JP2006282302A - アウトリガの安全装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高価な検出器が複数必要なアウトリガの作動操作を検出することなく、アウトリガの張出量検出手段の異常を検出することができるアウトリガの安全装置を提供する。
【解決手段】アウトリガの安全装置50は作業装置及びアウトリガの作動を制御するコントローラCNTと、コントローラCNTへの電力を供給又は遮断する電源スイッチSWと、アウトリガの張出量を検出する張出量検出器100,200,300,400とを備える。そして、コントローラCNTは検出された張出量を更新記憶し、電源スイッチSWにより電力が遮断されても記憶内容を保持することができる記憶部81と、電力が再び供給されたときに、張出量検出器により検出された張出量と、記憶部81により記憶されていた最新の記憶値とを比較し、前記張出量と前記記憶値の差が所定範囲を超えて変化していたときに、張出量検出器が異常であると判断する判断部82とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走行可能な車体取り付けられて、車体側方及び下方に張り出して前記車体を支持するアウトリガの安全装置に関し、特にアウトリガの張出量検出手段の異常を点検して安全を確保する安全装置に関する。
例えば、高所作業車やクレーン車のように、車体上に起伏、旋回等が自在なブームを備えた作業車の車体の前後左右には、作業時に車体を安定支持するためのアウトリガが取り付けられている。このアウトリガは、車体側方に向かって伸縮自在に挿入されたアウトリガビームと、このアウトリガビームの先端に取り付けられたジャッキとからなるアウトリガ(アウトリガジャッキ装置)がある。
このアウトリガは、アウトリガビームを張出させた後、ジャッキを接地させることによりブームの自重や先端荷重をもとに車体を転倒させる方向に作用するモーメント(以下、転倒モーメントという)に抗して車体を安定に支持することができる。
車体に作用する転倒モーメントは、ブームの起伏角度及び伸縮量等のブーム作動範囲によって変化し、アウトリガにより支持可能な転倒モーメントの大きさは、アウトリガビームの張出量(アウトリガの張り幅)によって変化することとなる。このため、上記のようなアウトリガを備えた高所作業車においては、アウトリガビームの張出量に応じてブーム作動範囲を規制するブーム作動範囲規制手段を設けることがある。
適切なブーム作動範囲規制を行うためには、アウトリガビームの張出量を正確に検出する必要があり、アウトリガビームの張出量の検出を行う検出装置としては、ポテンショメータによってアウトリガビームの張出量を検出するようにしたものがある。このような構成の検出装置においては、検出装置の不具合によって不適切なブームの作動範囲規制が行われることを防止するために、検出装置の安全装置を設ける必要がある。
このような安全装置として、ポテンショメータ(伸縮量検出手段)によりアウトリガビームの張出量を検出するとともに、作動操作検出手段によりアウトリガビームの伸縮作動操作を行っているかを検出して、アウトリガビームの伸縮作動操作が行われていない状態でのポテンショメータの異常、例えば、ポテンショメータからの検出信号が送られなくなったり(断線)、一定値以上の検出信号を出力したままだったり(短絡)したときに、警報ブザーや警報ランプ等による警報作動を行い、作業者に注意を喚起するものが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平8−268694号公報
ところで、特許文献1に示すような高所作業車では、車体の前後左右に設けられたアウトリガは、各アウトリガに対応して設けられた操作レバー等の操作装置を操作することによって別個に伸縮作動できるように構成されている。このため、特許文献1のような安全装置では、アウトリガビームの伸縮作動操作を検出するために、高価である作動操作検出手段を全てのアウトリガに設けなければならず、製造コストの上昇に繋がるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、高価な検出器が複数必要なアウトリガの作動操作を検出することなく、安価な構成でアウトリガのポテンショメータ(張出量検出手段)の異常を検出することができるアウトリガの安全装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のアウトリガの安全装置は、走行可能な車両と、前記車両の車体に取り付けられ、所定の作業を行う作業装置(例えば、本実施形態におけるブーム5,作業台9)と、前記車体に取り付けられ、前記車体側方及び下方に張り出して前記車体を支持するアウトリガと、電力供給を受けて前記作業装置及び前記アウトリガの作動を制御する作動制御装置(例えば、本実施形態におけるコントローラCNT)と、前記作動制御装置への電力を供給又は遮断する電源スイッチと、前記アウトリガの前記車体の側方への張出量を検出する張出量検出手段(例えば、本実施形態における張出量検出器100,200,300,400)とを備え、前記作動制御装置は、前記張出量検出手段により検出された前記張出量を更新記憶し、前記電源スイッチにより電力が遮断されても記憶内容を保持することができる記憶手段(例えば、本実施形態における記憶部81)と、前記電源スイッチにより電力が再び供給されたときに、前記張出量検出手段により検出された前記張出量と、前記記憶手段により記憶されていた最新の記憶値とを比較し、前記張出量と前記最新の記憶値との差が所定範囲を超えて変化していたときに、前記張出量検出手段が異常であると判断する判断手段(例えば、本実施形態における判断部82)とを有して構成される。
また、本発明のアウトリガの安全装置は、走行可能な車両と、前記車両の車体に取り付けられ、所定の作業を行う作業装置(例えば、本実施形態におけるブーム5,作業台9)と、前記車体に取り付けられ、前記車体側方及び下方に張り出して前記車体を支持するアウトリガと、電力供給を受け、前記作業装置及び前記アウトリガの作動を制御する作動制御装置(例えば、本実施形態におけるコントローラCNT)と、前記作動制御装置への電力を供給又は遮断する電源スイッチと、前記アウトリガが接地しているか否かを検出する接地状態検出手段(例えば、本実施形態における接地状態検出器60)と、前記アウトリガの前記車体の側方への張出量を検出する張出量検出手段(例えば、本実施形態における張出量検出器100,200,300,400)とを備え、前記作動制御装置は、前記電源スイッチにより電力が供給されたときに、前記接地状態検出手段により全ての前記アウトリガにおいて未接地状態が検出され、且つ、前記張出量検出手段により全ての前記アウトリガにおいて最小張出量が検出されなかった場合、前記張出量検出手段が異常であると判断する判断手段(例えば、本実施形態における判断部82´)とを有して構成される。
なお、前記作動制御装置は、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、警報作動を行う警報手段(例えば、本実施形態における警報装置90)、及び、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、前記アウトリガの前記張出量が最小値であっても、前記高所作業車が転倒することがない作動範囲内での前記ブームの作動を許容するブーム作業規制手段の少なくとも一方を有して構成されることが好ましい。
このように、本発明のアウトリガの安全装置は、作動制御装置の電源を遮断して再び電源を投入したときに、従来から設けられている張出量検出手段を利用して、電源遮断前と電源再投入時におけるアウトリガの張出量とを比べ、この張出量が所定量以上変位している場合に、ポテンショメータが異常であると判断するように構成される。その結果、電源が遮断されている間に発生したアウトリガの異常(例えば、ポテンショメータの構成部材であるケーブルの断線や基準位置のずれの発生等)を検出することができるため、作業の安全性をより高めることができる。さらに、従来のように各アウトリガの作動操作を検出する高価な作動操作検出器を設ける必要がないため、製造コストを抑えることができる。
ところで、通常、高所作業車では、作業姿勢のままで休憩等により電源を遮断してから電源を再び入れたときに、全てのアウトリガは接地状態であり且つ車体側方へ所定量を張り出している状態が検出される。言い換えれば、通常の作業姿勢においては、全てのアウトリガが接地していないにも拘らず、車体側方へ張り出しているという状態は想定し難い。
このような前提を踏まえ、本発明のアウトリガの安全装置は、電源を投入したときに、従来から設けられている接地状態検出手段及び張出量検出手段を利用して、全てのアウトリガが接地しているか否かを検出するとともにこれらの張出量を検出し、全てのアウトリガにおいて接地が検出されないにも拘らず、最小張出量(全縮状態)が検出されなかった場合、すなわち車体側方への張り出しが行われていると検出された場合は、ポテンショメータが異常(例えば、ポテンショメータの構成部材であるケーブルの断線や基準位置のずれの発生等)であると判断するように構成して、作業の安全性を確保している。さらに、従来のように各アウトリガの作動操作を検出する高価な作動操作検出器を設ける必要がないため、製造コストを抑えることができる。
なお、本発明のアウトリガの安全装置は、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、警報作動を行う警報手段、及び、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、前記アウトリガの前記張出量が最小値であっても、前記高所作業車が転倒することがない作動範囲内での前記ブームの作動を許容するブーム作業規制手段の少なくとも一方を備えて構成されることが好ましい。その結果、ポテンショメータの異常時に、警報ブザーや警報ランプ等による警報作動が行われ、作業者に注意が喚起されるので、作業の安全性をより高めることができる。また、警報作動が行われているときであっても、車体が転倒するおそれのない作動範囲内でブームの作動が許容されるため、例えば、張出量検出手段に異常が発見されたときに、未格納状態のブームの位置が作動範囲内にあった場合は、ブームを移動させて車体上に格納できるなど、安全確保のための必要なブームの作業を効率良く行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明に係るアウトリガの安全装置を備えた高所作業車について、図1及び図2を参照しながら説明する。
高所作業車1は、前部に運転キャビン2aを有したトラック車両からなり、前後輪3を有してエンジンEにより走行可能に構成される。車体2の後方上に旋回モータ(油圧モータ)4mにより旋回作動可能に旋回台4が配設されている。旋回台4にはブーム5が起伏シリンダ6により起伏作動可能に枢結されている。また、ブーム5は入れ子式に構成されており、内蔵の伸縮シリンダ7により伸縮作動可能である。
ブーム5は、ブーム受け5aに載置されて格納されるように構成され、作業を行わない場合(例えば、作業開始前や作業終了後)には、ブーム5を全縮状態にした上で車体2の前方に延ばしてほぼ水平に倒伏させ、車体2に設けられたブーム受け5aの上に載置して格納する。
ブーム5の先端部には、上下に揺動可能に垂直ポスト8が配設されている。この垂直ポスト8は、レベリング機構8aにより、ブーム5の起伏角度如何に拘わらず、常に鉛直上方を向くようにレベリング制御が行われる。垂直ポスト8には、首振り作動モータ9mにより水平旋回作動(首振り作動)可能に作業台9が取り付けられている。
作業台9には、ブーム操作装置9aが設けられている。このブーム操作装置9aには、旋回台4の旋回作動を行わせる旋回操作レバー、ブーム5の起伏及び伸縮作動を行わせるため起伏・伸縮操作レバー等が設けられており、作業台9に搭乗した作業者が、旋回台4の旋回操作やブーム5の起伏,伸縮操作等を行うことができるようになっている。このような操作装置9aにおいて、搭乗した作業者により旋回台4及びブーム5の操作がなされると、操作内容(すなわち、各操作レバーの傾動方向且つ傾動角度)に対応した操作信号が車体2側に設けられた後述するコントローラCNTに出力される。なお、車体2の後方にも、作業台9に設けられたブーム操作装置9aとほぼ同様の機能を有するブーム操作装置2bが設けられている。
このような構成の高所作業車1では、図1に示すように、車体2に設けられたエンジンEの動力はトランスミッションTMを介して車輪3に伝達される。トランスミッションTMには、パワーテイクオフ機構PTOが組み込まれており、運転キャビン2a内の運転席にある切換レバー2c(図1参照)を手動操作してパワーテイクオフ機構PTOの機構部を作動させることにより、エンジンEによる駆動先を車輪3から油圧ポンプPに切り換えることができる。この切換レバー2cの操作は、旋回台4やブーム5等の作動制御を行うコントローラCNTの電源バッテリBTをオン・オフさせる、つまりコントローラCNTへの電力を供給・遮断する電源スイッチSWと連動している。具体的には、切換レバー2cを車輪3の駆動側のポジションに移動させているときには電源スイッチSWはオフであり、切換レバー2cを油圧ポンプPの駆動側に位置させているときには電源スイッチSWはオンとなる。これにより、油圧ポンプPが駆動されておらず、コントローラCNTの動作が必要ないときにはコントローラCNTへの電力供給が遮断されるので、電源バッテリBTの電力消費量が抑えられるようになっている。
なお、図1では明記していないが、電源バッテリBTの電力は、上記コントローラCNTだけでなく、ブーム操作装置2b,9a、アウトリガ操作装置2d、パワーテイクオフ機構PTO、後述する制御バルブV、張出量検出器100,200,300,400、警報装置90などに供給されている。
切換レバー2cが油圧ポンプPの駆動側のポジションに位置されている状態では、エンジンEにより駆動される油圧ポンプPからの圧油は制御バルブVを介して、旋回モータ4,起伏シリンダ6と伸縮シリンダ7,首振りモータ9mへ供給可能である。また、この状態ではコントローラCNTの電源はオンとなっており、コントローラCNTは上記操作レバーの操作により操作信号(操作レバーの傾動方向や傾動量)が出力されたときには、この操作信号に基づいて制御バルブVを電磁駆動して、旋回モータ4,起伏シリンダ6及び伸縮シリンダ7、首振りモータ9mを作動させる。このため、作業台9に搭乗した作業者は、ブーム操作装置9aからレバー操作することにより、所望の位置に移動して作業を行うことができるようになっている。
なお、高所作業車1には、上記のように作業台9を所望の位置に移動して作業を行う際に、車体2が安定した状態でできるように、車体2の前後左右の4ヵ所にアウトリガが配設されている(図2では、車体2における左側前後に配設されたアウトリガ10,20と、右側後方に配設されたアウトリガ30が描かれているが、右側前方に配設されたアウトリガは不図示である)。
アウトリガは、車体2の側方に向かって伸縮可能に構成され、張出量が多いほど車体2を安定支持することができ、作業台9の移動範囲(ブーム5の作動範囲)は広くなる。なお、このアウトリガの作動は、車体2の後端に設けられているアウトリガ操作装置2dを作業者が操作することにより行われる。アウトリガ操作装置2dには、各アウトリガに対応して操作レバーが設けられている(図2では、操作レバーの一部を省略している)。
ここで、図3を加えて、車体2の左側後方に配設された左後アウトリガ10を例にとって、アウトリガの構成について説明する。
アウトリガ10は、車体2に取り付けられたアウトリガボックス2a内にアウトリガシリンダ13(図1参照)により車体2の側方に向かって伸縮可能にアウトリガビーム11が挿入され、そのアウトリガビーム11の先端にジャッキ12が取り付けられている。ジャッキ12は、アウタポスト12aと、アウタポスト12a内にジャッキシリンダ14(図1参照)により下方に向かって伸縮可能に挿入されたインナポスト12bと、インナポスト12bの下端に設けられた接地板12cとから構成されている。
なお、アウトリガシリンダ13及びジャッキシリンダ14(図1参照)は、切換レバー2cが油圧ポンプPの駆動側のポジションに位置されている状態において、エンジンEにより駆動される油圧ポンプPからの圧油が制御バルブVを介して供給されるようになっている。
そして、作業台9を任意の高所に移動させるために、旋回台4の旋回作動、ブーム5の起伏・伸縮作動を行う場合には、車体2の側方に向かってアウトリガビーム11を張り出し、インナポスト12bを接地板12cが接地するまで下方に張り出すことにより、車体2を安定支持させる。
しかしながら、アウトリガビーム11の張出量、及び、ブーム5の作動状態(起伏角度、張出量)によっては、ブーム5の重量や作業台9の搭載重量をもとに生ずる転倒モーメントが過大となり、アウトリガにより車体2を安定に支持しきれなくなるおそれがある。
そこで、高所作業車1には、コントローラ80にブーム作動範囲算出器及びブーム作動規制手段(いずれも不図示)が設けられている。ブーム作動範囲算出器は、各アウトリガに設けられた張出量検出器100,200,300,400により検出された各アウトリガビームの張出量に基づき、高所作業車1が不安定になることがない(転倒するおそれがない)ブーム5の作動を許容する範囲(作動範囲)を算出する。ブーム作動規制手段は、ブーム作動範囲算出器により算出された上記作動範囲を越えるブーム操作装置(不図示)からブーム5の作動操作が行われた場合には、ブーム操作装置からの操作信号の如何に拘らず、ブーム5の作動を規制するようになっている。
より詳しくは、ブーム作動規制手段は、図示しない検出器により検出された旋回台4の旋回角度、ブーム5の起伏角度及び伸長量に基づいて、ブーム5の先端位置を算出し、このブーム5の先端位置がブーム作動範囲算出器により算出されたアウトリガの張出量に応じて設定された作動範囲内に位置しているか否かを判断する。ここで、ブーム作動規制手段は、ブーム5の先端位置が作動範囲内に位置していると判断した時、旋回モータ、起伏シリンダ、伸縮シリンダのそれぞれの制御バルブVへ規制信号を出力し、ブーム5の先端位置が設定された作動範囲を越えて移動するようなブーム5の作動を規制するようになっている。
このため、高所作業車1においては、各アウトリガビームの張出量に基づいてブーム5の作動範囲が算出されるため、各アウトリガビームの張出量は正確に検出する必要がある。このため、高所作業車1においては、以下のようなアウトリガビームの張出量検出器100,200,300,400を設けてアウトリガビームの張出量の検出を行うこととしている。
ここで、アウトリガ10におけるアウトリガビーム11の張出量の検出を行う左後張出量検出器100を例にとり、張出量検出器について説明する。
左後張出量検出器100は、車体2に対して回転自在に配設されたリール110と、このリール110に巻き付けられたケーブル120と、回転軸に繋がれた接触部がリール110の外周に当接することによりリール110の回転量を検出するポテンショメータ140とから構成されている。
ケーブル120の先端部は、アウトリガビーム11に取り付けられたケーブル保持部材130に繋がれている。また、リール110は、常時ケーブル120を巻き取る方向の付勢力を有して構成されている。このため、アウトリガビーム11が車体2に対して伸縮作動を行うと、ケーブル120が引っ張られた状態を維持しながらリール110が回転する。リール110の回転量(回転角)は、ポテンショメータ140によって検出され、この検出値に基づいてアウトリガビーム11の車体2に対する張出量を検出する。
高所作業車1においては、左側後方に配設された左後張出量検出器100と同一の構成の張出量検出器200,300,400が、各アウトリガ(すなわち、左側前方アウトリガ20,右側後方アウトリガ30,右側前方アウトリガ(不図示))にも設けられている。これにより、各アウトリガビームの張出量を検出することができ、これらの各検出値に基づいてブーム5の作動範囲が算出される。
ここで、各張出量検出器100,200,300,400に不具合が生じていると正確な張出量の検出を行うことができず、適切なブーム5の作動範囲の算出を行うことができなくなる。このため、高所作業車1においては、アウトリガの安全装置50が設けられ、正確なアウトリガビームの張出量の検出を行うことができなくなった場合に、警報作動を行い、作業者へ注意を喚起することとしている。
アウトリガの安全装置50は、図1に示すように、張出量検出器100,200,300,400と、電源スイッチSWと、電源バッテリBTと、コントローラCNTに設けられた記憶部81及び判断部82と、警報装置90とから構成される。
記憶部81は、各張出量検出器100,200,300,400により検出された張出量を更新記憶し、この記憶内容は電源スイッチSWにより電力が遮断されても保持することができるようになっている。
判断部82は、(電源スイッチSWが一旦オフされた後に再び)電源スイッチSWがオンされたとき、すなわち電源バッテリBTより電力が再び供給されたときに、各張出量検出器100,200,300,400により検出された張出量と、記憶部81により記憶されていた最新の記憶値とを比較し、前記張出量と前記最新の記憶値との差が所定範囲を超えて変化していたときに、張出量検出器100,200,300,400が異常であると判断し、警報装置90に警報信号を送信する。なお、判断部82は、電源スイッチSWがオンされたとき以外は、上記判断は行わない。
警報装置90は、警報ブザーや警報ランプ等によって構成され、判断部82により張出量検出器100,200,300,400が異常であると判断されたとき、すなわち警報信号を受信したときに、ブザーを鳴らしたりランプを点灯させたりする等の警報作動を行い、作業者に注意を喚起する。
ここで、上記のように構成されたアウトリガの安全装置50による警報作動について、車体2の左側後方に設けられているポテンショメータ140を用いて説明する。例えば、ポテンショメータ140に異常がない場合にアウトリガビーム11の全縮位置から全伸位置までの間に検出される電圧(検出値)が5V〜10Vであるとする。
まず、(切換レバー2bがエンジンEの駆動側ポジションに切り換えられて、電源スイッチSWが一旦オフされた後に、再び)切換レバー2bが油圧ポンプPの駆動側ポジションに切り換えられて、電源スイッチSWがオンされ、コントローラCNTに電源バッテリBTから電力の供給が行われる。すると、張出量検出器100,200,300,400は、各アウトリガの張出量の検出を開始し、コントローラCNTの記憶部81はこれら張出量検出器100,200,300,400により検出された張出量の更新記憶を開始する。
続いて、車体2の後方に設けられたアウトリガ操作装置2dの操作が行われると、アウトリガビーム11は全縮位置から車体2の側方へ張出作動を行い、インナポスト12bは下方への張出作動を行う。そして、接地状態検出器60により接地板12cの接地が検出されたとき、アウトリガの張出作動を停止する。作業者は作業台9に搭乗し、ブーム操作装置9aのレバー操作をして、作業台9を所望の位置に移動して作業を行う。
ここで、高所作業を休憩等により中断するためにいったん電源スイッチSWをオフしたとき、記憶部81は、各張出量検出器100,200,300,400により検出された張出量のうち最新のものを記憶保持している。すなわち、ここでは接地状態検出器60により接地板12cの接地が検出されたときの検出値(例えば、8V)を最新の記憶値として記憶保持している。
作業を再開するために再び電源スイッチSWをオンしたとき、接地板12cは接地状態であるにも拘らず、ポテンショメータ140に異常が生じると、検出値が8Vから変動する。そこで、本実施形態では、判断部82を、(電源遮断直前の)記憶部81に記憶された最新の記憶値と、(電源再投入直後の)左後張出量検出器100により検出された張出量とを比較して、これら記憶値と張出量との差が所定範囲(例えば、±1V)を超えたときに、警報装置90に警報信号を送信するように、予め設定しておく。例えば、検出値が9V以上に上がったとき、若しくは、7V以下に下がったときに判断部82はポテンショメータ140に異常があると判断し、警報信号を送信して警報装置90による警報作動を行う。
これにより、ポテンショメータ140自体に異常が生じた場合だけでなく、ポテンショメータ140に供給される電力の異常が原因で正確な張出量の検出ができない場合等にも警報作動を行うことができる。
なお、上記にて記憶値と検出値との差に幅(例えば、±1.0V)を持たせたのは、作業中の振動や、気温の変化によるケーブル120の伸縮等により、ポテンショメータ140に異常がなくても、アウトリガ10の伸縮作動を行っていないときに若干の検出値の変動が生じることがあるのを考慮したものである。したがって、予め設定する範囲の値は本実施形態に限られるものではなく、全縮位置から全伸位置までの検出値や、ポテンショメータ140の検出値の変動等を考慮して適宜設定される。
また、ポテンショメータ140が正常であっても、ケーブル120がケーブル保持部材130から外れたり、ケーブル120が切れたりした場合(断線)、あるいは、ケーブル120に外力等が加わってたるみを生じたことにより、予め設定された範囲を越える値が検出された場合にも警報作動が行われる。
さらに、ポテンショメータ140が正常であっても、接地状態検出器60を構成するリミットスイッチが固着して、アウトリガビーム11の縮作動操作が行われたりしたとき、予め設定された範囲を越える値が検出された場合にも警報作動が行われる。
このように、本発明では、従来のようにアウトリガの作動操作を検出することなく、コントローラCNTへの電源を遮断してから再び電源を投入する間に発生するポテンショメータの異常(例えば、ポテンショメータの基準位置のずれ)を監視することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
例えば、上記したように、本発明に係る高所作業車1では、休憩等により作業姿勢のままで電源を遮断して、電源を再び入れたときには、全てのアウトリガは接地状態であり且つ車体側方へ所定量を張り出している状態が検出される。言い換えれば、通常の作業姿勢においては、全てのアウトリガが接地していないにも拘らず、車体側方へ張り出しているという状態は想定し難い。
そこで、本発明のアウトリガの安全装置を、電源を投入したときに、全てのアウトリガにおいて接地が検出されないにも拘らず、最小張出量(全縮状態)が検出されなかった場合(つまり、車体側方への張り出しが行われていると検出された場合)は、ポテンショメータが異常であると判断するように構成することも可能である。以下に、上記構成のアウトリガの安全装置50´について図4を用いて説明するが、理解を平易にするため、上記実施形態に対応する部分には同一の符号をつけるとともにその説明を省略する。
アウトリガの安全装置50´は、図4に示すように、張出量検出器100,200,300,400と、接地状態検出器60と、電源スイッチSWと、電源バッテリBTと、コントローラCNTに設けられた判断部82´と、警報装置90とから構成される。
なお、図4では明記していないが、電源バッテリBTの電力は、コントローラCNTだけでなく、ブーム操作装置2b,9a、アウトリガ操作装置2d、パワーテイクオフ機構PTO、制御バルブV、張出量検出器100,200,300,400、警報装置90、後述の接地状態検出器60などに供給されている。
接地状態検出器60は、リミットスイッチ等を利用して構成され、各アウトリガに設けられ、それぞれの接地板が接地しているか否かを検出する。
判断部82´は、電源スイッチSWがオンされたとき、すなわち電源バッテリBTより電力が供給されたときに、接地状態検出器60により全てのアウトリガにおいて未接地状態が検出され、且つ、張出量検出器100,200,300,400により全てのアウトリガにおいて最小張出量(全縮状態)が検出されなかった場合、張出量検出器100,200,300,400が異常であると判断し、警報装置90に警報信号を送信する。なお、判断部82´は、電源スイッチSWがオンされたとき以外は、上記判断は行わない。
ここで、上記のように構成されたアウトリガの安全装置50´による警報作動について説明する。なお、各ポテンショメータに異常がない場合に、該当するアウトリガビームの全縮位置にあるとき検出される電圧(検出値)は0V〜2Vであるとする。
なお、上記のようにアウトリガビームの全縮位置にあるときに検出される電圧値に幅(0V〜2V)を持たせているのは、気温の変化によるポテンショメータのケーブルの伸縮等により、ポテンショメータ自体に異常がなくても、アウトリガの伸縮作動を行っていないときに生じる若干の検出値の変動が生じることがあるのを考慮したものである。したがって、予め設定する範囲の値は本実施形態に限られるものではなく、全縮位置から全伸位置までの検出値や、各ポテンショメータの検出値の変動等を考慮して適宜設定される。
まず、切換レバー2bが油圧ポンプPの駆動側ポジションに切り換えられて、電源スイッチSWがオンされたときに、コントローラCNTに電源バッテリBTから電力の供給が行われ、これと同時に接地状態検出器60はそれぞれの接地板が接地しているか否かの検出を行い、張出量検出器100,200,300,400は各アウトリガの張出量の検出を行う。
ここで、接地状態検出器60により全てのアウトリガの未接地状態が検出されているにも係らず、ポテンショメータ140に異常が生じると、検出値が最小張出量であると見なされる所定範囲(0V〜2V)を超える。
そこで、判断部82´を、全てのアウトリガにおいて未接地状態が検出されているにも係らず、各張出量検出器100,200,300,400により全てのアウトリガにおいて最小張出量(例えば、0V〜2V)が検出されなかった場合に(すなわち、全てのアウトリガにおいて全縮状態が検出されなかった場合に)、警報装置90に警報信号を送信するように、予め設定しておく。例えば、検出値が3Vに上がったときに、判断部82´はポテンショメータに異常があると判断し、警報信号を送信して警報装置90による警報作動を行う。
これにより、アウトリガの安全装置50´では、電源投入時に作業姿勢ではない所謂走行姿勢にあるときに、ポテンショメータ自体に異常が生じた場合だけでなく、ポテンショメータに供給される電力の異常が原因で正確な張出量の検出ができない場合等にも警報作動を行うことができる。また、ポテンショメータが正常であっても、ケーブルがケーブル保持部材から外れたり、ケーブルが切れたりした場合(断線)、あるいは、ケーブルに外力等が加わってたるみを生じたことにより、予め設定された範囲を越える値が検出された場合にも警報作動が行うことができる。
また、上記実施形態のアウトリガの安全装置50,50´では、警報装置90を備えて、判断部82により張出量検出器100,200,300,400が異常であると判断されたとき、警報装置90により警報作動を行うようになっている。しかしながら、本発明に係るアウトリガの安全装置は、上記のブーム作動規制手段を、判断部82により張出量検出器100,200,300,400が異常であると判断されたとき、張出量検出器100,200,300,400により検出されたアウトリガの張出量が最小値であっても、アウトリガの張出量に応じて設定された高所作業車1が転倒することがない作動範囲内でのブーム5の作動を許容するように構成し、このブーム作動規制手段及び警報装置90の少なくとも一方を備えるようにしてもよい。
これにより、上記構成のアウトリガの安全装置では、例えば、警報装置90により警報作動が行われているときであっても、車体が転倒するおそれのない作動範囲内でブームの作動が許容されるため、例えば張出量検出器100,200,300,400に異常が発見されたときに、ブーム5が未格納状態にあった場合、ブーム5の先端位置が上記作動範囲内に位置していれば、ブーム5を速やかに移動させて車体2上に格納させることができ、作業の安全性をより高めることができる。
なお、上述したように本実施形態におけるブーム5の作動範囲は、アウトリガの張出量に応じて設定されているが、例えば、アウトリガの張出量及び作業台9の搭載荷重に応じて設定してもよい。
本発明に係るアウトリガの安全装置の制御ブロック図である。 上記アウトリガの安全装置を備えた高所作業車の斜視図である。 上記アウトリガの安全装置が備えられたアウトリガを表す側面図である。 本発明に係る他の実施形態におけるアウトリガの安全装置の制御ブロック図である。
符号の説明
1 高所作業車
2 車体
5 ブーム
9 作業台
10 左側後方アウトリガ
11 アウトリガビーム
12 ジャッキ
12a アウタポスト
12b インナポスト
12c 接地板
20 左側前方アウトリガ
30 右側後方アウトリガ
40 右側前方アウトリガ
50 アウトリガの安全装置
60 接地状態検出器(接地状態検出手段)
80 コントローラ(作動制御装置)
81 記憶部(記憶手段)
82 判断部(判断手段)
90 警報装置(警報手段)
100 左後張出量検出器(張出量検出手段)
110 リール
120 ケーブル
130 ケーブル保持部材
140 ポテンショメータ
200 左前張出量検出器(張出量検出手段)
300 右後張出量検出器(張出量検出手段)
400 右前張出量検出器(張出量検出手段)
50´ 他の実施形態におけるアウトリガの安全装置
80´ 他の実施形態におけるコントローラ(作動制御装置)
82´ 他の実施形態における判断部(判断手段)

Claims (3)

  1. 走行可能な車両と、
    前記車両の車体に取り付けられ、所定の作業を行う作業装置と、
    前記車体に取り付けられ、前記車体側方及び下方に張り出して前記車体を支持するアウトリガと、
    電力供給を受けて前記作業装置及び前記アウトリガの作動を制御する作動制御装置と、
    前記作動制御装置への電力を供給又は遮断する電源スイッチと、
    前記アウトリガの前記車体の側方への張出量を検出する張出量検出手段とを備え、
    前記作動制御装置は、
    前記張出量検出手段により検出された前記張出量を更新記憶し、前記電源スイッチにより電力が遮断されても記憶内容を保持することができる記憶手段と、
    前記電源スイッチにより電力が再び供給されたときに、前記張出量検出手段により検出された前記張出量と、前記記憶手段により記憶されていた最新の記憶値とを比較し、前記張出量と前記最新の記憶値との差が所定範囲を超えて変化していたときに、前記張出量検出手段が異常であると判断する判断手段とを有することを特徴とするアウトリガの安全装置。
  2. 走行可能な車両と、
    前記車両の車体に取り付けられ、所定の作業を行う作業装置と、
    前記車体に取り付けられ、前記車体側方及び下方に張り出して前記車体を支持するアウトリガと、
    電力供給を受け、前記作業装置及び前記アウトリガの作動を制御する作動制御装置と、
    前記作動制御装置への電力を供給又は遮断する電源スイッチと、
    前記アウトリガが接地しているか否かを検出する接地状態検出手段と、
    前記アウトリガの前記車体の側方への張出量を検出する張出量検出手段とを備え、
    前記作動制御装置は、前記電源スイッチにより電力が供給されたときに、前記接地状態検出手段により全ての前記アウトリガにおいて未接地状態が検出され、且つ、前記張出量検出手段により全ての前記アウトリガにおいて最小張出量が検出されなかった場合、前記張出量検出手段が異常であると判断する判断手段とを有することを特徴とするアウトリガの安全装置。
  3. 前記作動制御装置は、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、警報作動を行う警報手段、及び、前記判断手段により前記張出量検出手段が異常であると判断されたときに、前記アウトリガの前記張出量が最小値であっても、前記高所作業車が転倒することがない作動範囲内での前記ブームの作動を許容するブーム作業規制手段の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアウトリガの安全装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010159159A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Tadano Ltd 作業車の安全装置及び作業車
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JP2018131330A (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 コベルコ建機株式会社 バックストップ装置
CN116553398A (zh) * 2023-05-13 2023-08-08 杭州贝特设备制造有限公司 一种起吊装置及其控制方法

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