JP3771419B2 - 軌道走行作業車の安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電車軌道を走行可能な軌道走行作業車の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
軌道走行作業車は車体上に昇降移動自在な作業台を有しており、電車軌道上を走行しながらトロリ線の保守作業等を行うことができるようになっている。このような軌道走行作業車の中には、軌道走行用車輪の他にタイヤ車輪を有して道路走行が可能な軌陸両用の作業車も知られている。このような軌陸作業車は車体の下部に下方への張り出しと上方への格納が可能な転車台を有しており、踏切内においてこの転車台を張り出させて車体を支持させ、手動若しくは他の動力を用いて車体を水平旋回させることにより道路と軌道との間での載せ替え移動を行うことが可能である。
【0003】
このような軌道走行作業車では、作業台がトロリ線に接触するなどして作業者が感電することを防止する接地用のパンタグラフを備えたものも知られている。この接地用のパンタグラフは上方への張り出し及び下方への格納が可能なように車体上に設けられており、作業を行う前に上方に張り出させてトロリ線に接触させ、軌道走行用車輪及び軌道を介して接地する構成になっている。このようなパンタグラフを用いた感電防止装置においては、作業台を移動させる前に先ずパンタグラフを張り出してトロリ線に接触させる必要があり、また、作業終了後にはパンタグラフよりも先に作業台を格納する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成では作業者の不注意等により、作業終了後に誤って作業台よりも先にパンタグラフを格納してしまうこともあり、作業台がトロリ線に非常に近接している場合には感電の虞が生じるという問題があった。また、上記軌陸作業車においては、パンタグラフの格納よりも先に転車台を張り出して車体の旋回を行った場合にはパンタグラフをトロリ線に引っかけて損傷させてしまう虞があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、軌道上での作業において、作業者の感電とトロリ線の損傷とを確実に防止することが可能な軌道走行作業車の安全装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、第1の本発明においては、軌道走行用車輪(例えば、実施形態における前方鉄輪15及び後方鉄輪16)を備えて電車軌道(例えば、実施形態における軌道R)を走行可能な車体と、車体に設けられた昇降移動自在な作業台と、車体に設けられ、操作入力に応じて上方への張り出し作動及び下方への格納作動を行い、この張り出し作動により軌道の上方に張り渡されたトロリ線と接触する接地用のパンタグラフと、作業台が所定の格納位置に位置しているか否かを検出する作業台格納検出手段(例えば、実施形態における作業台格納検出器71)と、作業台格納検出手段により作業台が所定の格納位置に位置していないことが検出されている状態でパンタグラフを格納作動させる操作入力があったときに警報作動を行う第1の警報手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60の規制制御部62)とを備えて軌道走行作業車の安全装置が構成される。ここで、上記第1の警報手段による警報はパンタグラフの格納作動を禁止するもののほか、ランプやブザー等(例えば、実施形態における警報器82)により作業者に注意を与えるものが含まれる。
【0007】
第1の本発明においては、作業台が所定の格納位置に位置していない状態でパンタグラフを格納させようとしたときには警報が発せられるようになっているので、軌道上での作業終了後、作業者が誤って作業台の格納作動よりも先にパンタグラフの格納作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、パンタグラフの格納作動よりも先に作業台の格納作動が行われるようになる。このため接地が解除された状態で作業台がトロリ線に接触するようなことがなく、作業者の感電が防止される。
【0008】
また、第2の本発明においては、上記第1の本発明に係る軌道走行作業車の安全装置の構成に加え、車体に備えられ、道路を走行可能とするタイヤ車輪と、車体に設けられ、操作入力に応じて下方への張り出し作動及び上方への格納作動を行い、この張り出し作動により車体が支持された状態で車体を水平旋回させることにより車体を軌道と道路との間で載せ替え移動させる転車台と、パンタグラフが所定の格納位置に位置しているか否かを検出するパンタグラフ格納検出手段(例えば、実施形態におけるパンタグラフ格納検出器72)と、パンタグラフ格納検出手段によりパンタグラフが所定の位置に位置していないことが検出されている状態で転車台を張り出し作動させる操作入力若しくは車体を水平旋回させる操作があったときに警報作動を行う第2の警報手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60の規制制御部62)とを備える。ここで、上記第2の警報手段による警報は転車台の張り出し作動及び車体の水平旋回を禁止するもののほか、ランプやブザー等(例えば、実施形態における警報器82)により作業者に注意を与えるものが含まれる。
【0009】
第2の本発明においては、パンタグラフが所定の格納位置に位置していない状態で転車台を張り出させようとしたとき若しくは転車台により支持された車体を水平旋回させようとしたときには警報が発せられるようになっているので、軌道上での作業終了後、作業者が誤ってパンタグラフの格納作動よりも先に転車台の張り出し作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、転車台の張り出し作動若しくは車体の水平旋回よりも先にパンタグラフの格納作動が行われるようになる。このためパンタグラフをトロリ線に引っかけて損傷させてしまうような事態が防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図2は、第1及び第2の本発明に係る安全装置を備えた軌道走行作業車の一例としての軌陸作業車1を示している。この軌陸作業車1は、運転席11及びその後方に設けられた車台12を有してタイヤ車輪13により道路走行が可能な車体10と、車台12上に設けられた旋回台20と、この旋回台20から上方に延びた支柱21にフートピン22で取り付けられてブーム起伏シリンダ23により起伏可能なブーム30と、このブーム30の先端部に設けられた作業台40とを有して構成されている。
【0011】
旋回台20は車体10内に設けられたブーム旋回モータ24により水平旋回動が可能になっており、これによりブーム30を360度旋回させることが可能になっている。ブーム30は複数のブーム部材が入れ子式に構成されており、内蔵されたブーム伸縮シリンダ31により伸縮動が可能になっている。作業台40はブーム30の先端部に設けられて常時垂直状態が保持される垂直ポスト32を介して取り付けられており、これにより作業台40の床面は常に水平に保たれるようになっている。また、作業台40は垂直ポスト32に水平旋回自在に取り付けられており、作業台40内に設けられた作業台旋回モータ41により水平旋回動が可能になっている。
【0012】
作業台40上には操作装置50が設けられており、ここに備えられたブーム操作レバー51及び作業台操作レバー52をそれぞれ手動操作することにより、ブーム30の起伏、伸縮、旋回及び作業台40の水平旋回を行うことができるようになっている。
【0013】
車体10の前後左右4箇所、各タイヤ車輪13の後方には鉄輪支持部材14が上下揺動自在に取り付けられており、前方2箇所の鉄輪支持部材14には前方鉄輪15が、後方2箇所の鉄輪支持部材14には後方鉄輪16がそれぞれ回転自在に取り付けられている。これら鉄輪15,16は、車台12の下部と各々の鉄輪支持部材14との間に設けられた図示しない鉄輪張出格納用シリンダの作動により、下方への張り出しと上方への格納が可能になっている。
【0014】
車体10の下部には、車体10を道路と軌道Rとの間で載せ換え移動するための転車台17が下方に突出して設けられている。この転車台17は車体10に内蔵された転車台張出格納シリンダ18の伸縮作動により下方への張り出しと上方への格納が可能になっている。この転車台張出格納シリンダ18の作動操作は操作装置50に備えられた転車台張出格納スイッチ53により行われる。
【0015】
また、この軌陸作業車1には、軌道R上での作業に際し、軌道Rの上方に張り渡されたトロリ線Tの電気を軌道R側に逃がして(アースして)作業者の感電を防止する感電防止装置100が設けられている。この感電防止装置100は、運転席11後方の車台12上から上方に延びるとともに運転席11の上方に屈曲して延びて設けられた支持部材110と、この支持部材110の先端部に設けられて運転席11の上方に位置するパンタグラフ120と、このパンタグラフ120と電気的に接続したアース用の接地線131とを有して構成されている。
【0016】
パンタグラフ120は支持部材110に基部が取り付けられた第1アーム121と、第1アーム121の先端部に基部が取り付けられた第2アーム122と、第2アーム122の先端部に取り付けられたスリ板123とを有して構成されている。第1アーム121及び第2アーム122は図2には示していないパンタグラフ張出格納シリンダ124の伸縮作動により連動して起伏させることができるようになっており、これにより左右方向(図2の紙面に垂直な方向)に延びたスリ板123を昇降移動させてトロリ線Tに接触させることが可能になっている。なお、このパンタグラフ120の作動操作は作業台40上の操作装置50に設けられたパンタグラフ張出格納スイッチ54により行われ、接地に使用されないときには所定の格納位置、すなわち第1アーム121と第2アーム122をともに水平状態にさせる位置に位置される。
【0017】
アース用の接地線131はスリ板123から両アーム121,122及び支持部材110に沿って下方に延びており、車体10内を通って車台12の後部から左側又は右側の後方鉄輪16に接続されている。なお、前方鉄輪15及び後方鉄輪16はそれぞれ車体10から電気的に絶縁された構成となっている。
【0018】
図1は本発明に係る安全装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、ブーム操作レバー51の操作によるブーム起伏シリンダ23、ブーム伸縮シリンダ31、ブーム旋回モータ24の作動、作業台操作レバー52の操作による作業台旋回モータ41の作動、転車台張出格納スイッチ53の操作による転車台張出格納シリンダ18の作動及びパンタグラフ張出格納スイッチ54の操作によるパンタグラフ張出格納シリンダ124の作動はいずれもコントローラ60のバルブ制御部61を介して行われるようになっている。
【0019】
また、この軌陸作業車1の車体10上には所定の格納状態にあるブーム30の下面部が載置されるブーム受け19が設けられており、このブーム受け19上には、作業台40が格納位置に位置しているか否かを検出する作業台格納検出器71が設けられている。この作業台格納検出器71はリミットスイッチからなっており、ブーム30が格納位置に位置しているとき、すなわちブーム30がブーム受け19に載置されているときにはブーム30の下面に押圧されてオン信号を出力するが、ブーム30が格納位置に位置していないとき、すなわちブーム30がブーム受け19に載置されていないときにはこの押圧から解放されてオフ信号を出力する。なお、作業台40はブーム30がブーム受け19に載置される前に所定の旋回姿勢(格納対応姿勢)に位置されるので、ブーム30がブーム受け19に載置されている状態では作業台40は格納姿勢にあることになる。
【0020】
この作業台格納検出器71から出力されるオンオフ信号はコントローラ60の規制制御部62に入力されるが、この規制制御部62は作業台格納検出器71により作業台40が格納位置に位置していることが検出されているとき、すなわち作業台格納検出器71よりオン信号が入力されているときにのみパンタグラフ120の格納作動を許可する制御を行う。すなわち規制制御部62は、作業台格納検出器71からオン信号が入力されている状態ではパンタグラフ張出格納スイッチ54の操作によるパンタグラフ張出格納シリンダ124の張り出し及び格納作動を自由に行わせるが、作業台格納検出器71からオフ信号が入力されている状態でパンタグラフ張出格納スイッチ54の操作によるパンタグラフ120を格納させる操作入力があったときにはバルブ制御部61に規制信号を出力してパンタグラフ張出格納シリンダ124の格納方向への作動を禁止する。
【0021】
また、コントローラ60の規制制御部62は、作業台格納検出器71からのオンオフ信号を用いて操作装置50に設けられた表示パネル81に作業台40が現在格納位置にあるか否かを表示するとともに、作業台40が格納位置に位置していないにも拘わらずパンタグラフ120が格納されようとしたとき、すなわち作業台格納検出器71よりオフ信号が入力されている状態でパンタグラフ張出格納スイッチ54の操作によるパンタグラフ120を格納させる操作入力があった場合には警報信号を出力して警報器82を作動させる。なお、この警報器82は操作装置50に設けられたブザーやランプ等である。或いは上記表示パネル81に警報を表示させるようにしてもよい。
【0022】
一方、パンタグラフ120の第1アーム121上には、パンタグラフ120が格納位置に位置しているか否かを検出するパンタグラフ格納検出器72が設けられている。このパンタグラフ格納検出器72はリミットスイッチからなっており、パンタグラフ120が格納位置に位置しているとき、すなわち両アーム121,122がともに水平状態になって第1アーム121の上面に第2アーム122が位置しているときには第2アーム122の下面に押圧されてオン信号を出力するが、パンタグラフ120が格納位置に位置していないとき、すなわち両アーム121,122がともに水平状態になっていないときにはこの押圧から解放されてオフ信号を出力する。
【0023】
このパンタグラフ格納検出器72から出力されるオンオフ信号はコントローラ60の規制制御部62に入力されるが、この規制制御部62はパンタグラフ格納検出器72によりパンタグラフ120が格納位置に位置していることが検出されているとき、すなわちパンタグラフ格納検出器72よりオン信号が入力されているときにのみ転車台17の張り出し作動を許可する制御を行う。すなわち規制制御部62は、パンタグラフ格納検出器72からオン信号が入力されている状態では転車台張出格納スイッチ53の操作による転車台張出格納シリンダ18の張り出し及び格納作動を自由に行わせるが、パンタグラフ格納検出器72からオフ信号が入力されている状態で転車台張出格納スイッチ53の操作による転車台17を張り出させる操作入力があったときにはバルブ制御部61に規制信号を出力して転車台張出格納シリンダ18の張り出し方向への作動を禁止する。
【0024】
また、コントローラ60の規制制御部62は、パンタグラフ格納検出器72からのオンオフ信号を用いて操作装置50に設けられた上記表示パネル81にパンタグラフ120が現在格納位置にあるか否かを表示するとともに、パンタグラフ120が格納位置に位置していないにも拘わらず転車台17が張り出されようとしたとき、すなわちパンタグラフ格納検出器72よりオフ信号が出力されている状態で転車台張出格納スイッチ53の操作による転車台17を張り出させる操作入力があった場合にも上記警報器82を作動させ、若しくは表示パネル81に警報を表示させる。
【0025】
次に、この軌陸作業車1を用いて軌道R上での高所作業、例えばトロリ線Tの保守点検等を行う手順について説明する。このような高所作業を行うには、先ず作業者が運転席11から運転して道路走行を行い、軌陸作業車1を作業現場最寄りの踏切へ移動させる。ここで、道路上を移動するときには鉄輪15,16は上方に格納した状態とし、タイヤ車輪13により走行する。また、ブーム30は全縮状態で前方に倒伏させ、ブーム30をブーム受け19に載置させた格納状態とする。
【0026】
踏切に到着したら前後のタイヤ車輪13により踏切を跨ぐようにして停止し、操作装置50から転車台張出格納スイッチ53の操作を行って転車台張出格納シリンダ18を作動させ、転車台17を車体10の下方へ張り出させる。車体10が転車台17により持ち上げ支持されたら車体10を手で押して約90度旋回させる。これにより車体10の方向が軌道Rの方向に一致したら前述の鉄輪張出格納用シリンダを作動させて鉄輪15,16を下方に張り出させ、転車台張出格納スイッチ53を操作して転車台17を格納させながら鉄輪15,16を軌道R上に位置させ、車体10を軌道R上に降ろす。このようにして軌陸作業車1を道路上から軌道R上に載せ換え移動させる。
【0027】
軌道R上への載せ換えが移動終わったら、運転席11から車体10内に設けられた走行モータ(図示せず)の作動操作を行い、これにより鉄輪15,16を駆動して軌道R上を走行移動する。なお、この走行制御は作業台40上の操作装置50からも可能であるが、安全上、操作装置50からは低速での走行のみが可能である。
【0028】
作業現場に到着したら作業者は車台12から作業台40に搭乗し、操作装置50からパンタグラフ張出格納スイッチ54の操作を行ってパンタグラフ張出格納シリンダ124を作動させ、パンタグラフ120を上方へ張り出させてスリ板123をトロリ線Tに接触させる。このようにしてパンタグラフ120をトロリ線Tに接触させるとトロリ線Tと軌道R(すなわち地面)とは短絡するので、トロリ線T内の電流はパンタグラフ120及び接地線131を介してアースされる。ここで、上述したように、後方鉄輪16は車体10から電気的に絶縁された構成となっているのでアース電流が車体10内を流れることはなく、また、左右の後方鉄輪16も互いに絶縁された状態にあるので、左右の軌道Rのうち一方の軌道にしか電流は流れない。
【0029】
このようにして接地が行われたら操作装置50よりブーム操作レバー51と作業台操作レバー52との操作を行ってブーム30を起伏、伸縮、旋回作動させ、或いは作業台40を旋回作動させて作業台40を所望の位置に移動させる。ここでは安全のため、パンタグラフ120がトロリ線Tに接触した状態でなければ格納位置からブーム30を作動させることができないようにするインターロックがコントローラ60により行われるようになっていることが好ましい。但し、非電化区間において作業を行うこともあり、このようなときにはパンタグラフ120を張り出して用いる必要はないので、このインターロックを解除することができる構成も必要である。
【0030】
トロリ線Tの点検作業等が終わったら操作装置50からブーム操作レバー51及び作業台操作レバー52の操作を行ってブーム30をブーム受け19に載置させ、作業台40を格納位置に位置させる。そして作業台40が格納位置に位置したことを操作装置50の表示パネル81で確認したら、パンタグラフ張出格納スイッチ54を操作してパンタグラフ張出格納シリンダ124を作動させ、パンタグラフ120を格納作動させる。ここで、作業台40が格納位置に位置していない状態でパンタグラフ120を格納させる操作入力を行っても、前述のように規制制御部62はこれを禁止するため、作業台40が未格納の状態でパンタグラフ120の格納作動が行われることはない。
【0031】
なお、非電化区間においてパンタグラフ120を張り出させずに作業台40を上方に移動させて作業を行っており、誤ってパンタグラフ120を張り出させてしまったような場合においても作業台40を格納させなければパンタグラフ120を格納できないようでは作業性が悪くなるので、このような場合には作業台40を格納させていなくてもパンタグラフ120を格納できる構成にすることが好ましい。これは例えば、規制制御部62が、操作装置50に設けた規制解除スイッチが操作されて規制解除信号が出力されているときには作業台格納検出器71よりオフ信号が出力されていてもパンタグラフ120の格納作動を許可する、すなわち上記規制解除信号が出力されているときには規制制御部62がパンタグラフ張出格納シリンダ124の格納方向への作動を禁止する規制信号を出力しないようにすることにより実現できる。
【0032】
このように第1の本発明に係る安全装置においては、作業台40が所定の格納位置に位置していない状態でパンタグラフ120を格納させようとしたときには警報が発せられる(パンタグラフ120の格納作動の禁止及び警報器82等の作動)ようになっているので、軌道R上での作業終了後、作業者が誤って作業台40の格納作動よりも先にパンタグラフ120の格納作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、パンタグラフ120の格納作動よりも先に作業台40の格納作動が行われるようになる。このため接地が解除された状態で作業台40がトロリ線Tに接触するようなことがなく、作業者の感電が防止される。
【0033】
次に、パンタグラフ120を格納作動させてパンタグラフ120が格納位置に位置したことを操作装置50の表示パネル81で確認したら、運転席11から前述の走行モータの駆動操作を行って鉄輪15,16により軌道R上を走行移動して近くの踏切まで移動し、そこで転車台17を張り出して車体10を軌道Rから道路へ載せ替え移動する。
【0034】
また、このように作業終了後にもとの進行方向と同じ方向に走行して踏切まで移動するのではなく、もとの進行方向とは逆の方向に走行して踏切まで移動する場合には、パンタグラフ120が格納位置に位置したことを表示パネル81で確認した後、転車台張出格納スイッチ53を操作して転車台張出格納シリンダ18を作動させ、転車台17を張出作動させた後、車体10を手で押して180度旋回させる。これにより車体10の方向が軌道Rの方向に一致したら鉄輪15,16を再び軌道R上に位置させ、車体10を軌道R上に降ろして軌道R上を走行する。ここで、パンタグラフ120が格納位置に位置していない状態で転車台17を張り出させる操作入力を行っても、前述のように規制制御部62はこれを禁止するため、パンタグラフ120が未格納の状態で転車台17の張り出し作動が行われることはない。
【0035】
このように第2の本発明に係る安全装置においては、パンタグラフ120が所定の格納位置に位置していない状態で転車台17を張り出させようとしたときには警報が発せられる(転車台17の張り出し作動の禁止及び警報器82の作動等)ので、軌道R上での作業終了後、作業者が誤ってパンタグラフ120の格納作動よりも先に転車台17の張り出し作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、転車台17の張り出し作動よりも先にパンタグラフ120の格納作動が行われるようになる。このためパンタグラフ120をトロリ線Tに引っかけてこれを損傷させてしまうような事態が防止される。
【0036】
これまで本発明の実施形態について説明したきたが、本発明の範囲は上述のものに限定されるものではない。例えば、作業台格納検出器71及びパンタグラフ格納検出器72は作業台40とパンタグラフ120とがそれぞれ所定の位置にあることを検出できればよいので、上述のようなリミットスイッチに替えて光センサなどを用いることも可能である。
【0037】
また、転車台17により車体10を持ち上げ支持させた状態で車体10の方向を変えるには車体10を手で押して行うようにように説明したが、転車台17と車体10とを相対回転させることが可能な油圧モータ等の動力源を車体10に内蔵し、このような動力を用いて車体10の方向を変えるようにしてもよい。このような構成を採用する場合には、パンタグラフ120が所定の格納位置に位置しているときにのみ転車台17の張り出し作動が許可される構成とする代わりに(或いはこれとともに)、パンタグラフ120が所定の格納位置に位置しているときにのみ転車台17の旋回作動が許可される構成、すなわちパンタグラフ格納検出器72よりオフ信号が出力されている状態で転車台17を水平旋回させる操作があったときに(これには別途設けた転車台17の旋回作動入力を検出する転車台旋回検出器を用いる)、転車台17の水平旋回の禁止及び(若しくは)警報器82の作動、表示パネル81への警報表示等が行われる構成としてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では第1及び第2の本発明を一つの軌道走行作業車(軌陸作業車1)に適用したが、これら両発明はそれぞれ独立して適用することが可能である。特に、作業台40が所定の格納位置に位置しているときにのみパンタグラフ120の格納作動が許可される第1の本発明の構成は、上記軌陸作業車1のような軌道Rと道路との両方を走行可能な軌陸両用の作業車のほか、軌道のみを走行可能な軌道走行作業車をその適用対象とすることができる。また、軌道のみの走行が可能であると軌陸両方の走行が可能であるとを問わず、その作業車の形態は上述のようなブーム30式の作業車に限られず、作業台40を垂直昇降式のシザース装置や昇降ポスト装置で昇降させる形態の作業車であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の本発明に係る軌道走行作業車の安全装置においては、作業台が所定の格納位置に位置していない状態でパンタグラフを格納させようとしたときには警報が発せられるようになっているので、軌道上での作業終了後、作業者が誤って作業台の格納作動よりも先にパンタグラフの格納作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、パンタグラフの格納作動よりも先に作業台の格納作動が行われるようになる。このため接地が解除された状態で作業台がトロリ線に接触するようなことがなく、作業者の感電が防止される。
【0040】
また、第2の本発明に係る軌道走行作業車の安全装置においては、パンタグラフが所定の格納位置に位置していない状態で転車台を張り出させようとしたとき若しくは転車台により支持された車体を水平旋回させようとしたときには警報が発せられるようになっているので、軌道上での作業終了後、作業者が誤ってパンタグラフの格納作動よりも先に転車台の張り出し作動を行おうとした場合には作業者に注意が喚起され、転車台の張り出し作動若しくは車体の水平旋回よりも先にパンタグラフの格納作動が行われるようになる。このためパンタグラフをトロリ線に引っかけて損傷させてしまうような事態が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記安全装置を備えた軌陸作業車の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 軌陸作業車(軌道走行作業車)
10 車体
13 タイヤ車輪
15,16 鉄輪(軌道走行用車輪)
17 転車台
30 ブーム
40 作業台
53 転車台張出格納スイッチ
54 パンタグラフ張出格納スイッチ
60 コントローラ
61 バルブ制御部
62 規制制御部(第1及び第2の警報手段)
71 作業台格納検出器(作業台格納検出手段)
72 パンタグラフ格納検出器(パンタグラフ格納検出手段)
120 パンタグラフ
R 軌道(電車軌道)
T トロリ線
Claims (2)
- 軌道走行用車輪を備えて電車軌道を走行可能な車体と、
前記車体に設けられた昇降移動自在な作業台と、
前記車体に設けられ、操作入力に応じて上方への張り出し作動及び下方への格納作動を行い、前記張り出し作動により前記軌道の上方に張り渡されたトロリ線と接触する接地用のパンタグラフと、
前記作業台が所定の格納位置に位置しているか否かを検出する作業台格納検出手段と、
前記作業台格納検出手段により前記作業台が前記所定の格納位置に位置していないことが検出されている状態で前記パンタグラフを前記格納作動させる操作入力があったときに警報作動を行う第1の警報手段とを備えたことを特徴とする軌道走行作業車の安全装置。 - 前記車体に備えられ、道路を走行可能とするタイヤ車輪と、
前記車体に設けられ、操作入力に応じて下方への張り出し作動及び上方への格納作動を行い、前記張り出し作動により前記車体が支持された状態で前記車体を水平旋回させることにより前記車体を前記軌道と前記道路との間で載せ替え移動させる転車台と、
前記パンタグラフが所定の格納位置に位置しているか否かを検出するパンタグラフ格納検出手段と、
前記パンタグラフ格納検出手段により前記パンタグラフが前記所定の位置に位置していないことが検出されている状態で前記転車台を前記張り出し作動させる操作入力若しくは前記車体を前記水平旋回させる操作があったときに警報作動を行う第2の警報手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の軌道走行作業車の安全装置。
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