以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。各図において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付して繰り返し説明を省略する場合がある。なお、本明細書で記載する前後左右上下の方向は、建設機械(の運転席)に搭乗したオペレータから見た方向をいう。なお、本実施形態は、建設機械の一例として、油圧ショベルを例示して説明するが、車体周囲の障害物を検知し、障害物の検知状況に応じたオペレータへの警報機能を備えていれば、油圧ショベルに限定されず、ホイールローダやクレーン、ブルドーザ、ダンプ、道路機械といった建設機械全般に適用可能であることは勿論である。
[第一実施形態]
まず最初に、図1〜図16を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
(油圧ショベルの説明)
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械の一例として示す油圧ショベルの外観を示す図である。
図1において、油圧ショベル(建設機械)100は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1に対して旋回可能に設けられた上部旋回体2と、掘削作業手段などを備えるフロント作業機3とから概略構成されている。
下部走行体1には左右一対の走行用油圧モータ(走行モータともいう)(図1には図示せず)が配置され、この走行用油圧モータ及びその減速機構等により各クローラが独立して回転駆動され、前方又は後方に走行する。
上部旋回体2には、油圧ショベル100の各種操作を行う操作装置やオペレータが着席する運転席等が配置された運転室4、エンジン等の原動機、油圧ポンプ及び旋回モータ(図1には図示せず)などが備えられており、この旋回モータにより上部旋回体2が下部走行体1に対して右方向又は左方向に旋回される。運転室4の内部には、オペレータが油圧ショベル(建設機械)100の状況を確認できるように各種の計器類や機体情報が表示される表示装置5が設けられている。
フロント作業機3は、上部旋回体2の前部に俯仰動可能に取り付けられている。フロント作業機3は、ブーム3a、アーム3b及びバケット3cから構成されており、ブーム3aはブームシリンダ3dにより上下動され、アーム3bはアームシリンダ3eによりダンプ側(開く側)又はクラウド側(掻き込む側)に操作され、バケット3cはバケットシリンダ3fによりダンプ側又はクラウド側に操作される。
上記した下部走行体1と(フロント作業機3が設けられた)上部旋回体2とで、走行及び旋回が可能な車体50を構成している。
(障害物検出装置に関する説明)
油圧ショベル100の後端、左端および右端の車体50上には、車体50の周囲に存在する障害物を検出するための障害物検出装置としての3Dセンサ6、7、8、9が搭載されている。3Dセンサは、光パルス飛行時間計測法(TOF:Time−of−flight)方式の赤外線センサであり、予め定められた検知範囲内の物体の検知/未検知を判定し、センサ内部で障害物検出時かどうかの判定を行い、その判定結果をCAN通信によって出力することができる。
また、本実施形態で使用する3Dセンサ6、7、8、9は、障害物に当たって反射してくる赤外線の受光強度(反射強度)を認識することが可能となっており、この反射強度の違いによって、反射率が低い障害物(物体)と反射率が高い障害物(反射材)を区別して検出する。
建設機械が稼働する現場において、視認性向上のために作業員が反射材付きベストを着用することがある。すなわち、稼働現場において3Dセンサ6、7、8、9が反射材を検出するということは、検知物が作業員(反射材付きベストを着用した人)である可能性が高いとみなすことができ、それによってオペレータへの通知の重要度を設定するという使い方ができる。
また、反射材付きベストを着用した作業者に限らず、例えば重要な物体(装置や車両)に反射材テープを貼ることで、土砂のかたまりといったような通常の物体と異なる分類の障害物であるということを区別して判定することが可能である。
このように、本実施形態で使用する3Dセンサ6、7、8、9は、車体周囲の監視対象の障害物を2種類以上(反射材付きベストを着用した作業者、反射材テープを貼った重要な物体、通常の物体など)に区別して検出可能である。また、3Dセンサ6、7、8、9は、後で詳細に説明するように、検出する障害物を、警報停止許可障害物(通常の物体など)と警報停止不可障害物(反射材付きベストを着用した作業者、反射材テープを貼った重要な物体など)に分類(検出)可能である。
(障害物検出装置および検知領域に関する説明)
図2は、障害物検出装置としての3Dセンサ6、7、8、9の搭載位置および検知領域を示す図である。
車体50の後端左側に3Dセンサ6、後端右側に3Dセンサ7、左端に3Dセンサ8、右端に3Dセンサ9を搭載している。3Dセンサ6、7、8、9には垂直方向および水平方向に検知可能な広さ(角度)が設定されており、この4つの3Dセンサ6、7、8、9の検知範囲で車体50周囲後方の空間をカバーすることが可能となっている。それぞれの3Dセンサ6、7、8、9の検知範囲を利用し、油圧ショベル100の動き出しの油圧ショベル100と周囲作業者の接触による事故発生の可能性を下げるための検知領域が設定されている。すなわち、油圧ショベル100の旋回・走行の動き出しの短時間に上部旋回体2が移動する範囲に存在する障害物を検出できるように検知領域を設定しており、3Dセンサ6が障害物を検出する範囲を検知領域10、3Dセンサ7が障害物を検出する範囲を検知領域11、3Dセンサ8が障害物を検出する範囲を検知領域12、3Dセンサ9が障害物を検出する範囲を検知領域13と定めている。物体検知の対象とする領域は、油圧ショベル100自身の下部走行体1のクローラを障害物として検出してしまわないように、一定の高さ以上を検知領域としているが、反射材検知の対象とする領域は、下部走行体1のクローラは反射材とは判定されないため、なるべく範囲を広くとるために高さ制限を設けていない。
(障害物検出とみなす状態に関する説明)
各3Dセンサ6、7、8、9はそれぞれの検知領域10、11、12、13について障害物(物体/反射材)があるかどうかを判定している。また、障害物検出装置である3Dセンサ6、7、8、9によって作成される検知領域10、11、12、13の領域内に1つ以上の物体があると3Dセンサによって判定されたときを物体検知状態とみなし、1つ以上の反射材があると3Dセンサによって判定されたときを反射材検知状態とみなす。そして、物体検知状態でも反射材検知状態でもないとき、非検知状態とみなす。
(システム構成の説明 通常の油圧ショベルとしての構成部分)
図3は、本発明の第一実施形態のシステム構成を示す図である。
本実施形態の油圧ショベル100の運転室4内には、機体全体の動作を制御する制御装置である車体コントローラ14と、車体50の全ての動作可否を切り替える動作ロック手段を切り替えるためのレバー式スイッチであるロックスイッチ15と、オペレータ(操作者ともいう)が油圧ショベル100の状況を確認できるように各種の計器類や機体情報が表示される表示装置5と、エンジン回転数を手動で変更したり表示装置5を操作したりするためのスイッチボックス16と、スイッチボックス16の各種スイッチ入力を受け付け、表示装置5の表示内容を変更するモニタコントローラ17が設けられている。
また、油圧ショベル100の運転室4内には、油圧ショベル100の各種操作を行う操作装置が設けられている。図3では、操作装置を示すものとして、左旋回操作、右旋回操作のうちの一つを表す旋回操作レバー19と、右前進走行操作、右後進走行操作、左前進走行操作、左後進走行操作のうちの一つを表す走行操作レバー20と、ブーム上げ操作、ブーム下げ操作、アームクラウド操作、アームダンプ操作、バケットクラウド操作、バケットダンプ操作のうちの一つを表すフロント操作レバー21の3つの操作レバーを代表して表示している。なお、以下では、旋回操作レバー19、走行操作レバー20、フロント操作レバー21をまとめて、操作レバー19、20、21と記載することがある。
本実施形態の油圧ショベル100は原動機としてエンジン22を搭載しており、エンジン22と電気的に接続されているエンジン制御装置23は、エンジン22に組み込まれている温度センサやピックアップセンサの信号からエンジン22の状態を把握し、バルブ等を制御することで回転数やトルクを制御している。
車体コントローラ14、モニタコントローラ17、エンジン制御装置23はCAN通信によって接続されており、それぞれ必要な情報の送受信を行っている。例えば、エンジン回転数制御については、車体コントローラ14が、エンジンコントロールダイヤル電圧や操作レバーの操作状態、ポンプ負荷状態や温度条件に応じてエンジン目標回転数を決め、そのエンジン目標回転数をエンジン制御装置23に送信する。エンジン制御装置23は、エンジン目標回転数となるようにエンジン22を制御し、エンジン22に内蔵されているピックアップセンサの信号からエンジン実回転数を演算し、そのエンジン実回転数を車体コントローラ14に送信する。モニタコントローラ17においては、CAN通信上にあるエンジン目標回転数とエンジン実回転数を取得することが可能であるので、表示装置5に、車体50の状態表示の一つとしてエンジン目標回転数やエンジン実回転数を表示することも可能である。
エンジン22によって駆動される可変容量式油圧ポンプ24から吐出される作動油は、各油圧アクチュエータへの油の流れを制御するコントロールバルブ25を通り、車体50を走行させる油圧アクチュエータである走行モータ3g、車体50を旋回させる油圧アクチュエータである旋回モータ3h、フロント作業機3を構成するブーム3a、アーム3b、バケット3cを動作させる油圧アクチュエータであるブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3fに供給される。
なお、通常油圧ショベル100には複数のアクチュエータを同時操作する状況などを考慮し、複数台の油圧ポンプが搭載されているが、図3では、そのうちの一つを代表して表示している。
操作レバー19、20、21は手動の減圧弁であるパイロットバルブとなっており、操作レバー19、20、21の操作量に応じて一次圧を減圧し、パイロットバルブ二次圧を生成する。生成された二次圧はコントロールバルブ25内に複数あるスプール(方向切換弁)を動かし、それによって油圧ポンプ24から吐出される作動油の流れを調整することで、対応するアクチュエータを操作可能とする。
エンジン22によって駆動されるパイロットポンプからの油圧源26は、ポンプレギュレータ27および、動作ロック手段であるロックバルブ28に供給されており、図示しないパイロットリリーフバルブによってパイロット一次圧(4MPa)が保たれている。
ポンプレギュレータ27の中には、油圧源26からのパイロット一次圧を減圧して使用するための電磁比例弁であるポンプ流量制御電磁弁が含まれており、車体コントローラ14が出力する電流(mA)に応じてパイロット一次圧を減圧する。ポンプレギュレータ27は油圧ポンプ24の傾転(押除け容積)制御機構を内蔵しており、ポンプ流量制御電磁弁の出力(二次圧)であるポンプ流量制御圧に応じて油圧ポンプ24の容積すなわち吐出流量を制御する。
ポンプレギュレータ27は、ポンプ流量制御圧が最小(0MPa)ではポンプ容積最小で、ポンプ流量制御圧が最大(4MPa)ではポンプ容積最大となるような特性を持っている。
ポンプ流量制御電磁弁は、非制御状態(0mA)では遮断位置(0MPa)となっており、車体コントローラ14が指令電流を増加させるにしたがってポンプ流量制御圧が増加するような特性を持っている。ポンプレギュレータ27には、ポンプ流量制御圧を検出するためのポンプ流量制御圧センサ33が設けられている。
ポンプ流量制御圧センサ33の信号は車体コントローラ14に入力され、車体コントローラ14はポンプ流量制御圧に対するポンプ容積の特性から、ポンプ容積を推定し、エンジン回転数を掛け合わせることで油圧ポンプ24の吐出流量を演算している。
ロックバルブ28は、車体50の全ての動作可否を切り替える動作ロック手段である。ロックバルブ28は車体コントローラ14によって駆動するソレノイドによって遮断位置と回路連通位置に切り換えられる。運転室4内に設置されたロックレバー(図示せず)がロック位置にあるとき、ロックスイッチ15はOFF(端子間は開放)状態になっている。車体コントローラ14はロックスイッチ15の状態を監視し、ロックスイッチ15がOFFのときはロックバルブ28を非励磁状態の遮断位置とする。運転室4内に設置されたロックレバー(図示せず)がロック解除位置にあるとき、ロックスイッチ15はON(端子間は導通)状態になっている。車体コントローラ14はロックスイッチ15の状態を監視し、ロックスイッチ15がONのときにはロックバルブ28に24Vを印加し、励磁状態の回路連通位置とする。
ロックバルブ28が遮断位置のときには、旋回操作レバー19、走行操作レバー20、フロント操作レバー21へパイロット一次圧が供給されない。そのため、操作レバー19、20、21を操作してもパイロットバルブ二次圧が増加せず、コントロールバルブ25内のスプールを切り替えられないため、車体50の全ての動作を不可とする。
ロックバルブ28が回路連通位置のときには、旋回操作レバー19、走行操作レバー20、フロント操作レバー21へパイロット一次圧が供給される。そのため、操作レバー19、20、21の操作に応じてパイロットバルブ二次圧が増加し、コントロールバルブ25内のスプールを切り替えることができるようになることで車体50が動作可能となる。
旋回操作レバー19とコントロールバルブ25の間のパイロット回路には、パイロットバルブ二次圧を検出するための旋回操作圧センサ29が設けられている。走行操作レバー20とコントロールバルブ25の間のパイロット回路には、パイロットバルブ二次圧を検出するための走行操作圧センサ30が設けられている。フロント操作レバー21とコントロールバルブ25の間のパイロット回路には、パイロットバルブ二次圧を検出するためのフロント操作圧センサ31が設けられている。
旋回操作圧センサ29、走行操作圧センサ30、フロント操作圧センサ31の信号は車体コントローラ14に入力され、車体コントローラ14は油圧ショベル100の操作状況を把握している。車体コントローラ14には、操作状態判定手段としての制御部である操作状態判定部(図4)が含まれており、操作状態判定部は、それぞれ個別の動作ごとの操作有無を判定すると同時に、全ての操作圧センサで操作なしと判定した場合には、車体非操作として判定する。なお、以下では、旋回操作圧センサ29、走行操作圧センサ30、フロント操作圧センサ31をまとめて、操作圧センサ29、30、31と記載することがある。
油圧ポンプ24とコントロールバルブ25の間のデリベリ回路には、ポンプ吐出圧を検出するためのポンプ吐出圧センサ32が設けられている。ポンプ吐出圧センサ32の信号は車体コントローラ14に入力され、車体コントローラ14は油圧ショベル100のポンプ負荷を把握している。
車体コントローラ14は、エンジン回転数や操作圧センサ29、30、31の入力に応じて操作によるポンプ目標流量を算出する。また、車体コントローラ14は、エンジン回転数や操作状況やその他の車体状態(温度等)に応じて制限馬力(kW)を演算し、ポンプ吐出圧センサ32の入力と制限馬力から、馬力制限によるポンプ上限流量を算出する。車体コントローラ14は、操作によるポンプ目標流量と馬力制限によるポンプ上限流量の小さい方をポンプ目標流量として選択し、その流量になるようにポンプ流量制御電磁弁を駆動する。
(システム構成の説明 前提とする周囲検知動作制限システムとしての構成部分)
油圧ショベル100の運転室4内には、3Dセンサ6、7、8、9の検知情報や周囲検知による車体動作制限の状態をオペレータに通知するための周囲検知モニタ18を備えている。
3Dセンサ6、7、8、9と、周囲検知モニタ18と、車体コントローラ14はCAN通信によって接続されており、それぞれ必要な情報の送受信を行っている。このCAN通信により、車体コントローラ14や周囲検知モニタ18は、検知領域10、11、12、13それぞれについて障害物を検知しているかを知ることが可能となっており、さらに、車体コントローラ14は、障害物検出装置である3Dセンサ6、7、8、9によって作成される検知領域10、11、12、13の領域内に1つ以上の障害物(物体/反射材)がある場合に、障害物検出時と判定し、全ての検知領域内に障害物(物体/反射材)がない場合に、障害物非検出時と判定する。また、障害物検出時と判定されている場合、周囲検知モニタ18は警報としての警告音(ブザー音)を鳴らし、障害物検出状態であることをオペレータに通知する。
旋回操作レバー19とコントロールバルブ25の間のパイロット回路には、車体動作制限手段の一つとして旋回パイロット圧遮断電磁弁34が設けられている。旋回パイロット圧遮断電磁弁34は、非制御時(0mA)では回路連通状態であり、車体コントローラ14が出力する電流(mA)が大きくなることで回路遮断状態となり、旋回動作が不可となる。また、走行操作レバー20とコントロールバルブ25の間のパイロット回路には、車体動作制限手段の一つとして走行パイロット圧遮断電磁弁35が設けられている。走行パイロット圧遮断電磁弁35は、非制御時(0mA)では回路連通状態であり、車体コントローラ14が出力する電流(mA)が大きくなることで回路遮断状態となり、走行動作が不可となる。
(システム構成の説明 動作制限の解除のための制御無効スイッチ)
本実施形態では、油圧ショベル100の運転室4内に動作制限の制御無効手段としてオルタネート型の押しボタンスイッチである制御無効スイッチ(動作制限解除装置)36を備えている。
制御無効スイッチ36が押されていない時、制御無効スイッチ36はOFF(端子間は開放)状態になっており、制御無効スイッチ36が押されている時、制御無効スイッチ36はON(端子間は導通)状態になっている。車体コントローラ14は制御無効スイッチ36のON/OFF状態(制御無効スイッチ状態)を監視し、制御無効スイッチ36がどちらの位置にあるのかを認識する。
(システム構成の説明 警報停止要求のための警報停止スイッチ)
本実施形態では、油圧ショベル100の運転室4内に障害物検出時の警報の停止手段としてモーメンタリ型の押しボタンスイッチである警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47を備えている。
警報停止スイッチ47が押されていない時、警報解除スイッチ47はOFF(端子間は開放)状態になっており、警報停止スイッチ47が押されている時、警報停止スイッチ47はON(端子間は導通)状態になっている。車体コントローラ14は警報停止スイッチ47のON/OFF状態(警報停止スイッチ状態)を監視し、警報停止スイッチ47が押されているかどうかを認識する。
(制御部の構成の説明)
図4は、本発明の第一実施形態における、障害物検出時の車体動作制限に関する制御部の構成を示す図である。
制御装置としての車体コントローラ14は、図示は省略するが、各種演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)などを含むマイクロコンピュータ(マイコン)として構成されている。車体コントローラ14の各機能は、CPUが、記憶装置に格納された各種プログラムをRAMにロードして実行することにより、実現される。
本実施形態において車体コントローラ14は、障害物検出装置である3Dセンサ6、7、8、9で周囲障害物を検出した時に、車体と障害物の接触防止もしくは衝突軽減のための車体50の動作制限を行う動作制限制御機能と、警報を作動して音(警告音)による通知を行う警報機能を備えるとともに、オペレータからの制御解除(無効)要求に応じて車体50の動作制限を解除する動作制限制御解除機能と、オペレータからの警報停止要求に応じて警報作動を許可する作動許可(有効)と警報作動を停止する作動不可(無効)を制御して警報を停止する警報停止機能を備えている。
車体コントローラ14の制御部には、障害物検出時に車体動作を制限するための制御部として、動作制限制御部(動作制限制御装置)37を設けている。
動作制限制御部37は、車体50の制御モード状態が通常状態か一時解除状態か常時解除状態かを判定するための制御部として、制御状態切替判定部38を含んでいる。また、動作制限制御部37は、動作制限手段の作動を指令する制御部として、動作制限指令部39を含んでいる。
車体コントローラ14の制御部には、動作制限制御部37の他に、各検知領域10、11、12、13の検知状態から、車体50の周囲に障害物(物体/反射材)があるかどうかを判定するための検知判定部40や、各操作圧センサ29、30、31からの入力電圧に応じて車体コントローラ14内で圧力値(MPa)に変換された各操作圧(旋回操作圧、走行操作圧、フロント操作圧)の大きさから車体50が操作/非操作状態かどうかを判定するための操作状態判定部41や、動作制限指令部39の旋回/走行停止指令を受けて旋回/走行パイロット圧遮断電磁弁を駆動する電流値を演算するための電磁弁駆動部42や、動作制限指令部39の回転数指令を受けてエンジン制御装置23に指示するエンジン目標回転数を制限するためのエンジン回転制御部43が設けられている。
さらに、車体コントローラ14の制御部には、障害物検出時に警報を作動してオペレータに通知するための制御部として、警報制御部(警報制御装置)44を設けている。
これら制御部の処理は、エンジン始動および周囲検知システム始動後(稼働中)は車体コントローラ14の制御周期毎に常に実行されている。
(各制御部の詳細説明)
図5〜図16にて、図4で示した各制御部の詳細を説明する。
(各制御部の詳細説明 検知判定部)
図5は、検知判定部40の処理内容の全体を示すフローチャートである。
検知判定部40は、サブルーチンとして、反射材検知判定(S1)と物体検知判定(S2)を持つ。先にこれらのサブルーチンの処理内容について説明する。
図6は、検知判定部40のサブルーチンである反射材検知判定(S1)の詳細を示すフローチャートである。
まず初めに、3Dセンサ6から送信されている検知領域10の範囲で反射材を検知しているかを判定する(S7)。検知領域10で反射材検知していれば、検知領域は「反射材検知」とする(S12)。検知領域10で反射材検知していなければ、3Dセンサ7から送信されている検知領域11の範囲で反射材を検知しているかを判定する(S8)。検知領域11で反射材検知していれば、検知領域は「反射材検知」とする(S12)。検知領域11で反射材検知していなければ、3Dセンサ8から送信されている検知領域12の範囲で反射材を検知しているかを判定する(S9)。検知領域12で反射材検知していれば、検知領域は「反射材検知」とする(S12)。検知領域12で反射材検知していなければ、3Dセンサ9から送信されている検知領域13の範囲で反射材を検知しているかを判定する(S10)。検知領域13で反射材検知していれば、検知領域は「反射材検知」とする(S12)。検知領域10、11、12、13全てで反射材を検知していなければ、検知領域は「反射材非検知」とする(S11)。
図7は、検知判定部40のサブルーチンである物体検知判定(S2)の詳細を示すフローチャートである。
まず初めに、3Dセンサ6から送信されている検知領域10の範囲で物体を検知しているかを判定する(S13)。検知領域10で物体検知していれば、検知領域は「物体検知」とする(S18)。検知領域10で物体検知していなければ、3Dセンサ7から送信されている検知領域11の範囲で物体を検知しているかを判定する(S14)。検知領域11で物体検知していれば、検知領域は「物体検知」とする(S18)。検知領域11で物体検知していなければ、3Dセンサ8から送信されている検知領域12の範囲で物体を検知しているかを判定する(S15)。検知領域12で物体検知していれば、検知領域は「物体検知」とする(S18)。検知領域12で物体検知していなければ、3Dセンサ9から送信されている検知領域13の範囲で物体を検知しているかを判定する(S16)。検知領域13で物体検知していれば、検知領域は「物体検知」とする(S18)。検知領域10、11、12、13全てで物体を検知していなければ、検知領域は「物体非検知」とする(S17)。
図5に説明を戻す。
前述した反射材検知判定(S1)の次に、その結果の検知領域が「反射材検知」であるかどうかを判定する(S19)。検知領域が「反射材検知」であれば、変数である障害物検知状態v1を「反射材検知状態」とする(S23)。検知領域が「反射材検知」でなければ(「反射材非検知」であれば)、前述した物体検知判定(S2)を行い、その結果の検知領域が「物体検知」であるかどうかを判定する(S20)。検知領域が「物体検知」であれば、変数である障害物検知状態v1を「物体検知状態」とする(S22)。検知領域が「物体検知」でもなければ(「物体非検知」であれば)、物体も反射材も検知していないということなので、変数である障害物検知状態v1を「非検知状態」とする(S21)。
検知判定部40の判定結果である障害物検知状態v1は、動作制限指令部39および警報制御部44に送信されている。
(各制御部の詳細説明 操作状態判定部)
図8は、操作状態判定部41の処理内容のうち、各操作について操作状態を判定する部分を示すフローチャートである。
まず初めに、旋回操作圧が操作ON判定閾値C1(例えば0.5MPa)以上かどうかを判定する(S24)。旋回操作圧が操作ON判定閾値C1以上であれば、旋回が操作されている状態であると判定し、変数である旋回操作状態v10を「操作中」とする(S25)。旋回操作圧が操作ON判定閾値C1未満であれば、旋回が操作されていない状態であると判定し、変数である旋回操作状態v10を「非操作」とする(S26)。続いて、走行操作圧が操作ON判定閾値C1(例えば0.5MPa)以上かどうかを判定する(S27)。走行操作圧が操作ON判定閾値C1以上であれば、走行が操作されている状態であると判定し、変数である走行操作状態v11を「操作中」とする(S28)。走行操作圧が操作ON判定閾値C1未満であれば、走行が操作されていない状態であると判定し、変数である走行操作状態v11を「非操作」とする(S29)。続いて、フロント操作圧が操作ON判定閾値C1(例えば0.5MPa)以上かどうかを判定する(S30)。フロント操作圧が操作ON判定閾値C1以上であれば、フロントが操作されている状態であると判定し、変数であるフロント操作状態v12を「操作中」とする(S31)。フロント操作圧が操作ON判定閾値C1未満であれば、フロントが操作されていない状態であると判定し、変数であるフロント操作状態v12を「非操作」とする(S32)。
図9は、操作状態判定部41の処理内容のうち、車体としての操作状態を判定する部分を示すフローチャートである。
まず初めに、旋回操作状態v10が「操作中」かどうかを判定する(S33)。旋回操作状態v10が「操作中」であれば、車体50として操作状態であると判定し、変数である車体操作状態v2を「操作中」とする(S37)。旋回操作状態v10が「操作中」でなければ(「非操作」であれば)、走行操作状態v11が「操作中」かどうかを判定する(S34)。走行操作状態v11が「操作中」であれば、車体50として操作状態であると判定し、変数である車体操作状態v2を「操作中」とする(S37)。走行操作状態v11が「操作中」でなければ(「非操作」であれば)、フロント操作状態v12が「操作中」かどうかを判定する(S35)。フロント操作状態v12が「操作中」であれば、車体50として操作状態であると判定し、変数である車体操作状態v2を「操作中」とする(S37)。旋回操作状態v10、走行操作状態v11、フロント操作状態v12の全てが「操作中」でなければ(「非操作」であれば)、車体50として非操作状態であると判定し、変数である車体操作状態v2を「非操作」とする(S36)。
操作状態判定部41の判定結果である旋回操作状態v10と走行操作状態v11とフロント操作状態v12(および車体操作状態v2)は、動作制限指令部39に送信されている。
(各制御部の詳細説明 制御状態切替判定部)
図10は、制御状態切替判定部38の処理内容を示すフローチャートである。
制御状態切替判定部38では、制御無効スイッチ36の状態について、「ON」(スイッチが押されている状態)かどうかを判定する(S38)。制御無効スイッチ36の状態が「ON」であれば(スイッチが押されていれば)、変数である制御モード状態v3を「制御解除」とする(S39)。制御無効スイッチ36の状態が「ON」でなければ(スイッチが押されていなければ)、変数である制御モード状態v3を「通常」とする(S40)。
制御状態切替判定部38の判定結果である制御モード状態v3は、動作制限指令部39に送信されている。
(各制御部の詳細説明 動作制限指令部)
図11は、動作制限指令部39の処理内容を示すフローチャートである。
まず初めに、制御状態切替判定部38から送信されている制御モード状態v3が「通常」かどうかを判定する(S41)。制御モード状態v3が「通常」であるとき(「制御解除」ではないとき)、続いて、検知判定部40から送信されている障害物検知状態v1が「物体検知状態」もしくは「反射材検知状態」かどうかを判定する(S42)。車体周囲に障害物(物体/反射材)があり、障害物検知状態v1が「物体検知状態」もしくは「反射材検知状態」となっていると、動作制限指令部39は回転数指令v6を「制限回転数」(例えば800rpm)とする(S43)。
これにより、後述するエンジン回転制御部43の処理を通して、車体50のエンジン回転数を低く制限する。通常作業時で、エンジン回転数高回転(例えば1800rpm)で稼働している場合、障害物検知時にエンジン回転数が下がることで、オペレータは警報や表示に加えて体感としても検知に気づくことができるため、より安全性を高めることができる。
また、障害物を検知している状態ではエンジン回転数が制限される状態であるため、障害物検知を無視してそのまま同じ作業を続けることはできなくなるため、オペレータに対して、作業を一旦とめて周囲の安全確認を行うことを促すこともできる。
続いて、操作状態判定部41から送信されている旋回操作状態v10が「非操作」かどうかを判定する(S44)。障害物を検知している状態において、旋回操作を行っていない「非操作」である場合、旋回停止指令v4を「遮断圧力」(例えば0MPa)とする(S45)。
これにより、後述する電磁弁駆動部42の処理を通して、旋回を動き出さない状態とする。障害物が車体50の周囲に存在する状態で旋回の始動停止を行うことで、油圧ショベル100の動き出しにおける車体50と周囲作業者の接触による事故の発生の可能性を下げることができる。
続いて、操作状態判定部41から送信されている走行操作状態v11が「非操作」かどうかを判定する(S46)。障害物を検知している状態において、走行操作を行っていない「非操作」である場合、走行停止指令v5を「遮断圧力」(例えば0MPa)とする(S47)。
これにより、後述する電磁弁駆動部42の処理を通して、走行を動き出さない状態とする。障害物が車体50の周囲に存在する状態で走行の始動停止を行うことで、油圧ショベル100の動き出しにおける車体50と周囲作業者の接触による事故の発生の可能性を下げることができる。
以上のように、制御無効スイッチ36が押されていない状態において(S41でYES)、障害物検出時には(S42でYES)、車体動作を制限する車体動作制限を作動させる。
次に、車体動作制限の解除に関する判定および制御処理について説明する。
ステップS42において、車体周囲に障害物(物体/反射材)を検出しなくなり、障害物検知状態v1が「物体検知状態」および「反射材検知状態」ではなくなった場合(「非検知状態」となった場合)、ロックスイッチ15の状態がOFFかどうかを判定する(S48)。障害物を検知しなくなった状態においてロックレバーがロック位置にありロックスイッチ15の状態がOFFとなっている場合に、回転数指令v6を「最大回転数」(例えば2000rpm)とし(S49)、旋回停止指令v4を「開放圧力」(例えば4MPa)とし(S50)、走行停止指令v5を「開放圧力」(例えば4MPa)とする(S51)。これにより、車体動作制限を解除することを許可する。
ロックレバーがロック解除位置にありロックスイッチ15の状態がONとなっている場合(OFFではない場合)には、障害物検知状態v1が「物体検知状態」および「反射材検知状態」でなくなったとしても車体動作制限は作動させたままとする。
ロックレバーがロック位置にある状態では、ロックバルブ28が遮断位置にあるため、車体50の全ての動作が不可(換言すれば、車体50が動かない状態)となっている。この状態でのみ車体動作制限を解除することを許可することで、例えば、オペレータが操作レバー19、20、21を意図せず倒していた状態において障害物非検知となったときに旋回/走行の動作制限が解除されて、車体50が急に動き出してしまう状況が発生しないようにすることができ、より安全性を向上させることができる。
ステップS41において、制御モード状態v3が「通常」ではなくなった場合(「制御解除」となった場合)、回転数指令v6を「最大回転数」(例えば2000rpm)とし(S49)、旋回停止指令v4を「開放圧力」(例えば4MPa)とし(S50)、走行停止指令v5を「開放圧力」(例えば4MPa)とする(S51)。これにより、制御無効スイッチ36が押された状態において(S41でNO)、車体動作制限を解除することを許可する。
動作制限指令部39の演算結果である旋回停止指令v4と走行停止指令v5は、電磁弁駆動部42に送信されており、回転数指令v6は、エンジン回転制御部43に送信されている。
(各制御部の詳細説明 電磁弁駆動部)
図12は、電磁弁駆動部42の処理内容を示すフローチャートである。
電磁弁駆動部42は、動作制限指令部39での演算結果である旋回停止指令v4と走行停止指令v5の電磁弁圧力に応じて実際に車体動作制限手段である旋回パイロット圧遮断電磁弁34と走行パイロット圧遮断電磁弁35を駆動する制御部である。
まず初めに、動作制限指令部39から送信されている旋回停止指令v4が「遮断圧力」かどうかを判定する(S52)。旋回停止指令v4が「遮断圧力」の場合は、旋回パイロット圧遮断電磁弁電流v7を「遮断電流」(例えば600mA)とする(S53)。旋回停止指令v4が「遮断圧力」ではない場合(「開放圧力」の場合)は、旋回パイロット圧遮断電磁弁電流v7を「開放電流」(例えば0mA)とする(S54)。
続いて、動作制限指令部39から送信されている走行停止指令v5が「遮断圧力」かどうかを判定する(S55)。走行停止指令v5が「遮断圧力」の場合は、走行パイロット圧遮断電磁弁電流v8を「遮断電流」(例えば600mA)とする(S56)。走行停止指令v5が「遮断圧力」ではない場合(「開放圧力」の場合)は、走行パイロット圧遮断電磁弁電流v8を「開放電流」(例えば0mA)とする(S57)。
車体コントローラ14には比例電磁弁のソレノイドを駆動するためのアナログ出力回路である電磁弁ドライバが内蔵されており、旋回パイロット圧遮断電磁弁電流v7と走行パイロット圧遮断電磁弁電流v8になるように回路に電流を流し、旋回パイロット圧遮断電磁弁34および走行パイロット圧遮断電磁弁35を駆動する(S58)。
(各制御部の詳細説明 エンジン回転制御部)
図13は、エンジン回転制御部43の処理内容を示すフローチャートである。
エンジン回転制御部43では、オペレータが操作するエンジンコントロールダイヤル電圧に応じた要求回転数や、操作レバー19、20、21の操作量に応じた要求回転数、ラジエタ水温や作動油温等の稼働環境に応じた要求回転数などをあらかじめ定めた条件で選択し、最終的にエンジン目標回転数v9としてCAN通信を通してエンジン制御装置23に送信することで、車体50として要求するエンジン実回転数を実現している。本実施形態では詳しく説明しないが、動作制限指令部39から送られる回転数指令v6以外の従来の油圧ショベルと共通の処理による要求回転数については、図13に記載していない部分の処理によってあらかじめ基準要求回転数v13として演算されている(S59)。エンジン回転制御部43において、回転数指令v6と基準要求回転数v13との比較をエンジン回転制御部43の処理の最終段で行う。
エンジン回転制御部43では、基準要求回転数v13の演算処理(S59)に続いて、動作制限指令部39から送られる回転数指令v6が基準要求回転数v13よりも大きいかを判定する(S60)。車体動作制限が作動していない時は、回転数指令v6は要求基準回転数v13よりも大きい「最大回転数」(例えば2000rpm)になっているため、その場合は、エンジン目標回転数v9を「要求基準回転数v13」とすることで、通常の油圧ショベル100として使用可能とする(S61)。車体動作制限が作動している時は、回転数指令v6は要求基準回転数v13以下の「制限回転数」(例えば800rpm)になっているため、その場合は、エンジン目標回転数v9を「回転数指令v6」とすることで、エンジン回転数を強制的に制限し、車体50の動作を制限する(S62)。
(各制御部の詳細説明 警報制御部)
図14は、本実施形態の特徴である、警報制御部44の構成を示す図である。
警報制御部44は、オペレータからの警報停止要求の状態を判定する警報停止要求判定部45と、警報停止要求判定部45からの出力信号(警報停止要求状態v15)と障害物検知状態v1に応じて警報の作動(作動許可または有効ともいう)と停止(作動不可または無効ともいう)の指令値である警報作動指令v14を出力する警報作動指令部46を含んでいる。
図15は、警報停止要求判定部45の処理内容を示すフローチャートである。警報停止要求判定部45は、オペレータからの警報停止要求の状態を判定するために、オペレータが警報停止を要求するために操作する警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47の状態を判定する。
初めに、警報停止スイッチ47が押されたかどうか(警報停止スイッチ47の状態が「OFF」から「ON」に変化したか)を判定する(S63)。警報停止スイッチ47が押されたときに、警報停止要求状態v15を「停止要求」とし(S64)、それ以外のときは、警報停止要求状態v15を「作動要求」とする(S65)。
警報停止要求判定部45の判定結果である警報停止要求状態v15は、警報作動指令部46に送信されている。
図16は、警報作動指令部46の処理内容を示すフローチャートである。
この制御フローで演算される出力の警報作動指令v14は、CAN通信を通して周囲検知モニタ18に送信される。警報作動指令v14は、警報作動を許可する(有効にする)指令値である「作動」と警報作動を停止する(無効にする)指令値である「停止」を含んでいる。周囲検知モニタ18では、警報作動指令v14が「作動」であれば、警報としての警告音(ブザー音)を鳴らし、検知状態であることをオペレータに通知し、周囲の安全確認を促す。周囲検知モニタ18では、警報作動指令v14が「停止」であれば、警報としての警報音(ブザー音)を停止する。
警報作動指令部46の制御フローにおいて、初めに、検知判定部40から送信されている障害物検知状態v1が「反射材検知状態」かどうかを判定する(S66)。障害物検知状態v1が「反射材検知状態」であれば、警報作動指令v14を「作動」として(S67)、警報音(ブザー音)を鳴らす。つまり、警報停止不可障害物である反射材を検知している場合は、警報停止要求判定部45から送信されている警報停止要求状態v15が「停止要求」であっても(換言すれば、警報停止スイッチ47からの警報停止要求があっても)、警報を停止せずに鳴らす。
障害物検知状態v1が「反射材検知状態」でない場合、障害物検知状態v1が「物体検知状態」かどうかを判定する(S68)。障害物検知状態v1が「反射材検知状態」でも「物体検知状態」でもないとき(「非検知状態」のとき)は、車体50の周囲に障害物が存在していないということなので、警報作動指令v14を「停止」として(S69)、警報音(ブザー音)を鳴らさない。
障害物検知状態v1が「反射材検知状態」ではなく「物体検知状態」であるときは、警報停止要求判定部45から送信されている警報停止要求状態v15が「停止要求」かどうかを判定する(S70)。警報停止要求状態v15が「停止要求」でないとき(「作動要求」のとき)は、オペレータによる警報停止要求がされていないので、物体検知状態においても警報作動指令v14を「作動」として(S67)、警報音(ブザー音)を鳴らす。
物体検知状態(このときには警報が作動している)でオペレータが警報停止スイッチ47を押した瞬間で警報停止要求状態v15が「停止要求」となったら(S70でYES)、警報作動指令v14を「停止」とし(S71)、警報を停止させる。その後、障害物検知状態v1が「物体検知状態」の間はその状態(警報作動指令v14を「停止」)を保持し、障害物検知状態v1が「物体検知状態」以外(「反射材検知状態」か「非検知状態」)になったら、最初の判定処理(S66)に戻る(S72)。
最初の判定処理(S66)に戻り、障害物検知状態v1が「反射材検知状態」になったら、警報作動指令v14を「作動」として(S67)、警報音(ブザー音)を鳴らす。つまり、警報停止要求判定部45から送信されている警報停止要求状態v15が「停止要求」でも(換言すれば、警報停止スイッチ47からの警報停止要求に応じて警報を停止している状態でも)、警報停止不可障害物である反射材を検知した場合は、警報を再び作動させることでオペレータへの通知を行う。このような処理を行うことにより、警報停止スイッチ47からの警報停止要求に応じて警報を停止させる際に、警報停止のまま使い続けることを抑制することができる。
すなわち、第一実施形態は、車体周囲の監視対象の障害物の存在を検出した時に警報を作動して音による通知を行う警報機能を備えた油圧ショベル(建設機械)100において、オペレータ(操作者)が警報停止を要求するための警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47と、警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47からの要求に応じて警報作動を許可する作動許可(有効)と警報作動を停止する作動不可(無効)を制御する警報制御部(警報制御装置)44とを備える。警報制御部(警報制御装置)44は、警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47からの要求に応じて警報を停止させる際に、警報停止のまま使い続けることを抑制する。
また、3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9は、監視対象の障害物を2種類以上に区別して検出可能、かつ、検出する障害物を警報停止許可障害物である通常の物体と警報停止不可障害物である反射材に検出可能である。警報制御部(警報制御装置)44は、3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9で警報停止不可障害物である反射材を検出している場合は、警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47からの警報停止要求があっても、警報を停止しない。
また、警報制御部(警報制御装置)44は、警報停止スイッチ(警報停止要求装置)47からの警報停止要求に応じて警報を停止している状態において、3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9で警報停止不可障害物である反射材を検出した場合は、警報を再び作動させることでオペレータへの通知を行う。
(第一実施形態の効果)
以上のように構成した第一実施形態には、以下の点で効果を得られる。
まず、検知する障害物を、通常の物体と反射材とで区別して判別したことで、障害物に対する重要度(警報を停止してもよい障害物である警報停止許可障害物と警報を停止させたくない障害物である警報停止不可障害物)を使い分けることができるようになっている。
障害物を検知しているときに警報を鳴らし、オペレータに障害物の存在を知らせ、周囲確認を促すことができる一方で、警報が鳴っている状況で警報停止スイッチ47を押した際には、警報を停止させることができるため、周囲に障害物が存在することをオペレータが認識している状態(例えば、休憩中などの待機状態や、土砂が車体周囲に存在する状態での積み込み作業など)においては、警報が鳴り続けることがないため、警報が鳴り続けることによるストレスや、それによる作業性の低下、および作業に集中できないことによる操作ミスや確認ミスの発生を抑制することができる。
オペレータによる警報停止はどんなときでも可能というわけではなく、反射材検知状態(換言すれば、警報を停止させたくない障害物である警報停止不可障害物を検知している状態)においては、警報停止スイッチ47が押されたとしても警報を停止できないようにしている。
また、警報停止は物体検知状態でのみ可能で、物体検知状態で警報停止スイッチ47により警報を停止したとしても、非検知状態や反射材検知状態になると、警報停止のまま使い続けることを抑制し、再び警報作動を有効にして障害物検知で警報が作動する。
このようにすることにより、例えば、周囲に障害物として土砂の山(物体)が存在する状態で警報を停止させての作業中に、反射材付きベストを着用した作業者が進入してきたときには警報を鳴らすことができるため、オペレータに通知すべきときにはオペレータの警報停止要求によらず警報を作動させることができ、作業性と安全性が両立できる。
以上のように、本第一実施形態によれば、車体50の周囲に監視対象の障害物が存在している際に、その存在を警報によってオペレータに知らせることができながら、やむを得ず車体50周囲に障害物が存在する状態で稼働する場合には、オペレータの意思により警報を停止することができるため、警報が鳴り続けることによるストレスや、それによる作業性の低下、および作業に集中できないことによる操作ミスや確認ミスの発生を抑制することができる。
さらに、障害物を2種類以上に区別して判別し、それらを警報停止許可障害物と警報停止不可障害物に分類し、警報停止不可障害物を検知している時には警報を停止させないようにすることで、たとえば、物体と人(作業者)を区別して検出する場合において、物体検知時においては警報停止を許可し、人(作業者)検知時においては警報停止を不可とすることにより、重要な検知については、オペレータへの周囲安全確認を強く促すことができる。
よって、本実施形態によれば、車体50の周囲に障害物が存在する状態で作業を行う際に、車体50周囲に作業に必要な物体が存在する状況での作業性を確保しつつ、建設機械と周囲作業者の接触による事故発生の可能性を下げることができる、安全性と作業性を両立させた建設機械を提供することができる。
[第二実施形態]
次に、図17〜図20を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
(一定時間警報停止していたときの通知および自動復帰)
図17は、本発明の第二実施形態の警報制御部44の構成を示す図である。
第一実施形態(特に、図14参照)と異なることとして、警報制御指令部46から警報停止要求判定部45への信号として、警報停止解除要求v16を追加している。警報停止解除要求v16は、後述するように「停止解除」と「停止許可」の2つの状態をとり、特定の条件を満たして「停止解除」になると、オペレータによる警報停止要求の状態においても、自動的に警報停止状態を解除し、再び警報が作動できる状態に戻す。
図18は、本発明の第二実施形態における、警報停止要求判定部45の処理内容を示すフローチャートである。
初めに、警報停止スイッチ47が押されたかどうか(警報停止スイッチ47の状態が「OFF」から「ON」に変化したか)を判定する(S73)。警報停止スイッチ47が押されて、警報停止スイッチ47の状態が「OFF」から「ON」に変化すると(S73でYES)、そのときの警報停止要求状態v15が「作動要求」かどうかを判定する(S74)。警報停止要求状態v15が「作動要求」であれば「停止要求」に切り替え(S75)、警報停止要求状態v15が「作動要求」でなければ(「停止要求」であれば)「作動要求」に切り替える(S76)。つまり、警報停止スイッチ47を押すたびに警報の作動許可(有効)と作動不可(無効)を切り替える。
警報停止スイッチ47が押されていない時は(S73でNO)、警報制御指令部46から送信されている警報停止解除要求v16が「停止解除」かどうかを判定する(S77)。警報停止解除要求v16が「停止解除」でなければ(「停止許可」であれば)、何も処理を行わず、警報停止要求状態v15の切り替えは行わないが、警報停止解除要求v16が「停止解除」であれば、警報停止要求状態v15を「作動要求」とし(S76)、物体検知による警報が作動できる状態に戻す。
図19は、本発明の第二実施形態における、警報作動指令部46の処理内容を示すフローチャートである。
初めに、警報停止要求判定部45から送信されている警報停止要求状態v15が「停止要求」かどうかを判定する(S78)。警報停止要求状態v15が「停止要求」でなければ(「作動要求」であれば)、オペレータが警報停止を要求していない「作動要求」状態であるので、この状態から警報を停止することができるという状態を示すために、警報停止解除要求v16を「停止許可」とする(S79)。
警報停止要求状態v15が「停止要求」でなければ(「作動要求」であれば)、警報停止解除要求v16を「停止許可」とした後(S79)、検知判定部40から送信されている障害物検知状態v1が「反射材検知状態」もしくは「物体検知状態」かどうかを判定する(S80)。車体周囲に障害物が存在する、障害物検知状態v1が「反射材検知状態」もしくは「物体検知状態」のときは(S80でYES)、警報作動指令v14を「検知音作動」として(S81)オペレータに障害物の存在を知らせる。障害物検知状態v1が「反射材検知状態」および「物体検知状態」でなく、反射材も物体も検知していない「非検知状態」であれば(S80でNO)、警報作動指令v14を「停止」として(S82)警報を停止する。
ここでの「検知音作動」は、第一実施形態における「作動」に相当する。第一実施形態においては、警報作動指令v14は警報音を鳴らす「作動」か警報音を鳴らさない「停止」かの2状態であったが、第二実施形態では、後述する警報停止状態においてオペレータに周囲確認を促すための注意喚起を行う別の音を鳴らす「注意喚起音作動」の状態が加わり3状態となるため、音を鳴らす2状態を区別するために「検知音作動」と表している。
警報作動指令部46において、警報停止要求状態v15が、オペレータによって警報停止が要求されている「停止要求」であれば(S78でYES)、警報作動指令v14を「停止」として(S83)、警報を停止させる。そして、本第二実施形態における特徴である、所定時間警報停止状態が継続した場合に、オペレータに警報停止状態の継続を認識させて周囲の安全確認を促すための通知を行い、さらに所定時間警報停止状態が継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除する処理である、警報停止解除判定を実行する(S84)。
図20は、本発明の第二実施形態の特徴である、警報作動指令部46のサブルーチンである警報停止解除判定(S84)の処理内容を示すフローチャートである。
まず初めに、第一警報停止継続時間t1(初期値0、最大値T1)および第二警報停止継続時間t2(初期値0、最大値T2)のカウントを始める(S85)。ここで、T2>T1とする。このカウントは、1演算周期ごとにその周期分(例えば10ms)ずつ加算されていく変数である。
カウントを開始すると、次に、警報停止要求状態v15が「停止要求」かどうかを判定する(S86)。警報停止解除判定(S84)に入るための条件として警報停止要求状態v15が「停止要求」である必要があるので(図19のステップS78)、最初は「停止要求」である。警報停止要求状態v15が「停止要求」のとき、第一警報停止継続時間t1が、注意喚起音作動判定時間T1(例えば3min)に到達したかどうかを判定する(S87)。第一警報停止継続時間t1が注意喚起音作動判定時間T1未満であれば、第二警報停止継続時間t2が、警報停止解除判定時間T2(例えば5min)に到達したかどうかを判定する(S88)。第二警報停止継続時間t2が警報停止解除判定時間T2未満であれば、ステップS86に戻り、判定を繰り返す。
この繰り返しの中で、オペレータが警報停止スイッチ47を再度押して警報停止要求状態v15が「作動要求」になれば、ループ処理を途中で抜けて、カウントを停止し、第一警報停止継続時間t1と第二警報停止継続時間t2をリセット(初期値0に)して(S89)サブルーチンの処理を終了する。
オペレータによる要求がずっと「停止要求」のままであれば、カウントを継続し、第一警報停止継続時間t1が注意喚起音作動判定時間T1に到達したら(S87でYES)、警報作動指令v14を「注意喚起音作動」とする(S90)。これにより、周囲検知モニタ18にて障害物検知時の検知音とは異なる「注意喚起音」を鳴らすことで、オペレータに一定時間警報停止状態であることを通知し、周囲確認を促す。
さらに警報停止要求状態v15が「停止要求」の状態が継続し、第二警報停止継続時間t2が警報停止解除判定時間T2に到達したら(S88でYES)、警報停止解除要求v16を「停止解除」とし(S91)、カウントを停止し、第一警報停止継続時間t1と第二警報停止継続時間t2をリセット(初期値0に)して(S89)サブルーチンの処理を終了する。
ここで警報停止解除要求v16を「停止解除」とすることで、図18に示す警報停止要求判定部45の処理において、警報停止スイッチ47が操作されていなくても、警報停止要求状態v15を「作動要求」に切り替え(S77→S76)、障害物検知時に警報を作動させる状態(警報停止解除状態)に自動で戻すようにしている。
このような処理により、周囲の安全確認を促す「注意喚起音」を鳴らしたり、自動で警報を作動させる状態に戻したりすることで、警報停止スイッチ47からの要求に応じて警報を停止させる際に、警報停止のまま使い続けることを抑制することができる。
すなわち、第二実施形態は、警報制御部(警報制御装置)44は、所定時間警報停止状態が継続した場合に、オペレータに警報停止状態の継続を認識させて周囲の安全確認を促すための通知(「注意喚起音」による通知)を行う。
また、警報制御部(警報制御装置)44は、さらに所定時間警報停止状態が継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除し、警報を作動させる状態に自動で戻す。
(第二実施形態の効果)
以上のように構成した第二実施形態においては、オペレータ操作によって警報が停止状態となった後、所定時間警報停止状態が継続した場合に、オペレータに警報停止状態の継続を認識させて周囲の安全確認を促すための通知を行うことができるので、警報が作動する状態で使うように促すことができ(警報停止のまま使い続けることを抑制でき)、より安全性を高めることができる。
また、所定時間警報停止状態が継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除するため、オペレータが警報停止を戻し忘れていたり、警報停止継続の通知を無視していたりしたとしても、自動で警報停止状態を解除することで、警報停止のまま使い続けることを抑制でき、より安全性を高めることができる。
なお、本実施形態では、警報停止状態の継続を通知するための手段として「注意喚起音」という音による通知を行っているが、音に限定するものではなく、例えばモニタにメッセージを表示してもいいし、光による通知を行ってもよい。
また、本実施形態では、先に「注意喚起音」による通知を行った後、さらに警報停止状態が継続した後に自動で警報停止状態を解除するという構成を示しているが、これらは必ずしも組み合わせる必要はなく、どちらか一方でもよいし、警報停止状態を解除すると同時に、そのことをオペレータに音や光で通知する構成としてもよい。
以上のように、本第二実施形態によれば、上述した第一実施形態に加えて、さらに、オペレータ操作によって警報停止がされた後も、一定時間経過の状況判断によって、オペレータに周囲確認を促す通知を行ったり、自動で警報停止状態を解除したり(警報有効状態に戻したり)することで、車体50の周囲に障害物が存在していることをオペレータに知らせる状態を可能な限り確保し、安全性を損なわないようにできる。
よって、本第二実施形態においても、上述した第一実施形態と同様、車体50の周囲に障害物が存在する状態で作業を行う際に、車体50周囲に作業に必要な物体が存在する状況での作業性を確保しつつ、建設機械と周囲作業者の接触による事故発生の可能性を下げることができる、安全性と作業性を両立させた建設機械を提供することができる。
[第三実施形態]
次に、図21〜図25を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
(警報停止スイッチを使用しない警報停止)
図21は、本発明の第三実施形態のシステム構成を示す図である。
第一実施形態および第二実施形態(特に、図3参照)との違いは、オペレータが操作可能な警報停止スイッチ47を備えていないことである。
図22は、本発明の第三実施形態における、障害物検出時の車体動作制限に関する制御部の構成を示す図である。
第一実施形態および第二実施形態(特に、図4参照)とは、警報制御部44の入力信号が異なっており、この第三実施形態では、障害物検知状態v1の他、ロックスイッチ状態(ロックスイッチ15のON/OFF状態)と制御モード状態v3を入力信号としている。ロックスイッチ15は、前述したように、車体50の全ての動作可否を切り替える動作ロック手段を切り替える、言い換えれば、車体50の油圧アクチュエータの動作の有効無効を切り替えるために操作するスイッチである。ロックスイッチ15の状態が「OFF」(ロック状態)のとき、車体50に設けられた油圧アクチュエータの動作が無効となり、車体50が全く動かない状態となり、ロックスイッチ15の状態が「ON」のとき、車体50に設けられた油圧アクチュエータの動作が有効となり、車体50が動く状態となる。また、制御モード状態v3は、前述したように、障害物検出時に車体と障害物の接触防止もしくは衝突軽減のための車体50の動作制限を行う動作制限制御部37(の制御状態切替判定部38)から出力される、制御状態を示す信号である。制御モード状態v3が「制御解除」のとき、動作制限を解除するための制御無効スイッチ36が「ON」(スイッチが押されている状態)、制御モード状態v3が「通常」のとき、動作制限を解除するための制御無効スイッチ36が「ON」ではない(スイッチが押されていない状態)。
図23は、本発明の第三実施形態の警報制御部44の構成を示す図である。
第一実施形態(特に、図14参照)と異なることとして、警報停止要求判定部45の入力信号がロックスイッチ状態と制御モード状態v3となっている。
図24は、本発明の第三実施形態における、警報停止要求判定部45の処理内容を示すフローチャートである。警報停止要求判定部45は、オペレータからの警報停止要求の状態を判定するために、ロックスイッチ状態と制御モード状態v3を判定する。
初めに、制御状態切替判定部38から送信されている制御モード状態v3が「制御解除」であるかを判定する(S92)。オペレータが制御無効スイッチ36を押して、障害物を検知しても車体動作制限が作動しない「制御解除」になっている場合、警報停止要求状態v15を「停止要求」として(S93)、警報も停止するように要求する。
制御モード状態v3が「制御解除」でなかった場合(「通常」であった場合)でも、ロックスイッチ15の状態が「OFF」かどうかを判定し(S94)、オペレータがロックレバーを上げて車体50が動かない状態となっている、ロックスイッチ15の状態が「OFF」であれば(S94でYES)、警報停止要求状態v15を「停止要求」とする(S93)。
制御モード状態v3が「制御解除」でなく、ロックスイッチ15の状態も「ON」(車体50が動く状態)であれば、警報停止要求状態v15を「作動要求」とし(S95)、障害物検知時に警報が作動するようにする。
図25は、本発明の第三実施形態における、警報作動指令部46の処理内容を示すフローチャートである。
まず、検知判定部40から送信されている障害物検知状態v1が「反射材検知状態」かどうかを判定する(S96)。障害物検知状態v1が「反射材検知状態」であれば(S96でYES)、警報停止要求状態v15の状態によらず、警報作動指令v14を「作動」として(S97)、警報を鳴らす。
障害物検知状態v1が「反射材検知状態」でなければ(S96でNO)、障害物検知状態v1が「物体検知状態」かどうかを判定する(S98)。障害物検知状態v1が「反射材検知状態」でも「物体検知状態」でもなければ(S98でNO)、障害物は「非検知状態」であるので、警報作動指令v14を「停止」として(S99)、警報を停止する。
障害物検知状態v1が「物体検知状態」のときは(S98でYES)、警報停止要求判定部45から送信されている警報停止要求状態v15が「停止要求」かどうかを判定する(S100)。警報停止要求状態v15が「停止要求」でなければ(「作動要求」であれば)警報作動指令v14を「作動」とし(S97)、警報停止要求状態v15が「停止要求」であれば警報作動指令v14を「停止」とし(S99)、最初の判定処理(S96)に戻る。
最初の判定処理(S96)に戻り、障害物検知状態v1が「反射材検知状態」になったら、警報作動指令v14を「作動」として(S97)、警報を鳴らす。つまり、警報停止不可障害物である反射材を検知した場合は、警報を再び作動させることでオペレータへの通知を行う。このような処理を行うことにより、(警報停止スイッチ47の代わりに)制御無効スイッチ36やロックスイッチ15からの警報停止要求に応じて警報を停止させる際に、警報停止のまま使い続けることを抑制することができる。
すなわち、第三実施形態は、(警報停止スイッチ47の代わりに)ロックスイッチ15が、オペレータ(操作者)が警報停止を要求するための警報停止要求装置を構成し、警報制御部(警報制御装置)44は、ロックスイッチ(警報停止要求装置)15が操作されることで警報の作動許可(有効)と作動不可(無効)を切り替える。
また、ロックスイッチ15が、車体50が動かない状態とするロック状態(「OFF」)であるときに、警報制御部(警報制御装置)44は、警報を停止させる指令(警報作動指令v14が「停止」)を出力する。
また、障害物検出時に車体と障害物の接触防止もしくは衝突軽減のための動作制限を行う動作制限制御部(動作制限制御装置)37と、動作制限をオペレータが解除するための制御無効スイッチ(動作制限解除装置)36とを備え、制御無効スイッチ(動作制限解除装置)36が警報停止スイッチ37を兼ね、制御無効スイッチ(動作制限解除装置)36の操作時(「ON」操作時)に、動作制限制御部(動作制限制御装置)37が車体50の動作制限解除を行うとともに、警報制御部(警報制御装置)44が警報を停止させる指令(警報作動指令v14が「停止」)の出力を行う。
(第三実施形態の効果)
以上のように構成した第三実施形態においては、オペレータは警報停止操作を意識しなくとも、警報を停止しても問題がないと考えられる場面においては、他の操作に応じて警報が停止するため、余計な操作や判断が不要となり、作業性を損ねない。
具体的には、以下に示すような状況で効果的である。
駐機場所や周囲に土砂の山があるような場所での一時待機状態など、車体50を動かさないが周囲に障害物が存在している状態において、オペレータは通常、従来の油圧ショベルでの作業と同様に、車体50が不意に動かないように、ロックレバーを上げ(ロックスイッチ15を「OFF」にし)、操作レバーを操作しても車体50が動かない状態にする。
このとき、オペレータは待機や休憩を意図しており、さらに車体50が動かないもしくは車体50を動かさないことをオペレータは把握しているが、周囲に障害物が存在すると、本実施形態を適用していない場合は、障害物検知による警報が鳴ってしまう。オペレータは警報停止スイッチ47を押せば警報を停止させられるが、この手間がオペレータの負担となってしまう可能性がある。
本実施形態においては、ロックレバーを上げていれば(ロックスイッチ15が「OFF」(車体が動かない状態とするロック状態)であれば)警報停止要求が出されるため、車体50が動かない状態であれば警報が停止し、オペレータが別の警報停止スイッチ47を押さなくてもよく、オペレータの負担軽減となる。
また、別の状況として、周囲に土砂の山が存在する状態での積み込み作業といった場面を考える。監視対象の障害物を検知すると、車体50と障害物の接触防止もしくは衝突軽減のため、車体50の動作速度を遅くしたり、車体50を動き出さなくしたりする動作制限が作動する。そのため、周囲に障害物が存在する状況でも作業を継続する必要がある場合、オペレータは制御無効スイッチ36を押して動作制限を解除して作業を継続する。
このとき、本実施形態を適用していない場合は、障害物検知による警報が鳴ってしまう。オペレータは警報停止スイッチ47を押せば警報を停止させられるが、この手間がオペレータの負担となってしまう可能性がある。
本実施形態においては、制御無効スイッチ36を押して制御解除状態であれば警報停止指令が出されるため、オペレータが車体50の周囲に障害物があることを承知の上で作業を継続する状態においては警報が停止し、オペレータが別の警報停止スイッチ47を押さなくてもよく、オペレータの負担軽減となる。
なお、この第三実施形態においても、障害物検知状態v1が「反射材検知状態」であれば警報が作動するため、例えば、反射材付きベストを着用した作業者が進入してきたときには警報を鳴らすなど、オペレータに通知すべきときにはオペレータの警報停止要求によらず警報を作動させることができ、作業性と安全性が両立できる。
なお、本実施形態では、先に「制御モード状態v3(制御無効スイッチ36の状態に対応)」の判定を行った後、「ロックスイッチ状態(ロックスイッチ15の状態)」の判定を行うという構成を示しているが、これらは必ずしも組み合わせる必要はなく、どちらか一方でもよいし、先に「ロックスイッチ状態」の判定を行い、後で「制御モード状態v3」の判定を行う構成としてもよい。
よって、本第三実施形態においても、上述した第一、第二実施形態と同様、車体50の周囲に障害物が存在する状態で作業を行う際に、車体50周囲に作業に必要な物体が存在する状況での作業性を確保しつつ、建設機械と周囲作業者の接触による事故発生の可能性を下げることができる、安全性と作業性を両立させた建設機械を提供することができる。
[第四実施形態]
次に、図26〜図29を参照して本発明の第四実施形態について説明する。
(ホーンスイッチでの警報停止)
図26は、本発明の第四実施形態のシステム構成を示す図である。
第一実施形態(特に、図3参照)との違いとして、車体コントローラ14にホーンスイッチ48が接続されている。ホーンスイッチ48は、油圧ショベル等の建設機械には通常装着されているもので、スイッチを押すことで車体に搭載されたホーンを周囲に向けて鳴らすことができる。その用途は、例えば周囲の作業者に車体のエンジン始動やアクチュエータの動き出しを知らせるための注意喚起である。車体コントローラ14は、ホーンスイッチ48が押されていないときを「OFF」、押されているときを「ON」として判定している。
図27は、本発明の第四実施形態における、車体コントローラ14内の障害物検出時の車体動作制限に関する制御部の構成を示す図である。また、図28は、そのうちの警報制御部44の構成を示す図である。
第一実施形態(特に、図4、図14参照)との違いとして、警報制御部44およびその中の警報停止要求判定部45に、ホーンスイッチ状態(ホーンスイッチ48のON/OFF状態)の信号が入力されている。
図29は、本発明の第四実施形態における、警報停止要求判定部45の処理内容を示すフローチャートである。警報停止要求判定部45は、オペレータからの警報停止要求の状態を判定するために、ホーンスイッチ状態を判定する。
第一実施形態では、警報停止スイッチ状態(警報停止スイッチ47が押されたかどうか)によって警報停止要求状態v15を切り換えていたが、第四実施形態では、その代わりにホーンスイッチ状態(ホーンスイッチ48が押されたかどうか)によって警報停止要求状態v15を切り換えている。すなわち、初めに、ホーンスイッチ48が押されたかどうか(ホーンスイッチ48の状態が「OFF」から「ON」に変化したか)を判定する(S101)。ホーンスイッチ48が押されたときに、警報停止要求状態v15を「停止要求」とし(S102)、それ以外のときは、警報停止要求状態v15を「作動要求」とする(S103)。この部分以外の処理は、他の制御部も含め、第一実施形態と同様である。
本第四実施形態においては、オペレータが警報を停止させようとするとき、次のような作動となる。
物体検知状態となり、オペレータへの警告音(ブザー音)が鳴った場合において、オペレータがその警告音を停止させる場合、オペレータはホーンスイッチ48を押す。それにより、オペレータへの警告音を停止させる際には必ずホーンが鳴る。
すなわち、第四実施形態は、(警報停止スイッチ47の代わりに)ホーンスイッチ48が、オペレータ(操作者)が警報停止を要求するための警報停止要求装置を構成し、警報制御部(警報制御装置)44は、ホーンスイッチ(警報停止要求装置)48が操作されることで警報の作動許可(有効)と作動不可(無効)を切り替える。
(第四実施形態の効果)
このような作動により、次のような効果を得ることができる。
第一実施形態において、障害物を検知している状態かどうかということはオペレータのみが知ることができ、周囲の作業者には通知されない。そのため、周囲の作業者は、オペレータが自分に気づいているのかどうかを知ることができない。
本第四実施形態の構成であれば、オペレータへの警告音を停止させる際には必ず周囲作業者向けのホーンが鳴るため、周囲作業者は、オペレータが警報を停止させて作業を始める(車体50を動かし始める)ことを知ることができ、周囲作業者の車体周囲からの退避が促されることで、より安全性を向上させることができる。
また、従来の油圧ショベルに元々装着されているホーンスイッチ48を兼用することで、追加部品や追加操作を少なくし、オペレータの作業性も向上する。
よって、本第四実施形態においても、上述した第一から第三実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第五実施形態]
続いて、図30を参照して本発明の第五実施形態について説明する。
(一定時間非検知継続で警報有効に自動復帰)
第五実施形態は、システム構成や制御部の構成については前述した第二実施形態と同じであり、第二実施形態(特に、図20参照)と比べて、以下に説明する、警報作動指令部46内のサブルーチンである警報停止解除判定(S84)の処理内容のみが異なる。
図19の制御フローにおいて、オペレータが警報停止スイッチ47を押して警報停止要求状態v15が「停止要求」となり(S78)、警報作動指令v14を「停止」として警報が停止され(S83)、警報停止解除判定(S84)が実行される。
前述した第二実施形態における警報停止解除判定(S84)では、所定時間警報停止状態が継続した場合に、オペレータに警報停止状態の継続を認識させて周囲の安全確認を促すための通知を行い、さらに所定時間警報停止状態が継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除する処理としたが、第五実施形態における警報停止解除判定(S84)では、警報停止状態かつ障害物非検出状態が所定時間継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除する処理としている。
図30は、本発明の第五実施形態における、警報作動指令部46内のサブルーチンである警報停止解除判定(S84)の処理内容を示すフローチャートである。
第五実施形態における警報停止解除判定(S84)では、まず初めに、障害物非検知時間t3(初期値0、最大値T3)のカウントを開始する(S104)。続いて、オペレータによる警報作動要求があるかどうかを判定するために警報停止要求状態v15が「停止要求」かどうかを判定する(S105)。警報停止要求状態v15が「停止要求」でなければ(オペレータが警報停止状態を解除し、再び警報を作動可能な状態に戻したら)、障害物非検知時間t3のカウントを停止し、障害物非検知時間t3をリセット(初期値0に)して(S106)サブルーチンの処理を終了する。
警報停止要求状態v15が「停止要求」であれば、障害物検知状態v1が「反射材検知状態」もしくは「物体検知状態」かを判定する(S107)。障害物検知状態v1が検知状態であれば(障害物を検知していれば)、障害物非検知時間t3をリセット(初期値0に)して(S108)ステップS105に戻る。障害物検知状態v1が検知状態でなければ(障害物を検知していなければ)、障害物非検知時間t3のカウントを継続し、障害物非検知時間t3が非検知警報解除判定時間T3(例えば30秒)に到達したかどうかを判定する(S109)。障害物非検知時間t3が非検知警報解除判定時間T3未満であれば、ステップS105に戻り、判定を繰り返す。障害物非検知時間t3が非検知警報解除判定時間T3に到達したら、警報停止解除要求v16を「停止解除」とし(S110)、障害物非検知時間t3のカウント停止し、障害物非検知時間t3をリセット(初期値0に)して(S106)サブルーチンの処理を終了する。
ここで警報停止解除要求v16を「停止解除」とすることで、図18に示す警報停止要求判定部45の処理において、警報停止スイッチ47が操作されていなくても、警報停止要求状態v15を「作動要求」に切り替え(S77→S76)、警報を作動させる状態(警報停止解除状態)に自動で戻すようにしている。
このような処理により、自動で警報を作動させる状態に戻すことで、警報停止のまま使い続けることを抑制することができる。
この警報停止解除判定(S84)により、第五実施形態では次のような警報停止の作動となる。
オペレータによる警報停止スイッチ47の操作によって警報が停止しているとき、障害物を検知している間であれば警報停止のまま使用し続けることが可能だが、障害物非検知の状態が一定時間(T3)以上継続したら、警報が作動する状態(警報停止解除状態)に自動的に戻す。一定時間(T3)経過する前に再度障害物を検知したら(障害物検知状態v1が検知状態になったら)、障害物非検知時間t3のカウントをリセットするので、警報停止の状態が継続する。
すなわち、第五実施形態は、警報制御部(警報制御装置)44は、警報停止状態かつ障害物非検出状態が所定時間継続した場合に、自動的に警報停止状態を解除し、警報を作動させる状態に自動で戻す。
(第五実施形態の効果)
このような作動により、以下に説明する効果を得ることができる。
第二実施形態では、障害物の検知非検知に関係なく、一定時間(T2)警報停止状態が継続すると、自動的に警報停止状態を解除していた。警報を鳴らすことにより、オペレータに周囲の障害物の存在を知らせ、周囲確認を促すことができる。
しかし、ダンプへの土砂の積み込み作業など、車体50の周囲に常に障害物(土砂や壁)が存在する状態で作業を行う状況を考えてみると、オペレータは、一定時間(T2)毎に、再度警報停止スイッチ47を押して警報を停止させるという操作を行う必要がある。これは、実際に作業を行うオペレータにとっては負担であり、不快感や集中力低下という状態を招くことも考えられる。
本第五実施形態の警報停止解除方法であれば、車体50の周囲に障害物が存在し続ける間であれば、自動で警報停止を解除することはなく(警報停止の状態が継続し)、オペレータの作業を妨げることはない。しかし、車体50の周囲に障害物が存在しなくなってから一定時間(T3)が経過してから警報停止状態を自動で解除するため、オペレータの手動による警報停止状態の解除し忘れを防止することができ、作業性と安全性を両立させることができる。
以上のように、本第五実施形態によれば、オペレータ操作によって警報停止がされた後も、一定時間経過や、一定時間非検出継続などの状況判断によって、自動で警報停止状態を解除する(警報有効状態に戻す)ことで、車体の周囲に障害物が存在していることをオペレータに知らせる状態を可能な限り確保し、安全性を損なわないようにする。
よって、本第五実施形態においても、上述した第一から第四実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第六実施形態]
続いて、図31を参照して本発明の第六実施形態について説明する。
(障害物の種類によって警告音を変更)
第六実施形態は、システム構成や制御部の構成については前述した第一実施形態と同じであり、第一実施形態(特に、図16参照)と比べて、以下に説明する、警報作動指令部46内の処理内容のみが異なる。
前述した第一実施形態では、監視対象の障害物の種類(人・物)に関係なく、一種類の同じ警告音(ブザー音)を鳴らしていたが、第六実施形態では、監視対象の障害物の種類に応じて異なる(2種類以上の)警告音(音質や周期など)を鳴らしてオペレータに通知を行う。
図31は、本発明の第六実施形態における、警報作動指令部46の処理内容を示すフローチャートである。第一実施形態(図16)と比較すると、警報の作動を指令する警報作動指令v14が「作動」の一種類ではなく、反射材検知時(障害物検知状態v1が「反射材検知状態」)には警報作動指令v14を「反射材検知音作動」とし(S112)、物体検知時(障害物検知状態v1が「物体検知状態」)には警報作動指令v14を「物体検知音作動」とする(S118)点が異なる。この部分以外の処理(S111、S113〜S117)は、第一実施形態(図16のS66、S68〜S72)と同様である。
この図31に示す処理でも、反射材を検知したら(障害物検知状態v1が「反射材検知状態」になったら)、警報作動指令v14を「反射材検知音作動」として(S112)、警報を再び作動させることでオペレータへの通知を行うので、警報停止スイッチ47からの要求に応じて警報を停止させる際に、警報停止のまま使い続けることを抑制することができる。
また、第六実施形態においては、物体と反射材という異なる種類として検出した障害物に対して、それぞれを音で区別できるように、異なる警告音(ブザー音)を鳴らすようにしている。例えば、警報作動指令v14が「物体検知音作動」のときには、低い音程で「ピーピーピー」という断続音を鳴らし、警報作動指令v14が「反射材検知音作動」のときには、高い音程で「ピーピーピー」という断続音を鳴らす。
すなわち、第六実施形態は、3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9は、監視対象の障害物を2種類以上に区別して検出可能であり、3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9で検出する障害物の種類に応じて異なる警告音(音質や周期など)で警報を作動して通知を行う。
(第六実施形態の効果)
このような作動により、以下に説明する効果を得ることができる。
第一実施形態において、障害物検知により警告音(ブザー音)が鳴ったとき、オペレータは警報停止スイッチ47を押して警報を停止させようとするが、警告音によって物体検知(警報停止許可障害物の検知)か反射材検知(警報停止不可障害物の検知)かを判別することができないため、反射材検知のときは、警報停止スイッチ47を押しても警報が停止しないという状況が発生し、オペレータからすれば、意味のない動作をさせられたと感じる可能性がある。このような使い勝手の悪さによって本システム全体の使用が煩わしくなり、警告音による通知というシステムの基本的な部分が使われなくなり、安全性向上という目的を果たせなくなる可能性がある。
本第六実施形態によれば、オペレータは、障害物を検知した時点で音(の種類)によって検知した障害物が「物体(警報停止許可障害物)」なのか「反射材(警報停止不可障害物)」なのかを知ることができるため、警報停止スイッチ47を押す意味があるとき(警報停止が可能なとき)のみ警報停止スイッチ47を押すという操作を行うことができ、オペレータの作業性を向上させることができる。
また、オペレータは、音(の種類)によって検知した障害物が「反射材」であるとすぐに気づき、無駄に警報停止スイッチ47を押すという操作がなく、周囲の安全確認を促すことができるので、安全性も向上させることができる。
よって、本第六実施形態においても、上述した第一から第五実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記した実施形態では、車体50に取り付けられた3Dセンサ(障害物検出装置)6、7、8、9で、監視対象の障害物を2種類以上に区別して検出し、かつ、検出した障害物を物体(警報停止許可障害物)と反射材(警報停止不可障害物)に分類するという構成を示したが、これに限定されず、たとえば、画像認識などによって、検出した障害物を「人」と「人以外」に区別(分類)する構成としてもよいし、FRIDタグを検出する検出装置を追加して、「物体検知かつタグ検知」と「物体検知かつタグ非検知」に区別(分類)する構成としてもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形形態が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記した実施形態のコントローラの各機能は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアで実現してもよい。また、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、コントローラ内の記憶装置の他に、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。