JP5900347B2 - 乳化食品組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、胃食道逆流防止効果や満腹感促進効果を有する乳化食品組成物、特に中性領域では流動性を有し、酸性領域で半固形化することを特徴とする乳化食品組成物に関する。
近年、栄養バランスを考慮した栄養機能食品は、食事の代わりとして簡便に摂取できる携帯食やダイエット食品としてだけでなく、高齢者や傷病、障害により経口摂取に困難をきたす者が栄養を摂取するための流動食などとしても利用されている。
高齢者や傷病、障害により経口摂取が困難な者が栄養を摂取するための方法として経管栄養投与法が医学的に注目され、近年流動食の需要が増加している。ただ経管栄養投与法の大きな問題点として、投与した流動食の胃から食道への逆流があり、それにより食道炎や肺炎、窒息を誘発し死に至る可能性もある。
これら問題点を解決する方法として、あらかじめ増粘された市販の半固形化栄養剤を使用する方法、あるいは通常の流動食に寒天、卵白、ゼラチンなどを添加し、プリンや茶碗蒸し程度に半固形化させた後にシリンジなどで投与する方法などのように投与前に半固形化されたものを使用する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。また、流動食の投与前、又は後に、嘔吐予防食品として、ローメトキシルペクチンなどの増粘剤を含む溶液を別に投与し、胃内で前記嘔吐予防食品中の増粘剤と流動食成分が混合されることにより粘度を上昇させる方法も報告されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、例えば特許文献1に記載の方法では、投与に際して調理が必要なこと、さらには半固形化した流動食を押し出すのに力が必要で、また経管投与時にチューブを通りにくいことから、看護師あるいは介護者の手間と時間を要し、更に衛生面でも問題があった。また、特許文献2に記載の方法では、流動食とは別に嘔吐予防食品を投与する必要があり、流動食のみの投与と比較して時間がかかるため、被投与者の負担や座位保持による褥創の悪化を生じやすいという問題があった。さらにこのような問題に加え、投与の操作が煩雑で手間がかかる、また流動食との組み合わせによっては胃内で粘度が上昇しないといった問題もあった。そこで、手間が要らず、衛生的かつ短時間で投与が可能であり、胃食道逆流や下痢などを抑制することができる流動食が求められていた。
また、ダイエット食としては、胃の中でゲル化することで満腹感を促進する組成物などが提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
特開2004−26844号公報 特許第3633942号公報 特表2005−513077号公報 特表2007−503823号公報
本発明者らは、上記の特許文献1や2における問題を解決するため、例えば特許文献3、4に記載の組成物のように増粘剤を蛋白質、脂質、糖質等が高濃度に配合された栄養組成物に配合することを検討したところ、加熱殺菌後に相分離や凝集物の発生が認められるという問題が生じることを見出した。
以上の問題点等に鑑みて、本発明の目的とするところは、簡便に摂取及びチューブを介した投与が可能であり、かつ胃内部で半固形化させることで胃食道逆流の防止、また満腹感促進が可能で、且つ相分離や凝集物が認められないか、それらの発生が抑制された安定な品質の乳化食品組成物を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、蛋白質と脂質の混合比を特定の範囲に調整することで加熱殺菌後の相分離や凝集物の発生を抑制でき、更に中性領域では流動性を有し、酸性領域では半固形化しうる加熱殺菌された乳化食品組成物を調製しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)蛋白質、脂質、糖質、増粘剤乳化剤、カルシウム塩及びマグネシウム塩を含有し、中性領域では流動性を有し酸性領域で半固形化する加熱殺菌された乳化食品組成物であって、前記カルシウム塩及びマグネシウム塩が、中性領域において難溶性の化合物であるか、又は、カルシウムイオンとマグネシウムイオンを含む塩類が中性領域では水に不溶性で酸性領域では水に溶解する組成物にてコーティングされた形態であり、前記脂質と前記蛋白質の混合比(脂質/蛋白質、重量基準)が7/10以上であり、中性領域での前記乳化食品組成物に含まれる粒子の粒径(平均径)が6.0μm以下であることを特徴とする乳化食品組成物。
ここで、乳化食品組成物の「半固形化」とは、流動性を低下させる、もしくは流動性を失わせることであり、具体的には、例えばヨーグルトのような粘度の高い流体や、プリンや茶碗蒸しのように一定の形状を保持する状態のことである
)前記増粘剤の濃度が固形分換算で0.05重量%以上10重量%以下である前記(1)に記載の乳化食品組成物。
)前記乳化食品組成物のエネルギー密度が0.1kcal/ml以上3.0kcal/ml以下である前記(1)または(2)に記載の乳化食品組成物。
)半固形化した時の粘度が1000cP以上である前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
)製造直後のpHが5.5を超える前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
)前記増粘剤が酸性領域でゲル化する増粘剤である前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
)前記増粘剤がアルギン酸及び/又はアルギン酸塩である前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
)前記蛋白質が植物性蛋白質である前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
)前記蛋白質の濃度が0.5g/100ml以上である前記(1)〜()の何れかに記載の乳化食品組成物。
本発明の乳化食品組成物によれば、中性領域では流動性を有し、加熱滅菌後においても相分離や凝集物の発生を抑制可能であることから、簡便な摂取及びチューブを介した投与が可能であり、しかも、酸性領域で半固形化するため、胃食道逆流の防止や満腹感の促進が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の乳化食品組成物は、蛋白質、脂質、糖質、増粘剤及び乳化剤を含有し、中性領域では流動性を有し酸性領域で半固形化する、加熱殺菌された乳化食品組成物であって、前記脂質と前記蛋白質の混合比(脂質/蛋白質、重量基準)が7/10以上であり、中性領域での前記乳化食品組成物に含まれる粒子の粒径(平均径)が6.0μm以下であることを特徴とする。
本発明の乳化食品組成物においては、前記脂質と前記蛋白質の混合比(脂質/蛋白質、重量基準)が7/10以上である。蛋白質、脂質、糖質、増粘剤及び乳化剤を含む乳化食品組成物は加熱殺菌時に凝集を起こしやすいが、当該乳化食品組成物において脂質と蛋白質の混合比を上記のようにすることで、脂質が蛋白質分子の周囲を隙間なく囲み、加熱殺菌時に蛋白質分子同士が反応するなどして結合することが抑制され、ひいては乳化食品組成物中に凝集物が発生することを抑制することが可能となると考えられる。一方、当該混合比が7/10より小さい場合は、脂質が蛋白質分子の周囲を隙間なく囲むことができず、蛋白質同士が加熱殺菌時に反応するなどして結合し、最終的に乳化食品組成物中に凝集物が発生することを抑制できないと考えられる。このような加熱殺菌時の乳化食品組成物中の凝集物の発生をより効果的に抑制し、更により効果的に食品組成物を半固形化させる観点からは、脂質と蛋白質の混合比の下限は、7.5/10以上がより好ましく、8/10以上がさらに好ましく、8.5/10以上が特に好ましく、上限は500/10以下が好ましく、300/10以下がより好ましく、200/10以下がさらに好ましく、100/10以下が特に好ましい。
本発明の乳化食品組成物においては、中性領域での乳化食品組成物に含まれる粒子の粒径(平均径)が6.0μm以下である。凝集物の発生をより効果的に抑制する観点からは、前記粒子の粒径(平均径)は、5.0μm以下が好ましく、4.5μm以下であることがより好ましく、4.0μm以下であることが更に好ましく、3.5μm以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明において「粒子」とは、乳化食品組成物中における連続相である液体中に分散及び/又は懸濁されている物質を意味する。当該「粒子」は、液体中に分散及び/又は懸濁されている物質であればその構成要素は問わないが、組成物中に含まれ得る蛋白質、脂質、糖質、増粘剤、乳化剤等が単独及び/又は複合的に関与して構成されるものと推察される。また、粒子の粒径(平均径)は、例えば、レーザー回折/散乱法を利用した粒度分布測定装置などを用いて、測定した粒度分布をもとに算出することができる。
以下に、粒子の粒径(平均径)の測定方法につき、粒度分布測定装置として、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、LA−950)を用いた場合の例を説明する。
当該レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置による測定条件は、分散媒:蒸留水、試料屈折率:1.600−0.000i、分散媒屈折率:1.333、循環速度:13、攪拌速度:2、を用い、測定する際には光線透過率(R)90〜80%、透過率(B)90〜70%になるように試料濃度を調整する。
そして、上記の条件にて粒度分布を測定する場合、粒子の粒度分布は、レーザー回折/散乱法により測定した際に、横軸を粒子径(μm)、縦軸を体積基準の頻度(%)とする分布曲線により表される。そして、このように測定された粒度分布から、平均径(頻度分布を算術平均した値)として算出される値が、本発明における粒子の粒径である。
本発明の乳化食品組成物においては、中性領域で流動性を有していれば、特に流動性の程度は限定されない。ただし、経鼻胃管チューブや胃瘻カテーテル等のチューブを容易に通過するだけの流動性を保持する観点からは、乳化食品組成物の粘度が、1000cP未満のものがより好ましく、粘度500cP以下のものが更に好ましく、粘度400cP以下のものが特に好ましい。なお、cP(センチポアズ)とは粘度を表す単位であり、1cP=1mPa・sである。
本発明の乳化食品組成物おいては、酸性領域で半固形化するが、半固形化した際の粘度については特に限定されず、満腹感を促進し、また胃食道逆流を防止するような粘度であればよい。ただし、効果的に胃食道逆流や下痢を抑制する観点からは、半固形化した際の粘度が1000cP以上であることが好ましく、2000cP以上であることがより好ましく、5000cP以上であることが更に好ましく、8000cP以上が特に好ましい。
ここで、胃内部で半固形化するか否かは、人工胃液と乳化食品組成物を混合した時の混合物の性状を目視により判断して行うことを基本とする。上記のように、本発明において「半固形化」とは、流動性を低下させる、もしくは流動性を失わせることであり、具体的には、例えばヨーグルトのような粘度の高い流体や、プリンや茶碗蒸しのように一定の形状を保持する状態のことである。従って、人工胃液と乳化食品組成物との混合物が、例えばヨーグルトのような粘度の高い流体や、プリンや茶碗蒸しのように一定の形状を保持する状態にあるか否かを目視により判断する。
本発明において半固形化率は特に限定されない。本発明での半固形化率は乳化食品組成物の固形物含量及び増粘剤濃度によって大きく左右される。そのため固形物含量及び増粘剤濃度の異なる乳化食品組成物同士の半固形化率を一概に比較することができない。ただ、固形物含量及び増粘剤濃度が同じ乳化食品組成物の場合、半固形化度を比較する基準として半固形化率を用いることが可能である。
本発明の乳化食品組成物のpHは特に限定されない。乳化食品組成物に使用する成分の種類にもよるが、中性領域での流動性を確保する観点からは、乳化食品組成物の製造直後のpHが5.5を超えることが好ましく、pH5.7以上がより好ましく、pH6.0以上が更に好ましく、pH6.5以上が特に好ましい。また、pH10.0以下が好ましく、より好ましくはpH9.0以下、更に好ましくはpH8.5以下、特に好ましくは8.0以下である。なお、本発明でいう中性領域とは下限が好ましくはpH5.5を超えること、より好ましくはpH5.7以上、更に好ましくはpH6.0以上、特に好ましくはpH6.5以上のことを言う。また上限は好ましくはpH10.0以下、より好ましくはpH9.0以下、更に好ましくはpH8.5以下、特に好ましくはpH8.0以下のことを言う。尚、本発明において「製造直後」とは、後述するように乳化食品組成物が加熱殺菌された直後を意味することに加えて、後述する各種の用途に供される時までを包含する概念である。
本発明の乳化食品組成物は酸性領域にて半固形化するが、半固形化する際のpHは特に限定されない。ただし、酸性領域で良好に半固形化させる観点からは、pH5.5以下で半固形化するものが好ましく、pH5.3以下で半固形化するものがより好ましく、pH5.0以下で半固形化するものが更に好ましく、pH4.8以下で半固形化するものが特に好ましい。尚、本発明でいう酸性領域とは、好ましくはpH5.5以下、より好ましくはpH5.3以下、更に好ましくはpH5.0以下、特に好ましくはpH4.8以下のことを言う。
本発明の乳化食品組成物のエネルギー密度は特に限定されない。ただし、酸性領域で良好に半固形化させる観点からは、上限は3.0kcal/ml以下であることが好ましく、2.5kcal/ml以下であることがより好ましく、2.0kcal/ml以下であることが更に好ましく、1.5kcal/ml以下であることが特に好ましい。また下限は0.1kcal/ml以上であることが好ましく、0.3kcal/ml以上であることがより好ましく、0.5kcal/ml以上であることが更に好ましい。
尚、エネルギー密度は、蛋白質、脂質、糖質の乳化食品組成物100ml中の含有量から下記式により算出することができる。また、下記式の右辺の単位が左辺と一致するように適切に換算する。
エネルギー密度(kcal/ml)=蛋白質含有量(g/100ml)×4(kcal/g)+脂質含有量(g/100ml)×9(kcal/g)+糖質含有量(g/100ml)×4(kcal/g)
本発明における乳化食品組成物の蛋白質の種類は特に限定されず、動物性蛋白質、植物性蛋白質、何れでも良い。本発明における蛋白質には、蛋白質の加水分解物が含まれる。動物性蛋白質としては、例えば、乳原料由来の蛋白質(カゼインナトリウム、またはホエイ蛋白質等)、卵由来の蛋白質や、それらの加水分解物などが挙げられる。また、植物性蛋白質としては、例えば、大豆原料由来の蛋白質、小麦原料由来の蛋白質、エンドウ原料由来の蛋白質、米由来の蛋白質や、それらの加水分解物などが挙げられる。また、これらを単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。ただし、中性領域での流動性を確保する観点からは、蛋白質原料のCa含量が2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましく、0.8%以下であることが特に好ましい。また、加熱殺菌時の相分離や凝集物の発生を抑制する観点から、蛋白質の種類としては植物性蛋白質が好ましく、中でも、豆原料由来の植物性蛋白質がより好ましく、大豆原料由来の植物性蛋白質及び/又はその加水分解物がさらに好ましい。また窒素源としては、蛋白質だけでなくペプチドやアミノ酸を用いても良い。
本発明に用いることができる蛋白質の乳化食品組成物中の濃度(含量)は特に限定されない。ただし、酸性領域で良好に半固形化させる観点からは、蛋白質の乳化食品組成物中の含量を0.5g/100ml以上の割合で配合されたものが好ましく、1.0g/100ml以上の割合で配合されたものがより好ましく、2.0g/100ml以上の割合で配合されたものが更に好ましく、3.0g/100ml以上の割合で配合されたものがより更に好ましく、4.0g/100ml以上の割合で配合されたものが特に好ましい。一方、本発明の効果をより効果的に発揮させる観点からは、蛋白質の乳化食品組成物中の濃度(含量)の上限は、概ね10.0g/100ml以下、より好ましくは7.5g/100ml以下、更に好ましくは5.0g/100ml以下が好適である。
本発明に用いることができる脂質の種類は特に限定されない。動物由来の脂質、植物由来の脂質のどちらを使用しても構わない。一定の割合で両者を混合して使用しても構わない。
本発明における脂質としては、例えば、大豆油、コーン油、パーム核油、サフラワー油、魚油、ナタネ油などの天然の油脂の他、炭素数6〜12程度の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などを使用できるが、特にこれらには限定されない。またこれらを単独で使用することもできるが、複数を組み合わせて使用することもできる。また、「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」に記載の脂肪酸組成比になるように、数種類の油脂を組み合わせて添加することもできる。
本発明では、乳化食品組成物における脂質の濃度は、上記のように、脂質と蛋白質との混合比(重量基準)が7/10以上であれば良く、上記の蛋白質の濃度に従って適宜調整すればよい。
本発明に用いることができる糖質の種類は特に限定されない。
本発明に用いる糖質としては、例えば、グルコースなどの単糖類、ショ糖などの二糖類、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖、デキストリンなどの多糖類などが挙げられるが、特にこれらには限定されない。またこれらを単独で使用することもできるが、複数を組み合わせて使用することもできる。また、乳化食品組成物における糖質の濃度については、本発明の機能を妨げない範囲であれば、特に限定されない。
本発明に用いることができる増粘剤の種類は、前記乳化食品組成物を酸性領域で半固形化させるものであれば、特に限定されない。このような増粘剤としては、例えば、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、アラビアガム、コラーゲン、ゼラチン、カードラン、ポリガンマグルタミン酸などが挙げられる。また、これらを単独で使用しても良いし、複数組合せて使用しても良い。但し、酸性領域で乳化食品組成物を良好に半固形化させる観点からは、酸性領域でゲル化する増粘剤が好ましく、例えば、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、カードラン、アルギン酸、アルギン酸塩などが挙げられる。この中でも、中性領域では流動性を保持し、酸性領域で乳化食品組成物を良好に半固形化させる観点からは、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩およびペクチンから選択される少なくとも1種がより好ましく、アルギン酸、アルギン酸塩およびカラギーナンから選択される少なくとも1種が更に好ましく、アルギン酸及び/又はアルギン酸塩が特に好ましい。
前記ジェランガムは、シュードモナス エロデア(Pseudomonas elodea)の発酵によって産生される、グルコース、グルクロン酸、グルコース、ラムノースの4糖の繰返し単位から構成される直鎖状の多糖類である。ただしジェランガムの中でも、酸性領域で効果的に食品組成物を半固形化させる観点からは、脱アシル型ジェランガムが好ましい。
前記カラギーナンとは紅藻類から抽出される、ガラクトースとアンヒドガラクトースを成分とする多糖類の硫酸エステルの塩類のことである。ただしカラギーナンの中でも、酸性領域で効果的に食品組成物を半固形化させる観点からは、カッパカラギーナンが好ましい。
前記ペクチンは、エステル化度が50%以上のハイメトキシルペクチン、又はエステル化度が50%未満のローメトキシルペクチン、あるいは両者の混合物のことである。ペクチンとしては、例えば、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘ペクチンやリンゴペクチン等が挙げられる。ペクチンの種類は特に限定されない。ただし酸性領域で効果的に食品組成物を半固形化させる観点からは、ローメトキシルペクチンであることが好ましい。
前記アルギン酸、またはアルギン酸塩は、海草から抽出して得られる親水コロイド性多糖類をいう。アルギン酸、アルギン酸塩の中でも、中性領域での流動性を低粘度に抑える観点からは、アルギン酸、アルギン酸塩の1重量%水溶液(20℃)での粘度が、900cP以下のものが好ましく、600cP以下のものがより好ましく、400cP以下のものが更に好ましく、200cP以下のものがより更に好ましく、100cP以下のものが特に好ましい。
前記寒天は、特に限定されるものではなく、一般に紅藻類から抽出して得られる、アガロースとアガロペクチンを含有する多糖類のことである。寒天の種類としては特に限定されるものではなく、物性の特徴として高ゼリー強度、低ゼリー強度、易溶性、高粘度、及び低粘度品等があり、何れを使用してもかまわない。
前記キサンタンガムは、キサンゾモナス コンペストリス(Xanthomonas compestris)がグルコースなどを発酵して蓄積する多糖類である。
前記ローカストビーンガムは、マメ科植物であるローカストツリーの種子から得られる天然性の水溶性ガムである。
前記アラビアガムは、マメ科アカシア樹脂を乾燥して得られる多糖類である。
前記コラーゲンは、哺乳類の真皮組織などを構成する繊維状蛋白で、加水分解されたものも含む。
前記ゼラチンは、コラーゲンを分解・精製して製造されるものである。
前記ポリガンマグルタミン酸は、微生物Bacillus属の食用微生物(Bacillus subtilis chungkookjang)などが産生する、食べても無害な陰イオン性の高分子である。
前記カードランはβ―1,3−グルコース結合を主体とする多糖類であり、たとえばAlcaligenes属またはAgrobacterium属の菌が生産する多糖類が挙げられる。
本発明では、乳化食品組成物における増粘剤の濃度は、増粘剤の種類によって、適正量が変わるが、概ね、乳化食品組成物に対して固形分換算で0.05〜10重量%が好ましい。0.05重量%より少ないと、酸性領域での半固形化が不充分で、胃食道逆流防止効果があまり得られない場合がある。一方、10重量%より多いと、摂取した際胃が重く感じられ、不快感を催す場合がある。尚、増粘剤の濃度については、以下特に断らない限り固形分換算であることとする。
増粘剤としてジェランガムを用いる場合、その濃度の下限は0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上が更に好ましい。また、その上限は3.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下がより好ましく、1.5重量%以下更に好ましい。
増粘剤としてカラギーナンを用いる場合、その濃度の下限は0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上が更に好ましい。また、その上限は5.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以下がより好ましく、2.0重量%以下更に好ましい。
増粘剤としてアルギン酸及び/又はアルギン酸塩を用いる場合、その濃度(2種の場合はそれらの合計)の下限は0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上が更に好ましく、0.5重量%以上が特に好ましい。また、その上限は10重量%以下が好ましく、5.0重量%以下がより好ましく、3.0重量%以下更に好ましく、2.0重量%以下が特に好ましい。
増粘剤としてペクチンを用いる場合、その濃度の下限は0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上が更に好ましい。また、その上限は8.0重量%以下が好ましく、5.0重量%以下がより好ましく、3.0重量%以下更に好ましい。
本発明に用いることができる乳化剤の種類は、特に限定されない。例えば、レシチン、リゾレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、これらを単独で使用することもできるが、これらを2種以上組み合わせて使用することをもできる。ただし、加熱殺菌時の凝集物の発生を抑制する観点からは、HLB値が7.0以上の乳化剤を用いることが好ましく、HLB値が7.5以上の乳化剤を用いることがより好ましく、HLB値が8.0以上の乳化剤を用いることが更に好ましい。また乳化剤の種類としてはリゾレシチン、有機酸モノグリセリド、及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、リゾレシチン、及び有機酸モノグリセリドから選ばれる少なくとも一種を用いることがより好ましく、リゾレシチンを用いることが特に好ましい。またリゾレシチンには大豆由来、卵由来などがあるが、大豆由来がより好ましい。
また、乳化食品組成物における乳化剤の濃度は、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜決定すれば良い。
本発明では、上記の蛋白質、脂質、糖質、増粘剤及び乳化剤以外に、その他の栄養成分(例えば、ビタミン類、ミネラル類、微量元素等)や機能性成分(例えば、コエンザイムQ10など)、食物繊維、果汁、香料、消泡剤等が含まれていてもよい。
前記ミネラル類としては、その種類は特に限定されない。ただし、中性領域での流動性を確保する観点からは、価数が2以上の金属イオンを含む塩類については中性領域では難溶性の化合物を使用するか、あるいは、価数が2以上の金属イオンを含む塩類が中性領域では水に難溶性で酸性領域では水に溶解する組成物にてコーティングされた形態のものなどを使用することが好ましい。更に価数が2以上の金属イオンの中でも、カルシウムイオンとマグネシウムイオンを含む塩類であって中性領域では難溶性の化合物を用いるのがより好ましく、例えば、クエン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。ここで言う「難溶性」とは日本薬局方通則に記載されている溶解性の基準に従った場合、「やや溶けにくい」〜「ほとんど溶けない」の範囲にあるものを意味する。より詳しくは、溶質を水中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、溶質1g又は1mLを30分以内に溶かすのに必要な水の量が30mL以上であることをいう。また、価数が2以上の金属イオンを含む塩類をコーティングする組成物としてはゼラチン、寒天、カードラン等が挙げられるが特にこれらに限定されない。
また、乳化食品組成物におけるミネラル類の濃度は、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜決定すれば良い。
前記食物繊維としては、前記増粘剤以外の食物繊維を添加することができる。例えば、セルロース、小麦ふすま、大豆食物繊維、コーンファイバー等の不溶性の食物繊維や、難消化デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などの水溶性の食物繊維を添加することもできる。
また、乳化食品組成物における食物繊維の濃度は、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜決定すれば良い。
本発明の乳化食品組成物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、水に、蛋白質、脂質、糖質、増粘剤、乳化剤、ビタミン類、ミネラル類などの栄養成分などを適宜添加、混合し、高圧乳化機やホモジナイザー等により均質化するなどの常法により調製できる。また、調製した乳化食品組成物は、ソフトバックやアルミパウチなどのパウチ、紙パック、缶、ボトル、ビンなどの容器に充填し、一般的な加熱殺菌処理を行うことができる。このような加熱殺菌処理により、微生物などを原因とする乳化食品組成物の物性の変化を防止することができる。加熱殺菌処理は、乳化食品組成物を容器に充填した後に行うこともできるが、微生物などを原因とする乳化食品組成物の物性の変化を防止できるのであれば、その方法は問わない。
前記の加熱殺菌方法は特に限定されず、低温殺菌法、高温殺菌法、超高温短時間殺菌法のいずれの方法でも構わない。またUHT、HTST、レトルト、オートクレーブ、プレート、チューブラー式殺菌等の殺菌方法のいずれの方法を用いても構わない。
乳化食品組成物を充填する容器は、その材質や形態に関して特に限定されるものではないが、本発明において使用される容器は、微生物などの混入により乳化食品組成物の物性が変化しないような形態であることが好ましい。また、ビタミン類などの栄養成分の減少を防止する観点からは、遮光性及び/またはガスバリア性を有する材料で作製された容器が好ましいが、透明容器であっても問題はない。さらに、本発明の乳化食品組成物は、蛋白質、脂質、糖質、増粘剤、乳化剤などの全成分を同一の容器内に充填することが可能である。
本発明の乳化食品組成物は、経口、経管などの従来の方法により摂取できる。例えば、直接、口から当該液状食品組成物を摂取することもできるし、容器をスタンドに吊るし、チューブを介して滴下して摂取することもできる。また、ポンプや加圧バックを使用したり、容器を手で押すなどして強制的な摂取もできるが、摂取方法はこれらに限定されるものではない。
本発明の乳化食品組成物は、酸性領域で半固形化することから、従来のゼリー状の携帯食やダイエット食品では得にくい満腹感を得ることができ、さらには、通常の食品よりも満腹感を促進する効果が期待される。そのため、ダイエット食品等に使用することができる。また、本発明の乳化食品組成物は、中性領域では流動性を有し、凝集物も少なく、なめらかな液体であることから、のど越しが良い。一般的な固形食では、摂取した際にボソボソ感があるため、嚥下しにくい、食感が必ずしも良好ではない、摂取する際に水分を欲する感覚に襲われやすい、といった点が指摘されていたが、本発明の乳化食品組成物によれば、手軽に経口摂取することができる。
また、本発明の乳化食品組成物は、中性領域では流動性を有し、酸性領域で半固形化することから、投与が簡便である上に胃食道逆流の抑制効果が期待できるため、経口はもちろんのこと、経鼻胃管チューブや胃瘻カテーテルを通じても投与される流動食、介護食、医療食としても使用することができる。ただ簡便に摂取することができ、胃食道逆流を効果的に抑制する観点からは、経腸栄養食品または経腸栄養剤としての使用が好ましい。
本発明の乳化食品組成物を、例えば流動食として用いれば、中性領域、即ち胃に入るまでは流動性を有し、且つ凝集物を含まないか、その発生が顕著に抑制されていることから、流動食を寒天やトロミ剤などで半固形化して投与する場合のように押し出す力も不要であり、看護師や介護者などの手間や時間がかからない。
また、凝集物を含まないか、その発生が顕著に抑制されていることから、チューブ内に詰まることなく容易に胃まで通過させることができ、経鼻チューブや胃瘻カテーテルなどを介した経管投与が容易である。また、チューブ内が汚れにくいことから、投与後のチューブの管理等も簡便である。
また、酸性領域、即ち胃内部でより効果的に半固形化し胃食道逆流を防止することから、流動食とは別に嘔吐予防食品を投与する場合と同様の胃食道逆流防止効果を発揮しつつ、手間や時間、さらにはコストをかけず、被投与者の座位保持による褥瘡の悪化も軽減することができる。更に、増粘剤を含まない通常の液体流動食と比較して、投与後の食品組成物の胃から排出される速度がゆるやかになるため下痢も防止することができる。
さらに、本発明の乳化食品組成物は、のど越しがよいことから嚥下・咀嚼困難者用の流動食、介護食、医療食として用いることも可能である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)乳化食品組成物の調製
<乳化食品組成物の作製>
表1および表2に示す成分組成にて、各成分をミキサーで混合し、さらに高圧ホモジナイザー(Rannie2000型 APV社製使用)で圧力(1回目20MPa、2回目48MPa)にて均質化した後、レトルト殺菌機にて加熱殺菌(条件:123℃、8分30秒)し、サンプルNo.1−1〜12の乳化食品組成物を得た。製造直後のpHは表3に示す。pHは、HORIBA社製、「pH/ION METER D−53」にて測定した。尚、表1中、カルシウム塩、マグネシウム塩には、中性領域で水に対して難溶性のものを含む。
Figure 0005900347
Figure 0005900347
<乳化食品組成物中の凝集物の確認>
目視により組成物の性状を確認すると共に下記記載の方法にて凝集物の重量を算出した。
ナイロン製網(HC−58(NYTAL社製)メッシュ:264インチ)の風袋重量を([ナイロン製網風袋重量2]とする)を測定する。直径11cmのブフナー漏斗(孔径:2mm)用い、ナイロン製網の上で300mlの乳化食品組成物を吸引ろ過し、凝集物を回収する。ろ過後、回収した凝集物をナイロン製網ごと60℃20分間乾燥する。乾燥後、室温に冷却し、ナイロン製網を含む乾燥した凝集物重量([凝集物とナイロン製網の重量]とする)を計量する。凝集物重量を次のような計算式にて算出した。評価結果を表3に示す。
[凝集物重量(g)]=[凝集物とナイロン製網の重量]−[ナイロン製網風袋重量2]
尚、評価基準は以下のとおりである。
●「有」:目視;固形物有、 凝集物重量;0.028g以上
●「無」:目視;固形物無、 凝集物重量;0.028g未満
<粒径の測定>
上記のようにして調製した乳化食品組成物1−1〜12に含まれる粒子の粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、LA−950(堀場製作所社製)により測定した。
測定条件は、分散媒:蒸留水、試料屈折率:1.600−0.000i、分散媒屈折率:1.333、循環速度:13、攪拌速度:2とした。測定する際には光線透過率(R)90〜80%、透過率(B)90〜70%になるように試料濃度を調整し、粒径(平均径:頻度分布を算術平均した値)を測定、算出した。測定結果を表3に示す。
<半固形化度の測定>
スクリューキャップ式のチューブ(50ml容量)に、日本薬局方の崩壊試験法に基づいて作製された37℃の人工胃液(pH1.2、塩化ナトリウム2.0g/L、塩酸7.0ml/L)20gを分注し、分注した人工胃液の重量([人工胃液量]とする)を計量した。
次に、チューブに上記のようにして調製した乳化食品組成物1−1〜12をそれぞれ10g加え、スクリューキャップ式チューブ、添加した人工胃液、及び添加した乳化食品組成物の総重量([吸引ろ過前総重量]とする)を計量した。計量後、「HL−2000 HybriLinker(UVP Laboratory Products社製)」のチャンバー内の固定具にチューブを固定し、温度;37℃、速度;“MIN”の条件で穏やかに10分間攪拌した。攪拌後、風袋重量(〔ナイロン網風袋重量〕とする)を計量したナイロン製網(40メッシュ;(株)相互理化学硝子製作所製)にて吸引ろ過した。その後、残渣物とともにナイロン製網ごとペーパータオル等の上に2分間置いて、余分な水分を除去し、ナイロン製網を含む半固形化物の重量(〔ろ過後半固形化物重量〕とする)を計量した。
さらに、内溶液を払出した後のスクリューキャップ式チューブのみの重量(〔ろ過後チューブ重量〕とする)を計量し、半固形化度を次のような計算式(式(1))にて算出した。
Figure 0005900347
上記の評価結果を表3に示す。表3に示したとおり脂質と蛋白質の混合比(重量基準)を7/10以上配合した乳化食品組成物では凝集物が認められなかった。また、凝集物が認められなかった乳化食品組成物の粒径(平均径)は6.0μm以下であった。更に、脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の乳化食品組成物1−3〜5、1−7〜12はプリン状に半固形化し、7/10より低い乳化食品組成物1−1、2、6はやわらかいヨーグルト状に半固形化し、半固形化の程度が脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の乳化食品組成物と比較して弱かった。また半固形化度を比較しても脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の乳化食品組成物は7/10より低い乳化食品組成物と比較して半固形化度が向上する傾向が認められた。またこの傾向は蛋白質含量が異なる場合、アルギン酸ナトリウム含量が異なる場合でも認められた。脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の所定の乳化食品組成物は、加熱殺菌時の凝集物の発生を抑制でき、且つ乳化食品組成物の胃内部での半固形化をより向上させることができると考えられる。
Figure 0005900347
(実施例2)リゾレシチン以外の乳化剤を配合した乳化食品組成物の調製
<乳化食品組成物の作製>
表4および表5に示す成分組成にて、各成分をミキサーで混合し、さらに高圧ホモジナイザー(Rannie2000型 APV社製使用)で圧力(1回目20MPa、2回目48MPa)にて均質化した後、レトルト殺菌機にて加熱殺菌(条件:123℃、8分30秒)し、サンプルNo.2−1〜3の乳化食品組成物を得た。製造直後のpHは、実施例1と同様にして測定した。測定結果は表6に示す。
Figure 0005900347
Figure 0005900347
<凝集物、粒径および半固形化度の測定>
上記のようにして調製した乳化食品組成物2−1〜3を用い、実施例1と同様の方法にて、凝集物の有無の確認、及び、粒径、半固形化度を測定した。その評価結果を表6に示す。表6に示したとおり、脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の乳化食品組成物は、乳化剤の種類を変更しても凝集物の発生は認められなかった。また凝集物が認められなかった乳化食品組成物の粒径(平均径)は6.0μm以下であった。更に乳化剤の種類を変更した場合においても、調整した乳化食品組成物は酸性条件下でプリン状に半固形化した。
Figure 0005900347
(実施例3)異なる蛋白質を配合した乳化食品組成物の調製
<乳化食品組成物の作製>
表7および表8に示す成分組成にて、各成分をミキサーで混合し、さらに高圧ホモジナイザー(Rannie2000型 APV社製使用)で圧力(1回目20MPa、2回目48MPa)にて均質化した後、レトルト殺菌機にて加熱殺菌(条件:123℃、8分30秒)し、サンプルNo.3−1〜2の乳化食品組成物を得た。製造直後のpHは実施例1と同様にして測定した。測定結果は表9に示す。
Figure 0005900347
Figure 0005900347
<凝集物、粒径および半固形化度の測定>
上記のようにして調製した乳化食品組成物3−1〜2を用い、実施例1と同様の方法にて、凝集物の有無の確認、及び、粒径、半固形化度を測定した。その評価結果を表9に示す。表9に示したとおり、脂質と蛋白質の混合比が7/10以上の乳化食品組成物は、蛋白質の種類を変更しても凝集物の発生は認められなかった。また凝集物が認められなかった乳化食品組成物の粒径(平均径)は6.0μm以下であった。更に蛋白質の種類を変更した場合においても、調整した乳化食品組成物は酸性条件下でプリン状に半固形化した。
Figure 0005900347
(実施例4)半固形化した組成物の粘度の測定
<乳化食品組成物の作製>
表10に示す成分組成にて、各成分をミキサーで混合し、さらに高圧ホモジナイザー(Rannie2000型 APV社製使用)で圧力(1回目20MPa、2回目48MPa)にて均質化した後、レトルト殺菌機にて加熱殺菌(条件:123℃、8分30秒)、乳化食品組成物を得た。
Figure 0005900347
<酸性条件下での粘度の測定方法>
上記のようにして作製した乳化食品組成物を用いて、以下のようにして乳化食品組成物のpHを調整したサンプルを作製し、粘度の測定に供した。尚、無調整時のpHは約6.7であり、粘度は375cPであった。
粘度は、B型粘度計(トキメック社製)により測定した。乳化食品組成物200mlを内径60mmのガラス製容器に投入し、5N HClを用いて各pHに調整し、5分間静置した。静置後、表11に記載のロータを使用し、回転数12回転/分の速度で、保持時間1分後に測定値を読み取った。
測定結果を表11に示す。表11に示したとおりpH5.5に調整した場合、粘度は1000cP以上になり、pH4.5以下に調整した場合、粘度は10000cP以上となった。
本発明の乳化食品組成物はpH5.5以下になると効果的に粘度が上昇(半固形化)する。
Figure 0005900347

Claims (9)

  1. 蛋白質、脂質、糖質、増粘剤乳化剤、カルシウム塩及びマグネシウム塩を含有し、中性領域では流動性を有し酸性領域で半固形化する加熱殺菌された乳化食品組成物であって、
    前記カルシウム塩及びマグネシウム塩が、中性領域において難溶性の化合物であるか、又は、カルシウムイオンとマグネシウムイオンを含む塩類が中性領域では水に不溶性で酸性領域では水に溶解する組成物にてコーティングされた形態であり、
    前記脂質と前記蛋白質の混合比(脂質/蛋白質、重量基準)が7/10以上であり、中性領域での前記乳化食品組成物に含まれる粒子の粒径(平均径)が6.0μm以下であることを特徴とする乳化食品組成物。
  2. 前記増粘剤の濃度が固形分換算で0.05重量%以上10重量%以下である請求項1に記載の乳化食品組成物。
  3. 前記乳化食品組成物のエネルギー密度が0.1kcal/ml以上3.0kcal/ml以下である請求項1または2に記載の乳化食品組成物。
  4. 半固形化した時の粘度が1000cP以上である請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
  5. 製造直後のpHが5.5を超える請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
  6. 前記増粘剤が酸性領域でゲル化する増粘剤である請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
  7. 前記増粘剤がアルギン酸及び/又はアルギン酸塩である請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
  8. 前記蛋白質が植物性蛋白質である請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
  9. 前記蛋白質の濃度が0.5g/100ml以上である請求項1〜の何れかに記載の乳化食品組成物。
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