JP4920573B2 - タンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤 - Google Patents

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Description

本発明は、濃厚流動食や経腸栄養剤等のタンパク質含有液状食品を経管投与する際に用いられる、経管投与用増粘剤に関する。詳細には、経管投与時は加重によりチューブ内で容易に流動する(チューブが閉塞しない)程度の流動性と、瘻孔から漏れ出さない程度の粘度を有しつつも、経管投与後は胃内部でタンパク質含有液状食品の種類や配合処方によらず、短時間で安定的に増粘、もしくはゲル化し、食道への逆流を防止することが可能なタンパク質含有液状食品を含有した経管投与用増粘剤に関する。
食物を噛み砕き飲み込むという一連の動作に障害をもつ、いわゆる咀嚼・嚥下困難者への栄養補給の一形態として、経管栄養摂取法(経管投与法)があり、経鼻的、あるいは経胃瘻・経腸瘻的に食品を投与する場合がある。経鼻経管栄養法は、鼻から挿入して食道、胃、十二指腸、空腸の何れかの部位まで到達させたチューブを介して、また経胃瘻・経腸瘻経管栄養法は、食道や胃、空腸(多くは胃)に手術的または内視鏡的に外瘻を造設して留置したチューブを介して、濃厚流動食や経腸栄養剤などのタンパク質含有液状食品を投与する方法である。
係る経管投与法は、経口摂取が不可能な患者に適用可能であり、窒息や誤嚥性肺炎の防止という面で食品を口から摂取する場合に比べ優位である。しかし、経管投与は一般的に長時間を要し、更に投与に際しては座位を必要とする。そのため、特に体力の衰えた高齢者にとっては肉体的苦痛が大きいものであり、褥瘡(床ずれ)を誘発する場合がある。更に投与後、例えば体の向きを変えるだけで胃の内容物が逆流する胃食道逆流や、逆流物が気管や肺に達して二次性の誤嚥を生じるという問題がある。また、胃の内容物がチューブ内を逆流し、胃瘻や腸瘻から漏れ出ることで、皮膚炎などを誘発することもある。かかる問題を解決する方法としては、濃厚流動食や経腸栄養剤等のタンパク質含有液状食品の粘度を増加させて胃食道逆流を防止する方法、濃厚流動食の経管投与前後にカチオン反応性のゲル化剤及びカチオンを個別に添加し、胃内で濃厚流動食をゲル化させて胃食道逆流を防止する方法が挙げられる。例えば、経管投与時に濃厚流動食にイオタカラギーナンを添加し濃厚流動食又は経腸栄養剤を増粘させる方法(特許文献1)、流動食又は経腸栄養剤の経管投与前後にローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、及びジェランガムから選択される1種又は2種以上の増粘剤を含む溶液とカルシウム溶液を個別に経管投与する方法(特許文献2)がある。
特開2006−273804号公報 特許第3633942号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、経管投与時に既に濃厚流動食又は経腸栄養剤が高粘度であるため、濃厚流動食又は経腸栄養剤をチューブで押し込む際に必要以上の加重を要し、更に高粘度である濃厚流動食又は経腸栄養剤はチューブへの付着性が強く、残存してしまうため、微生物増殖の原因となり衛生上好ましくない。また濃厚流動食又は経腸栄養剤の配合処方によっては全く増粘しない場合がある。特許文献2に記載の方法は、経管投与時には流動食や経腸栄養剤は良好な流動性を有し、過度な加重を必要とせず、容易に流動するものの、使用するゲル化剤によっては、部分的なゲル化しか起こらず、不均一な状態になって胃食道逆流を完全に抑制することはできない場合がある。また、カルシウムやマグネシウム等の塩類を高含有した濃厚流動食や経腸栄養剤に適用した場合は、胃内で濃厚流動食や経腸栄養剤自体の粘度が必要以上に上昇して便秘や下痢の原因になったり、栄養成分の吸収を阻害しまうなどの問題を抱えていた。
そこで本発明は、経管投与時は加重によりチューブ内で容易に流動する(チューブが閉塞しない)程度の流動性と、瘻孔から漏れ出さない程度の粘度を有しつつも、経管投与後は胃内部でタンパク質含有液状食品が増粘もしくはゲル化し、胃内容物の食道への逆流を防止することが可能な経管投与用増粘剤を提供することを目的とする。特に、濃厚流動食及び経腸栄養剤は脂質、タンパク質及びミネラル分を高含量で含むため、多くの増粘多糖類では水やお茶等に比べて粘度発現が困難であるが、かかる濃厚流動食及び経腸栄養剤を用いた場合であっても、胃内で短時間で安定的に粘度発現が可能な経管投与用増粘剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、次に掲げる(A)液及び(B)液を対にしてなることを特徴とする、タンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤を用いることにより、個別の溶液はチューブ内で経管投与に適した流動性を有しつつも、両液を混合することにより、短時間かつ安定的にタンパク質含有液状食品を増粘もしくはゲル化できることを見出して本発明を完成した。
(A)キサンタンガム含有溶液、
(B)ローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理されたタンパク質含有液状食品。
本発明は、以下の態様を有する濃厚流動食又は経腸栄養剤を含有した経管投与用増粘剤に関する;
項1.(A)液及び(B)液を対にしてなることを特徴とする、タンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤;
(A)キサンタンガム含有溶液、
(B)タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液。
項2.上記両対溶液を個別に経管投与することを特徴とする、項1記載のタンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤。
本発明は、チューブ内での流動性に優れ、チューブ内壁への付着が少ない経管投与用のタンパク質含有食品(濃厚流動食及び経腸栄養剤)を提供でき、介護者の負担を低減することができる。更に、本発明に係るタンパク質含有液状食品を含有した経管投与用増粘剤は、経管投与時は良好な流動性を有しつつも、胃内部でタンパク質含有液状食品が短時間で増粘もしくはゲル化し、更にタンパク質含有液状食品の種類や配合処方によらず安定的に粘度を付与することができる。これにより、胃食道逆流が有意に抑制された経管投与用タンパク質含有食品を提供することができ、経口摂取が困難な患者の栄養改善に貢献する。
本発明のタンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤は、以下に係る(A)溶液及び(B)溶液を対にしてなることを特徴とする。
(A)キサンタンガム含有溶液、
(B)タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液。
なお、(A)液は(B)液と同様に、キサンタンガムをタンパク質含有液状食品に予め添加、溶解して用いることもできる。ただし、この場合、熱処理の工程は必ずしも必要でない。
(A)キサンタンガム含有溶液
本発明で用いるキサンタンガムは、β-(1, 4)-D-グルカンを主鎖骨格とし、主鎖中のグルコース1分子おきにα-D-マンノース、β-D-グルクロン酸、β-D-マンノースからなる側鎖が結合した酸性多糖類であり、主鎖に結合したマンノースはC6位がアセチル化され、末端のマンノースはピルビン酸とアセタール結合している。食品用途としては、ソース類、タレ類、ドレッシング類等の増粘剤、ローカストビーンガムとの併用でゼリー類などのゲル化剤、ベーカリー類等の保水性改良剤等として、最も多く使用されている食品多糖類の一つである。かかるキサンタンガムは商業的に入手することができ、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンエース[商標]」、「サンエース[商標]C」などを挙げることができる。
(A)キサンタンガム含有溶液中のキサンタンガムの添加量は必要とされる粘度によって適宜調整することが可能であるが、例えば0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜4質量%、更に好ましくは0.075〜2質量%を挙げることができる。本発明のキサンタンガム溶液は、濃厚流動食や経腸栄養剤などのタンパク質含有液状食品あるいは水等に添加することで調製可能であり、溶解する溶媒は特に限定されず各種溶媒を用いることが可能である。
(B)タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液。
本発明で用いるローカストビーンガムは、マメ科植物の種子を原料とする多糖類であり、β-1,4-D-マンナンの主鎖骨格に側鎖としてD-ガラクトースがα-1,6結合した、いわゆるガラクトマンナン類に属するものであり、構成糖であるマンノースとガラクトースのモル比が4:1(平均)である。食品工業の分野において、ローカストビーンガムはアイスクリームの安定剤、麺類の保水性及び/又は食感改良剤、漬物類に使用する調味液の粘度付け、艶出し、ソース類の粘度付け、油脂代替、冷凍食品では衣の剥離防止や具材の離水防止、畜肉加工品ではピックル液の肉中での分散性の改良等の目的で広く使用されている。かかるローカストビーンガムは商業的に入手することができ、未精製品及び精製品のいずれも適応可能である。市販品として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ローカストビンガムF」、「ビストップ[商標]D−171」、「ビストップ[商標]D−2213」を挙げることができる。
本発明で用いるグルコマンナンは、コンニャク芋に含まれる多糖類であり、D−グルコースとD−マンノースがほぼ、1:1.6のモル比で、β−1,4結合により結合した多糖類であり、その分子量は約100万〜200万である。かかるグルコマンナンは商業的に入手することができ、未精製品及び精製品のいずれも適応可能である。市販品として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ビストップ[商標]D−2131」を挙げることができる。
(B)タンパク質含有液状食品中の上記ローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンの添加量は必要とされる粘度やタンパク質含有液状食品の配合処方等によって適宜調整することが可能であるが、例えばタンパク質含有液状食品中のローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンの添加量が0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜4質量%、更に好ましくは0.075〜2質量%を挙げることができる。更に、ローカストビーンガムを用いる場合は、(A)キサンタンガム含有溶液中のキサンタンガム100質量部に対し、ローカストビーンガムが10〜1000質量部、好ましくは25〜400質量部、更に好ましくは60〜150質量部となるように添加することが好ましい。グルコマンナンを用いる場合は、(A)キサンタンガム含有溶液中のキサンタンガム100質量部に対し、グルコマンナンが10〜1000質量部、好ましくは25〜400質量部、更に好ましくは50〜250質量部となるように、ローカストビーンガム及びグルコマンナンを用いる場合は、キサンタンガム100質量部に対し、ローカストビーンガム及びグルコマンナンが10〜1000質量部、好ましくは25〜400質量部、更に好ましくは50〜200質量部となるように添加することが好ましい。
本発明では、タンパク質含有液状食品が、ローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上、好ましくは80〜200℃、更に好ましくは80〜150℃で熱処理されていることを特徴とする。熱処理により、経管投与時はチューブ流動性に優れつつも、(A)キサンタンガム含有溶液と混合した際に、タンパク質含有液状食品が短時間で安定的に増粘もしくはゲル化し、胃食道逆流を防止することが可能となる。係る熱処理は例えば121℃で10〜30分間のレトルト加熱殺菌、あるいはそれに相当する加熱処理であれば特に限定されずUHT殺菌、HTST殺菌など任意の方法を用いることができる。例えば、酸性のタンパク質含有液状食品であれば、80℃で10〜120分間のどぶづけ殺菌を行うことにより、121℃で10〜30分間のレトルト加熱殺菌相当の加熱処理が可能である。本発明において好ましい熱処理はレトルト加熱殺菌処理である。
一方、ローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上の熱処理を施すことなくタンパク質含有液状食品を用いた場合は、キサンタンガム含有溶液と混合した場合においても十分に粘度が発現しない。更に、タンパク質含有液状食品の代わりに水にローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを溶解した水溶液を用いた場合は、例え121℃で10〜30分間のレトルト加熱殺菌に相当する熱処理した溶液を用いた場合であっても十分に粘度が発現せず、本発明が目的とする経管投与用のタンパク質含有食品を提供することができない。
本発明で用いるタンパク質含有液状食品は、主として濃厚流動食や経腸栄養剤と呼ばれるものであり、カロリー値が1kcal/mL以上であり、栄養成分は少なくとも、タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどを含み、生理機能的には下痢などの副作用を最小限に抑えた配合処方であり(ヒトの生体浸透圧よりも高く)、物性的には細いチューブでも通過する流動性を有し、数ヶ月常温で保存可能な乳化安定性を有するものを挙げることができる。濃厚流動食や経腸栄養剤は、タンパク質に加え、ミネラル分を含有するため、多くの増粘多糖類で水やお茶に比べてより粘性を付与することが難しかったが、本発明に係る経管投与用増粘剤を用いることにより、タンパク質含有液状食品がその種類や配合処方によらず短時間で安定的に胃内部で容易に増粘もしくはゲル化し、胃食道逆流を防止することが可能となった。本発明で用いるタンパク質含有液状食品の好適な例として下記タンパク質、脂質、糖質含量を有する濃厚流動食又は経腸栄養剤を挙げることができる。タンパク質:2〜10質量%、脂質:1〜10質量%、糖質:5〜20質量%である濃厚流動食又は経腸栄養剤。
本発明の経管投与用増粘剤は、以下に係る(A)溶液及び(B)溶液を対にしてなることを特徴とし、(A)溶液を経管投与後、(B)溶液を経管投与する、もしくは(B)溶液を経管投与後、(A)溶液を経管投与することにより用いられる。
(A)キサンタンガム含有溶液、
(B)ローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理されたタンパク質含有液状食品。
係る方法で経管投与を行うことにより、経管投与時はチューブ内での流動性に優れ、瘻孔から漏れ出さず、更にチューブ内壁への付着が少ないが、胃内部で(A)液と(B)液が混合されることにより濃厚流動食が増粘もしくはゲル化し、胃食道逆流を防止することができる。なお(A)液は(B)液と同様に、キサンタンガムをタンパク質含有液状食品に予め添加、溶解して用いることもできる。ただしこの場合、熱処理の工程は必ずしも必要でない。
チューブ流動性に優れ、瘻孔から漏れ出さず、更にチューブ内壁への付着が少ない粘度としては、B型回転粘度計を用い、ローター♯3で回転数12rpmで測定した場合、例えば200〜2500mPa・s、好ましくは500〜2000mPa・sを例示することができ、胃食道逆流の防止に効果的な粘度としては、2000mPa・s以上、好ましくは5000mPa・s以上もしくはゲル化状態を例示することができる。
(A)キサンタンガム含有溶液、及び(B)タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液を対にしてなるとは、上記投与形態が保持される状態であれば特に限定されず各種状態を指すことができるが、一例として各々の溶液を別個に包装したものが1セット(キット)となっている形態を挙げることができる。
本発明の経管投与用増粘剤は、経鼻経管栄養法(鼻から挿入して食道、胃、十二指腸、空腸の何れかの部位まで到達させたチューブを介して濃厚流動食及び経腸栄養剤を持続的に投与する方法)の経管投与用増粘剤として、及び胃瘻・腸瘻経管栄養法(食道や胃、空腸(多くは胃)に手術的または内視鏡的に外瘻を造設して留置したチューブを介して、濃厚流動食及び経腸栄養剤を持続的に投与する方法)の経管投与用増粘剤として用いることが可能である。特に胃瘻経管栄養法は、胃に瘻孔を設置し、瘻孔に通したチューブによって胃内部に直接濃厚流動食又は経腸栄養剤を投与することを特徴とするため、長期経管投与により瘻孔が拡張した場合、経管投与後に胃に設置した瘻孔から濃厚流動食又は経腸栄養剤が漏れ、瘻孔及び瘻孔周辺の皮膚が爛れてしまう等の問題点を有していた。本発明の経管投与用増粘剤は、胃内部で濃厚流動食及び経腸栄養剤が胃食道逆流を抑制し得る粘度まで増粘もしくはゲル化するため、係る瘻孔からの濃厚流動食の漏れも防止することが可能である。
本発明の経管投与用増粘剤は、濃厚流動食や経腸栄養剤といったタンパク質含有液状食品を含むため、経管投与用増粘剤自体を、経管投与用濃厚流動食又は経腸栄養剤として使用することができる。一方、以下の使用形態をとることも可能である。
(1)(A)液もしくは(B)液を経管投与後、水、濃厚流動食又は経腸栄養剤等を経管投与し、更に残りの(A)液もしくは(B)液を経管投与する。
(2)水、濃厚流動食又は経腸栄養剤等を経管投与後、(A)液もしくは(B)液を経管投与し、その後、更に残りの(A)液もしくは(B)液を経管投与する。
(3)(A)液もしくは(B)液を経管投与し、更に残りの(A)液もしくは(B)液を経管投与する。その後、水、濃厚流動食又は経腸栄養剤等を経管投与する。
本発明のタンパク質含有液状食品を含有した経管投与用増粘剤は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、他の増粘多糖類、ゲル化剤、乳化剤、有機酸や無機酸等の塩類、糖アルコール類、高甘味度甘味料、機能性素材(ビタミン、ミネラル等)、香料、色素、調味料等を添加することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「質量部」、「%」は「質量%」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
調製例1:濃厚流動食を含有した経管投与用増粘剤の調製(1)
(A)液:キサンタンガム含有溶液の調製
表1に示す処方に従って、キサンタンガム含有溶液として、濃厚流動食にキサンタンガムを溶解したキサンタンガム含有溶液を調製した。
イオン交換水を80℃に加熱し、撹拌しながら表1記載の添加量のキサンタンガムを添加し、80℃で10分間撹拌溶解した。調製した水溶液(80℃)を撹拌しながら、あらかじめ80℃に加熱しておいた濃厚流動食を少量ずつ添加し、約3分間撹拌後、アルミパウチに充填し、室温で約1時間放冷した。121℃で20分間レトルト殺菌後、水冷し常温で保存した。使用した濃厚流動食の組成は次の通りである。タンパク質5.0g/100ml、脂質2.2g/100ml、糖質14.7g/100ml。以下、実験例1、調製例2、実験例2で用いる濃厚流動食も同様である。
(B)液:タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液の調製。
イオン交換水を80℃に加熱し、撹拌しながら表1記載の添加量のローカストビーンガム又はグルコマンナンを添加し、80℃で10分間撹拌溶解した。調製した水溶液(80℃)を撹拌しながら、あらかじめ80℃に加熱しておいたタンパク質含有液状食品(濃厚流動食)を少量ずつ添加し、約3分間撹拌後、アルミパウチに充填し、室温で約1時間放冷した。121℃で20分間レトルト殺菌後、水冷し常温で保存した。また、比較例としてローカストビーンガム又はグルコマンナンの代わりにグァーガムを用いて調製したグァーガム含有濃厚流動食を調製した。
(比較溶液)(B)液の比較溶液として、下記製法にてローカストビーンガム又はグルコマンナンを含有した水溶液を調製した。
イオン交換水を80℃に加熱し、撹拌しながら表1記載の添加量のローカストビーンガム又はグルコマンナンを添加した。80℃で10分間撹拌溶解後、アルミパウチに充填、室温で約1時間放冷した。121℃で20分間レトルト殺菌後、水冷し常温で保存した。
Figure 0004920573
(注1)サンエース※
(注2)ビストップ※D−171*
(注3)ビストップ※D−2131*
(注4)ビストップ※D−2022*
実験例1:粘度発現試験
調製例1で調製した各(A)溶液、及び(B)溶液を用いて粘度発現を評価した。詳細には、調製した各々(A)溶液、及び(B)溶液の粘度を測定後、(A)溶液及び(B)溶液を混合し、スパーテルにて10秒間手撹拌した直後に粘度測定を行った。なお、比較例1及び比較例2では全量が100部となるように表1に示す量の濃厚流動食を別添した(調整液と表記)。粘度はB型回転粘度計にて室温で測定した(回転数:12rpm)。結果を表2に示す。
Figure 0004920573
(A)キサンタンガム溶液の対になる溶液として、(B)濃厚流動食にローカストビーンガム、又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液を用いることにより、各々の溶液自体は355〜1950mPa・sと低い粘度に保持される一方で、各溶液を混合することにより、緩くゲル化した。係ることから本発明の経管投与用増粘剤は、経管投与時は加重によりチューブ内で容易に流動する(チューブが閉塞しない)程度の流動性と、瘻孔から漏れ出さない程度の粘度を有しつつも、胃内部で溶液が混合された場合は短時間で安定的に増粘もしくはゲル化し、食道への逆流を防止できる経管投与用増粘剤であることが分かった。また、本発明の経管投与用増粘剤は増粘剤自体を濃厚流動食に含有させるため、濃厚流動食の分散安定及び乳化安定にも寄与する。一方、キサンタンガムとローカストビーンガム、グルコマンナンの組み合わせを用いた場合であっても、単にイオン交換水に溶解したローカストビーンガムあるいはグルコマンナン溶液を用いた場合(比較例1、比較例2)は、別添で濃厚流動食を添加した場合においても求められる粘度を付与することはできなかった。同様にして、濃厚流動食と共存させた状態で80℃以上の熱処理を行った場合であっても、ローカストビーンガム、グルコマンナンの代わりにグァーガムを用いた場合には、食道への逆流を抑制する程度の粘度を付与することはできなかった(比較例3)。
調製例2:濃厚流動食を含有した経管投与用増粘剤の調製(2)
(A)液:キサンタンガム含有溶液の調製
表3に示す処方に従って、イオン交換水にキサンタンガムを溶解したキサンタンガム含有溶液を調製した。詳細には、イオン交換水を80℃に加熱し、撹拌しながら表3記載の添加量のキサンタンガムを添加した。80℃で10分間撹拌溶解後、アルミパウチに充填、室温で約1時間放冷した。121℃で20分間レトルト殺菌後、水冷し常温で保存した。
(B)液:タンパク質含有液状食品にローカストビーンガム又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液の調製。
イオン交換水を80℃に加熱し、撹拌しながら表3記載の添加量のローカストビーンガム又はグルコマンナンを添加し、80℃で10分間撹拌溶解した。調製した水溶液(80℃)を撹拌しながら、あらかじめ80℃に加熱しておいたタンパク質含有液状食品(濃厚流動食)を少量ずつ添加し、約3分間撹拌後、アルミパウチに充填し、室温で約1時間放冷した。121℃で20分間レトルト殺菌後、水冷し常温で保存した。また、比較例としてローカストビーンガム又はグルコマンナンの代わりにグァーガムを用いて調製したグァーガム含有濃厚流動食を調製した。
Figure 0004920573
実験例2:粘度発現試験
調製例2で調製した各(A)溶液及び(B)溶液を用いて粘度発現を評価した。詳細には、調製した各々(A)溶液及び(B)溶液の粘度を測定後、(A)溶液及び(B)溶液を混合し、スパーテルにて10秒間手撹拌した直後に粘度測定を行った。なお、各試験区で全量が100部となるように、表3に示す量の濃厚流動食を別添した(調整液と表記)。粘度はB型回転粘度計にて室温で測定した(回転数:12rpm)。結果を表4に示す。
Figure 0004920573
キサンタンガム溶液としてイオン交換水を溶媒とした(A)液を用いた場合も、(B)液として濃厚流動食にローカストビーンガム、又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液を用いることにより、各々の溶液自体355〜830mPa・sと低い粘度に保持される一方で、各溶液を混合することにより、5240mPa・sまで増粘(実施例4)もしくは緩くゲル化した(実施例3)。係ることから本発明の経管投与用増粘剤は、経管投与時は加重によりチューブ内で容易に流動する(チューブが閉塞しない)程度の流動性と、瘻孔から漏れ出さない程度の粘度を有しつつも、胃内部で溶液が混合された場合は短時間で安定的に増粘もしくはゲル化し、食道への逆流を防止できる経管投与用増粘剤であることが分かった(実施例3、4)。一方、(B)液としてローカストビーンガムもしくはグルコマンナンの代わりにグァーガムを用いた場合は、濃厚流動食にグァーガムを添加後、80℃以上の熱処理を行ったにも関わらず、(A)液と(B)液を混合した際に十分に粘度な粘度発現を示さず(1180mPa・s)、食道への逆流を効果的に抑制できる粘度を濃厚流動食に付与することができなかった。
経口摂取が困難な高齢者等の栄養改善及び介護者の負担低減に有効である。

Claims (1)

  1. (A)液及び(B)液を対にしてなり、(A)液及び(B)液を個別に経管投与することを特徴とする、タンパク質含有液状食品の経管投与用増粘剤;
    (A)0.01〜5質量%のキサンタンガム含有溶液、
    (B)タンパク質含有液状食品に0.01〜5質量%のローカストビーンガム及び/又はグルコマンナンを添加後、80℃以上で熱処理された溶液。
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