下りることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1106において、制御部50は、図10のステップ1005と同様の処理を行う。
ステップ1107において、制御部50は、実施形態1と同様に、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出したか否かを判定する。制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、ステップ1106に移行する。一方、制御部50は、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ステップ1108に移行する。
ステップ1108において、制御部50は、ベース板23が目標の格納姿勢にあると判断する。すなわち、制御部50は、車体2に対するベース板23の姿勢が正常であると判断する。ステップ1108における目標の格納姿勢は、図10のステップ1007における目標の格納姿勢と同様である。ステップ1107において、第1検出器31及び第3検出器33がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合には、ベース板23が目標の格納姿勢にあることを意味し得る。
ステップ1109〜ステップ1111において、制御部50は、図10のステップ1008〜ステップ1010と同様の処理を行う。
ステップ1112において、制御部50は、ベース板23が格納され、退線作業が完了したことが報知されるよう報知機器40を制御する。その後、制御部50は、図11の処理を終了する。
図12は、実施形態2に係る軌陸車1が軌道Tを走行する際又は軌道T上で作業する際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ1201において、制御部50は、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を制御する。具体的には、制御部50は、作業者の操作に応じて軌道走行装置8又はクレーン装置5を制御し、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を制御する。この際、制御部50は、軌陸車1の自動運転機能によって軌道走行装置8を制御し、軌陸車1の軌道走行を制御してもよい。
ステップ1202において、制御部50は、図6のステップ601と同様の処理を行う。制御部50は、レールR1及びR2のそれぞれの変位が許容範囲以内である場合、ステップ1201に移行する。一方、制御部50は、レールR1及びR2の少なくとも1つの変位が許容範囲外である場合、ステップ1203に移行する。
ステップ1203において、制御部50は、図6のステップ602と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置及び姿勢の少なくとも1つが正常でないと判断する。
ステップ1204において、制御部50は、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を停止又は不能とする。具体的には、制御部50は、軌道走行装置8又はクレーン装置5を制御し、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を停止又は不能とする。すなわち、制御部50は、軌陸車1が軌道Tを走行する際又は軌道T上で作業する際、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常でないと判断した場合には、軌陸車1の軌道走行又は軌道T上でのクレーン作業を停止又は不能とする。少なくとも、制御部50は、軌陸車1が軌道走行姿勢において、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常でないと判断した場合には、軌陸車1の軌道走行を停止又は不能とする。
ステップ1205において、制御部50は、図6のステップ603と同様の処理を行う。その後、制御部50は、図12の処理を終了する。
図13は、実施形態2に係る軌陸車1を脱輪復旧させる際に制御部50によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図13の処理は、図12の処理の後に制御部50によって行われる処理である。制御部50は、図12の処理の後、作業者の操作に応じて図13の処理を開始する。なお、制御部50は、自動的に図13の処理を開始してもよい。
ステップ1301において、制御部50は、アウトリガビーム11を伸長して車幅方向に張り出す。この際、制御部50は、アウトリガビーム11が張り出されることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1302において、制御部50は、アウトリガジャッキ12を伸長して下方に張り出し、車体2を持ち上げる。この際、制御部50は、車体2が持ち上がることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1303において、制御部50は、アウトリガビーム11を伸縮して車体2を車幅方向にスライドさせる。この際、制御部50は、車体2がスライドすることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1304において、制御部50は、図7のステップ701と同様の処理を行う。制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出していない場合、ステップ1303に移行する。一方、制御部50は、第2検出器32及び第4検出器34がレールR1及びR2をそれぞれ検出した場合、ステップ1305に移行する。
ステップ1305において、制御部50は、図7のステップ702と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断する。
ステップ1306において、制御部50は、アウトリガビーム11を制御し、車体2のスライドを停止する。
ステップ1307において、制御部50は、図7のステップ703と同様の処理を行う。すなわち、制御部50は、一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した結果が報知されるよう報知機器40を制御する。
ステップ1308において、制御部50は、アウトリガジャッキ12を短縮して鉄輪9がレールR1及びR2に載置されるまで車体2を下ろす。すなわち、制御部50は、ステップ1305において一対のレールR1及びR2に対する車体2の位置が正常であると判断した場合には、ステップ1308においてアウトリガ10を格納し、鉄輪9がレールR1及びR2に載置されるまで車体2を下ろす。この際、制御部50は、車体2が下りることが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1309において、制御部50は、アウトリガジャッキ12を短縮すると共にアウトリガビーム11を短縮して、アウトリガジャッキ12及びアウトリガビーム11を格納する。この際、制御部50は、アウトリガジャッキ12及びアウトリガビーム11を格納することが報知されるよう報知機器40を制御してもよい。
ステップ1310において、制御部50は、図7のステップ704と同様の処理を行う。
その後、制御部50は、図13の処理を終了する。
以上のように、実施形態2に係る軌陸車1では、制御部50による制御の下、鉄輪9の位置合わせに関する作業が自動化されるため、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
特に、実施形態2に係る軌陸車1は、道路Wから軌道Tに進入する際、軌陸車1を目標の停車位置に自動で停車させることができる。よって、実施形態2に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
また、実施形態2に係る軌陸車1は、載線する際、転車台20の張り出しから車体2の旋回及び転車台20の格納までの一連の動作を、自動で行うことができる。よって、実施形態2に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
また、実施形態2に係る軌陸車1は、軌道走行又は軌道T上での作業の際、一対のレールR1及びR2のそれぞれの変位が許容範囲外にある場合には、軌道走行又は軌道Tでの作業を自動的に停止又は不能とすることができる。このため、軌陸車1は、鉄輪9が脱輪したり軌陸車1が転倒したりする前に、より迅速且つ確実に危険を回避することができる。よって、実施形態2に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業の安全性を更に高めることができる。
また、実施形態2に係る軌陸車1は、脱輪復旧の際、アウトリガ10の張り出しから車体2のスライド及びアウトリガ10の格納までの一連の動作を、自動で行うことができる。よって、実施形態2に係る軌陸車1は、簡易な構成であっても、鉄輪9の位置合わせに関する作業を更に効率的に行うことができる。
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
上述の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。